説明

フレキシブル配線基板及び光学装置

【課題】フレキシブル配線基板において、プリント配線の本数を確保すると共に、可撓性、追従性等を改善しつつ、幅狭化、小型化を図る。
【解決手段】第1接続要素に接続される平板状の基部領域61、第2接続要素に接続される平板状の端部領域62,63、基部領域と端部領域を連結すると共に可撓性をもつ平板状の長尺可撓部領域とを備えるフレキシブル配線基板において、長尺可撓部領域は、基部領域から分岐して伸長すると共に端部領域をそれぞれ画定する複数の分岐枝64,65からなり、複数の分岐枝64,65はお互いに重なり合って伸長するように形成されている。これによれば、複数のプリント配線を設けつつもフレキシブル配線基板の幅寸法を小さく抑えることができ、可撓性及び柔軟性を高めて、狭いスペースにおいても容易に配設することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の配線に適用されるフレキシブル配線基板及びフレキシブル配線基板を用いた光学装置に関し、特に、カメラ、ビデオカメラ、投影機等に搭載されるレンズ光学系の可動要素等に一端が接続されるフレキシブル配線基板及び光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフレキシブル配線基板としては、カメラのレンズ鏡胴において、その一端をベース(固定要素)に固定し、その他端を可動レンズ群(可動要素)に接続し、可動レンズ群が光軸方向に移動するのを許容するべく途中に複数の折り返し部を設けたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
このフレキシブル配線基板は、片面に複数の配線がプリントされた可撓性のプリント基板であり、プリント配線の本数が増えるに連れて、その幅寸法がより大きく形成されるものである。しかしながら、幅広のフレキシブル配線基板を用いると、可撓性が低下して屈曲し難くなるため可動要素の駆動負荷が増加する。また、フレキシブル配線基板の収容スペースが大きくなり、このフレキシブル配線基板を収容するレンズ鏡胴や装置の大型化を招くことになる。
【0003】
また、他のフレキシブル配線基板としては、幅広のフレキシブル配線基板において、長手方向に伸長する複数のスリットや切り込みを設けることで、撓み易くして、可動要素の負荷抵抗を軽減するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
しかしながら、スリットや切り込みを設けることで可撓性は改善されたとしても、フレキシブル配線基板の幅寸法が大きい故に、依然として、狭いスペースに配設するのは困難であり、収容スペースの増大、装置等の大型化の問題は解消されない。
一方、プリント配線基板の幅を小さくして、その両面にプリント配線を設けることも考えられるが、幅寸法は小さくできるものの厚さ寸法が増加して、可撓性が低下し(屈曲し難くなり)、前述同様に、可動要素を駆動する際の駆動負荷の増加を招き、又、配線がし難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−163748号公報
【特許文献2】特開2007−093907号公報
【特許文献3】特開2007−043129号公報
【特許文献4】特開2003−141755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、複数のプリント配線を設けつつ、可撓性、柔軟性を改善でき、狭いスペースに容易に配設することができ、装置の小型化等に寄与するフレキシブル配線基板及びこれを用いた光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフレキシブル配線基板は、第1接続要素に接続される平板状の基部領域と、第2接続要素に接続される平板状の端部領域と、基部領域と端部領域を連結すると共に可撓性をもつ平板状の長尺可撓部領域とを備えるフレキシブル配線基板であって、上記長尺可撓部領域は、基部領域から分岐して伸長すると共に端部領域をそれぞれ画定する複数の分岐枝からなり、複数の分岐枝は、お互いに重なり合って伸長するように形成されている、ことを特徴としている。
この構成によれば、長尺可撓部領域が複数の分岐枝として形成され、かつ、複数の分岐枝がお互いに重なり合うように伸長して形成されているため、複数のプリント配線を設けつつもフレキシブル配線基板の幅寸法を小さく抑えることができ、又、それぞれの分岐枝は接合されるのではなく独立しているため、可撓性及び柔軟性を高めることができ、狭いスペースにおいても容易に配設することができる。
したがって、第1接続要素が固定要素でかつ第2接続要素が可動要素である場合に、フレキシブル配線基板の追従性が改善されるため、可動要素が移動する際の負荷を低減することができ、又、このフレキシブル配線基板を収容する装置等の小型化を達成することができる。
【0007】
上記構成をなすフレキシブル配線基板において、複数の分岐枝は、基部領域から直接伸長する少なくとも一つの主分岐枝と、主分岐枝に折り重ねられる少なくとも一つの従分岐枝を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、フレキシブル配線基板を平板状の板材から打抜き等により形成する際に、基部領域と基部領域から分岐すると共にそれぞれ端部領域を画定する複数の分岐枝(少なくとも一つの主分岐枝、少なくとも一つの従分岐枝)を含むように形成し、一つの主分岐枝に他の従分岐枝を折り重ねるように曲げ加工を施すことで、容易に本発明のフレキシブル配線基板を得ることができる。
【0008】
上記構成をなすフレキシブル配線基板において、基部領域、端部領域、及び長尺可撓領域には、片面にのみプリント配線が設けられており、従分岐枝は、基部領域の近傍において、少なくとも2回折り曲げられる折り曲げ部を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、基部領域、端部領域、及び長尺可撓領域を含むフレキシブル配線基板がその片面にのみプリント配線が設けられた状態で、従分岐枝が少なくとも2回折り曲げられる折り曲げ部を含むため、従分岐枝の可撓性を確保しつつ、従分岐枝を主分岐枝に容易に折り重ねることができる。
【0009】
本発明の光学装置は、固定要素と、レンズ光学系を含む可動要素と、固定要素と可動要素の間に接続される配線要素とを備えた光学装置であって、上記配線要素は、上述の構成をなすフレキシブル配線基板のいずれか一つである、ことを特徴としている。
この構成によれば、複数のプリント配線を設けつつも、フレキシブル配線基板を幅狭でかつ可撓性及び柔軟性を改善することができるため、可動要素が移動する際の負荷抵抗を軽減でき、又、装置の小型化を達成することができる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成をなすフレキシブル配線基板によれば、複数のプリント配線を設けつつ、可撓性、柔軟性を改善でき、狭いスペースに容易に配設することができ、光学装置の小型化等に寄与するフレキシブル配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るフレキシブル配線基板を適用した光学装置の断面図である。
【図2】図1に示す光学装置に含まれる像触れ補正ユニットの斜視図である。
【図3】図2に示す像触れ補正ユニットの分解斜視図である。
【図4】図2及び図3に示す像触れ補正ユニットに適用されるフレキシブル配線基板を示す斜視図である。
【図5】図2及び図3に適用されたフレキシブル配線基板を示すものであり、(a)は折り曲げ加工を施す前の展開平面図であり、(b)は折り曲げ加工を施した状態での平面図である。
【図6】本発明に係るフレキシブル配線基板の他の実施形態を示すものであり、(a)は折り曲げ加工を施す前のフレキシブル配線基板の展開平面図であり、(b)は折り曲げ加工を施した状態でのフレキシブル配線基板の平面図である。
【図7】本発明に係るフレキシブル配線基板のさらに他の実施形態を示すものであり、(a)は折り曲げ加工を施す前のフレキシブル配線基板の展開平面図であり、(b)は折り曲げ加工を施した状態でのフレキシブル配線基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この光学装置は、図1に示すように、固定要素としてのケース1、光軸L1を直角方向に進む光軸L2に光路変更するべくケース1に固定されたプリズム2、ケース1に固定されたレンズG1、レンズG2を保持し光軸L2方向に駆動される可動レンズ群3、レンズ光学系(レンズG3,G4,G5)を保持し光軸L2方向に駆動される可動要素としての像振れ補正ユニットU、像振れ補正ユニットUに端部領域が接続された配線要素としてのフレキシブル配線基板60、ケース1に固定されたレンズG6、ケース1に固定されたフィルタ4、ケース1に固定された撮像素子としてのCCD5、ケース1に設けられて可動レンズ群3を光軸L2方向に駆動する駆動ユニット(不図示)、ケース1に設けられて像振れ補正ユニットUを光軸L2方向に駆動する駆動ユニット(不図示)、ケース1に固定された第1接続要素(固定要素)としての制御ユニット(不図示)等を備えている。
【0013】
像振れ補正ユニットUは、図2及び図3に示すように、固定枠10、カバー枠20、可動枠30、第1駆動機構40(第1駆動磁石41,第2接続要素としての第1コイル42,及び第1ヨーク43,44)、第2駆動機構50(第2駆動磁石51,第2接続要素としての第2コイル52,及び第2ヨーク53,54)、復帰磁石70(第1復帰磁石71、第2復帰磁石72)、磁気センサ80(第1磁気センサ81、第2磁気センサ82)等を備えている。
そして、第2接続要素(可動要素)としての第1コイル42及び第2コイル52に対してフレキシブル配線基板60が接続されている。尚、磁気センサ80(81,82)についても、同様のフレキシブル配線基板が接続されているが、同様の構成であるため省略する。
【0014】
固定枠10は、図2及び図3に示すように、光軸L2方向に略扁平で、光軸L2を中心とする開口部11、光軸L2方向に伸長するガイドシャフトが挿入される被ガイド部12,13、駆動ユニットに含まれるリードスクリューに螺合されたナットが当接する当接部14等を備えている。
そして、固定枠10には、図3に示すように、開口部11の両側において、第1駆動磁石41及び第1ヨーク43と第2駆動磁石51及び第2ヨーク53が嵌合して固定されている。
【0015】
カバー枠20は、図3に示すように、光軸L2方向において可動枠30を挟み込むように配置されて固定枠10にネジBにより固定されており、その中央において円形状の切り欠き部21を備えている。
そして、カバー枠20には、切り欠き部21の両側において、第1磁気センサ81と第2磁気センサ82が嵌合して固定されている。
【0016】
可動枠30は、図3に示すように、光軸L2方向に一部を除いて略扁平で、光軸L2を中心としレンズG3,G4,G5を保持する円筒状の保持部31を備えている。
そして、可動枠30には、保持部31の両側において、第1コイル42及び第1復帰磁石71と、第2コイル52及び第2復帰磁石72が嵌合して固定されている。
また、可動枠30は、固定枠10とカバー枠20に挟まれて、光軸L2に垂直な平面内で、支持機構(例えば、摺動面、複数のボール等)により所定の範囲内を移動自在に支持されている。
【0017】
第1駆動機構40と第2駆動機構50は、第1コイル42及び第2コイル52への通電を制御することにより、第1コイル42と第1駆動磁石41との間に生じる磁気回路及び第2コイル52と第2駆動磁石51との間に生じる磁気回路により、可動枠30を光軸L2に垂直な平面内で駆動する駆動力を生じるようになっている。
第1復帰磁石71と第2復帰磁石72は、それぞれ対向する第1駆動磁石41と第2駆動磁石51との間に生じる磁気的吸引及び反発作用により、休止状態において、可動枠30を中心位置(レンズG3,G4,G5の光軸L2が開口部11の中心と一致する位置)に復帰させる(センタリングする)ようになっている。
第1磁気センサ81は、対向して配置された第1復帰磁石71の相対的な移動により、可動枠30の位置を検出するようになっている。
第2磁気センサ82は、対向して配置された第2復帰磁石72の相対的な移動により、可動枠30の位置を検出するようになっている。
【0018】
フレキシブル配線基板60は、図3及び図4に示すように、平板状の基部領域61、平板状の端部領域62,63、基部領域61と端部領域62,63を連結すると共に可撓性をもつ平板状の長尺可撓部領域としての複数(ここでは、2つ)の分岐枝64,65、分岐枝65に設けられた折り曲げ部66等を備えている。
【0019】
基部領域61は、ケース1に固定された固定要素である第1接続要素としての制御ユニット等に接続されるようになっている。
端部領域62は、可動要素である像振れ補正ユニットUに含まれる第2接続要素としての第1コイル42に接続されるようになっている。
端部領域63は、可動要素である像振れ補正ユニットUに含まれる第2接続要素としての第2コイル52に接続されるようになっている。
分岐枝64は、基部領域61から直接(折り曲げられることなく)伸長する主分岐枝であり、その先端側において端部領域62を画定している。
分岐枝65は、分岐枝(主分岐枝)64に重ねられる従分岐枝であり、基部領域61の近傍において、2回折り曲げられる折り曲げ部66を含み、この折り曲げ部66によって、分岐枝(主分岐枝)64に折り重ねられるようになっている。
すなわち、分岐枝(主分岐枝)64と分岐枝(従分岐枝)65は、お互いに重なり合って伸長するように形成されている。
【0020】
尚、フレキシブル配線基板60においては、基板の一方の面上においてのみ、基部領域61から分岐枝64を経て端部領域62に至るまで必要に応じた本数のプリント配線が設けられ、又、基部領域61から折り曲げ部66及び分岐枝65を経て端部領域63に至るまで必要に応じた本数のプリント配線が設けられている。
【0021】
フレキシブル配線基板60の製造に際しては、先ず、図5(a)に示すように、基材となる平板状の板材において、打抜き加工等を施して、基部領域61、分岐枝64及び端部領域62、分岐枝65及び端部領域64並びに折り曲げ部66を画定するように形成する。ここで、折り曲げ部66は、全体が湾曲又は屈曲するように形成されると共に、基部領域61の付け根部分に設けられた谷折りライン66a、谷折りライン66aから所定の間隔をあけて設けられた山折りライン66bを含むように形成されている。
そして、折り曲げ部66において、谷折りライン66aに沿って谷折りを施し、続いて、山折りライン66bに沿って山折りを施すことで、図5(b)に示すように、分岐枝(主分岐枝)64に対して分岐枝(従分岐枝)65が折り重ねられる。
ここでは、分岐枝(従分岐枝)65が、基部領域61の近傍において、少なくとも2回折り曲げられる折り曲げ部66を含むため、分岐枝(従分岐枝)65の可撓性を確保しつつも、分岐枝(従分岐枝)65を分岐枝(主分岐枝)64に容易に折り重ねることができる。
【0022】
このように、基部領域61と端部領域62,63とを連結する長尺可撓部領域が複数の分岐枝64,65として形成され、かつ、複数の分岐枝64,65がお互いに重なり合うように伸長して形成されているため、複数のプリント配線を設けつつもフレキシブル配線基板60の幅寸法を小さく(約半分に)抑えることができ、又、それぞれの分岐枝64,65は接合されるのではなく独立しているため、可撓性及び柔軟性を高めることができ、狭いスペースにおいても容易に配設することができる。
したがって、このフレキシブル配線基板60が、固定要素である制御ユニットと可動要素である像振れ補正ユニットUの間に接続されると、その可撓性及び柔軟性が十分確保されて追従性が改善されるため、像振れ補正ユニットUが光軸L2方向に移動する際の負荷を低減することができる。また、このフレキシブル配線基板60をケース1内に収容する際に、配設を容易に行うことができ、又、ケース1の小型化を達成することができる。
【0023】
図6は、本発明に係るフレキシブル配線基板の他の実施形態を示すものである。
この実施形態におけるフレキシブル配線基板160は、図6に示すように、第1接続要素に接続される平板状の基部領域161、基部領域161から分岐して伸長する平板状の長尺可撓部領域としての複数(ここでは、4つ)の分岐枝162,163,164,165、分岐枝162,163,164,165の先端領域にそれぞれ画定されて第2接続要素に接続される平板状の端部領域162a,163a,164a,165a、分岐枝164,165にそれぞれ設けられた折り曲げ部166,167等を備えている。
【0024】
基部領域161は、固定要素である第1接続要素に接続されるようになっている。
端部領域162a,163a,164a,165aは、それぞれ可動要素である第2接続要素に接続されるようになっている。
分岐枝162,163は、基部領域161から直接(折り曲げられることなく)伸長する主分岐枝である。
分岐枝164は、分岐枝(主分岐枝)162に重ねられる従分岐枝であり、基部領域161の近傍において、2回折り曲げられる折り曲げ部166を含み、この折り曲げ部166によって、分岐枝(主分岐枝)162に折り重ねられている。
すなわち、分岐枝(主分岐枝)162と分岐枝(従分岐枝)164は、お互いに重なり合って伸長するように形成されている。
分岐枝165は、分岐枝(主分岐枝)163に重ねられる従分岐枝であり、基部領域161の近傍において、2回折り曲げられる折り曲げ部167を含み、この折り曲げ部167によって、分岐枝(主分岐枝)163に折り重ねられている。
すなわち、分岐枝(主分岐枝)163と分岐枝(従分岐枝)165は、お互いに重なり合って伸長するように形成されている。
【0025】
尚、フレキシブル配線基板160においては、基板の一方の面上においてのみ、基部領域161から分岐枝162を経て端部領域162aに至るまで必要に応じた本数のプリント配線が設けられ、基部領域161から分岐枝163を経て端部領域163aに至るまで必要に応じた本数のプリント配線が設けられ、基部領域161から折り曲げ部166及び分岐枝164を経て端部領域164aに至るまで必要に応じた本数のプリント配線が設けられ、基部領域161から折り曲げ部167及び分岐枝165を経て端部領域165aに至るまで必要に応じた本数のプリント配線が設けられている。
【0026】
フレキシブル配線基板160の製造に際しては、先ず、図6(a)に示すように、基材となる平板状の板材において、打抜き加工等を施して、基部領域161、分岐枝162(及び端部領域162a)、分岐枝163(及び端部領域163a)、分岐枝164(及び端部領域164a)並びに折り曲げ部166、分岐枝165(及び端部領域165a)並びに折り曲げ部167を画定するように形成する。
ここで、折り曲げ部166,167は、全体が湾曲又は屈曲するように形成されると共に、基部領域161の付け根部分に設けられた谷折りライン166a,167a、谷折りライン166a,167aから所定の間隔をあけて設けられた山折りライン166b,167bを含むように形成されている。
【0027】
そして、折り曲げ部166において、谷折りライン166aに沿って谷折りを施し、続いて、山折りライン166bに沿って山折りを施すことで、図6(b)に示すように、分岐枝(主分岐枝)162に対して分岐枝(従分岐枝)164が折り重ねられる。
また、折り曲げ部167において、谷折りライン167aに沿って谷折りを施し、続いて、山折りライン167bに沿って山折りを施すことで、図6(b)に示すように、分岐枝(主分岐枝)163に対して分岐枝(従分岐枝)165が折り重ねられる。
ここでは、従分岐枝164,165が、基部領域161の近傍において、少なくとも2回折り曲げられる折り曲げ部166,167を含むため、分岐枝(従分岐枝)164,165の可撓性を確保しつつ、分岐枝(従分岐枝)164,165を分岐枝(主分岐枝)162,163にそれぞれ容易に折り重ねることができる。
【0028】
このように、基部領域161と端部領域162a,163a,164a,165aとを連結する長尺可撓部領域が複数の分岐枝162,163,164,165として形成され、かつ、複数の分岐枝162,164又は分岐枝163,165がお互いに重なり合うように伸長して形成されているため、複数のプリント配線を設けつつもフレキシブル配線基板160の幅寸法を小さく(約半分に)抑えることができ、又、それぞれの分岐枝162,164又は分岐枝163,165は接合されるのではなく独立しているため、可撓性及び柔軟性を高めることができ、狭いスペースにおいても容易に配設することができる。
したがって、このフレキシブル配線基板160が、光学装置の固定要素と可動要素の間に接続されると、その可撓性及び柔軟性が十分確保されて追従性が改善されるため、可動要素が移動する際の負荷を低減することができる。また、このフレキシブル配線基板160を装置内に収容する際に、配設を容易に行うことができ、又、装置の小型化を達成することができる。
【0029】
図7は、本発明に係るフレキシブル配線基板のさらに他の実施形態を示すものである。
この実施形態におけるフレキシブル配線基板60´は、図7に示すように、平板状の基部領域61´、平板状の端部領域62´,63´、基部領域61´と端部領域62´,63´を連結すると共に可撓性をもつ平板状の長尺可撓部領域としての複数(ここでは、2つ)の分岐枝64,65、分岐枝65に設けられた折り曲げ部66等を備えている。
尚、分岐枝(従分岐枝)65を分岐枝(主分岐枝)64に折り重ねる手順は前述同様であるため、説明を省略する。
【0030】
そして、このフレキシブル配線基板60´は、基部領域61´が可動要素である第1接続要素としてのCCD100に接続され、端部領域62´,63´が固定要素である第2接続要素(例えば、光学装置の制御ユニット等)に接続されるようになっている。
このように、基部領域61´を可動要素に接続し、端部領域62´,63´を固定要素に接続する場合であっても、前述同様に、フレキシブル配線基板60´の可撓性及び柔軟性が十分確保されて追従性が改善されるため、可動要素が移動する際の負荷を低減することができる。また、このフレキシブル配線基板60´を装置内に収容する際に、配設を容易に行うことができ、又、装置の小型化を達成することができる。
【0031】
上記実施形態においては、フレキシブル配線基板60において、主分岐枝として一つの分岐枝64、従分岐枝として一つの分岐枝65を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、従分岐枝として2つ以上の分岐枝を採用してもよい。
上記実施形態においては、フレキシブル配線基板160において、主分岐枝として二つの分岐枝162,163、従分岐枝としてそれぞれ一つの分岐枝164,165を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、分岐枝(主分岐枝)163,164にそれぞれ重ねられる従分岐枝として2つ以上の分岐枝を採用してもよい。また、3つ以上の主分岐枝を採用してもよい。
【0032】
上記実施形態においては、このフレキシブル配線基板が採用される光学装置として、像振れ補正ユニットUを含む光学装置を示したが、これに限定されるものではなく、その他の可動要素を含む光学装置においても適用することができる。
上記実施形態においては、フレキシブル配線基板の基部領域が固定要素に接続され、端部領域が可動要素に接続される場合、又は、フレキシブル配線基板の基部領域が可動要素に接続され、端部領域が固定要素に接続される場合を示したが、これに限定されるものではなく、基部領域と端部領域が共に固定要素だけ又は可動要素だけに接続されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上述べたように、本発明のフレキシブル配線基板は、複数のプリント配線を設けつつ、可撓性、柔軟性を改善でき、狭いスペースに容易に配設することができるため、小型化が要求される光学装置等に適用できるのは勿論のこと、その他の電気的接続を必要としかつ小型化が要求される電子機器等に有用である。
【符号の説明】
【0034】
L1,L2 光軸
G1,G2,G3,G4,G5,G6 レンズ
1 ケース(固定要素、第1接続要素)
2 プリズム
3 可動レンズ群
4 フィルタ
5,100 CCD
U 像触れ補正ユニット(可動要素)
10 固定枠
11 開口部
12,13 被ガイド部
14 当接部
20 カバー枠
21 切り欠き部
30 可動枠
31 保持部
40 第1駆動機構
41 第1駆動磁石
42 第1コイル(第2接続要素)
43,44 第1ヨーク
50 第2駆動機構
51 第2駆動磁石
52 第2コイル(第2接続要素)
53,54 第2ヨーク
60,60´,160 フレキシブル配線基板
61,61´,161 基部領域
62,62´,63,63´,162a,163a,164a,165a 端部領域
64,162,163 分岐枝(主分岐枝)
65,164,165 分岐枝(従分岐枝)
66,166,167 折り曲げ部
66a,166a,167a 谷折りライン
66b,166b,167b 山折りライン
70 復帰磁石
71 第1復帰磁石
72 第2復帰磁石
80 磁気センサ
81 第1磁気センサ
82 第2磁気センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続要素に接続される平板状の基部領域と、第2接続要素に接続される平板状の端部領域と、前記基部領域と前記端部領域を連結すると共に可撓性をもつ平板状の長尺可撓部領域と、を備えるフレキシブル配線基板であって、
前記長尺可撓部領域は、前記基部領域から分岐して伸長すると共に前記端部領域をそれぞれ画定する複数の分岐枝からなり、
前記複数の分岐枝は、お互いに重なり合って伸長するように形成されている、
ことを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項2】
前記複数の分岐枝は、前記基部領域から直接伸長する少なくとも一つの主分岐枝と、前記主分岐枝に折り重ねられる少なくとも一つの従分岐枝を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項3】
前記基部領域、前記端部領域、及び前記長尺可撓領域には、片面にのみプリント配線が設けられており、
前記従分岐枝は、前記基部領域の近傍において、少なくとも2回折り曲げられる折り曲げ部を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項4】
固定要素と、レンズ光学系を含む可動要素と、前記固定要素と前記可動要素の間に接続される配線要素とを備えた、光学装置であって、
前記配線要素は、請求項1ないし3のいずれか一つに記載のフレキシブル配線基板である、
ことを特徴とする光学装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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