説明

フレキシブル金属積層体

【課題】幅方向の端部における厚みを厚くすることにより、フレキシブル金属積層体の強度を増すことにより、加工において破断が発生しない、ハンドリングが良好なフレキシブル金属積層体を提供すること。
【解決手段】樹脂層と金属が積層された積層体において、積層体の幅方向における両端より30mmの範囲の厚み(t1)が、幅方向における中心部の厚み(t2)よりも大きく、なおかつ、t1とt2の比(t1/t2)が1より大きく10以下であることを特徴とするフレキシブル金属積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に電子機器内で使用される樹脂層と金属層で構成されるフレキシブル金属積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル金属積層体は、カメラ、携帯電話、パソコンなどの電子機器に幅広く使用されている。例えば携帯電話の場合、小型薄膜化、TV機能搭載、GPS機能搭載など、サイズの薄膜化が加速され、なおかつ、多機能部品が搭載される傾向にある。そのため、使用される部品の小型化、薄型化が進んでおり、これらの部品を搭載あるいは接続するために使用されているフレキシブル金属積層体においても、薄型化が進んでいる。フレキシブル金属積層体が薄型化されることにより、携帯電話の中では次に示されるような利点がある。最近の携帯電話は折りたたみタイプが主流であり、折りたたみ部を接続している配線にフレキシブル金属積層体が使用されている。この折りたたみ配線は、厚みが薄い程屈曲特性が向上(何回屈曲させたら、配線が破断するか)することが一般的である。そのため、携帯電話の折りたたみ配線部には、薄型のフレキシブル金属積層体が使用されているケースが多い。
【0003】
ところが、フレキシブル金属積層体を薄型化していくと、加工工程においてハンドリング性が非常に困難になる。ハンドリング性が困難というのは、具体的には、薄型化のために強度が弱くなり、加工時に材料が破断する現象が発生すること等をいう。このため、薄型のフレキシブル金属積層体を加工する場合は、ライン速度を遅くするなどを行い、材料が破断しないように慎重に加工を行っており、生産性が非常に悪く、また、それでも破断が発生して収率の悪化が顕著であった。
【非特許文献1】液晶・小型電子機器用フレキシブル基板開発の最前線(ISS産業科学システムズ:ISSEC PWB新技術フォーラム論文集 2003年11月19日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブル金属積層体において、幅方向の端部における厚みを厚くすることにより、フレキシブル金属積層体の強度を増すことにより、加工において破断が発生しない、ハンドリングが良好なフレキシブル金属積層体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、フレキシブル金属積層体において幅方向の端部における厚みを厚くすることにより、フレキシブル金属積層体の強度が向上することを見出し、加工において破断が発生しないフレキシブル金属積層体が得られ、本発明を完成した。
【0006】
即ち本発明は、
(1)樹脂層と金属が積層された積層体において、積層体の幅方向における両端より30mmの範囲の厚み(t1)が、幅方向における中心部の厚み(t2)よりも大きく、なおかつ、t1とt2の比(t1/t2)が1より大きく10以下であることを特徴とするフレキシブル金属積層体、好ましくは
(2)樹脂層が複数層からなるものであり、少なくともその中の一層の厚みを変化させたものである(1)記載のフレキシブル金属積層体、また好ましくは
(3)金属層が複数層からなるものであり、少なくともその中の一層の厚みを変化させたものである(1)あるいは(2)記載のフレキシブル金属積層体、
(4)幅方向における中心部の厚み(t2)が、10μm〜100μmである(1)〜(3)記載のフレキシブル金属積層体に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
フレキシブル金属積層体において幅方向の端部における厚みを厚くすることにより、フレキシブル金属積層体の強度が向上することを見出し、加工において破断が発生しないフレキシブル金属積層体が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、樹脂層と金属が積層された積層体において、積層体の幅方向における両端より30mmの範囲の厚み(t1)が、幅方向における中心部の厚み(t2)よりも大きく、なおかつ、t1とt2の比(t1/t2)が1より大きく10以下であることを特徴とするフレキシブル金属積層体である。本発明においては、少なくとも積層体の幅方向における両端より30mmの部分での厚み(t1)と幅方向の中心部の厚み(t2)の比が上記範囲内であれば本発明に包含される。t1とt2の比が1より大きいと基材のハンドリング時の端部の亀裂を防ぐことができ、結果として収率を上げることができる。また10以下にすることにより銅箔の製造が容易になり製造コストを上げずに収率を上げることができる。本発明においては、幅方向における中心部の厚み(t2)が薄い場合に効果を得ることができ、t2の厚みは金属層、樹脂層それぞれの厚みにより特に限定されないが、好ましくは10μm〜100μmであり、より好ましくは15μm〜80μm、さらに好ましくは15μm〜50μmである。
【0009】
本発明において積層体の幅は上記条件を満たすのに充分な幅であれば特に限定されないが、好ましくは150mm〜400mmであり、より好ましくは250mm程度である。
【0010】
フレキシブル金属積層体の幅方向における両端からの厚みが大きい部分は、端面から50mm以内、好ましくは40mm以内、より好ましくは30mm以内であり、このようにすることにより、加工できる面積が増え、単位面積あたりの取り数が増大する。
【0011】
本発明の積層体の構成は、好ましくは金属層が複数層からなるものであり、少なくともその中の一層の厚みを変化させたものであることが好ましい。このような厚みの変化を持つフレキシブル金属積層体の具体的な構造は、例えば図1に示すとおりであり、この製造方法は、例えば、金属箔の厚みを端部と中心部で変えることにより、製造することが可能である。端部厚みの異なる金属箔は、予め金属箔の片面に0.1μm以上5μm以下、好ましくは0.5以上2μm以下の厚みで樹脂層が形成された片面金属積層体を200〜400℃好ましくは280〜350℃で中心部分とその両端に異なる厚みの金属箔を積層させ、ラミネートして製造することができる。
【0012】
図1に示される金属層1、金属層2の材質は、特に限定はないが、好ましい例としては銅箔、ステンレス、及びこれらの合金等であり、具体的には銅箔の場合は圧延銅箔、電解銅箔が挙げられる。また、金属層1及び金属層2の厚さは、0.1μm以上100μm以下、好ましくは0.1μm以上50μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、これらは、それぞれ同じ厚みでも異なる厚みでもよい。金属層1,2の厚みがより薄い場合に、積層体のハンドリングが悪くなるため、本発明のような積層体構造とすることにより効果を得ることができる。金属層3A、金属層3Bの材質は、特に限定はないが、好ましい例としては銅箔、ステンレス、及びこれらの合金等であり、中心部の金属箔2と同じ材質であることが好ましい。金属層3A、金属層3Bの厚みは10μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下である。これらの厚みは、積層体とした場合の幅方向における両端より30mmの範囲の厚みと幅方向における中心部での厚みが本発明の範囲内になるようにコントロールされることが重要である。
【0013】
また、図1における金属層に積層する樹脂層は、単層でも構わないが、好ましくは複数層形成されているものであり、樹脂層1、樹脂層2、樹脂層3が設けられることが好ましい。その場合、樹脂層1と樹脂層3は特に限定はないが、具体的には熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、使用できる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系、ポリエーテルイミド系、ポリエーテル系、エポキシ系、アクリル系等が挙げられる。好ましくは、ポリイミド系である。
【0014】
好ましい熱可塑性ポリイミド樹脂としては、原料としてジアミンと酸二無水物を使用したものであり、好ましいジアミンの例として、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)アミノフェノキシ)ベンゼン等、好ましい酸二無水物として、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等が挙げられる。
【0015】
樹脂層2は特に限定はないが、具体的には非熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。使用できる非熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系、ポリエーテルイミド系、ポリエーテル系、エポキシ系、アクリル系等が挙げられる。好ましくは、ポリイミド系である。好ましい非熱可塑性ポリイミド樹脂としては、原料としてジアミンと酸二無水物を使用したものであり、好ましいジアミンの例として、パラフェニレンジアミン、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられ、好ましい酸二無水物として、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等が挙げられる。
【0016】
また、樹脂層2には非熱可塑性ポリイミドフィルムが用いられることも好ましく、具体的な非熱可塑性ポリイミドフィルムとして、非熱可塑性ポリイミドフィルム(宇部興産(株)社製、Upilex(登録商標)シリーズ)、非熱可塑性ポリイミドフィルム((株)カネカ製、Apical(登録商標)シリーズ)、非熱可塑性ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)社製、Kapton(登録商標)シリーズ)等が挙げられる。
【0017】
図1において、樹脂層1と樹脂層2と樹脂層3を合計した厚みは、通常3μm以上100μm以下、好ましくは3μm以上50μm以下、より好ましくは3μm以上30μm以下である。
【0018】
また、本発明の積層体おいて、樹脂層が複数層からなるものであり、少なくともその中の一層の厚みを変化させたものも好ましい態様である。その場合の金属積層体の一例を図2に示す。図2に示される金属層1の材質は、特に限定はないが、好ましい例としては銅箔、ステンレス、及びこれらの合金等であり、具体的には銅箔の場合は圧延銅箔、電解銅箔が挙げられる。また、金属層の厚さは、0.1μm以上100μm以下、好ましくは0.1μm以上50μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。また、図2における金属層に積層する樹脂層は、複数層形成されているものであり、樹脂層1、樹脂層2、樹脂層3、樹脂層4A、樹脂層4Bが設けられることが好ましい。その場合、樹脂層1と樹脂層3は特に限定はないが、具体的には熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、使用できる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系、ポリエーテルイミド系、ポリエーテル系、エポキシ系、アクリル系等が挙げられる。好ましくは、ポリイミド系である。
【0019】
好ましい熱可塑性ポリイミド樹脂としては、原料としてジアミンと酸二無水物を使用したものであり、好ましいジアミンの例として、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)アミノフェノキシ)ベンゼン等、好ましい酸二無水物として、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等が挙げられる。
【0020】
樹脂層2は特に限定はないが、具体的には非熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。使用できる非熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系、ポリエーテルイミド系、ポリエーテル系、エポキシ系、アクリル系等が挙げられる。好ましくは、ポリイミド系である。好ましい非熱可塑性ポリイミド樹脂としては、原料としてジアミンと酸二無水物を使用したものであり、好ましいジアミンの例として、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられ、好ましい酸二無水物として、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等が挙げられる。
【0021】
また、樹脂層2には非熱可塑性ポリイミドフィルムが用いられることも好ましく、具体的な非熱可塑性ポリイミドフィルムとして、非熱可塑性ポリイミドフィルム(宇部興産社製、Upilex(登録商標)シリーズ)、非熱可塑性ポリイミドフィルム((株)カネカ製、Apical(登録商標)シリーズ)、非熱可塑性ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、Kapton(登録商標)シリーズ)等が挙げられる。
【0022】
樹脂層4A、樹脂層4Bは特に限定はなく、樹脂層1、樹脂層2、樹脂層3で使用される樹脂と同種のものを用いることが好ましく、特に好ましいのはポリイミド系樹脂である。
【0023】
図2において、樹脂層1と樹脂層2と樹脂層3を合計した厚みは、好ましくは3μm以上100μm以下、好ましくは3μm以上50μm以下、より好ましくは3μm以上30μm以下である。本発明は、積層体の樹脂層が薄い場合のハンドリングの悪さの解決のためになされたものであるから、本発明の効果を得るためにはある程度樹脂層が薄いことが必要である。また、樹脂層4A、樹脂層4Bの厚みは10μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上80μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下である。これらの厚みは、積層体とした場合の幅方向における両端より30mmの範囲の厚みと幅方向における中心部での厚みが本発明の範囲内になるようにコントロールされることが重要である。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を、実施例によりさら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
合成例1:非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成
ジアミン成分として、パラフェニレンジアミンを7.7モル、4,4’−オキシジアニリンを1.15モル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルを1.15モル秤量した。テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を5.4モル、ピロメリット酸二無水物を4.45モル秤量した。N,N−ジメチルアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドン混合溶媒に溶解し混合した。溶媒の比率は、前者23重量%、後者77重量%であった。反応温度、時間は、23℃、6時間であり、非熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液を得た。
【0025】
合成例2:熱可塑性ポリイミド前駆体の合成
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド855gを加え、これに1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン69.16gを加え、溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物75.84gを加え、60℃において撹拌を行い、ポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸の含有率が15重量%であった。
【0026】
実施例1
市販の銅箔(オーリン製キャリア付き極薄銅箔XTF−5μm)に、合成例2で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液をロールコーターにより、乾燥後の厚みが2μmになるように塗工を行った。当該樹脂層の上に、合成例1で得られた非熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液を、ダイコーターにより、乾燥後の厚さが6μmになるように塗工を行った。更に、当該樹脂層の上に合成例2で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液をロールコーターにより、乾燥後の厚みが2μmになるように塗工を行った。当該塗工により、得られた樹脂層の厚みは10μmとなった。当該塗工において得られた銅箔樹脂積層体の樹脂側に、市販の銅箔(オーリン製キャリア付き極薄銅箔XTF−5μm)をロールラミネーターにより240℃で圧力1.5MPaの条件で、両側にそれぞれ50mmずつ樹脂層を残すように張り合わせた。その後、両面に張られているキャリア銅箔を剥し、銅箔5μm、樹脂層10μm、銅箔5μm、合計20μm厚みのフレキシブル金属積層体を得た。次に、両側にそれぞれ樹脂層として残った50mm部分の2箇所に対して、市販の圧延銅箔(ジャパンエナジー製BHY−22B−T 35μm)50mm幅をロールラミネーターにより240℃で圧力1.5MPaの条件で、張り合わせた。次にバッチ式のオートクレーブにて温度280℃で4時間窒素雰囲気下でアニールを行い、両端の厚みが中心部の厚みよりも大きいポリイミドフレキシブル金属箔積層体を得た。得られたポリイミドフレキシブル金属積層体の幅方向における厚みは、両端から30mm中に入った部分は55μm、中心部では20μmであった。当該フレキシブル金属積層体を回路加工を行うために、エッチングラインに投入したが、特に破断などのトラブルは発生しなかった。
【0027】
実施例2
市販の銅箔(オーリン製キャリア付き極薄銅箔XTF−5μm)に、合成例2で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液をロールコーターにより、乾燥後の厚みが2μmになるように塗工を行った。当該樹脂層の上に、合成例1で得られた非熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液を、ダイコーターにより、乾燥後の厚さが6μmになるように塗工を行った。更に、当該樹脂層の上に合成例2で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液をロールコーターにより、乾燥後の厚みが2μmになるように塗工を行った。当該塗工により、得られた樹脂層の厚みは10μmとなった。さらに、当該樹脂層の両端から50mmの部分に対して、ダイコーターにより、乾燥後の厚みが20μmなるように塗工を行った。当該塗工において得られたポリイミドフレキシブル金属積層体の幅方向における厚みは、両端から30mm中に入った部分は35μm、中心部は15μmであった。当該フレキシブル金属積層体を回路加工を行うために、エッチングラインに投入したが、特に破断などのトラブルは発生しなかった。
【0028】
比較例1
市販の銅箔(オーリン製キャリア付き極薄銅箔XTF−5μm)に、合成例2で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液をロールコーターにより、乾燥後の厚みが2μmになるように塗工を行った。当該樹脂層の上に、合成例1で得られた非熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液を、ダイコーターにより、乾燥後の厚さが6μmになるように塗工を行った。更に、当該樹脂層の上に合成例2で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液をロールコーターにより、乾燥後の厚みが2μmになるように塗工を行った。当該塗工により、得られた樹脂層の厚みは10μmとなった。当該塗工において得られた銅箔樹脂積層体の樹脂側に、市販の銅箔(オーリン製キャリア付き極薄銅箔XTF−5μm)をロールラミネーターにより240℃で圧力1.5MPaの条件で張り合わせた。その後、両面に張られているキャリア銅箔を剥し、銅箔5μm、樹脂層10μm、銅箔5μm、合計20μm厚みのフレキシブル金属積層体を得た。当該フレキシブル金属積層体を回路加工を行うために、エッチングラインに投入したが、強度が非常に弱く破断などのトラブルが発生した。
【0029】
比較例2
市販の銅箔(オーリン製キャリア付き極薄銅箔XTF−5μm)に、合成例2で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液をロールコーターにより、乾燥後の厚みが2μmになるように塗工を行った。当該樹脂層の上に、合成例1で得られた非熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液を、ダイコーターにより、乾燥後の厚さが6μmになるように塗工を行った。更に、当該樹脂層の上に合成例2で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液をロールコーターにより、乾燥後の厚みが2μmになるように塗工を行った。当該塗工において得られたポリイミドフレキシブル金属積層体の厚みは15μmであった。当該フレキシブル金属積層体を回路加工を行うために、エッチングラインに投入したが、強度が非常に弱く破断などのトラブルが発生した。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のフレキシブル金属積層体は、回路パターン加工された後に携帯電話などの電子機器類に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例の一形態である。
【図2】本発明の実施例の一形態である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層と金属が積層された積層体において、積層体の幅方向における両端より30mmの範囲の厚み(t1)が、幅方向における中心部の厚み(t2)よりも大きく、なおかつ、t1とt2の比(t1/t2)が1より大きく10以下であることを特徴とするフレキシブル金属積層体。
【請求項2】
樹脂層が複数層からなるものであり、少なくともその中の一層の厚みを変化させたものである請求項1記載のフレキシブル金属積層体。
【請求項3】
金属層が複数層からなるものであり、少なくともその中の一層の厚みを変化させたものである請求項1あるいは2記載のフレキシブル金属積層体。
【請求項4】
幅方向における中心部の厚み(t2)が、10μm〜100μmである請求項1〜3記載のフレキシブル金属積層体。

【図1】
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【図2】
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