説明

フレーク状油脂含有即席加工食品の製造方法

【課題】ブロック状油脂含有即席加工食品をフレーク状に粉砕する際、粉砕機の負荷を低減し、効率よく容易に粉砕することができるフレーク状油脂含有即席加工食品の製造方法を提供すること。
【解決手段】トリグリセリン脂肪酸エステルを含有するブロック状油脂含有即席加工食品を粉砕することを特徴とするフレーク状油脂含有即席加工食品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーク状油脂含有即席加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油脂含有即席加工食品としては、油脂、澱粉、調味料を含む原材料を混合した後、成形容器に充填して固めたカレールウ、シチュールウ等に代表されるブロック状油脂含有即席加工食品が知られている。また、上記した原材料を押出造粒等により造粒した顆粒状油脂含有即席加工食品、上記したブロック状油脂含有即席加工食品を粉砕機等により粉砕したフレーク状油脂含有即席加工食品も知られている。これらの油脂含有即席加工食品は、熱水に溶かしカレー、シチュー、ハヤシライス等にして食されている。
【0003】
ブロック状油脂含有即席加工食品を粉砕して製造するフレーク状油脂含有即席加工食品は、溶解性、ハンドリング性も良く好ましいものであるが、その製造途中で粉砕工程が必要となる。ブロック状油脂含有即席加工食品が固い場合、粉砕機に負荷がかかると同時に粉砕の効率が悪くなる。またブロック状油脂含有即席加工食品が軟らかい場合、練られて上手く粉砕することができないという問題がある。
【0004】
フレーク状油脂含有即席加工食品に関する従来技術としては、小麦粉等の穀粉、調味料類、及び40℃でのSFIが55以上75以下の硬化油を含む原料に対し、HLBが5以下であって、構成脂肪酸が炭素数18〜22の不飽和脂肪酸である蔗糖脂肪酸エステルを配合してなるフレーク、顆粒等の形態の即席調理ソース(特許文献1参照)、25℃におけるSFCが70%以上であり、45℃におけるSFCと25℃におけるSFCとの差が60%以下であり、かつ、初期温度を60℃に設定し、40℃の雰囲気下で20分間放置した後の油脂の固形分が10%以下である植物性油脂を含むことを特徴とする即席調理食品(特許文献2参照)、少なくとも澱粉系原料として、小麦粉20〜40重量%、及び澱粉A(馬鈴薯澱粉及び/又はタピオカ澱粉)1〜15重量%を用い、これらを含む原料を仕上げのために加熱処理した後、フレーク状にすることを特徴とするフレーク状ルウ素材の製造方法(特許文献3参照)等が開示されている。
しかし、上記の技術では、ブロック状油脂含有即席加工食品をフレーク状に粉砕する工程で問題となる粉砕機の負荷低減や、効率よく容易に粉砕するという課題を解決するには至っておらず、更により良い方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−163319号公報
【特許文献2】特開2003−204774号公報
【特許文献3】特開2001−252055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、粉砕機の負荷を低減し、効率よく容易に粉砕することができるフレーク状油脂含有即席加工食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、トリグリセリン脂肪酸エステルを含有するブロック状油脂含有即席加工食品を粉砕することを特徴とするフレーク状油脂含有即席加工食品の製造方法、によって上記課題を解決すること見出し本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によって、ブロック状油脂含有即席加工食品をフレーク状に粉砕する際、ブロック状油脂含有即席加工食品を破断する際の仕事量を低減することにより粉砕機の負荷を低減し、効率よく容易に粉砕することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いられるトリグリセリン脂肪酸エステルは、トリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応生成物であり、エステル化反応等自体公知の方法で製造され得る。
【0010】
上記したトリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられるトリグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸(例えば、濃硫酸、p−トルエンスルホン酸等)又はアルカリ(例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等)を触媒として添加し、窒素又は二酸化炭素等の任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られるグリセリンの平均重合度が約2.5〜3.4、好ましくは平均重合度が約3.0のトリグリセリン混合物が挙げられる。また、トリグリセリンはグリシドール又はエピクロルヒドリン等を原料として得られるものであっても良い。反応終了後、所望により中和、脱塩、脱色等の処理を行ってよい。
【0011】
上記したトリグリセリン混合物としては、例えば蒸留又はカラムクロマトグラフィー等自体公知の方法を用いて精製し、グリセリン3分子からなるトリグリセリンを約50質量%以上、好ましくは約85質量%以上に高濃度化した高純度トリグリセリンが好ましく用いられる。
【0012】
トリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられる脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等)又は不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、リシノール酸、縮合リシノール酸等)が挙げられる。
【0013】
トリグリセリン脂肪酸エステルとして好ましくは、モノエステル体の含有量が約50質量%以上、好ましくは約70質量%以上且つ水酸基価が200以上であるトリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0014】
ここで水酸基価は、「基準油脂分析試験法(I)」(社会法人 日本油化学会編)の[2.3.6−1996 ヒドロキシル価]に従って測定される。
【0015】
このような組成のトリグリセリン脂肪酸エステルの製法の概略は以下の通りである。
例えば、撹拌機、加熱用のジャケット、邪魔板等を備えた通常の反応容器に、トリグリセリンと脂肪酸(例えば、パルミチン酸)を約1:1のモル比で仕込み、通常触媒として水酸化ナトリウムを加えて撹拌混合し、窒素ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で加熱する。反応温度は通常、約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃の範囲である。また、反応圧力条件は減圧下又は常圧下で、反応時間は約0.5〜15時間、好ましくは約1〜3時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、約12以下を目安に決められる。得られた反応液は、未反応の脂肪酸、未反応のトリグリセリン、トリグリセリンモノ脂肪酸エステル、トリグリセリンジ脂肪酸エステル、トリグリセリントリ脂肪酸エステル、トリグリセリンテトラ脂肪酸エステル及びトリグリセリンペンタ脂肪酸等を含む混合物である。
【0016】
エステル化反応終了後、反応混合物中に残存する触媒を中和する。その際、エステル化反応の温度が約200℃以上の場合は液温を約180〜200℃に冷却してから中和処理を行うのが好ましい。また反応温度が約200℃以下の場合は、そのままの温度で中和処理を行ってよい。中和後、上記反応混合物を、必要なら冷却して、約100〜180℃、好ましくは約130〜150℃に保ち、好ましくは約0.5時間以上、更に好ましくは約1〜10時間放置する。未反応のトリグリセリンが下層に分離した場合はそれを除去するのが好ましい。
【0017】
上記処理により得られたトリグリセリン脂肪酸エステルを、好ましくは、更に減圧下で蒸留して残存する未反応のトリグリセリンを留去し、続いて、例えば流下薄膜式分子蒸留装置又は遠心式分子蒸留装置等を用いて分子蒸留するか、又はカラムクロマトグラフィーもしくは溶液抽出等自体公知の方法を用いて精製することにより、モノエステル体を約70質量%以上含むトリグリセリン脂肪酸エステルを得ることができる。
【0018】
トリグリセリン脂肪酸エステルの形態としては、特に制限はなく、例えば粉末状、顆粒状、ペースト状等が挙げられる。
【0019】
トリグリセリン脂肪酸エステルの添加量としては、即席加工食品中の約0.05〜5.0質量%であり、好ましくは約0.1〜3.0質量%である。トリグリセリン脂肪酸エステルの添加量が上記範囲内であると、本発明の効果が発揮され好ましい。
【0020】
本発明でいうブロック状油脂含有即席加工食品とは、小麦粉等の穀粉類、食用油脂、調味料類の原材料を主成分とするブロック状の調理用ソースの素である。調理用ソースとしては、例えば、カレー、シチュー、ハヤシ、ベシャメルソース、デミグラスソース、ホワイトソース、各種スープ類等が代表的なものとして挙げられるが、これに限らず、前記成分構成のもの及びその類似製品をも包含するものである。これらのカレー、シチュー等の調理用ソースの素は、水、湯、スープ等で溶いて、野菜類、肉類等の具材と併せて煮込むことにより、そのまま食用可能なカレー、シチュー等の形に簡便に調理することができる。また、調理用ソースの素は、家庭用及び業務用を問わず調理素材として様々な料理に用いることができる。
【0021】
上記した穀粉類としては、例えば小麦粉、米粉、バレイショ澱粉、小麦澱粉等が挙げられ、1種類又は2種類以上の混合物として使用することができる。穀粉類の配合量としては、ブロック状油脂含有即席加工食品中、好ましくは約20〜50質量%、更に好ましくは約25〜40質量%である。上記範囲内であると、調理用ソースにした際の食感が良好であるため好ましい。
【0022】
上記した食用油脂としては、食用に適した油脂が用いられ、例えば、牛脂、豚脂、鶏脂、魚油等の動物性油脂及びこれらの硬化油、大豆油、コーン油、菜種油、こめ油、ヤシ油、パーム油等の植物性油脂及びこれらの硬化油等が挙げられる。好ましくは牛脂、豚脂、パーム硬化油等である。これらは1種類又は2種類以上の混合物として使用することができる。
油脂の融点に特に制限はないが、喫食時の味やテクスチャーを考慮すると融点50℃以下が好ましい。
食用油脂の配合量としては、ブロック状油脂含有即席加工食品中、好ましくは約10〜50質量%、更に好ましくは約20〜40質量%である。上記範囲内であると、調理用ソースにした際に流動性が得られ、かつコクを付与するため好ましい。
【0023】
上記した調味料類としては、通常、カレー、シチュー等の調理用ソースに使用されるものであれば特に制限はなく、食塩、砂糖、旨味調味料、カレー粉、香辛料、香味野菜、エキス原料、乳製品等を含め、いわゆる調味を目的として使用されるものは全て含まれる。これら調味料類の形状に特に制限はないが、粉末の調味料類が好ましい。
調味料類の配合量としては、ブロック状油脂含有即席加工食品中に好ましくは約10〜60質量%、更に好ましくは約20〜50質量%である。上記範囲内であると、調理用ソースにした際の風味が良好であるため好ましい。
【0024】
ブロック状油脂含有即席加工食品には、本発明の目的を阻害しない範囲で任意の物質を添加することができ、例えば、酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、L−アスコルビン酸等)、保存料(ソルビン酸カリウム、デヒド酢酸ナトリウム、ヒノキチオール等)、着色料(カラメル、β−カロテン、クチナシ黄色色素、パプリカ色素等)、乳化剤、香料等が挙げられる。
【0025】
上記乳化剤としては、例えばモノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(トリグリセリン脂肪酸エステルを除く)、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルベート等が挙げられる。
【0026】
本発明のフレーク状油脂含有即席加工食品の製造方法は、下記工程を含むことにより達成される。
工程1:穀粉類、食用油脂、及び調味料類等の原材料とトリグリセリン脂肪酸エステルとを混合する工程。
工程2:工程1の混合物を冷却してブロック状油脂含有即席加工食品を作製する工程。
工程3:ブロック状油脂含有即席加工食品を破砕する工程。
【0027】
[工程1]
工程1では、トリグリセリン脂肪酸エステル、食用油脂、穀粉類、調味料類等を混合して均一にすればよい。トリグリセリン脂肪酸エステルの添加時期については特に制限することはないが、油脂に混合若しくは油脂と同時に添加することが好ましい。
【0028】
工程1の具体的な例としては、食用油脂とトリグリセリン脂肪酸エステルとを加熱しながら均一に混合して溶解し、次いで食用油脂とトリグリセリン脂肪酸エステルとの混合物と穀粉類とを加熱混合してルウを作製した後に、調味料類等を加える方法が挙げられる。
【0029】
上記した食用油脂とトリグリセリン脂肪酸エステルとを加熱しながら均一に混合して溶解する方法としては、公知の加熱装置を備えた混合機で行えばよく、その際の条件としては約80〜110℃で約10分〜1時間行うことが好ましい。また、食用油脂とトリグリセリン脂肪酸エステルとの混合物と穀粉類とを加熱混合する方法としては、公知の加熱装置を備えた混合機等で行えばよく、その際の条件としては約80〜150℃、好ましくは約90〜130℃で、約5〜60分加熱混合することが好ましい。
【0030】
前記の公知の加熱装置を備えた混合機としては、例えば、煮炊撹拌機、クッキングミキサー、ニーダー、ロータリーフライヤーなどが挙げられる。実験室用の小型機では卓上加熱撹拌機、小型ニーダー等が挙げられる。加熱装置の熱源としては、例えばガスによる直火、電気式、電磁誘導式、ジャケット式の蒸気式等が挙げられる。
【0031】
[工程2]
工程2では、工程1の混合物を冷却して固化することによりブロック状油脂含有即席加工食品を作製する。例えば、工程1の混合物を、約50〜60℃まで自然冷却した後に、目的とするブロック状の型に流し込み、更に約0〜15℃に設定した冷蔵庫又は恒温槽等で約0〜25℃まで冷却してブロック状油脂含有即席加工食品が得る方法が挙げられる。
【0032】
[工程3]
工程3では、ブロック状油脂含有即席加工食品を粉砕してフレーク状油脂含有即席加工食品を作製する。ブロック状油脂含有即席加工食品を粉砕する機器に特に制限はなく、例えば、ギロチン、ロールリファイニング、ベルトフレーカー等が挙げられる。
【0033】
工程3で得られるフレーク状油脂含有即席加工食品の形状としては、1辺が約0.1〜3cmの不定形であり、好ましくは1辺が約0.5〜2cmの不定形である。
【0034】
以下に実施例を挙げて更に詳しく本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
<トリグリセリン脂肪酸エステルの作製:試作品A>
撹拌機、温度計、ガス吹き込み管及び水分離器を取り付けた反応釜にグリセリン20Kgを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム20W/V%水溶液100mlを加え、窒素ガスの気流中250℃で4時間グリセリン縮合反応を行なった。得られた反応生成物を90℃まで冷却し、リン酸(85質量%)約20gを添加して中和した後ろ過し、ろ液を160℃、400Paの条件下で減圧蒸留し、グリセリンを除き、続いて200℃、20Paの高真空条件下で分子蒸留し、ジグリセリンを主成分とする留分約3.7Kgを除き、更に、240℃、20Paの高真空条件下で分子蒸留し、グリセリン1質量%、ジグリセリン4質量%、トリグリセリン88質量%、テトラグリセリン3質量%、環状ポリグリセリン4質量%を含む留分約1.5Kgを得た。次に、該留分に活性炭を1質量%加え、減圧下にて脱色処理した後ろ過した。得られたトリグリセリン混合物の水酸基価は約1164で、その平均重合度は約3.0であった。
撹拌機、温度計、ガス吹き込み管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、[製造例1]で得られたトリグリセリン混合物480g(約2.0モル)、及びパルミチン酸(商品名:ルナックP−95;花王社製)512g(約2.0モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム10w/v%溶液20mlを加え、窒素ガス気流中240℃で酸価12以下となるまで、約2時間エステル化反応を行なわせた。得られた反応混合物を約130℃まで冷却し、リン酸(85質量%)4gを添加して触媒を中和し、その温度で約一時間放置し、分離した未反応のトリグリセリン約80gを除去し、トリグリセリンパルミチン酸エステル約950gを得た。次に、該トリグリセリンパルミチン酸エステルを遠心式分子蒸留装置(実験機;CEH−300II;ULVAC社製)を用いて蒸留し、温度約240℃、20Paの真空条件下で未反応のトリグリセリン等の低沸点化合物を除去し、続いて温度約250℃、1Paの高真空条件下で分子蒸留し、留分として、トリグリセリンモノパルミチン酸エステル(試作品A;モノエステル体含有量約85重量%、水酸基価440)約200gを得た。
【0036】
尚、エステル組成分析はHPLCで行った。分析条件を以下に示した。
〈HPLC分析条件〉
装置 高速液体クロマトグラフ(型式:LC−10AS;島津製作所社製)
検出器 RI検出器(型式:RID−6A;島津製作所社製)
カラム GPCカラム(型式:SHODEX KF−802;昭和電工社製)
2本連結
温度 40℃、移動相 THF 流量1.0ml/min
検液注入量 15μL
【0037】
<フレーク状カレールウの作製>
(1)原材料
硬化パーム油(商品名:硬化パーム油;不二製油社製)
小麦粉(商品名:旭;日清製粉社製)
カレー粉(商品名:ABカレーHJ;ケー・アイ・エス社製)
食塩(商品名:精製塩微粒FINE SALT;日本食塩製造社製)
砂糖(商品名:精製上白糖ST;大日本明治製糖社製)
オニオンパウダー(商品名:NVRオニオンPA−6395;日研フード社製)
ポークエキス(商品名:ポークエキスG;理研ビタミン社製)
トリグリセリン脂肪酸エステル(試作品A)
ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョ−トーシュガーエステルS−770;三菱化学フーズ社製)
ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポエムS−300V;理研ビタミン社製)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:ポエムJ−0081HV;理研ビタミン社製)
【0038】
(2)作製方法
[実施例1]
卓上加熱撹拌機(型式:KRミニ;カジワラ社製)に硬化パーム油175gとトリグリセリン脂肪酸エステル(試作品A)0.875gを加え、撹拌条件30rpmで90℃で30分間加熱し溶解した後、小麦粉75gを加え10分間かけて128℃まで加熱混合した。次いで、カレー粉75g、塩50g、砂糖50g、オニオンパウダー55g及びポークエキス20gを加え30分間混合した後、一旦55℃まで冷却し、これを50gずつ円筒容器(直径7cm)に充填し10℃に設定した恒温槽内で24時間保管し、内容物を固化してブロック状カレールウを得た。得られたブロック状カレールウを1辺約約3.5cm(約10g)のブロック状に切り取り、粉砕機(型式:SM−1C;アズワン社製)を用いて30秒間粉砕し、篩(目開き4.28mm)を通してフレーク状カレールウ(実施例品1)を得た。
【0039】
[比較例1〜3]
実施例1の製造方法において、トリグリセリン脂肪酸エステル(試作品A)0.875gに替えて、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルをそれぞれ0.875g加えた以外は同様の操作を行いブロック状カレールウを得た後に粉砕してフレーク状カレールウ(比較例1〜2)を得た。
比較例3は、乳化剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル)が油脂へ完全に溶解せず使用に適さないため作製を中止した。
【0040】
[比較例4]
実施例1の製造方法において、トリグリセリン脂肪酸エステル(試作品A)0.875gを加えない以外は同様の操作を行いブロック状カレールウを得た後に粉砕してフレーク状カレールウ(比較例4)を得た。
【0041】
<評価1:粉砕率>
実施例1、比較例1、2、4においてフレーク状カレールウの粉砕率(一定時間の粉砕率)を下記式で求めた。結果を表1に示す。実施例、比較例に用いた乳化剤を合わせて示す。

粉砕率={(粉砕前のブロック状カレールウの質量−目開き4.28mmの篩上に残るブロック状カレールウの質量)/粉砕前のブロック状カレールウの質量}×100
【0042】
<評価2:仕事量>
実施例1、比較例1、2、4の作製途中で得たブロック状油脂含有即席加工食品を破断するのに要する仕事量を下記方法で求めた。
テクスチャーアナライザー(型式:TA.XT plus TEXTURE ANALYSERS / Stable Micro Systems社製)を用いて、3点曲げ法(プローブ;HDP/3PB,進入速度;1.0mm/sec)により破断し、破断するまでにかかった力(破断強度)と破断までに要した進入距離を測定し、その積算を仕事量として算出した。表1に結果を示す。
【0043】
【表1】

結果より、実施例品1は、一定時間での粉砕率が64%と高く、また、仕事量も約7000g・cmであった。一方比較例品(1、2、4)は、粉砕率が約50%程度であり、実施例品1より約10%程少ない数値であった。また仕事量も実施例品1より大きく、実施例品1の仕事量を100%とした場合、比較例品1は140%、比較例品2は218%、比較例品4は125%と非常に大きな数値を示した。
このことより、実施例品は、効率よく容易に粉砕することができる。また少ない仕事量で粉砕することができる為、粉砕機への負荷を低減することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリグリセリン脂肪酸エステルを含有するブロック状油脂含有即席加工食品を粉砕することを特徴とするフレーク状油脂含有即席加工食品の製造方法。