説明

フロアコンセント

【解決すべき課題】ロック/解除ボタンを操作したとき自動的に天蓋が上方に持ち上がるようになしたレスポンス性のきめて良好なフロアコンセントを提供する。
【課題を解決するための手段】床面に設けた取付孔内に埋設状態となるコンセントハウジング2の一側部に天蓋押し上げレバー体16を回動可能に枢着する。当該天蓋押し上げレバー体16を動作させるための作動杆22の基部23をコンセントハウジング2に設けた取付板24に回動可能に取付ける。作動杆22の頂部にロック/解除ボタン13を取付けて、当該ロック/解除ボタンのストッパー15を天蓋5に設けた切欠部9内に挿着することによって天蓋5がロックされるようにする。ロック/解除ボタンをスライドさせることによって天蓋5のロック状態が解除されると同時に、天蓋押し上げレバー体の先端押し上げ突起18,18が天蓋5を内側から押し上げるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床面に取付けて給電線や各種信号線、アンテナ線等を接続するためのフロアコンセントに係り、特に当該フロアコンセントにおける天蓋の開閉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスのみならず一般家庭においても、情報端末や家電製品等に接続するためのフロアコンセントが用いられるようになってきている。このフロアコンセントには、コイン等で操作ボタンを一定方向に回すとロック状態が解除されて、内部に配設したコイルスプリングの弾発力によってプラグ類を受けるコンセントが自動的に上方に突出する上下動型のものや、次に示す特許文献に開示された蓋板を開けて内部に固定状態となっているコンセントにプラグ類を接続するタイプのものが知られている。
【特許文献1】実開平6−36324号公報
【0003】
上記特許文献に示されたフロアコンセントは、下部ケースの内部にプラグの受け面を斜め状態にして固定したコンセントと、このコンセントを収納固定した下部ケースの上部周縁に突成したフランジ部と、このフランジ部の中央開口に開閉自在に取付ける蓋板と、この蓋板の開度を段階的に調節するため蓋板の先端下面に突設した係合舌片と、この係合舌片に凹設した凹所内に挿着して蓋板を閉じた状態及び蓋板を開いた状態を保持するストッパーとから構成されており、コイン等を用いて操作ボタンを回動させると、ストッパーが係合舌片の凹所から外れてコイルスプリングによって付勢された押圧子の弾発力によって蓋板が少し上方に持ち上げられるようになっている。
【0004】
しかしながら、この構造に基づくフロアコンセントの場合には、上下動型フロアコンセントの場合と同じようにコイン等を用いることによって操作ボタンを回動していたずらされることが多いという問題点がある。また、操作ボタンを回動させてロック状態を解除したとき、蓋板が少し持ち上がるようにするため蓋板の枢軸付近にコイルスプリングによって付勢された押圧子を取付けなければならず、構造が複雑になってコストアップの要因にもなるという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は前記した従来のフロアコンセントの問題点を解消し、天蓋を閉じた状態においては、開け方が直ぐに判らないように工夫していたずらを未然に防止できるようにすると共に、コイルスプリング等によって付勢された押圧子等によらずに、ロック/解除ボタンを操作したとき自動的に天蓋が上方に持ち上がるようになした操作性のきめて良好なフロアコンセントを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、床面に設けた所要大きさの取付孔内に設置し、常時は天蓋を閉じた状態としておいて床面歩行を可能とし、コンセントを使用するとき天蓋を開けて内部のコンセントに接続できるようになしたフロアコンセントにおいて、取付孔内に埋設状態となるコンセントハウジングの一側部に枢軸を設け、この枢軸に天蓋押し上げレバー体の基部を回動可能に取付けると共に、当該天蓋押し上げレバー体を動作させるための作動杆の基部をコンセントハウジングに設けた取付板に回動可能に取付け、且つ前記作動杆の頂部にロック/解除ボタンを取付けて、当該ロック/解除ボタンの先端縁に設けたストッパーを天蓋の端部中央に設けた切欠部内に挿着することによって天蓋がロックされ、ロック/解除ボタンを反天蓋方向にスライドさせることによって天蓋のロック状態が解除されると同時に、前記天蓋押し上げレバー体の先端押し上げ突起が天蓋を内側から押し上げるように構成したことを特徴とするフロアコンセントである。
【0007】
請求項2に係る発明は、ロック/解除ボタンを配設する天板部にケーブル類の通線孔を開閉自在に設けたことを特徴とする請求項1記載のフロアコンセントである。
【0008】
本発明によった場合、ロック/解除ボタンを手前にスライドさせると、先端縁に設けてあるストッパーが、天蓋の端部中央に設けてある切欠部内から離れて天蓋を開放状態にすると同時に、ロック/解除ボタンに直結した作動杆の動作によって天蓋押し上げレバー体の先端押し上げ突起が天蓋を内側から押し上げることとなるのでレスポンス性のきわめて良好なフロアコンセントとすることができる。
【0009】
特に、コイルスプリング等の弾発体を一切用いずにロック/解除ボタンの動作に連動して天蓋が持ち上がるようになっているので動作にトラブルがなく、信頼性の高いフロアコンセントとなる。また、ロック/解除ボタンを配設する天板部にケーブル類の通線孔を設けてあるので、上記特許文献に示された係合舌片を不要とすることができ、構造を簡潔なものとすることができる。なお、従来のようなコイン等を用いて回動させる操作ボタンがなく、一見しただけでは天蓋の開放操作が不明であるのでいたずらを未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明によれば、天蓋を閉じた状態においては、開け方が直ぐに判らず子供等によるいたずらを未然に防止することができると共に、コイルスプリング等によって付勢された押圧子等を用いずに、ロック/解除ボタンを操作したとき自動的に天蓋が上方に持ち上がるのでトラブルがなく、且つ操作性のきめて良好なフロアコンセントを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づき本発明に係るフロアコンセントの実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明フロアコンセントの一実施形態を示す斜視図、図2は図1に示すフロアコンセントの分解斜視図、図3は天蓋を閉じた状態の断面図、図4は天蓋押し上げレバー体の先端押し上げ突起によって天蓋が上方に持ち上げられるときの断面図である。
【0012】
図中1は給電線や各種信号線、アンテナ線等を接続するためのコンセントであり、2は当該コンセント1を保持するコンセントハウジングである。3はコンセントハウジング2の上面に設けた環状の鍔部であり、当該鍔部3の下面周縁部をフロア材4に設けた所要大きさの取付孔の周縁上部に当接させることによって、コンセント1を保持したコンセントハウジング2が取付孔内に埋設された状態で保持される。
【0013】
5はコンセントハウジング2の上面を覆う天蓋であり、前記鍔部3の一端部下面に設けた軸受板6によって軸支された枢軸7によって開閉できるようになっている。なお、天蓋5の先端面8には直線部を設けてあり、当該直線部のほぼ中央には、後述するロック/解除ボタンの先端縁に設けたストッパーが嵌まり込む切欠部9を形成してある。
【0014】
10は前記天蓋5の直線部に対応する直線部を具備した天板部であり、当該天板部10の直線部と、天蓋5の直線部とが少しの間隙を存して向かい合うと、フロアコンセント全体は平面からみて真円状を形成することとなる。この天板部10には、図1及び図2に示すように、コンセント1に接続したケーブル類を通すための通線孔11,11を設けてあり、当該通線孔11,11は不使用時には開閉自在なキャップ12,12によって覆われるようになっている。
【0015】
次に、13は前記天板部10に設けた凹所14内にスライド自在なように位置させるロック/解除ボタンであり、当該ロック/解除ボタン13の先端縁には、前記天蓋5の先端面8に形成してある切欠部9内に嵌まり込み得るストッパー15を設けてある。
【0016】
16はコンセントハウジング2の外側の一側部に枢着した天蓋押し上げレバー体を示し、当該レバー体16は両端に設けたアーム17,17をコンセントハウジング2に形成した通孔を通して当該ハウジング2内に引き入れ、その先端を上方に立ち上げることによって押し上げ突起18,18を形成してある。この押し上げ突起18,18は、図3及び図4に示すように天蓋5の裏面に当接するようになっている。なお、図中19は天蓋押し上げレバー体16の基部20を回動可能に取付けるための枢軸を示し、21は天蓋押し上げレバー体16の基部20を枢軸19に取付けるための止め具の一例を示す。
【0017】
22は前記天蓋押し上げレバー体16を動作させるための作動杆であり、当該作動杆22の基部23はコンセントハウジング2に設けた取付板24に回動可能に取付けてある。この作動杆22の頂部には細幅部25を形成してあり、当該細幅部25を前記天板部10に設けた凹所14内に臨ませて、前記ロック/解除ボタン13を当該細幅部25に嵌着してある。
【0018】
本発明に係るフロアコンセントにおける天蓋の開閉構造は以上のような構成よりなるものであるから、コンセント1を使用しないときは、ロック/解除ボタン13の先端縁に設けてあるストッパー15を、天蓋5の先端面8に形成してある切欠部9内に嵌入させておく。この状態で天蓋5はロックされ、内部のコンセント1がいたずらされるのを防ぐことができる。
【0019】
情報端末等に繋ぐときは、ロック/解除ボタン13を、手前方向、すなわち反天蓋方向にスライドさせることによって天蓋5のロック状態が解除される。これと同時に、作動杆22がロック/解除ボタン13の動作に連動して天蓋押し上げレバー体16を枢軸19を中心にして僅かに回動させることとなり、これにより天蓋押し上げレバー体16の先端押し上げ突起18,18が天蓋5を内側から押し上げる。これによって手掛かりが得られ、天蓋5を、コンセント1に接続し易くなる位置まで開くことができる。
【0020】
従って、本発明フロアコンセントによれば、ロック/解除ボタンに直結した作動杆の動作によって天蓋押し上げレバー体を介して天蓋を内側から押し上げることができ、レスポンス性のきわめて良好なフロアコンセントとすることができる。また、コイルスプリング等の弾発体を一切用いずにロック/解除ボタンの動作に連動して天蓋が持ち上がるようになっているので動作にトラブルがなく、信頼性の高いフロアコンセントとなる。また、ロック/解除ボタンを配設する天板部にケーブル類の通線孔を設けてあるので、コンセント使用時においても施蓋状態とすることができる。さらに、従来のようなコイン等を用いて回動させる操作ボタンが一切なく、一見しただけでは天蓋の開放操作が不明であるのでいたずらを未然に防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明フロアコンセントの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すフロアコンセントの分解斜視図である。
【図3】天蓋を閉じた状態の断面図である。
【図4】天蓋押し上げレバー体の先端押し上げ突起によって天蓋が上方に持ち上げられるときの断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1:コンセント
2:コンセントハウジング
3:鍔部
4:フロア材
5:天蓋
6:軸受板
7:枢軸
8:先端面
9:切欠部
10:天板部
11:通線孔
12:キャップ
13:ロック/解除ボタン
14:凹所
15:ストッパー
16:天蓋押し上げレバー体
17:アーム
18:押し上げ突起
19:枢軸
20:基部
21:止め具
22:作動杆
23:基部
24:取付板
25:細幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設けた所要大きさの取付孔内に設置し、常時は天蓋を閉じた状態としておいて床面歩行を可能とし、コンセントを使用するとき天蓋を開けて内部のコンセントに接続できるようになしたフロアコンセントにおいて、取付孔内に埋設状態となるコンセントハウジングの一側部に枢軸を設け、この枢軸に天蓋押し上げレバー体の基部を回動可能に取付けると共に、当該天蓋押し上げレバー体を動作させるための作動杆の基部をコンセントハウジングに設けた取付板に回動可能に取付け、且つ前記作動杆の頂部にロック/解除ボタンを取付けて、当該ロック/解除ボタンの先端縁に設けたストッパーを天蓋の端部中央に設けた切欠部内に挿着することによって天蓋がロックされ、ロック/解除ボタンを反天蓋方向にスライドさせることによって天蓋のロック状態が解除されると同時に、前記天蓋押し上げレバー体の先端押し上げ突起が天蓋を内側から押し上げるように構成したことを特徴とするフロアコンセント。
【請求項2】
ロック/解除ボタンを配設する天板部にケーブル類の通線孔を開閉自在に設けたことを特徴とする請求項1記載のフロアコンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−12650(P2006−12650A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189063(P2004−189063)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(591198320)株式会社寺田電機製作所 (12)
【Fターム(参考)】