フロアパネル固定金具
【課題】施工性に優れ、低コストで地震対策を施すことのできるフロアパネル固定金具を提供することを目的とする。
【解決手段】固定金具30Aを用いることで、グレーチングパネル12Aとフレーム材20をコイルスプリング38の付勢力によってプレート35と先端ブロック33の間に挟み込んで、グレーチングパネル12Aをフレーム材20に保持・固定する。その取り付けは、コイルスプリング38の弾性を利用することで、工具で拡径部40を押し込みながら回転させ、これによって先端ブロック33をフレーム材20に引っ掛ける。
【解決手段】固定金具30Aを用いることで、グレーチングパネル12Aとフレーム材20をコイルスプリング38の付勢力によってプレート35と先端ブロック33の間に挟み込んで、グレーチングパネル12Aをフレーム材20に保持・固定する。その取り付けは、コイルスプリング38の弾性を利用することで、工具で拡径部40を押し込みながら回転させ、これによって先端ブロック33をフレーム材20に引っ掛ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネル固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フリーアクセスフロア等と称されるパネル床が多く施工されている。パネル床は、建物のスラブ上に支柱や支持フレームを設け、その上にフロアパネルを敷設することで室内の床面を形成するものであり、防音性の確保や、床下に配管や配線を収納できるという利点を有している。
【0003】
このようなパネル床において、地震発生時にフロアパネルがずれたり浮き上がったりすると、フロアパネル上に設置してある設備に損害を与える等の可能性がある。このため、固定金具を用い、フロアパネルを支柱や支持フレームに固定することが行われている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−132957号公報
【特許文献2】特開平11−13263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、固定金具にボルトを用いるものの場合、ボルトを一本ずつ締め付けていかなければならないという手間が掛かる。パネル床は、工場のクリーンルーム等に用いられることが多く、多数枚のフロアパネルを一枚ずつボルトで固定していくのは、施工性の面で改善の余地が有る。
また、フロアパネルの固定は、地震対策として、パネル床を新設する場合だけでなく、既設のパネルに対しても行うことが要求される。しかし、特許文献1に示したように、ボルト等を固定金具に用いる場合、フロアパネルにボルトを挿通させるための孔が必要である。言うまでもなく、予め孔が形成されたフロアパネルを、既設のフロアパネルと交換して設置するのでは、多大なコストが掛かる。そこで、既設のフロアパネルに孔を後加工で形成する必要があるが、それには多大な手間が掛かるうえ、孔を形成するときに生じる微細な加工屑がクリーンルーム内に持ち込まれてしまう可能性もある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、施工性に優れ、低コストで地震対策を施すことのできるフロアパネル固定金具を提供することを目的とする。
他の目的は、既設のフロアパネルに対しても取り付けが容易なフロアパネル固定金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもとになされた本発明のフロアパネル固定金具は、建物の躯体に支持された支持部材上に配置されたフロアパネルを、支持部材に固定するためのフロアパネル固定金具であって、支持部材の下方に配置される先端ブロックと、フロアパネルにセットされる頭部ブロックと、頭部ブロックに対して上下方向に移動可能に支持され、下端部に先端ブロックが設けられたロッドと、先端ブロックと頭部ブロックとでフロアパネルと支持部材とを挟み込むため、ロッドを頭部ブロック側に付勢する付勢部材と、を備える。そして、フロアパネル固定金具でフロアパネルを固定するときには、頭部ブロックを、ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、かつ少なくとも先端ブロック側への移動が拘束された状態でフロアパネルに取り付ける。さらに、ロッドを付勢部材の付勢力に抗して押し下げて先端ブロックを支持部材よりも下方に移動させた状態で、ロッドとともに先端ブロックを回転させて先端ブロックの一部を支持部材の下方に位置させ、ロッドの押し下げを中止して付勢部材の付勢力によって先端ブロックの一部を支持部材の下面に押し付けた状態とする。これによって、先端ブロックと頭部ブロックとでフロアパネルと支持部材とが挟み込まれ、フロアパネルを支持部材に固定することができる。
【0007】
フロアパネルが、長孔形状の開口が複数形成された格子状のグレーチングパネルである場合、頭部ブロックは、開口に対応して一方向に長い直方体状のブロック部と、ブロック部の上部に設けられて開口より大きな面積を有したプレート部とから構成することができる。そして、ブロック部を開口の内側に配置し、プレート部をグレーチングパネルの上面に当てた状態とすれば、頭部ブロックは、ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、かつ少なくとも先端ブロック側への移動が拘束された状態となる。
【0008】
頭部ブロックは、フロアパネルの下側に配置されるブロック部と、フロアパネルの上側に配置されるプレート部と、ブロック部とプレート部とを締結する締結部材とから構成することもできる。つまり、頭部ブロックは、フロアパネルを上下から挟み込んだ状態でブロック部とプレート部とが締結部材によって締結される。これにより、頭部ブロックは、ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、上下方向への移動も拘束された状態となる。
このような取り付け構造は、グレーチングパネルにも、孔のないフロアパネルにも適用できる。孔のないフロアパネルの場合、頭部ブロックの回転拘束ができない。そこで、フロアパネルの下面側に補強用のリブが形成されていれば、ブロック部には、リブに噛み合う溝を形成し、溝をリブに噛み合わせるようにすれば良い。
【0009】
ところで、先端ブロックは、ロッドに対する固定位置が変更可能であるのが好ましい。ロッドの外周面にネジ溝を形成し、先端ブロックをこのネジ溝に噛み合わせて設ければよい。これによって、先端ブロックを回転させれば、先端ブロックのロッドに対する固定位置が変更できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフロアパネル固定金具によれば、先端ブロックと頭部ブロックとでフロアパネルと支持部材とが挟み込まれるので、フロアパネルを支持部材に固定することができ、地震時等においても、フロアパネルがずれたり外れたりするのを防ぐことができる。
固定金具でフロアパネルを固定するときには、ロッドを付勢部材の付勢力に抗して押し下げて先端ブロックを支持部材よりも下方に移動させた状態で、ロッドとともに先端ブロックを回転させて先端ブロックの一部を支持部材の下方に位置させ、ロッドの押し下げを中止して付勢部材の付勢力によって先端ブロックの一部を支持部材の下面に押し付けるようにした。これによって、固定金具を用いてワンタッチでフロアパネルを固定することができるため、施工性にも非常に優れ、専門の作業者でなくとも、容易かつ確実に施工が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるフロアパネル固定金具を用いてフロアパネルを固定するパネル床を説明するための図である。
この図1に示すように、パネル床10は、建物のスラブ上に支持された支柱、またはこの支柱に支持されたフレーム材20上に、複数枚のフロアパネル12を敷き詰めることで構成されている。
各フロアパネル12は、一般的には矩形のプレート状で、その外周部が前記の支柱またはフレーム材20上に支持されている。図2に示すように、フロアパネル12には、その両面を貫通する長孔(開口)12aが多数形成された格子状のグレーチングパネル12Aの他、孔の形成されていないフラットパネル等が用いられる。ここでは、フロアパネル12にグレーチングパネル12Aを用いる場合を例に挙げる。
【0012】
本実施の形態においては、複数枚が敷き詰められるグレーチングパネル12Aのそれぞれを、固定金具(フロアパネル固定金具)30Aによってフレーム材20に固定する。
図1、図3に示すように、固定金具30Aは、フロアパネル12に係止される頭部ブロック31と、ロッド32と、フレーム材20に係止される先端ブロック33とから構成される。
【0013】
頭部ブロック31は、グレーチングパネル12Aに形成された長孔12aに挿入可能な断面形状を有したブロック本体(ブロック部)34と、ブロック本体34に溶接等によって一体に取り付けられ、長孔12aよりも大きな断面形状を有したプレート(プレート部)35とを有している。ブロック本体34は、断面長方形状で、一辺が長孔12aの幅よりも小さく、もう一辺が長孔12aの幅よりも大きい寸法とされている。
図1に示したように、このような頭部ブロック31は、ブロック本体34を下方に向け、グレーチングパネル12Aの上方から長孔12aに挿入する。すると、長孔12aよりも大きな断面形状を有したプレート35がグレーチングパネル12Aの上面に当たることで、頭部ブロック31の下方への移動が規制される。
図4に示すように、ブロック本体34には、プレート35に面する側に凹部36が形成されている。また、プレート35には、凹部36に対応した位置に孔37が形成されている。そして、図3に示したように、凹部36には、コイルスプリング(付勢部材)38が収容されている。
【0014】
さらに、図4に示したように、ブロック本体34には、プレート35が設けられた側と反対側の端面34aから凹部36に貫通する孔39が形成されている。この孔39は、コイルスプリング38の外径よりも小さな内径を有している。
ロッド32は、上端部が凹部36内に突出するよう、この孔39に挿入される。ロッド32は、コイルスプリング38の内径よりも小さな外径を有し、これによって凹部36内に収容されたコイルスプリング38の内側に挿入される。
図5に示すように、ロッド32の上端部には、ロッド32よりも外径が拡大された拡径部40が形成されている。拡径部40は、プレート35の孔37の内径よりも小さく、かつ、コイルスプリング38の内径よりも大きな外径を有している。拡径部40は、レンチ等の工具と噛み合う形状を有している。
図3に示したように、ロッド32を凹部36および孔39に挿入した状態で、拡径部40は、プレート35の孔37内に位置し、コイルスプリング38によって下方への移動が規制される。ただし、コイルスプリング38は弾性を有しているため、拡径部40を下方に押せば、コイルスプリング38が圧縮され、これにともなってロッド32が下方に移動可能となっている。
【0015】
図5に示したように、ロッド32の下端部には、外周面にネジ溝32bが形成されている。
図3に示したように、先端ブロック33は、ほぼ直方体状で、グレーチングパネル12Aの長孔12aよりも小さな断面形状を有している。先端ブロック33の一端側には、ネジ孔33aが形成されている。先端ブロック33は、ネジ孔33aにロッド32の下端部をねじ込むことで、ロッド32に取り付け可能となっている。また、先端ブロック33を回転させることで、ロッド32の長さ方向における先端ブロック33の位置を調整できるようになっている。ロッド32に対する先端ブロック33の位置は、イモネジ42によって固定できるようになっている。
【0016】
図1に示したように、このような固定金具30Aは、頭部ブロック31のブロック本体34を長孔12a内に挿入し、プレート35をグレーチングパネル12Aの上面に当てた状態で、ロッド32の下端部に取り付けられた先端ブロック33の上面との間に、フレーム材20を挟み込むようにして設置する。このとき、コイルスプリング38が圧縮状態となるようにする。コイルスプリング38の付勢力によって、プレート35と先端ブロック33は互いに接近する方向の付勢力が作用するため、グレーチングパネル12Aはフレーム材20に引き寄せられるようにして保持・固定される。
【0017】
固定金具30Aでグレーチングパネル12Aをフレーム材20に固定するには、図3に示したように固定金具30Aを予め組み立てておく。このとき、頭部ブロック31のプレート35と先端ブロック33との間隔S1は、フレーム材20上にグレーチングパネル12Aをセットした状態でのフレーム材20の下面とグレーチングパネル12Aとの間隔S2(図1参照)よりも小さくなるよう、ロッド32に対する先端ブロック33の位置を調整しておく。さらに、コイルスプリング38を圧縮して頭部ブロック31に対してロッド32を先端ブロック33側に変位させたときの頭部ブロック31のプレート35と先端ブロック33との間隔S1’が、フレーム材20の下面とグレーチングパネル12Aとの間隔S2よりも大きくなるよう、ロッド32に対する先端ブロック33の位置を調整しておく。位置を調整した先端ブロック33は、イモネジ42を締め付けることでロッド32に対する位置を固定しておく。
【0018】
そして、図6(a)に示すように、固定金具30Aを、グレーチングパネル12Aの上方から長孔12aに差し込む。先端ブロック33およびブロック本体34は長孔12aよりも小さな断面形状を有しているので、長孔12aに挿入することができる。
先端ブロック33が長孔12aを通過した後、図6(b)に示すように、拡径部40を回転させ、先端ブロック33をフレーム材20に干渉しない向きにする。
先端ブロック33、ロッド32、およびブロック本体34が長孔12a内に挿入され、プレート35がグレーチングパネル12Aの上面に当たることで、固定金具30Aの下方への移動が規制される。この状態で、ブロック本体34は長方形状であるため、長孔12a内でその回転が拘束される。この状態で、コイルスプリング38は圧縮しておらず、先端ブロック33は、その上面がフレーム材20の下面よりも上方に位置している。
【0019】
次いで、拡径部40を、レンチやドライバ等の所定の工具でロッド32の軸方向に押し込みながら回転させる。すると、図7に示すように、コイルスプリング38が圧縮され、先端ブロック33が押し下げられ、その上面がフレーム材20の下面よりも下方に位置する。
そして、拡径部40を押し込んだ状態のまま、拡径部40を回転させる。すると、図3(b)に示したように、先端ブロック33がロッド32と一体に回転し、先端ブロック33の端部がフレーム材20の下方に入り込む。そこで、拡径部40の押し込みを止めると、コイルスプリング38の反発力によってロッド32が押し上げられ、先端ブロック33の上面がフレーム材20の下面に当たる。この状態で、図1に示したように、コイルスプリング38の付勢力によって、グレーチングパネル12Aとフレーム材20は、プレート35と先端ブロック33に挟み込まれ、グレーチングパネル12Aがフレーム材20に保持・固定される。
一枚のグレーチングパネル12Aに対し、複数本の固定金具30Aを同様に取り付けていくことで、グレーチングパネル12Aの固定作業が完了する。
【0020】
なお、上記に示した例は、H型鋼20Aをフレーム材20に用い、先端ブロック33を、H型鋼20Aの上部フランジ20fの下面に引っ掛けた場合の例である。
フレーム材20としては、他のものを用いることができ、例えば図8に示すような断面矩形の鋼管20Bをフレーム材20とすることもできる。グレーチングパネル12Aを鋼管20Bに取り付ける場合、ロッド32を、図1で示した場合に用いたものとは異なる長さのものに交換すればよい。
【0021】
上述したようにして、固定金具30Aを用いることで、グレーチングパネル12Aとフレーム材20をコイルスプリング38の付勢力によってプレート35と先端ブロック33の間に挟み込んで、グレーチングパネル12Aをフレーム材20に保持・固定することができる。これによって、地震時等においても、グレーチングパネル12Aがずれたり外れたりするのを防ぐことができる。
ここで、固定金具30Aは、グレーチングパネル12Aの長孔12aを通して、グレーチングパネル12Aの上方から挿入することができる。したがって、グレーチングパネル12Aが既設のものであっても、グレーチングパネル12Aに追加の加工を施す必要がないのはもちろんのこと、グレーチングパネル12Aを取り外すこともなく、グレーチングパネル12Aをフレーム材20上に敷設したままの状態で固定金具30Aの取り付けが行える。しかも、その取り付けは、工具で拡径部40を押し込みながら回転させるのみでよく、これによって先端ブロック33をフレーム材20に引っ掛けてグレーチングパネル12Aの固定作業が完了する。したがって、施工性にも非常に優れ、専門の作業者でなくとも、容易かつ確実に固定金具30Aの取り付けが行える。
また、コイルスプリング38の弾性を利用することで、取り付けを容易に行いつつ、取り付け完了後には先端ブロック33と頭部ブロック31とでグレーチングパネル12Aとフレーム材20を確実に挟み込むことができ、グレーチングパネル12Aの確実な固定が行える。
【0022】
加えて、フレーム材20の厚さも応じてロッド32を長さが異なるものに交換したり、頭部ブロック31や先端ブロック33をグレーチングパネル12Aの長孔12aの形状や大きさに対応したものに交換することで、様々な現場で広く固定金具30Aを用いることができる。このような場合、ロッド32の長さや、頭部ブロック31や先端ブロック33の大きさが異なるものを予め複数種用意しておくことで、固定金具30Aは非常に汎用性の高いものとなる。
【0023】
ところで、頭部ブロック31のプレート35には、マーク等を印すこともできる。たとえば、プレート35の上面に蛍光塗料や蓄光塗料を塗布したり、反射材等を貼り付ける。そして、このようなプレート35を備えた固定金具30Aを、工場内の避難経路に沿って配置してグレーチングパネル12Aの固定を行うこともできる。これにより、固定金具30Aを、避難経路を示すマークとして用いることもできる。もちろん、プレート35に印すマークは、他の目的のものとすることができる。
【0024】
上記のような構成の技術は、長孔12aを有したグレーチングパネル12Aだけではなく、図9に示すように、孔の形成されていないフラットパネル12Bを固定する場合に用いることも可能である。
その場合、図9、図10に示すように、固定金具(フロアパネル固定金具)30Bは、フラットパネル12Bに係止される頭部ブロック50と、ロッド32と、フレーム材20に係止される先端ブロック33とから構成される。なお、以下の説明において、図1に示した固定金具30Aと共通する構成については、同符号を付してその説明を省略する。
【0025】
頭部ブロック50は、フラットパネル12Bの下面側に配置されるブロック本体(ブロック部)51と、フラットパネル12Bの上面側に配置されるプレート(プレート部)52とを有している。
図10、図11に示すように、ブロック本体51は、直方体状で、その一面には、フラットパネル12Bの下面に設けられている補強用のリブ53に噛み合う溝51aが、リブ53の設置間隔に合わせて少なくとも2本形成されている。ブロック本体51には、互いに隣接する溝51a、51aの間に凹部36が形成されている。また、プレート52には、凹部36に対応した位置に孔37が形成されている。
これらブロック本体51、プレート52は、フラットパネル12Bの下面側においてブロック本体51の溝51a、51aをフラットパネル12Bのリブ53、53にかみ合わせた状態で、フラットパネル12Bの上面側にプレート52を配置し、これらをボルト(図示無し)等で一体に連結するようになっている。このためブロック本体51には、ボルト(図示無し)がねじ込まれるネジ穴55が形成され、プレート52には、ネジ穴55に対応した位置にボルト(図示無し)が挿入される貫通孔56が形成されている。また、フラットパネル12Bには、プレート52の孔37、貫通孔56に対応した位置と、これらとほぼ同径の孔(図示無し)が形成されている。
【0026】
凹部36には、コイルスプリング38が収容されている。コイルスプリング38は、凹部36の内径よりも小さく、かつ、孔37の内径よりも大きな外径を有している。これにより、コイルスプリング38は、孔37から抜け出ることなく、凹部36内に収容されている。
【0027】
ブロック本体51には、プレート52が設けられた側と反対側の端面51bから凹部36に貫通する孔39が形成され、ロッド32が、凹部36および孔39に挿入される。
ロッド32の上端部には拡径部40が形成されている。拡径部40を下方に押せばコイルスプリング38が圧縮され、これにともなってロッド32が下方に移動可能となっている。
そして、ロッド32の下端部は、先端ブロック33のネジ孔33aにねじ込まれている。
【0028】
このような固定金具30Bは、頭部ブロック50のブロック本体51を、凹部36内にコイルスプリング38を収容した状態でフラットパネル12Bの下面側にセットし、フラットパネル12Bの上面側にはプレート52をセットし、これらをボルト等で一体に連結することで、頭部ブロック50をフラットパネル12Bに取り付ける。これにより、頭部ブロック50は、フラットパネル12Bに対し、その上下方向および回転方向に拘束された状態となる。
【0029】
そして、拡径部40が取り付けられたロッド32を、プレート52側から、孔37、フラットパネル12Bの孔(図示無し)、コイルスプリング38を通し、ブロック本体51の孔39に挿入する。
そして、ロッド32の下端部に先端ブロック33を取り付ける。このとき、頭部ブロック50のプレート52と先端ブロック33との間隔が、フレーム材20上にフラットパネル12Bをセットした状態でのフレーム材20の下面とフラットパネル12Bとの間隔よりも小さくなるよう、ロッド32に対する先端ブロック33の位置を調整する。さらに、コイルスプリング38を圧縮して頭部ブロック50に対してロッド32を先端ブロック33側に変位させたときの頭部ブロック50のプレート52と先端ブロック33との間隔が、フレーム材20の下面とフラットパネル12Bとの間隔よりも大きくなるよう、ロッド32に対する先端ブロック33の位置を調整する。
このようにして、固定金具30Bがフラットパネル12Bに取り付けられる。ここで、固定金具30Bのフラットパネル12Bへの取り付けは、フラットパネル12Bをフレーム材20から取り外した状態で行う。
【0030】
そして、所定本数の固定金具30Bを予め取り付けたフラットパネル12Bを、フレーム材20上にセットする。このとき、先端ブロック33は、フレーム材20に干渉しない向きにしておく。
この後は、図1、図6、図7に示した固定金具30Aと同様に、各固定金具30Bの先端ブロック33を押し下げながら回転させてフレーム材20に引っ掛ければよい。すなわち、拡径部40を、レンチやドライバ等の所定の工具でロッド32の軸方向に押し込みながら回転させる。すると、コイルスプリング38が圧縮され、先端ブロック33が押し下げられ、その上面がフレーム材20の下面よりも下方に位置する。
そして、拡径部40を押し込んだ状態のまま、拡径部40を回転させる。すると、先端ブロック33がロッド32と一体に回転し、先端ブロック33の端部がフレーム材20の下方に入り込む。そこで、拡径部40の押し込みを止めると、コイルスプリング38の反発力によってロッド32が押し上げられ、先端ブロック33の上面がフレーム材20の下面に当たる。この状態で、コイルスプリング38の付勢力によって、フラットパネル12Bとフレーム材20は、プレート52と先端ブロック33に挟み込まれ、フラットパネル12Bがフレーム材20に保持・固定される。
【0031】
なお、上記した固定金具30Bを既設のフラットパネル12Bの固定に用いる場合は、フラットパネル12Bに孔(図示無し)を後加工で形成する必要がある。
【0032】
このような固定金具30Bによっても、フラットパネル12Bとフレーム材20をコイルスプリング38の付勢力によってプレート52と先端ブロック33の間に挟み込んで、フラットパネル12Bをフレーム材20に保持・固定することができる。これによって、地震時等においても、フラットパネル12Bがずれたり外れたりするのを防ぐことができる。しかも、その取り付けは、工具で拡径部40を押し込みながら回転させるのみでよく、これによって先端ブロック33をフレーム材20に引っ掛けてフラットパネル12Bの固定作業が完了する。したがって、施工性にも非常に優れ、専門の作業者でなくとも、容易かつ確実に固定金具30Bによるフラットパネル12Bの固定が行える。
また、コイルスプリング38の弾性を利用することで、取り付けを容易に行いつつ、取り付け完了後には先端ブロック33と頭部ブロック31とでフラットパネル12Bとフレーム材20を確実に挟み込むことができ、フラットパネル12Bの確実な固定が行える。
また、固定金具30Aに対しては、グレーチングパネル12A用の頭部ブロック31をフラットパネル12B用の頭部ブロック50に交換するのみで固定金具30Bを構成することができる。したがって、これらを予め用意しておくことで、非常にシステマチックな金具製品群を構成することができる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、固定金具30A、30Bの構成を詳細に示したが、各部の形状はその機能を果たす限りいかなるものとしても良い。また、固定金具30Aの頭部ブロック31を、固定金具30Bの頭部ブロック50と同様の構成でグレーチングパネル12Aに取り付ける構成とすることも可能である。ただしこの場合、グレーチングパネル12Aへの取付作業性は、頭部ブロック31の方が優れる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施の形態における固定金具を用いたフロアパネルの固定構造を示す断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】固定金具を示す図であって、(a)は立面図、(b)は平面図である。
【図4】頭部ブロックを示す図であって、(a)は平面図、(b)は立面図である。
【図5】ロッドを示す立面図である。
【図6】固定金具を取り付ける方法を示す図である。
【図7】図6に続く状態を示す図である。
【図8】他の形状のフレーム材に固定金具を取り付ける場合の例を示す図である。
【図9】本実施の形態における固定金具を用いてフラットパネルを固定する場合の構成を示す断面図である。
【図10】図9に示した固定金具の立面図である。
【図11】プレートおよびブロック本体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0035】
10…パネル床、12…フロアパネル、12A…グレーチングパネル、12B…フラットパネル、12a…長孔(開口)、20…フレーム材、20A…H型鋼、20B…鋼管、30A、30B…固定金具(フロアパネル固定金具)、31、50…頭部ブロック、32…ロッド、33…先端ブロック、34、51…ブロック本体(ブロック部)、35、52…プレート(プレート部)、36…凹部、38…コイルスプリング(付勢部材)、40…拡径部、51a…溝、53…リブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネル固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フリーアクセスフロア等と称されるパネル床が多く施工されている。パネル床は、建物のスラブ上に支柱や支持フレームを設け、その上にフロアパネルを敷設することで室内の床面を形成するものであり、防音性の確保や、床下に配管や配線を収納できるという利点を有している。
【0003】
このようなパネル床において、地震発生時にフロアパネルがずれたり浮き上がったりすると、フロアパネル上に設置してある設備に損害を与える等の可能性がある。このため、固定金具を用い、フロアパネルを支柱や支持フレームに固定することが行われている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−132957号公報
【特許文献2】特開平11−13263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、固定金具にボルトを用いるものの場合、ボルトを一本ずつ締め付けていかなければならないという手間が掛かる。パネル床は、工場のクリーンルーム等に用いられることが多く、多数枚のフロアパネルを一枚ずつボルトで固定していくのは、施工性の面で改善の余地が有る。
また、フロアパネルの固定は、地震対策として、パネル床を新設する場合だけでなく、既設のパネルに対しても行うことが要求される。しかし、特許文献1に示したように、ボルト等を固定金具に用いる場合、フロアパネルにボルトを挿通させるための孔が必要である。言うまでもなく、予め孔が形成されたフロアパネルを、既設のフロアパネルと交換して設置するのでは、多大なコストが掛かる。そこで、既設のフロアパネルに孔を後加工で形成する必要があるが、それには多大な手間が掛かるうえ、孔を形成するときに生じる微細な加工屑がクリーンルーム内に持ち込まれてしまう可能性もある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、施工性に優れ、低コストで地震対策を施すことのできるフロアパネル固定金具を提供することを目的とする。
他の目的は、既設のフロアパネルに対しても取り付けが容易なフロアパネル固定金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもとになされた本発明のフロアパネル固定金具は、建物の躯体に支持された支持部材上に配置されたフロアパネルを、支持部材に固定するためのフロアパネル固定金具であって、支持部材の下方に配置される先端ブロックと、フロアパネルにセットされる頭部ブロックと、頭部ブロックに対して上下方向に移動可能に支持され、下端部に先端ブロックが設けられたロッドと、先端ブロックと頭部ブロックとでフロアパネルと支持部材とを挟み込むため、ロッドを頭部ブロック側に付勢する付勢部材と、を備える。そして、フロアパネル固定金具でフロアパネルを固定するときには、頭部ブロックを、ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、かつ少なくとも先端ブロック側への移動が拘束された状態でフロアパネルに取り付ける。さらに、ロッドを付勢部材の付勢力に抗して押し下げて先端ブロックを支持部材よりも下方に移動させた状態で、ロッドとともに先端ブロックを回転させて先端ブロックの一部を支持部材の下方に位置させ、ロッドの押し下げを中止して付勢部材の付勢力によって先端ブロックの一部を支持部材の下面に押し付けた状態とする。これによって、先端ブロックと頭部ブロックとでフロアパネルと支持部材とが挟み込まれ、フロアパネルを支持部材に固定することができる。
【0007】
フロアパネルが、長孔形状の開口が複数形成された格子状のグレーチングパネルである場合、頭部ブロックは、開口に対応して一方向に長い直方体状のブロック部と、ブロック部の上部に設けられて開口より大きな面積を有したプレート部とから構成することができる。そして、ブロック部を開口の内側に配置し、プレート部をグレーチングパネルの上面に当てた状態とすれば、頭部ブロックは、ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、かつ少なくとも先端ブロック側への移動が拘束された状態となる。
【0008】
頭部ブロックは、フロアパネルの下側に配置されるブロック部と、フロアパネルの上側に配置されるプレート部と、ブロック部とプレート部とを締結する締結部材とから構成することもできる。つまり、頭部ブロックは、フロアパネルを上下から挟み込んだ状態でブロック部とプレート部とが締結部材によって締結される。これにより、頭部ブロックは、ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、上下方向への移動も拘束された状態となる。
このような取り付け構造は、グレーチングパネルにも、孔のないフロアパネルにも適用できる。孔のないフロアパネルの場合、頭部ブロックの回転拘束ができない。そこで、フロアパネルの下面側に補強用のリブが形成されていれば、ブロック部には、リブに噛み合う溝を形成し、溝をリブに噛み合わせるようにすれば良い。
【0009】
ところで、先端ブロックは、ロッドに対する固定位置が変更可能であるのが好ましい。ロッドの外周面にネジ溝を形成し、先端ブロックをこのネジ溝に噛み合わせて設ければよい。これによって、先端ブロックを回転させれば、先端ブロックのロッドに対する固定位置が変更できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフロアパネル固定金具によれば、先端ブロックと頭部ブロックとでフロアパネルと支持部材とが挟み込まれるので、フロアパネルを支持部材に固定することができ、地震時等においても、フロアパネルがずれたり外れたりするのを防ぐことができる。
固定金具でフロアパネルを固定するときには、ロッドを付勢部材の付勢力に抗して押し下げて先端ブロックを支持部材よりも下方に移動させた状態で、ロッドとともに先端ブロックを回転させて先端ブロックの一部を支持部材の下方に位置させ、ロッドの押し下げを中止して付勢部材の付勢力によって先端ブロックの一部を支持部材の下面に押し付けるようにした。これによって、固定金具を用いてワンタッチでフロアパネルを固定することができるため、施工性にも非常に優れ、専門の作業者でなくとも、容易かつ確実に施工が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるフロアパネル固定金具を用いてフロアパネルを固定するパネル床を説明するための図である。
この図1に示すように、パネル床10は、建物のスラブ上に支持された支柱、またはこの支柱に支持されたフレーム材20上に、複数枚のフロアパネル12を敷き詰めることで構成されている。
各フロアパネル12は、一般的には矩形のプレート状で、その外周部が前記の支柱またはフレーム材20上に支持されている。図2に示すように、フロアパネル12には、その両面を貫通する長孔(開口)12aが多数形成された格子状のグレーチングパネル12Aの他、孔の形成されていないフラットパネル等が用いられる。ここでは、フロアパネル12にグレーチングパネル12Aを用いる場合を例に挙げる。
【0012】
本実施の形態においては、複数枚が敷き詰められるグレーチングパネル12Aのそれぞれを、固定金具(フロアパネル固定金具)30Aによってフレーム材20に固定する。
図1、図3に示すように、固定金具30Aは、フロアパネル12に係止される頭部ブロック31と、ロッド32と、フレーム材20に係止される先端ブロック33とから構成される。
【0013】
頭部ブロック31は、グレーチングパネル12Aに形成された長孔12aに挿入可能な断面形状を有したブロック本体(ブロック部)34と、ブロック本体34に溶接等によって一体に取り付けられ、長孔12aよりも大きな断面形状を有したプレート(プレート部)35とを有している。ブロック本体34は、断面長方形状で、一辺が長孔12aの幅よりも小さく、もう一辺が長孔12aの幅よりも大きい寸法とされている。
図1に示したように、このような頭部ブロック31は、ブロック本体34を下方に向け、グレーチングパネル12Aの上方から長孔12aに挿入する。すると、長孔12aよりも大きな断面形状を有したプレート35がグレーチングパネル12Aの上面に当たることで、頭部ブロック31の下方への移動が規制される。
図4に示すように、ブロック本体34には、プレート35に面する側に凹部36が形成されている。また、プレート35には、凹部36に対応した位置に孔37が形成されている。そして、図3に示したように、凹部36には、コイルスプリング(付勢部材)38が収容されている。
【0014】
さらに、図4に示したように、ブロック本体34には、プレート35が設けられた側と反対側の端面34aから凹部36に貫通する孔39が形成されている。この孔39は、コイルスプリング38の外径よりも小さな内径を有している。
ロッド32は、上端部が凹部36内に突出するよう、この孔39に挿入される。ロッド32は、コイルスプリング38の内径よりも小さな外径を有し、これによって凹部36内に収容されたコイルスプリング38の内側に挿入される。
図5に示すように、ロッド32の上端部には、ロッド32よりも外径が拡大された拡径部40が形成されている。拡径部40は、プレート35の孔37の内径よりも小さく、かつ、コイルスプリング38の内径よりも大きな外径を有している。拡径部40は、レンチ等の工具と噛み合う形状を有している。
図3に示したように、ロッド32を凹部36および孔39に挿入した状態で、拡径部40は、プレート35の孔37内に位置し、コイルスプリング38によって下方への移動が規制される。ただし、コイルスプリング38は弾性を有しているため、拡径部40を下方に押せば、コイルスプリング38が圧縮され、これにともなってロッド32が下方に移動可能となっている。
【0015】
図5に示したように、ロッド32の下端部には、外周面にネジ溝32bが形成されている。
図3に示したように、先端ブロック33は、ほぼ直方体状で、グレーチングパネル12Aの長孔12aよりも小さな断面形状を有している。先端ブロック33の一端側には、ネジ孔33aが形成されている。先端ブロック33は、ネジ孔33aにロッド32の下端部をねじ込むことで、ロッド32に取り付け可能となっている。また、先端ブロック33を回転させることで、ロッド32の長さ方向における先端ブロック33の位置を調整できるようになっている。ロッド32に対する先端ブロック33の位置は、イモネジ42によって固定できるようになっている。
【0016】
図1に示したように、このような固定金具30Aは、頭部ブロック31のブロック本体34を長孔12a内に挿入し、プレート35をグレーチングパネル12Aの上面に当てた状態で、ロッド32の下端部に取り付けられた先端ブロック33の上面との間に、フレーム材20を挟み込むようにして設置する。このとき、コイルスプリング38が圧縮状態となるようにする。コイルスプリング38の付勢力によって、プレート35と先端ブロック33は互いに接近する方向の付勢力が作用するため、グレーチングパネル12Aはフレーム材20に引き寄せられるようにして保持・固定される。
【0017】
固定金具30Aでグレーチングパネル12Aをフレーム材20に固定するには、図3に示したように固定金具30Aを予め組み立てておく。このとき、頭部ブロック31のプレート35と先端ブロック33との間隔S1は、フレーム材20上にグレーチングパネル12Aをセットした状態でのフレーム材20の下面とグレーチングパネル12Aとの間隔S2(図1参照)よりも小さくなるよう、ロッド32に対する先端ブロック33の位置を調整しておく。さらに、コイルスプリング38を圧縮して頭部ブロック31に対してロッド32を先端ブロック33側に変位させたときの頭部ブロック31のプレート35と先端ブロック33との間隔S1’が、フレーム材20の下面とグレーチングパネル12Aとの間隔S2よりも大きくなるよう、ロッド32に対する先端ブロック33の位置を調整しておく。位置を調整した先端ブロック33は、イモネジ42を締め付けることでロッド32に対する位置を固定しておく。
【0018】
そして、図6(a)に示すように、固定金具30Aを、グレーチングパネル12Aの上方から長孔12aに差し込む。先端ブロック33およびブロック本体34は長孔12aよりも小さな断面形状を有しているので、長孔12aに挿入することができる。
先端ブロック33が長孔12aを通過した後、図6(b)に示すように、拡径部40を回転させ、先端ブロック33をフレーム材20に干渉しない向きにする。
先端ブロック33、ロッド32、およびブロック本体34が長孔12a内に挿入され、プレート35がグレーチングパネル12Aの上面に当たることで、固定金具30Aの下方への移動が規制される。この状態で、ブロック本体34は長方形状であるため、長孔12a内でその回転が拘束される。この状態で、コイルスプリング38は圧縮しておらず、先端ブロック33は、その上面がフレーム材20の下面よりも上方に位置している。
【0019】
次いで、拡径部40を、レンチやドライバ等の所定の工具でロッド32の軸方向に押し込みながら回転させる。すると、図7に示すように、コイルスプリング38が圧縮され、先端ブロック33が押し下げられ、その上面がフレーム材20の下面よりも下方に位置する。
そして、拡径部40を押し込んだ状態のまま、拡径部40を回転させる。すると、図3(b)に示したように、先端ブロック33がロッド32と一体に回転し、先端ブロック33の端部がフレーム材20の下方に入り込む。そこで、拡径部40の押し込みを止めると、コイルスプリング38の反発力によってロッド32が押し上げられ、先端ブロック33の上面がフレーム材20の下面に当たる。この状態で、図1に示したように、コイルスプリング38の付勢力によって、グレーチングパネル12Aとフレーム材20は、プレート35と先端ブロック33に挟み込まれ、グレーチングパネル12Aがフレーム材20に保持・固定される。
一枚のグレーチングパネル12Aに対し、複数本の固定金具30Aを同様に取り付けていくことで、グレーチングパネル12Aの固定作業が完了する。
【0020】
なお、上記に示した例は、H型鋼20Aをフレーム材20に用い、先端ブロック33を、H型鋼20Aの上部フランジ20fの下面に引っ掛けた場合の例である。
フレーム材20としては、他のものを用いることができ、例えば図8に示すような断面矩形の鋼管20Bをフレーム材20とすることもできる。グレーチングパネル12Aを鋼管20Bに取り付ける場合、ロッド32を、図1で示した場合に用いたものとは異なる長さのものに交換すればよい。
【0021】
上述したようにして、固定金具30Aを用いることで、グレーチングパネル12Aとフレーム材20をコイルスプリング38の付勢力によってプレート35と先端ブロック33の間に挟み込んで、グレーチングパネル12Aをフレーム材20に保持・固定することができる。これによって、地震時等においても、グレーチングパネル12Aがずれたり外れたりするのを防ぐことができる。
ここで、固定金具30Aは、グレーチングパネル12Aの長孔12aを通して、グレーチングパネル12Aの上方から挿入することができる。したがって、グレーチングパネル12Aが既設のものであっても、グレーチングパネル12Aに追加の加工を施す必要がないのはもちろんのこと、グレーチングパネル12Aを取り外すこともなく、グレーチングパネル12Aをフレーム材20上に敷設したままの状態で固定金具30Aの取り付けが行える。しかも、その取り付けは、工具で拡径部40を押し込みながら回転させるのみでよく、これによって先端ブロック33をフレーム材20に引っ掛けてグレーチングパネル12Aの固定作業が完了する。したがって、施工性にも非常に優れ、専門の作業者でなくとも、容易かつ確実に固定金具30Aの取り付けが行える。
また、コイルスプリング38の弾性を利用することで、取り付けを容易に行いつつ、取り付け完了後には先端ブロック33と頭部ブロック31とでグレーチングパネル12Aとフレーム材20を確実に挟み込むことができ、グレーチングパネル12Aの確実な固定が行える。
【0022】
加えて、フレーム材20の厚さも応じてロッド32を長さが異なるものに交換したり、頭部ブロック31や先端ブロック33をグレーチングパネル12Aの長孔12aの形状や大きさに対応したものに交換することで、様々な現場で広く固定金具30Aを用いることができる。このような場合、ロッド32の長さや、頭部ブロック31や先端ブロック33の大きさが異なるものを予め複数種用意しておくことで、固定金具30Aは非常に汎用性の高いものとなる。
【0023】
ところで、頭部ブロック31のプレート35には、マーク等を印すこともできる。たとえば、プレート35の上面に蛍光塗料や蓄光塗料を塗布したり、反射材等を貼り付ける。そして、このようなプレート35を備えた固定金具30Aを、工場内の避難経路に沿って配置してグレーチングパネル12Aの固定を行うこともできる。これにより、固定金具30Aを、避難経路を示すマークとして用いることもできる。もちろん、プレート35に印すマークは、他の目的のものとすることができる。
【0024】
上記のような構成の技術は、長孔12aを有したグレーチングパネル12Aだけではなく、図9に示すように、孔の形成されていないフラットパネル12Bを固定する場合に用いることも可能である。
その場合、図9、図10に示すように、固定金具(フロアパネル固定金具)30Bは、フラットパネル12Bに係止される頭部ブロック50と、ロッド32と、フレーム材20に係止される先端ブロック33とから構成される。なお、以下の説明において、図1に示した固定金具30Aと共通する構成については、同符号を付してその説明を省略する。
【0025】
頭部ブロック50は、フラットパネル12Bの下面側に配置されるブロック本体(ブロック部)51と、フラットパネル12Bの上面側に配置されるプレート(プレート部)52とを有している。
図10、図11に示すように、ブロック本体51は、直方体状で、その一面には、フラットパネル12Bの下面に設けられている補強用のリブ53に噛み合う溝51aが、リブ53の設置間隔に合わせて少なくとも2本形成されている。ブロック本体51には、互いに隣接する溝51a、51aの間に凹部36が形成されている。また、プレート52には、凹部36に対応した位置に孔37が形成されている。
これらブロック本体51、プレート52は、フラットパネル12Bの下面側においてブロック本体51の溝51a、51aをフラットパネル12Bのリブ53、53にかみ合わせた状態で、フラットパネル12Bの上面側にプレート52を配置し、これらをボルト(図示無し)等で一体に連結するようになっている。このためブロック本体51には、ボルト(図示無し)がねじ込まれるネジ穴55が形成され、プレート52には、ネジ穴55に対応した位置にボルト(図示無し)が挿入される貫通孔56が形成されている。また、フラットパネル12Bには、プレート52の孔37、貫通孔56に対応した位置と、これらとほぼ同径の孔(図示無し)が形成されている。
【0026】
凹部36には、コイルスプリング38が収容されている。コイルスプリング38は、凹部36の内径よりも小さく、かつ、孔37の内径よりも大きな外径を有している。これにより、コイルスプリング38は、孔37から抜け出ることなく、凹部36内に収容されている。
【0027】
ブロック本体51には、プレート52が設けられた側と反対側の端面51bから凹部36に貫通する孔39が形成され、ロッド32が、凹部36および孔39に挿入される。
ロッド32の上端部には拡径部40が形成されている。拡径部40を下方に押せばコイルスプリング38が圧縮され、これにともなってロッド32が下方に移動可能となっている。
そして、ロッド32の下端部は、先端ブロック33のネジ孔33aにねじ込まれている。
【0028】
このような固定金具30Bは、頭部ブロック50のブロック本体51を、凹部36内にコイルスプリング38を収容した状態でフラットパネル12Bの下面側にセットし、フラットパネル12Bの上面側にはプレート52をセットし、これらをボルト等で一体に連結することで、頭部ブロック50をフラットパネル12Bに取り付ける。これにより、頭部ブロック50は、フラットパネル12Bに対し、その上下方向および回転方向に拘束された状態となる。
【0029】
そして、拡径部40が取り付けられたロッド32を、プレート52側から、孔37、フラットパネル12Bの孔(図示無し)、コイルスプリング38を通し、ブロック本体51の孔39に挿入する。
そして、ロッド32の下端部に先端ブロック33を取り付ける。このとき、頭部ブロック50のプレート52と先端ブロック33との間隔が、フレーム材20上にフラットパネル12Bをセットした状態でのフレーム材20の下面とフラットパネル12Bとの間隔よりも小さくなるよう、ロッド32に対する先端ブロック33の位置を調整する。さらに、コイルスプリング38を圧縮して頭部ブロック50に対してロッド32を先端ブロック33側に変位させたときの頭部ブロック50のプレート52と先端ブロック33との間隔が、フレーム材20の下面とフラットパネル12Bとの間隔よりも大きくなるよう、ロッド32に対する先端ブロック33の位置を調整する。
このようにして、固定金具30Bがフラットパネル12Bに取り付けられる。ここで、固定金具30Bのフラットパネル12Bへの取り付けは、フラットパネル12Bをフレーム材20から取り外した状態で行う。
【0030】
そして、所定本数の固定金具30Bを予め取り付けたフラットパネル12Bを、フレーム材20上にセットする。このとき、先端ブロック33は、フレーム材20に干渉しない向きにしておく。
この後は、図1、図6、図7に示した固定金具30Aと同様に、各固定金具30Bの先端ブロック33を押し下げながら回転させてフレーム材20に引っ掛ければよい。すなわち、拡径部40を、レンチやドライバ等の所定の工具でロッド32の軸方向に押し込みながら回転させる。すると、コイルスプリング38が圧縮され、先端ブロック33が押し下げられ、その上面がフレーム材20の下面よりも下方に位置する。
そして、拡径部40を押し込んだ状態のまま、拡径部40を回転させる。すると、先端ブロック33がロッド32と一体に回転し、先端ブロック33の端部がフレーム材20の下方に入り込む。そこで、拡径部40の押し込みを止めると、コイルスプリング38の反発力によってロッド32が押し上げられ、先端ブロック33の上面がフレーム材20の下面に当たる。この状態で、コイルスプリング38の付勢力によって、フラットパネル12Bとフレーム材20は、プレート52と先端ブロック33に挟み込まれ、フラットパネル12Bがフレーム材20に保持・固定される。
【0031】
なお、上記した固定金具30Bを既設のフラットパネル12Bの固定に用いる場合は、フラットパネル12Bに孔(図示無し)を後加工で形成する必要がある。
【0032】
このような固定金具30Bによっても、フラットパネル12Bとフレーム材20をコイルスプリング38の付勢力によってプレート52と先端ブロック33の間に挟み込んで、フラットパネル12Bをフレーム材20に保持・固定することができる。これによって、地震時等においても、フラットパネル12Bがずれたり外れたりするのを防ぐことができる。しかも、その取り付けは、工具で拡径部40を押し込みながら回転させるのみでよく、これによって先端ブロック33をフレーム材20に引っ掛けてフラットパネル12Bの固定作業が完了する。したがって、施工性にも非常に優れ、専門の作業者でなくとも、容易かつ確実に固定金具30Bによるフラットパネル12Bの固定が行える。
また、コイルスプリング38の弾性を利用することで、取り付けを容易に行いつつ、取り付け完了後には先端ブロック33と頭部ブロック31とでフラットパネル12Bとフレーム材20を確実に挟み込むことができ、フラットパネル12Bの確実な固定が行える。
また、固定金具30Aに対しては、グレーチングパネル12A用の頭部ブロック31をフラットパネル12B用の頭部ブロック50に交換するのみで固定金具30Bを構成することができる。したがって、これらを予め用意しておくことで、非常にシステマチックな金具製品群を構成することができる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、固定金具30A、30Bの構成を詳細に示したが、各部の形状はその機能を果たす限りいかなるものとしても良い。また、固定金具30Aの頭部ブロック31を、固定金具30Bの頭部ブロック50と同様の構成でグレーチングパネル12Aに取り付ける構成とすることも可能である。ただしこの場合、グレーチングパネル12Aへの取付作業性は、頭部ブロック31の方が優れる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施の形態における固定金具を用いたフロアパネルの固定構造を示す断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】固定金具を示す図であって、(a)は立面図、(b)は平面図である。
【図4】頭部ブロックを示す図であって、(a)は平面図、(b)は立面図である。
【図5】ロッドを示す立面図である。
【図6】固定金具を取り付ける方法を示す図である。
【図7】図6に続く状態を示す図である。
【図8】他の形状のフレーム材に固定金具を取り付ける場合の例を示す図である。
【図9】本実施の形態における固定金具を用いてフラットパネルを固定する場合の構成を示す断面図である。
【図10】図9に示した固定金具の立面図である。
【図11】プレートおよびブロック本体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0035】
10…パネル床、12…フロアパネル、12A…グレーチングパネル、12B…フラットパネル、12a…長孔(開口)、20…フレーム材、20A…H型鋼、20B…鋼管、30A、30B…固定金具(フロアパネル固定金具)、31、50…頭部ブロック、32…ロッド、33…先端ブロック、34、51…ブロック本体(ブロック部)、35、52…プレート(プレート部)、36…凹部、38…コイルスプリング(付勢部材)、40…拡径部、51a…溝、53…リブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体に支持された支持部材上に配置されたフロアパネルを、前記支持部材に固定するためのフロアパネル固定金具であって、
前記支持部材の下方に配置される先端ブロックと、
前記フロアパネルにセットされる頭部ブロックと、
前記頭部ブロックに対して上下方向に移動可能に支持され、下端部に前記先端ブロックが設けられたロッドと、
前記先端ブロックと前記頭部ブロックとで前記フロアパネルと前記支持部材とを挟み込むため、前記ロッドを前記頭部ブロック側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記フロアパネル固定金具で前記フロアパネルを固定するときには、前記頭部ブロックを、前記ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、かつ少なくとも前記先端ブロック側への移動が拘束された状態で前記フロアパネルに取り付け、
前記ロッドを前記付勢部材の付勢力に抗して押し下げて前記先端ブロックを前記支持部材よりも下方に移動させた状態で、前記ロッドとともに前記先端ブロックを回転させて前記先端ブロックの一部を前記支持部材の下方に位置させ、前記ロッドの押し下げを中止して前記付勢部材の付勢力によって前記先端ブロックの一部を前記支持部材の下面に押し付けた状態とすることを特徴とするフロアパネル固定金具。
【請求項2】
前記フロアパネルが、長孔形状の開口が複数形成された格子状のグレーチングパネルであるとき、
前記頭部ブロックは、前記開口に対応して一方向に長い直方体状のブロック部と、前記ブロック部の上部に設けられて前記開口より大きな面積を有したプレート部とから構成され、
前記ブロック部を前記開口の内側に配置し、前記プレート部を前記グレーチングパネルの上面に当てることで前記ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、かつ少なくとも前記先端ブロック側への移動が拘束されることを特徴とする請求項1に記載のフロアパネル固定金具。
【請求項3】
前記頭部ブロックは、前記フロアパネルの下側に配置されるブロック部と、前記フロアパネルの上側に配置されるプレート部と、前記ブロック部と前記プレート部とを締結する締結部材とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアパネル固定金具。
【請求項4】
前記フロアパネルの下面側に補強用のリブが形成され、
前記ブロック部には、前記リブに噛み合う溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のフロアパネル固定金具。
【請求項5】
前記先端ブロックは、前記ロッドに対する固定位置が変更可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフロアパネル固定金具。
【請求項1】
建物の躯体に支持された支持部材上に配置されたフロアパネルを、前記支持部材に固定するためのフロアパネル固定金具であって、
前記支持部材の下方に配置される先端ブロックと、
前記フロアパネルにセットされる頭部ブロックと、
前記頭部ブロックに対して上下方向に移動可能に支持され、下端部に前記先端ブロックが設けられたロッドと、
前記先端ブロックと前記頭部ブロックとで前記フロアパネルと前記支持部材とを挟み込むため、前記ロッドを前記頭部ブロック側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記フロアパネル固定金具で前記フロアパネルを固定するときには、前記頭部ブロックを、前記ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、かつ少なくとも前記先端ブロック側への移動が拘束された状態で前記フロアパネルに取り付け、
前記ロッドを前記付勢部材の付勢力に抗して押し下げて前記先端ブロックを前記支持部材よりも下方に移動させた状態で、前記ロッドとともに前記先端ブロックを回転させて前記先端ブロックの一部を前記支持部材の下方に位置させ、前記ロッドの押し下げを中止して前記付勢部材の付勢力によって前記先端ブロックの一部を前記支持部材の下面に押し付けた状態とすることを特徴とするフロアパネル固定金具。
【請求項2】
前記フロアパネルが、長孔形状の開口が複数形成された格子状のグレーチングパネルであるとき、
前記頭部ブロックは、前記開口に対応して一方向に長い直方体状のブロック部と、前記ブロック部の上部に設けられて前記開口より大きな面積を有したプレート部とから構成され、
前記ブロック部を前記開口の内側に配置し、前記プレート部を前記グレーチングパネルの上面に当てることで前記ロッドの軸線に直交する面内での回転が拘束され、かつ少なくとも前記先端ブロック側への移動が拘束されることを特徴とする請求項1に記載のフロアパネル固定金具。
【請求項3】
前記頭部ブロックは、前記フロアパネルの下側に配置されるブロック部と、前記フロアパネルの上側に配置されるプレート部と、前記ブロック部と前記プレート部とを締結する締結部材とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアパネル固定金具。
【請求項4】
前記フロアパネルの下面側に補強用のリブが形成され、
前記ブロック部には、前記リブに噛み合う溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のフロアパネル固定金具。
【請求項5】
前記先端ブロックは、前記ロッドに対する固定位置が変更可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフロアパネル固定金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−2093(P2009−2093A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165871(P2007−165871)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(502368912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(502368912)
【Fターム(参考)】
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