説明

フロルフェニコールのプロドラッグを含む組成物

本発明は、哺乳動物にフロルフェニコールを投与するための組成物及び方法を提供する。組成物は、薬学的に許容される担体内にフロルフェニコールプロドラッグを含む。1実施態様では、プロドラッグは、フロルフェニコールのエステル化体である。好適なプロドラッグの例は、次の1つ又はそれらの組み合わせである:酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ペンタン酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、ペプタン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、ノナン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ウンデカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコール。別の実施態様では、プロドラッグは、1以上のエステラーゼの作用によりin vivoでフロルフェニコールに変換される。本発明はまた、新規化合物、当該化合物を含む医薬組成物、及びその投与方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物において使用するためのプロドラッグに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
発明の背景の次の考察は、読者の本発明の理解を助けるために提供されるに過ぎず、本発明に対する先行技術を記載又は構築を承認するものではない。
【0003】
フロルフェニコールは、クロラムフェニコール及びチアンフェニコールの構造アナローグであり、クロラムフェニコール及びチアンフェニコール構造のC-3に位置する水酸基の代わりにフッ素原子を有する。クロラムフェニコール及びチアンフェニコールに対する細菌耐性は、通常、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼの作用による、3'水酸基のアセチル化に起因する。フロルフェニコールは、3'水酸基を有さないため、かかる不活性化のメカニズムはフロルフェニコールでは可能ではなく、そのため、フロルフェニコールは有用性の高い抗生物質になる。
【0004】
フロルフェニコールは、様々な微生物、例えばシトロバクター属(Citrobacter)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mira bilis)、プロテウ属(Proteus sp.)、赤痢菌(Shigella)、サルモネラ属(Saimonella)、プロビデンシア属(Providencia)、バクテロイデス属(Bacteroides)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcos aureus)、エンテロコッカス属(Enterococci)、パスツレラ肺炎(Pasteurella haemolytica)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ヘモフィルス・ソムナス(Haemophilus somnus)及びヘモフィルス-インフルエンザ(Haemophilus influenza)に対して活性である。反対に、セラチア菌(Serratina marcescens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びアシネトバクター属(Acinetobacter)は、フロルフェニコールに対して抵抗性であることが見出された。文献によれば、様々な細菌に対するフロルフェニコールの典型的なMIC(最小阻害濃度)は、0.3〜1 μg/mlの範囲である。
【0005】
抗生物質の投薬スケジュールは、感染を除去するために十分な期間、標的生物に対して上記MICを越える血清又は組織レベルを維持するように設計される。迅速に除去される薬物は、有効レベルを維持するようにより頻繁に投与される必要がある。いくつかの高親水性薬物の場合には、当該薬物は系からかなり迅速に除去されるため、一日に複数回の使用が必要とされる。そのため、公知の親水性抗菌性化合物、例えばフロルフェニコールの効用を向上させる必要性がある。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
1つの局面では、本発明は、フロルフェニコールのプロドラッグ及び薬学的に許容される担体を注射用組成物中に含む組成物を提供する。1実施態様では、フロルフェニコールのプロドラッグは少なくとも200 mg/mlの濃度で組成物中に存在するが、別の実施態様では、フロルフェニコールのプロドラッグは少なくとも約300 mg/mlの濃度で組成物中に存在する。更に別の実施態様では、プロドラッグは、フロルフェニコールのエステル化体である。様々な実施態様では、プロドラッグは、次の1又はそれらの組み合わせである:酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ペンタン酸フロルフェニコール、へキサン酸フロルフェニコール、ペプタン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、ノナン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ウンデカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコール。1実施態様では、プロドラッグは、エステラーゼの作用により、in vivoでフロルフェニコールに変換される。
【0007】
「プロドラッグ」とは、1以上の哺乳動物の酵素により形質転換されてin vitroでフロルフェニコールを与える化学的誘導化合物を意味する。1実施態様では、哺乳動物の酵素はエステラーゼである。様々な実施態様において、プロドラッグは、薬物分子の水酸基と外部酸のカルボキシル基とのエステル結合によって得られるか又は、逆に、フロルフェニコールのエステル化体を形成する。用語「プロドラッグエステル基」は、哺乳動物の体内で水酸化される多くのエステル-形成基のいずれかを言う。プロドラッグエステル基及び外部酸の例は、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタニル、ヘキサニル、ヘプタニル、オクタニル、ノニル、デカニル、ウンデカニル、ドデカニル及びフタリルを含む。好適なプロドラッグエステル基及び外部酸の他の例は、Higuchi及びStella, Vol. 14, American Chemical Society Symposium Series, American Chemical Society (1975)の書籍「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」に見出される。
【0008】
用語「薬学的に許容される担体」は、非-毒性、不活性、固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、包摂材料、又は任意の種類の製剤補助剤を意味する。1実施態様では、薬学的に許容される担体は、プロピレングリコールである。しかし、多くの他の担体も使用できる。薬学的に許容される担体の例は、特に制限されないが、ピロリジン、N-メチルピロリジン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール型(glycerol formal)、イソソルビドジメチルエーテル、エタノール、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリアセチン、又はこれらの任意の組み合わせ、又は類似の許容される性質、例えば非-毒性でかつ水に可溶、を有する別の溶媒を含む。1実施態様では、担体は、グリセロール型のプロピレングリコール(例えば、10%グリセロール型)である。他の薬学的に許容される担体は、ラクトース、グルコース及びショ糖;デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロース;粉末トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバター及び坐薬用ワックス;油剤、例えばピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、大豆油及びノコギリ草油;グリコール、例えばプロピレングリコール;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル及びラウリン酸エチル;アガー;エチルアルコール;並びに、薬剤に用いられる他の非-毒性な相性のよい物質を含む。これら又はこれらの混合物は、液状形態で調製し又は好適な液体に溶解して、担体を形成させることができる。更に他の薬学的に許容される担体は、水不溶性又は水非混和性溶媒を含む。これらの例は、特に制限されないが、ミリスチン酸イソプロピル及び乳酸エチルを含む。
【0009】
用語「注射用」は、シリンジに入れ、哺乳動物の体内に注射するために好適である組成物又は製剤を意味する。組成物及びビヒクルは組織適合性であり、アレルギー反応を引き起こしそうな構成物を含むべきではない。注射用組成物は、組成物中の固形材料の存在に起因する逆効果を引き起こすことなく、哺乳動物の体内に注射することができる。固形材料は、特に制限されないが、粒子、結晶、粘性塊及びゲルを含む。注射用組成物は、筋肉内、静脈内、皮下、皮内、腹膜内又は非経口、又は哺乳動物の体内への他の好適な注射形式で注射することができる。
【0010】
本発明の1注射用組成物は、グリセロール型の10%プロピレングリコールで溶解された本発明の1以上の化合物を含む。1実施態様では、組成物は、油剤、例えば落花生油又はゴマ油に溶解された本発明の1以上の化合物の懸濁液又は溶液を含む。組成物はまた、溶剤、例えば、ピロリジン、N-メチルピロリジン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール型、イソソルビドジメチルエーテル、エタノール、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリアセチン、又はこれらの任意の組み合わせ、又は類似の許容される性質、例えば非-毒性でかつ水に可溶、を有する別の溶媒に溶解された1以上の本発明の化合物を含む。組成物は、場合により、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸及び抗酸化剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムを含むことができる。
【0011】
別の局面では、本発明は新規化合物を提供する。化合物は、次から選ばれる構造を有する1以上の化合物である:酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ペンタン酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、ペプタン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、ノナン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ウンデカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコール。
【0012】
別の局面では、本発明は、哺乳動物への投与のための医薬組成物を提供する。医薬組成物は、注射可能な形態で供給することができる、本明細書に記載の1以上の化合物及び薬学的に許容される担体を含む。
【0013】
別の局面では、本発明は、哺乳動物へのフロルフェニコールの投与方法を提供する。当該方法は、フロルフェニコールのプロドラッグを含む組成物の哺乳動物への投与を含む。1実施態様において、組成物は、注射によって哺乳動物に投与される。組成物は、哺乳動物において薬物デポーを形成することができる。プロドラッグは、1以上の内在性酵素によってフロルフェニコールにin vivoで変換される。1実施態様では、プロドラッグは、少なくとも250 mg/mlの濃度で組成物中に存在する。プロドラッグは、任意の本明細書に記載の化合物又はそれらの組み合わせである。1実施態様では、内在性酵素はエステラーゼである。様々な実施態様では、哺乳動物は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、イヌ又はネコである。組成物は、経口で投与することができ、又は皮下、腹腔内、皮内、筋肉内、又はその他の手段で注射することができる。
【0014】
用語「薬物デポー」は、哺乳動物の体内に位置し、皮膚を介したプロドラッグの注射によって確立されるプロドラッグのリザーバである。薬物デポーは、固体、半固体又は液状形態でよく、処置哺乳動物内にある濃度のプロドラッグを提供する。1実施態様では、薬物デポーは、プロドラッグの沈殿である。デポーは、プロドラッグ源になり、そのため、処置哺乳動物には活性薬物である。薬物デポーは、筋肉内注射によって哺乳動物の筋肉で作られかつ筋肉内に位置することができるが、他の組織内、例えば真皮層又は結合組織内にも設置することができる。1実施態様では、デポーはプロドラッグを放出し、そのプロドラッグは体内で活性薬物に変換される。別の実施態様では、プロドラッグは、薬物デポー又はその近傍にて活性薬物に変換される。別の実施態様では、組成物はその全体が薬物デポーとして働く。
【0015】
用語「内因性酵素」とは、生物自身のタンパク質合成機器によって生物内で産生又は合成される酵素を意味する。内因性酵素は、生物内で一般的に見られる酵素である。それらは、哺乳動物の身体により継続的に産生することができ又は特定の興奮剤に反応して産生することもできる。「エステラーゼ」は、エステル結合の加水分解を触媒する酵素の一般名である。「筋肉内の」とは筋肉内であることを意味する。従って筋肉内注射による投与は、筋肉への注射を意味する。
【0016】
別の局面では、本発明は、哺乳動物へのフロルフェニコールの投与方法を提供する。当該方法は、本発明の1以上の化合物を含む組成物を哺乳動物に投与することを含み、ここで、当該1以上の化合物は、1以上のエステラーゼの作用によりin vivoでフロルフェニコールに変換される。様々な実施態様では、1以上の化合物は、少なくとも250 mg/mlの濃度で組成物中に存在する。
【0017】
上で記載した本発明の概要は特に限定されるものではなく、本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細な説明及びクレームから明らかであろう。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明の組成物及び方法は、既に利用可能な組成物及び方法を越える明確かつ驚くべき利点を有する。フロルフェニコールの可溶化は、通常、相対的に強く厳しい溶媒を必要とするが、本明細書に記載のプロドラッグは、温和な薬理学的に許容される溶媒、例えばグリセロール型に高溶解性である。
【0019】
本発明のプロドラッグは、哺乳動物系に内在するエステラーゼにより活性なフロルフェニコールに効率的に変換される。酪酸エステル及びヘキサン酸エステルのプロドラッグ誘導体は、遊離のフロルフェニコールよりも水溶性が低く、より遅い放出動力学を示すが、酢酸エステルプロドラッグ誘導体は、水溶性が高く、より短い放出時間を示す。これらの化学的特徴は、本発明において有利に用いられる。一般的に、放出速度は、水又は生物流体中の薬物の溶解度に関連する。溶解度が低い場合には、プロドラッグをよりゆっくりと放出するり粘性のデポーが形成される。溶解性が高い場合には、デポーからプロドラッグはより速く放出され、より速い放出速度をもたらす。フロルフェニコールは、様々なエステルへの誘導化により、より疎水的に作製することができる。一般的に、疎水性になればなるほど、誘導体の溶解度は低くなる。従って、一般的に、ヘキサン酸エステル誘導体は、天然のフロルフェニコールよりも低い溶解度である、酪酸エステル誘導体よりも溶解度が低い。従って、薬物の「即効」(fast kill)又は「初期破壊」(initial burst)が望まれる場合には、より短い放出時間を得るには、より溶解性のプロドラッグが有利である。長い放出時間は、残余の生物の成長を阻害するという利点を提供する。
【0020】
更に以下に詳述するように、ウシにおける酪酸フロルフェニコールプロドラッグの単一筋肉内注射は、高血清レベルで、かつフロルフェニコールの商業的入手形態である、NUFLOR(登録商標) (Schering-Plough Corp., Kenilworth, NJ)の筋肉内注射よりも長期間の活性フロルフェニコールを与えた。更に、ネコにおける酪酸エステル及びヘキサン酸エステルプロドラッグ製剤の単一皮下注射は、4〜6日間の期間、最小阻害濃度(MIC)を越える血清フロルフェニコール濃度を与えるが、NUFLOR(登録商標)の血清濃度は、2日後に顕著に低下する、ことが判った(図4)。
【0021】
任意の特定の理論に拘束されるものではないが、注射後に、水溶性の薬学的に許容される担体は、注射部位から拡散し、それによりプロドラッグを含む薬物デポーが形成される、と考えられる。1実施態様では、薬物デポーはプロドラッグの沈殿である。プロドラッグがゆっくりと溶解し、長期間、デポーから血清に放出されるので、それは、内在性エステラーゼによって加水分解され、活性フロルフェニコールに変換され、その結果、フロルフェニコールの継続源を有効なレベルで提供する。従って、フロルフェニコールに関連する問題点は、相対的に親水性のフロルフェニコール分子を高疎水性分子に変換することにより、本発明では解消される。当該高疎水性分子は、長期放出時間を提供する薬物デポーをin vivoで形成する。
【0022】
本発明の組成物及び方法に関する更なる情報は、以下の非限定的実施例に関連して提供される。
【実施例】
【0023】
実施例 1-エステル形成
エステルは、酸とアルコールとの反応により形成することができる。エステル形成は、酸のOH基の、アルコール基による置換であり、アルコールのプロトンは酸のOHと反応して水を形成する、と考えられる。
【0024】
本発明の1実施態様では、エステルは、酸無水物とアルコール(フロルフェニコール)との反応により形成される。従って、形成される誘導体(類)の酸無水物を得、フロルフェニコールを用いる触媒的条件下で反応させると、エステル誘導体は形成される。触媒的条件は、強酸、例えば過塩素酸又は濃硫酸の存在下で提供される。反応は迅速で付可逆であり、右方向にずれる。ほとんど100%の収率が、少量又は過剰でない酸無水物を用いて得られる。反応を以下に記す。
【0025】
【化1】

【0026】
別の実施態様では、フロルフェニコールは、触媒の存在下でカルボン酸と反応することができる。この反応原則は、「フィッシャーエステル化」として知られている。好適な触媒は、強酸、例えば、濃硫酸、塩酸又はp-トルエンスルホン酸を含む。この種の反応は、平衡反応であり、数時間、リフラックスする必要がある。反応が右方向にずれないので、高収率は、過剰量の酸又はアルコールを用いて得られる。
【0027】
第三の方法では、エステルは、酸クロリドをフロルフェニコールと反応させることにより形成することができる。反応は定量的でかつ速い。酸クロリドは対応する誘導体であり、合成される。この反応は、塩化水素を発生し、ピリジンを加えて、この反応生成物を中和する。
【0028】
上記の3種類のエステル形成方法は例に過ぎない。他の方法も当業者に公知であり、本発明に適用できる多くの方法が更に発見されている。かかる他の方法も、本明細書で使用するために考慮される。エステルは幅広い酸から形成することができるので、非常に多数のエステルが可能である。この方法では、いくつかの酸の組み合わせをフロルフェニコールと混合し、いくつかの異なったエステル誘導体を形成する。
【0029】
実施例 2-プロドラッグの調製
単一1段階合成法を用いて、酢酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール及びへキサン酸フロルフェニコールのプロドラッグを図2に示すようにして合成した。用いた方法は酸無水物法であった。
【0030】
従って、フロルフェニコールを対応する酸無水物中で懸濁し、エステル化が起こる好適な条件下、例えば室温で約3時間攪拌しながら、触媒量の過塩素酸を添加した。一般的に、この実施態様は、固形フロルフェニコールの液状無水物への添加を含む。フロルフェニコールは、無水物中では溶解性でなく、懸濁状態で存在する。過塩素酸を添加したら直ちに、生成物が生成し、溶液中に溶解し始めた。しばらく経つと、完全に透明な溶液が得られ、生成物は溶液から結晶化し始めた。以下の実施例は、プロドラッグを調製する好適な方法である。
【0031】
酪酸フロルフェニコール:225 gのフロルフェニコールを、330 mlの酪酸無水物に、オーバー・ヘッド攪拌機及び乾燥チューブを備えた1リットルの丸底フラスコ中で懸濁させた。この懸濁液に、激しく攪拌しながらピペットで1 mlの過塩素酸を加えた。透明溶液を数分で得た。酪酸フロルフェニコールプロドラッグが結晶化する間、攪拌を更に3時間続けた。固体生成物をBuckner漏斗で減圧濾過し、ヘキサンで洗浄した。生成物を最後にエタノール中で結晶化し、結晶生成物をヘキサンで洗浄し、乾燥して、約230 gの固体酪酸フロルフェニコールを得た。
【0032】
酢酸フロルフェニコール:250 gのフロルフェニコールを、330 mlの酢酸無水物に、オーバー・ヘッド攪拌機及び乾燥チューブを備えた1リットルの丸底フラスコ中で懸濁させた。この懸濁液に、激しく攪拌しながらピペットで1 mlの過塩素酸を加えた。透明黄色溶液を数分で得た。攪拌を更に3時間続けた。3時間後、反応混合物を1000 gの氷に注ぎ、攪拌を続け、生成物の懸濁液に到達した。存在する固体を濾過し、500 mlの水に再縣濁し、10分間攪拌し、残余の酢酸を除いた。固体生成物をBuckner漏斗で減圧濾過し、エタノール中で再結晶した。再結晶生成物をヘキサンで洗浄し、乾燥して、約260 gの固体酢酸フロルフェニコールを得た。
【0033】
へキサン酸フロルフェニコール:100 gのフロルフェニコールを、500 gのヘキサン酸無水物に、オーバー・ヘッド攪拌機及び乾燥チューブを備えた1リットルの丸底フラスコ中で懸濁させた。この懸濁液に、激しく攪拌しながらピペットで3 mlの過塩素酸を加えた。透明溶液を数分で得た。生成物、フロルフェニコールへキサン酸プロドラッグを再結晶化する間、更に3時間、攪拌を続けた。固体生成物をBuckner漏斗で減圧濾過し、ヘキサンで洗浄した。生成物を最後にエタノールで再結晶し、再結晶生成物をヘキサンで洗浄し、乾燥して、約117 gの固体へキサン酸フロルフェニコールを得た。
【0034】
フタル酸フロルフェニコール:3.9 gのフロルフェニコール、3.6 gのフタル酸無水物及び7.2 mlのトリエチルアミンの36 mlのジオキサンを、磁気攪拌子及び乾燥チューブを備えた100 mlの丸底フラスコ中で懸濁させた。反応混合物を室温で6時間、攪拌した。6時間後、内容物を300 mlの冷水に注いだ。得られた粘性固体をジクロロメタンに溶解し、飽和重炭酸塩で数回、次いで水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレーターで濃縮した。得られた半固体を酢酸エチル及びヘキサンの混合物で再結晶し、固体生成物4.2 gを得た。
【0035】
実施例 3-In vitro放出動力学
以下の実施例は、酢酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール及びへキサン酸フロルフェニコールに関する製剤の調製、及び放出動力学の解析を示す。他のプロドラッグ製剤は、同一の方法、例えばプロピオン酸フロルフェニコール、ペンタン酸フロルフェニコール、ヘプタン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、ノナン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ウンデカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールを用いて、調製及び分析することができる。各プロドラッグは、300 mg/mlの非-水溶性担体、例えばプロピレングリコール、グリセロール型、N-メチル-ピロリドン(NMP)及びポリエチレングリコール(PEG)の注射用製剤として調製することができた。
【0036】
7.5 gの酪酸フロルフェニコール、へキサン酸フロルフェニコール及び酢酸フロルフェニコールを、各25 ml容フラスコに移した。2.5 mlのプロピレングリコールを各固体に添加し、グリセロール型を添加して最終体積25 mlにした。フラスコを約2時間、シェーカー上に置き、透明均一溶液を得た。
【0037】
透析法を用いて、プロドラッグ製剤のin vitro放出動力学及びフロルフェニコールのNMP溶液を試験した。各製剤の0.5 mlアリコートをSLIDE-A-LYZER(登録商標)透析カセット(Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)に注入し、150 mlのリン酸緩衝生理食塩水、10 mM リン酸塩、120 mM NaCl、pH 7.4を含むフラスコで、各カセットを懸濁した。
【0038】
エステルプロドラッグは、約1時間内にバック内で沈殿するのが観察された。酢酸エステルプロドラッグは、水性担体中ではより溶解性であることが分かったが、より容易に沈殿を形成した酪酸エステル及びヘキサン酸エステル誘導体は、水性担体、例えばリン酸緩衝液中で溶解性が低かった。アリコートを種々の間隔でフラスコから採り、フロルフェニコールエステルをHPLCで決定した。リン酸緩衝生理食塩水で0.2 μmフィルターにより濾過した後、in vitro放出試料を直接注入した。
【0039】
溶媒系としてアセトニトリル及び水を用い、検出223 nmで、試料を逆相C-18カラムで分析した。勾配は、10分かけて、25%アセトニトリルから始めて60%アセトニトリルまで行った。20〜42分間から、アセトニトリルを25%まで下げた。流速は1.2 ml/分であった。
【0040】
図3は、各フロルフェニコールプロドラッグの放出動力学を示す。酢酸エステルプロドラッグは、フロルフェニコールに比べて速い放出動力学を示すことが分かったが、酪酸エステル及びヘキサン酸エステル誘導体は、天然フロルフェニコールに比べて遅い放出動力学を示した。
【0041】
実施例 4-最小阻害濃度
ブタ肝臓エステラーゼ(PLE)の存在又は非存在下で、対照としてフロルフェニコール(N1JFLOR(登録商標), Schering-Plough, Kenilworth, NJ)を用い、各エステル誘導体に関して最小阻害濃度(MIC)を測定した。結果を表1に纏めた。この結果は、プロドラッグがPLEの存在下で天然フロルフェニコールに匹敵するMICを有するが、酵素の非存在下では活性が観察されなかった、ことを示す。高MICは、酪酸エステル及びヘキサン酸エステルプロドラッグよりも、酢酸エステルプロドラッグで観察された。おそらく、酢酸エステルはPLEの低基質であるためである。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例 5-エステラーゼによるプロドラッグの加水分解
イヌ及びネコ血清、及び全血中に存在するエステラーゼによるフロルフェニコールエステルのフロルフェニコールへの変換を試験した。プロドラッグの各々を、グリセロール型の10%プロピレングリコール中のプロドラッグの300 mg/ml溶液の濃度で調製した。これらの調製物の0.1 mlアリコートを1.933 mlの血液及び血清に加え、37℃での活性フロルフェニコールへの変換を試験した。100 μlアリコートを固相抽出(SPE)カートリッジに装填し、薬物/プロドラッグを抽出した。結果を表2に纏めた。全ての3種のエステラーゼがイヌ及びネコの基質であることを示す。
【0044】
【表2】

【0045】
実施例 6-動物間のバラツキ
加水分解速度における動物間のバラツキも試験した。酪酸フロルフェニコールを5匹の異なったイヌ由来の全血に加え、30分後のフロルフェニコールへのパーセント変換をHPLC分析により決定した。結果を表3に示す。加水分解速度において顕著な変化は、5匹の動物群では観察されなかった。
【0046】
【表3】

【0047】
実施例 7-ウシへの筋肉内投与
この実施例は、フロルフェニコール及びプロドラッグの存在について解析する血清のウシへの注射による、様々なフロルフェニコールエステルプロドラッグ製剤の投与を記載する。
【0048】
注射動物由来の血清のHPLC分析は、フロルフェニコールのピークを示したが、エステル誘導体のピークは存在しなかった。これらの結果は、プロドラッグの活性フロルフェニコールへのin vivoでの変換を示す。
【0049】
酪酸フロルフェニコールを、上記のグリセロール型の10%のプロピレングリコールで350 mg/mlに調合し、40 mg/kg/子牛の用量で4頭の子牛に筋肉内注射した。商業的に入手可能なNUFLOR(登録商標)を対照として用い、単一用量20 mg/kg/ラベルで注射した。注射は首及び臀部の筋肉に行った。注射動物由来の血清試料をフロルフェニコールについて分析した、結果を図4に纏めた。NUFLOR(登録商標)を使用した場合には、血清濃度は約4.5 mg/mlまで急速に上昇し、その後、急速に減少した。酪酸フロルフェニコールの場合にも、血清濃度が急速に上昇したが、ゆっくりと減少した。よって、曲線下の面積が拡大し、より長期間、血清中に有効レベルで活性フロルフェニコールを維持した。従って、2〜7日間で、酪酸フロルフェニコールを用いて得られた血清濃度は、NUFLOR(登録商標)を使用した場合に比べて高かった。これらのデータは、プロドラッグ製剤がフロルフェニコールの放出を制御し、長期間、血清中にフロルフェニコールの治療上レベルを維持し、同時にNUFLOR(登録商標)製剤は急速に増加しかつ急速に減少することを示す、ことを示す。
【0050】
実施例 8-ネコへの酪酸フロルフェニコールの皮下投与
酪酸フロルフェニコールを、上記のグリセロール型の10%のプロピレングリコールで350 mg/mlに調合し、40 mg/kg/ネコの用量で2匹のネコに皮下注射した。動物は、5〜6日間、1.0 μg/ml (MIC)より高いフロルフェニコール血清濃度を示し、血清濃度は4〜5 μg/mlでピークとなった。データの説明図を図5に示す。
【0051】
別個の実験では、酪酸フロルフェニコールを、上記のグリセロール型の10%のプロピレングリコールで350 mg/mlに調合し、40 mg/kg/ネコの用量で5匹のネコに皮下注射した。商業的に入手可能なNUFLOR(登録商標)を対照として用い、これも40 mg/kgの用量で注射した。注射動物由来の血清試料をフロルフェニコールの存在について分析した。結果を図8に図解する。NUFLOR(登録商標)の濃度は、血清中で急速に上昇し、その後2日間で、急速に減少した。反対に、酪酸フロルフェニコールの濃度は、急速には上昇せず、NUFLOR(登録商標)の濃度に比べてゆっくりと減少した。従って、酪酸フロルフェニコールは、NUFLOR(登録商標)よりもゆっくりと放出された。図8は、酪酸フロルフェニコールの血清濃度が2〜6日間、NUFLOR(登録商標)より高い、ことを示す。そのため、フロルフェニコールプロドラッグは、NUFLOR(登録商標)よりも長期間、治療的レベルで活性フロルフェニコールの放出を制御した。
【0052】
実施例 9-ネコへのへキサン酸フロルフェニコールの皮下投与
本実施例では、へキサン酸フロルフェニコールを、上記のグリセロール型の10%のプロピレングリコールで300 mg/mlに調合し、40 mg/kg/ネコの用量で2匹のネコに皮下注射した。いずれも動物も、6日間、1.0 μg/mlを越える血清フロルフェニコール濃度を示し、2.5〜4 μg/mlの高濃度であった。結果を図6に示す。
【0053】
実施例 10-ネコへのフロルフェニコール誘導体の混合物の皮下投与
本実施例では、酪酸フロルフェニコール及びへキサン酸フロルフェニコールの1:1の割合の混合物を、上記のグリセロール型の10%のプロピレングリコールで300 mg/mlに調合し、40 mg/kg/ネコの用量で2匹のネコに皮下注射した。いずれも動物も、4〜6日間、1.0 μg/mlを越える血清フロルフェニコール濃度を示し、2.5〜10 μg/mlの高濃度であった。結果を図7に示す。
【0054】
実施例 11-ネコへの酢酸フロルフェニコールの皮下投与
本実施例では、酢酸フロルフェニコールを、上記のグリセロール型の10%のプロピレングリコールで300 mg/mlに調合し、40 mg/kg/ネコの用量で1匹のネコに皮下注射した。血清試料を注射後0、1、6及び24時間に定期的に分析した。結果を下記の表4に纏めた。表4は、注射後の所定の時間間隔でのフロルフェニコール及び酢酸エステルの血清濃度を示す。薬物のかなりの高濃度は、酪酸エステル及びヘキサン酸エステル誘導体を用いる場合よりも、注射後の24時間に見られた。非加水分解酢酸エステルは、約5 μg/mlの血清濃度でも認められた。
【0055】
任意の特定の理論に拘束されるものではないが、発明者らは、酢酸エステルが、酪酸エステル及びヘキサン酸エステルよりも血流に速く放出される、と考えている。しかしながら、加水分解速度は、酢酸エステルでは遅く、これは、内在性エステラーゼの低基質であることに起因する。
【0056】
【表4】

【0057】
本明細書に例証的に記載の発明は、本明細書に具体的に開示された任意の要素(又は複数)、制限(又は複数)の非存在下で実行することができる。使用してきた用語及び説明は、制限ではなく、表現として用いられる。そのような用語及び表現の使用が、そこに示され及び記載される特徴と任意の等価物又はその部分を除く用語及び表現の使用を意図するものではないが、様々な修飾がクレームされた本発明の範囲内にあるだろうことは理解されよう。従って、本発明を様々な実施態様及び任意の特徴により具体的に開示してきたが、開示された本明細書の本質の修飾及び変更が当業者によって方策されることができ、かかる修飾及び変更が添付クレームによって定義される本発明の範囲内にあると考えられる、ことを理解されたい。
【0058】
本明細書で記載又は引用された、論文、特許、特許出願、及び全ての他の文献及び電子的に入手可能な情報は、各文献が参考文献として組み込まれているように具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参考文献として本明細書に組み込まれる。出願人は、かかる任意の論文、特許、特許出願又は他の文献由来の任意及び全ての文献及び情報を本出願に物理的に組み込む権利を保有する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、プロドラッグ変化プロセスの図解である。
【図2】図2は、フロルフェニコールエステルプロドラッグの合成図解である。
【図3】図3は、フロルフェニコール及びフロルフェニコールエステルプロドラッグのin vitro放出動力学の図解である。
【図4】図4は、ウシにおけるフロルフェニコール及びフロルフェニコールエステルプロドラッグの薬物動力学の図解である。
【図5】図5は、ネコにおける酪酸フロルフェニコールの薬物動力学の図解である。
【図6】図6は、ネコにおけるヘキサン酸フロルフェニコールの薬物動力学の図解である。
【図7】図7は、ネコにおける酪酸フロルフェニコール及びヘキサン酸エステルの薬物動力学の図解である。
【図8】図8は、ネコにおける酪酸フロルフェニコール対NUFLOR(登録商標)(Schering-Plough Corp., Kenilworth, NJ)の血清濃度の図解である。
【図9a−c】図9a〜cは、本発明の化合物の例示を提供する。
【図9d−f】図9d〜fは、本発明の化合物の例示を提供する。
【図9g−n】図9g〜nは、本発明の化合物の例示を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射用組成物として提供される、フロルフェニコールのプロドラッグ及び薬学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項2】
前記フロルフェニコールのプロドラッグが、組成物中に少なくとも200 mg/mlの濃度で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記フロルフェニコールのプロドラッグが、組成物中に少なくとも約300 mg/mlの濃度で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記プロドラッグが、フロルフェニコールのエステル化体を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記プロドラッグが、酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ペンタン酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、ペプタン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、ノナン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ウンデカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールの1つ又はそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記プロドラッグが、酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールの1つ又はそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記プロドラッグが、エステラーゼの作用によりin vivoでフロルフェニコールに変換される、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ペンタン酸フロルフェニコール、へキサン酸フロルフェニコール、ペプタン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、ノナン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ウンデカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールからなる群より選ばれる、化合物。
【請求項9】
請求項8記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む、哺乳動物への投与のための医薬組成物。
【請求項10】
前記化合物が、酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールからなる群より選ばれる、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
フロルフェニコールのプロドラッグを含む組成物を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物へのフロルフェニコールの投与方法であって、当該プロドラッグが内在性酵素によってin vivoでフロルフェニコールに変換される、前記方法。
【請求項12】
前記組成物が注射によって投与される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が注射されるとき、前記哺乳動物内で薬物デポーを形成する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記プロドラッグが、前記組成物中に少なくとも250 mg/mlの濃度で存在する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記プロドラッグが、酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ペンタン酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、ペプタン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、ノナン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ウンデカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールからなる群より選ばれる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記プロドラッグが、酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールの1つ又はそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記プロドラッグが、1以上のエステラーゼの作用によりin vivoでフロルフェニコールに変換される、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
前記哺乳動物が、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、イヌ及びネコからなる群より選ばれる、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記プロドラッグが、前記哺乳動物に筋肉内注射される、請求項12記載の方法。
【請求項20】
哺乳動物へのフロルフェニコールの投与方法であって、酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、オクタン酸フロルフェニコール、デカン酸フロルフェニコール、ドデカン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールの1つ又はそれらの組み合わせからなる群より選ばれる化合物を含む組成物を当該哺乳動物に注射することを含み、
ここで、その1以上の化合物が、1以上の内在性エステラーゼの作用により、in vivoでフロルフェニコールに変換される、
前記方法。
【請求項21】
前記1以上の化合物が、酢酸フロルフェニコール、プロピオン酸フロルフェニコール、酪酸フロルフェニコール、ヘキサン酸フロルフェニコール、及びフタル酸フロルフェニコールの1つ又はそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記1以上の化合物が、前記組成物中に少なくとも250 mg/mlの濃度で存在する、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記哺乳動物が、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、イヌ及びネコからなる群より選ばれる、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記製剤が、前記哺乳動物に筋肉内注射される、請求項23記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9a−c】
image rotate

【図9d−f】
image rotate

【図9g−n】
image rotate


【公表番号】特表2006−528177(P2006−528177A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521089(P2006−521089)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/021260
【国際公開番号】WO2005/009429
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(505388551)アイデックス ラボラトリーズ,インコーポレイティド (11)
【Fターム(参考)】