説明

フロントローダ

【課題】ブームの上げ動作に連動してバケットがダンプ動作するように制御バルブを操作することでバケットの姿勢を保持させるスピルガードリンク機構を備えたフロントローダにおいて、ブームの上げ動作時におけるバケットの前記ダンプ動作を検出する検出リンクが地面等に接当するのを回避する。
【解決手段】スピルガードリンク機構21の検出リンク22を、バケット4を回動自在に支持するバケット枢支軸14の近傍で且つブーム3の下面3aよりも上側でバケットブラケット13に枢支連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントローダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブームの上げ動作時にバケット内の土等のこぼれ防止を図ったフロントローダとして特許文献1に記載のフロントローダがある。
このフロントローダは、トラクタの前部に固定されるブーム支持体と、このブーム支持体に後端側が左右軸回りに回動自在に支持されていて上下揺動自在なブームと、このブームの先端側にバケット枢支軸を介して枢支されたバケットブラケットと、このバケットブラケットに固定されていてバケット枢支軸回りに回動自在なバケットとを備えている。
【0003】
前記ブームは該ブームの中途部とブーム支持体とにわたって設けられたブームシリンダの伸縮によって上げ及び下げ動作される。
前記バケットはバケットシリンダの伸縮によってスクイ及びダンプ動作される。このバケットシリンダのボトム側端部はブームの中途部に枢支連結され、該バケットシリンダのピストンロッドの先端側は一対のバケットリンクの一端側に枢支連結されている。一方のバケットリンクの他端側はバケットブラケットのバケット枢支軸の上方側に枢支連結され、他方のバケットリンクの他端側はブームの下面に下方突出状に固定された枢支ブラケットに枢支連結されている。
【0004】
このフロントローダでは、バケットシリンダのピストンロッドを突出させることによりバケットがダンプ動作され、バケットシリンダのピストンロッドを退避させることによりバケットがスクイ動作される。
また、このフロントローダにあっては、ブームの上げ動作時にバケットをダンプ動作させるための制御バルブと、この制御バルブをブームの上げ動作に連動してバケットがダンプ動作するように操作することでバケットの姿勢を保持させるスピルガードリンク機構とを備えている。
【0005】
すなわち、このフロントローダでは、バケットを該バケットで土等を掬って持ち上げた持上げ姿勢にした状態でブームを上げ動作すると、スピルガードリンク機構によって制御バルブが中立位置から制御位置に操作されてバケットがダンプ動作して該バケットが持上げ姿勢に保持され、これによってバケット内の土等のこぼれ防止が図られるよう構成されている。
【0006】
前記スピルガードリンク機構は、バケットのブームの上げ動作時におけるバケットのダンプ動作を制御バルブにフィードバックさせて制御バルブを中立位置に戻される方向に操作されるべく、バケットの前記ダンプ動作を検出する検出リンクを備えている。
この検出リンクは、ブームの先端側に配置され、その一端側は前記他方のバケットリンクの他端側に設けた連結部に枢支連結されていてバケットのダンプ動作を前記他方のバケットリンクの動きによって検出している。
【0007】
なお、検出リンクの他端側は、ブームの前部に設けられていて左右軸回りに回動自在な回動アームの先端側に枢支連結され、回動アームの先端側は連動機構を介して制御バルブのスプールに連動連結されている。前記制御バルブはブーム支持体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−52287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来のフロントローダにあっては、スピルガードリンク機構の検出リンクの一端側が他方のバケットリンクの他端側の連結部に枢支連結され、該他方のバケットリンクの他端側はブームの下面に下方突出状に固定された枢支ブラケットに枢支連結されていることから、検出リンクの一端側が地面等に接当する惧れがあるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題を解消することができるフロントローダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
請求項1に係る発明では、ブームシリンダによって上げ及び下げ動作されるブームと、このブームの先端側にバケット枢支軸を介して枢支されたバケットブラケットと、このバケットブラケットに固定されていて該バケットブラケットをバケットシリンダによってバケット枢支軸回りに回動させることによりスクイ及びダンプ動作するバケットと、ブームの上げ動作時にバケットをダンプ動作させるための制御バルブと、ブームの上げ動作に連動してバケットがダンプ動作するように前記制御バルブを操作することでバケットの姿勢を保持させるスピルガードリンク機構とを備え、このスピルガードリンク機構は、ブームの先端側に配置されていてブームの上げ動作時におけるバケットの前記ダンプ動作を検出する検出リンクを備えているフロントローダにおいて、
前記検出リンクを、バケット枢支軸の近傍で且つブームの下面よりも上側でバケットブラケットに枢支連結したことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、ブームの前部に回動支軸回りに回動自在に支持されていて連動機構を介して前記制御バルブに連動連結される回動アームを設け、この回動アームと一体回動する連動アームを設け、この連動アームに検出リンクの後端側を枢支連結し、この検出リンクの後端側の枢支部をブームの下面より上方に位置させると共に該検出リンクの前端側の枢支部をバケット枢支軸の軸心より上方に位置させたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明では、前記ブームは左右一対設けられ、前記検出リンクを一方のブームの左右方向内側方に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、スピルガードリンク機構の検出リンクをバケット枢支軸の近傍で且つブームの下面よりも上側でバケットブラケットに枢支連結することにより、検出リンクを地面等との接当を回避することができる。
請求項2に係る発明によれば、検出リンクの前端側の枢支部をバケット枢支軸の軸心より上方に位置させることができ、地面等との接当の回避をさらに確実に行える。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、検出リンクをブームの左右方向内側方に配置することにより、ブームによって検出リンクの側方をガードすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係るフロントローダの側面図である。
【図2】第1実施形態に係るフロントローダの平面図である。
【図3】第1実施形態に係るフロントローダの要部の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係るフロントローダの右側ブーム前部の側面図である。
【図5】第1実施形態に係るフロントローダの右側ブーム中途部の側面図である。
【図6】第1実施形態に係るフロントローダの右側ブーム後部の側面図である。
【図7】第1実施形態に係るフロントローダの右側ブームの平面図である。
【図8】第1実施形態に係るフロントローダの右側ブームの背面図である。
【図9】第1実施形態に係るフロントローダの右側ブームの中途部の底面図である。
【図10】フロントローダの油圧回路図である。
【図11】第2実施形態に係るフロントローダの側面図である。
【図12】第2実施形態に係るフロントローダの平面図である。
【図13】第2実施形態に係るフロントローダの右側ブーム前部の側面図である。
【図14】第2実施形態に係るフロントローダの右側ブーム中途部の側面図である。
【図15】第2実施形態に係るフロントローダの右側ブーム後部の側面図である。
【図16】第2実施形態に係るフロントローダの右側ブームの前部の平面図である。
【図17】第2実施形態に係るフロントローダのスピルガードリンク機構の一部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図10は、第1実施形態を示し、図11〜図17は第2実施形態を示す。
第1実施形態はバケットリンクの無いタイプのフロントローダに本発明を採用した例を示し、第2実施形態はバケットリンクの有るタイプのフロントローダに本発明を採用した例を示す。
【0017】
図1〜3において、符号1は、トラクタの前部に装着されるフロントローダであり、該フロントローダ1は、トラクタに取り付けられる取付フレーム2と、この取付フレーム2に上下揺動自在に支持されたブーム3と、このブーム3の先端側(前端側)に取り付けられたバケット4とを有する。
取付フレーム2及びブーム3は左右一対設けられ、これら取付フレーム2及びブーム3は、トラクタのボンネットを挟んで該ボンネットの左右両側に配置され、バケット4はボンネットの前方に配置される。
【0018】
左右各取付フレーム2は、トラクタの車体に取り付けられた側部フレーム5等に取付固定される取付プレート6と、この取付プレート6から左右方向外方に突出された支持台7と、この支持台7の左右方向外端部に上方突出状に取り付けられたメインフレーム8と、このメインフレーム8に上方突出状でかつ着脱可能に取り付けられたサイドフレーム9(ブーム支持体)とで構成されている。
【0019】
左右のブーム3は、その基端側(後端側)が左右方向で同じ側にあるサイドフレーム9の上部にブーム支軸10を介して左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されていて上下揺動(上げ動作及び下げ動作)自在とされている。
左右のブーム3は、長手方向中途部において、円筒状等のブーム連結体11によって相互に連結されている。
【0020】
また、ブーム3の長手方向中途部とサイドフレーム9の上下方向中途部とにわたって複動式油圧シリンダからなるブームシリンダ12が設けられ、この左右ブームシリンダ12の伸縮によってブーム3が上下に揺動可能とされている(ブームシリンダ12を伸長させることによりブーム3が上げ動作され、ブームシリンダ12を収縮させることによりブーム3が下げ動作される)。
【0021】
ブームシリンダ12は操作レバー等の操作手段によって手動操作されるブーム制御弁57(図10参照)によって制御され、このブーム制御弁57はトラクタ側に設けられる。
また、各ブーム3の先端側(前端側)には、バケットブラケット13がバケット枢支軸14を介して左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されている。
左右各バケットブラケット13はバケット4(バケット本体)の背面下部に溶接等によって固定されており、これによって、バケット4がブーム3の先端側に左右軸回りに揺動可能(スクイ・ダンプ動作可能)に支持されている。
【0022】
当該第1実施形態の場合は、バケットブラケット13がバケット4の一部を構成する部材であるといえる。
バケット4背面下部の左右方向中央部と前記ブーム連結体11の左右方向中央部には、シリンダブラケット16,17がそれぞれ固定され、これらシリンダブラケット16,17にわたって複動式油圧シリンダからなるバケットシリンダ18が設けられ、このバケットシリンダ18の伸縮によってバケット4が上下に揺動可能とされている(バケットシリンダ18を伸長させることによりバケット4がダンプ動作され、バケットシリンダ18収縮させることによりバケット4がスクイ動作される)。
【0023】
バケットシリンダ18は操作レバー等の操作手段によって手動操作されるバケット制御弁58(図10参照)によって制御され、このバケット制御弁58はトラクタ側に設けられる。
左右一方(本実施形態では右側)のサイドフレーム9の左右方向外側面上部には、ブーム3の上げ動作時に該ブーム3の上げ動作に連動してバケット4をダンプ動作させることでバケット4の姿勢を略一定状態に保持するための制御バルブ19(これを自動ダンプ制御バルブという)が設けられている。
【0024】
また、この自動ダンプ制御バルブ19は、バケット4のスクイ動作時に、水平面に対するバケット4の傾斜角度がバケット4から土や土砂等のスクイ物がこぼれる「こぼれ領域」になる手前で(又は「こぼれ領域」になったときに)、バケット4のスクイ動作を停止させる機能を有するものである。
図10に示すように、この自動ダンプ制御バルブ19は、直動スプール形の2位置切換弁から構成され、スプール20が上方突出状に設けられており(図6参照)、スプール20を下方に押し込むことにより中立位置19aから制御位置19bに切り換えられ、また、戻しバネにより中立位置19aに戻るよう構成されている。
【0025】
ブーム制御弁57からブームシリンダ12のボトム側(上げ側)に至る油圧管路59Aと、バケット制御弁58からバケットシリンダ18のボトム側(ダンプ側)至る油圧管路60A及びロッド側(スクイ側)に至る油圧管路60Bとは、この自動ダンプ制御バルブ19を通って配設されており、ブーム制御弁57からブームシリンダ12のロッド側(下げ側)に至る油圧管路59Bは自動ダンプ制御バルブ19を通らないで配設されている。
【0026】
左右一方(本実施形態では右側)のブーム3には、バケットブラケット13と自動ダンプ制御バルブ19とを連動連結するスピルガードリンク機構21が設けられている。
このスピルガードリンク機構21は、主として、ブーム3の上げ動作時にバケット4の姿勢を保持させるべく、自動ダンプ制御バルブ19をブーム3の上げ動作に連動してバケット4がダンプ動作するように操作すると共にバケット4の該ダンプ動作を自動ダンプ制御バルブ19にフィードバックさせるものである。
【0027】
このスピルガードリンク機構21は、ブーム3の先端側に配置されていてバケット4の揺動動作(ダンプ動作及びスクイ動作)を検出する検出リンク22と、ブーム3の前部に回動支軸23を介して左右軸回りに回動自在に支持された回動アーム24と、この回動アーム24と一体回動する連動アーム25と、回動アーム24と自動ダンプ制御バルブ19のスプール20とを連動連結する連動機構26とを有している。
【0028】
検出リンク22は、図4、図7(a)に示すように、右側ブーム3の左右方向内側方(左側方)に配置されると共にブーム3の長手方向に沿うように、また、ブーム3の上下幅内に略収まるように配置されている。
この検出リンク22の前端側は、右側のバケットブラケット13から左右方向内方(左右ブーム3間の中央側)に向けて突設されたリンク支軸27に左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されている。
【0029】
前記リンク支軸27は、バケット枢支軸14の近傍に設けられていると共にバケット枢支軸14の軸心Xよりも上方に位置するように設けられている。したがって、検出リンク22の前端側はバケット枢支軸14の近傍で且つブーム3の下面3aよりも上側でバケットブラケット13に枢支連結され、また、検出リンク22の前端側の枢支部(リンク支軸27に枢支される部分)はバケット枢支軸14の軸心Xより上方に位置している。
【0030】
また、検出リンク22の前部は、バケット4のダンプ側の回動を規制する回動規制部材28の上方に位置している。
回動アーム24は、図4、図7(a)に示すように、右側ブーム3の左右方向内側方に配置され、右側ブーム3の前部から左右方向内方に向けて突設された回動支軸23に左右方向の軸心回りに回動自在に外嵌されて支持されたボス29に基端側が固定されると共に該ボス29からブーム3上面側に突出するように設けられている。
【0031】
連動アーム25は、右側ブーム3の左右方向内側方に配置され、前記回動支軸23に支持された前記ボス29に基端側が固定されると共に該ボス29からブーム3の下面3a側に向けて突出するように設けられている。
前記ボス29を介して回動アーム24と連動アーム25とが一体回動自在とされている。
【0032】
連動アーム25の先端側に検出リンク22の後端側がピン30を介して枢支連結されている。この検出リンク22の後端側の枢支部(ピン30によって枢支される部分)はブーム3の下面3aより上方に位置している。
連動機構26は、図4〜図9に示すように、ブーム3の長手方向中途部に中継軸31を介して左右方向の軸心回りに回動自在に支持された第1中継アーム32と、前記中継軸31を介してブーム3の中途部に左右方向の軸心回りに回動自在に支持された第2中継アーム33と、ブーム3の基端側に揺動支軸34を介して左右方向の軸心回りに回動自在に支持された揺動アーム35と、回動アーム24と第1中継アーム32とにわたって設けられた第1連動リンク36と、第2中継アーム33と揺動アーム35とにわたって設けられた第2連動リンク37と、揺動アーム35と一体回動すると共に自動ダンプ制御バルブ19のスプール20に連動連結されたスプール操作部材38とを有する。
【0033】
中継軸31は、右側ブーム3の右側面から左右方向内方に向けて突設されている。
第1中継アーム32は、右側ブーム3の左右方向内側方に配置され、基端側に前記中継軸31に軸心回りに回動自在に外嵌支持されたボス39を有し、該ボス39からブーム3の下面3a側に向けて突出するように設けられている。
第2中継アーム33は、右側ブーム3の左右方向内側方に配置され、基端側に前記中継軸31に軸心回りに回動自在に外嵌支持されたボス40を有し、該ボス40からブーム3の下面3a側に向けて突出するように設けられている。
【0034】
第1中継アーム32は第2中継アーム33に対してバケット4のスクイ動作時に一体回動するように係合している。
揺動支軸34は、右側ブーム3の基部を枢支するブーム支軸10から左右方向内方に突出するように設けられている。
揺動アーム35は、右側ブーム3の左右方向内側方に配置され、揺動支軸34に外嵌されて左右方向の軸心回りに回動自在に支持されたボス41に基端側が固定されている。
【0035】
第1連動リンク36及び第2連動リンク37も右側ブーム3の左右方向内側方に配置されている。
第1連動リンク36の長手方向の一端側である前端側は回動アーム24の先端側に枢支連結され、該第1連動リンク36の長手方向の他端側である後端側は第1中継アーム32の先端側に枢支連結されている。
【0036】
第2連動リンク37の長手方向の一端側である前端側は第2中継アーム33の先端側に枢支連結され、該第2連動リンク37の長手方向の他端側である後端側は揺動アーム35の先端側に枢支連結されている。
スプール操作部材38は、揺動アーム35に一体形成され且つ前記ボス41に固定されていて揺動アーム35と一体回動する基部アーム42と、自動ダンプ制御バルブ19の上方に配置されていて下端側が自動ダンプ制御バルブ19のスプール20に枢支連結された作動リンク43と、作動リンク43の上端側と基部アーム42の先端側とを連結する連結部材44とから構成されている。
【0037】
連結部材44は、ブーム3の基部及びサイドフレーム9の上部を跨ぐように下向きコ字形に形成されていて左側端部が基部アーム42の先端側に固定され、右端側が作動リンク43の上端側に枢支連結されている。
前記構成のフロントローダ1にあっては、バケット4を該バケット4で土等を掬って持ち上げた持上げ姿勢にした状態でブーム3を上げ動作させると、第2連動リンク37が持ち上げられて揺動アーム35を上方に回動させる。すると、スプール操作部材38の基部アーム42が下方に回動して連結部材44を介して作動リンク43が押し下げられ、これによって、自動ダンプ制御バルブ19のスプール20が押し込まれる。
【0038】
自動ダンプ制御バルブ19のスプール20が押し込まれると、該自動ダンプ制御バルブ19が中立位置19aから制御位置19bに切換えられ、該制御位置19aに切換えられると、ブームシリンダ12のボトム側(上げ側)に供給される作動油の一部がバケットシリンダ18のボトム側(ダンプ側)及びロッド側(スクイ側)に供給される。すると、バケットシリンダ18のピストンのボトム側とロッド側との面積差によりバケットシリンダ18が伸長してバケット4がダンプ動作する。
【0039】
以上のように、ブーム3の上げ動作に連動してバケット4がダンプ動作することによってバケット4が持上げ姿勢に保持され、バケット4内の土等のこぼれ防止が図られる。
一方、ブーム3の上げ動作を停止させると、持上げ姿勢でバケット4のダンプ動作は停止する。
すなわち、バケット4がダンプ動作すると、検出リンク22が前方に引動されて連動アーム25が前方回動すると共に回動アーム24が後方回動する。回動アーム24が後方回動すると第1連動リンク36が後方に押動されて第1中継アーム32が後方回動し、第2中継アーム33から離反する。すると、第2中継アーム33が後方回動可能とされるので、スプール20を押し込む力が解除され、スプール20が戻しバネの付勢力によって押し上げられて作動リンク43及び連結部材44を介して基部アーム42が上方に回動される。基部アーム42が上方回動すると揺動アーム35が下方回動して第2連動リンク37が後方に引動される。
【0040】
自動ダンプ制御バルブ19のスプール20が押し上げられて中立位置19aに戻ると、バケットシリンダ18への作動油の供給が停止され、バケット4のダンプ動作が停止する。
一方、バケット4をスクイ動作させると、検出リンク22が後方に押動されて連動アーム25が後方回動すると共に回動アーム24が前方回動する。回動アーム24が前方回動すると第1連動リンク36が前方に引動されて第1中継アーム32が前方回動し、該第1中継アーム32によって第2中継アーム33が前方回動される。第2中継アーム33が前方回動すると第2連動リンク37が前方に引動されて揺動アーム35が上方回動すると共にスプール操作部材38の基部アーム42が下方回動する。すると、連結部材44を介して作動リンク43が押し下げられ、これによって、自動ダンプ制御バルブ19のスプール20が押し込まれ、中立位置19aから制御位置19bに切換えられる方向にスプール20が操作される。
【0041】
バケット4がスクイ方向に所定角度回動して、水平面に対するバケット4の傾斜角度がバケット4から土や土砂等のスクイ物がこぼれる「こぼれ領域」になる手前で(又は「こぼれ領域」になったときに)、自動ダンプ制御バルブ19が制御位置19bに完全に切り換わる。自動ダンプ制御バルブ19が完全に制御位置19bに切り換わると、バケット制御弁58からバケットシリンダ18のロッド側(スクイ側)へ油圧管路60Bを介して供給される作動油の流通が遮断され、バケット4のスクイ動作を停止させる。
【0042】
このとき、バケット制御弁58によるバケット4のダンプ操作は可能である。
前記第1実施形態のようにバケットリンクの無いタイプのフロントローダ1にあっては、バケットリンクの有るタイプのフロントローダ1に対して、バケット4の回動角が少ないため、検出リンク22の動きは小さいが、回動アーム24と一体回動する連動アーム25を設け、この連動アーム25に検出リンク22の後端側を枢支連結したので、回動アーム24と連動アーム25との長さの比を変えることにより、検出リンク22の動きに連動した第1連動リンク36の動き量を容易に設定することができる。
【0043】
また、連動アーム25を設けることにより、検出リンク22の前端側の枢支部をバケット枢支軸14の軸心Xよりも上方に配置でき、該検出リンク22の前端側の枢支部の地面等との接当を回避することができる。
図11〜図17に示す第2実施形態に係るフロントローダ1は、前述したように、本発明をバケットリンク46A,46Bの有るタイプのフロントローダ1に採用したものである。
【0044】
バケットリンク46A,46Bは一端側がバケットブラケット13のバケット枢支軸14上方に枢支連結された第1バケットリンク46Aと、一端側がブーム3の下面3aに下方突出状に固定された枢支ブラケット47に枢支連結された第2バケットリンク46Bとを有する。
第1バケットリンク46Aと第2バケットリンク46Bとの他端側はバケットシリンダ18のピストンロッド48の先端側に枢支連結されている。
【0045】
また、この第2実施形態に係るフロントローダ1にあっては、バケットブラケット13にバケット4が着脱自在に取り付けられるタイプのものを例示している。したがって、当該第2実施形態にあっては、バケットブラケット13がバケット4とは別体のものを示している。
バケットブラケット13は左右一対のプレート49と、左右プレート49の前端に固定された係合板50とを有する。また、左右のバケットブラケット13は連結部材51によって連結されている。
【0046】
バケット4の背面下部には、バケットブラケット13の係合板50が嵌合する嵌合部52と、バケット4がバケットブラケット13から離脱するのを阻止するロック機構(図示省略)とが設けられている。
また、図13及び図17に示すように、回動支軸23はブーム連結体11に取付固定された支持ブラケット53に設けられている。
【0047】
また、図17(b)に示すように、中継軸31はバケットシリンダ18のボトム側を枢支するシリンダ支軸54に一体形成されている。
また、第1中継アーム32には、バケット4のスクイ動作時に第2中継アーム33と一体回動するように第2中継アーム33に係合する係止板55が設けられている。
その他の構成は、前記第1実施形態と同様に構成され、同様の機能を有する部材、機構は、同様の符号を付して説明を省略する。
【符号の説明】
【0048】
3 ブーム
4 バケット
12 ブームシリンダ
13 バケットブラケット
14 バケット枢支軸
18 バケットシリンダ
19 制御バルブ(自動ダンプ制御バルブ)
21 スピルガードリンク機構
22 検出リンク
23 回動支軸
24 回動アーム
25 連動アーム
26 連動機構
X バケット枢支軸の軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームシリンダ(12)によって上げ及び下げ動作されるブーム(3)と、このブーム(3)の先端側にバケット枢支軸(14)を介して枢支されたバケットブラケット(13)と、このバケットブラケット(13)に固定されていて該バケットブラケット(13)をバケットシリンダ(18)によってバケット枢支軸(14)回りに回動させることによりスクイ及びダンプ動作するバケット(4)と、ブーム(3)の上げ動作時にバケット(4)をダンプ動作させるための制御バルブ(19)と、ブーム(3)の上げ動作に連動してバケット(4)がダンプ動作するように前記制御バルブ(19)を操作することでバケット(4)の姿勢を保持させるスピルガードリンク機構(21)とを備え、このスピルガードリンク機構(21)は、ブーム(3)の先端側に配置されていてブーム(3)の上げ動作時におけるバケット(4)の前記ダンプ動作を検出する検出リンク(22)を備えているフロントローダにおいて、
前記検出リンク(22)を、バケット枢支軸(14)の近傍で且つブーム(3)の下面(3a)よりも上側でバケットブラケット(13)に枢支連結したことを特徴とするフロントローダ。
【請求項2】
ブーム(3)の前部に回動支軸(23)回りに回動自在に支持されていて連動機構(26)を介して前記制御バルブ(19)に連動連結される回動アーム(24)を設け、この回動アーム(24)と一体回動する連動アーム(25)を設け、この連動アーム(25)に検出リンク(22)の後端側を枢支連結し、この検出リンク(22)の後端側の枢支部をブーム(3)の下面(3a)より上方に位置させると共に該検出リンク(22)の前端側の枢支部をバケット枢支軸(14)の軸心(X)より上方に位置させたことを特徴とする請求項1に記載のフロントローダ。
【請求項3】
前記ブーム(3)は左右一対設けられ、前記検出リンク(22)を一方のブーム(3)の左右方向内側方に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載のフロントローダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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