説明

フローラインを操作する方法、組立てトレーラ、牽引棒、組立てトレーラに設置された重機、及びフローライン

本発明は、風車ナセル(3)等の重機の組立てのための2つ以上の組立てステーション(A1,A2,A3,A4,A5,A6)を有するフローライン(1)を操作する方法に関する。この方法は、準備された組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)をフローライン(1)において第1の組立てステーション(A1)の前に又は該第1の組立てステーション(A1)に設置するステップと、前記準備された組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を少なくとも1つのフローライン牽引棒(37)に結合するステップと、前記準備された組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)が前記第1の組立てステーション(A1)の前に設置されている場合には、前記組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を前記第1の組立てステーション(A1)へ移動させるステップと、その他の場合には、全てのフローライン組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を次の組立てステーション(A1,A2,A3,A4,A5,A6)へ移動させるステップと、を有しており、フローライン組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を移動させるステップが、時間の上で段階的に行われる。本発明は、同じ目的のためのフローライン(1)にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、フローラインを操作する方法、及びこの種のフローラインに関する。
【0002】
関連技術の説明
例えば機械的及び/又は電気的な構成部材の組立てのための製造ラインは、例えば自動車工業から知られている。
【0003】
この場合、オペレータ又はロボットは、複数の組立てステーションにおいて、コンベヤベルト上でラインに沿って次のステーションへゆっくりと継続的に移動させられる自動車にそれぞれのステーションにおいて特定の別個の部品を組み立てることによって、例えば自動車を製造する。
【0004】
しかしながら、例えば大型タービン、飛行機等を製造する重工業の場合、同様の製造ラインは実行可能でない場合がある。なぜならば、これは、コンベヤベルトの極めて耐久性のある構造を必要とするからであり、これは、ベルトを構造において不適切でかつ極めて高価にする。
【0005】
本発明の課題は、重機のための有利なフローライン、好適には前記欠点を有さないフローラインを提供することであり、最も好適には、取扱いが容易でかつ費用対効果の高いこのようなフローライン技術を提供することである。
【0006】
発明
このために、本発明は、風車のナセル等の重機の組立てのための2つ以上の組立てステーションを有するフローラインを操作する方法によって実現され、この方法は、
準備された組立てトレーラをフローラインにおいて第1の組立てステーションの前に又は第1の組立てステーションに設置するステップと、
前記準備された組立てトレーラを少なくとも1つのフローライン牽引棒に結合するステップと、
準備された組立てトレーラが前記第1の組立てステーションの前に設置されている場合には、前記組立てトレーラを前記第1の組立てステーションへ移動させるステップと、
その他の場合は、全てのフローライン組立てトレーラを次の組立てステーションへ移動させるステップと、を有し、
フローライン組立てトレーラを移動させるステップが、時間の上で段階的に行われる。
【0007】
この文脈において、この明細書及び請求の範囲を通じて、「前」とは、イベントの連続の文脈で述べられていないならば、時間ではなく場所を示すことを意味することに注意しなければならない。したがって、「前」は、「前側に」という表現と置き換えることもできる。
【0008】
本発明の複数の特徴は、製造中の機械が極めて重い、すなわち一般的に10トンを超える場合にもこのプロセスを特に有利でかつ容易にする。
【0009】
第1に、コンベヤベルトの代わりに、搬送ユニット、すなわち極めて重い荷重の下でも作動するように実現することができるトレーラが使用される。例えば、このようなトレーラは、鉄道車両、すなわち金属レールに沿って案内される金属車輪を有する車両のように実現することができる。それぞれのトレーラは、組立て作業中のある時点で他のトレーラと連結されるだけの別個のユニットであるので、トレーラには、組立てプロセスの複数のステップのために必須の幾つかの部品を装備することもできる。例えば、準備されたケーブルをこのようなトレーラにおいて組立ての全体に沿って搬送することができ、スタッフは、組立てプロセス全体の間のいつでもケーブルを利用できるようになっている。
【0010】
第2に、搬送は連続的ではなく、ある予め規定された時点における段階式である。このことは、このような構成において組み立てられる部品が極めて大型でかつ極めて重くもあることを心に留めると、負傷の危険性の大幅な低減を暗示する。したがって、継続的に移動するコンベヤシステムは、幾つかの部品が落下し、スタッフを深刻に負傷させるか又は物体を損傷するという意味でかなりの脅威を与える。フローラインが、トレーラが搬送される時の状態にある短い時間の間、全てのスタッフに、フローラインの範囲から出るように命じ、工具等のあらゆる物品をフローラインの近くから取り除くように要求することができる。
【0011】
第3に、牽引棒、すなわち少なくとも2つのトレーラを少なくとも最小距離、好適には一定の距離に保ちながらこれらのトレーラを連結するように実現された結合装置が使用される。いうまでもなく、このような牽引棒を多くの異なる形式、例えば2つのトレーラの間の一片の牽引棒として、又は組立てトレーラを介して連続して直接に結合された又は間接的に結合された複数部分から成る牽引棒として、構成することができる。この意味で、鉄道車両から知られるような連結は、トレーラの間の距離が少なくとも最小限にとどまることを保証するために、集められかつバーによって強化された2つのチェーンとして目的を果たす。
【0012】
発明されたフローラインを操作するための流れの1つの実施形態は以下のようであってよい:
1.空の組立てトレーラのためのパーキング領域へトラクタ/ムーバを運び込み、このトラクタを組立てトラクタに結合する
2.空の組立てトレーラ又はメインケーブルと、センタービームと、搬送フレームと、ボトムキャノピとのセットが積載された組立てトレーラを備えたトラクタを、組立てビルディングへ運び込む
3.組立てトレーラを技術ステーション1に入れ、これにより、トレーラは流れ方向で整合させられなければならない
4.トラクタを運び出す
5.ステーション1に配置された組立てトレーラまでの正しい距離に組立てトレーラを移動させる(引っ張ることが好ましい)
6.組立てトレーラを牽引棒の液圧式ピンによって牽引棒に結合する
7.液圧シリンダ及びステーションをカバーする牽引棒によって、ステーション6の組立てトレーラを技術ステーション2へ移動させるために、フローライン全体を15メートル(50′)だけ引っ張る(引っ張られる重量750t)
8.ナセルを備えた組立てトレーラ全体を500mmだけ持ち上げる
9.センタービームに4つのベース支持体を組み立てる
10.トレーラを解放し、ナセルをベース支持体上に自立させるために、組立てトレーラを下降させる
11.空の組立てトレーラを引き出す
12.次のセットのメインケーブルを積載する(オプション)
13.空の組立てトレーラをビルディングからパーキング領域へ移動させる。
【0013】
ボトムキャノピの外部積載のためにフローラインを走行させるためのシーケンスの1つの実施形態は以下の通りであってよい:
1.トラクタ(グースネック及び牽引棒が可能であるべきである)によって空の組立てトレーラをメインケーブルのセットのための積載位置へ駆動する
2.トラクタによって組立てトレーラをセンタービームの積載位置へ駆動する
3.トラクタによって組立てトレーラを搬送フレームの積載位置へ駆動する
4.トラクタによって組立てトレーラをボトムキャノピの積載位置へ駆動する。組立てトレーラ上の支持体に積載される。
【0014】
次いで、例えば前に説明したように、発明されたフローラインを作動させるためのシーケンスに移行する。
【0015】
2つ以上の組立てステーションを備えた、風車ナセル等の重機の組立てのためのフローラインは、本発明によれば、
多数の組立てトレーラと、
少なくとも2つの組立てトレーラを結合する少なくとも1つの牽引棒と、
以下のスキーム、すなわち
(a)準備された組立てトレーラが前記第1の組立てステーションの前に設置された場合、前記組立てトレーラを前記第1の組立てステーションへ移動させる
(b)その他の場合、全てのフローライン組立てトレーラを次の組立てステーションへ移動させる
に従って作動する引張り手段、すなわち移動装置と、を有し、
引張り手段がさらに、フローライン組立てトレーラを時間の上で段階的に移動させるように実現されている。
【0016】
本発明は概して、風力発電所のナセル等の重機の最終組立てのためのフローラインとして説明することができる。フローラインは、複数の作業ステーションを通って重機を搬送することができる機器を含む。このために、発明の様々な実施形態の場合、組立てトレーラは組立てラインの床において搬送される。移動の間、全ての組立てトレーラは1つのステーションから次のステーションへ平行に移動させられる。
【0017】
発明の特に有利な実施形態及び特徴は、以下の説明に記載されているように、従属請求項によって与えられる。これにより、方法に関して記載された特徴は、ロータブレードに関して又はその他の関連で実現されてもよい。
【0018】
好適には、準備された組立てトレーラの結合は、牽引棒における液圧ピンを作動させることによって行われ、この液圧ピンは、トレーラにおける液圧ピン受容領域に係合する。
【0019】
さらに、前記準備された組立てトレーラに、前記重機に設置される適切なケーブルが準備されていることが好適である。
【0020】
方法は好適にはさらに、フローラインから1つの組立てトレーラを取り外すステップを有し、前記取り外される組立てトレーラは、最後の組立てステーションから移動させられたトレーラである。
【0021】
付加的に、有利な実施形態によれば、前記フローライン牽引棒は、組立てトレーラの間の連続的な結合を形成するために1つの組立てトレーラを別のトレーラに結合する。
【0022】
原理的に、牽引棒は、トレーラの間、トレーラの下方、又はトレーラの上方のいずれの場所に位置決めされてもよい。フローライン牽引棒が、組立てトレーラの下方の座ぐりされたピットに配置され、そこで操作されると特に有利であることが証明された。このような場合、牽引棒が、組立て中に重機の周囲でのスタッフのいかなる作業をも妨げないことを保証することができる。これに加えて、これは、このような作業中に牽引棒上に落下する危険性がないことも保証する。この実施形態はさらに、前記ピットを少なくとも部分的にカバーすることによって、例えばピットの上方のカバープレートによって、改良することができる。
【0023】
牽引棒は、牽引ラインに沿って全体に亘ってトレーラに結合されていてよい。全てのトレーラに対して1つの牽引棒を使用する場合、特に牽引棒を、前述のようなピットに位置決めすることができるので、これは好適であり、組立てトレーラへの牽引棒の結合は好適には、全ての組立てトレーラは移動させられる間は係合されるのに対し、全ての組立てトレーラが静止している間は少なくとも一時的に解離される。
【0024】
このような場合、発明の特に好適な実施形態を実現することができ、すなわち、組立てトレーラの移動の間は牽引棒が休止位置から前方位置へ移動させられ、結合が解離されている間に休止位置へ戻される。
【0025】
本発明によるフローラインは好適には、引張り手段が定置のピストンシステムを有するように実現される。
【0026】
本発明はさらに、本発明による方法を実施するために適した組立てトレーラ、及び本発明による方法を実施するために適した牽引棒、及び本発明による組立てトレーラに設置された重機を含む。
【0027】
発明の様々な実施形態に関して、フローラインの基本データは以下のとおりであってよい。
【0028】
発明の様々な実施形態の場合、サイクル時間は2〜5時間である。
【0029】
発明の様々な実施形態の場合、フローライン全体の移動、すなわち引張りのための時間は最大で5分、好適には、毎分5mの平均速度に相当する3分である。
【0030】
発明の様々な実施形態の場合、技術的利用可能性は98%である。
【0031】
発明の1つの実施形態の場合、組立てステーションの数は6である。
【0032】
発明の1つの実施形態の場合、技術ステーションの数は2である(1つは空のトレーラの導入のため、もう1つは最後のトレーラの送出のためである)。
【0033】
発明の1つの実施形態の場合、組立てトレーラを含まない引張り重量は750tである。
【0034】
発明の1つの実施形態の場合、フローライン全体のための引張り距離は、50′、すなわち15メートルを有する1つの作業ステーションの長さである。
【0035】
様々な実施形態の場合、トレーラは、メインケーブルのセットを積載するための少なくとも1つの開口を有する。
【0036】
様々な実施形態の場合、トレーラは、ナセル支持体のセンタービームのための前側及び後側の固定具(F/R)を有する。
【0037】
発明の様々な実施形態の場合、組立てトレーラにおける前側及び後側の支持体におけるボトムキャノピの配置である。
【0038】
1つの実施形態の場合、発明は、ヨーに組み立てられた時にボトムキャノピの上縁の水平配置を有する。
【0039】
発明の1つの実施形態の場合、組立てトレーラを備えない搬送フレームを含む製品の総重量は、最大で110tである。
【0040】
発明の様々な実施形態の場合、組立てトレーラに対する要求は以下のとおりであってよい:
−結合状態の機械的−光学的指示(例えば赤は結合されている/黄色は切断されている)
−パーキングブレーキ/パーキング安全装置
−流れ方向を保つためのフロントアクスルの自己操縦(パッシブ又はアクティブに制御される)
−前部における安全バンパ
−組立てトレーラは、グースネック又は引張棒で取り扱われる場合に容易に回転可能でなければならず、回転サイクルは最大で20mである。
【0041】
本発明のその他の目的及び特徴は、添付の図面に関連して考慮される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、図面は例示の目的だけのために構成されており、発明の限界を規定するものとして構成されていないことを理解すべきである。
【0042】
以下の説明では、重機のための発明が、風車ナセルの例によって説明される。なぜならば、ナセルは、公知技術の製造ラインによって組み立てられるには適していない機械の良い例であるからである。
【0043】
しかしながら、発明は、蒸気発生器、飛行機等の製造のような多くのその他の重機の工業にも適用することができることを強調しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態によるフローラインを上方及び側方から見た状態を示す図である。
【図2】図1に示されたフローラインの床の上面図及び側面図である。
【図3】前の図面のフローラインの上面図であり、トレーラは示されていない。
【図4】前の図面のフローラインのより詳細な上面図であり、トレーラは示されていない。
【図5】前の図面によるフローラインの第2の技術ステーションの上面図である。
【図6】前の図面のフローラインの上面図であり、トレーラは示されている。
【図7】本発明による牽引棒の実施形態を含む、トレーラ及びナセルの側面図である。
【図8】図7の牽引棒のより詳細な側面図であり、牽引棒の詳細の3つの断面図と、トレーラの上面図とを含む。
【図9】本発明の実施形態に関連して使用されるトレーラの2つの側面図である。
【図10】本発明の実施形態に関連して使用されるトレーラの2つの側面図であり、1つの図ではナセルが取り付けられている。
【図11】本発明の実施形態に関連して使用される空のトレーラの側面図及び上面図である。
【図12】ビームが取り付けられた、図11の空のトレーラの側面図及び上面図である。
【図13】メインケーブルが取り付けられた、図12の空のトレーラの側面図及び上面図である。
【図14】搬送フレームが積載された、図13の空のトレーラの側面図及び上面図である。
【図15】ナセルのボトムキャノピを備えた、図14のトレーラの側面図及び上面図である。
【図16】降ろされる位置における、図15のトレーラの側面図及び上面図である。
【図17】引張り手段を備えた、本発明の実施形態によるフローラインの2つの側面図である。
【図18】持上げプロセスの間の、本発明の実施形態に関連して使用されるトレーラの2つの側面図である。
【図19】本発明の実施形態による2つの異なる位置における第2の技術ステーションの持上げユニットの2つの断面図である。
【図20】脚がビームに取り付けられるプロセスの間の、図18のトレーラの2つの側面図である。
【図21】トレーラが離反させられる間のプロセスの間の、図19のトレーラ及びナセルの2つの側面図である。
【図22】離反されるように準備されるプロセスの間の、図19のナセルの2つの側面図である。
【図23】安全システムの部分を備えた、本発明の実施形態によるフローラインの実施形態の上面図である。
【図24】図23の安全システムの上面図及び詳細図である。
【図25】安全システムの部分の詳細を備えた、本発明によるフローラインの実施形態の上面図である。
【図26】安全システムの部分の別の詳細を備えた、本発明による実施形態によるフローラインの実施形態の上面図である。
【図27】安全システムのより精巧な詳細及び3つの詳細図を備えた、本発明によるフローラインの実施形態の上面図である。
【0045】
図1は、本発明によるフローライン1の実施形態を、上面図と、その下の2つの側面図で示しており、これらの側面図は本発明による方法の実施形態の2つの段階を示している。
【0046】
ナセル3は、移動方向Pのフローライン1に沿って組み立てられた6つの異なる作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6においてトレーラ5a,5b,5c,...5n−1,5n上で組み立てられる。第1の作業ステーションA1の前、すなわち第1の作業ステーションA1に隣接した上流領域には、第1の技術ステーションT1が設けられており、フローライン1の最後には、第2の技術ステーションT2が設けられている。第1の技術ステーションT1において、まだナセル3を有さない新たなトレーラ5aが供給され、フローライン1に取り付けられる。作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6の幅は、約7.5メートル(25フィート)、長さd1は約15メートル(50フィート)である。
【0047】
ナセル3を組み立てるために、フローライン1において、ライン全体の全てのトレーラ5a,5b,5c,...5n−1,5nは、3分(好ましい)以内、最大でも5分以内で、1つの作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6の長さd1だけ、次のステーションへ移動しなければならない。引張りは、引張り手段としての液圧シリンダ4によって行われてよい。ライン全体の移動の後、完成したナセル3を備えた最後の組立てトレーラ5nは、第2の技術ステーションT2においてフローライン1から切り離される。
【0048】
この意味で、図1は組立てプロセスの3つの段階を示している。上方から示された上段によって示された第1の段階においては、第1の技術ステーションT1(すなわち第1の作業ステーションA1の上流)における空のトレーラ5aと、完全に組み立てられたナセル3を依然として保持する、第2の技術ステーションT2における最後のトレーラ5nが存在する。第2の段に側面図で示された第2の段階において、最後のトレーラ5nは第2の技術ステーションT2から取り出されている。最後の段に示された第3の段階において、フローライン1はステーション一つ分だけさらに移動させられており、全てのナセルの作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6が変更されている。ここで、第1のトレーラ5aは第1の作業ステーションA1に到達するのに対し、最後から2番目のトレーラ5n−1は今では、フローライン1から取り出される位置、すなわち第2の技術ステーションT2へ移動させられている。
【0049】
図2は、第1の作業ステーションA1の床7の表面の上面図及び断面図を示している。トレーラ5a,5b,5c,...5n−1,5nは2つのライン17に沿って、部分的にプレート15によってカバーされたピット9上を移動させられる。床7に沿ってピラー11が位置決めされており、これらのピラー11は、工具をピラーに固定するために及び/又はプラットフォームをより高い高さに設置するために使用されてよい。ピット9の幅w2は約500mmであり、ピット9の中央からピラー11までの最短距離w3は約5000mmである。
【0050】
図2の右側の断面図に見られるように、ピット9は、約500mmの深さd2を有する。ピラー11はそれぞれ、床レベルよりも低いベース13を有しており、このベースはピラーを安定させる。ピット9は、後続の図面に関連して説明するように、全てのトレーラ5を連結するために働く牽引棒(図示せず)が供給される位置である。
【0051】
図3は、トレーラ5a,5b,5c,...5n−1,5nを備えないフローライン1全体を上面図で示している。牽引棒のためのピット9がちょうど第1の技術ステーションT1の始まりから第2の技術ステーションT2の最後まで、すなわちフローライン1の全長d3に沿って延びており、この全長は約120メートル(400フィート)である。
【0052】
図4は、図2に関連して示したような、ピット9が部分的にプレート15によってカバーされている同じフローライン1を示している。さらに、マークされた領域19が示されており、このマークされた領域19には、フローライン1の全てのトレーラ5を引っ張るための定置のピストンシステムを設置することができる。これらのマークされた領域19において、ピット9の深さd2は約800mmまで増大していてよい。
【0053】
図5は、第2の技術ステーションT2の上面図及び断面図を示している。図2に関連して説明した特徴とは別に、定置の持上げ装置を設置するための4つの付加的なピット又は穴21が示されている。穴21は、長方形の形態で組み立てられている。持上げ装置は例えば、穴21に固定された液圧シリンダを含んでいてよい。穴21は、500mmの長さd4及び幅w4を有しており、すなわち穴は正方形である。穴の深さh1は約1000mmである。
【0054】
つまり、技術ステーションT2において、容易に組み立てられたナセル3の支持の支持ベースを組み立てるために、持上げユニットが、完全に組み立てられたトレーラ5nを持ち上げることが予測されなければならない。次いで、組立てトレーラ5nは床へ降ろされなければならない。これにより、ナセル3は、ナセル支持体に支持された床に配置される。組立てトレーラ5nは今や自由となり、トラクタによって引き出されなければならない。
【0055】
図6は、重量の分布を説明するために使用される、フローライン1全体の上面図を再び示している。第1の技術ステーションT1において、トレーラ5aに、13tの重量の幾つかの第1の装置部品を加えたものだけが位置決めされ、第1の作業ステーションA1において、ナセル3の部品が付加され、総重量は48tとなる。第2の作業ステーションA2において総重量は50tとなり、第3の作業ステーションA3において110tとなるのに対し、第4〜第6の作業ステーションA4,A5,A6において、総重量は115tの最大重量に達している。与えられた重量の値はトレーラの重量を抜いたものであることに注意されたい。
【0056】
これらの全ての重量を合わせると、6つの作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6を備えたフローラインの場合は566tの累積重量となる。したがって、5つの作業ステーションしか有さないフローラインは、約500tの累積重量を有し、7つの作業ステーションを有するフローラインは約650tの累積重量を有し、8つの作業ステーション若しくは組立てステーションを有するフローラインは約750tの累積重量を有する。この累積重量は、組立てプロセスの間、移動させられなければならない。したがって、コンベヤベルトは、大きな重量による力に抵抗することができないので、この目的のために使用できないことをはっきりと理解することができる。累積重量の大きさは、なぜフローラインが連続的にではなく、段階的に移動させられるかの理由でもある。このような段階的な移動の間の引っ張り速度は、毎分約5m±20%である。これは、フローライン1を作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A61つ分の距離d1に亘ってさらに移動させるために、約3分かかることを意味する。この比較的低速の移動は、ナセルの部品がトレーラ5a,5b,5c,...5n−1,5nから落下する危険性がなく、引っ張りシステム(図示せず)がこのような極めて大きな重量に対処することができることを保証する。
【0057】
図7は、本発明によるフローラインの一部であることができるように牽引棒37に結合されたトレーラ5において組み立てられた完成したナセル3を示している。
【0058】
トレーラ5は、4つの車輪23を介して地面に載置された剛性の水平な構造42を有する。車輪23とは反対側に面した構造42の側において、2つの中央ビーム40が構造42から突出している。中央ビームは、図平面に対して垂直に向けられている。中央ビーム40の位置は、構造42に沿った長手方向で見て2つの車輪23の間である。構造42は、中央ビーム40と同じ方向に面した開口44も有しており、この開口は、メインケーブル43、すなわちナセルの組立て中に使用するための、準備されたケーブルのセットを収容している。
【0059】
中央ビーム40に加え、トレーラ5は、右側の長手方向端部における、固定された支持体29と、左側の長手方向端部において、鉛直の向きから水平の向きに傾倒させることができる交換可能な支持体27とを有している。
【0060】
中央ビーム40には、ナセル3の中央部分を支持する、水平に向けられたナセル搬送フレーム25が載置されている。固定された支持体29及び交換可能な支持体27も、ナセル3のいわゆるボトムキャノピ33の領域においてナセル3を支持しかつこれによりトレーラ5とアセンブリとの間の結合を安定化させるために働く。正しく、すなわち所望のように整合させられると、ナセル3のボトムキャノピ33の上縁35は水平となる。
【0061】
トレーラ5の右側には、フック31が取り付けられており、このフック31によってトレーラ5をトラクタに結合することができる。フック31の代わりに、グースネックを使用することもできる。
【0062】
トレーラ5の下側を見ると、図2に示されたピット9に配置された牽引棒37が示されている。液圧ピン39は、牽引棒37の長手方向延長部からトレーラ5の方向、すなわち地面から離れる方向に突出している。液圧ピン39は、トレーラ5のピン受容領域41に挿入されると、牽引棒37をトレーラ5に結合する。
【0063】
図8は、牽引棒37をより詳細な側面図と、トレーラが牽引棒の上に載置された状態の上面図とで示している。牽引棒37は、約120メートルの長さd5、すなわちフローライン自体の長さと実質的に等しい長さを有する。この唯一の牽引棒37はこれにより、フローライン1の全てのトレーラ5a,5b,5c,...5n−1,5nを結合している。液圧ピン39以外に、牽引棒37はさらに、床ロール45と、側部案内ロール47とを有しており、これらのロールは、牽引棒37の長手方向の延びに沿った滑らかな案内を可能にする。図8の下側の上面図から、牽引棒37がピット9に配置されていることにより、作業者が牽引棒37によって邪魔されずにナセル3の周囲を歩行することができることを理解することができる。その目的のために、牽引棒37の上縁は実質的に地面と同じ高さでなければならないか、又は図2に示したようにカバープレート(図示せず)がピットをカバーしていなければならない。
【0064】
図9は、図7に示されたトレーラ5及びナセル3の配列における、好適な最大の寸法を示している。ボトムキャノピ33の好適な長さd6は8980mmであるのに対し、最大長さd7は9350mmである。ボトムキャノピの好適な最大幅w6は2500mmであるのに対し、可能な最大幅w5は2800mmである。剛性の構造42の上端までのトレーラ5の高さh2は800mmである。
【0065】
図10は、ナセル3とのトレーラ5の組み合わせと、単独のトレーラ5とを側面図で示している。下側の図から、固定された支持体29と、交換可能な支持体27との高さを調節することができることが分かる。
【0066】
図11は、トレーラ5を側面図及び上面図で示している。前の図面に関連して既に説明した特徴以外に、分かりやすくするためにこの図には示されていない中央ビーム40を位置決めするための2つのアダプタ49,51が示されている。第1のアダプタ49は、剛性の構造42の平面から突出した4つのピン状のレールを有する。これらのアダプタは、ビーム40をアダプタに、トレーラ5の長手方向に対して直角に固定することができるように整合させられている。対応して第2のアダプタ51は整合させられているが、第2のアダプタは、108mmの長さのベースプレートを有しており、このベースプレートからピンが突出している。このように、ボトムキャノピ33は、その上縁が水平になるように向き付けられることを保証することができる(図7)。
【0067】
図12は、ビーム40がアダプタ49,51に取り付けられた状態のトレーラ5を再び側面図及び上面図で示している。
【0068】
図13は、さらにメインケーブル43が装備されたトレーラ5を再び側面図及び上面図で示している。メインケーブル43は、上面図で見ることができるように、ナセルの組立て中に据付けの目的で容易に繰り出すことができるように、繰出し機としてホイールドラムに全て集合させられた単一のケーブルのセットを有している。このように、組立て部品の幾つかの部分、すなわちケーブルは、組立て中のあらゆる時点で容易に使用できる。
【0069】
図14は、ナセル搬送フレーム25が取り付けられた状態の同じトレーラを同じ図で示している。搬送フレームは、中央ビーム40によって支持されており、上側の図に見られるように、開口53を有していて、この開口を通じてメインケーブル43からのケーブルを導くことができる。
【0070】
この効果は、図15を見るとより明らかになる。図15は、図14と同じ状態におけるトレーラ5を上側に側面図で示しているが、固定された支持体29及び交換可能な支持体27は所要の高さに調節されており、交換可能な支持体27は直立位置を占めている。
【0071】
下側の図には、ナセル3のボトムキャノピ33が、搬送フレーム25に固定された状態で示されている。搬送フレーム25の開口53の位置は、ボトムキャノピのキャノピ開口55の位置に対応しており、これにより、これらの開口53,55を通じてメインケーブル43からのケーブルをナセル3へ導入することができる。
【0072】
図16は、固定された支持体29と交換可能な支持体27とが下降され、交換可能な支持体27が水平の向きになっている状態のトレーラ5を2つの側面図で示している。下側の図に見られるように、ボトムキャノピのみが示されたナセル3は、ビーム40に載置された搬送フレーム25のみを介してトレーラ5に固定されているので、ナセル3をトレーラ5から持ち上げることができる。
【0073】
図17は、フローライン1をステーション一つ分だけさらに移動させるプロセスを示している。このために、定置のピストンシステムを有する引張り手段4が牽引棒37に取り付けられている。牽引棒37は全てのトレーラ5a,5b,5c,...5n−1,5nを結合しているので、定置のピストンシステム4を用いて牽引棒37を引っ張ることにより、全てのトレーラ5a,5b,...5n−2,5n−1,5nが同時に15メートルの距離に沿って引っ張られる。移動プロセスの後、牽引棒37は前方位置にあり、トレーラ5a,5b,...5n−2,5n−1,5nへの牽引棒37の結合を解離させることができる。全てのトレーラ5a,5b,...5n−2,5n−1,5nが再び静止すると、定置のピストンシステム4は牽引棒37を以前の位置、すなわち休止位置へ戻すことができる。
【0074】
図18は、本発明の一実施形態による、トレーラ5の取出しを側面図で示している。
【0075】
上側の図に示された初期状態において、組立てトレーラ5は技術ステーションT2へ15mだけ引っ張られている。牽引棒37は切り離されている。固定された支持体29と交換可能な支持体27とは下降させられており、交換可能な支持体27は水平の向きになっている。図5に関連して言及した穴21において地面に挿入された液圧持上げユニット59の位置に車輪23の位置が一致するようにトレーラ5が位置決めされている。この位置は地面における印(図示せず)によって規定されている。正確な位置決めをセンサ(やはり図示せず)によってチェックすることができる。液圧持上げユニット59は、トレーラ5の方向に面した上部において"エレファントフィート"を有する。
【0076】
持上げ状態において、センタービーム40と、搬送フレーム25と、ナセル3とを含むトレーラ5が持上げ位置になるようにこれらの液圧持上げユニット59は持ち上げられている。これにより、液圧持上げユニット59は、110tの重量に、トレーラ5の重量を加えた重量を支持している。液圧持上げユニット50のストロークは、約400mm、最大で500mmである。
【0077】
図19は、本発明の様々な実施形態のための、第2の技術ステーションT2における組立てトレーラ5の持上げを示している。
【0078】
前もって、組立てトレーラ5の設計と、持上げユニット59の設計とは、協調されなければならないと言及することができる。持上げユニット59は、技術ステーションT2におけるフローライン1の地面における穴21に設置されている。持上げユニット50は、それぞれ液圧シリンダ61を有しており、この液圧シリンダ61においてピストン65は上下に移動することができる。ピストン65は、いわゆるエレファントフット63を有する、シリンダ61とは反対側の端部を有する。左側の図に示した休止位置において、エレファントフット63は、持上げプレート46と同一平面にあり、これにより、持上げユニット59を上方において閉鎖している。持上げユニット59の設計は、1つのステップでの持上げユニットの設置を可能にするべきであり、持上げユニット59へのアクセスは、持上げプレート64を通じて行うことができる。4つの持上げユニット59の同時の操作は、組立てトレーラ5の安全でかつ同調した持上げプロセスを可能にする。それぞれの持上げユニット59は、約600kNの重量を支持することができる。なぜならば、持上げユニット59は、(引っ張る間にトラクタが持上げユニット上を走行する場合)引っ張りトラクタの引張力全体を支持するように設計されなければならないからである。
【0079】
作動中の持上げユニットの上側及び下側の終端位置は、ポジションスイッチ(図示せず)によって走査される。前記のように、組立てトレーラ5の高さが800mmであるとすると、持上げユニットのストロークは500mmであり、したがって、組立てトレーラ5の高さがより小さくなると、ストロークはより大きくなる。
【0080】
持ち上げられた組立てトレーラ5を固定するために、持上げユニット59には機械的な落下防止拘束具(図示せず)が結合されている。
【0081】
図20は、本発明の様々な実施形態のための、ナセル支持体67の組立てを示している。
【0082】
上側の図に示したように、ナセル3を備えたトレーラ5が持上げユニット59によって持ち上げられると、4つの脚67がナセル支持体として2つの中央ビーム40に、それぞれのビーム40の各端部に1つずつ取り付けられる。
【0083】
下側の図は、持上げユニット59が次いで休止位置へ下降させられているのに対し、搬送フレーム25は今ではビーム40及び脚47を介して地面に載置されていることを示している。組立てトレーラ5のこの下降は、4つの液圧持上げユニット59の同期した下降によって達成される。ナセル支持体の全ての4つの脚67は、同時に床に配置されなければならない。したがって、ナセル3の前部と後部との間の約110mmの高さの差が考慮されなければならない。
【0084】
ナセル支持体の脚67が床に着座させられると、組立てトレーラ5は中央ビーム40から解放され、ナセル支持体が、上部にナセルを備えた状態で搬送フレーム25を支持する。
【0085】
図21は、本発明の様々な実施形態のための、トレーラ5とナセル3とが分離された後の別のプロセスを示している。
【0086】
組立てトレーラ5が、トラクタ又はフォークリフト(図示せず)によって運び去られる。組立てトレーラ5及び組立てトレーラ5上の全ての上部構造は、1000mmの最大高さの範囲にとどまらなければならない。なぜならば、中央ビーム40の下側の間隙が1100mmであるからである。
【0087】
ナセル3はここでナセル支持体の脚67に載置されており、搬送トレーラによって取り上げられるように準備された状態となっている。
【0088】
図22は、本発明の様々な実施形態のための、ナセルの下方への運び込み、ナセルの持上げ、第2の技術ステーションT2からのナセルの運び出しを示している。
【0089】
上側の図は、搬送トレーラ69がナセルの下側において4つの脚の間に運び込まれた状態の、支持体上のナセル3を示している。
【0090】
下側の図は、持ち上げられた位置における搬送トレーラ69を示しており、これは、脚67を含むナセル3が搬送トレーラ69によって地面から持ち上げられていることを意味する。ここで、搬送トレーラ69は、走り去るか又はトラクタによって運び去られることができ、ナセルを搬出目的場所へ輸送することができる。
【0091】
図23は、発明の様々な実施形態のための、安全システム規定及びオペレーション領域を示している。
【0092】
このシステムは、フローライン1が移動のための条件にあり、全ての安全要求が満たされ、安全システムがOK状態にあることを示す。
【0093】
最初の5つの作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5は、組立てのための作業領域及びロジスティックオペレータを構成している。フローラインの引張りの間、この領域はバリヤテープによって封鎖される。第6の作業ステーションA6は、クリーニング及び塗装のための作業領域を構成している。この作業ステーションA6の領域において作業するオペレータは、特に訓練されているべきであり、例えば呼吸プロテクタを装備しているべきである。
【0094】
両方の技術ステーションT1及びT2において、十分に訓練されたオペレータのみが作業に従事するべきである。
【0095】
制御のために、技術ステーションT1,T2と、これらの技術ステーションに隣接する作業ステーションA1,A6との間に2つのオペレータパネル71が位置決めされている。技術ステーションT1,T2及び第6の作業ステーションA6において作業する訓練されたオペレータは、フローライン1の引張りプロセスの準備、引張りプロセスの間、及び引張りプロセスの後にフローライン1の近くに人がいないことを保証するためにこれらのオペレータパネル71を使用することができる。付加的に、スタッフが作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6の領域を無人にしたことを知らせることができるように、全ての作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6の間にクリアランスボタン73が設置されている。
【0096】
図24は、本発明の一実施形態による安全システムを示している。
【0097】
安全システムはバリヤテープ79を有する。バリヤテープ79は、ポスト75の間に引き伸ばすことができる。ポスト75の上部にはローラシャッタ77が装着されており、このローラシャッタ77にバリヤテープ79を固定することができる。右側の図に示したように、次の組立てトレーラを搬入する際に第1の技術ステーションT1へのオペレータの進入を防止するために、組立て作業時間の間、第1の技術ステーションT1と第1の作業ステーションA1との間にこのようなバリヤテープ79を張設することができる。
【0098】
バリヤテープ79がローラシャッタ77のブラケットから取り外されると、光及び音によるアラーム信号が自動的に作動させられる(安全照会)。それぞれのポスト75に非常ボタンも設けられている。選択的に、無線制御式デッドマンズコントロールが安全アラームを作動させることができる。
【0099】
図25は、第2の技術ステーションT2の領域における本発明の様々な実施形態による安全システムを示している。
【0100】
第6のステーションA6における塗装ブースの出口ゲートは、通常は閉鎖されており、安全システムへの接続部を備えた安全トリガを有している。
【0101】
トラクタの運転中、すなわち完成したナセル3が第2の技術ステーションT2から引き出される間、及びその準備(組立てトレーラ5nの持上げ、ナセル支持脚67の組立て、組立てトレーラ5nの取出し)において、ロールシャッタの安全トリガは作動させられている。
【0102】
トラクタの駆動領域全体を含む、第2の技術ステーションT2の残りは、バリヤテープ79によってロックされる。バリヤテープ79がいずれかのローラシャッタ77のブラケットから取り外されると、光及び音によるアラーム信号が自動的に作動させられ、トラクタのエンジンが直接に停止させられる。ポスト75にも非常ボタンが設けられている。トラクタが第2の技術ステーションT2の空の組立てトレーラ5を引き出している時、又は搬送トレーラ69を運び込んでいるか又はナセル3を搬送トレーラ69によって運び出している時、フローライン1の終端におけるバリヤテープ79は開かれ、ブラケットの安全トリガが作動停止される。再び、職長又はチームリーダによって安全アラームを作動させるために、無線制御式デッドマンズコントロールを使用することができる。
【0103】
図26は、組立てトレーラ5がナセル3とともに持ち上げられているときの(図18及び図20参照)、図25のものと同じ安全システムを示している。
【0104】
前記のようにステーションはバリヤテープ79によって封鎖されており、安全システムが作動している。第6の作業ステーションA6における塗装ブースの出口ゲートは閉じられており、安全システムに接続された安全トリガを有する。持上げユニット59の作動中、ローラシャッタ77における安全トリガは作動させられている。持上げユニット59の上側及び下側の終端位置はポジションスイッチ(図示せず)によって走査される。
【0105】
中央ビーム40への脚67の組立ては、持上げユニット59の終端位置が達成され、機械的な落下拘束具が所定の位置にある時にのみ許容される。持上げユニット59が定位置にある時にのみトラクタは空の組立てトレーラ5を自由に引き出すことができる。これは、安全システムによって保証されなければならない。
【0106】
図27は、本発明の様々な実施形態により引っ張るフローライン1全体のための安全システムを示している。
【0107】
フローライン1の全体の領域は、フローライン1の引張りの間バリヤテープ79によって封鎖されている。全ての作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6及び技術ステーションT1,T2において、トラクタキャビン内のトラクタドライバを除いて、封鎖された領域に誰も立ち入ってはならない。第6の作業ステーションA6における塗装ブースの入口及び出口のローラシャッタは開いており、安全スイッチによってチェックされている。
【0108】
牽引棒37は、全ての組立てトレーラ5a,5b,...5n−2,5n−1,5nに結合されており、このことは、機械的−光学的指示によって示される。バリヤテープ79がローラシャッタ77のブラケットから取り外されると、安全照会により光及び音によるアラーム信号が自動的に作動させられ、トラクタのエンジンは直接に停止させられる。非常ボタンが押された場合にも同じことが起こる。このような非常停止ボタンは、テープレトラクタも収容した中央ポスト83において実現することができる。
【0109】
付加的に、職長又はチームリーダによって安全アラームを作動させるために無線制御式デッドマンズコントロールが作動している。
【0110】
引張りが行われる前に、サイクルの作業時間(例えば5時間)の終了が、カウントダウン時間ディスプレイによって全てのステーションにおいて示される。
【0111】
作業時間の終了の前に、技術ステーション及び作業ステーションT1,T2,A1,A2,A3,A4,A5,A6はフローライン1の引張りのために準備される:
・ベースポジションに全てのピボットクレーン及びマニピュレータを回動させる
・工具キャリヤへの全ての工具の配置、ナセル3の内部に位置するケーブル(電力、圧縮空気、吸引掃除機等のためのケーブル)がなくなるようにナセル3から取り除く
・全ての支持構造又は全てのキッドセットが、ナセル3から離れるように移動させられる
・全てのプラットフォームがフロー領域から移動させられる。
【0112】
この後、全てのバリヤテープ79が閉じられる。
【0113】
全ての技術ステーション及び作業ステーションT1,T2,A1,A2,A3,A4,A5,A6における操作時間の最後に、職長又はチームリーダは、ステーションがフローライン1の引張りのために完全に準備されておりかつ封鎖された領域内(及びナセル3内)に誰もいないという信号を出す。
【0114】
以下の例では、フローライン1全体を引っ張るために、図17に示された引張り手段4ではなく、トラクタが使用されると仮定する。安全システムは、以下のことを示すための光信号を提供する:
緑:組立て作業中である
緑の点滅:組立て作業の最後の5分であり、全てのオペレータは、マークされた領域から出なければならず、全てのバリヤテープ79を閉鎖しなければならない
黄色:作業ステーションA1,A2,A3,A4,A5,A6は、引張りのための準備ができており、これは、全てのオペレータがステーションから出ており、バリヤテープ79が閉鎖されており(ブラケットが安全照会によって走査される)、職長又はチームリーダが、引張りのためのクリアランスを提供するためにボタンを押したことを意味する。安全はOKであり、全ての安全要求が満たされている
赤:トラクタはエンジンを始動させ、フローライン1の引張りを開始することができる
赤オフ:トラクタのエンジンが停止すると、赤は消える
緑:引張りが完了し、トラクタのエンジンが停止すると、緑が表示される。
【0115】
直前に示したように、本発明とともに操作されるために、本発明の一実施形態のために、ターミナルトラクタが使用されてよい。前記ターミナルトラクタは:
・組立てトレーラ5への連結
・グースネック
・排ガス(ディーゼル又はLPG)の後処理
・エンジンを停止させるための無線制御式安全回路のためのコネクタ
・必要であるならば、組立てトレーラ5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5nへのクイックコネクタを備えた液圧ユニット
を有する。
【0116】
本発明の様々な実施形態のために、組立てトレーラ5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5nは、例えば、110tの荷重のための組立てトレーラであってよく、このトレーラは:
・前部及び端部の両方における牽引棒への連結部
・必要であるならば、直線的な引張りを保証するための自己操縦装置
・トラクタの引張りロッドのための連結部
・前部及び端部の両方におけるグースネックコネクタ
・組立てトレーラ全体を持ち上げるための4つのジャッキング箇所
・ナセル3のボトムキャノピ33のための高さ調節可能及び/又は回動可能な支持体
・中央ビーム40のためのローディングアダプタ49
・メインケーブル43のための開口44
・結合の状況の機械的−光学的な指示手段(例えば赤は結合/黄色は切断)
を有する。
【0117】
また、本発明の一実施形態のために、フローラインシステム全体をリストにするために、システムは:
・液圧ユニット及び制御ユニットを含むフローライン1全体を例えば15メートルだけ移動させるための1つの定置のピストンシステム4
・例えば10tの車輪荷重で横断可能な1つの牽引棒37
・フローライン1の最初において第1の技術ステーションT1に空の組立てトレーラ5aを導入するために牽引棒37への前側及び後側の結合のための2つの案内部
・第1の技術ステーションT1において空の組立てトレーラ5aを牽引棒1に結合するための1つのプッシャ(トラクタ又はイージームーバのための)又はウィンチ
・積載された組立てトレーラ5を昇降させるための4つの可動な持上げユニット59(例えばそれぞれ600kN、500mmストローク)。
・可動な持上げユニットのための安全システムへの結合を有する1つの可動な液圧及び制御ユニット
・1つの安全システムであって、この安全システムは、
−キャビネットにおける安全システム(PLC又はPC)
−安全システムのためのソフトウェア
−オペレータパネル
−クリアランスボタン(例えば左側及び右側のそれぞれの技術ステーション又は作業ステーションのための2つのクリアランスボタン)
−複数の非常ボタン
−作業ステーションの左側及び右側の複数のテープバリヤ(ポスト、テープレトラクタ、及びブラケット)、全てのブラケットは安全照会を有する
−第1の技術ステーションT1と第1の作業ステーションA1との間のテープバリヤ(ポスト、テープレトラクタ及びブラケット)、全てのブラケットは安全照会を有する
−引張りの間のトラクタの作業領域全体を含む第2の技術ステーションT2の周囲のテープバリヤ(ポスト、テープレトラクタ及びブラケット)、全てのブラケットが安全照会を有する
−入口及び出口のローラシャッタ、及び塗装ブースの全ての他のドアの位置を記録するための安全スイッチ
−引張り段階の間のトラクタのエンジンを停止させるためのデッドマンズコントロール
−トラクタのエンジンを停止させるための無線制御式安全回路
−設置されているならば、定置の引張りシステム4の引張りを停止させるための安全回路
−それぞれのステーションのための、残りの組立て作業時間を示すためのカウントダウン時間ディスプレイ
−フローライン1の操作状況を示すための信号ライト(緑、黄色、赤)。
【0118】
選択的に、システムは:
・組立てトレーラ5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5nの持上げユニットに結合された安全システムへの結合を含む、可動な液圧及び制御ユニット
・積載された組立てトレーラ5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5nを昇降させるために穴21に設置された持上げユニット59(それぞれ50t、500mmストローク等)
・定置の持上げユニット59のための安全システムへの結合を含む、液圧及び制御ユニット。
【0119】
本発明が、好適な実施形態及びその変化態様の形式で開示されているが、発明の範囲から逸脱することなく、好適な実施形態に対して多くの付加的な変更及び変化を加えることができることが理解されるであろう。特に、これは、牽引棒の形状及び種類に当てはまるが、フローライン全体及びラインにおける最後のトレーラ及び/又は完全に組み立てられたナセルを引っ張るために使用される引張り手段にも当てはまる。
【0120】
明瞭にするために、本明細書を通じて単数形の使用は複数を排除せず、また「含む」とは、その他のステップ又はエレメントを排除しないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車ナセル(3)等の重機の組立てのための2つ以上の組立てステーション(A1,A2,A3,A4,A5,A6)を有するフローライン(1)を操作する方法において、該方法が、
準備された組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)をフローライン(1)において第1の組立てステーション(A1)の前に又は該第1の組立てステーション(A1)に設置するステップと、
前記準備された組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を少なくとも1つのフローライン牽引棒(37)に結合するステップと、
前記準備された組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)が前記第1の組立てステーション(A1)の前に設置されている場合には、前記組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を前記第1の組立てステーション(A1)へ移動させるステップと、
その他の場合には、全てのフローライン組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を次の組立てステーション(A1,A2,A3,A4,A5,A6)へ移動させるステップと、を有しており、
フローライン組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を移動させるステップが、時間の上で段階的に行われることを特徴とする、風車ナセル(3)等の重機の組立てのための2つ以上の組立てステーション(A1,A2,A3,A4,A5,A6)を有するフローライン(1)を操作する方法。
【請求項2】
前記準備された組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を結合することが、牽引棒(37)に設けられた液圧ピン(39)を作動させることによって行われ、該液圧ピン(3)は、組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)における液圧ピン受容領域(41)に係合する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記準備された組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)に、前記重機(3)に設置される適切なケーブルが準備されている、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
フローライン(1)から1つの組立てトレーラ(5n)を取り外すステップを有し、取り外される組立てトレーラ(5n)が、最後の組立てステーション(A6)から移動させられたトレーラである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記フローライン牽引棒(37)が、組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)の間の連続的な結合を形成するために、1つの組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を別の組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)に結合する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記フローライン牽引棒(37)が、組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)の下方の座ぐりされたピット(9)に配置されておりかつ該ピット(9)内で操作される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法を行うのに適した組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法を行うのに適した牽引棒(37)。
【請求項9】
請求項7記載の組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)に設置された重機(3)。
【請求項10】
2つ以上の組立てステーション(A1,A2,A3,A4,A5,A6)を有する、風車ナセル(3)等の重機の組立てのためのフローライン(1)において、
複数の組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)と、
少なくとも2つの組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を結合する少なくとも1つの牽引棒(37)と、
以下のスキーム、つまり
(a)前記準備された組立てトレーラ(5a)が前記第1の組立てステーション(A1)の前に設置されている場合には、前記組立てトレーラ(5a)を前記第1の組立てステーション(A1)へ移動させ、
(b)その他の場合には、全てのフローライン組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を次の組立てステーション(A1,A2,A3,A4,A5,A6)へ移動させる、
に従って働く引張り手段(4)と、を有しており、
該引張り手段(4)がさらに、フローライン組立てトレーラ(5,5a,5b,...,5n−2,5n−1,5n)を時間の上で段階的に移動させるように構成されていることを特徴とする、風車ナセル(3)等の重機の組立てのためのフローライン(1)。
【請求項11】
前記引張り手段(4)が、定置のピストンシステムを有する、請求項10記載のフローライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2013−509309(P2013−509309A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535691(P2012−535691)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061486
【国際公開番号】WO2011/051003
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】