説明

フードミキサ用の使い捨てトルク制限撹拌器

【課題】回転に抵抗する所定の大きさのトルク力がかかった場合に所定の位置で破断する撹拌器を提供する。
【解決手段】回転可能なシャフトに取り付けられて食物を混合するように構成された撹拌器10であって、柄部11と、前記柄部11の一端に設けられた、前記シャフトに取り付けられるように構成されたシャフト結合部12と、前記柄部11の他端に設けられた、食物を混合するためのブレード13と、を備え、前記柄部11は、撹拌器10に所定量のトルクがかかった場合に当該柄部11が破断する場所である弱体化領域を有していることを特徴とする撹拌器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリーム等の食物製品を混合するための使い捨て撹拌器に関する。本発明による使い捨て撹拌器はスプーンの形状に形成されているため、使用者は、混合が完了した後に、これを用いて食物を食べることができる。更に詳細には、本発明は、食物製品が硬すぎる場合において、使用者に視認可能な所定の位置で正確に破断する撹拌器とその構成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやファーストフード施設等において、食物混合機が広く利用されている。特に、客の消費のために容器内のアイスクリームに調味料や他の食物をスプーンを用いて混ぜ込む混合機がある。このような混合は、典型的には、回転シャフトの底部に支持された撹拌器によって実施されている。混合されるべきアイスクリームと他の食物とは、容器に入れられて使用者に供せられる。そして、撹拌器がアイスクリームの中に配置されて、製品を混合する。使用後は、次に混合されるべき製品の汚染を避けるべく、撹拌器は洗浄されなければならない。
【0003】
撹拌器の洗浄工程を避けるため、プラスチック製の使い捨て撹拌器が開発されている。このような撹拌器は、使用前に回転シャフトに取り付けられ、使用後に回転シャフトから取り外される。したがって、使用する度にシャフトを洗浄する必要はない。
【0004】
このような使い捨て撹拌器のうちのいくつかは、スプーンの形状に形成されている。このような装置において、スプーンのボウル部が製品を混ぜ合わせる。スプーンの柄部は中空であって、使用者によってフードミキサの回転シャフトの少なくとも一部を覆うように配置される。スプーンのシャフトはクリップを有し、このクリップが回転シャフトに設けられたリブにスナップ留めされ、これによりスプーンがシャフトに取り付けられる。使用者によって製品が混合されたら、スプーンはシャフトから取り外される。このシステムは、使用後にその都度撹拌器を洗浄する必要がないため時間の節約になるという点で有利であるばかりでなく、客が当該スプーンを食物を食べることに使うことができるため客に従来のスプーンを提供するという施設側のコストを節約することができるという点においても有利である。
【0005】
しかしながら、このようなプラスチック製の撹拌器を、例えば冷え過ぎているために硬すぎるアイスクリームや他の製品の混合に用いようとすると、スプーンのボウル部がアイスクリームの中に配置された状態で撹拌器が回転するとき、撹拌器が捩れて破断してしまうということがあり得る。このような破断を制御しないままにしておけば、スプーンの柄部に沿ったランダムな位置で破断が生じ、これによりスプーンの柄部に沿って鋭利な又は鋸歯状のエッジが形成されてしまう恐れがある。このランダムな破断は、スプーンのボウル部でも起こる可能性があり、この場合、混合中の製品内においてスプーンのボウル部が粉々になるという結果か、スプーンのボウル部が鋭利なエッジを有するという結果を招き得る。いずれの場合にも、スプーンのこのような破断は、混合された製品の消費(食べること)に際して使用前にスプーンを検査しないような個人に対し、潜在的な安全リスクを構成し得る。
【0006】
したがって、破断が生じるとしても、ランダムに破断することなく、客によって簡単に視認可能な位置で正確に破断するような、スプーン形状の使い捨てプラスチック製撹拌器を提供する必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願12/460,273号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、本発明の一の目的は、フードミキサ用の回転可能な撹拌器であって、その回転に抵抗する所定の大きさのトルク力が当該撹拌器にかかった場合に所定の位置で破断する、という撹拌器を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、上記のような撹拌器であって、アイスクリームの混合に使用されるとき、当該アイスクリームの所定の温度において破断する、という撹拌器を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、上記の特徴を備えた撹拌器を構成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、以下の説明から明らかになるであろう既存の従来技術に対する利点と同様に、以下に記載される改良点によって達成される。
【0012】
一般的に、回転可能なシャフトに取り付けられて食物を混合するように構成された撹拌器は、柄部と、前記柄部の一端に設けられた、前記シャフトに取り付けられるように構成されたシャフト結合部と、前記柄部の他端に設けられた、食物を混合するためのブレードと、を備えている。前記柄部は、当該撹拌器に所定量のトルクがかかった場合に当該柄部が破断する場所である弱体化領域を有している。
【0013】
所定のトルクが当該柄部にかかったときに破断するという柄部を有する食物混合用撹拌器を構成する方法は、前記柄部内において前記柄部に沿った所望の認識可能な位置に弱体化領域を設ける工程を備えている。
【0014】
所定のトルクが当該柄部にかかったときに破断するという柄部を有する食物混合用撹拌器を構成する他の方法は、前記柄部内に弱体化領域を設ける工程と、前記弱体化領域の寸法を前記所定のトルクの大きさに応じて決定する工程と、を備えている。
【0015】
本発明が具現化される全ての種々の形態や変形を示すことを目的とせずに、本発明の概念に従う好適な例となる回転撹拌器が、添付図面において例示的に示されているが、本発明は本明細書の細部によっては規定されず、添付の請求項により規定される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従って作製された撹拌器の斜視図である。
【図2】図1の撹拌器の正面立面図である。
【図3】図1の撹拌器の側面立面図である。
【図4】回転可能なシャフトに取り付けられてカップ内のアイスクリームを混合する撹拌器を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に従って作製された食物混合撹拌器の全体が、符号10により示されている。撹拌器10は、好適には、コポリエステル又はポリカーボネートプラスチック材料からなり、従来の任意の形状を有し得るが、有利にはスプーンの形状において図示される。撹拌器10は、全体を符号11で示される柄部と、全体を符号12で示され、柄部11の一端に形成されたシャフト結合部と、スプーンのボウル部の形状を有するとともに柄部11の他端に形成されたブレード部13と、を有している。
【0018】
撹拌器10の結合部12は、全体を符号14で示され、上部が開放された略矩形の中空ソケットを有している。ソケット14は、底面15と、この底面15から上方に延びる対向する側壁部16と、側壁部16の間で延びる対向するオフセット横板17と、から規定されている。柔軟なクリップ18が、側壁部16の一方に支持されて、ソケット14を超えて上方に延びている。係止突起19が、ソケット14の頂部の上に位置するクリップ18に配置されている。
【0019】
撹拌器10の柄部11は、I型梁の形状であり、中央壁部21により間を渡された対向する側壁部20を有している。壁部20及び21は、ソケット14の底面15からブレード部13に向かって下方に延びている。このI型梁形状により、操作中の潜在的なトルクと破断に抵抗する強度が、スプーン撹拌器10に提供される。
【0020】
しかしながら、撹拌器10が極度に凍結した、または硬い材料を混ぜるために使用される場合、ブレード部13やI型梁形状の柄部11までもが破断することが無原則にあり得る。上述のように、特にこのような破断が見過ごされると、使用者が怪我をする可能性がある。どのような破断が生じたとしても、この破断が常に視認可能な位置において生じることを保証するために、I型梁形状の側壁20には、対向するスロットすなわちノッチ22が設けられている。これらのノッチ22は、その間にウェブ23を挟んで互いに内方向に延びている。開口部24が、中央壁部21を貫通して設けられ、好適にはノッチ22とウエブ23とに略位置合わせされている。つまり、ノッチ22と、ウエブ23と、開口部24とは、撹拌器10の柄部11の弱体化領域を画定している。以下に更に詳細に説明するように、撹拌器10が破損しそうになると、側壁部20がウエブ23からなる弱体化領域において破損するとともに、中央壁部21が開口部24からなる領域において破損するようになる。
【0021】
撹拌器10は、主に、食物製品を混合する機器とともに使用されることが意図されている。典型的な機器とその動作の完全なる理解のために、参照によりここに組み込まれる2009年7月17日に出願された米国特許出願12/460,273号を参照されたい。
【0022】
このような機器において、図4に示すように、撹拌器10は回転のためにシャフト25に取り付けられる。この取り付けは、シャフト25の駆動端をソケット14内に配置することにより達成される。撹拌器10がこのような接続を達成するよう上方に動かされるにしたがって、シャフト25の駆動端上のフランジ26に係止突起19が係合するまで、クリップ18がたわむ。撹拌器10を単に下方に引っ張ることにより、撹拌器10を手動でシャフト25から取り外すことができる。或いは、混合機に撹拌器自動取出システムが設けられてもよい。
【0023】
図4に示すように、カップ28に収容されたアイスクリーム等の食物製品27内に撹拌器10が配置されると、シャフト25が回転し始め、ブレード部13が食物27を混合し始める。しかしながら、食物が硬すぎてブレード部13の回転に抵抗するような場合、そして、他の破断が生じる前に柄部11にかかるトルクが所定量を超えた場合、ノッチ22、23と開口部24とにより画定される弱体化領域において、柄部11が分断される。この場合、撹拌器10のコポリエステル材料は、ランダムに他の領域において破断するのではなく、本質的に弱体化領域において引き裂かれる。
【0024】
ノッチ22、23の寸法、つまりウエブ23の寸法、及び開口部24の寸法、並びに撹拌器10の材料が、いかなるトルク量において柄部11が破断するかを決定する。例えば、ウエブ23を小さくすれば、柄部11はより小さいトルクで破断する。同様に開口部24を大きくすれば、柄部11はより小さいトルクで破断する。したがって、柄部11の破断に必要なトルク力の量は、ウエブ23又は開口部24の寸法、或いはこれら両者を調整することにより、制御可能である。
【0025】
アイスクリームを混合するとき、柄部11にかかるトルクは、主としてアイスクリームの温度に相関する。典型的には、コンビニエンスストア等に配達されるときのカップ入りのアイスクリームは、−15°F(約−26°C)程度にまで冷たいことがある。それらは、施設で保管されるうちに、消費者の利用に適する6°F(約−14°C)まで温かくなることもある。このような温度においては、柄部の破断は典型的には問題にならない。しかしながら、例えば−6°F(約−21°C)という冷えすぎた状態でカップが供される場合、柄部の破断が問題になってくることがある。したがって、少なくとも最初の時点では、アイスクリームが例えば−6°F(約−21°C)における硬度を有する場合に柄部11が弱体化領域において分断するように、ウエブ23と開口部24の寸法を設定するのがよい。約0.2インチ(約0.5cm)のウエブ23と、略同寸法の開口部24であると、−6°F(約−21°C)での柄部の破断が可能となることが知見されている。
【0026】
上記に鑑みれば、本明細書に記載されたように構成されたフードミキサ用の撹拌器が従来技術を実質的に改良して、本発明の目的を達成するものであることが明らかである。
【符号の説明】
【0027】
10 攪拌器
11 柄部
12 結合部
13 ブレード部
14 ソケット
15 底面
16 側壁部
17 オフセット横板
18 クリップ
19 係止突起
20 側壁部
21 中央壁部
22 ノッチ
23 ウェブ
24 開口部
25 シャフト
26 フランジ
27 食物製品
28 カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なシャフトに取り付けられて食物を混合するように構成された撹拌器であって、
柄部と、
前記柄部の一端に設けられた、前記シャフトに取り付けられるように構成されたシャフト結合部と、
前記柄部の他端に設けられた、食物を混合するためのブレードと、
を備え、
前記柄部は、撹拌器に所定量のトルクがかかった場合に当該柄部が破断する場所である弱体化領域を有している
ことを特徴とする撹拌器。
【請求項2】
前記弱体化領域は、前記柄部内のウェブを含んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載の撹拌器。
【請求項3】
前記弱体化領域は、前記ウェブに位置合わせされた前記柄部内の開口部を含んでいる
ことを特徴とする請求項2に記載の撹拌器。
【請求項4】
前記ウエブの寸法と前記開口部の寸法は、前記所定量のトルクに依存している
ことを特徴とする請求項3に記載の撹拌器。
【請求項5】
前記所定量のトルクは、混合される食物の硬度に基づいている
ことを特徴とする請求項4に記載の撹拌器。
【請求項6】
前記柄部は、間隔を置いた第一壁と第二壁と、前記第一壁と前記第二壁との間に延びる第三壁と、を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の撹拌器。
【請求項7】
前記弱体化領域は、第一壁と第二壁の少なくともいずれか一方に形成された複数のノッチを有し、これらのノッチの間にウエブがある
ことを特徴とする請求項6に記載の撹拌器。
【請求項8】
前記弱体化領域は、前記第三壁に設けられ前記ウェブに位置合わせされた開口部を含んでいる
ことを特徴とする請求項7に記載の撹拌器。
【請求項9】
前記ウエブの寸法と前記開口部の寸法は、前記所定量のトルクに依存している
ことを特徴とする請求項8に記載の撹拌器。
【請求項10】
前記所定量のトルクは、混合される食物の硬度に基づいている
ことを特徴とする請求項9に記載の撹拌器。
【請求項11】
前記ブレードは、スプーンのボウル部の形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の撹拌器。
【請求項12】
食物混合時に前記ブレードにかかるトルクの量は食物の硬度に依存し、前記所定量のトルクは食物の硬度に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項1に記載の撹拌器。
【請求項13】
所定のトルクが当該柄部にかかったときに破断するという柄部を有する食物混合用撹拌器を構成する方法であって、
前記柄部内において前記柄部に沿った所望の視認可能な位置に弱体化領域を設ける工程
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記弱体化領域の寸法を前記所定のトルクの大きさに応じて決定する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記弱体化領域を設ける工程が、ウエブを前記柄部内に設ける工程を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記弱体化領域を設ける工程が、前記柄部内に開口部を設ける工程を有する
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記弱体化領域を設ける工程が、前記ウエブを前記開口部と位置合わせする工程を有する
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
所定のトルクが当該柄部にかかったときに破断するという柄部を有する食物混合用撹拌器を構成する方法であって、前記柄部内に弱体化領域を設ける工程と、前記弱体化領域の寸法を前記所定のトルクの大きさに応じて決定する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記所定のトルクを、前記撹拌器によって混合される食物の硬度に基づいて決定する工程
を更に有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記弱体化領域を設ける工程が、前記柄部内にウエブとこれに位置合わせされた開口部とを設ける工程を有する
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−217846(P2012−217846A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−79488(P2012−79488)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(500178485)ビタ−ミックス・コーポレイション (11)
【氏名又は名称原語表記】Vita−Mix Corporation
【住所又は居所原語表記】8615 Usher Road, Cleveland, Ohio, The United States of America
【Fターム(参考)】