説明

ブタノール、水、および、有機抽出剤の混合物からのブタノールの回収

水不混和性の有機抽出剤、水、ブタノール、および、場合により非凝縮性ガスを含む混合物からブタノールを回収する方法が提供されている。ブタノールは、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、および、これらの混合物から選択される。抽出剤は、C〜C22脂肪族アルコール、C〜C22脂肪酸、C〜C22脂肪酸のエステル、C〜C22脂肪族アルデヒド、および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が本明細書において参照により援用されている、2009年11月23日に出願の米国仮特許出願第61/263502号明細書に基づく利益を主張する。
【0002】
抽出発酵プロセスから得られたブタノール含有有機相からブタノールを回収するプロセスが提供されている。特に、蒸留、および、共留剤の使用により、ブタノール、水、不水和性の有機抽出剤、および、任意選択により非凝縮性ガスを含む混合物からブタノールを分離するプロセスが提供されている。
【背景技術】
【0003】
ブタノールは、燃料添加剤として、ディーゼル燃料へのブレンド成分として、プラスチック産業における原材料化学物質として、ならびに、食品および香料産業における食品用銘柄の抽出剤としての使用など、多様な用途を有する重要な工業化学物質である。毎年、石油化学的手段により100〜120億ポンドのブタノールが生成されている。ブタノールの予測需要量が増加するに伴って、コーン、サトウキビ、または、セルロース系供給物などの再生可能資源からの発酵によるブタノールの生成に対する関心が拡大している。
【0004】
ブタノールが生成される発酵プロセスにおいては、インサイチュでの生成物の取り出しがブタノールによる微生物の阻害を有利に低減させ、発酵液体培地中のブタノール濃度が制御されることにより発酵速度が向上される。インサイチュでの生成物の取り出しのための技術としては、ストリッピング、吸着、浸透気化、メンブラン溶剤抽出、および、液体−液体抽出が挙げられる。液体−液体抽出においては、抽出剤が発酵液体培地と接触させられて、発酵液体培地相と抽出剤相との間でブタノールが分割される。ブタノールおよび抽出剤は例えば蒸留による分離プロセスによって回収される。回収プロセスにおいて、ブタノールはまた、抽出剤の使用により発酵液体培地から除去されている可能性があるいずれかの水、非凝縮性ガス、および/または、発酵副生成物からも分離されることが可能である。
【0005】
2009年6月4日に出願された特許文献1には、発酵液体培地からブタノールを生成し、回収する方法が開示されており、これらの方法は、発酵液体培地と、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、および、これらの混合物からなる群から選択される不水和性の有機抽出剤とを接触させて、水性相とブタノール含有有機相とを含む二相混合物を形成するステップを含む。
【0006】
2009年4月13日に同時に出願された、米国仮特許出願第61/168,640号明細書;同61/168,642号明細書;および、同61/168,645号明細書;ならびに、2009年8月6日に同時に出願された米国仮特許出願第61/231,697号明細書;同61/231,698号明細書;および、米国仮特許出願第61/231,699号明細書には、発酵培地からブタノールを生成し、回収する方法が開示されており、これらの方法は、発酵培地と、第1の溶剤および第2の溶剤であって、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、および、これらの混合物からなる群から選択される第1の溶剤、ならびに、C〜C11アルコール、C〜C11カルボン酸、C〜C11カルボン酸のエステル、C〜C11アルデヒド、および、これらの混合物からなる群から選択される第2の溶剤を含む不水和性の有機抽出剤とを接触させて、水性相とブタノール含有
有機相とを含む二相混合物を形成するステップを含む。
【0007】
2009年7月15日に出願された、米国仮特許出願第61/225,659号明細書および同61/225,662号明細書号明細書には、ブタノール、水、不水和性の有機抽出剤、および、任意選択により非凝縮性ガスを含む混合物からブタノールを分離するプロセスが開示されている。
【0008】
発酵液体培地からのインサイチュでの生成物の取り出しにより得られるブタノール含有抽出剤相からブタノールを回収するプロセスが継続的に探求されている。水および抽出剤を実質的に含まないブタノールを回収するための経済的なプロセスが所望されている。また、抽出剤の分解が最低限とされている分離プロセス、ならびに、所望の分離に向上した効率をもたらすプロセスが所望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第12/478,389号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、不水和性の有機抽出剤、水、ブタノール、および、任意選択により非凝縮性ガスを含む供給物から、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、および、これらの混合物からなる群から選択されるブタノールおよび/またはその異性体を分離する方法を提供する。分離は、蒸留、傾瀉、および、共留剤の使用の組み合わせによりなされる。
【0011】
一態様において、本発明は:
a)
(i)不水和性の有機抽出剤、
(ii)水、
(iii)ブタノールの少なくとも1種の異性体、および
(iv)任意選択により非凝縮性ガス
を含む供給物を第1の蒸留塔に導入するステップであって、ここで、第1の蒸留塔はストリッピングセクションと、任意選択により、ストリッピングセクションより上方の導入点に精留セクションとを備えており、第1の蒸留塔はストリッピングセクションにおける所定の点において操作温度Tおよび操作圧力Pを有しており、ここで、TおよびPは第1の缶出物流および第1の蒸気状塔頂物流が生成されるよう選択され、第1の缶出物流は不水和性の有機抽出剤および水を含むと共に実質的にブタノールを含んでおらず、ならびに、第1の蒸気状塔頂物流は水、ブタノール、任意選択により抽出剤、および、任意選択により非凝縮性ガスを含んでいるステップ;
b)不水和性の有機共留剤を少なくとも1つの適切なプロセス流または容器に導入するステップ;
c)第1の蒸気状塔頂物流を凝縮させて気相を生成すると共に第1の混合凝縮物を回収するステップであって、ここで、第1の混合凝縮物は:
(i)ブタノール、共留剤、および、水を含む有機相;ならびに
(ii)水およびブタノールを含む水性相;
を含み、ここで、第1の混合凝縮物は、有機相および水性相の相分離をもたらすのに十分な共留剤を含んでいるステップ;
d)水性相の少なくとも一部を第1の蒸留塔に導入するステップ;
e)有機相の第1の部分を少なくともストリッピングセクションを備える第2の蒸留塔に導入するステップ;ならびに
f)ブタノールを含むと共に実質的に水および共留剤を含まない第2の缶出物流と、ブタノール、共留剤、および、水を含む第2の蒸気状塔頂物流とが生成されるよう第2の蒸留塔を操作するステップ;
を含む方法であり、ここで、
抽出剤は、(A)水よりもブタノールを優先的に抽出し、(B)蒸留によりブタノールから分離可能であるよう選択され;および、
共留剤は、(C)ブタノールよりも高い蒸気圧を有しており、(D)蒸留によりブタノールから分離可能であるよう選択される。
【0012】
実施形態において、ブタノールの異性体はイソブタノールである。実施形態において、供給物中のブタノールは、コーンまたはサトウキビなどの原材料の発酵によって生成される。実施形態において、供給物はエタノールをさらに含むと共に、第2の缶出物流はエタノールをさらに含む。実施形態において、第1の蒸留塔に導入される供給物と第1の缶出物流との間にはプロセス間熱交換が存在している。実施形態において、共留剤は、ペンタン、ヘキサン、ヘキセン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、またはキシレンを含む。実施形態において、抽出剤は、C〜C22脂肪族アルコール、C〜C22脂肪酸、C〜C22脂肪酸のエステル、C〜C22脂肪族アルデヒド、C〜C22脂肪族アミド、および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む。実施形態において、抽出剤は、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、C12〜C22脂肪族アミド、および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む。実施形態において、抽出剤はオレイルアルコールを含む。実施形態において、ブタノールの異性体は、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、または、これらの混合物である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の方法の実施に有用なシステムの一実施形態を示す。
【図2】本発明の方法の実施形態例のモデリングに用いた概略的なプロセス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願人らは、本開示中のすべての引用文献のすべての内容を特定的に援用する。さらに、量、濃度、または、他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または、好ましい上方値および好ましい下方値の列挙として記載されている場合、これらは、範囲が別個に開示されているかどうかに関わらず、いずれかの範囲上限または好ましい上方値と、いずれかの範囲下限または好ましい下方値とのいずれかの対から形成されるすべての範囲を特定的に開示していると理解されるべきである。本明細書において数値の範囲が言及されている場合、他に明記されていない限りにおいて、この範囲は、その端点、ならびに、この範囲内のすべての整数および少数を含んでいることが意図されている。本発明の範囲は、範囲が定義される際に言及されている特定の値に限定されることは意図されていない。
【0015】
以下の定義が本開示において用いられている。
本明細書において用いられるところ、ブタノールとは、個別に、1−ブタノール(1−BuOH)、2−ブタノール(2−BuOH)、および/あるいは、イソブタノール(iBuOHまたはI−BUOH)、または、これらの混合物を意味する。
【0016】
本明細書において用いられるところ、「インサイチュでの生成物の取り出し」とは、発酵などの生物学的プロセスから特定の発酵生成物を選択的に取り出して、生物学的プロセスにおける生成物の濃度を制御することを意味する。
【0017】
本明細書において用いられるところ、「発酵液体培地」とは、存在している微生物によるブタノール、水および二酸化炭素(CO)への糖質の反応により生成物ブタノールが形成される発酵容器中に保持されている、水、糖質、溶解固形分、懸濁固形分、ブタノールを生成する微生物、生成物ブタノール、および、材料のすべての他の構成成分の混合物を意味する。発酵液体培地は、二相発酵抽出における水性相である。時々、本明細書において用いられるところ、「発酵培地」という用語は、「発酵液体培地」と同義的に用いられ得る。
【0018】
本明細書において用いられるところ、「発酵容器」とは、生成物ブタノールが糖質から形成される発酵反応が実施される容器を意味する。「発酵槽」という用語は、本明細書において、「発酵容器」と同義的に用いられ得る。
【0019】
本明細書において用いられるところ、「実効滴定濃度」という用語は、発酵培地1リットル当たりの発酵により生成されたブタノールの総量を指す。ブタノールの総量は:(i)発酵培地中のブタノールの量;(ii)有機抽出剤から回収されたブタノールの量;および、(iii)ガスストリッピングが用いられる場合、気相から回収されたブタノールの量を含む。
【0020】
本明細書において用いられるところ、「水性相滴定濃度」という用語は、発酵液体培地中のブタノールの濃度を指す。明示されている場合、この用語はまた、発酵液体培地中のエタノールの濃度をも指す。
【0021】
本明細書において用いられるところ、「ストリッピング」とは、揮発性成分のすべてもしくは一部を液体流から気体流に移すことを意味する。
【0022】
本明細書において用いられるところ、「ストリッピングセクション」とは、ストリッピング操作が行われる接触デバイスの一部を意味する。
【0023】
本明細書において用いられるところ、「精留」とは、低沸点成分を高沸点成分から分離および精製するために、凝縮性成分のすべてもしくは一部を気体流から液体流に移すことを意味する。
【0024】
本明細書において用いられるところ、「精留セクション」とは、蒸留塔の供給点より上のセクション、すなわち、供給物流が進入し、精留操作が行われる塔における供給点より上に位置されたトレイもしくは充填材を意味する。
【0025】
本明細書において用いられるところ、「分離」という用語は「回収」と同義であり、初期混合物から化学化合物を除去して、初期混合物中の化合物の純度または濃度よりも高い純度もしくは高い濃度で化合物を得ることを指す。
【0026】
「不水和性」という用語は、1つの液体相を形成するようには発酵液体培地などの水溶液と混合することが不可能である抽出剤もしくは溶剤などの化学成分を指す。
【0027】
本明細書において用いられるところ、「抽出剤」という用語は、発酵液体培地からブタノールを抽出するために用いられる1種以上の有機溶剤を指す。
【0028】
本明細書において用いられるところ、「共留剤」という用語は、二成分系混合物により形成される共沸物に添加された場合に、二成分系混合物の成分の2つの液体相への分離を促進もしくは向上させる第3の有機成分を指す。
【0029】
「有機相」という用語は、本明細書において用いられるところ、発酵液体培地と不水和性の有機抽出剤とを接触させることにより得られる二相混合物の非水性相を指す。
【0030】
本明細書において用いられるところ、「脂肪酸」という用語は、飽和または不飽和のいずれかであるC〜C22炭素原子の長い脂肪族鎖を有するカルボン酸を指す。
【0031】
本明細書において用いられるところ、「脂肪族アルコール」という用語は、飽和または不飽和のいずれかであるC〜C22炭素原子の長い脂肪族鎖を有するアルコールを指す。
【0032】
本明細書において用いられるところ、「脂肪族アルデヒド」という用語は、飽和または不飽和のいずれかであるC〜C22炭素原子の長い脂肪族鎖を有するアルデヒドを指す。
【0033】
本明細書において用いられるところ、「脂肪族アミド」という用語は、飽和または不飽和のいずれかであるC12〜C22炭素原子の長い脂肪族鎖を有するアミドを指す。
【0034】
非凝縮性ガスとは、本明細書に記載の方法の操作温度で凝縮されないガスを意味する。
【0035】
「℃」および「C」という用語は摂氏度を意味する。
【0036】
「deg」という用語は度を意味する。
【0037】
「g/L」という用語はグラム/リットルを意味する。
【0038】
「ppm」という用語は百万分率を意味する。
【0039】
「kg/hr」という用語はキログラム/時間を意味する。
【0040】
「atm」という用語は大気を意味する。
【0041】
本発明の方法における供給物として有用であるブタノール含有抽出剤流は、ブタノールが発酵生成物として生成される抽出発酵から得られるいずれかの有機相を含んでいる。典型的なブタノール含有抽出剤流は、有機抽出剤での発酵液体培地の液体−液体抽出を利用してインサイチュでの生成物の取り出しが実施される、「乾式粉砕」または「湿式ミル」発酵プロセスにおいて生成されるものを含む。抽出の後、抽出剤流は、典型的には、ブタノール、水、および、抽出剤を含む。抽出剤流は、任意選択により、不活性であるか、または、そうでなければ、本発明の操作条件下で他の供給成分と非反応性であるガスであることが可能である非凝縮性ガスを含み得る。このようなガスは、例えば、二酸化炭素、窒素、水素、アルゴンなどの希ガス、または、これらのいずれかの混合物からなる群におけるガスから選択されることが可能である。抽出剤流は、任意選択により、抽出剤相への分配に十分な溶解度を有する発酵副生成物をさらに含み得る。抽出剤流は、任意選択により、例えばバイオマスといった固形分、または、発酵に由来する固形分を含有し得る。本発明の方法における供給物として有用なブタノール含有抽出剤流としては、供給物の重量を基準として、約0.1重量パーセント〜約40重量パーセント、例えば約2重量パーセント〜約40重量パーセント、例えば約5重量パーセント〜約35重量パーセントの供給物中のブタノール濃度によって特徴付けられる流れが挙げられる。抽出の効率に応じて、発酵液体培地におけるブタノールの水性相滴定濃度は、例えば、約5g/L〜約85g/L、または、約10g/L〜約40g/Lであることが可能である。実施形態において、プロセスから回収されるブタノールの実効滴定濃度は、少なくとも約40g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約60g/L、少なくとも約70g/L、少なくとも約80g/L、少なくとも約90g/Lあるいは少なくとも約100g/Lである。
【0042】
供給物として有用なブタノール含有抽出剤流はエタノールをさらに含んでいてもよい。このような抽出剤流は、本明細書において上述されているブタノール濃度により、および、供給物の重量を基準として約0.01重量パーセント〜約10重量パーセント、例えば約0.2重量パーセント〜約2重量パーセント、例えば約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントの供給物中のエタノール濃度により特徴付けられ得る。抽出の効率に応じて、発酵液体培地におけるエタノールの水性相滴定濃度は、例えば、約0.1g/L〜約20g/L、または、約1g/L〜約5g/Lであることが可能である。エタノールは、例えば組換えブタノール生成微生物からの副生成物として発酵液体培地において得てもよい。
【0043】
抽出剤は、発酵液体培地からのブタノールの抽出に有用とされる特徴を有する不水和性の有機溶剤または溶剤混合物である。抽出剤は、ブタノールの水溶液の室温抽出において評価された場合に、抽出剤相中のブタノールの濃度が水性相中の濃度の少なくとも1.1倍であるよう、例えば少なくとも1.1:1の濃度比によって水性相からブタノールを優先的に分配する。実施形態において、抽出剤は、ブタノールの水溶液の室温抽出において評価された場合に、抽出剤相中のブタノールの濃度が水性相中の濃度の少なくとも2倍であるよう、少なくとも2:1の濃度比により水性相からブタノールを優先的に分配する。実施形態において、抽出剤は、少なくとも3:1の濃度比、少なくとも4:1の濃度比、少なくとも5:1の濃度比、少なくとも6:1の濃度比、少なくとも8:1の濃度比、少なくとも10:1の濃度比または、少なくとも20:1の濃度比で水性相からブタノールを優先的に分配する。
【0044】
ブタノール回収プロセスにおいて実際に用いられるために、抽出剤は、蒸留によってブタノールから分離可能であって、回収されるべきブタノールよりも、少なくとも約摂氏30度高い、または、例えば少なくとも約40度高い、または、例えば少なくとも約50度高い沸点を大気圧で有する。高沸点抽出剤の混合物は、混合物の沸点、または、混合物の最も沸点が低い溶剤の沸点が、水およびブタノールの沸点よりも、顕著に、例えば少なくとも約30度以上高い場合に、単一の抽出剤と基本的に同様に作用することが予期される。
【0045】
抽出剤は、C〜C22脂肪族アルコール、C〜C22脂肪酸、C〜C22脂肪酸のエステル、C〜C22脂肪族アルデヒド、C〜C22脂肪族アミド、および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含んでいることが可能である。抽出剤は、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、C12〜C22脂肪族アミド、および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含んでいることが可能である。好適な抽出剤の例としては、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸メチル、オレイン酸メチル、ラウリンアルデヒド、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ノナナール、2−ブチルオクタノール、2−ブチル−オクタン酸および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む抽出剤が挙げられる。実施形態において、抽出剤はオレイルアルコールを含む。実施形態において、抽出剤は、ISOFAL(登録商標)12(Sasol,Houston,TX)またはJarcol I−12(Jarchem Industries,Inc.,Newark,NJ)として市販されている、例えば2−ブチルオクタノールといった
分岐鎖飽和アルコールを含む。実施形態において、抽出剤は、それぞれ、ISOCARB(登録商標)12、ISOCARB(登録商標)16、および、ISOCARB(登録商標)24(Sasol,Houston,TX)として市販されている、例えば、2−ブチル−オクタン酸、2−ヘキシル−デカン酸、または、2−デシル−テトラデカン酸といった分岐鎖カルボン酸を含む。
【0046】
このような有機抽出剤は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)などの種々の供給源から、種々の銘柄で商業的に入手可能である可能性があり、これらの多くは、ブタノールを生成もしくは回収するための抽出発酵における使用に好適であり得る。工業銘柄は、所望の成分、ならびに、高級および低級脂肪成分を含む化合物の混合物を含有している。例えば、ある種の市販されている工業銘柄オレイルアルコールは、約65%オレイルアルコールと、高級および低級脂肪族アルコールの混合物とを含有している。
【0047】
本発明は、不水和性の有機抽出剤、水、ブタノールの少なくとも1種の異性体、および、任意選択により非凝縮性ガスを含む供給物からブタノールを分離または回収するプロセスを提供する。供給物からのブタノールの分離は、蒸留、傾瀉、および、共留剤の使用の組み合わせを介して達成される。蒸留には、少なくとも2つの蒸留塔が使用される。第1の塔は、共留剤および傾瀉の組み合わせで、例えばオレイルアルコールおよび水といった抽出剤からの二酸化炭素などのいずれかの非凝縮性ガス、および、ブタノールの分離をもたらす。共留剤は、適切なプロセス流または容器に、第1の混合凝縮物が有機相および水性相の相分離をもたらすのに十分な共留剤を含有しているような量で添加される。このような相分離は、典型的には、デカンタ中で生じる。「相分離」とは、水および有機物を含有する1つの初期液体相からの、一方は主に水性であると共に他方が主に有機性である2つの液体相の物理的な形成を意味する。共留剤の物理的な特徴、および、初期液体相中のその濃度、ならびに、初期液体相中のブタノールおよびエタノールの濃度が、選択されたプロセス条件下で相分離が生じるかを決定する。例えば、温度および圧力もまた相分離に作用する可能性がある。水性相の少なくとも一部が第1の塔に戻され;有機相の一部もまた第1の塔に戻される。第2の塔は、ブタノールおよび水の分離をもたらして、実質的に水および共留剤を含まない缶出物流としてブタノールをもたらす。「実質的に水を含まない」とは、約0.01重量パーセント未満の水が缶出物流中に存在していることを意味する。「実質的に共留剤を含まない」とは、約0.01重量パーセント未満の共留剤が缶出物流中に存在していることを意味する。
【0048】
共留剤は、本発明の方法において有用とされる特徴を有する不水和性の有機化合物である。共留剤は、十分に高い蒸気圧を有していると共に、本明細書に記載の蒸留において使用可能とされるために、分離されるべきブタノール異性体よりも(または、ブタノール異性体の混合物中のほとんどの揮発性ブタノール異性体よりも)揮発性である。例えば、第1および/または第2の蒸留塔の操作条件が塔頂での略大気圧の使用を含む場合、共留剤とほとんどの揮発性ブタノール異性体との間の蒸気圧の差は、約5〜約50psiであり得る。操作条件が蒸留塔の塔頂での大気圧未満の使用を含む場合、蒸気圧における差は、例えば約10〜約30psiと小さい場合がある。ブタノールと比して過度に揮発性である共留剤の使用は、分離の最中での過剰な共留剤の損失をもたらす可能性があり、または、共留剤を凝縮し回収するためにかなり低温の冷却媒体を必要とする可能性がある。使用に好適であるために、共留剤はまた、低いモル潜熱を有し、プロセスの操作条件下で熱的に安定であり、および、不活性であるか、または、そうでなければ、供給物流中の他の成分と非反応性である。
【0049】
ブタノール回収プロセスにおいて実際に用いられるために、共留剤は蒸留によってブタノールから分離可能であると共に、大気圧で、回収されるべきブタノールの沸点よりも低い沸点を有する。
【0050】
共留剤は、少なくとも1種の炭化水素を含んでいることが可能である。共留剤は、例えば、飽和または不飽和、置換または非置換の脂肪族炭化水素であることが可能である。共留剤は置換または非置換の芳香族炭化水素であることが可能である。例えば、共留剤は、ペンタン、ヘキサン、ヘキセン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、および、キシレンからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素を含んでいてもよい。好ましくは、共留剤はヘキサンを含む。
【0051】
本発明の方法は、本発明の方法の実施に有用なシステムの一実施形態を示す図1を参照することにより理解されることが可能である。発酵抽出用のプロセスにおける発酵容器(図示せず)または抽出器(図示せず)から得られる供給物流430が、ストリッピングセクションと、任意選択によりストリッピングセクションより上方の供給点に精留セクションとを有する第1の蒸留塔650に導入される。供給物流430が蒸留されて、第1の缶出物流410と、水、ブタノール、共留剤、および、供給物中に存在しているいずれかの非凝縮性ガスを含む第1の蒸気状塔頂物流300とがもたらされる。塔650のストリッピングセクションにおける所定の点での操作温度Tおよび操作圧力Pは、抽出剤および水を含んでいると共に、実質的にブタノールを含まず、および、実質的に共留剤を含まない第1の缶出物流410がもたらされるよう選択される。「実質的にブタノールを含まない」とは、ブタノールが、缶出物410の0.01重量%以下を構成していることを意味する。「実質的に共留剤を含まない」とは、共留剤が、缶出物410の0.01重量%以下を構成していることを意味する。蒸留塔650は、少なくとも供給物入口、塔頂蒸気出口、缶出物流出口、加熱手段、および、抽出剤からのブタノールの分離を達成するために十分な数の段を有するいずれかの従来の塔であることが可能である。流れ500における抽出剤の損失が最低限であることが所望される場合に精留セクションが必要とされ、有機還流物流490が併用されてもされなくてもよい。抽出剤がオレイルアルコールを含んでいる場合、蒸留塔650は、リボイラを含んで少なくとも5つの段を有しているべきである。
【0052】
第1の缶出物流410は、約3〜約12重量パーセントの水、約0.01重量パーセント未満のブタノール、および、約0.01重量パーセント未満の共留剤を含んでいることが可能である。缶出物流410が実質的にブタノールおよび共留剤を含んでいないことを保証するために、蒸留塔650への水性還流物流対有機還流物流の比は、水対第1の混合凝縮物の有機組成物の比を超える比で水性還流物(流れ480)が有機還流物(流れ490)を超えるように選択されるべきである。プロセスは、第1の蒸留塔からの缶出物流410を発酵容器(図示せず)に導入するステップをさらに含んでいてもよい。あるいは、缶出物流410は分離されて(図示せず)水を含む缶出物水性相と抽出剤を含む缶出物有機相とが得られ、缶出物有機相の少なくとも一部が発酵容器に導入され、および、任意選択により缶出物水性相の少なくとも一部が同一のまたは異なる発酵容器に導入されてもよい。分離は、例えば、相分離が生じるまで缶出物流410を冷却することにより行われ得る。これらの選択肢は、ブタノール回収プロセスに由来する第1の缶出物流410を抽出発酵プロセスに再利用する手段を提供する。
【0053】
任意選択により、水、水蒸気、または、これらの混合物を含む追加の流れ435は、塔におけるいずれかの箇所で第1の蒸留塔650に導入され得る。水が用いられる場合、水は、液体の還流として戻される水性流480と共に供給されることが好ましい。水蒸気が用いられる場合、水蒸気は、ストリッピングセクション中に、または、塔の缶出物から供給されることが好ましい。流れ435の供給点は、供給物流430の供給点とは同一であっても異なっていてもよい。塔に戻る水性液の総量は水性流480と任意の流れ435との和であり、および、塔に戻る水性液の総量は、塔のすべてのトレイ全体に液体の水が保持されるのに十分であるよう選択されるべきである。いずれかの添加される水、水蒸気、または、これらの混合物の量もまた、水性流480と組み合わされて、第1の混合凝縮物の水性組成物対有機組成物の比を超える比で、塔に戻る水性液の総量が塔に戻るブタノール流490を超えるように選択されるべきである。
【0054】
第1の蒸留塔からの蒸気状塔頂物流300は、約66重量パーセント以下のブタノールおよび約20〜約50重量パーセントの水を含んでいることが可能である。塔頂物流300はまた、約5〜約20重量パーセントの共留剤をも含んでいることが可能である。選択された操作条件下で第1の混合凝縮物の相分離をもたらすのに十分な最低限の量よりも多くの共留剤がプロセスにおいて用いられる場合、流れ300中の共留剤の量が比例して増加され、ブタノールおよび水の重量割合は比例して低くなる。塔頂物流は、供給物中に存在していてもよい非凝縮性ガスを含む。流れ300は凝縮器670中で凝縮されて、液体の凝縮された有機物および液体の凝縮された水を含む第1の混合凝縮物流350が生成される。第1の混合凝縮物流350は、有機相および水性相の相分離をもたらすのに十分な共留剤を含んでいるべきである。流れ350はまた、供給物中に存在しているいずれかの非凝縮性ガスをも含む。凝縮器670は、従来の設計のいずれかのものでよい。
【0055】
混合凝縮物流350はデカンタ700に導入されて、液体有機相および液体水性相に分離される。デカンタの温度は、約40℃以下で維持されて、非凝縮性ガスによってストリッピングされるブタノール、共留剤、および、水の量が減らされることが好ましい。より軽い液体相(上部の液体相)である液体有機相は、約10重量パーセント未満の水、または、約0.1〜約5重量パーセントの水を含んでいることが可能であり、塔650における塔頂から来るいずれかの抽出剤を約0.1重量パーセント未満でさらに含み得る。液体有機相はまた、約70重量パーセント未満の共留剤、または、約40〜約50重量パーセントの共留剤を含んでいることが可能である。選択された操作条件下で第1の混合凝縮物の相分離をもたらすのに十分な最低限の量よりも多くの共留剤がプロセスにおいて用いられる場合、液体有機相中の共留剤の量が比例して増加され、ブタノールおよび水の重量割合は比例して低くなる。有機相中に残存する抽出剤は、塔650における精留セクションの使用により最低限とされることが可能である。液体の水性相は、約30重量パーセント未満、または、約3〜約20重量パーセントのブタノールを含む。液体の水性相は、約5重量パーセント未満の共留剤、または、約1重量パーセント未満の共留剤を含んでいることが可能である。デカンタは、従来の設計のいずれかのものでよい。
【0056】
二酸化炭素などの非凝縮性ガスが供給物中に存在している場合、非凝縮性ガスは流れ300および流れ350中に存在している。デカンタ700から出る非凝縮性ガスを含むパージ流460が示されている図1に示されているとおり、プロセスは、非凝縮性ガスを含む気相の少なくとも一部をプロセスからパージするステップをさらに含み得る。パージ流460は、共留剤をさらに含んでいることが可能である。このパージ流を介して失われる共留剤の量を最低点とするために、流れ460を部分的に凝縮させて、その中に含有されていた共留剤の一部を回収することが可能であり、および、この回収した共留剤をプロセス(図示せず)に戻すことが可能である。一実施形態において、プロセスはさらに、気相を部分的に凝縮して、共留剤の少なくとも一部を回収し、任意選択により、回収した共留剤を混合凝縮物に導入するステップを含んでいることが可能である。
【0057】
デカンタ700から、水性相480の少なくとも一部が第1の蒸留塔650に導入される。水性相480は塔に還流として導入され得ると共に、典型的には、デカンタにおいて分離された水性相のすべてを含んでいることとなる。流れ480を塔650に導入することで、塔温度が低下し、および、缶出物流中に水が存在していることが保証される。これは、特に、有機酸などの発酵副産物が存在しており、ならびに、抽出剤が、オレイルアルコールの場合に不飽和炭素−炭素結合などの官能基、または、未発酵の糖質およびデンプンを含有している場合に、より高い塔の温度では塔缶出物中の抽出剤が分解されてしまう可能性があるため、有利である。糖質およびデンプンのいずれかの分解は、熱交換器またはトレイデッキにおける汚損または閉塞を生じさせてしまう可能性があるために回避されるべきである。抽出剤の分解は、抽出発酵プロセスにおける効率を低下させてしまう可能性があるために回避されるべきである。
【0058】
このプロセスは、任意選択により、デカンタからの水性相の少なくとも一部を発酵容器(図示せず)に導入するステップをさらに含んでいてもよい。これは、ブタノール回収プロセスからの水のいくらかを抽出発酵プロセスに戻して再利用する手段を提供することが可能である。しかしながら、通常、ブタノール含有量が低い流れ410を介して水を発酵槽に再利用することが好ましい。
【0059】
デカンタを出る有機相470は2つの部分に分かれる。有機相の第1の部分である流れ500は、ストリッピングセクションより上方の供給点にストリッピングセクションを有する第2の蒸留塔950に導入される。流れ500は蒸留されて、ブタノールを含む第2の缶出物流600と、ブタノール、水、および、共留剤を含む第2の蒸気状塔頂物流210とがもたらされる。第2の蒸留塔は、実質的に水を含まず、および、実質的に共留剤を含まない缶出物流600がもたらされるよう操作される。「実質的に水を含まない」とは、缶出物600が約0.01重量パーセント未満の水を含んでいることを意味する。「実質的に共留剤を含まない」とは、缶出物600が、約0.01重量パーセント未満の共留剤を含んでいることを意味する。蒸留塔950は、少なくとも供給物入口、塔頂蒸気出口、缶出物流出口、加熱手段、ストリッピングセクション、および、所望の分離を達成するために十分な数の段を有するいずれかの従来の塔であることが可能である。塔950は、リボイラを含んで少なくとも6つの段を有しているべきであると共に、塔缶出物から水蒸気が直接的に注入される場合にはリボイラが備えられていない可能性がある。
【0060】
有機相の第2の部分である流れ490は、第1の蒸留塔650に導入される。流れ490は塔に還流として導入され得る。還流としての流れ490の塔650への導入は、塔650の蒸気状の流れ300における抽出剤の損失を抑制することとなる。流れ470に対する流れ490の比は、約0.1〜50重量パーセントの範囲であることが可能である。
【0061】
第2の蒸留塔950からの蒸気状塔頂物流210は、約20重量パーセント以下のブタノールおよび約5重量パーセントの水を含んでいることが可能である。流れ210は、約50〜約90重量パーセントの共留剤をさらに含んでいることが可能である。選択された操作条件下で第1の混合凝縮物の相分離をもたらすために十分な最低限の量よりも多くの共留剤がプロセスにおいて用いられる場合、流れ210中の共留剤の量が比例して増加され、ブタノールおよび水の重量割合は比例して低くなる。流れ210は凝縮器975中で凝縮されて、ブタノール、水、および、共留剤を含む第2の凝縮物流250が生成される。凝縮器975は、従来の設計のいずれかのものでよい。第2の凝縮物流250の少なくとも一部は、例えば第2の凝縮物水蒸気250をデカンタ700に供給することにより、第1の混合凝縮物流に導入され得る。第1の混合凝縮物流と第2の凝縮物流との組み合わせは、その組み合わせを液体の有機相と液体の水性相とに相分離させるために十分な共留剤を含有しているべきである。いずれかの非凝縮性ガスは本明細書に既述のとおりパージされることが可能である。
【0062】
蒸気状塔頂物流210は、アセトアルデヒドなどの揮発性発酵副産物をさらに含んでいてもよい。任意選択により、流れ210の少なくとも一部がプロセス(図示せず)からパージされて、ブタノール回収プロセスから揮発性発酵副産物が除去されてもよい。このようなパージ流は、共留剤の可能性のある損失を表していることが可能である、これは、プロセスへの追加の共留剤の導入によって補償されることが可能である。
【0063】
一実施形態においては、供給物流430はエタノールをさらに含む。本明細書に上述されているとおり、供給物流430は第1の蒸留塔650中で蒸留されて、抽出剤および水を含むと共に、実質的にブタノール、共留剤、および、エタノールを含まない第1の缶出物流410と、水、ブタノール、共留剤、エタノール、および、供給物中に存在しているいずれかの非凝縮性ガスを含む第1の蒸気状塔頂物流300とが生成される。第1の缶出物流410は、約3〜約15重量パーセントの水、約0.01重量パーセント未満のブタノール、約0.01重量パーセント未満のエタノール、および、約0.01重量パーセント未満の共留剤を含んでいることが可能である。ブタノールおよびエタノールを含む供給物流430は、ストリッピングセクションより上の供給点で塔650に導入される。
【0064】
供給物がブタノールおよびエタノールを含んでいる場合、第1の蒸留塔からの蒸気状塔頂物流300は、10〜約40重量パーセントのブタノール、約1〜約10重量パーセントのエタノール、約10〜約50重量パーセントの水、および約5〜約30重量パーセントの共留剤を含んでいることが可能である。流れ300の組成は、供給物流の組成、第1の塔の操作条件(例えば温度および圧力)、および、プロセス中で循環されている共留剤の量に依存することとなる。選択された操作条件下で第1の混合凝縮物の相分離をもたらすために十分な略最低限の量よりも多くの共留剤がプロセスにおいて用いられる場合、流れ300中の共留剤の量が比例して増加され、ブタノール、エタノール、および、水の重量割合は比例して低くなる。流れ300の凝縮が第1の混合凝縮物流350をもたらし、これは、有機相および水性相の相分離をもたらすのに十分な共留剤を含んでいるべきである。液体有機相は、ブタノール、共留剤、エタノール、および、任意選択により抽出剤を含む。液体有機相は、約80重量パーセント未満、または、約40〜約70重量パーセントの共留剤を含有していることが可能である。液体の水性相は、実質的に共留剤を含まず、および、水、ブタノール、および、エタノールを含む。液体の水性相は、約0.1重量パーセント未満の共留剤を含有していることが可能である。
【0065】
本明細書の上記開示のとおり、デカンタを出る有機相の第1の部分である流れ500は第2の蒸留塔950中で蒸留されて、第2の缶出物流600および第2の蒸気状塔頂物流210が提供される。供給物流430がブタノールおよびエタノールを含む場合、第2の缶出物流600もまたブタノールおよびエタノールを含む。普通、第1および第2の塔の操作条件は、流れ600におけるエタノール対ブタノールの比(質量基準で)が、供給物流430におけるものと略同一に維持されるよう選択されることが可能である。流れ600は、約70重量パーセント〜約99重量パーセントのブタノール、および、約1重量パーセント〜約30重量パーセントのエタノールを含有し得る。流れ600はまた、少量の抽出剤および共留剤を含有していてもよい。蒸気状塔頂物流210は、約1重量パーセント〜約10重量パーセントのブタノール、約1重量パーセント〜約10重量パーセントのエタノール、および、約70重量パーセント〜約90重量パーセントの共留剤を含有していることが可能である。
【0066】
共留剤は、共留剤が循環するプロセスの一部における任意の適切な一つの点または複数の点に導入されることが可能である。共留剤(または、共留剤を含む流れ)を添加することが可能である適切なプロセス流または容器としては、供給物流430、第1の蒸気状塔頂物流300、第1の混合凝縮物流350、第2の凝縮物流250、第2の塔に導入される有機相の一部500、第2の蒸留塔からの蒸気状塔頂物流210、第1の蒸留塔650、デカンタ700、第2の蒸留塔950の上部セクション、および、これらの組み合わせが挙げられる。流れ120としての共留剤のデカンタ700への添加が図1に示されている。共留剤が導入される流れが蒸気状である場合、共留剤は余熱されると共に、蒸気の流れとして添加されることが好ましい。
【0067】
プロセスへの共留剤の添加は、第1の混合凝縮物中の共留剤の量、および/または、第
1の混合凝縮物流と第2の凝縮物流との組み合わせ中の共留剤の量がプロセスの操作条件下で有機相および水性相の相分離をもたらすのに十分である限り、連続的にもしくは非連続的に実施されることが可能である。相分離に必要とされる量より過剰な量の共留剤を用いることが可能であるが、これは、共留剤を含むプロセス流の体積の増加、エネルギー消費量の増加、プロセスからの共留剤の損失の比例した増加、および、運転費用の増加をもたらす可能性があるため、プロセスにおける顕著に過剰な量での共留剤の使用は、典型的には望ましくない。選択された操作条件下で相分離をもたらすために十分な略最低限の量の共留剤を使用することが好ましい。典型的には、蒸気状の流れがプロセスから出る際に生じることが可能である共留剤の損失を補償するためにプロセスに補給用の共留剤が添加される。
【0068】
ブタノールを分離または回収する本方法は、ガソリンと同様のエネルギー含有量を有し、かつ、任意の化石燃料とブレンドされることが可能であることが知られているブタノールを提供する。ブタノールは、標準的な内燃機関において燃焼された場合にCOのみをもたらし、SOまたはNOをほとんど、もしくはまったくもたらさないために、燃料または燃料添加剤として好まれている。また、ブタノールはエタノールよりも腐食性が低く、現時点において最も好ましい燃料添加剤である。
【0069】
バイオ燃料または燃料添加剤としての実用性に追加して、本方法により回収されるブタノールは、台頭しつつある燃料電池産業における水素流通問題に影響を与える可能性を有している。今日における燃料電池は、水素の輸送および流通に関連する安全性に対する懸念により悩まされている。ブタノールは、その水素含有量について容易に改質されることが可能であり、および、燃料電池または車両に要求される純度で、既存の給油所を介して流通されることが可能である。しかも、本方法は、祝物由来の炭素供給源からブタノールを回収するものであり、ブタノールの生成に関する標準的な石油化学的プロセスに関連する環境への悪影響が回避されている。
【0070】
ブタノールの分離または回収のための本方法の一つの利点は、デカンタから第1の塔に水性相の一部を戻すことにより、第1の塔における温度が、いかなる条件下においても例えば約140℃未満に、そして大気圧で操作される場合には、100℃近くと比較的低く維持されることである。より低い温度は、例えば、缶出物流中に含有されている発酵副産物との反応、もしくは、これにより触媒された反応を介して缶出物流中の抽出剤が分解された場合に生じる可能性がある、塔に係る熱交換器の汚損を防止または低減する。より低い塔温度はまた、回収プロセスをより経済的とする。
【0071】
追加の利点は、抽出剤を含む第1の缶出物流がブタノール生成物を実質的に含んでおらず、回収プロセスにおける高い収率に寄与していることである。また、ブタノールを実質的に含んでいないことで、第1の缶出物流の発酵プロセスへの任意の再利用が可能とされている。これはまた、再利用されるべきではない場合の廃棄を簡素化している。
【0072】
本発明の他の利点は、水の比揮発度が高く、これによって共留剤が伴わない場合と比して第2の塔の操作に必要とされる沸騰の程度が低いことにより、より効率的なプロセスが提供されていることである。
【0073】
前述の説明において本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明は、本発明の基本的な特徴の趣旨から逸脱することなく、数多くの変更、置換、および、再構成が可能であることは、当業者により理解されるであろう。本発明の範囲が明示されているため、前述の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。
【0074】
本発明の方法は、プロセスの演算モデルを用いて実証することが可能である。プロセスモデリングは、複雑な化学プロセスをシミュレートするために技術者によって用いられている確立された方法論である。プロセスモデリングソフトウェアは、例えば質量およびエネルギー収支、蒸気/液体平衡、ならびに、反応速度演算といった多くの基本的な工学計算を実行する。蒸留塔のモデリングは特に十分に確立されている。実験的に判定された二元系蒸気/液体平衡および液体/液体平衡データに基づいた計算は、多成分混合物の挙動を高い信頼性を伴って予測することが可能である。この能力は、Burlington,MassのAspentech,Inc.のJoseph Bostonによって開発された「インサイドアウト(inside−out)」アルゴリズムのような厳密なアルゴリズムを用いて、複雑な多段、多成分蒸留塔のモデリングが可能となるよう拡張されている。Aspentech製のAspen Plus(登録商標)などの市販のモデリングソフトウェアを、New York,NYのAmerican Institute of Chemical Engineers, Inc.から入手可能であるDIPPRなどの物理特性データベースと併用して、正確なモデルの開発およびプロセスの評価が可能である。
【実施例】
【0075】
ブタノール異性体として2−ブタノールを、抽出剤としてオレイルアルコールを、および、共留剤としてn−ヘキサンを用いたプロセスモデリングを介して実施例1および2を得た。ブタノール異性体としてイソブタノールを、抽出剤としてオレイルアルコールを、および、共留剤としてn−ヘキサンを用いたプロセスモデリングを介して実施例3および4を得た。少量のエタノールが、実施例3および4の供給物流に含まれていた。
【0076】
1−ブタノール、または、1−ブタノール、2−ブタノール、および/あるいは、イソブタノールの混合物をブタノール異性体として選択した類似の事例については同様の結果が予期される。
【0077】
表1に、抽出発酵から得られ、アルコール生成物回収領域に入るリッチソルベント流の典型的な供給物組成が列挙されている。これらの組成物を本発明の方法のモデリングにおいて用いた。実施例において、「リッチソルベント流」という用語は、上記で用いた用語「供給物流」と同義である。
【0078】
【表1】

【0079】
リッチソルベント流に対するこれらの組成値は、50mm gal/年の2−ブタノールまたはイソブタノールを生成するインサイチュでの生成物の抽出取り出し技術、ならびに、それぞれ、10および40g/Lの2−ブタノール、または、10g/Lのイソブタノール発酵槽液体培地水性相滴定濃度を用いる乾式粉砕設備のシミュレーションによって確立した。リッチソルベント流は発酵液体培地と平衡であり、および、溶剤流量は特定の年間能力を満たすために十分であったと仮定した。
【0080】
本発明の方法の実施形態のシミュレーションに入力したパラメータが表2に列挙されており、図2に示されているプロセス概略図に従う。図2において、「EM10」は、溶剤塔供給物と缶出生成物との間の熱交換器を介したプロセス間熱交換を表す熱流を指す。ブロック80は、2つの流れ12および19を含むミキサを表す。ブロック70は、2つの流れ30および21を含むミキサを表す。ブロック75は、正確な量の共留剤をデカンタに加えることが可能であるよう、すべての共留剤がプロセスから取り出されるモデリングアーチファクトを表す。一定の寸法、および、プロセスモデルから算出した効率の結果が表2にも列挙されている。これらのパラメータは、物理特性パラメータ、ならびに、収束および他の演算上の選択肢または診断に関連するものを含まない。溶剤塔への有機還流物は、デカンタからの有機相47の流れの総量に対する分割された割合により表されている。
【0081】
【表2】

【0082】
本発明の方法の操作上の要求を実証するために4種の事例を実施した。実施例1および2を行って、リッチソルベント流からの2−ブタノールの分離を実証した。実施例3および4を行って、リッチソルベント流からのイソブタノールおよび少量のエタノールの分離を実証した。各事例については、特定の水性相滴定濃度が維持されている抽出発酵プロセスからの、リッチソルベント供給物流および組成物に対して特定の変更を行った。独立したシミュレーションの各々において、塔内運搬および熱交換器効率は、供給物の組成変化により変化することとなる。異なる事例間で結果的な設備投資および操作費用を比較することにより、生成物回収領域性能に対するリッチソルベント供給物流および組成の影響を定量化した。しかしながら、これらの4つの実施例は、本発明の方法の操作限界としてみなされるべきではない。
【0083】
「溶剤塔」という用語は、上記で用いられている用語「第1の蒸留塔」と同義である。「BUOH塔」という用語は、上記で用いられている用語「第2の蒸留塔」と同義である。略記「OLEYLOH」はオレイルアルコールを指す。略記「N−C6」はn−ヘキサンを指す。
【0084】
実施例1に対する流れの結果が表3に列挙されている。BUOH塔内運搬および液体質量組成プロファイルが表4に列挙されている。溶剤塔内運搬および液体質量組成プロファイルが表5に列挙されている。
【0085】
実施例2に対する流れの結果が表6に列挙されている。BUOH塔内運搬および液体質量組成プロファイルが表7に列挙されている。溶剤塔内運搬および液体質量組成プロファイルが表8に列挙されている。
【0086】
実施例3に対する流れの結果が表9に列挙されている。BUOH塔内運搬および液体質量組成プロファイルが表10に列挙されている。溶剤塔内運搬および液体質量組成プロファイルが表11に列挙されている。
【0087】
実施例4に対する流れの結果が表12に列挙されている。BUOH塔内運搬および液体質量組成プロファイルが表13に列挙されている。溶剤塔内運搬および液体質量組成プロファイルが表14に列挙されている。
【0088】
他のプロセスパラメータとは以下を含む:1)溶剤塔中の理論段の総数および余熱されたリッチソルベント流の供給位置;2)溶剤塔への有機還流物の分割割合;3)溶剤塔に供給される前のリッチソルベント流の余熱の程度;ならびに、4)最終生成物において許容される共留剤、水、および、溶剤の量。これらのパラメータを操作して最適な分離性能を達成することが可能である。
【0089】
実施例1
この実施例においては、5.4重量パーセントの2−ブタノールを含有する330,000kg/hrリッチソルベント供給物40がプロセス間熱交換器によって32〜85.8℃に加熱され、得られる流れ41が段3で溶剤塔に供給される。この供給点は、溶剤塔を、精留セクションとストリッピングセクションとに分割する。このリッチソルベント供給条件は発酵槽における10g/Lの水性相滴定濃度に相当し、これが抽出発酵プロセスの最中は維持される。分離は、より大径の溶剤塔、ならびに、より高い溶剤塔リボイラ効率および凝縮器効率により実現される。流れ60は99.94重量パーセントの2−ブタノールである。
【0090】
実施例2
この実施例においては、13.84重量パーセントの2−ブタノールを含有する131,500kg/hrリッチソルベント供給物40がプロセス間熱交換器によって32〜76.8℃に加熱され、得られる流れ41が段3で溶剤塔に供給される。この供給点は、溶剤塔を、精留セクションとストリッピングセクションとに分割する。このリッチソルベント供給条件は発酵槽における40g/リットルの水性相滴定濃度に相当し、これが抽出発酵プロセスの最中は維持される。分離は、より小径の溶剤塔、ならびに、より低い溶剤塔リボイラ効率および凝縮器効率により実現される。流れ60は99.99重量パーセントの2−ブタノールである。
【0091】
実施例3
この実施例においては、5.4重量パーセントのイソブタノールおよび0.54重量パーセントのエタノールを含有する330,000kg/hrリッチソルベント供給物40がプロセス間熱交換器によって32〜85.8℃に加熱され、得られる流れ41が段3で溶剤塔に供給される。この供給点は、溶剤塔を、精留セクションとストリッピングセクションとに分割する。このリッチソルベント供給条件は発酵槽における10g/リットルの水性相イソブタノール滴定濃度に相当し、これが抽出発酵プロセスの最中は維持される。加えて、少量のエタノールが、発酵液体培地中に存在していると仮定される。リッチソルベント流中のエタノール対イソブタノールの質量比は、この実施例においては10重量%であると仮定される。分離は、実施例1と同様の径の溶剤塔、ならびに、同様の溶剤塔リボイラ効率および凝縮器効率により実現される。流れ60は8.9重量パーセントのエタノールおよび90.1重量パーセントのイソブタノールである。
【0092】
実施例4
この実施例においては、330,000kg/hrのリッチソルベント供給物(40)がプロセス間熱交換器によって32〜85.4℃に加熱され、得られる流れ(41)が段3で溶剤塔に供給される。この供給点は、溶剤塔を、精留セクションとストリッピングセクションとに分割する。このリッチソルベント供給条件は発酵槽における10g/リットルの水性相イソブタノール滴定濃度に相当し、これが抽出発酵プロセスの最中は維持される。加えて、少量のエタノールが、発酵液体培地中に存在していると仮定される。リッチソルベント流中のエタノール対イソブタノールの質量比は、この実施例においては18.5重量%であると仮定される。分離は、実施例1と同様の径の溶剤塔、ならびに、同様の溶剤塔リボイラ効率および凝縮器効率により実現される。流れ60は15.2重量パーセントのエタノールおよび82.4重量パーセントのイソブタノールである。
【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
【表5】

【0096】
【表6】

【0097】
【表7】

【0098】
【表8】

【0099】
【表9】

【0100】
【表10】

【0101】
【表11】

【0102】
【表12】

【0103】
【表13】

【0104】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)
(i)水不混和性の有機抽出剤;
(ii)水;
(iii)ブタノールの少なくとも1種の異性体;および
(iv)場合により非凝縮性ガス
を含む供給物を第1の蒸留塔に導入するステップであって、
前記第1の蒸留塔はストリッピングセクションと、場合により、前記ストリッピングセクションより上方の導入点に精留セクションとを備えており、前記第1の蒸留塔は前記ストリッピングセクションにおいて操作温度Tおよび操作圧力Pを有しており;
およびPは第1の缶出物流および第1の蒸気状塔頂物流が生成されるよう選択され、前記第1の缶出物流は前記水不混和性の有機抽出剤および水を含むと共に実質的にブタノールを含んでおらず、ならびに、前記第1の蒸気状塔頂物流は水、ブタノール、場合により前記抽出剤、および、場合により前記非凝縮性ガスを含んでいるステップ;
b)水不混和性の有機共留剤を少なくとも1つのプロセス流または容器に導入するステップ;
c)前記第1の蒸気状塔頂物流を凝縮させて気相を生成すると共に第1の混合凝縮物を回収するステップであって;
前記第1の混合凝縮物は:
(i)ブタノール、共留剤、および、水を含む有機相;ならびに
(ii)水およびブタノールを含む水性相;
を含み、前記第1の混合凝縮物は、前記有機相および前記水性相の相分離をもたらすのに十分な共留剤を含んでいるステップ;
d)前記水性相の少なくとも一部を前記第1の蒸留塔に導入するステップ;
e)前記有機相の第1の部分を少なくともストリッピングセクションを備える第2の蒸留塔に導入するステップ;ならびに
f)ブタノールを含む第2の缶出物流であって、実質的に水および共留剤を含まない前記缶出物流と、ブタノール、共留剤、および、水を含む第2の蒸気状塔頂物流とが生成されるよう前記第2の蒸留塔を操作するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記抽出剤が、(A)水よりもブタノールを優先的に抽出し、(B)蒸留によりブタノールから分離可能であるよう選択され;および、前記共留剤が、(C)ブタノールよりも高い蒸気圧を有しており、(D)蒸留によりブタノールから分離可能であるよう選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
g)前記有機相の第2の部分を前記第1の蒸留塔に導入するステップ;もしくは
h)前記第2の蒸留塔からの前記蒸気状塔頂物流を凝縮して第2の凝縮物流を回収すると共に、前記第2の凝縮物流の少なくとも一部を前記第1の混合凝縮物に導入するステップ;または
j)ステップg)およびステップh)の両方
のいずれか一つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b)の前記プロセス流または容器が、供給物流、前記第1の蒸気状塔頂物流、第1の混合凝縮物流、前記第2の凝縮物流、前記第2の塔に導入される前記有機相の一部、前記第2の蒸留塔からの前記蒸気状塔頂物流、前記第1の蒸留塔、デカンタ、前記第2の蒸留塔の上部セクション、および、これらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水、水蒸気、または、これらの混合物を前記第1の蒸留塔に導入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水性相の少なくとも一部を発酵容器に導入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の蒸留塔からの前記缶出物流を発酵容器に導入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の蒸留塔からの前記缶出物流を分離して水を含む缶出物水性相と、前記抽出剤を含む缶出物有機相とを得るステップ、前記缶出物有機相の少なくとも一部を発酵容器に導入するステップ、および、場合により、前記缶出物水性相の少なくとも一部を発酵容器に導入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記気相が共留剤を含み、前記方法が、前記気相を凝縮して前記共留剤の少なくとも一部を回収するステップ、および、場合により、前記回収した共留剤を前記第1の混合凝縮物に導入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
非凝縮性ガスが前記供給物中に存在しており、前記気相が前記非凝縮性ガスをさらに含んでおり、および、前記非凝縮性ガスを含む前記気相の少なくとも一部を前記方法からパージするステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記非凝縮性ガスが二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記供給物が抽出発酵から得られる有機相を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記供給物中の前記ブタノール濃度が、前記供給物の質量を基準として、約0.1質量パーセント〜約40質量パーセントである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記共留剤が少なくとも1種の炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ペンタン、ヘキサン、ヘキセン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、および、キシレンからなる群から選択される前記少なくとも1種の炭化水素、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抽出剤が、C〜C22脂肪族アルコール、C〜C22脂肪酸、C〜C22脂肪酸のエステル、C〜C22脂肪族アルデヒド、C〜C22脂肪族アミド、および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記抽出剤が、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、C12〜C22脂肪族アミド、および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ブタノールの異性体が、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、または、これらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ブタノールの異性体がイソブタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
第1の蒸留塔に導入される前記供給物中の前記ブタノールが、コーンまたはサトウキビの発酵により生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記供給物がエタノールをさらに含むと共に、前記第2の缶出物流がエタノールをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の蒸留塔に導入される前記供給物と前記第1の缶出物流との間にプロセス間熱交換が存在している、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−511551(P2013−511551A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540126(P2012−540126)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/057600
【国際公開番号】WO2011/063325
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(310011310)ビュータマックス・アドバンスド・バイオフューエルズ・エルエルシー (24)
【Fターム(参考)】