説明

ブドウ抽出物添加により風味を改善した食品の製造方法

【課題】茶、茶抽出物、カカオ豆、豆乳、豆乳成分、コラーゲン粉末、蛋白質酵素分解ペプチド、野菜など、異風味を持つ健康効果食品素材を原料として使用する食品の、苦味・渋みなどの異風味を抑制し、本来の美味しい風味を増強した食品を製造する方法の提供。
【解決手段】水だけを溶剤として使用し抽出した、ブドウ果皮及び或いはブドウ種子抽出物を食品に加えることにより、飲食用後も苦味、渋みが強く残る、高濃度緑茶飲料および高カカオチョコレート、或いは、茶抽出物、豆乳、豆乳成分、コラーゲン粉末、蛋白質酵素分解ペプチド、野菜などを原料とする食品の異風味を抑制し、食品に、こく、ボデイ、果汁感などを与えることにより、食品本来の風味を増強し、美味しくする食品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウ抽出物添加により風味を改善した食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、健康志向の高まりにより、健康効果があきらかな天然食品素材を、飲料、ゼリー、氷菓、冷菓、キャンデイ、チョコレート、チューインガム、洋菓子、和菓子、ヨーグルトなど、従来型食品の原料として使用する例が多くなって来ている。食品の製造に際し、特に健康効果を発揮する食品原料およびその成分には、苦味、渋み、その他の異風味(オフフレーバー)を持つものが多く見られ、それら異風味の抑制に多くの工夫がされているが、従来の技術では、コーヒー、紅茶、フルーツなど、風味の強い他の食品の併用、酸味料および香料の添加などにより、異風味の抑制が行なわれているが、その異風味抑制効果は本質的に異風味を消去するものではなく、異なる風味原料を加えることにより異風味を緩和するにすぎない。又、ぶどうの果実又はその加工品を加えることによる苦味のマスキング方法がある(例えば特許文献1参照)。しかし、カッコン或いは菊など、苦味の強い原料に対し、ぶどう果実或いはその加工品の添加量は、1:0.5〜1:25(乾燥重量比)と多量のぶどうの果実或いはその加工品を添加する必要があり、カッコン或いは菊など、通常の食品原料とは見做されない特定原料の苦味マスキングに限定される方法であり、この手段を一般に食される苦味、渋み、その他の異風味を持つ食品に適用した場合、得られた、苦味がマスキングされた食品は、ぶどう風味のものに限定されてしまい、苦味を抑制しながら、本来の良い風味を増強し、他の風味原料や風味成分を加えることにより食品風味を多様化する、という食品開発における大きな命題を解決する手段にはなり得ない。
【特許文献1】特開2001−86944
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のような従来法では、近来健康志向の高まりから急速に消費の高まりを見せている、新しい食品素材、例えば、茶、カカオ、コラーゲン、タンパク分解ペプチド、野菜、などを原料として使用する健康志向型食品の、苦味、渋みなどの異風味を完全に抑止することは出来ない。
本発明では、このような欠点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、有機溶剤を使用せず、水だけを溶剤として使用し抽出した、ブドウ果皮および或いはブドウ種子抽出物を加えることにより、異風味を抑え本来の風味を増強した食品の製造方法に関する。
【0005】
本発明で、有機溶剤を使用せず、水だけを溶剤として抽出した、ブドウ果皮および或いはブドウ種子抽出物を加えることにより、苦味、渋み、などの異風味を抑止し、食品本来の美味しい風味を増強する必要がある食品として、例えば、飲用後も苦味、渋みが強く残る、高濃度緑茶飲料および高カカオチョコレート、茶抽出物、豆乳或いは豆乳成分、コラーゲン粉末、タンパク分解ペプチド、野菜などを原料とする飲料、ゼリー、冷菓、氷菓、キャンデイ、チューインガム、チョコレート、スナック菓子、洋菓子及び和菓子、野菜果実飲料、などが上げられるが、これらに限定されない。
【0006】
本発明では、有機溶剤を使用せず、水だけを溶剤として抽出したブドウ果皮抽出物および或いはブドウ種子抽出物を、0.005重量%から0.2重量%の添加量で、これら食品に加えることにより、苦味、渋みなどの異風味を抑制し、当該食品本来の風味を増強することが出来る。異風味抑制の為の、ブドウ果皮および或いはブドウ種子抽出物の添加量は、緑茶由来茶カテキン濃度が50mg%から200mg%の高濃度緑茶飲料の場合、好ましくは、0.005重量%から0.03重量%であり、コラーゲン或いはタンパク分解ペプチドを1重量%から5重量%含む飲料もしくはその他の食品の場合、好ましくは0.02重量%から0.05重量%、豆乳或いは20%から80%の豆乳分を含む飲料もしくはその他の食品の場合、0.02重量%から0.1重量%、50重量%から99重量%のカカオ豆成分を含む高カカオチョコレートの場合、好ましくは、0.03重量%から0.05重量%、5種類から30種類の野菜および果実を使用した新鮮物換算50重量%から200重量%の濃縮野菜果実ジュース飲料の場合、好ましくは0.01重量%から0.2重量%である。
【0007】
本発明で食品に加えられるブドウ果皮および或いはブドウ種子抽出物は、有機溶剤を使用せず、水だけを溶剤として抽出したブドウ果皮及び或いはブドウ種子抽出物に限定される。水だけを溶剤として抽出することにより、ブドウ果皮及びブドウ種子から、蛋白質及び食物繊維などの高分子成分がポリフェノールと一緒に抽出される。これらの高分子成分は、苦味、渋みを与えるタンニンなどの異風味成分と会合することにより、これら異風味を根本的に抑止する機能を有する。有機溶剤、例えばエチルアルコールを使用して抽出した場合、高分子成分は抽出されないので、有機溶剤を用いて抽出したブドウ果皮およびブドウ種子抽出物には、蛋白質や食物繊維は含まれず、従って、苦味、渋み、などの異風味を抑止出来ないだけでなく、有機溶剤により、ブドウ種子から、強い渋み成分を多量に抽出するので、食品に加えた場合、強い苦味、渋みを与えることとなる。従って、有機溶剤により抽出したブドウ種子抽出物は、食品への添加には不適であり、カプセルや錠剤形態の、所謂健康食品にのみ限定使用される。
【0008】
本発明で食品に加えられるブドウ果皮及び或いはブドウ種子抽出物は、赤ブドウ及び白ブドウ果汁搾汁滓から得られた新鮮な白ブドウ果皮、赤ブドウ果皮、及び種子を原料とし、水だけを溶剤として抽出することにより得られる、白ブドウ果皮抽出物、赤ブドウ果皮抽出物、ブドウ種子抽出物は、その他の食品原料或いは添加物を加えることなく、ブドウ果皮抽出物は、30重量%から90重量%、ブドウ種子抽出物は、80重量%から97重量%のポリフェノールを主成分としながら、原料であるブドウ果皮或いはブドウ種子由来の蛋白質、炭水化物、食物繊維、その他の風味成分を含有する。蛋白質、食物繊維などの高分子成分により、食品異風味の抑制が行われ、ポリフェノール、蛋白質、食物繊維および、ブドウ由来の風味成分である、有機酸、アミノ酸、糖類などの成分により、ボデイ感、果汁感、こく味、うまみ、として表現される食品本来の風味、特にフルーツ風味の増強が行われる。上記の特性を持つブドウ果皮及びブドウ種子抽出物として、例えば、フランスFERCO社の、Grap’Active(グレープアクテイブ)が上げられる。「グレープアクテイブ」レッドMは、赤ブドウ果皮抽出物であり、赤ブドウ果皮から水だけで抽出され、物理的工程により分離精製された50重量%以上のブドウポリフェノールを含有する水溶性顆粒化粉末である。ポリフェノール以外の成分の平均組成は、タンパク質6重量%、炭水化物17重量%、総食物繊維12重量%、灰分9重量%、水分6重量%である。「グレープアクテイブ」ホワイトMは,白ブドウ果皮抽出物であり、同様に白ブドウ果皮から水だけで抽出精製された水溶性顆粒粉末であり、レッドMと同様の成分を含有する。「グレープアクテイブ」シードMはブドウ種子抽出物であり、ブドウ種子から、同様に水だけで抽出精製された水溶性顆粒化粉末である。90重量%以上のポリフェノール及び、平均3重量%のタンパク質、1重量%の総食物繊維、4重量%の灰分を含有する。
【0009】
赤ブドウ果皮抽出物及び白ブドウ果皮抽出物に含まれる風味成分は、蛋白質、アミノ酸、有機酸、糖類などの水溶性成分であり、ブドウ風味を特定する香気成分は抽出物の乾燥工程で散逸するので含まれない。従って、ブドウ果皮抽出物自身にはブドウ風味は無く、果皮抽出物のみを添加した食品も、赤ブドウ或いは白ブドウの風味を感じさせることはない。しかし、5重量%以下の果汁および或いは香料と併用することにより、果汁或いは香料だけを添加した場合よりも顕著にフルーツ風味を増強することが出来る。赤ブドウ果皮抽出物は、含まれるアントシアニンにより赤色を呈するので、増強するフルーツ風味も、赤ブドウ、カシス、ブルーベリーなど赤色のものが適するが、白ブドウ果皮抽出物は添加する食品に特定の色を与えないので、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、アップルなど、あらゆる種類のフルーツ風味増強に適し、白ブドウ果皮抽出物或いは赤ブドウ果皮抽出物添加により、顕著なフルーツ風味増強効果が得られる。白ブドウ或いは赤ブドウ果皮抽出物を、少量の果汁および或いはフルーツ香料との併用により添加して得られるフルーツ風味増強効果は、異風味を持つ食品、例えば、茶、豆乳、豆乳成分、コラーゲン或いはタンパク分解ペプチドなどを原料として使用した食品の異風味抑制に応用し、異風味のない美味しい食品を作ることが出来る。
【0010】
最近、野菜、果実の摂取不足が指摘され、1日350gの野菜果物の摂取が勧められ、多種類の野菜及び果物の混合濃縮ジュースが市販されている。消費者には、特定野菜の風味を異風味として嫌う人が多く、例えば、にんじん、トマトなど、特定野菜の風味抑制方法が必要とされている。5種類から30種類の野菜果物を原料とし、新鮮物換算50重量%から200重量%の野菜果物ジュース分を含む野菜果物混合濃縮ジュースに対し、赤ブドウ果皮抽出物と種子抽出物を併用し、にんじん、トマトなど特定野菜の特徴ある風味を抑制し、飲料に含まれるフルーツ風味を増強し、全体としてバランスのとれた美味しい野菜果物ジュース飲料を作ることが出来る。
【実施例】
実施例 1
【0011】
約300gの温水(60℃)に6.5gの煎茶葉を加え、8分間抽出し、40メッシュの金網で茶葉を除き、室温まで急冷、No.2濾紙で吸引ろ過し、これに、茶ポリフェノール(カテキン)含量90重量%の緑茶抽出茶カテキン粉末0.65g、アスコルビン酸ナトリウム0.4g、炭酸水素ナトリウム3.0gを加えて混合溶解し、水を加えて1リットルに容量を補正し、これを緑茶飲料(A)とした。同様に緑茶抽出液を調製し、茶カテキン粉末、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、の他に、ブドウ果皮抽出物(グレープアクテイブ ホワイトM,FERCO(フランス)製)0.025g(B)、0.05g(C)、0.10g(D)、0.20g(E)、0.30g(F)、0.50g(G)を加え、それぞれ1lに容量補正した。緑茶飲料対照品(A)及び試験品(B)、(C),(D),(E),(F),及び(G)を、200ml容缶に充填し、ヘッドスペースを窒素ガスで置換し、オートクレーブにより、121℃10分滅菌後10℃以下に冷却した。緑茶飲料(A)−(G)の茶カテキン濃度はそれぞれ160mg%であった。
【0012】
10℃に冷却した7種の緑茶飲料試験品及び対照品を、5人の熟練者パネルにより、苦味・渋みが抑制されたかどうか官能試験により評価した。結果は以下のとおりであった。

「グレープアクテイブ」ホワイトMの適正添加量は0.005%から0.03%であった。
【0013】
10℃に冷却した緑茶飲料(A)対照品、(D)「グレープアクテイブ」0.01%添加試験品にランダムNoを付し、31名の10台−20代女子大生により官能試験により風味を比較した。結果は、24名が、ブドウ果皮抽出物(グレープアクテイブ ホワイトM)0.01重量%加えた(D)を、渋みが無く、好き、と答えた。この結果は、日本フードスペシアリスト協会編、食品の官能評価・識別演習第2版、2点識別試験のための検定表から、1%危険率で有意に識別されたと判定された。
実施例 2
【0014】
大豆蛋白酵素分解ペプチド粉末ハイニュートR(不二製油製)3.2重量%、砂糖5重量%、アスコルビン酸1重量%、アップルフレーバー4587(長谷川香料製)0.1重量%、を水に溶解して1000gとした大豆ペプチド飲料(A)と、これに、ブドウ果皮抽出物グレープアクテイブ ホワイトM(FERCO製)0.01重量%(B),0.02重量%(C),0.05%(D),0.1重量%(E)加えた大豆ペプチド飲料(B)1000gを調製し、200ml容缶に充填し、オートクレーブにより120℃10分滅菌後10℃以下に冷却した。30代−40代女性10名により、風味と嗜好性につき官能試験により評価した。結果は、全員が、(A)に強い苦味を感じ、飲むに耐えないが、ブドウ果皮抽出物を0.02重量%添加品(C)及び0.05重量%添加品(D)、には苦味を感ぜず、添加量0.01重量%(B)では苦味抑制が十分とは言えず、添加量の増加に伴い、アップル風味が増強されて美味しくなるが、添加量0.1重量%(E)では風味増強効果が0.05重量%添加品に比べ優位に大きくはならないと評価した。
実施例 3
【0015】
豚皮を原料として調製されたコラーゲン粉末5重量%、砂糖5重量%、アスコルビン酸1重量%、アップルフレーバー4587(長谷川香料)0.1重量%、ペクチンD−SS0.1重量%、精製アラビアガム粉末(クイックガム#8074)(Alfred L. Wolff社製)1.25重量%を水に溶解して1000gとしたコラーゲン飲料(A)と、これに、ブドウ果皮抽出物 グレープアクテイブ ホワイトM(FERCO製)0.01重量%(B),0.02重量%(C),0.05重量%(D)、0.1重量%(E)を加えて1000gとした同飲料試験品を調製し、200ml缶に充填し、オートクレーブにより、120℃10分滅菌後、10℃以下に冷却した。30代−40代女性7名により、風味を官能試験により評価した。結果は、全員が、グレープアクテイブ無添加の、コラーゲン飲料(A)には強い苦味を感ずるが、ブドウ果皮抽出物を0.02%加えた(C)および0.05%加えた(D)には苦味を感ぜず、グレープアクテイブ添加量の増加に伴いアップル風味が増強されて美味しくなると評価した。グレープアクテイブ0.01重量%添加品(B)では苦味抑制効果が十分と言えず、0.1重量%添加した(E)の風味増強効果は、0.05重量%添加品に比べ有意に大きくはならないと評価した。
実施例 4
【0016】
工場で生産された大豆豆乳には特異な異風味がある。これは原料の冷凍保存を含め製造工程中、酵素の関与により、大豆に含まれる長鎖脂肪酸から酸化生成物が作られることによるとされる(非特許文献1参照)。市販大豆豆乳(紀文製)に、白ブドウ果皮抽出物(グレープアクテイブ ホワイトM)(FERCO製)0.01重量%(B)、0.02重量%(C)、0.05重量%(D)、0.1重量%(E)添加した試験品を作成し、無添加の対照品(A)と比較し、風味を、7名の30代−40代女性パネルにより評価した。結果は、7名全員が、グレープアクテイブ0.02%添加品(C)および0.05%添加品(D)では、異風味が抑えられ飲みやすくなったと評価したが、添加量0.01重量%では異風味抑制効果が十分でなく、又0.1重量%加えても風味改善効果は0.05%添加品に比べ有意に大きくはならないと評価した。
【0017】
紅茶、コーヒー、抹茶、バナナ、フルーツミックスを加えた市販調整豆乳飲料(紀文製)に、白ブドウ果皮抽出物(グレープアクテイブ ホワイトM)を、0.02重量%(B)、0.05重量%(C)、0.1重量%(D),0.15重量%(E)を加えた試供品と、無添加のコントロール(A)の風味を7名の30代−40代女性パネルで評価した。7名全員が、ブドウ果皮抽出物0.05%添加品(C)および0.1%添加品(D)は異風味が抑えられ、こくが出て全体としてまろやかな風味になったと評価したが、添加量0.02重量%(B)では異風味抑制が十分と言えず、添加量0.15重量%では、0.1重量%添加品に比べ異風味抑制及び風味改善効果が有意に大きくなる、とは言えないと評価した。
【非特許文献2】Lindsay,R.C.(1996).Flavors,in Food Chemistry,edited by Fennema,R.,Marcel Dekker,Inc.New York・Basel,p.741.
実施例 5
【0018】
ブドウ種子抽出物3種、(A)グレープアクテイブ シードM(FERCO製)、(B)グラヴィノール(キッコーマン製)、(C)exGrape seed(OPC40)(LA GARDONNENQUE製)それぞれ3mg(0.03重量%)を秤量、温めたミルに採取し、融解した99%カカオ含有チョコレート(リンツ(フランス)製)10gに加え、25−28℃で3分間混錬後、アルミ型に流し、10℃以下で冷却固化させた。ブドウ種子抽出物無添加の99%カカオ含有チョコレート(リンツ製)10gを同様に処理し、対照品とした。30代−40代女性7名により、官能試験により試験品チョコレートと対照品の風味比較を行った。結果は下表のとおりであった。

【0019】
同じ方法により、グレープアクテイブ レッドM(赤ブドウ果皮抽出物)、グレープアクテイブ ホワイトM(白ブドウ果皮抽出物)、グレープアクテイブ シードM(ブドウ種子抽出物)それぞれ0.03重量%添加による99%カカオ含有チョコレート(リンツ製)の苦味渋み抑制効果を30代−40代女性パネル7名により官能試験により調べた。グレ−プアクテイブ レッドM,ホワイトM,シードMそれぞれ0.03重量%添加した3種のチョコレートの苦味渋み抑制効果には差は見られなかったが、チョコレートに付与される風味にグレープアクテイブ3種それぞれに特徴があり、パネルの嗜好の差異により好みが分かれたが、いずれもグレープアクテイブ添加によりチョコレートが更に美味しくなるという評価であった。
【0020】
同じ方法により、グレープアクテイブ ホワイトMを、0.01重量%(B)、0.03重量%(C),0.05重量%(D)、0.1重量%(E)加えた99%カカオ含有チョコレート(リンツ製)により、苦味の抑制効果を、30代−40代女性パネル7名による官能検査により無添加の対照品(A)と比較した結果、添加量0.03重量%(C)及び0.05%(D)で苦味抑制効果が明瞭に見られた。添加量0.01%では苦味抑制効果は十分でなく、添加量を0.1重量%(E)としても、苦味抑制効果が0.05%添加品に比べ有意に大きくなることは無い、という評価であった。
実施例 6
【0021】
市販野菜果実混合濃縮ジュースに、FERCO社製、グレープアクテイブ ホワイトM(白ブドウ果皮抽出物),グレープアクテイブ レッドM(赤ブドウ果皮抽出物)、グレープアクテイブ シードM(ブドウ種子抽出物)、3種のブドウ抽出物を加え、30代−40代女性7人により官能試験により風味を評価した。
【0022】
「野菜1日これ1本」(カゴメ)(1日分の野菜21種類(にんじん、トマト、赤ピーマン、白菜、プチヴェール、ケール、ほうれん草、セロリ、アスパラガス、ブロッコリー、キャベツ、パセリ、クレゾン、たまねぎ、レタス、モロヘイア、かぼちゃ、ビート、だいこん、しょうが、なす)350gを使用、レモン果汁を加えた内容量200ml紙容器入り野菜濃縮ジュースに、グレープアクテイブ ホワイトM0.02重量%(A)、グレープアクテイブ ホワイトM0.05%(B)、同0.1%(C)、ホワイトM0.075%+シードM0.075%合計0.15重量%(D)、ホワイトM0.1重量%+シードM0.1重量%合計0.2重量%(E)、ホワイトM0.15重量%+シードM0.15重量%合計0.3重量%(F)を加えた野菜飲料6試験品を、グレープアクテイブ無添加の対照品と比較し、30代−40代女性7名により、官能試験により評価した。結果は、ホワイトMを0.1%加えた(C)が、無添加の対照品に見られる野菜臭味を抑制し、飲料全体の風味をまろやかにする風味改善効果を7名全員が評価して1位、次いで、ホワイトMのみ0.05%添加した(B),ホワイトM0.075%及びシードM0.075%計0.15%添加した(D)が、同じく全員一致で同順位2位、グレープアクテイブ ホワイトM,シードM合計0.2%加えた(E)が、風味増強効果大で4位であり、グレープアクテイブ0.05%乃至0.2%加えた試験品4品は、いずれも対照品より風味が改善されたという評価であった。ホワイトM0.02%添加の(A)は風味改善増強効果が十分でなく、ホワイトMとシードM合計0.3%加えた(F)は、風味改善ならびに増強効果が0.2%添加品より有意に大きくならないと評価された。グレープアクテイブ無添加の対照品は、野菜臭味があるのと全体の風味にまとまりが無いという評価で最下位であった。
【0023】
「赤の野菜」(カゴメ)(10種類の野菜+9種類のフルーツ)、野菜(トマト、赤ピーマン、ビート、赤じそ、パセリ、ほうれん草、ケール、クレゾン、アスパラガス、レタス)、果実(りんご、レモン、ラズベリー、クランベリー、いちご、ざくろ、アセロラ、ぶどう、グレープフルーツ)、野菜汁50%+果汁50%=100%、内容量200ml紙容器入り野菜・果物ミックスジュースに、グレープアクテイブ ホワイトM 0.01重量%及びシードM 0.01重量%計0.02重量%加えた試験品(P)を調製し、「グレープアクテイブ」無添加の対照品(T)と比較し、30台−40台女性7名をパネルとして風味の評価を官能試験で行った。結果は、試験品(P)が対照品(T)に較べ、こくが増し、風味がマイルドになったとして7名全員一致で風味改善効果を評価した。ホワイトM或いはシードM0.01重量%添加では風味改善効果は十分と言えず、添加量を0.1重量%まで増量することにより、フルーツ風味増強効果は添加量に応じて大であったが、0.2重量%以上の添加では更なる風味改善及び増強効果は見られなかった。
【0024】
「紫の野菜」(カゴメ)(18種類の野菜+5種類のフルーツ)、野菜(にんじん、紫いも、赤じそ、紫キャベツ、赤ピーマン、キャベツ、なす、アスパラガス、セロリ、はくさい、だいこん、ケール、レタス、クレゾン、ほうれん草、パセリ、ビート、かぼちゃ)、果実(りんご、ぶどう、レモン、ブルーベリー、ラズベリー)、野菜汁50%+果物汁50%=100%、内容量200ml紙容器入り野菜・果物ミックスジュースに、「グレープアクテイブ」レッドM(赤ブドウ果皮抽出物)0.02重量%加えた試験品(U)を調製し、「グレープアクテイブ」無添加の対照品(Y)と比較し、30台−40台女性7名により、風味を官能試験により評価した。結果は、レッドM0.02重量%加えた試験品(U)が、対照品(Y)に較べ、こくが増し、風味がマイルドになったとして7名全員一致で高く評価した。風味改善効果は添加量0.01重量%から明らかとなり、0.1重量%までは、添加量が高くなるに従い風味改善と風味増強効果は大となるが、0.2重量%以上の添加では更なる風味改善及び増強効果は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水だけを溶剤として使用し抽出した、ブドウ果皮抽出物および或いはブドウ種子抽出物添加により風味を改善した食品の製造方法。
【請求項2】
ブドウ果皮抽出物および或いはブドウ種子抽出物の添加量が0.005重量%から0.2重量%である、請求項1の方法。

【公開番号】特開2009−189356(P2009−189356A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66803(P2008−66803)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(596148777)クレオ・インターナショナル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】