ブラインドタイプの生地の製法
【課題】ロールブラインド、プリーツブラインド、あるいはバーチカルブラインド等用生地を硬仕上げ難燃樹脂処理等することなく所望の硬さと難燃性を付与する生地の製法を得る。
【解決手段】複数の地筬を用いた編み組織において、鎖編みする地筬に用いる経糸Ａに、挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｂもしくは、さらなる同様な編み糸Ｂ´等により、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｃとし、該鎖編み経糸Ａに、その鎖編み目をくぐらせて横方向に係止させ、または鎖編み目に縦方向に絡ませ、あるいは両者を併用させながら、Ａ、Ｂ、Ｂ´等、編成したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。
【解決手段】複数の地筬を用いた編み組織において、鎖編みする地筬に用いる経糸Ａに、挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｂもしくは、さらなる同様な編み糸Ｂ´等により、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｃとし、該鎖編み経糸Ａに、その鎖編み目をくぐらせて横方向に係止させ、または鎖編み目に縦方向に絡ませ、あるいは両者を併用させながら、Ａ、Ｂ、Ｂ´等、編成したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は家屋の窓等でその屋内側に使用したり、あるいは屋内で間仕切りに使用したりするロールブラインド、プリーツブラインド、あるいはバーチカルブラインド等用生地の製法に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般の家屋で使用するカーテンは、カーテンにドレープ状襞をつくり、カーテンのたまりを作り美観の向上を図っている。しかしそのようなカーテン機能は収納性でスペースを要し、カーテンや間仕切り装置のコンパクト化、シンプル化では問題があつた。この問題を解決した方式の一つにロールブラインド、プリーツブラインド、あるいはバーチカルブラインド式カーテン及び間仕切り装置がある。適切な張度と硬さを有した生地を用いて、縦方向にロール状に巻き上げ巻き降ろしを可能にしたロールブラインドタイプや縦方向に短冊状に分離したバーチカルブラインドタイプあるいはプリーツ状に折り目を設けて容易に折りたたみ可能にしたプリーツブラインドタイプのようにすれば、コンパクトにカーテンを開閉、収納することで機能性が向上する。更に通常のカーテンには無いシンプル性やすっきり感を有した多様性を伴う美観の向上を図ることが出来る。このため、近年この手のブラインドタイプが広く使用されるようになってきた。
【０００３】
特許文献１ 特願２００８−３０００８１
ブラインドの製法に関する従来技術として上記のような特許文献がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
これらのブラインドタイプの生地は巻き上げ時にスムーズに巻き上げられるように、あるいは容易に折りたためるように、適度な張りと硬さを必要とする。生地に適度な張りと硬さを持たせるためには生地に特殊な樹脂加工を施すことが行われている。また、防炎性も要求され、樹脂加工を施す際に同時に加工することが多くあり、この場合は硬度を付与する樹脂と防炎薬剤を同時に布地に付着させ、熱処理をする加工方法である。しかしこの方法では（１）硬さと防炎性は一般に相反するため、高度な樹脂配合と技術、経験を必要とするため、加工代が高価であった。また、（２）硬仕上げ樹脂加工の代わりに熱融着糸を織り、または編み込み後、加熱処理で張りと硬さを得ている方法もあるが、温度管理が難しく生地の硬さにバラツキが発生して問題となる場合があった。
また上記の特許文献１は前述した従来技術に対し、最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｃとし、上述した鎖編み経糸Ａに、その鎖編み目をくぐらせて横方向に係止させ、または鎖編み目に縦方向に絡ませ、あるいは両者を併用させながら、Ａ、Ｂ、Ｂ´等、数種類の編み糸による組織に編み糸Ｃを加えて編成することで適切な硬さを持たせたブラインドとするものであった。しかしこの技術は、（３）外部から室内が見えにくくするため、生地の裏面に光沢性を持たせた糸を編み込んだレース地に、難燃性を持たせるためのディッピング等の樹脂加工をすると、その光沢面も樹脂に覆われるため、光沢性が損なわれてしまうという欠点があった。あるいは（４）難燃性を持たせるための樹脂加工をせずに、最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｃ以外の糸に難燃性を有する糸を使用して難燃度を高める手法もあるが、ブラインドとしての物性が十分に得られないという問題があった。また（５）緯糸挿入編み機の緯糸に生地の硬度を増加させるために最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸を使用した場合は、その糸が生地の表面に現れ、ブラインドとしての装飾性が損なわれる問題があった。
本発明はこれらの問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明を実現するには以下の手段による。
「手段１」
複数の地筬を用いた編み組織において、鎖編みする地筬に用いる経糸Ａに、挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｂもしくは、さらなる同様な編み糸Ｂ´等により、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｃとし、該鎖編み経糸Ａに、その鎖編み目をくぐらせて横方向に係止させ、または鎖編み目に縦方向に絡ませ、あるいは両者を併用させながら、Ａ、Ｂ、Ｂ´等、編成したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。図１が手段１を具現した図である。
「手段２」
緯糸挿入編み機において、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を緯糸挿入編みに用いる緯糸Ｄの全て、あるいは一部とし編成したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。図２が手段２を具現した図である。
「手段３」
手段１において、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に緯糸挿入編み機を用いる場合、その緯糸Ｄの全て、あるいは一部を該合成糸、または全てを該合成以外の糸とし編成したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。図３が手段３を具現した図である。
「手段４」
織機にてブラインドタイプの生地を織る際に、生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を緯糸Ｅの全てあるいは一部として織ることを手段としたブラインドタイプの生地の製法。図４が手段４を具現した図である。
「手段５」
手段１、手段２、または手段４において、生地として難燃性を必要としない場合、あるいは難燃性を後加工にて付与する場合は、該親糸に難燃性を有しない糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を使用して編織したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。
【発明の効果】
【０００６】
１）上記の手段を実施することによって、単糸サイズのデニール値が従来より太い糸と、難燃性を有する糸を撚り合せ等による合成糸として編み込むため、生地の剛性が増し、ブラインドタイプの生地に最適な張りと硬さとなり、また難燃性が同時に付与される。すなわち従来のような硬仕上げ難燃樹脂処理が不要になる。そのため製造コストが安価となる。
２）分繊の親糸を使用することにより、硬さと張りが得られるため、熱融着糸の使用が不要となる。
３）外部から室内が見えにくくするため、生地の裏面に光沢性を持たせた糸を編み込んだレース地に、難燃性を持たせるためのディッピング等の樹脂加工をすると、その光沢面も樹脂に覆われるため、光沢性が損なわれてしまうという欠点があったが、本発明ではディッピング等の樹脂加工を行わないため、この欠点が解消される。
４）難燃性を持たせるための樹脂加工をせずに、難燃性を有する糸を併用して難燃度を高める文献１の手法ではブラインドとしての物性が不十分という欠点があったが、合成糸を使うことによって解消される。
５）生地の硬度を増加させるために使用する分繊糸の親糸を緯糸挿入編み機あるいは織機の緯糸に使用した場合、生地の表面に分繊糸の親糸が現れ、ブラインドとしての装飾性が損なわれる問題が本発明による合成糸により表面に現れる度合いが激減するため、この問題が解消される。
６）従来の硬仕上げ加工は樹脂が生地表面に付着するために生地の風合いが損なわれるが本発明では樹脂を使用しないので生地の風合いが生かされ、また硬さの耐久性があるためウォッシャブル性が得られる。
７）上記の特徴は織物にもそのまま適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【０００７】
【図１】本発明の構成を示す図
【図２】本発明の別の構成を示す図
【図３】本発明の更に別の構成を示す図
【図４】本発明の更に別の構成を示す図
【図５】本発明に使用する合成糸の図
【発明を実施するための形態】
【０００８】
以下図面によって説明する。
【実施例】
【０００９】
図１及び図５は本発明の請求項１を適応した図である。鎖編みした経糸Ａに編み糸Ｂを編成してブラインドタイプの生地を編み、更に生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、図５に示したような、分繊糸の親糸と難燃性等を有する糸を撚り合せ等した合成糸である編み糸Ｃを、上述した鎖編み経糸Ａに、その鎖編み目をくぐらせて左右に係止させながら、あるいは鎖編み目に縦方向に絡ませながら、Ａ、Ｂ、Ｃの３種類の編み糸にて編成させたものである。図１で経糸Ａ、編み糸Ｂ、更に硬度を増加させ、また難燃性を付与するために追加する該合成糸である編み糸Ｃの軌跡を各糸ごとに単独に左サイドに示した。これらの糸の軌跡は、地筬という編み治具により作られる。
そして、それらが組み合わされてブラインドタイプの生地を構成した図を右サイドに示したもので、上下に２つの編みパターンの例を示してある。即ち図１の上図の編み組織パターン１はその鎖編み目をくぐらせて左右に係止させる場合を表現させたもので、経糸Ａに対して編み糸Ｂは経糸Ａの２列に渡ってジグザグに編みこみ、該合成糸である編み糸Ｃは編み糸Ｂとは波形の山部と谷部が逆の関係になる、所謂位相が１８０°で経糸Ａの３列に渡ってジグザグに編みこんだ例である。図１の下図の編み組織パターン２は鎖編みした経糸Ａに対して編み糸Ｂは上図と同じく経糸Ａの２列に渡ってジグザグに編みこみ、該合成糸である編み糸Ｃは経糸Ａの１列に編み糸Ｂとは位相が１８０°相違した位置で、編み込まれた例である。
本発明の請求項１は図１の例に限らず編み糸Ｂは１種類に限らず更にＢ´等の複数とすることもできる。また編み糸Ｃの編み組織は図１に限定するものでない。
編み糸のサイズの単位としてデニールを用いる。１デニールとは１グラムの重量の糸材を９０００ｍに引き伸ばした時の糸の太さをいう。図１は本発明の一実施例であるが、編み糸Ｃに該合成糸を使用する。通常の糸は単糸デニールが０．５〜３デニールであるが、本発明に使用する分繊糸の親糸は、例えば６０デニールの糸が４本で構成されている場合は、一本は１５デニール単糸となり、３００デニールの糸が１０本で構成されている場合は、一本は３０デニール単糸となり、更に硬度を増加できる。従来は鎖編みした経糸Ａと編み糸Ｂ、Ｂ´等で生地を構成していたのでブラインドタイプの生地として必要な剛性が単に数種類の編み糸で編成しただけでは得られず、樹脂処理や熱融着糸を編みこみ、その後加熱処理で硬さを得ていた。
これに対し本発明は、分繊糸の親糸である４から１５本の単糸で単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸を使用した該合成糸である編み糸Ｃを更に編みこみ糸Ａ及びＢ、Ｂ´等による編みに該合成糸である編み糸Ｃを追加編みすることでブラインドタイプの生地の硬度及び難燃性を増加するものである。
この場合、該合成糸である編み糸Ｃは単糸サイズが１０以上で５０以下のデニールで、単糸数が４以上１５以下とすれば本用途に適した硬度が得られることが実験的に分かった実用的な範囲である。即ち単糸サイズが少ないと編みやすいが生地の剛性が小さく、単糸サイズが大きいと剛性が大きくなるが編み込みが困難になる。生地の剛性と編み易さから編み糸Ｃを構成する単糸数には上限があり、上記の範囲からその本数は１５以下が実用的な範囲となる。
【００１０】
図２は本発明の請求項２の一部を適応した図である。即ち緯糸挿入編み機で、経糸Ａ、更に硬度を増加させ、また難燃性を付与するために追加する該合成糸である緯糸Ｄの軌跡を各糸ごとに単独に左サイドに示し、それらが組み合わさってブラインドタイプの生地を構成した図を右サイドに示したものである。このような編み方にすることで、横方向の硬度が増し、縦方向の硬度は増えないので簾の様に縦方向に巻き込みやすくなるという特徴がある。尚用いる合成糸は図５に示したものとなる。
【００１１】
図３は本発明の請求項３の一部を適応した図である。経糸Ａ、編み糸Ｂ、該合成糸である編み糸Ｃ、また緯糸Ｄの軌跡を各糸ごとに単独に左サイドに示し、それらが組み合わさってブラインドタイプの生地を構成した図を右サイドに示したものである。図３も上下に２つの編みパターンの例を示してある。即ち上図の編み組織パターン１は経糸Ａに対して編み糸Ｂは経糸Ａの２列に渡ってジグザグに編みこみ、該合成糸である編み糸Ｃは編み糸Ｂとは位相が１８０°相違する位置で経糸Ａの３列に渡ってジグザグに編みこんだ図１の上図パターン１に緯糸Ｄを追加し編みこんだ例である。
下図の編み組織パターン２は図３の上図の編み組織パターン１に対して、該合成糸である編み糸ＣはＢとは位相が１８０°相違した位置で経糸Ａの１列に渡ってジグザグに編み込まれた例である。
本発明の請求項３も図３の例に限らず編み糸Ｂは１種類に限らず更にＢ´等の複数とすることもできる。また編み糸Ｃの編み組織は図３に限定するものでない。
【００１２】
図４は請求項４に相当するものであり、上記の本発明の編み組織によるブラインド生地に用いた該合成糸である緯糸Ｅを織機に使用したものであり、この方式により、後加工せずにブラインドに必要な生地の硬さ、難燃性が得られる。
【００１３】
生地の硬度を増加させるために使用する分繊糸の親糸を緯糸挿入編み機あるいは織機の緯糸に使用した場合、生地の表面に分繊糸の親糸が現れ、ブラインドとしての装飾性が損なわれる問題があったが、本発明による合成糸を使用することにより、分繊糸の親糸の周りを別の難燃性等を有する糸が覆うために分繊糸の親糸が布地表面から隠れるために、この問題が解消される。
また図１から図４の編織において、生地として難燃性を必要としない場合、あるいは難燃性を後加工にて付与する場合は、該親糸に難燃性を有しない糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を使用して編織することも出来る。
【００１４】
図５にて本発明に使用する合成糸の構成および製作方法を説明する。
図５のＦは分繊糸の親糸と難燃性を有する糸を撚り合わせることで製作する合成糸の構成を示したものである。また図５のＧは圧空吹き付けにより分繊糸の親糸と難燃性を有する糸を結合させた図である。
通常の糸は単糸デニールが０．５〜３デニールの太さの糸が数十本合わさり形成されている。これに対し本発明に使用する分繊糸の親糸とは、単糸デニールの太さが１０〜５０デニールの糸を生産するために、生産性の向上を図るためにトコロテンを作るときのように、複数本の単糸を同時に生産し、後に分割して所望の単糸デニールに分ける前の状態の糸である。本発明はこの単糸サイズが太く且つ複数本で構成された分繊糸の親糸を利用するものであり、これにより適度な張りと硬さ得ることが出来る。また難燃性を付与するためと、分繊糸の親糸はトコロテンのようにばらけ易いため、これを防ぐために分繊糸の親糸と難燃性糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより合成糸とするものである。
撚り合わせによる合成糸の加工方法に対して、圧空吹き付けによる合成糸の加工法は、圧空吹きつけを利用して２種類の糸をランダムに結合させることが出来る。また図５のＦの撚り合わせである合成糸と、図５のＧである圧空吹きつけによる合成糸の加工方法を併用した合成糸を本発明中で使用してもよい。
【００１５】
以上の図１〜図５にて説明した本発明による特徴を従来技術と比較してまとめると以下のようになる。
１）「０００９」にても言及したが、単糸サイズのデニール値が従来より太い糸を得るため、分繊糸の親糸を使用し、難燃性を有する糸を撚り合せ等により、合成糸として編み込むため、生地の剛性が増し、ブラインドタイプの生地に最適な張りと硬さとなり、また難燃性が同時に付与される。すなわち従来のような硬仕上げ難燃樹脂処理が不要になる。そのため製造コストが安価となる。
２）図５に示した分繊の親糸を使用することにより、硬さと張りが得られるため、従来技術のような熱融着糸の使用が不要となる。
３）外部から室内が見えにくくするいわゆるミラー効果を得るためにため、窓側に当たる生地の裏面に光沢性を持たせた糸を編み込んだレース地に、難燃性を持たせるためのディッピング等の樹脂加工をすると、その光沢面も樹脂に覆われるため、光沢性が損なわれてしまうという欠点があったが、本発明ではディッピング等の樹脂加工を行わないため、この欠点が解消される。
４）難燃性を持たせるための樹脂加工をせずに、単に難燃性を有する糸を併用して難燃度を高める文献１の従来の手法ではブラインド生地としての物性が不十分という欠点があったが、分繊糸の親糸を活用した合成糸を使うことによってこの問題が解消される。即ちブラインドに必要な硬さ、風合い、手触り感触、ロール性、平面性等のブラインド生地としての物性が得られる。
５）生地の硬度を増加させるために使用する分繊糸の親糸を緯糸挿入編み機あるいは織機の緯糸に使用した場合、生地の表面に分繊糸の親糸が現れ、ブラインドとしての装飾性が損なわれる問題が本発明による図５に示した合成糸により表面に現れる度合いが激減するため、この問題が解消される。
６）従来の硬仕上げ加工は樹脂が生地表面に付着するために生地の風合いが損なわれるが、本発明では樹脂を使用しないので生地の風合いが生かされ、また硬さの耐久性があるため、水洗濯が可能になり、ウォッシャブル性が得られる。
７）上記の特徴は織物にもそのまま適応可能である。
【産業上の利用可能性】
【００１６】
本発明により作られる生地はブラインドタイプの生地として生地の風合いを生かしながら、安価で、適切な張りと硬さを有するブラインドカーテン等として、実用性、優美性、品質の均一性、安価性を備えたものであるので、工業的に大きな貢献が期待される。
【符号の説明】
【００１７】
Ａ：経糸
Ｂ：編み糸
Ｃ：編み糸
Ｄ：緯糸
Ｅ：緯糸
Ｆ：撚り合せによる合成糸
Ｇ：圧空吹き付けによる合成糸
【技術分野】
【０００１】
本発明は家屋の窓等でその屋内側に使用したり、あるいは屋内で間仕切りに使用したりするロールブラインド、プリーツブラインド、あるいはバーチカルブラインド等用生地の製法に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般の家屋で使用するカーテンは、カーテンにドレープ状襞をつくり、カーテンのたまりを作り美観の向上を図っている。しかしそのようなカーテン機能は収納性でスペースを要し、カーテンや間仕切り装置のコンパクト化、シンプル化では問題があつた。この問題を解決した方式の一つにロールブラインド、プリーツブラインド、あるいはバーチカルブラインド式カーテン及び間仕切り装置がある。適切な張度と硬さを有した生地を用いて、縦方向にロール状に巻き上げ巻き降ろしを可能にしたロールブラインドタイプや縦方向に短冊状に分離したバーチカルブラインドタイプあるいはプリーツ状に折り目を設けて容易に折りたたみ可能にしたプリーツブラインドタイプのようにすれば、コンパクトにカーテンを開閉、収納することで機能性が向上する。更に通常のカーテンには無いシンプル性やすっきり感を有した多様性を伴う美観の向上を図ることが出来る。このため、近年この手のブラインドタイプが広く使用されるようになってきた。
【０００３】
特許文献１ 特願２００８−３０００８１
ブラインドの製法に関する従来技術として上記のような特許文献がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
これらのブラインドタイプの生地は巻き上げ時にスムーズに巻き上げられるように、あるいは容易に折りたためるように、適度な張りと硬さを必要とする。生地に適度な張りと硬さを持たせるためには生地に特殊な樹脂加工を施すことが行われている。また、防炎性も要求され、樹脂加工を施す際に同時に加工することが多くあり、この場合は硬度を付与する樹脂と防炎薬剤を同時に布地に付着させ、熱処理をする加工方法である。しかしこの方法では（１）硬さと防炎性は一般に相反するため、高度な樹脂配合と技術、経験を必要とするため、加工代が高価であった。また、（２）硬仕上げ樹脂加工の代わりに熱融着糸を織り、または編み込み後、加熱処理で張りと硬さを得ている方法もあるが、温度管理が難しく生地の硬さにバラツキが発生して問題となる場合があった。
また上記の特許文献１は前述した従来技術に対し、最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｃとし、上述した鎖編み経糸Ａに、その鎖編み目をくぐらせて横方向に係止させ、または鎖編み目に縦方向に絡ませ、あるいは両者を併用させながら、Ａ、Ｂ、Ｂ´等、数種類の編み糸による組織に編み糸Ｃを加えて編成することで適切な硬さを持たせたブラインドとするものであった。しかしこの技術は、（３）外部から室内が見えにくくするため、生地の裏面に光沢性を持たせた糸を編み込んだレース地に、難燃性を持たせるためのディッピング等の樹脂加工をすると、その光沢面も樹脂に覆われるため、光沢性が損なわれてしまうという欠点があった。あるいは（４）難燃性を持たせるための樹脂加工をせずに、最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｃ以外の糸に難燃性を有する糸を使用して難燃度を高める手法もあるが、ブラインドとしての物性が十分に得られないという問題があった。また（５）緯糸挿入編み機の緯糸に生地の硬度を増加させるために最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸を使用した場合は、その糸が生地の表面に現れ、ブラインドとしての装飾性が損なわれる問題があった。
本発明はこれらの問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明を実現するには以下の手段による。
「手段１」
複数の地筬を用いた編み組織において、鎖編みする地筬に用いる経糸Ａに、挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｂもしくは、さらなる同様な編み糸Ｂ´等により、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸Ｃとし、該鎖編み経糸Ａに、その鎖編み目をくぐらせて横方向に係止させ、または鎖編み目に縦方向に絡ませ、あるいは両者を併用させながら、Ａ、Ｂ、Ｂ´等、編成したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。図１が手段１を具現した図である。
「手段２」
緯糸挿入編み機において、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を緯糸挿入編みに用いる緯糸Ｄの全て、あるいは一部とし編成したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。図２が手段２を具現した図である。
「手段３」
手段１において、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に緯糸挿入編み機を用いる場合、その緯糸Ｄの全て、あるいは一部を該合成糸、または全てを該合成以外の糸とし編成したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。図３が手段３を具現した図である。
「手段４」
織機にてブラインドタイプの生地を織る際に、生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を緯糸Ｅの全てあるいは一部として織ることを手段としたブラインドタイプの生地の製法。図４が手段４を具現した図である。
「手段５」
手段１、手段２、または手段４において、生地として難燃性を必要としない場合、あるいは難燃性を後加工にて付与する場合は、該親糸に難燃性を有しない糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を使用して編織したことを手段としたブラインドタイプの生地の製法。
【発明の効果】
【０００６】
１）上記の手段を実施することによって、単糸サイズのデニール値が従来より太い糸と、難燃性を有する糸を撚り合せ等による合成糸として編み込むため、生地の剛性が増し、ブラインドタイプの生地に最適な張りと硬さとなり、また難燃性が同時に付与される。すなわち従来のような硬仕上げ難燃樹脂処理が不要になる。そのため製造コストが安価となる。
２）分繊の親糸を使用することにより、硬さと張りが得られるため、熱融着糸の使用が不要となる。
３）外部から室内が見えにくくするため、生地の裏面に光沢性を持たせた糸を編み込んだレース地に、難燃性を持たせるためのディッピング等の樹脂加工をすると、その光沢面も樹脂に覆われるため、光沢性が損なわれてしまうという欠点があったが、本発明ではディッピング等の樹脂加工を行わないため、この欠点が解消される。
４）難燃性を持たせるための樹脂加工をせずに、難燃性を有する糸を併用して難燃度を高める文献１の手法ではブラインドとしての物性が不十分という欠点があったが、合成糸を使うことによって解消される。
５）生地の硬度を増加させるために使用する分繊糸の親糸を緯糸挿入編み機あるいは織機の緯糸に使用した場合、生地の表面に分繊糸の親糸が現れ、ブラインドとしての装飾性が損なわれる問題が本発明による合成糸により表面に現れる度合いが激減するため、この問題が解消される。
６）従来の硬仕上げ加工は樹脂が生地表面に付着するために生地の風合いが損なわれるが本発明では樹脂を使用しないので生地の風合いが生かされ、また硬さの耐久性があるためウォッシャブル性が得られる。
７）上記の特徴は織物にもそのまま適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【０００７】
【図１】本発明の構成を示す図
【図２】本発明の別の構成を示す図
【図３】本発明の更に別の構成を示す図
【図４】本発明の更に別の構成を示す図
【図５】本発明に使用する合成糸の図
【発明を実施するための形態】
【０００８】
以下図面によって説明する。
【実施例】
【０００９】
図１及び図５は本発明の請求項１を適応した図である。鎖編みした経糸Ａに編み糸Ｂを編成してブラインドタイプの生地を編み、更に生地の硬度を増加させ、また難燃性を付与するために、図５に示したような、分繊糸の親糸と難燃性等を有する糸を撚り合せ等した合成糸である編み糸Ｃを、上述した鎖編み経糸Ａに、その鎖編み目をくぐらせて左右に係止させながら、あるいは鎖編み目に縦方向に絡ませながら、Ａ、Ｂ、Ｃの３種類の編み糸にて編成させたものである。図１で経糸Ａ、編み糸Ｂ、更に硬度を増加させ、また難燃性を付与するために追加する該合成糸である編み糸Ｃの軌跡を各糸ごとに単独に左サイドに示した。これらの糸の軌跡は、地筬という編み治具により作られる。
そして、それらが組み合わされてブラインドタイプの生地を構成した図を右サイドに示したもので、上下に２つの編みパターンの例を示してある。即ち図１の上図の編み組織パターン１はその鎖編み目をくぐらせて左右に係止させる場合を表現させたもので、経糸Ａに対して編み糸Ｂは経糸Ａの２列に渡ってジグザグに編みこみ、該合成糸である編み糸Ｃは編み糸Ｂとは波形の山部と谷部が逆の関係になる、所謂位相が１８０°で経糸Ａの３列に渡ってジグザグに編みこんだ例である。図１の下図の編み組織パターン２は鎖編みした経糸Ａに対して編み糸Ｂは上図と同じく経糸Ａの２列に渡ってジグザグに編みこみ、該合成糸である編み糸Ｃは経糸Ａの１列に編み糸Ｂとは位相が１８０°相違した位置で、編み込まれた例である。
本発明の請求項１は図１の例に限らず編み糸Ｂは１種類に限らず更にＢ´等の複数とすることもできる。また編み糸Ｃの編み組織は図１に限定するものでない。
編み糸のサイズの単位としてデニールを用いる。１デニールとは１グラムの重量の糸材を９０００ｍに引き伸ばした時の糸の太さをいう。図１は本発明の一実施例であるが、編み糸Ｃに該合成糸を使用する。通常の糸は単糸デニールが０．５〜３デニールであるが、本発明に使用する分繊糸の親糸は、例えば６０デニールの糸が４本で構成されている場合は、一本は１５デニール単糸となり、３００デニールの糸が１０本で構成されている場合は、一本は３０デニール単糸となり、更に硬度を増加できる。従来は鎖編みした経糸Ａと編み糸Ｂ、Ｂ´等で生地を構成していたのでブラインドタイプの生地として必要な剛性が単に数種類の編み糸で編成しただけでは得られず、樹脂処理や熱融着糸を編みこみ、その後加熱処理で硬さを得ていた。
これに対し本発明は、分繊糸の親糸である４から１５本の単糸で単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸を使用した該合成糸である編み糸Ｃを更に編みこみ糸Ａ及びＢ、Ｂ´等による編みに該合成糸である編み糸Ｃを追加編みすることでブラインドタイプの生地の硬度及び難燃性を増加するものである。
この場合、該合成糸である編み糸Ｃは単糸サイズが１０以上で５０以下のデニールで、単糸数が４以上１５以下とすれば本用途に適した硬度が得られることが実験的に分かった実用的な範囲である。即ち単糸サイズが少ないと編みやすいが生地の剛性が小さく、単糸サイズが大きいと剛性が大きくなるが編み込みが困難になる。生地の剛性と編み易さから編み糸Ｃを構成する単糸数には上限があり、上記の範囲からその本数は１５以下が実用的な範囲となる。
【００１０】
図２は本発明の請求項２の一部を適応した図である。即ち緯糸挿入編み機で、経糸Ａ、更に硬度を増加させ、また難燃性を付与するために追加する該合成糸である緯糸Ｄの軌跡を各糸ごとに単独に左サイドに示し、それらが組み合わさってブラインドタイプの生地を構成した図を右サイドに示したものである。このような編み方にすることで、横方向の硬度が増し、縦方向の硬度は増えないので簾の様に縦方向に巻き込みやすくなるという特徴がある。尚用いる合成糸は図５に示したものとなる。
【００１１】
図３は本発明の請求項３の一部を適応した図である。経糸Ａ、編み糸Ｂ、該合成糸である編み糸Ｃ、また緯糸Ｄの軌跡を各糸ごとに単独に左サイドに示し、それらが組み合わさってブラインドタイプの生地を構成した図を右サイドに示したものである。図３も上下に２つの編みパターンの例を示してある。即ち上図の編み組織パターン１は経糸Ａに対して編み糸Ｂは経糸Ａの２列に渡ってジグザグに編みこみ、該合成糸である編み糸Ｃは編み糸Ｂとは位相が１８０°相違する位置で経糸Ａの３列に渡ってジグザグに編みこんだ図１の上図パターン１に緯糸Ｄを追加し編みこんだ例である。
下図の編み組織パターン２は図３の上図の編み組織パターン１に対して、該合成糸である編み糸ＣはＢとは位相が１８０°相違した位置で経糸Ａの１列に渡ってジグザグに編み込まれた例である。
本発明の請求項３も図３の例に限らず編み糸Ｂは１種類に限らず更にＢ´等の複数とすることもできる。また編み糸Ｃの編み組織は図３に限定するものでない。
【００１２】
図４は請求項４に相当するものであり、上記の本発明の編み組織によるブラインド生地に用いた該合成糸である緯糸Ｅを織機に使用したものであり、この方式により、後加工せずにブラインドに必要な生地の硬さ、難燃性が得られる。
【００１３】
生地の硬度を増加させるために使用する分繊糸の親糸を緯糸挿入編み機あるいは織機の緯糸に使用した場合、生地の表面に分繊糸の親糸が現れ、ブラインドとしての装飾性が損なわれる問題があったが、本発明による合成糸を使用することにより、分繊糸の親糸の周りを別の難燃性等を有する糸が覆うために分繊糸の親糸が布地表面から隠れるために、この問題が解消される。
また図１から図４の編織において、生地として難燃性を必要としない場合、あるいは難燃性を後加工にて付与する場合は、該親糸に難燃性を有しない糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を使用して編織することも出来る。
【００１４】
図５にて本発明に使用する合成糸の構成および製作方法を説明する。
図５のＦは分繊糸の親糸と難燃性を有する糸を撚り合わせることで製作する合成糸の構成を示したものである。また図５のＧは圧空吹き付けにより分繊糸の親糸と難燃性を有する糸を結合させた図である。
通常の糸は単糸デニールが０．５〜３デニールの太さの糸が数十本合わさり形成されている。これに対し本発明に使用する分繊糸の親糸とは、単糸デニールの太さが１０〜５０デニールの糸を生産するために、生産性の向上を図るためにトコロテンを作るときのように、複数本の単糸を同時に生産し、後に分割して所望の単糸デニールに分ける前の状態の糸である。本発明はこの単糸サイズが太く且つ複数本で構成された分繊糸の親糸を利用するものであり、これにより適度な張りと硬さ得ることが出来る。また難燃性を付与するためと、分繊糸の親糸はトコロテンのようにばらけ易いため、これを防ぐために分繊糸の親糸と難燃性糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより合成糸とするものである。
撚り合わせによる合成糸の加工方法に対して、圧空吹き付けによる合成糸の加工法は、圧空吹きつけを利用して２種類の糸をランダムに結合させることが出来る。また図５のＦの撚り合わせである合成糸と、図５のＧである圧空吹きつけによる合成糸の加工方法を併用した合成糸を本発明中で使用してもよい。
【００１５】
以上の図１〜図５にて説明した本発明による特徴を従来技術と比較してまとめると以下のようになる。
１）「０００９」にても言及したが、単糸サイズのデニール値が従来より太い糸を得るため、分繊糸の親糸を使用し、難燃性を有する糸を撚り合せ等により、合成糸として編み込むため、生地の剛性が増し、ブラインドタイプの生地に最適な張りと硬さとなり、また難燃性が同時に付与される。すなわち従来のような硬仕上げ難燃樹脂処理が不要になる。そのため製造コストが安価となる。
２）図５に示した分繊の親糸を使用することにより、硬さと張りが得られるため、従来技術のような熱融着糸の使用が不要となる。
３）外部から室内が見えにくくするいわゆるミラー効果を得るためにため、窓側に当たる生地の裏面に光沢性を持たせた糸を編み込んだレース地に、難燃性を持たせるためのディッピング等の樹脂加工をすると、その光沢面も樹脂に覆われるため、光沢性が損なわれてしまうという欠点があったが、本発明ではディッピング等の樹脂加工を行わないため、この欠点が解消される。
４）難燃性を持たせるための樹脂加工をせずに、単に難燃性を有する糸を併用して難燃度を高める文献１の従来の手法ではブラインド生地としての物性が不十分という欠点があったが、分繊糸の親糸を活用した合成糸を使うことによってこの問題が解消される。即ちブラインドに必要な硬さ、風合い、手触り感触、ロール性、平面性等のブラインド生地としての物性が得られる。
５）生地の硬度を増加させるために使用する分繊糸の親糸を緯糸挿入編み機あるいは織機の緯糸に使用した場合、生地の表面に分繊糸の親糸が現れ、ブラインドとしての装飾性が損なわれる問題が本発明による図５に示した合成糸により表面に現れる度合いが激減するため、この問題が解消される。
６）従来の硬仕上げ加工は樹脂が生地表面に付着するために生地の風合いが損なわれるが、本発明では樹脂を使用しないので生地の風合いが生かされ、また硬さの耐久性があるため、水洗濯が可能になり、ウォッシャブル性が得られる。
７）上記の特徴は織物にもそのまま適応可能である。
【産業上の利用可能性】
【００１６】
本発明により作られる生地はブラインドタイプの生地として生地の風合いを生かしながら、安価で、適切な張りと硬さを有するブラインドカーテン等として、実用性、優美性、品質の均一性、安価性を備えたものであるので、工業的に大きな貢献が期待される。
【符号の説明】
【００１７】
Ａ：経糸
Ｂ：編み糸
Ｃ：編み糸
Ｄ：緯糸
Ｅ：緯糸
Ｆ：撚り合せによる合成糸
Ｇ：圧空吹き付けによる合成糸
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の地筬を用いた編み組織において、鎖編みする地筬に用いる経糸に、挿入編みする地筬に用いる編み糸もしくは、さらなる同様な編み糸等により、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸とし、該鎖編み経糸に、その鎖編み目をくぐらせて横方向に係止させ、または鎖編み目に縦方向に絡ませ、あるいは両者を併用させながら、編成したことを特徴としたブラインドタイプの生地の製法。
【請求項２】
緯糸挿入編み機において、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を緯糸挿入編みに用いる緯糸の全て、あるいは一部とし編成したことを特徴としたブラインドタイプの生地の製法。
【請求項３】
請求項１において、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に緯糸挿入編み機を用いる場合、その緯糸の全て、あるいは一部を該合成糸、または全てを該合成以外の糸とし編成したことを特徴としたブラインドタイプの生地の製法。
【請求項４】
織機にてブラインドタイプの生地を織る際に、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を緯糸の全てあるいは一部として織ることを特徴としたブラインドタイプの生地の製法。
【請求項５】
請求項１、請求項２、または請求項４において、生地として難燃性を必要としない場合、あるいは難燃性を後加工にて付与する場合は、該親糸に難燃性を有しない糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を使用して編織したことを特徴としたブラインドタイプの生地の製法
【請求項１】
複数の地筬を用いた編み組織において、鎖編みする地筬に用いる経糸に、挿入編みする地筬に用いる編み糸もしくは、さらなる同様な編み糸等により、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を挿入編みする地筬に用いる編み糸とし、該鎖編み経糸に、その鎖編み目をくぐらせて横方向に係止させ、または鎖編み目に縦方向に絡ませ、あるいは両者を併用させながら、編成したことを特徴としたブラインドタイプの生地の製法。
【請求項２】
緯糸挿入編み機において、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を緯糸挿入編みに用いる緯糸の全て、あるいは一部とし編成したことを特徴としたブラインドタイプの生地の製法。
【請求項３】
請求項１において、ブラインドタイプの生地を編み立てる際に緯糸挿入編み機を用いる場合、その緯糸の全て、あるいは一部を該合成糸、または全てを該合成以外の糸とし編成したことを特徴としたブラインドタイプの生地の製法。
【請求項４】
織機にてブラインドタイプの生地を織る際に、分繊糸の親糸である最大１５本の単糸で構成した単糸サイズ１０以上で５０以下のデニールの糸と、難燃性を有する糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を緯糸の全てあるいは一部として織ることを特徴としたブラインドタイプの生地の製法。
【請求項５】
請求項１、請求項２、または請求項４において、生地として難燃性を必要としない場合、あるいは難燃性を後加工にて付与する場合は、該親糸に難燃性を有しない糸を撚り合わせ、あるいは圧空吹き付けにより糸同士を絡ませた合成糸を使用して編織したことを特徴としたブラインドタイプの生地の製法
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１１−１６２９３３（Ｐ２０１１−１６２９３３Ａ）
【公開日】平成２３年８月２５日（２０１１．８．２５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−４５８４９（Ｐ２０１０−４５８４９）
【出願日】平成２２年２月１２日（２０１０．２．１２）
【出願人】（５９３０７１８２３）株式会社黒沢レ−ス (13)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年８月２５日（２０１１．８．２５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年２月１２日（２０１０．２．１２）
【出願人】（５９３０７１８２３）株式会社黒沢レ−ス (13)
【Ｆターム（参考）】
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