説明

ブラインド装置

【課題】建物の開口部を大きく開放することができるブラインド装置を提供すること。
【解決手段】ブラインド装置110は、リンク機構2と、リンク機構2に並置されたリンク機構3と、一端4が軸5を介してリンク機構2に、他端6が軸7を介してリンク機構3にそれぞれ回動自在に連結されてなる複数のスラット支持機構8と、スラット支持機構8のそれぞれに支持されたスラット9と、スラット9を傾動させるチルト機構12と、リンク機構2及び3に曲げ、伸長を生じさせるリンク曲げ、伸長機構14と、リンク曲げ、伸長機構14によるリンク機構2及び3の伸長に際して、チルト機構12を作動させるべく、リンク曲げ、伸長機構14の作動をチルト機構12に伝達するクラッチ機構15とを具備しており、回転駆動装置78は、垂直方向に伸びるスラット6の配列空間111を外れて、配列空間111の上方の横側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓等の開口部に配されて、当該開口部を開閉するためのブラインド装置に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本出願人は、先に、特開平8−326445号に記載されているようなブラインド装置を提案した。
【0003】
特開平8−326445号公報に記載のブラインド装置1は、図10から図18に示されるように、リンク機構2と、リンク機構2に並置されたリンク機構3と、一端4が軸5を介してリンク機構2に、他端6が軸7を介してリンク機構3にそれぞれ回動自在に連結されてなる複数のスラット支持機構8と、スラット支持機構8のそれぞれに支持されたスラット9と、リンク機構2及び3のそれぞれの上端10及び11に連結されており、リンク機構2及び3に相対的な位置変化を生じさせて、スラット9を傾動させるチルト機構12と、リンク機構2及び3の下部13に、最下端のスラット支持機構8を介して連結されて、リンク機構2及び3に曲げ、伸長を生じさせるリンク曲げ、伸長機構14と、リンク曲げ、伸長機構14によるリンク機構2及び3の伸長に際して、チルト機構12を作動させるべく、リンク曲げ、伸長機構14の作動をチルト機構12に伝達するクラッチ機構15とを具備している。
【0004】
リンク機構2は、軸5及び軸21を介して直列に互いに回動自在に連結された複数のリンク部材22を具備しており、リンク機構3は、軸7及び軸23を介して直列に互いに回動自在に連結された複数のリンク部材24を具備している。リンク部材22及び24には、リンク機構2及び3の屈曲(折り畳み)方向を規定する規制片25が一体的に設けられている。
【0005】
スラット支持機構8のそれぞれは、一端4が、リンク部材22の互いの回動自在な連結部(軸5及び軸21の部位)において、一つ置きの連結部(軸5の部位)に軸5を介して回動自在に連結されており、他端6が、リンク部材24の互いの回動自在な連結部(軸7及び軸23の部位)において、一つ置きの連結部(軸7の部位)に軸7を介して回動自在に連結されているアーム31と、アーム31のほぼ中央部に一体的に固着されて、水平方向に伸びた取付部32とを有しており、取付部32は、縦枠33に形成された上下方向に伸びる案内路34を通って伸長しており、縦枠33の外側の取付部32にスラット9が固着されており、スラット支持機構8のそれぞれは、案内路34に案内されて上下動自在であって、スラット9のそれぞれを支持している。
【0006】
チルト機構12は、軸41に軸受42を介して回転自在に設けられた回転体43と、それぞれの一端44及び45が回転体43に、それぞれの他端46及び47がリンク機構2及び3のそれぞれの上端10及び11にそれぞれ連結された一対の紐状体、例えばワイヤ50及び51とを具備している。
【0007】
リンク曲げ、伸長機構14は、一端59及び他端60を有する有端の可撓性の走行体としてのチェーン61と、チェーン61の撓みを阻止する撓み阻止手段62と、チェーン61をA及びB方向に走行させる走行装置63と、チェーン61をリンク機構2及び3の下部13に連結する連結手段64とを具備している。
【0008】
阻止手段62は、縦枠33に一体的に形成された一対の案内壁71及び72と、縦枠33に設けられて、スプロケットホイール73の周りに配されたチェーン押え70とを具備しており、チェーン61は、一対の案内壁71及び72間に形成された案内路74及び75並びにチェーン押え70とスプロケットホイール73との間のチェーン通路76を通って走行し、これらの一対の案内壁71及び72並びにチェーン押え70によりその撓みが阻止されている。
【0009】
走行装置63は、チェーン61が噛み合って係合する回転体としてのスプロケットホイール73と、スプロケットホイール73を回転させる回転駆動装置78とを具備しており、スプロケットホイール73は、回転体43と同軸に配されて、軸41に固着されて設けられており、回転駆動装置78は、電動モータ79と、電動モータ79を支持して縦枠33に取り付けられており、電動モータ79の出力回転軸の回転を減速して軸41に伝達する減速機80とを具備しており、電動モータ79の作動で軸41を回転させて、スプロケットホイール73を回転させ、これによりスプロケットホイール73に掛けられたチェーン61をA及びB方向に走行させる。
【0010】
連結手段64は、最下端のスラット支持機構8を介してチェーン61の下端59をリンク機構2及び3の下部に連結しており、案内路34に案内されて上下動自在であって、スラット支持機構8に連結された可動体81と、一端82が可動体81に回動かつ直動自在に連結されており、他端83がチェーン61の一端59に回動自在に連結されたアーム84と、チェーン61とアーム84との間に配されており、一端85がチェーン61の一端59に、他端86がアーム84にそれぞれ係止され、中央部がピン95に巻かれたねじりコイルばね87からなる弾性手段88とを具備しており、可動体81は、スラット支持機構8の取付部32が貫通しており、案内路34に配されて当該案内路34に案内されて上下動自在な本体91と、本体91にピン92を介して取り付けられた板状の取付部材93とを具備しており、アーム84は、一端82に長孔94を有しており、長孔94にピン92が挿通されていることにより、当該一端82で可動体81に回動かつ直動自在に連結されている。アーム84の他端83はピン95を介してチェーン61の一端59に回動自在に連結されている。ばね87は、チェーン61の一端59に対してアーム84を反時計回りに回動させるように、チェーン61の一端59に対してアーム84を弾性的に付勢し、これにより可動体81を案内路34に沿って下方に移動させるようにしている。
【0011】
クラッチ機構15は、回転体43に軸96を介して回動自在に取り付けられた爪部材97と、爪部材97が係合するように縦枠33に取り付けられた係合ピン98と、爪部材97に当接して爪部材97の係合ピン98への係合を解除するように、リンク曲げ、伸長機構14のチェーン61に設けられた係合突起99(図16ないし図18参照)とを具備しており、爪部材97は、係合ピン98に係合する凹所100を有した爪部101と、係合突起99に当接する当接部102とを一体的に有しており、回転体43には、係合突起99の当接部102への当接のために、係合突起99の当接部102への接近を許容する切り欠き103が形成されている。係合突起99の当接部102への当接により、爪部材97が回動されて爪部101の凹所100と係合ピン98との互いの係合が解除されると、回転体43は回転可能となり、したがって、チェーン61の走行と共に回転体43は回転され、係合突起99の当接部102への当接の解除により、爪部材97が回動されて爪部101の凹所100と係合ピン98とが互いに係合されると、回転体43は係合ピン98を介して縦枠33に固定されて回転不可能となる。
【0012】
またブラインド装置1では、建物の開口部を挟んで上記のような縦枠33が左右に設けられ、左右の縦枠33には、上記の機構が同様に装着されており、したがってスラット9の各々の他端は、上記と同様に図示しないスラット支持機構の各々に支持されている。また、軸41は、他方の縦枠33まで長く伸ばされて、上記と同様に他方の縦枠33に設けられたリンク曲げ、伸長機構を同期して作動させるようになっている。尚、105は、上記公報に記載されてない上方カバーであって、上方カバー105は、回転駆動装置78等を覆って、縦枠33に支持されている。
【0013】
以上のブラインド装置1では、図15に示すように、リンク機構2及び3が伸長された状態では、スラット9は、建物の開口部を完全に閉鎖するように、ほぼ垂直に傾動されており、図18に示すように、チェーン61に設けられた係合突起99は、切欠き103に配されて爪部材97の当接部102と当接している。この状態から電動モータ79が作動されると、軸41の回転により、スプロケットホイール73が回転されてチェーン61がA方向に走行される。チェーン61のA方向の走行により突起99も軸41を中心として反時計回りに移動され、突起99のこの移動により回転体43も、図17に示すように反時計回りに回動され、回転体43の回動により、ワイヤ50が上方に引っ張られ、ワイヤ51が下方に下げられ、而して、図11示すように、リンク機構3に対してリンク機構2が相対的に上方に持ち上げられて、アーム31のそれぞれがほぼ水平に回動され、これによりスラット9のそれぞれもほぼ水平に回動されて簾状にされる。更にチェーン61がA方向に走行されると、突起99が切欠き103から抜け始め、突起99の切欠き103からの抜けにより、突起99が次には爪部101に当接して爪部材97を軸96を中心として回動させ、爪部101の凹所100と係合ピン98とを互いに係合させる。図16に示すように、爪部101の凹所100が係合ピン98に係合することにより、回転体43の回転は阻止されて、その状態に保持される。チェーン61のA方向の走行が続行されることにより、連結手段64によりチェーン61に下部で連結されたリンク機構2及び3が屈曲され始め、この屈曲により、リンク機構2及び3にスラット支持機構8を介して取り付けられたスラット9が下方から順次重ね合わされる。上方においてスラット9が全て重ね合わされると、検出器等からの信号により電動モータ79の作動が停止され、開口部が完全開放された状態が維持される。
【0014】
開口部が完全開放された状態又は開口部の途中開放状態で、電動モータ79が前記と逆に作動されると、チェーン61がB方向に走行され、これによりリンク機構2及び3は上方より伸長され始め、スラット束は上方のスラット9よりその重ね合わせが解除され始める。リンク機構2及び3が全て伸長されてスラット9もまたその重ね合わせが全て解除されると、図16に示すように、突起99が切欠き103に挿入され始め、この挿入により図17に示すように、突起99が爪部材97の当接部102に当接して爪部材97を回動させて、凹所100の係合ピン98への係合を解除し、この解除により突起99の移動と共に回転体43は、図18に示すように前記と逆に時計回りに回転され、ワイヤ51が上方に引っ張られ、ワイヤ50が下方に下げられ、これによりリンク機構2及び3に相対的変位が生じて、リンク機構2及び3にスラット支持機構8を介して取り付けられたスラット9は逆に傾動され、図15に示すように開口部を完全に閉鎖するようになる。その後、検出器等からの信号により電動モータ79の作動が停止され、開口部が完全閉鎖された状態が維持される。
【0015】
そしてブラインド装置1では、開口部が完全閉鎖された後において、直ちに電動モータ79の作動が停止されず、チェーン61が若干B方向に更に走行されても、チェーン61の一端59に他端83で回動自在に連結されたアーム84自体がばね87の弾性力に抗してピン92を中心として回動しかつその一端82で可動体81に対して直動して、可動体81の更なる下方移動を生じさせないようになっている。
【0016】
ところで、特開平8−326445号公報に記載のブラインド装置1では、減速機80の出力回転軸を軸41に直結でき又は軸41と共軸にできて、減速機80の出力回転軸の回転を軸41に伝達させるような伝達機構等を不要とし得、走行装置63をコンパクトに構成できる利点があるが、電動モータ79及び減速機80がスラット9の上方に配されて、開口部の開放の際における互いに重ね合わされたスラット9の束の上昇を制限し、このため完全開放状態でも、建物の開口部を大きく開放することができないという問題がある。
【0017】
また、前記公報に記載のブラインド装置1では、ワイヤ50及び51に撓みを生じさせる程度にスラット9の束をより大きく上昇させようとすると、ワイヤ50及び51同士の絡み付きや、ワイヤ50及び51の他の部品への引っ掛かり等が生じて、正常な作動が行い得なくなる虞がある。
【0018】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、建物の開口部を大きく開放することができるブラインド装置を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的とするところは、スラットの束をより大きく上昇させるように構成しても、作動不良等の不都合な事態を生じさせることのないブラインド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の請求項1のブラインド装置は、第一のリンク機構と、この第一のリンク機構に並置された第二のリンク機構と、一端が第一のリンク機構に、他端が第二のリンク機構にそれぞれ回動自在に連結されてなる複数のスラット支持機構と、このスラット支持機構のそれぞれに支持されたスラットと、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結されており、第一及び第二のリンク機構に相対的な位置変化を生じさせて、スラットを傾動させるチルト機構と、第一及び第二のリンク機構の下部に連結されており、第一及び第二のリンク機構に曲げ及び伸長を生じさせて、スラットを上昇、下降させるリンク曲げ及び伸長機構と、このリンク曲げ及び伸長機構による第一及び第二のリンク機構の伸長に際して、チルト機構を作動させるべく、リンク曲げ及び伸長機構の作動をチルト機構に伝達するクラッチ機構とを具備しており、リンク曲げ及び伸長機構は、可撓性の走行体と、この走行体を走行させる走行装置と、走行体をリンク機構の下部に連結する連結手段とを具備しており、走行装置は、走行体が係合する回転体と、この回転体を回転させる回転駆動装置とを具備しており、回転駆動装置は、垂直方向に伸びるスラットの配列空間を外れて、当該配列空間の横側に設けられている。
【0021】
請求項1のブラインド装置によれば、垂直方向に伸びるスラットの配列空間を外れて、回転駆動装置が当該配列空間の横側に設けられているため、回転駆動装置に邪魔されることなしに、開口部の完全開放の際におけるスラット束の上昇位置をかなり上方に設定でき、而して、完全開放状態で建物の開口部を大きく開放できるものとし得る。
【0022】
また本発明の請求項2のブラインド装置では、請求項1のブラインド装置において、回転駆動装置は、配列空間の上方の横側に設けられている。この請求項2のブラインド装置によれば、走行装置により生起される回転を回転体に伝達する伝達機構を、小さな占有空間をもって構成でき、しかも、上方カバー内にコンパクトに収容できる。
【0023】
本発明の請求項3のブラインド装置では、請求項1又は2のブラインド装置において、回転駆動装置は、電動モータと、この電動モータの出力回転軸の回転を減速する減速機とを具備しており、走行装置は、減速機の出力回転軸の回転を回転体に伝達する伝達機構を具備している。
【0024】
本発明の請求項4のブラインド装置では、上記のブラインド装置において、チルト機構は、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結された一対の連結体を具備しており、各連結体は、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材の列からなる。
【0025】
請求項4のブラインド装置によれば、第一及び第二のリンク機構に相対的な位置変化を生じさせて、スラットを傾動させるために、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結されるチルト機構の連結手段が、従来の紐状体に代えて、夫々が複数のリンク部材の列からなる一対の連結体で構成されるために、スラットの束の上昇位置を上方に設定しても、従来の紐状体では生じ得る可能性のある、紐状体の撓みよる他の部材への絡み付き等の不都合をなくし得、而して、絡み付き等による動作不良を好ましく防ぐことができる。
【0026】
本発明の請求項5のブラインド装置では、請求項4のブラインド装置において、各連結体は、予め決定された屈曲方向をもって曲折自在になっている。このように請求項5のブラインド装置のように構成することにより、より確実に動作不良を防ぐことができる。
【0027】
本発明の請求項6のブラインド装置は、第一のリンク機構と、この第一のリンク機構に並置された第二のリンク機構と、一端が第一のリンク機構に、他端が第二のリンク機構にそれぞれ回動自在に連結されてなる複数のスラット支持機構と、このスラット支持機構のそれぞれに支持されたスラットと、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結されており、第一及び第二のリンク機構に相対的な位置変化を生じさせて、スラットを傾動させるチルト機構と、第一及び第二のリンク機構の下部に連結されており、第一及び第二のリンク機構に曲げ及び伸長を生じさせて、スラットを上昇、下降させるリンク曲げ及び伸長機構と、このリンク曲げ及び伸長機構による第一及び第二のリンク機構の伸長に際して、チルト機構を作動させるべく、リンク曲げ及び伸長機構の作動をチルト機構に伝達するクラッチ機構とを具備しており、チルト機構は、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結された一対の連結体を具備しており、各連結体は、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材の列からなる。
【0028】
請求項6のブラインド装置によれば、請求項4のブラインド装置と同様に、スラットの束の上昇位置を上方に設定しても、従来の紐状体では生じ得る可能性のある、紐状体の撓みよる他の部材への絡み付き等の不都合をなくし得、而して、絡み付き等による動作不良を好ましく防ぐことができる。
【0029】
本発明の請求項7のブラインド装置では、請求項6のブラインド装置において、各連結体は、予め決定された屈曲方向をもって曲折自在になっている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、建物の開口部を大きく開放することができるブラインド装置を提供することができ、また、スラットの束の上昇位置を上方に設定しても、従来の紐状体では生じ得る可能性のある、紐状体の撓みよる他の部材への絡み付き等の不都合をなくし得、而して、絡み付き等による動作不良を好ましく防ぐことができる。
【発明の実施の形態】
【0031】
次に本発明を、その実施の形態を示す図に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0032】
図1から図4において、本例のブラインド装置110は、特開平8−326445号公報に記載のブラインド装置1において、走行装置63の回転駆動装置78が、垂直方向に伸びるスラット6の配列空間111を外れて、当該配列空間111の上方の横側に設けられており、チルト機構12が、ワイヤ50及び51に代えて、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材112の列からなる一対の連結体113及び114を具備して構成されている。
【0033】
回転駆動装置78は、電動モータ79と、電動モータ79の出力回転軸の回転を減速する減速機80とを具備しており、走行装置63は、減速機80の出力回転軸115の回転をスプロケットホイール73に伝達する伝達機構116を具備している。減速機80の出力回転軸115は、ブラインド装置1と同様に、他方の縦枠33まで伸びており、他方の縦枠33に設けられたリンク曲げ、伸長機構を、伝達機構116と同等の伝達機構を介して同期して作動させるようになっている。
【0034】
電動モータ79及び減速機80からなる回転駆動装置78は、ブラケット121に取り付けられており、ブラケット121は、縦枠33の上方に取り付けられている。
【0035】
伝達機構116は、減速機80の出力回転軸115に固着されたスプロケットホイール(図示せず)と、軸41に固着されたスプロケットホイール122と、両スプロケットホイールに掛け回わされた無端チェーン123とを具備している。ブラインド装置110では、軸41は、その両端で軸受を介して両縦枠33に回転自在に支持されている。
【0036】
以上のブラインド装置110の走行装置63は、電動モータ79の作動により減速機80を介して無端チェーン123を走行させて、スプロケットホイール122を回転させ、而して、軸41を回転させるようになっている。軸41の回転によりブラインド装置110は、ブラインド装置1と同様に動作する。
【0037】
そして、垂直方向に伸びるスラット6の配列空間111を外れて、当該配列空間111の上方の横側に設けられた回転駆動装置78を具備したブラインド装置110では、図2に示すように、回転駆動装置78に邪魔されることなく、スラット9の束をより多く上方に上昇させるようにでき、而して、建物の開口部の完全開放をより完全に行うことができる。
【0038】
リンク部材112の列からなる一方の連結体113は、最上位のリンク部材112の上端125が軸126を介してブラケット127に回動自在に連結されており、最下位のリンク部材112の下端128が軸5に、リンク機構2の最上位のリンク部材22の上端10及びアーム31の一端4と共に回動自在に連結されており、夫々のリンク部材112が軸129を介して互いに回動自在に連結されてなる。同じくリンク部材112の列からなる他方の連結体114は、連結体113と同様に、最上位のリンク部材112の上端125が軸131を介してブラケット127に回動自在に連結されており、最下位のリンク部材112の下端128が軸7に、リンク機構3の最上位のリンク部材24の上端11及びアーム31の他端6と共に回動自在に連結されており、夫々のリンク部材112が軸132を介して互いに回動自在に連結されてなる。各リンク部材112は、規制片25と同様であって、連結体113及び114の屈曲(折り畳み)方向を規定する規制片133を具備している。
【0039】
連結体113及び114は、規制片133により上記のようにその屈曲(折り畳み)方向が決定されている上に、各リンク部材112が板状部材から形成されて、その曲折が垂直面内で行われるようになっている。
【0040】
また、連結体113及び114の3番目のリンク部材112において、その折り曲げられた規制片133には、三角形状又は半円形状の突起134が一体的に形成されており、突起134は、連結体113及び114の夫々の折り畳において、縦枠33の内面に当接して、2番目及び3番目のリンク部材112の相互の連結部位の横外方向の張り出しを規制する。また、連結体114の最上位のリンク部材112には、突起135及び136が形成されており、突起135は、連結体114の折り畳における最上位のリンク部材112の回動において、縦枠33の内面に当接して、最上位のリンク部材112のそれ以上の回動を禁止し、突起136には、連結体114の折り畳において、3番目のリンク部材112の上端が当接して、3番目のリンク部材112のそれ以上の上昇を禁止するようしている。
【0041】
ブラケット127は、ねじ141を介して回転体43の一方の面に固着されており、回転体43の回動と共に、揺動されるようになっている。
【0042】
一対の連結体113及び114を具備したチルト機構12は、ブラインド装置1におけるチルト機構12と同様に動作し、しかも、建物の開口部の完全開放におけるスラット9の束の上昇で、一対の連結体113及び114が、図5に示すように、予め決定された屈曲(折り畳み)方向をもって垂直面内で曲折される結果、一対の連結体113及び114が互いに絡み付いたり、連結体113及び114のいずれかが他の部品に引っ掛かったりすることがなく、図6に示すようにコンパクトに折り畳まれ、次に建物の開口部を完全閉鎖する際に、スラット9の束を下降できなくなったり、チルト機構12を所望に動作させることができなくなる等の不都合が生じない。特に、上記のように、回転駆動装置78を、垂直方向に伸びるスラット6の配列空間111を外れて、当該配列空間111の上方の横側に設けて、スラット9の束をより多く上方に上昇させるようにした場合でも、連結体113及び114の互いの絡み付きや、連結体113及び114の他の部品への引っかかり等を確実になくし得る。
【0043】
また、スラット9の束の上昇に続く連結体114の折り畳みの際、図7に示すように突起134が縦枠33の内面に当接して、2番目及び3番目のリンク部材112の相互の連結部位の横外方向の張り出しが規制されるようになっており、更に、図8に示すように3番目のリンク部材112の上端が突起136へ当接して、3番目のリンク部材112のそれ以上の上昇が禁止されて、3番目のリンク部材112の上端がブラケット127及び縦枠33間へ挟み込まれないようになっており、加えて、図9に示すように突起135が縦枠33の内面に当接して、最上位のリンク部材112のそれ以上の回動が禁止されて、最上位のリンク部材112と2番目のリンク部材112とにより突起134が挟まれて、2番目のリンク部材112に対して3番目のリンク部材112が回動されなくなることが防止されるようになっており、これらにより連結体114のスムーズな折り畳みが行われるようになっている。
【0044】
連結体113の3番目のリンク部材112において、突起134もまた、連結体114の3番目のリンク部材112のそれと同様に機能し、これにより連結体113においてもまた、そのスムーズな折り畳みが行われるようになっている。
【0045】
連結体113及び114の夫々が本例よりも多くの本数のリンク部材112から構成される場合には、上から奇数番目のリンク部材112の夫々に突起134を設けて、奇数番目のリンク部材とそれよりも一つ手前のリンク部材との相互の連結部位の横外方向の張り出しを規制するようにするとよい。
【0046】
尚、伝達機構としては、無端チェーン123を用いたものに限定されず、歯付きプーリとタイミングベルトとを用いたもの又は歯車機構を用いたもの等々いずれでもよく、また、回転駆動装置78としては、減速機80を省いて構成してもよく、この場合、必要に応じて、伝達機構に減速機能をもたせてもよい。
【0047】
また、図5に示すように、連結体113の最上位のリンク部材112が軸126を中心として時計周りの方向に、連結体114の最上位のリンク部材112が軸131を中心として反時計周りの方向に夫々強制的に回動されるように、リンク部材112とブラケット127と間に捩りばねを介在させてもよく、このように捩りばねにより、連結体113及び114の屈曲(折り畳み)の際に、その最上位のリンク部材112の回動方向を強制的に規制することにより、連結体113及び114の屈曲を誤りなしに確実に得ることができる上に、連結体113及び114の他の部品への引っ掛かりをより確実になくし得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の好ましい一実施例の斜視図である。
【図2】図1に示す例の一部側面図である。
【図3】図1に示す例の一部断面図である。
【図4】図1に示す例の一部説明図である。
【図5】図1に示す例の動作説明図である。
【図6】図1に示す例の動作説明図である。
【図7】図1に示す例の動作説明図である。
【図8】図1に示す例の動作説明図である。
【図9】図1に示す例の動作説明図である。
【図10】従来例の斜視図である。
【図11】図10に示す例の側面説明図である。
【図12】図10に示す例の正面説明図である。
【図13】図10に示す一部平面説明図である。
【図14】図10に示す例の一部説明図である。
【図15】図10に示す例の動作説明図である。
【図16】図10に示す例の動作説明図である。
【図17】図10に示す例の動作説明図である。
【図18】図10に示す例の動作説明図である。
【符号の説明】
【0049】
6 スラット
12 チルト機構
63 走行装置
78 回転駆動装置
110 ブラインド装置
111 配列空間
112 リンク部材
113、114 連結体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のリンク機構と、この第一のリンク機構に並置された第二のリンク機構と、一端が第一のリンク機構に、他端が第二のリンク機構にそれぞれ回動自在に連結されてなる複数のスラット支持機構と、このスラット支持機構のそれぞれに支持されたスラットと、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結されており、第一及び第二のリンク機構に相対的な位置変化を生じさせて、スラットを傾動させるチルト機構と、第一及び第二のリンク機構の下部に連結されており、第一及び第二のリンク機構に曲げ及び伸長を生じさせて、スラットを上昇、下降させるリンク曲げ及び伸長機構と、このリンク曲げ及び伸長機構による第一及び第二のリンク機構の伸長に際して、チルト機構を作動させるべく、リンク曲げ及び伸長機構の作動をチルト機構に伝達するクラッチ機構とを具備しており、リンク曲げ及び伸長機構は、可撓性の走行体と、この走行体を走行させる走行装置と、走行体をリンク機構の下部に連結する連結手段とを具備しており、走行装置は、走行体が係合する回転体と、この回転体を回転させる回転駆動装置とを具備しており、回転駆動装置は、垂直方向に伸びるスラットの配列空間を外れて、当該配列空間の横側に設けられているブラインド装置。
【請求項2】
回転駆動装置は、配列空間の上方の横側に設けられている請求項1に記載のブラインド装置。
【請求項3】
回転駆動装置は、電動モータと、この電動モータの出力回転軸の回転を減速する減速機とを具備しており、走行装置は、減速機の出力回転軸の回転を回転体に伝達する伝達機構を具備している請求項1又は2に記載のブラインド装置。
【請求項4】
チルト機構は、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結された一対の連結体を具備しており、各連結体は、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材の列からなる請求項1から3のいずれか一項に記載のブラインド装置。
【請求項5】
各連結体は、予め決定された屈曲方向をもって曲折自在になっている請求項4に記載のブラインド装置。
【請求項6】
第一のリンク機構と、この第一のリンク機構に並置された第二のリンク機構と、一端が第一のリンク機構に、他端が第二のリンク機構にそれぞれ回動自在に連結されてなる複数のスラット支持機構と、このスラット支持機構のそれぞれに支持されたスラットと、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結されており、第一及び第二のリンク機構に相対的な位置変化を生じさせて、スラットを傾動させるチルト機構と、第一及び第二のリンク機構の下部に連結されており、第一及び第二のリンク機構に曲げ及び伸長を生じさせて、スラットを上昇、下降させるリンク曲げ及び伸長機構と、このリンク曲げ及び伸長機構による第一及び第二のリンク機構の伸長に際して、チルト機構を作動させるべく、リンク曲げ及び伸長機構の作動をチルト機構に伝達するクラッチ機構とを具備しており、チルト機構は、第一及び第二のリンク機構のそれぞれの上端に連結された一対の連結体を具備しており、各連結体は、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材の列からなるブラインド装置。
【請求項7】
各連結体は、予め決定された屈曲方向をもって曲折自在になっている請求項6に記載のブラインド装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2007−77801(P2007−77801A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317845(P2006−317845)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【分割の表示】特願平10−185308の分割
【原出願日】平成10年6月30日(1998.6.30)
【出願人】(503428703)オイレスECO株式会社 (69)
【Fターム(参考)】