説明

ブラシレスモータ

【課題】CD、DVD等の光ディスク装置に用いられているディスク回転用モータにおいて、重量低減のためにベースプレートに形成した切欠き部や開口部から異物が侵入しモータがロック状態に陥る危険性があるという課題を解決する。
【解決手段】ベースプレート29上に形成した複数カ所の切欠き部32や開口部33をベースプレートに接合されたプリント基板30で塞ぐことにより、新たな部材を使うことなく、異物の侵入を防止するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブラシレスモータの異物侵入防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル用途の光ディスク装置は、小型化、薄型化が求められているとともに、軽量化も重要要求項目に挙げられており、これに用いられるディスク回転用モータも同様に、軽量化が強く求められているが、前記ベースプレートはその剛性、精度、磁性等の目的から鉄系、ステンレス系、または黄銅系の材質が用いられるのが一般的であり、ディスク回転用モータにおいて、大きな重量比を占めている。
【0003】
図4はCD、DVD等の光ディスク装置に用いられているディスク回転用モータの構造の従来例である。ディスク回転用モータはロータ部1とステータ部2によって構成されている。その内、ロータ部1はターンテーブル部3とヨーク部4が一体化された一体型ロータフレーム5、及びターンテーブル部3と共にディスクを押圧支持するディスク保持部材6、ロータマグネット7、シャフト8、抜け止め部材9等から構成され、ステータ部2は軸受10、この軸受10を保持するメタルハウジング11、及びロータマグネット7と対向して配置され巻線を施されたコア12、および、金属製のベースプレート13とFPC等のプリント基板14からなるブラケット15とにより構成されている。
【0004】
上記構成において、ブラシレスモータの重量低減のためには、一般的に、材質変更、または材料の肉厚薄化等の手段が取られるが、更なる軽量化のためには、前記ベースプレート13に切欠き部や、開口部を設けることが必要となる。
【0005】
これまで、モータの軽量化ではなく、薄型化という目的のために、前記ベースプレート13に開口部を形成することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−187637号公報(第4頁、図1)
【特許文献2】特開2004−213807号公報(第8頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成において、ブラシレスモータの重量低減のため、前記ベースプレートに切欠き部や開口部が形成され、それがロータ部領域にまで及ぶ場合、異物が侵入し、モータがロック状態に陥る危険性があるため、前記切欠き部や開口部を何らかの方法で塞ぐことが必要となる。
【0007】
例えば特許文献2では、前記ベースプレート上の、ロータ部と反対側に、シート状の保護材を備えることを提案している。しかしこの場合では、前記ベースプレート上に凸部が形成されてしまうため、モータの薄型化には適さない。また、新たに部材を必要とするため、コスト面からも望ましくない。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、新たな部材を使うことなく、ブラシレスモータの軽量化の際に発生するであろう弊害を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、ブラシレスモータの重量低減を図るために形成されたベースプレート上の複数の切欠き部、または開口部を、前記ベースプレートに接合さ
れたFPC、またはガラスエポキシ基板、または紙フェノール基板で塞ぐことにより、異物の侵入を防止するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ベースプレートに形成した複数の切欠き部、または開口部から異物が侵入するという、ブラシレスモータの軽量化の際に発生する弊害を防止できるという有利な効果が得られる。また、ベースプレートに形成された切欠き部や開口部を塞ぐために、新たな部材を用いる必要がなく、コスト面でも有益であるとともに、前記ベースプレート上の、ロータ部と反対側に切欠き部や開口部を塞ぐ部材ががないため、薄型化にも有用である。また、切欠き部や開口部を塞ぐことは、ロータが回転することによって生じる風切音等の騒音の漏れを防ぐことが可能となるため、モータ騒音低減の効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るモータの構造断面図である。図1においてブラシレスモータは、ディスクを搭載するターンテーブル部16とヨーク部17が一体化された一体型ロータフレーム18及びターンテーブル部16と共にディスクを押圧支持するディスク保持部材19とロータフレーム18に取り付けられたロータマグネット20とロータフレームの中央に固定されたシャフト21と抜け止め部材22等とからなるロータ部23と、シャフト21を支承する軸受24、この軸受を保持するメタルハウジング25とロータマグネット20と対向して配置され巻線を施されたされたコア26とハウジング25を保持するブラケット27とを有するステータ部28とにより構成される。
【0013】
前記ブラケット27は金属製のベースプレート29とFPCのプリント基板30の組み合わせによって構成され、前記ベースプレート29と前記FPCのプリント基板30は、接着や、両面テープ等の方法により接合されている。
【0014】
図2は本発明の実施の形態1に係るモータの斜視図であり、ブラシレスモータをロータ部23と反対側から矢視した図である。前記ベースプレート29には、主にモータの軽量化を目的とした複数ヶ所の切欠き部32及び扇形状の開口部33が形成され、その切欠き部32、及び開口部33を前記FPCのプリント基板30によって塞いでいる。これにより、異物の侵入を防ぐだけでなく、騒音漏れも防ぐことが可能となる。この時、前記ブラケット27のプリント基板30は、FPC以外にも、ガラスエポキシ基板や、紙フェノール基板を用いても良い。また、前記ベースプレート29の軽量化の形態は、図3のように、多数の小径穴35を穿設したものにも適用できる。
【0015】
これにより、異物侵入等の、モータ軽量化の際の弊害防止を図ることができる
【産業上の利用可能性】
【0016】
光メディア用スピンドルモータ等、軽量化が求められるモバイル機器用ブラシレスモータに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例に係るモータの構造断面図
【図2】本発明の実施の形態1に係るモータの斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係るその他の例のモータの斜視図
【図4】従来のブラシレスモータの構造断面図
【符号の説明】
【0018】
1、23 ロータ部
2、28 ステータ部
3、16 ターンテーブル部
4、17 ヨーク部
5、18 ロータフレーム
6、19 ディスク保持部材
7、20 ロータマグネット
8、21 シャフト
9、22 抜け止め部材
10、24 軸受
11、25 メタルハウジング
12、26 コア
13、29 ベースプレート
14、30 プリント基板
15、27 ブラケット
32 切欠き部
33 開口部
35 小径穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを搭載するターンテーブル部とロータフレームと前記ターンテーブル部と共にディスクを押圧支持するディスク保持部材と前記ロータフレームに取り付けられたロータマグネットと前記ロータフレームの中央に固定されたシャフトとを有するロータ部と、前記シャフトを支承する軸受とこの軸受を保持するメタルハウジングと前記ロータマグネットと対向して配置され巻線が施されたコアと前記ハウジングを保持するブラケットとを備えるステータ部と、からなるブラシレスモータにおいて、前記ブラケットは金属製のベースプレートとプリント基板の組み合わせによって構成され、前記ベースプレートには複数の切欠き部、もしくは開口部が形成され、その切欠き部、または開口部を前記プリント基板によって塞いで成るブラシレスモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate