説明

ブランクマスク及びフォトマスク

【課題】 フラットパネルディスプレイの製造に利用されるブランクマスク及びフォトマスクを提供する。
【解決手段】 透明基板上に遮光領域を含む領域に形成された遮光膜パターンと、露出された該透明基板上に形成された位相反転膜とを持ち、位相反転膜は、露光光に対して160゜ないし200゜の位相差を持ち、遮光膜パターン及び位相反転膜は、同じエッチング物質によりエッチングされることを特徴とするブランクマスク。これにより、等倍露光装置を利用してフラットパネルディスプレイ(FPD)デバイスを製造するに当って高い解像度を表すことができ、特に、複数の露光光を利用する等倍露光装置に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランクマスク及びそれから製造されたフォトマスクに係り、より詳細には、フラットパネルディスプレイの製造に利用されるブランクマスク及びフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(Large Scale Integration:以下、LSIという)デバイスや、フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display:以下、FPDという)デバイスを製造するためのリソグラフィー工程では、共通的にブランクマスクから製造されたフォトマスクを利用するパターンの転写が行われている。
【0003】
ブランクマスクは、合成石英ガラスなどからなる透光性基板の主表面上に金属材料を含む薄膜が形成され、かつ薄膜上にレジスト膜が形成されたものである。フォトマスクは、かかるブランクマスクから薄膜がパターニングされたものである。ここで薄膜は、光学的特徴によって、遮光膜、反射防止膜、位相反転膜、半透光膜、反射膜などに分けられ、これらの薄膜のうち二つ以上の薄膜が混用されて使われてもよい。
【0004】
LSIデバイス製造用フォトマスクは、一般的に一辺が6インチ(152mm)であり、FPDデバイス製造用フォトマスクは、一辺が300mm以上であってLSIデバイス製造用フォトマスクに比べて相対的に大型である。
【0005】
LSIデバイスは、FPDデバイスに比べてその集積度が大きい。制限された領域に多くのパターンを刻み付けねばならないため、LSIデバイスの線幅はFPDデバイスに比べて微細である。だが、フォトマスクのパターン線幅を狭めるには限界があるため、LSIデバイスは、縮少露光装置を利用して製造される。すなわち、LSIデバイスは、フォトマスクのパターン線幅に対して4:1または5:1に縮少させた露光装置で製造される。
【0006】
従来LSIデバイスの高集積化による設計ルールの微細化につれて、微細パターンの形成に使われるフォトマスクのパターンも、高精密度の微細化が要求された。LSIデバイスでさらに微細なパターンを形成するためには、高いパターンの解像度が必要である。解像度を高める方法としては、パターン形成に使われる光源の波長を短くして、レンズを大径化することである。そのため、パターンの解像度を高めるために、光源の波長は、g−line(436nm)、i−line(365nm)、KrF(248nm)、ArF(193nm)、F(157nm)と益々短くなり、レンズ口径は、0.4、0.5、0.6、0.7と益々大きくなっている。
【0007】
ところが、光源の波長を短くしてレンズを大径化すれば、パターンの解像度は高めることができるが、レンズの焦点深度が低くて実用的なパターンの解像度を得るには限界がある。この限界を乗り越えるために、位相反転膜を利用した位相反転フォトマスクは、バイナリーフォトマスクよりパターンの解像度を高めることができた。
【0008】
図1は、従来の技術による位相反転フォトマスクの光学的特性を示す図面である。図1に示したように、位相反転フォトマスクは、透明基板1上に透過率が約3%〜30%の位相反転膜2が形成されたものである。位相反転膜2を透過した露光光の位相は、位相反転膜2を透過していない露光光の位相と約180゜の位相差を表して、位相反転膜2の境界で相殺干渉により解像度を高めることができる。図2に示したように、位相反転フォトマスクは、バイナリーフォトマスクに比べて微細パターンを高い解像度で露光させることができる。
【0009】
それに比べてFPDデバイスは、LSIデバイスに比べて、その集積度に余裕があるため、フォトマスクのパターン線幅を1:1で従う等倍露光装置で製造される。縮少露光装置を利用すれば、フォトマスクのパターン線幅が1/4または1/5に縮小し、ウェーハで単位面積当り受ける露光光の強度が4倍または5倍に大きくなるので、LSIデバイスを製造する時には単一波長の露光光を使用すればよい。一方、等倍露光装置では、露光光の強度が同一であるため、高い露光強度を得て生産性を向上させるために、複数の露光光を使用する。一般的に、FPDデバイスの製造に使われる複数の露光光は、i線(365nm)、h線(405nm)、及びg線(436nm)を含み、これは、約3倍の露光強度を得る。この複数の露光光は、主に超高圧水銀灯から放射される光源から得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、従来LSIデバイス製造用フォトマスクのパターンは、高精度の微細化が要求され、今後にもさらに微細なパターンが要求されるであろう。これと同様に、最近FPDデバイス製造用フォトマスクのパターンも微細化が要求されている。FPDデバイスは、さらに広い画面にさらに鮮明な画質が要求されているため、画素のサイズを縮めるしかなく、したがって、パターンの微細化は必然的に要求されるであろう。
【0011】
しかし、フォトマスクのパターン線幅を狭めるには限界がある。しかも、FPDデバイスは等倍露光装置を利用して製造されるため、LSIデバイスのパターン線幅だけ狭めるのはほとんど不可能である。LSIデバイス製造用フォトマスクは、一辺が6インチ(152mm)で小型である一方、FPDデバイス製造用フォトマスクは、一辺が300mm以上で大型であり、そのサイズも多様なので、それに合う縮少露光装置を開発するということも容易ではない。
【0012】
本発明者らは、等倍露光装置を利用してFPDデバイスの製造に利用されるフォトマスクで解像度を向上させるために、LSIデバイス製造用フォトマスクに使われる位相反転膜を適用することを想到し、この時に発生する次のような問題点を認識した。
【0013】
第1に、位相反転膜の材料選択が容易ではない。従来LSIデバイス製造用フォトマスクで使われる位相反転膜は、主にMoSiを含む物質で形成され、ドライエッチングを通じてパターニングされた。しかし、FPDデバイス製造用フォトマスクの場合、大面積に好適なウェットエッチングを利用した。MoSiは、ドライエッチングに好適な物質であってウェットエッチングが容易ではない。したがって、MoSiではないウェットエッチングに好適な物質を考えねばならない。
【0014】
第2に、位相反転膜と遮光膜との材料を同じ物質とした場合、同じエッチング物質で同時にエッチングできるため、第1の問題点は解決できるが、デバイスパターン領域と遮光領域とのエッチング速度差が生じて、デバイスパターン領域のオーバーエッチング問題が新たに生じる。
【0015】
第3に、LSIデバイスを製造するための縮少露光装置では単一波長の露光光を利用するが、FPDデバイスの製造に利用される等倍露光装置は、単一波長ではない複数の波長を利用するため、露光光の波長によって異なって現れる位相差を、複数の波長について考慮せねばならない。
【0016】
このように、本発明は前記のような問題点を解決するためのものであり、等倍露光装置を利用してFPDデバイスを製造するに当って高い解像度を表すことができ、特に、複数の露光光を利用する等倍露光装置に好適なブランクマスク及びフォトマスクを提供するのにその目的がある。
【0017】
また、本発明は、FPDデバイス製造用のブランクマスク及びフォトマスクにおいて、従来に考察されていないウェットエッチングに好適な位相反転膜の材料及びフォトマスクの構造、製造方法を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の実施形態によるFPD製造用フォトマスクは、ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクであり、前記ブラインド領域は、透明基板上に遮光膜パターン及び位相反転膜が積層されて構成され、前記ブラインド領域の透光領域は、前記位相反転膜及び遮光膜パターンが順次にエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、前記メイン領域の透光領域は、透明基板上に積層された位相反転膜がエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、前記遮光膜パターンのエッチング速度は、同じエッチング物質に対して前記位相反転膜のエッチング速度より速い。
【0019】
また、本発明の実施形態によるFPD製造用フォトマスクは、ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に遮光領域、位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクであり、前記ブラインド領域は、透明基板上に遮光膜パターン及び位相反転膜が積層されて構成され、前記ブラインド領域の透光領域は、前記位相反転膜及び遮光膜パターンが順次にエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、前記メイン領域の透光領域は、透明基板上に積層された遮光膜パターンを包むように、前記透明基板及び前記遮光膜パターン上に積層された位相反転膜がエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、前記遮光膜パターンのエッチング速度は、同じエッチング物質に対して前記位相反転膜のエッチング速度より速い。
【0020】
前記ブラインド領域とメイン領域との境界に配置された前記遮光膜パターンの側面に、前記位相反転膜がエッチングされて形成された位相反転膜パターンが配置される。
【0021】
前記遮光膜パターン及び前記位相反転膜は、それぞれの厚さd及びdと同じエッチング物質に対するエッチング速度V及びVに対して、d/V≦d/Vの関係を持つ。
【0022】
前記遮光膜パターン及び前記位相反転膜は、クロム(Cr)を含む。
【0023】
前記位相反転膜は、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうち一つ以上の物質をさらに含む。
【0024】
前記遮光膜パターンの厚さは、1200Å以下である。
【0025】
前記位相反転膜の厚さは、500Åないし2500Åである。
【0026】
前記位相反転膜は、露光光に対して160゜ないし200゜の位相差を持つ。
【0027】
前記露光光は、i線、h線、g線のうちいずれか一つ以上を含み、前記位相反転膜は、前記露光光であるi線、h線、g線に対する位相差偏差が20゜以下であり、透過率が1%ないし30%であり、透過率偏差が10%以下である。
【0028】
また、本発明の実施形態によるFPD製造用フォトマスクは、ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に遮光領域、位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクであり、前記ブラインド領域は、透明基板上に遮光膜パターン及び位相反転膜が積層されて構成され、前記ブラインド領域の透光領域は、前記位相反転膜及び遮光膜パターンが順次にエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、前記メイン領域の透光領域は、透明基板の一部分に残留すると共に、前記透明基板上に積層された遮光膜パターンを包むように、前記透明基板及び前記遮光膜パターン上に積層された位相反転膜がエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、前記遮光膜パターンのエッチング速度は、同じエッチング物質に対して前記位相反転膜のエッチング速度より速い。
【0029】
さらに、本発明の実施形態によるFPD製造用フォトマスクの製造方法は、ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクの製造方法であり、前記ブラインド領域と対応する透明基板上に遮光膜パターンを形成する段階と、前記ブラインド領域の前記遮光膜パターン及び前記メイン領域と対応する透明基板上に、同じエッチング物質に対して前記遮光膜パターンよりエッチング速度の遅い位相反転膜を形成する段階と、前記メイン領域及び前記ブラインド領域の前記透明基板の一部分が露出されるように、前記位相反転膜及び前記遮光膜パターンを順次にエッチングする段階と、を含む。
【0030】
また、本発明の実施形態によるFPD製造用フォトマスクの製造方法は、ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に遮光領域、位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクの製造方法であり、前記ブラインド領域と対応する透明基板及び前記メイン領域と対応する透明基板の一部分上に遮光膜パターンを形成する段階と、前記メイン領域及びブラインド領域の前記遮光膜パターンと前記メイン領域の前記透明基板上に、同じエッチング物質に対して前記遮光膜パターンよりエッチング速度の遅い位相反転膜を形成する段階と、前記メイン領域の前記遮光膜パターンを覆うと共に、前記ブラインド領域及び前記メイン領域の前記透明基板一部分が露出されるように、前記位相反転膜及び前記遮光膜パターンを順次にエッチングする段階と、を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明のブランクマスク及びフォトマスクは、等倍露光装置を利用して、FPDデバイスを製造するに当って、高い解像度を表すことができ、特に、複数の露光光を利用する等倍露光装置に好適である。
【0032】
また、本発明のブランクマスク及びフォトマスクは、従来に考察されていないウェットエッチングに好適な位相反転膜の材料及びフォトマスクの構造、製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来の技術による位相反転フォトマスクの光学的特性を示す図である。
【図2】バイナリーフォトマスクと位相反転フォトマスクとの解像度を比較した図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるブランクマスクの平面図である。
【図4A】本発明の第1実施形態によるブランクマスクの製造方法を説明する断面図である。
【図4B】本発明の第1実施形態によるフォトマスクの製造方法を説明する断面図である。
【図5A】本発明の第2実施形態によるフォトマスク及びその製造方法を説明する断面図である。
【図5B】本発明の第2実施形態によるフォトマスク及びその製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態によるフォトマスク及びその製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。
【0035】
図3は、本発明の第1実施形態によるブランクマスクの平面図である。図3を参照すれば、本発明の実施形態によるブランクマスクは、特に、フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display:以下、FPDという)を製造するために利用されるブランクマスクである。ブランクマスク100は、ブラインド領域50に備えられた遮光膜パターン20aと、メイン領域60の透明基板10及びブラインド領域50の遮光膜パターン20a上に備えられた位相反転膜30とを含む。ここで、ブラインド領域50は、アラインキーなどを含む補助的なパターンが備えられる領域であり、メイン領域60は、メインパターンが備えられる領域でありうる。位相反転膜30は、露光光に対して160゜ないし200゜の位相差を持ち、これは、位相反転膜30を透過する露光光と、透明基板10を透過する露光光との位相差をいう。遮光膜パターン20aと位相反転膜30とは、同じエッチング物質によりエッチングされる物質からなることが望ましい。遮光膜パターン20aと位相反転膜30とは、クロム(Cr)を含む材料で形成されることがさらに望ましい。
【0036】
遮光膜パターン20aと位相反転膜30とを形成する材料としては、クロム(Cr)以外にも、例えば、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、ジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、セレン(Se)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、硫黄(S)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ボロン(B)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、シリコン(Si)、モリブデンシリサイド(MoSi)のうちいずれか一つ以上の物質を含む材料を挙げることができる。
【0037】
FPDは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などを含む。本発明で使われる露光光は、i線、h線、g線のうちいずれか一つ以上を含むことが望ましく、i線、h線、g線のうち2つ以上を含むか、またはいずれも含むこともできる。
【0038】
基板10は、一辺が150mm以上の方形の透明な基板10であり、合成石英ガラス、ソーダライムガラス基板、無アルカリガラス基板、低熱膨脹ガラス基板などを挙げることができる。
【0039】
遮光膜パターン20aと位相反転膜30とは、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうちいずれか一つ以上の物質をさらに含む。
【0040】
位相反転膜30は、i線、h線、g線に対し位相差偏差が40゜以下であることが望ましく、20゜以下であることがさらに望ましい。さらに望ましくは、位相反転膜30のi線、h線、g線に対する位相差偏差は、10゜以下である。位相反転膜30は、i線、h線、g線に対する位相差が180゜に近くなるように形成されることが望ましい。位相差は露光光によって異なるしかないため、露光光に対する位相差偏差を小さくすることが望ましい。i線、h線、g線のうちいかなる露光光に対して位相反転膜30の位相差を180゜とするかは、設計上の問題である。例えば、i線に対する位相反転膜30の位相差を180゜とし、h線、g線に対する位相反転膜30の位相差を180゜±40゜または180゜±20゜または180゜±10゜とするか、またはh線に対する位相反転膜30の位相差を180゜とし、i線、g線に対する位相反転膜30の位相差を180゜±40゜または180゜±20゜または180゜±10゜とするか、またはg線に対する位相反転膜30の位相差を180゜とし、i線、h線に対する位相反転膜30の位相差を180゜±40゜または180゜±20゜または180゜±10゜とする。
【0041】
位相反転膜30は、i線、h線、g線に対する透過率が1%ないし30%であることが望ましく、1%ないし15%であることがさらに望ましい。位相反転膜30の透過率も設計上の問題である。ただし、i線、h線、g線に対する位相反転膜30の透過率偏差が10%以下であることが望ましく、5%以下であることがさらに望ましく、1%以下であることがさらに望ましい。位相反転膜30の透過率も露光光によって異なるしかないため、露光光に対する透過率偏差を小さくすることが望ましい。i線、h線、g線のうちいかなる露光光を中心として透過率を設定するかは、設計上の問題である。例えば、i線に対する位相反転膜30の透過率を6%に要求する場合、h線、g線に対する位相反転膜30の透過率を6%±5%または6%±3%または6%±1%とするか、またはh線に対する位相反転膜30の透過率を6%に要求する場合、i線、g線に対する位相反転膜30の透過率を6%±5%または6%±3%または6%±1%とするか、またはg線に対する位相反転膜30の透過率を6%に要求する場合、i線、h線に対する位相反転膜30の透過率を6%±5%または6%±3%または6%±1%とする。また、例えば、i線に対する位相反転膜30の透過率を8%に要求する場合、h線、g線に対する位相反転膜30の透過率を8%±5%または8%±3%または8%±1%とするか、またはh線に対する位相反転膜30の透過率を8%に要求する場合、i線、g線に対する位相反転膜30の透過率を8%±5%または8%±3%または8%±1%とするか、またはg線に対する位相反転膜30の透過率を8%に要求する場合、i線、h線に対する位相反転膜30の透過率を8%±5%または8%±3%または8%±1%とする。
【0042】
また、位相反転膜30は、i線、h線、g線に対する反射率偏差が10%以下であることが望ましい。
【0043】
遮光膜パターン20aと位相反転膜30とは、ドライエッチング及びウェットエッチング工程でパターニング及び除去でき、エッチング物質として周知のいろいろな材料を使用できる。例えば、遮光膜パターン20aと位相反転膜30とがクロム(Cr)で形成され、ウェットエッチングする場合、硝酸第2セリウムアンモニウムに過塩素酸を加えた材料を挙げることができる。
【0044】
遮光膜パターン20aのエッチング速度は、同じエッチング物質に対して位相反転膜30のエッチング速度と同一またはより速いことが望ましく、遮光膜パターン20aのエッチング速度が位相反転膜30のエッチング速度より速いことがさらに望ましい。遮光膜パターン20aは、露光光を遮光する遮光領域のみに形成されており、位相反転膜30は、遮光領域及びパターン形成領域を含む基板の全領域に形成される。したがって、遮光領域及びパターン形成領域のエッチングをほぼ同時に完了するためには、同じエッチング物質に対して、遮光膜パターン20aのエッチング速度を位相反転膜30のエッチング速度よりも非常に速くすることが望ましい。これに加えて、遮光膜パターン20aの厚さを薄くし、かつ位相反転膜30の厚さを厚くして、遮光領域1のエッチングが完了する時間とパターン形成領域2のエッチングが完了する時間との隔たりを低減させる。
【0045】
具体的には、同じエッチング物質に対して、膜厚さがdの遮光膜パターン20aと膜厚さdの位相反転膜30とを同時にエッチングした時、遮光膜パターン20aのエッチング速度をVとし、位相反転膜30のエッチング速度をVとすれば、d/V≦d/Vの関係を持つことが望ましい。
【0046】
本発明で、遮光膜パターン20aの厚さは1200Å以下であることが望ましく、800Å以下であることがより望ましく、500Å以下であることがさらに望ましい。位相反転膜30の厚さは500Åないし2500Åであることが望ましく、500Åないし1800Åであることがより望ましく、800Åないし1500Åであることがさらに望ましい。
【0047】
遮光膜パターン20aと位相反転膜30とはクロム(Cr)を含む材料で形成されることが望ましく、これに加えて酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうちいずれか一つ以上をさらに含む。遮光膜パターン20aと位相反転膜30とのエッチング速度を低減させるか、または増大させるために、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうちいずれか一つ以上を適当に添加できる。
【0048】
遮光膜パターン20a及び位相反転膜20aは、化学的真空蒸着法、物理的真空蒸着法などにより成膜される。特に、本発明で遮光膜パターン20a及び位相反転膜20aは、不活性ガスと反応性ガスとを注入したチャンバ内で、金属を含むターゲットに電圧を印加してスパッタ法により成膜されることが望ましい。
【0049】
本発明のブランクマスクから遮光膜パターン20a及び位相反転膜30をエッチングして、遮光領域、透光領域及び位相反転領域を持つフォトマスクとして製造される。フォトマスクは、位相反転領域を透過した露光光と、透光領域を透過した露光光との位相差が160゜ないし200゜である。
【0050】
図4Aは、本発明の第1実施形態によるブランクマスクの製造方法を説明するために示した断面図であり、図4Bは、本発明の第1実施形態によるブランクマスクを利用したフォトマスクの製造方法を説明するために示した断面図である。
【0051】
図4Aを参照すれば、透明基板10上に遮光膜20を成膜し、遮光膜20上にフォトレジスト膜25をコーティングする。次いで、フォトレジスト膜25をパターニングしてフォトレジストパターン25aを形成し、フォトレジストパターン25aをエッチングマスクとして遮光膜20をエッチングして、遮光膜パターン20aを形成する。次いで、前記フォトレジストパターン25aを除去し、透明基板10及び遮光膜パターン20a上に位相反転膜30を形成する。最後に、位相反転膜30上にフォトレジスト膜40をコーティングして、ブラインド領域50に遮光膜パターン20aが備えられ、メイン領域60の透明基板10上に位相反転膜30が備えられたブランクマスク100の製造を完了する。
【0052】
図4Bを参照すれば、前述したブランクマスクのフォトレジスト膜40をパターニングしてフォトレジストパターン40aを形成し、フォトレジストパターン40aをエッチングマスクとして、ブラインド領域50及びメイン領域60に備えられた位相反転膜30及び遮光膜パターン20aを順次にエッチングする。次いで、前記フォトレジストパターン40aを除去すれば、遮光領域102、透光領域104及び位相反転領域106を持つ最終フォトマスク200として製造される。したがって、フォトマスク200のブラインド領域50には、位相反転膜30及び遮光膜パターン20aが順次にエッチングされて露出された透明基板10領域を含む透光領域104と遮光領域102とが備えられる。また、メイン領域60には、位相反転膜30がエッチングされて露出された透明基板10領域を含む透光領域104及び位相反転領域106が備えられる。この時、ブラインド領域50の遮光膜パターン20aの側面には位相反転膜パターン30aが残留し、前記位相反転膜パターン30aにより遮光膜パターン30a側面の解像度が増大する。
【0053】
図5A及び図5Bは、本発明の第2実施形態によるフォトマスク及びその製造方法を説明する断面図である。
【0054】
図5A及び図5Bを参照すれば、本発明の実施形態によるフォトマスク300は、ブラインド領域50及びメイン領域60を含むリムタイプ、すなわち、リム位相転移マスク(Rim
PSM)である。フォトマスク300は、ブラインド領域50及びメイン領域60に遮光膜パターン20aが備えられ、透明基板10及び遮光膜パターン20a上に位相反転膜30が備えられたブランクマスク300aをパターニングして形成する。前記パターニングは前述した図4Bと同様に、遮光領域、透光領域及び位相反転領域を露出させるマスクパターンを形成してエッチングする方法で行う。フォトマスク300のブラインド領域50には、位相反転膜30及び遮光膜パターン20aが順次にエッチングされて露出された透明基板10領域を含む透光領域104と遮光領域102とが備えられる。また、メイン領域60には遮光膜パターン20aを包むように位相反転膜30がエッチングされて、すなわち、パターニングされて露出された透明基板10領域と位相反転領域106とが備えられる。この時、メイン領域60の遮光膜パターン20a側面に配置される位相反転膜パターン30aによりリムタイプの位相転移マスクが具現され、前記位相反転膜パターン30aにより解像度が増大する。さらに、ブラインド領域50の遮光膜パターン20a側面には位相反転膜パターン30aが残留し、前記位相反転膜パターン30aにより解像度が増大する。
【0055】
図6は、本発明の第3実施形態によるフォトマスク及びその製造方法を説明する断面図である。図6を参照すれば、本発明の実施形態によるフォトマスク400はブラインド領域50及びメイン領域60を含み、メイン領域60の一部分がリムタイプに具現される。すなわち、フォトマスク400は、前述した図4B及び図5Bのフォトマスク200、300を取り合わせた形態で、メイン領域60の一部分パターンが透明基板10上に前述したリムタイプのパターンを持ち、残りは、位相反転膜パターン30aが備えられる。したがって、フォトマスク400のブラインド領域50には、位相反転膜30及び遮光膜パターン20aが順次にエッチングされて露出された透明基板10領域を含む透光領域104と遮光領域102とが備えられる。また、メイン領域60には、遮光膜パターン20aを包むように位相反転膜30がエッチングされて、すなわち、パターニングされて露出された透明基板10領域と、位相反転膜パターン30aを含む位相反転領域106とが備えられる。この時、メイン領域60の遮光膜パターン20a側面と、ブラインド領域50の遮光膜パターン20a側面とには位相反転膜パターン30aが残留し、前記位相反転膜パターン30aにより解像度が増大する。
【0056】
以上、本発明を最も望ましい実施形態を利用して説明したが、本発明の技術的範囲は、前記実施形態に記載された範囲に限定されるものではない。前記実施形態に多様な変更または改良を加えられるということは当業者に明らかである。かかる変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれるということは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ブランクマスク及びフォトマスク関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0058】
10 基板
20 遮光膜
30 位相反転膜
25、40 フォトレジスト膜
102 遮光領域
104 透光領域
106 位相反転領域
100、300a ブランクマスク
200、300、400 フォトマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に位相反転領域及び透光領域が備えられたフラットパネルディスプレイ(FPD)製造用フォトマスクであり、
前記ブラインド領域は、透明基板上に遮光膜パターン及び位相反転膜が積層されて構成され、前記ブラインド領域の透光領域は、前記位相反転膜及び遮光膜パターンが順次にエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、
前記メイン領域の透光領域は、透明基板上に積層された位相反転膜がエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、
前記遮光膜パターンのエッチング速度は、同じエッチング物質に対して前記位相反転膜のエッチング速度より速いことを特徴とするフォトマスク。
【請求項2】
ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に遮光領域、位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクであり、
前記ブラインド領域は、透明基板上に遮光膜パターン及び位相反転膜が積層されて構成され、前記ブラインド領域の透光領域は、前記位相反転膜及び遮光膜パターンが順次にエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、
前記メイン領域の透光領域は、透明基板上に積層された遮光膜パターンを包むように、前記透明基板及び前記遮光膜パターン上に積層された位相反転膜がエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、
前記遮光膜パターンのエッチング速度は、同じエッチング物質に対して前記位相反転膜のエッチング速度より速いことを特徴とするフォトマスク。
【請求項3】
ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に遮光領域、位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクであり、
前記ブラインド領域は、透明基板上に遮光膜パターン及び位相反転膜が積層されて構成され、前記ブラインド領域の透光領域は、前記位相反転膜及び遮光膜パターンが順次にエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、
前記メイン領域の透光領域は、透明基板の一部分に残留すると共に、前記透明基板上に積層された遮光膜パターンを包むように、前記透明基板及び前記遮光膜パターン上に積層された位相反転膜がエッチングされて露出された前記透明基板領域を含み、
前記遮光膜パターンのエッチング速度は、同じエッチング物質に対して前記位相反転膜のエッチング速度より速いことを特徴とするフォトマスク。
【請求項4】
前記ブラインド領域とメイン領域との境界に配置された前記遮光膜パターンの側面に、前記位相反転膜がエッチングされて形成された位相反転膜パターンが配置されたことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載のフォトマスク。
【請求項5】
前記遮光膜パターン及び前記位相反転膜は、それぞれの厚さd及びdと同じエッチング物質に対するエッチング速度V及びVに対して、d/V≦d/Vの関係を持つことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載のフォトマスク。
【請求項6】
前記遮光膜パターン及び前記位相反転膜は、クロム(Cr)を含むことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載のフォトマスク。
【請求項7】
前記位相反転膜は、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうち一つ以上の物質をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載のフォトマスク。
【請求項8】
前記遮光膜パターンの厚さは、1200Å以下であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載のフォトマスク。
【請求項9】
前記位相反転膜の厚さは、500Åないし2500Åであることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載のフォトマスク。
【請求項10】
前記位相反転膜は、露光光に対して160゜ないし200゜の位相差を持つことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載のフォトマスク。
【請求項11】
前記露光光は、i線、h線、g線のうちいずれか一つ以上を含み、前記位相反転膜は、前記露光光であるi線、h線、g線に対する位相差偏差が20゜以下であり、透過率が1%ないし30%であり、透過率偏差が10%以下であることを特徴とする請求項10に記載のフォトマスク。
【請求項12】
ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクの製造方法であり、
前記ブラインド領域と対応する透明基板上に遮光膜パターンを形成する段階と、
前記ブラインド領域の前記遮光膜パターン及び前記メイン領域と対応する透明基板上に、同じエッチング物質に対して前記遮光膜パターンよりエッチング速度の遅い位相反転膜を形成する段階と、
前記メイン領域及び前記ブラインド領域の前記透明基板の一部分が露出されるように、前記位相反転膜及び前記遮光膜パターンを順次にエッチングする段階と、
を含むフォトマスクの製造方法。
【請求項13】
ブラインド領域に遮光領域及び透光領域が備えられ、メイン領域に遮光領域、位相反転領域及び透光領域が備えられたFPD製造用フォトマスクの製造方法であり、
前記ブラインド領域と対応する透明基板及び前記メイン領域と対応する透明基板の一部分上に遮光膜パターンを形成する段階と、
前記メイン領域及びブラインド領域の前記遮光膜パターンと前記メイン領域の前記透明基板上に、同じエッチング物質に対して前記遮光膜パターンよりエッチング速度の遅い位相反転膜を形成する段階と、
前記メイン領域の前記遮光膜パターンを覆うと共に、前記ブラインド領域及び前記メイン領域の前記透明基板一部分が露出されるように、前記位相反転膜及び前記遮光膜パターンを順次にエッチングする段階と、
を含むフォトマスクの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−230379(P2012−230379A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95619(P2012−95619)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【出願人】(510184759)株式会社エスアンドエス テック (4)
【Fターム(参考)】