説明

ブリスター包装

【課題】電球を取り出し易く、かつ落下させ難いブリスター包装を提供する。
【解決手段】
台紙102とカバー101とからなり、電球を包装するブリスター包装1において、台紙102の表面に切り溝102bを設け、更にミシン目102dを設ける。カバー101は台紙102の表側に熱溶着される。電球を収納するために設けられたカバー101の膨出部は、バルブを収納すべき部分から口金を収納すべき部分に近づくにつれて縮径し、バルブが口金側へ滑り出るのを防ぐ。台紙102のミシン目102dの間隔は電球のバルブ径よりも大きくなっている。また、切り溝102bの間隔は前記電球のバルブ径よりも小さく、かつ、前記電球の口金径よりも大きくなっており、開封時に電球が落下しないよう支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装された電球を落下させることなく容易に取り出せるブリスター包装に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電球の包装は、販売を目的とする商業包装の場合、商品の見栄えを重んじてクリア包装が採用され、例えば、高級品にはクラムシェル包装が用いられ、普及品はビニール袋に包装される。
【0003】
しかしながら、クラムシェル包装やビニール袋を用いると、包装から電球を取り出す際に、電球を取り落として破損させてしまうおそれがある。このような問題はガラス製品全般において認識されており、例えば、アンプルを包装から取り出す際に落下し難くする工夫として、例えば、次のようなものが知られている。
【0004】
すなわち、包装からアンプルを取り出す際に、アンプルの底部をカバーに把持させることによって落下を防止するブリスター包装である(特許文献1を参照)。
【特許文献1】実開昭55−156085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術に係るブリスター包装においては、アンプルを取り出す際に、アンプルをブリスター包装の外部へ起こすと同時にアンプルの底部をカバーに把持させた後、把持させたアンプルの底部をカバーから引き出すという複雑な取扱いが必要になり、取扱いを誤るとアンプルをブリスター包装の外部へ起こすことすらできない、という問題がある。
【0006】
また、アンプルと電球とでは商品の形状が異なっているため、上記従来技術をそのまま電球用途に適用することはできない。
【0007】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、電球を取り出し易く、かつ落下させ難いブリスター包装を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るブリスター包装は、電球を包装するブリスター包装であって、両面に開封ガイドを有する台紙と、台紙の表側に取着されるカバーと、を備え、前記台紙の表側に設けられた開封ガイドの間隔は前記バルブ径よりも小さく、かつ、前記電球の口金径よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このようにすれば、切り溝とミシン目とに従ってブリスター包装を開封しても、電球のバルブ部分が台紙に支持されるので、電球が落下して破損するのを防ぐことができる。
【0010】
また、前記開封ガイドはミシン目と切り溝とであって、前記ミシン目の間隔は前記電球のバルブに向き合う位置において当該バルブ径よりも大きく、前記台紙の表側に設けられた切り溝はミシン目に囲繞されていることを特徴とする。台紙の裏側に設けられた切り溝の間隔がバルブ径よりも大きく、電球を取り出す際には台紙の表側だけを押し破れば良いので、電球を容易に取り出すことができる。
【0011】
この場合において、前記ミシン目の間隔が、前記切り溝の間隔よりも0.5mm以上で6.0mm以下だけ広ければ好適である。
【0012】
また、前記切り溝が台紙の端部に達しており、当該端部が開け口となっていれば、電球を更に容易に取り出させることができる。
【0013】
また、前記台紙がコートボール紙からなるとすれば、ブリスター包装を容易に開封することができる。
【0014】
また、前記カバーが、前記ミシン目と前記切り溝とに沿って前記台紙を開封した状態で、前記電球のバルブを前記台紙にて支持しながら、前記電球の口金をブリスター包装の外へ取り出せるように、前記バルブを回転させる空間を有するとすれば、口金の自重でバルブを回転させてブリスター包装から口金が出るので、電球を容易に取り出させることができる。
【0015】
また、前記カバーは、前記電球に当接するように台紙側に突出する緩衝部が設けられていることを特徴とする。このようにすれば、電球が外部からの衝撃によって破損するのを防止することができる。
【0016】
また、前記電球を包装した状態で前記台紙の端部を下にしてブリスター包装が正立するように、前記カバーの前記端部に近い部分が、前記台紙から離れるように突出するスタンド部となっているとしても良いし、或いは、前記台紙の前記端部とは反対側の端部に近い箇所に吊り下げ穴が設けられているとしても良い。このようにすれば、ブリスター包装された電球を店頭販売する際に見栄え良く陳列することができる。
【0017】
また、本発明に係るブリスター包装は、前記開封ガイドが、台紙の主面に斜交して貫通するように形成されたミシン目であって、前記台紙の裏側におけるミシン目の間隔は前記電球のバルブに向き合う位置において当該バルブ径よりも大きく、表側におけるミシン目は裏側におけるミシン目に囲繞されていることを特徴とする。このようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るブリスター包装の実施の形態について、ミニクリプトン電球のブリスター包装を例にとり、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[1]第1の実施の形態
本実施の形態に係るブリスター包装は、E17口金を備えた100V54Wのミニクリプトン電球を1本だけ包装する。
【0020】
(1)ブリスター包装の形状
先ず、本実施の形態に係るブリスター包装の形状について説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係るブリスター包装の形状を示す図であって、正面図、左側面図、平面図、右側面図、背面図、断面図及び後面図が含まれている。また、図2は、本実施の形態に係るブリスター包装の使用状態を示す図であって、左側面図と平面図が含まれている。
【0022】
図1に示されるように、ブリスター包装1はカバー101が台紙102に熱溶着されてなる。台紙102は250g/m〜400g/mのコートボール紙製である。また、カバー101はPET(Polyethylene terephthalate)製で、膨出部、括れ部及びスタンド部101bの3つの部分からなっている。
【0023】
図2に示されるように、カバー101の膨出部には電球201のバルブ部分が格納される。カバー101の膨出部には放射状に配置された溝状の緩衝部101aが3つ設けられている。緩衝部101aは台紙102側に突出することによって電球201のバルブ部分に当接しており、当該バルブ部分が外部からの衝撃によって破損しないように保護する緩衝材として機能する。また、台紙102の当該膨出部に対向する位置にも当該バルブ部分が当接する。
【0024】
カバー101の括れ部には電球201のバルブ部分の口金に近い箇所が当接する。カバー101のスタンド部101bには電球201の口金部分が格納され、台紙102のスタンド部101bに対向する位置に当該口金部分が当接する。このようにブリスター包装1と電球201が当接することによって、ブリスター包装1中に電球201ががたつかないように格納される。
【0025】
また、スタンド部101bは電球201を包装した状態でブリスター包装1を正立させる。ブリスター包装1はカバー101の重みにより台紙102についてカバー101側に重心がある。このため、ブリスター包装1を正立させると台紙102の底辺とスタンド部101bの下部とによってブリスター包装1が支持される。
【0026】
なお、スタンド部101bの下部中央にはスタンド部101bの左右を分ける溝部が設けられている。また、カバー101はスタンド部101bの下部において厚みが小さくなるよう成形されているので、ブリスター包装1を正立させた状態においては、ブリスター包装1の自重と電球201の重みによりスタンド部101bの溝部を挟む畝部分が適度に変形する。これによって、ブリスター包装1のがたつきが防止され、安定した正立が実現される。
【0027】
また、言うまでもなく、ブリスター包装1を正立させると、電球201を格納したブリスター包装1の重心から鉛直に垂下した直線が台紙102の接地辺とスタンド部101bの接地箇所とに囲繞される領域を通る。
【0028】
台紙102には吊り下げ用の穴102aが設けられている。穴102aの水平方向ほぼ中央にはY方向に向かって切り欠き102cがあり、この切り欠き102c部分に、例えば、支持棒や鉤を通すことによってブリスター包装1が懸垂される。
【0029】
また、台紙102の表面には、台紙102の長手方向について穴102aとは反対側の端縁に設けられた切り込みから中央へ向かって延びる切り溝102bが設けられている。この切り溝102bは、裏面に貫通しない所謂ハーフカットの切り溝である。また、台紙102には表面から裏面まで貫通するミシン目102dが設けられている。この切り溝102bとミシン目102dとに沿ってブリスター包装1を開封することによって電球201が取り出される。
【0030】
(2)カバー101の形状
図3は、カバー101の形状を示す図であって、正面図、左側面図、平面図、右側面図、背面図、断面図及び後面図が含まれている。また、図4は、カバー101の使用状態を示す図であって、左側面図と平面図が含まれている。
【0031】
カバー101の周縁には鍔部分が設けられており、この鍔部分を台紙102に、例えば、熱溶着することによって、カバー101が台紙102に固定される。また、カバー101は、例えば、PETフィルムを加熱し、絞り出すことによって成形される。
【0032】
カバー101において電球201のバルブを収納する部分は台紙102から離れるように膨出しているが、この膨出は電球201の口金を収納する部分に近づくにつれて小さくなり、バルブ径よりも小さくなる。このため、電球201のバルブが口金方向へ滑り出るのが防がれる。
【0033】
(3)台紙102の形状
図5は、台紙102の形状を示す図であって、表面図と裏面図とが含まれている。台紙102の表面にはカバー101が熱溶着される。また、切り溝102bとミシン目102dとに沿って台紙102の一部を切り裂き、裏面側に引き上げると、台紙102に開口ができる。この開口から電球201が取り出される。
【0034】
図6に示されるように、台紙102に設けられる切り溝102bとミシン目102dとは幅が異なっており、切り溝102bとミシン目102dとに沿って台紙102を切り裂くと、得られる開口の周囲(切り溝102bとミシン目102dに挟まれた領域)には裏面が剥がされ表面が残された帯状の部分ができる。
【0035】
表面の開口は電球201の口金付近での幅aが20mm、バルブ付近での幅bが30mmとなっており、裏面の開口は電球201の口金付近での幅cが25mm、バルブ付近での幅dが36mmとなっている。
【0036】
図7は、電球201の外径寸法を示す図である。図5に示されるように、台紙102の口金付近は表面102Aの開口幅aも裏面102Bの開口幅cも電球201の口金径よりも大きい。一方、電球201のバルブ径は35mmであり、台紙102の表面102Aの開口幅bは30mmなので当該バルブ径よりも小さく、裏面102Bの開口幅dは36mmなので当該バルブ径よりも大きくなっている。このため、切り溝102bとミシン目102dとに沿って台紙102を切り裂いて開口を設けると、電球201の口金は開口を通って出ることができるが、バルブは表面102Aに引っ掛かる。
【0037】
台紙102の裏面102Bを鉛直方向下側に向けると、バルブが台紙102に引っ掛かったまま口金が自重によってブリスター包装1から出てくる。この自重によって出てきた口金を引くと、バルブそのもので台紙102の開口を押し広げつつ、電球201をブリスター包装1から取り出すことができる。
【0038】
この場合において、台紙102の開口の周囲にある帯状の部分は幅eが3mmあり(図6を参照)、かつ、台紙の他の部分と比較して厚みが小さくなっている。このため、電球201の自重のみによってバルブを取り出すことはできないものの、人手によれば大した労を要さずバルブを取り出すことができる。なお、口金付近においては表裏を問わず開口幅a、cがバルブの最大径よりも小さいので、こちらから電球201の自重によってバルブが出てくるおそれはない。
【0039】
図8は、ブリスター包装1が開封される前後の電球201の状態を示す側面図であって、(a)はブリスター包装1が開封される前の状態を、また、(b)はブリスター包装1が開封された後の状態を示す。図8に示されるように、ブリスター包装1が開封されると、電球201の口金が自重によってブリスター包装1から出てくる。
【0040】
一方、電球201のバルブは台紙201の開口幅a〜dよりも大径なので、台紙201に支えて出てこない。このため、電球201は、ブリスター包装1の開封時における不測の落下を免れる。また、上述のように、口金を摘んで引っ張ることによって、電球201をブリスター包装1から容易に取り出すことができる。
【0041】
以上説明したように、本実施に係るブリスター包装1によれば、電球を容易に取り出させることができ、かつ落下させ難くくすることができる。
【0042】
[2]第2の実施の形態
本実施の形態に係るブリスター包装はE17口金を備えたミニクリプトン電球を2本まとめて包装する。以下、第1の実施の形態に係るブリスター包装との相違点に専ら着目して説明する。
【0043】
(1)ブリスター包装の形状
先ず、本実施の形態に係るブリスター包装の形状について説明する。
【0044】
図9は、本実施の形態に係るブリスター包装の形状を示す図であって、正面図、左側面図、平面図、右側面図、背面図、断面図及び後面図が含まれている。また、図10は、本実施の形態に係るブリスター包装の使用状態を示す図であって、左側面図と平面図が含まれている。
【0045】
図10に示されるように、ブリスター包装9には互いに逆向きとなるように並べられた電球1001、1002が格納される。カバー901には、電球1001、1002のバルブ部分を格納するために膨出部が2箇所設けられており、電球1001、1002の破損を防止するために溝状の緩衝部901aをそれぞれ3つ有している。
【0046】
緩衝部901aは何れも台紙側に凸な形状となっており、電球のバルブ部分に当接する。
【0047】
(2)カバー901の形状
図11は、カバー901の形状を示す図であって、正面図、左側面図、平面図、右側面図、背面図、断面図及び後面図が含まれている。また、図12は、カバー901の使用状態を示す図であって、左側面図と平面図が含まれている。
【0048】
カバー901は2つの電球1001、1002を格納する都合上、電球1002のバルブ部分を格納する膨出部はその一部がスタンド部901bと一体になっている。
【0049】
(3)台紙902の形状
図13は、台紙902の形状を示す図であって、表面図と裏面図とが含まれている。なお、図13において、一点鎖線1303は、表面と裏面との対応する位置を示している。
【0050】
台紙902についても、切り溝902bとミシン目902dとに沿って一部を切り裂いて、裏面側に引き上げると開口ができ、この開口から電球を取り出す点では、第1の実施の形態に係る台紙102と同様である。
【0051】
しかしながら、ブリスター包装9に包装されている2つの電球のうち、一方だけを取り出し、もう一方は包装したまま保管したい場合を想定すると、2つの電球を個別に取り出せるようにするのが望ましい。
【0052】
この要請に応えて、電球を1つずつ取り出させるために、台紙902は図13に示されるような切り溝902bとミシン目902dとが設けられている。すなわち、先ず、開け口1301を摘まんで、切り溝902bとミシン目902dとに沿ってブリスター包装9を開封すると、電球1002を落下させることなく、簡単に取り出すことができる。
【0053】
しかしながら、ブリスター包装9から電球1002を取り出しても、電球1001はカバー901と台紙902に挟まれて、ブリスター包装9の内部に保持される。続いて、開け口1302を摘まんで、切り溝902bとミシン目902dとに沿ってブリスター包装9を更に左側へ開封すると、今度は電球1001を落下させることなく、簡単に取り出すことができる。
【0054】
なお、電球1002だけを取り出した状態では、開け口1302から開封される台紙902部分によって、電球1001はブリスター包装9の内部に安定的に保持される。また、開け口1031から開封され台紙902部分を電球1002が格納されていた箇所に押し込めば、切り溝902bとミシン目902dとの幅が異なるので、台紙902の開口を塞ぐことができる。このようにすれば、電球1001をそのまま保管すれば、埃等が付着することによって電球1001が汚損するのを防ぐことができる。
【0055】
[3]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0056】
(1) 上記実施の形態においては専らE17口金を備えたミニクリプトン電球を包装するブリスター包装について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、管軸方向に沿って径が変化する電球であれば本発明を適用することができる。
【0057】
すなわち、台紙の開口径が電球の最小径部分よりも大径とし、かつ、電球の最大径部分よりも小径とすれば、電球の最大径部分が台紙の開口を通過することができず、台紙によって支持されるので、落下を防止することができる。
【0058】
この場合において、台紙に設けるミシン目の間隔を電球の最大径部分よりも大径とし、表面側に設ける切り溝の間隔を電球の最大径部分よりも小径とすれば、より少ない力でブリスター包装から電球を取り出すことができる。
【0059】
また、カバーの形状を台紙がバルブに当接する箇所を支点として電球を回動できるようにすれば、ブリスター包装を開封するだけで口金が自重で落下するので、ブリスター包装から電球を容易に取り出すことができる。
【0060】
図14及び図15は、他の形状の電球と台紙の表面側に設ける切り溝との位置関係を示す図である。図14及び図15に示される切り溝による開口は、電球の最大径部よりも小径となっているので、当該最大径部が開口を通過せず、台紙にて支持される。
【0061】
図16は、バルブ部分の管軸に直交する断面が矩形である電球の外観斜視図である。図17は、図16に示される電球を包装したブリスター包装を示す図であって、正面図、左側面図、平面図、右側面図、背面図、断面図及び後面図が含まれている。
【0062】
図17に示されるように、ブリスター包装17はカバー1701と台紙1702とからなっている。カバー1701は包装すべき電球1703のバルブ部分に沿う四角柱状部分1701bを備え、当該四角柱状部分1701bに電球1703が包装される。また、当該四角柱状部分1701bの上面には内側に凸な緩衝部1701aが設けられており、電球1703を外部から加わる衝撃による破損から保護する。
【0063】
台紙1702にはミシン目1702aが設けられており、ミシン目1702aと台紙1702の表面に設けられた切り溝(不図示)とを裂くと開口ができる。この開口は、その幅が電球1703の平面視における対角方向の径1701Wよりも小さくなっており、電球1703が落下しないように支持する。
【0064】
この場合において、カバー1701の四角柱部分1701bが電球1703のバルブ部分に沿う形状となっている。これによって、電球1703が管軸を中心に回転して、前記開口から落下するのが防止される。
【0065】
(2) 上記実施の形態においては専らE17口金を備えたミニクリプトン電球を包装するブリスター包装について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、ミニクリプトン電球の他の白熱電球を包装しても良いし、ハロゲン電球や電球形蛍光ランプ等、白熱電球以外のランプを包装しても良い。また、口金もE17口金に限定されないのは言うまでもなく、他の口金を備えるランプを包装しても良い。
【0066】
(3) 上記実施の形態においては、カバーに緩衝部を設けて電球を保護する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしても良い。
【0067】
図18は、本変形例に係るカバーにて電球を包装した状態を示す図であって、左側面図とA−A断面図とが含まれている。なお、A−A断面図は左側面図に示した線A−Aを含む台紙に平行な平面にてカバーを切った断面を示す。
【0068】
A−A断面図に示されるように、カバー1801には3箇所に穴1801aが設けられており、何れの穴もその周囲に電球1803側に折り込まれた縁部を有している。電球1803はこの縁部に支持されることによって保護される。
【0069】
(4) 上記実施の形態においては特に言及しなかったが、ブリスター包装に電球を封入する際、ブリスターカバーを積み重ねて(スタッキング)、用意する方が組み立てに便利である場合がある。そのような場合、どのブリスターカバーもまったく同じ形状であると、ブリスターカバーどうしが嵌まり込んで外し難くなり作業効率や歩留まりが低下するおそれがある。
【0070】
このような問題に対して、カバーに台紙から所定の高さを有する段部を設けると共に、段部の位置が異なる複数のカバーを用いれば良い。このようにすれば、段部の位置が異なるカバーを積み重ねると、1のカバーの段部がその直ぐ上に積み重ねられたカバーに当接するので、カバーどうしが嵌まり込むのを避けることができる。
【0071】
図19は、段部を設けたカバーを示す平面図である。図19に示されるように、各カバー1901に3箇所ずつ段部1901aを設ければ少ない数の段部1901aでカバー1901どうしの嵌まり込みを避けることができる。
【0072】
(5) 上記実施の形態においては特に詳述しなかったが、台紙の表面と裏面との間の開口径の差は、切り溝やミシン目の加工精度を考慮すれば、0.5mm以上で6.0mm以下の範囲内にあれば良い。また、開口の両側に対称に切り溝やミシン目を設ける場合には何れも0.5mm以上で3.0mm以下の範囲内とするのが望ましい。このようにすれば、電球の落下を防止しつつ、電球を取出し易くすることができる。
【0073】
(6) 上記実施の形態においては、溝状の緩衝部をカバーに設けて電球を保護する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて他の形状の緩衝部を設けても良い。
【0074】
図20は、本変形例に係るカバーを示す平面図である。カバーに設ける緩衝部は全体として一体であっても良いし(図20(a))、ゴルフボールのディンプルのように丸型の窪みを多数設けても良い(図20(b))。また、平行な溝を複数も受けても同様の緩衝効果を得ることができる(図20(c))。
【0075】
(7) 上記実施の形態においては、台紙に設けた切り溝の間隔がバルブ付近では大きく、口金付近では小さい場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしても良い。
【0076】
すなわち、バルブ径が口金径よりも大きい場合には、ブリスター包装のカバーの膨出をバルブ付近で大きく、口金付近ではバルブが入らない程度に小さくすれば、切り溝の間隔を口金付近でバルブ径よりも大きくしても、カバーと台紙とでバルブを挟んで、電球の落下を防ぐことができる。
【0077】
また、このような構成を採れば、口金付近で切り溝の間隔が大きくなるので、電球を更に取り出し易くすることができる。
【0078】
(8) 本明細書に添付の図面においては、連続的な切り溝が破線にて表わされているが、本発明の切り溝が連続的な切り溝に限定されないのは言うまでもなく、断続的な切り溝であっても良い。ただし、連続する切り溝を用いれば、特に容易にブリスター包装を開封させることができる。
【0079】
(9) 上記実施の形態においては、ブリスターカバーを台紙に熱溶着する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて他の方法でブリスターカバーを台紙に取着しても良い。
【0080】
例えば、何らかの接着剤を用いてブリスターカバーを台紙に接着しても良いし、ブリスターカバーの縁を折り畳み、この折り畳み部分に台紙を嵌め込んでも良い。ブリスターカバーを台紙に取着する方法の如何に関わらず本発明の効果を得ることができる。
【0081】
(10) 上記第1の実施の形態においては、ブリスター包装を正立させる際に、台紙102の底辺とスタンド部101bの下部とによってブリスター包装1が支持されるとしたが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、スタンド部のみでブリスター包装を支持しても良いし、台紙の底辺以外の部分を用いてブリスター包装を支持しても良い。ブリスター包装を支持する方法の如何に関わらず本発明の効果を得ることができる。
【0082】
(11) 上記実施の形態においては、台紙の材料としてコートボール紙を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、コートボール紙以外の紙を用いても良い。また、紙に代えてPET等の樹脂材料からなる2層構造のシートを用いても本発明の効果を得ることができる。
【0083】
なお、2層構造のシートの電球に接する表側の摩擦係数を小さくすれば、電球を取出し易くすることができる。また、2層構造のシートの裏側に丈夫な材料を用いれば、電球の破損を防止することができる。
【0084】
(12) 上記実施の形態においては、台紙に250g/m〜400g/mのコートボール紙を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、500g/m以下のコートボール紙であれば、これを台紙として用いて本発明の効果を得ることができる。
【0085】
(13) 上記実施の形態においては、切り溝とミシン目とを組み合わせることによって台紙を開封させる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしても良い。
【0086】
すなわち、台紙の主面に対して斜めに貫通するミシン目を用いて台紙を開封させても良い。図21は、本変形例に係る台紙の断面を例示する図である。図21に示されるように、台紙2101にはミシン目2102が設けられている。ミシン目2102は台紙2101の主面に対して斜めに貫通しているので、台紙2101の表面ではミシン目2102の間隔が30mmとなり、裏面では36mmとなっている。
【0087】
このようにすれば、ミシン目2102に沿って台紙2101を容易に開封することができる。また、開封後に台紙2101の表側が薄く削がれて残って、台紙2101の開口幅が電球のバルブ径よりも狭く、口金径よりも広いので、電球の落下を防止することができる。
【0088】
なお、上記においては台紙の主面に対して斜めに貫通するミシン目を開封ガイドとする場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、台紙の主面に対して斜めに設けられた切り溝を開封ガイドとしても良いし、台紙の主面に垂直に貫通するミシン目を開封ガイドとしても良い。
【0089】
台紙の主面に対して斜めに設けられた切り溝であっても、また、台紙の主面に垂直に貫通するミシン目であっても、開封ガイドの間隔を前記バルブ径よりも小さく、かつ、前記電球の口金径よりも大きくすることによって、本発明の効果を得ることができる。
【0090】
(14) 上記第1の実施の形態においては特に言及しなかったが、ミシン目102dは以下のように形成されるのが望ましい。
【0091】
図22は、切り溝102bとミシン目102dとの拡大図である。図22に示されるように、台紙102には切り込み2201が形成されている。切り込み2201は言うまでもなく台紙102の表裏に貫通しており、その延長上に切り溝102bが設けられている。そして、円2202内において、ミシン目102dを構成する貫通孔は切り込み2201に連結している。
【0092】
このようにすれば、台紙102を開封する際に、切り溝102bとミシン目102dとの両方に沿って、円滑に台紙を破らせることができる。
【0093】
(15) 上記第2の実施の形態においては特に言及しなかったが、ミシン目902dとミシン目902fとは以下のように形成されるのが望ましい。
【0094】
図23は、ミシン目902dとミシン目902fとの拡大図である。図23に示されるように、円2301内においてミシン目902fを構成する貫通孔は、ミシン目902dを構成する貫通孔に連結していない。このようにすれば、1つ目の電球を取り出すために台紙902を開封する際に、ミシン目902fに沿って台紙902が開封されるのを防ぐことができる。
【0095】
一方、円2302内のように、ミシン目902fを構成する貫通孔とミシン目902dを構成する貫通孔とが連結していると、ミシン目902dに沿って台紙902を開封しようとする際に、誤ってミシン目902fに沿って台紙902が開封されるおそれがある。
【0096】
このため、ミシン目902d、902fは円2301内に示されるように形成されるのが望ましい。
【0097】
(16) 上記実施の形態においては、ブリスター包装を構成するカバーの材料としてPETを挙げたが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、PETに代えて他の材料を用いても良い。
【0098】
なお、商品の見栄えを考慮すれば、透明な材料を用いるのが望ましく、例えば、生分解性プラスチックを用いれば良い。生分解性プラスチックは、微生物などによって分解され、水と二酸化炭素とにまで分解するので、自然環境への負担が小さい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明に係るブリスター包装は、包装した電球を落下させることなく容易に取り出せるブリスター包装として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るブリスター包装1の形状を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るブリスター包装1の使用状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るカバー101の形状を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るカバー101の使用状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る台紙102の形状を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る台紙102を開封した状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る電球201の外径寸法を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るブリスター包装1が開封される前後の電球201の状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るブリスター包装9の形状を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るブリスター包装9の使用状態を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るカバー901の形状を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るカバー901の使用状態を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る台紙902の形状を示す図である。
【図14】本発明の変形例(1)に係る電球と台紙の表面側に設ける切り溝との位置関係を示す図である。
【図15】本発明の変形例(1)に係る電球と台紙の表面側に設ける切り溝との位置関係を示す図である。
【図16】本発明の変形例(1)に係る電球であって、バルブ部分の管軸に直交する断面が矩形である電球の外観斜視図である。
【図17】本発明の変形例(1)に係る電球であって、バルブ部分の管軸に直交する断面が矩形である電球を包装したブリスター包装を示す図である。
【図18】本発明の変形例(3)に係るカバーにて電球を包装した状態を示す図である。
【図19】本発明の変形例(4)に係るカバーであって、段部を設けたカバーを示す平面図並びに側面図である。
【図20】本発明の変形例(6)に係るカバーを示す平面図である。
【図21】本発明の変形例(13)に係る台紙の断面を例示する図である。
【図22】本発明の変形例(14)に係る切り溝102bとミシン目102dとの拡大図である。
【図23】本発明の変形例(15)に係るミシン目902dとミシン目902fとの拡大図である。
【符号の説明】
【0101】
1、9、17………………………………………………ブリスター包装
101、901、1701、1801、1901……カバー
101a、901a………………………………………溝部
101b、901b………………………………………スタンド部
102、1702…………………………………………台紙
102a……………………………………………………吊り下げ用の穴
102A……………………………………………………表面
102B……………………………………………………裏面
201、1001、1002、1703、1803…電球
1301……………………………………………………開け口
1702a…………………………………………………切り溝
1702b…………………………………………………四角柱状部分
1801a…………………………………………………穴
1901a…………………………………………………段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電球を包装するブリスター包装であって、
両面に開封ガイドを有する台紙と、
台紙の表側に取着されるカバーと、を備え、
前記台紙の表側に設けられた開封ガイドの間隔は前記バルブ径よりも小さく、かつ、前記電球の口金径よりも大きい
ことを特徴とするブリスター包装。
【請求項2】
前記開封ガイドはミシン目と切り溝とであって、
前記ミシン目の間隔は前記電球のバルブに向き合う位置において当該バルブ径よりも大きく、
前記台紙の表側に設けられた切り溝はミシン目に囲繞されている
ことを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項3】
前記ミシン目の間隔は、前記切り溝の間隔よりも0.5mm以上で6.0mm以下だけ広い
ことを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装。
【請求項4】
前記切り溝は台紙の端部に達しており、当該端部が開け口となっている
ことを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装。
【請求項5】
前記台紙は、コートボール紙からなる
ことを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装。
【請求項6】
前記カバーは、前記ミシン目と前記切り溝とに沿って前記台紙を開封した状態で、前記電球のバルブを前記台紙にて支持しながら、前記電球の口金をブリスター包装の外へ取り出せるように、前記バルブを回転させる空間を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装。
【請求項7】
前記カバーは、前記電球に当接するように台紙側に突出する緩衝部が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装。
【請求項8】
前記電球を包装した状態で前記台紙の端部を下にしてブリスター包装が正立するように、
前記カバーの前記端部に近い部分が、前記台紙から離れるように突出するスタンド部となっている
ことを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装。
【請求項9】
前記台紙の前記端部とは反対側の端部に近い箇所に吊り下げ穴が設けられている
ことを特徴とする請求項8に記載のブリスター包装。
【請求項10】
前記開封ガイドは、台紙の主面に斜交して貫通するように形成されたミシン目であって、
前記台紙の裏側におけるミシン目の間隔は前記電球のバルブに向き合う位置において当該バルブ径よりも大きく、
表側におけるミシン目は裏側におけるミシン目に囲繞されている
ことを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−230701(P2008−230701A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26516(P2008−26516)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】