説明

ブリューチャンバの上壁に突起を持つ飲料作製装置

飲料がブリューされる物質を含むパッドを封入するためのブリューチャンバ(5)を有する飲料作製装置である。ブリューチャンバ(5)は、1つ又は複数の孔を備えた上壁(4)を持ち、これらの孔を通じて、加熱された水がブリューチャンバ(5)に入ることができる。上壁(4)は、当該上壁(4)が前記ブリューチャンバ(5)の壁の一部である略水平のブリュー位置から、パッドがブリューチャンバ(5)から取り外されることができる開放位置に、ヒンジ運動することができる。前記上壁(4)の表面のかなりの部分は、突起(21)を備える。突起(21)は0.5mmより大きい高さを持ち、隣接するそれぞれの2つの突起間の距離は12mmより小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料がブリュー(brew)される物質を含むパッドを封入するためのブリューチャンバ(brewing chamber)を有する飲料作製装置であって、前記ブリューチャンバは、1つ又は複数の孔を備えた上壁を持ち、前記孔を通じて、加熱された水が前記ブリューチャンバに入ることができ、前記上壁は、当該上壁が前記ブリューチャンバの壁の一部である略水平のブリュー位置から、前記パッドが前記ブリューチャンバから取り外されることができる開放位置に、ヒンジ運動(hinge)することができる、飲料作製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、国際特許出願公開第01/15582号に記載されている。この記載された装置は、水貯蔵部と、水を加熱して、加熱された水が圧力下でブリューチャンバに入るように加熱された水をブリューチャンバの上壁の孔の方にポンプ送りする手段とを有する。ブリューチャンバは、物質(例えば挽いたコーヒー)を含むパッドで満たされ、加熱された水がパッドを通過するので、コーヒーが抽出される。抽出プロセスの後、液体(コーヒー)は、ブリューチャンバの底部の流出開口を通じてブリューチャンバを出て、液体受容チャンバに達する。液体受容チャンバは、装置の外に延在する流出管を有するので、ブリューされた液体(コーヒー)が1つ又は2つのカップによって受けられることができる。装置のうちブリューチャンバの上壁を有する部分は、ブリューチャンバの固定部分に対してヒンジ運動してブリューチャンバにアクセスを与えることができるので、次の抽出プロセスのために、新しいパッドが配置されることができる。前記部分の上方位置において、装置のうちブリューチャンバの側壁及び下壁並びに液体受容チャンバを有する部分(前記固定部分)は、例えば、当該部分を掃除するために、又は、カップ1杯の代わりにカップ2杯のための十分な飲料をブリューするために2つのパッドが該ブリューチャンバ内に配置されることができるように、ブリューチャンバがより大きい、他の類似した部分によって、当該部分を置換するために、装置から取り外されることができる。
【0003】
飲料が、例えばコーヒーを生成するための抽出プロセスにおいて、又は、例えばチョコレート飲料を生成するための溶解プロセスにおいて、装置によって作られることができる。抽出プロセスの場合、抽出された物質は、パッドに残り、抽出された物質を有するパッドは、その後チャンバから取り外されなければならない。溶解プロセスの場合、パッドの物質は、ブリュープロセスの間に消えて、空のパッドが取り外されなければならない。
【0004】
実際上、上壁がその開位置にヒンジ運動されると、その上壁に湿ったパッドが張り付く傾向があることが分かった。これは特に、2つのパッドがブリューチャンバ内に配置される場合に当てはまる。即ち、このとき、上側のパッドは上壁に張り付く一方で、下側のパッドはブリューチャンバの静止部分にとどまる。当然、パッドは、その開位置で、手によって上壁から除去されることができるが、ブリューチャンバの静止部分から、この又はこれらのパッドを取り外すことの方が簡単である。更に、装置のユーザは、ブリューチャンバを開けるとき、パッドが静止部分にとどまっていることを期待するので、上壁に張り付いているパッドに気付かない可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の飲料作製装置であって、このパッドが、又は、2つのパッドがあれば両方のパッドが、チャンバが開けられたとき常に、ブリューチャンバの静止部分に残る、飲料作製装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、前記上壁の表面のかなりの部分は、0.5mmより大きい高さを持つ突起を備え、隣接するそれぞれの2つの突起間の距離は12mmより小さく、好適には10mmよりも小さい。前記かなりの部分は、好適には、前記上壁の表面積の50%を超える面積を占め、好適な実施例では75%を超える。突起は、事実上円筒状形状を持つスタッドの形状を持つことができる。突起は、上壁が上方へヒンジ運動されるときに、パッドが上壁に張り付くことを防止する。
【0007】
国際特許出願公開第01/15582号に開示される装置は、ブリューチャンバの上壁の表面に6つの突起を備えており、これら突起は、互いに大きな距離を持って配置されている。実際には、突起の存在にも関わらず、開示された装置においては、パッドはヒンジ運動する上壁に張り付く傾向があることが分かった。しかし、張り付く傾向は、突起の特定の寸法が適用されると、減少させられることができる。
【0008】
1つの好適な実施例では、隣接するそれぞれの2つの突起間の距離は、6mmより小さく、好適には、これら突起の高さは0.7mmよりも大きく、より好適には1mmよりも大きい。
【0009】
1つの好適な実施例では、突起の断面(即ち上壁の平面と平行の部分)は、略円形であり、0.5mm〜3mmの、好適には1mm〜2mmの直径を有する。
【0010】
好適には、隣接するそれぞれの2つの突起間の距離は、突起の高さの8倍よりも小さく、突起の高さの5倍よりも小さい。突起の高さが大きいほど、突起間距離は大きくなることができる。
【0011】
1つの好適な実施例では、突起の側壁の少なくとも一部は、前記上壁の面に対して、60°より大きい角度で、好適には75°より大きい角度で延在し、好適には各突起の一部は、略円柱状である。
【0012】
別の好適な実施例では、突起は、上壁の表面上のリブである。これらはまっすぐなリブであるが、これらリブは同心円のリブであってもよい。リブは、円弧等の形状を持っていてもよい。
【0013】
ブリューチャンバが開いたときにこのブリューチャンバへの良いアクセスを達成するために、上記上壁は、60°より大きく、好適には70°より大きく、更に好適には80°より大きくヒンジ運動する。
【0014】
1つの好適な実施例では、ブリューチャンバの壁のうち前記上壁以外の部分を有する取外し可能な部分が、取外し可能な部分の一部であり、前記取外し可能な部分は、ブリューチャンバを掃除するために又はパッドを取り外すために、装置から取り外されることができる。
【0015】
本発明は、飲料作製装置によって飲料を作製する方法であって、ブリューチャンバ内に、前記飲料がブリューされるべき物質を含むパッドが配置され、前記ブリューチャンバは、1つ又は複数の孔を備えた上壁を持ち、前記孔を通じて、加熱された水が前記ブリューチャンバに入ることができ、前記上壁は、ブリュープロセスの後に、当該上壁が前記ブリューチャンバの壁の一部である略水平のブリュー位置から、前記パッドが前記ブリューチャンバから取り外されることができる開位置に、ヒンジ運動することができ、前記上壁の表面のかなりの部分は、0.5mmを超える高さを持つ突起を備え、隣接するそれぞれの2つの突起間の距離は12mmより小さく、これにより、前記パッドは、前記上壁がその開放位置にヒンジ運動されるときに前記ブリューチャンバ内に残る、方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、ここで、図面を参照して、コーヒーを作製するための装置の実施例の説明によって説明される。
【0017】
図1は、コーヒーを作製するための装置の関連する部分(即ち一番上の部分)を示す。装置の示されない他の部分は、水容器と、水を加熱して、所定の量の加熱された水を、管2を通じて、ブリューチャンバ5の上壁4の5つの孔3にポンプ送りするための手段とを有する。図1の断面図において、上壁4の1つの孔3だけが示される。ブリューチャンバ5は、略円筒状の形状を持ち、前記チャンバ内に例えば挽いたコーヒーフィットを含むディスク状パッド(図示せず)を持つ。
【0018】
ブリューチャンバ5の下壁6は、ブリューされたコーヒーがブリューチャンバ5の底の中央部分に到達するのを許可して液体が下壁6の流出開口部8に流れることができるようにするチャネルを形成するための輪郭7を備えている。ブリューされたコーヒーは、液体受容チャンバ9において収集されて、続いて、装置の外側で延在する2つの流出管10を通じて、ブリューされたコーヒーが1つ又は2つのカップ(図示せず)によって受けられることができる位置に導かれる。互いに平行な2つの流出管10があるので、各流出管10はブリューされたコーヒーを2つのカップのうちの1つに導くことができ、これらカップは互いの近くに起立する。1つのカップのみが満たされるべきであれば、両方の流出管10が、ブリューされたコーヒーを同じカップに導く。2つの流出管10は、図の面の両側に位置するので、これらは、図1及び図2の断面図において、可視でない。
【0019】
図1に示されるブリューチャンバ5は、カップ1杯のためにコーヒーをブリューするための挽いたコーヒーを含むパッドを収容するための寸法を持つ。カップ2杯のコーヒーがブリューされるべき場合は、装置の部分11は、他の部分11によって置換されることができ、該他の部分(示されない)は、より薄い下壁6を有し、このためブリューチャンバ5の高さは増加され、ブリューチャンバ5は、挽いたコーヒーを含む2つのパッド又はカップ2杯のために十分なコーヒーをブリューするためのより大きなパッドを収容することができる。
【0020】
図2において矢印12によって示されているように、装置は、装置の上方部13を軸14の周りをヒンジ運動させることによって開けられることができる。ブリューチャンバ5の上壁4は、前記上方部13に接続されているため、開けた後にブリューチャンバ5はアクセス可能になる。次に、用いられたパッドが取り外されることができ、及び/又は、新しいパッドがブリューチャンバ5に配置されることができる。次のブリュープロセスが2つのパッドによって実行されるべき場合、ブリューチャンバの開位置は、装置の部分11の、より大きいブリューチャンバ5を持つ他の部分11による置換を許可する。上方部13のヒンジ運動を可能にするために、管2は、可撓性材料でできている。
【0021】
図2に示される装置の開位置において、装置のうちのブリューチャンバ5(その上壁4以外)、液体受容チャンバ9及び流出管10を有する部分は、該部分が掃除されることができるように装置から取り外し可能である。
【0022】
ブリューチャンバ5の上壁4は、ディスク状の形状を持っており、図1及び2に示されるように、管2に接続されている中央水ダクト17を有する接続片16にクランプされる。上壁4と接続片16との間には分配プレート18があり、該分配プレート18は、ディスク状の形状を持っており、管2及び水ダクト17から来る加熱された水を上壁4の5つの孔3へ導くために材料中に凹部を有する。接続片16の周りには、ブリューチャンバ5が閉じられる(図1)ときに、取外し可能な部分11と上壁4との間に水密シーリングを提供するための密封リング19がある。
【0023】
上壁4の下側で、上壁4の表面の主要部分は、突起21を備えている。この例では、突起21の高さは約1mmであり、突起21間の距離は約4mmである。
【0024】
図3は、図1及び2において示されているのと同じであるがより大きい縮尺のブリューチャンバ5の上壁4の断面図である。上壁4は、合成樹脂材料でできている。上壁4は、その上側に、分配プレート18を囲むことができるとともに接続片16とクランプする環状突起22を備えている。
【0025】
図4は、上壁4の下側の図であって、上壁4の下側での突起21の分布を示す。図4及び図5は、更に、上壁4における5つの孔の位置を示す。
【0026】
図5は、上壁4の上側の図である。環状突起22は、分配プレート18の端において平坦部分に対応する平坦な(直線の)部分23を備えており、このため、前記分配プレートは、上壁4と接続片16との間で1つの位置でしか嵌まらない。
【0027】
ブリューチャンバ5の上壁4の下側の突起21は、ブリューチャンバ5が開いたときに湿ったパッドが上壁4に張り付かないということを達成する。
【0028】
上述の実施例は、例に過ぎない。多数の他の実施例は可能であり、装置の上壁4の下側の突起21が異なった形状を持つ実施例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】装置の一部の断面図である。
【図2】ブリューチャンバが開位置にある装置を示す。
【図3】ブリューチャンバの上壁の断面図である。
【図4】図3に記載の上壁の下面図である。
【図5】図3に記載の上壁の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料がブリューされる物質を含むパッドを封入するためのブリューチャンバを有する飲料作製装置であって、前記ブリューチャンバは、1つ又は複数の孔を備えた上壁を持ち、前記孔を通じて、加熱された水が前記ブリューチャンバに入ることができ、前記上壁は、当該上壁が前記ブリューチャンバの壁の一部である略水平のブリュー位置から、前記パッドが前記ブリューチャンバから取り外されることができる開位置に、ヒンジ運動することができる、飲料作製装置において、前記上壁の表面のかなりの部分は、0.5mmより大きい高さを持つ突起を備え、隣接するそれぞれの2つの突起間の距離は12mmより小さいことを特徴とする飲料作製装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料作製装置において、隣接するそれぞれの2つの突起間の前記距離は6mmより小さいことを特徴とする飲料作製装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の飲料作製装置において、前記突起の前記高さは0.7mmより大きく、好適には1mmより大きいことを特徴とする飲料作製装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の飲料作製装置において、前記突起の横断面は、略円形であり、0.5mm〜3mmの直径を持ち、好適には1mm〜2mmの直径を持つことを特徴とする飲料作製装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の飲料作製装置において、隣接するそれぞれの2つの突起間の前記距離は前記突起の前記高さの8倍より小さく、好適には前記突起の前記高さの5倍より小さいことを特徴とする飲料作製装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の飲料作製装置において、突起の側壁の少なくとも一部は、前記上壁の面に対して60°より大きい角度で、好適には75°より大きい角度で、延在することを特徴とする飲料作製装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の飲料作製装置において、各突起の一部は略円柱状であることを特徴とする飲料作製装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の飲料作製装置において、前記突起は前記上壁の前記表面上のリブであることを特徴とする飲料作製装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の飲料作製装置において、前記上壁は、60°より大きく、好適には70°より大きく、更に好適には80°より大きく、ヒンジ運動することができることを特徴とする飲料作製装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の飲料作製装置において、前記ブリューチャンバの前記壁のうち前記上壁以外の部分を有すると共に、前記ブリューチャンバを掃除するため又は前記パッドを取り外すため、前記装置から取り外されることができる取外し可能な部分によって特徴付けられる飲料作製装置。
【請求項11】
飲料作製装置によって飲料を作製する方法であって、前記飲料がブリューされる物質を含むパッドがブリューチャンバ内に配置され、前記ブリューチャンバは、1つ又は複数の孔を備えた上壁を持ち、前記孔を通じて、加熱された水が前記ブリューチャンバに入ることができ、前記上壁は、ブリュープロセスの後に、当該上壁が前記ブリューチャンバの壁の一部である略水平のブリュー位置から、前記パッドが前記ブリューチャンバから取り外されることができる開位置に、ヒンジ運動することができる、飲料作製装置において、前記上壁の表面のかなりの部分は、0.5mmより大きい高さを持つ突起を備え、隣接するそれぞれの2つの突起間の距離は12mmより小さく、これにより、前記パッドは、前記上壁がその開位置にヒンジ運動されるときに前記ブリューチャンバ内に残ることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−502640(P2007−502640A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523712(P2006−523712)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051337
【国際公開番号】WO2005/016092
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】