説明

ブロックマット用吊り具、およびこの吊り具を用いたブロックマット敷設方法

【課題】ブロックマットを重機に対し吊り下げ可能とする吊り具を用いてブロックマットを敷設するに際し、その敷設作業が容易にできるようにし、かつ、吊り具を構成簡単にできるようにする。
【解決手段】ブロックマット用吊り具は、シート2の上面に固設されるブロック3を備えたブロックマット1を、重機7に対し吊り下げ可能にするものである。吊り具8は、水平方向に延び、重機7により上昇、下降可能に吊り下げられる基台12と、上記左右方向Aにおける上記基台12の各端部に形成され、ブロックマット1のシート2の左右各端部に形成された左、右被係止部14,14をそれぞれ係脱可能とさせる左、右係止部13,13とを備える。左、右係止部13,13に左、右被係止部14,14をそれぞれ係止させた状態で、基台12を上昇させてブロックマット1を自由状態にしたとき、ブロックマット1が下方に凸の円弧形状に撓むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの上面に複数のブロックが固設されたブロックマットを、クレーン車などの重機に対し吊り下げ可能とするブロックマット用吊り具、およびこの吊り具を用いたブロックマット敷設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川、湖、道路の法面などの地表面は、雨水、洪水などの水のエネルギーによって浸食されることがあり、また、この結果、崩壊に至るおそれもある。
【0003】
そこで、従来、上記地表面が浸食されたり、崩壊したりすることを防止するため、この地表面上に上記ブロックマットを敷設することが提案されている。
【0004】
上記地表面上へのブロックマットの敷設作業では、重機に対しブロックマットを吊り下げ可能にする吊り具が用いられる。この吊り具には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、吊り具は、左右方向に延び、重機により上昇、下降可能に吊り下げ可能とされる基台と、この基台の左右各端部に取り付けられ、上記ブロックマットのシートの左右各端部をそれぞれ機械的に離脱可能に把持する左右一対のクランプとを備えている。
【0005】
上記ブロックマットの敷設作業に際しては、まず、水平な作業面上にブロックマットを載置し、展開する。一方、重機により吊り具の基台を吊り上げ、この基台と共に吊り上げられる上記各クランプをブロックマットの上方に位置させる。そして、上記各クランプに上記ブロックマットのシートの左右各端部を把持させる。
【0006】
次に、重機により上記吊り具を吊り上げ、かつ、この吊り具を介しブロックマットを吊り上げる。次に、このブロックマットを吊り具と共に所望の地表面上に移動させて下降させる。そして、この地表面上にブロックマットを載置させて展開する。次に、上記各クランプによるシートの各端部の把持を解除すれば、上記ブロックマットの敷設作業が一旦終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4318621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記吊り具のクランプは、上記ブロックマットのシートの端部を把持してこのブロックマットを吊り下げるものであるが、上記各クランプには、上記ブロックマットの自重に加え、上記各クランプから抜け出そうとする上記シートの各端部からの負荷が与えられる。よって、上記ブロックマットの自重や上記負荷に対抗するため、上記各クランプには十分に大きい把持力を発揮させることが要求される。
【0009】
しかし、上記したように、各クランプに十分に大きい把持力を発揮させようとすると、第1に、これら各クランプに対する操作が重くなって、この操作が煩雑になりがちであり、この結果、上記ブロックマットの敷設作業が煩雑になるおそれがある。また、第2に、各クランプに十分に大きい把持力を発揮させようとする分、これら各クランプの構成が複雑となり、かつ、質量が大きくなりがちである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、ブロックマットを重機に対し吊り下げ可能とする吊り具を用いて所望の地表面に対しブロックマットを敷設するに際し、その敷設作業が容易にできるようにし、かつ、上記吊り具を構成簡単に、かつ、軽量にできるようにすることである。
【0011】
請求項1の発明は、平面視で矩形をなすシート2と、このシート2の左右方向Aの中途部上面に固設される複数のブロック3とを備えたブロックマット1を、重機7に対し吊り下げ可能にするブロックマット用吊り具において、
水平方向に延び、重機7により上昇、下降可能に吊り下げられる基台12と、上記左右方向Aにおける上記基台12の各端部に形成され、上記ブロックマット1のシート2の左右各端部に形成された左、右被係止部14,14をそれぞれ係脱可能とさせる左、右係止部13,13とを備え、上記左、右係止部13,13に上記左、右被係止部14,14をそれぞれ係止させた状態で、上記基台12を上昇させて上記ブロックマット1を自由状態にしたとき、このブロックマット1が下方に凸の円弧形状に撓むようにしたことを特徴とするブロックマット用吊り具である。
【0012】
請求項2の発明は、上記各係止部13を、上記基台12の左、右各端部の端面から外方に突設されるフック形状とし、上記各被係止部14を、上記各係止部13に係止される係止孔としたことを特徴とする請求項1に記載のブロックマット用吊り具である。
【0013】
請求項3の発明は、上記基台12が、基台本体17と、この基台本体17の上、下面のうち、少なくともいずれか一方の面に取り付けられ、その面方向で互いに離れて配置されると共に、互いにほぼ平行に延びる複数の支持台18とを備えたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載のブロックマット用吊り具である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1のブロックマット用吊り具を用いて法面など傾斜した地表面4上にブロックマット1を敷設するブロックマット敷設方法であって、
上記重機7に吊り下げられた基台12と、この基台12に係止されて吊り下げられたブロックマット1とを下降させるとき、上記地表面4の傾斜方向に上記円弧状に撓んだブロックマット1の下面の接線方向が合致するようにしたことを特徴とするブロックマット敷設方法である。
【0015】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0016】
本発明による効果は、次の如くである。
【0017】
請求項1の発明は、平面視で矩形をなすシートと、このシートの左右方向の中途部上面に固設される複数のブロックとを備えたブロックマットを、重機に対し吊り下げ可能にするブロックマット用吊り具において、
水平方向に延び、重機により上昇、下降可能に吊り下げられる基台と、上記左右方向における上記基台の各端部に形成され、上記ブロックマットのシートの左右各端部に形成された左、右被係止部をそれぞれ係脱可能とさせる左、右係止部とを備え、上記左、右係止部に上記左、右被係止部をそれぞれ係止させた状態で、上記基台を上昇させて上記ブロックマットを自由状態にしたとき、このブロックマットが下方に凸の円弧形状に撓むようにしている。
【0018】
このため、仮に、上記したように基台の左、右係止部に上記ブロックマットのシートの左、右被係止部をそれぞれ係止させた状態で、これら基台とブロックマットとを下降させ、円弧状に撓んだブロックマットを、その下面の接線方向に向かって直線的に延びる作業面上に載置させたとする。そして、この載置により、上記ブロックマットの左右方向の中途部を上記作業面に沿うよう直線形状にさせたとする。すると、上記ブロックマットのシートの左右方向での各端部には、それぞれ弛みが生じることとなる。
【0019】
よって、上記したように、作業面上にブロックマットを載置させた場合には、上記吊り具の係止部に対する上記ブロックマットのシートの被係止部の係脱作業は、上記ブロックマットのシートの各端部に生じる弛みを利用することにより、容易にすることができる。
【0020】
従って、所望の地表面上に対し上記ブロックマットの敷設作業をするに際しては、ブロックマットを、まず、直線的に延びる作業面上に載置し、展開する。一方、重機により上記吊り具の基台を吊り上げ、上記ブロックマットの上方近傍に位置させる。次に、上記吊り具の係止部に対し上記ブロックマットのシートの被係止部を係止させるが、この係止作業は、前記したブロックマットのシートの各端部における弛みの利用によって容易にできる。
【0021】
次に、重機により上記吊り具を吊り上げ、かつ、この吊り具を介しブロックマットを吊り上げる。次に、このブロックマットを吊り具と共に所望の地表面上に移動させて下降させる。そして、上記地表面上にブロックマットを載置させて展開する。次に、上記吊り具の係止部への上記ブロックマットのシートの被係止部の係止を解除させるが、この係止解除作業は、前記したブロックマットのシートの各端部における弛みの利用によって容易にできる。
【0022】
即ち、所望の地表面上に対し上記ブロックマットの敷設作業をするに際し、上記吊り具の係止部に対するブロックマットの被係止部の係脱作業は、このブロックマットのシートの各端部における弛みの利用によって容易にできるのであり、よって、上記敷設作業は容易にできる。
【0023】
また、上記吊り具へのブロックマットの吊り下げは、上記吊り具の係止部に対しブロックマットのシートの被係止部を単に係止させることにより達成される。よって、従来の技術で説明したような把持機能を有する機械的なクランプは不要にできることから、その分、上記吊り具を構成簡単に、かつ、軽量にできる。
【0024】
請求項2の発明は、上記各係止部を、上記基台の左、右各端部の端面から外方に突設されるフック形状とし、上記各被係止部を、上記各係止部に係止される係止孔としている。
【0025】
このため、上記係止部と被係止部とは簡素な構成とされたことから、上記吊り具の構成は、より簡単にできる。
【0026】
請求項3の発明は、上記基台が、基台本体と、この基台本体の上、下面のうち、少なくともいずれか一方の面に取り付けられ、その面方向で互いに離れて配置されると共に、互いにほぼ平行に延びる複数の支持台とを備えている。
【0027】
このため、上記吊り具をブロックマットの吊り下げ用として用いない場合には、上記基台本体の下面側に支持台が位置するようにして、上記吊り具を作業面上に載置させれば、上記吊り具をフォークリフト用のパレットとして利用できる。よって、吊り具の利用の自由度が向上して、有益である。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1のブロックマット用吊り具を用いて法面など傾斜した地表面上にブロックマットを敷設するブロックマット敷設方法であって、
上記重機に吊り下げられた基台と、この基台に係止されて吊り下げられたブロックマットとを下降させるとき、上記地表面の傾斜方向に上記円弧状に撓んだブロックマットの下面の接線方向が合致するようにしている。
【0029】
このため、上記ブロックマットの敷設作業において、上記吊り具の下降により、円弧状に撓んだブロックマットの左右方向の中途部を上記地表面上に載置して、この地表面に沿うよう直線形状にさせたとする。すると、上記ブロックマットのシートの左右方向での各端部には、それぞれ弛みが確実に生じることとなる。
【0030】
よって、次に、上記吊り具の係止部への上記ブロックマットのシートの被係止部の係止を解除させるが、この係止解除作業は、上記したブロックマットのシートの各端部における弛みの利用によって容易にできる。つまり、上記ブロックマットを敷設しようとする地表面が傾斜面であるとしても。この地表面へのブロックマットの敷設作業は容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】吊り具の全体側面図である。
【図2】吊り具の全体平面図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】図3で示したものの斜視図である。
【図5】作用を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のブロックマット用吊り具に関し、ブロックマットを重機に対し吊り下げ可能とする吊り具を用いて所望の地表面に対しブロックマットを敷設するに際し、その敷設作業が容易にできるようにし、かつ、上記吊り具を構成簡単に、かつ、軽量にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0033】
即ち、ブロックマット用吊り具は、平面視で矩形をなすシートと、このシートの左右方向の中途部上面に固設される複数のブロックとを備えたブロックマットを、重機に対し吊り下げ可能にするものである。この吊り具は、水平方向に延び、重機により上昇、下降可能に吊り下げられる基台と、上記左右方向における上記基台の各端部に形成され、上記ブロックマットのシートの左右各端部に形成された左、右被係止部をそれぞれ係脱可能とさせる左、右係止部とを備える。上記左、右係止部に上記左、右被係止部をそれぞれ係止させた状態で、上記基台を上昇させて上記ブロックマットを自由状態にしたとき、このブロックマットは下方に凸の円弧形状に撓むこととされている。
【実施例】
【0034】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0035】
図1〜4において、符号1はブロックマットである。このブロックマット1は、平面視で矩形(長方形)をなすシート2と、このシート2の長手方向である左右方向Aの中途部上面に等間隔をあけて並設にされ、かつ、固着される複数のブロック3とを備えている。
【0036】
上記ブロックマット1は、河川、湖、道路・鉄道、もしくは宅地・工業用地の法面や、河川、もしくは湖の護岸などの地表面4上に敷設される。このように地表面4上にブロックマット1を敷設すれば、上記地表面4が雨水、洪水など水のエネルギーによって浸食されることが防止される。
【0037】
上記シート2は、幅寸法が1.6m、長さが4〜6m程度であり、質量は125kg/m程度である。また、その材質は、ポリプロピレンやポリエステルなど化学繊維性である。また、上記ブロック3は、コンクリートブロックであって、縦×横寸法が200×200mm、高さ寸法が100mm程度である。なお、このブロック3は自然石であってもよい。
【0038】
図中符号7は、上記ブロックマット1を移動式クレーンなどの重機7に対し吊り下げ可能にする吊り具8である。上記重機7は、トラッククレーンやクローラクレーンの他、フォークリフトなどであり、この重機7において昇降するフック9に上記吊り具8を介しブロックマット1が吊り下げ可能とされる。
【0039】
上記吊り具8は、水平方向に延び、上記重機7のフック9に対しワイヤー11を介し上昇、下降可能に吊り下げられる剛性のある基台12と、上記左右方向Aにおける上記基台12の各端部に形成された左、右係止部13,13とを備えている。一方、上記ブロックマット1のシート2の左、右各端部には左、右被係止部14,14がそれぞれ形成され、これら各被係止部14は、上記各係止部13に係脱可能とされている。
【0040】
上記基台12は、水平方向に延び、平面視で左右方向Aに長手の長方形をなし、全体として板形状の基台本体17と、この基台本体17の幅方向に延びてこの基台本体17の上面に取り付けられる複数本(5本)の支持台18とを備えている。
【0041】
また、上記基台本体17は、それぞれ左右方向Aに延びてこの基台本体17の幅方向に等間隔に並設される複数本(4本)の長尺材21と、これら各長尺材21の左、右各端部同士を連結する連結材22と、これら各連結材22の下端部外面にそれぞれ取り付けられる円形のパイプ材23と、上記各長尺材21のうち、基台本体17の幅方向各端部の長尺材21における左、右各端部側の上面に突設され、前記ワイヤー11の下端部を連結させる連結片24とを備えている。なお、上記各連結片24は上記支持台18に突設してもよい。
【0042】
前記各係止部13は、上記基台12の左右各端部の端面である前記連結材22の外面から外方に突設されるフック形状とされている。また、前記各被係止部14は左右方向Aに長い長孔状の係止孔とされている。図示しないが、上記各被係止部14周りの上記シート2の左、右各端部は当て布などにより、十分に補強されている。なお、上記各被係止部14は円形孔であってもよい。
【0043】
上記左、右係止部13,13に上記左、右被係止部14,14を係止させた状態で、上記重機7により上記吊り具8の基台12を吊り上げ、この基台12を上昇させて上記ブロックマット1を自由状態にしたとき、このブロックマット1は、その左右方向の全体にわたり、下方に凸の円弧形状に撓むこととされている(図1中一点鎖線)。この場合、上記シート2の左、右各端部の上面は、上記各パイプ材23の下部の外周面に当接して、摩耗など破損することが防止される。
【0044】
上記構成において、仮に、上記したように基台12の左、右係止部13,13に上記ブロックマット1のシート2の左、右被係止部14,14をそれぞれ係止させた状態で、これら基台12とブロックマット1とを下降させ、円弧状に撓んだブロックマット1を、その下面の接線方向に向かって直線的に延びる作業面26上に載置させたとする。そして、この載置により、上記ブロックマット1の左右方向Aの中途部を上記作業面26に沿うよう直線形状にさせたとする。すると、上記ブロックマット1のシート2の左右方向Aでの各端部には、それぞれ弛み28が生じることとなる(図1,3,4中一点鎖線)。
【0045】
よって、上記したように、作業面26上にブロックマット1を載置させた場合には、上記吊り具8の係止部13に対する上記ブロックマット1のシート2の被係止部14の係脱作業は、上記ブロックマット1のシート2の各端部に生じる弛み28を利用することにより、容易にすることができる。
【0046】
全図において、所望の地表面4上に対し上記ブロックマット1の敷設作業をするに際しては、搬送トラックなどにより運ばれてきたブロックマット1を、まず、直線的に延びる作業面26上に載置し、展開する。この際、ブロックマット1の長手方向を上記作業面26の水平方向もしくは傾斜方向に合致させる(図1〜4中実線)。一方、重機7のフック9により上記吊り具8の基台12を吊り上げ、上記ブロックマット1の上方近傍に位置させる(図1〜4中実線)。次に、上記吊り具8の係止部13に対し上記ブロックマット1のシート2の被係止部14を係止させるが、この係止作業は、前記したブロックマット1のシート2の各端部における弛み28の利用によって容易にできる。
【0047】
次に、重機7により上記吊り具8を吊り上げ、かつ、この吊り具8を介しブロックマット1を吊り上げる(図1,4中一点鎖線)。次に、このブロックマット1を吊り具8と共に所望の地表面4上に移動させて下降させる。この際、上記地表面4の傾斜方向に上記円弧状に撓んだブロックマット1の下面の接線方向を合致させる(図4中三点鎖線)。そして、上記地表面4上にブロックマット1を載置させて展開する。次に、上記吊り具8の係止部13への上記ブロックマット1のシート2の被係止部14の係止を解除させるが、この係止解除作業は、前記したブロックマット1のシート2の各端部における弛み28の利用によって容易にできる。
【0048】
即ち、所望の地表面4上に対し上記ブロックマット1の敷設作業をするに際し、上記吊り具8の係止部13に対するブロックマット1の被係止部14の係脱作業は、このブロックマット1のシート2の各端部における弛み28の利用によって容易にできるのであり、よって、上記敷設作業は容易にできる。
【0049】
また、上記吊り具8へのブロックマット1の吊り下げは、上記吊り具8の係止部13に対しブロックマット1のシート2の被係止部14を単に係止させることにより達成される。よって、従来の技術で説明したような把持機能を有する機械的なクランプは不要にできることから、その分、上記吊り具8を構成簡単に、かつ、軽量にできる。
【0050】
また、前記したように、各係止部13を、基台12の左、右各端部の端面から外方に突設されるフック形状とし、各被係止部14を、上記各係止部13に係止される係止孔としている。
【0051】
このため、上記係止部13と被係止部14とは簡素な構成とされたことから、上記吊り具8の構成は、より簡単にできる。
【0052】
また、前記したように、基台12が、基台本体17と、この基台本体17の上、下面のうち、少なくともいずれか一方の面に取り付けられ、その面方向で互いに離れて配置されると共に、互いにほぼ平行に延びる複数の支持台18とを備えている。
【0053】
このため、上記吊り具8をブロックマット1の吊り下げ用として用いない場合には、上記基台本体17の下面側に支持台18が位置するようにして、上記吊り具8を作業面26上に載置させれば、上記吊り具8をフォークリフト用のパレットとして利用できる。よって、吊り具8の利用の自由度が向上して、有益である。
【0054】
また、前記ブロックマット1用の吊り具8を用いて法面など傾斜した地表面4上にブロックマット1を敷設するブロックマット敷設方法であって、
重機7に吊り下げられた基台12と、この基台12に係止されて吊り下げられたブロックマット1とを下降させるとき、上記地表面4の傾斜方向に上記円弧状に撓んだブロックマット1の下面の接線方向が合致するようにしている。
【0055】
このため、上記ブロックマット1の敷設作業において、上記吊り具8の下降により、円弧状に撓んだブロックマット1の左右方向Aの中途部を上記地表面4上に載置して、この地表面4に沿うよう直線形状にさせたとする。すると、上記ブロックマット1のシート2の左右方向Aでの各端部には、それぞれ弛み28が確実に生じることとなる(図5中一点鎖線)。
【0056】
よって、次に、上記吊り具8の係止部13への上記ブロックマット1のシート2の被係止部14の係止を解除させるが、この係止解除作業は、上記したブロックマット1のシート2の各端部における弛み28の利用によって容易にできる。つまり、上記ブロックマット1を敷設しようとする地表面4が傾斜面であるとしても。この地表面4へのブロックマット1の敷設作業は容易にできる。
【符号の説明】
【0057】
1 ブロックマット
2 シート
3 ブロック
4 地表面
7 重機
8 吊り具
9 フック
11 ワイヤー
12 基台
13 係止部
14 被係止部
17 基台本体
18 支持台
26 作業面
28 弛み
A 左右方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で矩形をなすシートと、このシートの左右方向の中途部上面に固設される複数のブロックとを備えたブロックマットを、重機に対し吊り下げ可能にするブロックマット用吊り具において、
水平方向に延び、重機により上昇、下降可能に吊り下げられる基台と、上記左右方向における上記基台の各端部に形成され、上記ブロックマットのシートの左右各端部に形成された左、右被係止部をそれぞれ係脱可能とさせる左、右係止部とを備え、上記左、右係止部に上記左、右被係止部をそれぞれ係止させた状態で、上記基台を上昇させて上記ブロックマットを自由状態にしたとき、このブロックマットが下方に凸の円弧形状に撓むようにしたことを特徴とするブロックマット用吊り具。
【請求項2】
上記各係止部を、上記基台の左、右各端部の端面から外方に突設されるフック形状とし、上記各被係止部を、上記各係止部に係止される係止孔としたことを特徴とする請求項1に記載のブロックマット用吊り具。
【請求項3】
上記基台が、基台本体と、この基台本体の上、下面のうち、少なくともいずれか一方の面に取り付けられ、その面方向で互いに離れて配置されると共に、互いにほぼ平行に延びる複数の支持台とを備えたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載のブロックマット用吊り具。
【請求項4】
請求項1のブロックマット用吊り具を用いて法面など傾斜した地表面上にブロックマットを敷設するブロックマット敷設方法であって、
上記重機に吊り下げられた基台と、この基台に係止されて吊り下げられたブロックマットとを下降させるとき、上記地表面の傾斜方向に上記円弧状に撓んだブロックマットの下面の接線方向が合致するようにしたことを特徴とするブロックマット敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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