説明

ブロー成形容器

【課題】 本発明はデラミボトルにおいて、内層の減容変形した状態や、内容液の偏在した状態は隠して全体として見栄え良くすると共に、内容液の残量に拘わらず内容液の性状が十分に視認、確認できるようすることを課題とするものである。
【解決手段】 外殻を形成する合成樹脂製の外層と、この外層と剥離自在に積層され内圧の減少による減容変形が自在に構成された内袋を形成する合成樹脂製の内層を有するブロー成形容器において、外層の所定の位置に、外層と内層との層間に外部の空気を導入するための通気孔を形成し、この通気孔を避けた位置に、外層と内層とを全高さ範囲に亘り接着層により接着固定した縦帯状の接着帯により、内層の外層からの剥離の進行を規制する規制帯を形成、配設し、規制帯を透して内部の視認が可能に構成し、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外殻を形成する外層内に、減容変形自在な内袋を形成する内層を剥離自在に積層形成したデラミボトルタイプのブロー成形容器に関するものである。

【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1には、外殻を形成する外層と、この外層に剥離可能に積層し、減容変形自在な薄肉の内袋を形成する内層を有する、所謂、デラミボトルと称されるブロー成形容器から成る容器本体と、逆止弁を備えた注出キャップとを組み合わせたスクイズタイプの注出容器に係る発明が記載されている。
この種のデラミボトルは、口筒部に手動押圧式ポンプを組付け固定したポンプ付き注出容器の容器本体にも利用されるが、スクイズタイプの注出容器にしても、ポンプ付き注出容器にしても内容液を注出した分、内層を減容変形させることにより容器内部への外気の侵入を防ぐことができ、内容液の品質の低下を防ぐことができる。
【0003】
また、特許文献1に記載のある容器では外層と内層を接着層により縦帯状に接着した接着帯を配設し、内層の減容変形の進行態様を制御し、内容液を略最後まで使い切ることができるような構成としている。
この種のデラミボトルは、相溶性の殆どない外層と内層を共押出して積層パリソンに成形し、この積層パリソンをブロー成形して得ることができ、上記した接着層も共押出し成形により、外層と内層の間に同時に積層することができる。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−72864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、この種のデラミボトルでは使用中、内層が不規則に減容変形し、また内容液が不規則に減容変形した内層のために容器中に偏在するため、容器全体を透明、あるいは半透明状のものとすると見栄えが必ずしも良くないと云う問題、
他方、容器全体を着色して不透明なものとすると、どんな種類、性状の内容液が収納されているのかを直接、目で確認することができないと云う問題がある。
【0006】
そこで、本発明はデラミボトルタイプのブロー成形容器において、内層が不規則に減容変形した状態や、内容液の偏在した状態は隠して全体として見栄え良くすると共に、内容液の残量に拘わらず外側から内容液の性状が十分に視認、確認できるようすることを技術的な課題とするものである。

【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決する手段の内、本発明の主たる構成は、
外殻を形成する合成樹脂製の外層と、この外層と剥離自在に積層され内圧の減少による減容変形が自在に構成された内袋を形成する合成樹脂製の内層を有するブロー成形容器において、
外層の所定の位置に、外層と内層との層間に外部の空気を導入するための通気孔を形成し、
この通気孔を避けた位置に、外層と内層とを全高さ範囲に亘り接着層により接着固定した縦帯状の接着帯により、内層の外層からの剥離の進行を規制する規制帯を形成、配設し、
規制帯を透して内部の視認が可能に構成し、
また、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成する、と云うものである。
【0008】
上記構成によれば、後述するように左右一対の接着帯とその間に位置する非接着帯から、あるいは1本の接着帯から等により形成することができるが、いずれにしても規制帯では内層の外層からの剥離の進行が規制され、注出容器の容器本体として使用した場合、内容液の注出の進行、すなわち内容液の残量に拘わらず、内層が外層に積層した状態が維持される。
【0009】
そして、上記構成はこの規制帯を、内容液の性状を視認するための窓として利用しようとしたものであり、内層は規制帯により縦方向の収縮が制限されるため、その減容変形は周方向での収縮に限定され、その結果、内容液の残量に拘わらず、縦帯状に形成される規制帯では内容液が上下方向に偏在することがなく、内容液を視認してその性状を十分確認することが可能となる。
【0010】
また、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成することにより、内層の不規則な減容変形状態や内容液の偏在を隠すことができ、使用途中の段階でも容器全体を見栄えの良い状態に維持することができる。
ここで、規制帯を透して内容液の視認が可能な構成とするため、少なくとも規制帯の領域では外層と内層は透明性あるいは半透明性を有するものとする。
また、規制帯の幅は、容器の形状や、内容液の注出性や、規制帯を透しての内部の視認性等を考慮して適宜に決めることができる設計事項である。
【0011】
本発明の他の構成は、上記主たる構成において、左右一対の接着帯と、この一対の接着帯の間に位置する非接着帯により規制帯を形成する、と云うものである。
【0012】
規制帯は1本の接着帯により形成することもできるが、上記構成のように左右一対の接着帯とその間に位置する非接着帯から構成することもができる。
接着帯を構成する接着層には比較的高価な接着性の合成樹脂を使用するため、規制帯の幅を広めにする場合には、規制帯を上記構成とすることにより材料コストを低減することができる。
また、規制帯の幅を広めにする場合には、接着帯は接着層が積層され厚肉となると共に、外層と内層が接着層で固定され一体となるため、スクイズタイプの注出容器ではスクイズ変形性が損なわれるので、この点からも規制帯を左右一対の接着帯で形成する方が有利である。
【0013】
なお、複数の規制帯を形成する場合には、少なくとも1本の規制帯を透して内部の視認が可能な構成とすればよく、上記構成のように2本の規制帯を形成する場合には、外観デザイン、内部の視認性、さらには成形性を考慮しながら、2本の規制帯について視認が可能な構成とすることもできるし、一方の規制帯については視認が可能な構成とし、他方については視認が不能な構成とすることもできる。
【0014】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、容器の中心軸に対して略軸対称の位置に一対の規制帯を形成、配設する、と云うものである。
【0015】
規制帯の配設本数や配設位置は、容器の形状、内容液の性状、成形性等により適宜決めることができ、配設本数としては1本、2本、3本等が現実的であるが、内層の減容変形の制御性を考慮すると、一般的には上記構成のように容器の中心軸に対して略軸対称の位置に一対の規制帯を形成、配設することが好ましい。
ここで、上記構成のように規制帯を軸対称の位置に一対配設する場合でも、必ずしも正確に軸対称である必要はなく、容器の形状によっては軸対称の位置から若干ずらした位置に配設する方が有利な場合もあり、この観点から上記構成では、「容器の中心軸に対して略軸対称の位置に・・・」と云うように「略」と云う用語を付加して使用している。
【0016】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に、外層に不透明層を積層する、と云うものである。
【0017】
上記構成は、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成するための具体的な手段に係るものであり、外層に着色層を積層する、ラベルを貼着積層する、不透明な塗膜を積層する等の手段を採用することができる。
勿論、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成する手段は、上記した外層に不透明層を積層する方法に限定されるものではなく、
共押出して積層パリソンを成形する際、押出ダイの外層を形成する管状流路内にマスターバッチで着色した溶融樹脂を供給すると共に、規制帯部分に成形される位置に無着色の同材質の溶融樹脂を供給して軸方向に縦帯状の透明領域が形成された外層を有する積層パリソンを成形し、この積層パリソンをブロー成形することにより、規制帯を透して内部の視認が可能に構成し、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成した本発明のブロー成形容器を得ることができる。
【0018】
本発明のさらに他の構成は、上記外層に不透明層を積層する構成において、規制帯の少なくとも左右中央部を除いた全周に亘る領域で、外層に同材質で着色不透明な着色層を積層する、と云うものである。
【0019】
上記構成は、外層に不透明層を積層するための、具体的な構成要件の一つである。なお、この着色層は積層パリソンの共押出し成形時に同時に外層に積層することができ、容器の全高さ範囲に亘って、容易に積層することが可能である。
【0020】
本発明のさらに他の構成は、上記外層に不透明層を積層する構成において、規制帯の少なくとも左右中央部を除いた全周に亘る領域で、外層に着色不透明なラベルを貼着積層する、というものである。
【0021】
上記構成も、外層に不透明層を積層するための、具体的な構成要件の一つである。
ここで、前述した外層に同材質で着色不透明な着色層を積層する構成も含めて、規制帯の左右端部近傍についても着色層やラベルで覆うことにより、規制帯の左右端部に位置する接着層による段差等を隠して見栄えのよいものとすることができ、このような観点も含めて、上記構成では、「規制帯の少なくとも左右中央部を除いた領域」と云うようにしている。
また、必ずしも、規制帯を除いた全領域から内部が視認できないようにする必要はなく、例えば容器の肩部から胴部に懸けての周壁から視認できないようしたり、あるいは胴部の周壁からだけ視認できないようにする等、容器の形状、不透明層を積層するための方法、そして使用目的に応じて、視認不能とする領域を適宜決めることができ、ラベルを貼着積層する場合には、たとえば胴部の周壁からだけ視認できないようにするのが現実的である。
【0022】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、外層をスクイズ変形可能で、復元自在な可撓性を有するものとする、と云うものである。
【0023】
上記構成は、逆止弁を備えた注出キャップを組み合わせたスクイズタイプの注出容器の容器本体として使用するための構成である。
【0024】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、規制帯の縦方向に沿った複数の所定高さ位置に、この規制帯の少なくとも左右中央部を除いた左右の所定位置から、規制帯の左右の端部の方向に向けて一対の凹部を横溝状に形成する、と云うものである。
【0025】
ここで、本発明の容器では、規制帯により内層の外層からの剥離の進行を規制し、内容液の残量が少なくなった場合にも、規制帯の近傍で容器の縦方向に流路を確保すると共に、この規制帯を、内容液の性状を視認するための窓として利用しようとしたものである。
ただし、内容液の注出に伴う内層の減容変形の態様によっては規制帯の近傍の流路が部分的に塞がり、内容液の性状を視認するための窓としての機能が低下してしまう恐れ、さらには窓に内容液が偏在してしまい容器の見栄えが低下する恐れがある。
【0026】
上記構成は、このような規制帯の近傍での流路の部分的な塞がりに係る問題を解消するためのものであり、規制帯の少なくとも左右中央部は残して、その左右に一対の凹部を横溝状に形成することにより、
平断面でみると、左右に形成した凹部の間の領域(すなわち、少なくとも左右中央部を含む領域)では、胴部の周壁を外側に膨出状に屈曲するようにして凸部が残存形成されることになる。
【0027】
そして、内容液の注出の進行に伴い内層の減容変形が進行しても内層の変形の進行を、この凸部の左右基端部、すなわち左右の凹部の周壁で止めることができ、残量が少なくなった場合にも、この凸部により内容液の縦方向の流路を確実に確保することができ、窓としての機能を十分に発揮させることが可能となる。
【0028】
また、上記のように規制帯における内容液の視認用の窓としての機能を十分に発揮させるために凹部を横溝状に形成したり、あるいは容器の面剛性を高めるために周溝を形成すると、凹部や周溝により内周壁に形成される凹凸(段部)により残存した内容液のスムーズな流動が妨げられ、内容液を最後まで使い切ることが難しくなると云う恐れがあるが、
上記構成によれば規制帯の少なくとも左右中央部に相当する位置では、容器の胴部の全高さ範囲に亘って、その内周面に凹凸のない縦帯状の平坦領域が残存形成されるため、この縦帯状の平坦領域により内容液をスムーズに流動させることができ、内容液が少なくなった状態でも注出操作をスムーズに実施することができると共に、内容液を略最後まで使い切ることが可能となる。
【0029】
ここで、縦方向の流路を確実に確保できると云う観点からは、縦方向に複数配設する凹部間の間隔をなるべく小さくする、すなわち規制帯の縦方向に沿ってより多数の凹部を形成することが望ましいが、この凹部の断面形状、延設長さ、左右の凹部の配設間隔、規制帯の縦方向に沿った配設数等の凹部の配設態様は、流路の確保と云う観点の他にも容器の剛性や座屈強度、外観、成形性等を考慮しながら適宜選択するものである。
【0030】
本発明のさらに他の構成は、上記構成において、凹部を、規制帯の左右の所定位置に挟まれる領域を除く領域に、周状に延設する構成とする、と云うものである。
【0031】
上記構成は凹部の延設態様の具体例に係るものであり、上記構成に拠れば、規制帯の左右の所定位置に挟まれる領域を除く領域に周設される凹部により、周溝に近い機能が発揮され、周壁の面剛性を高くすることが可能となる。

【発明の効果】
【0032】
本発明は、上記した構成としたので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成を有するデラミボトルタイプのブロー成形容器にあっては、規制帯を、内容液の性状を視認するための窓として利用しようとしたものであり、注出容器の容器本体として使用された場合、内容液の残量に拘わらず、縦帯状に形成される規制帯では内容液が上下方向に偏在することがなく、内容液を視認し、その性状を十分確認することができる。
また、規制帯を除いた領域で、外層に不透明層を積層することにより、内層の不規則な減容変形状態や、内容液の偏在を隠すことができ、使用途中の段階でも容器全体を見栄えの良い状態に維持することができる。
【0033】
また、規制帯の左右に一対の凹部を横溝状に形成する構成を有する容器にあっては、左右の凹部の間に残存形成される凸部により内容液の視認用の窓としての機能を十分に発揮させることができると共に、
規制帯の少なくとも左右中央部に相当する位置では、容器の胴部の全高さ範囲に亘って、その内周面に凹凸のない縦帯状の平坦領域が残存形成されるため、この平坦領域により内容液をスムーズに流動させることができ、内容液が少なくなった状態でも注出操作をスムーズに実施することができると共に、内容液を略最後まで使い切ることができる。

【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のブロー成形容器の実施例の全体斜視図である。
【図2】図1のブロー成形容器に注出キャップを組付けた注出容器を部分的に縦断して示す側面図である。
【図3】図2におけるA−A線に沿って示す平断面図である
【図4】図2の注出容器における、内層の減容変形の進行態様を図3の平断面図によって示す概略説明図である。
【図5】図4(c)において規制帯近傍の状態を示す拡大平断面図である。
【図6】規制帯の層構成の他の例を図3と同様に示す平断面図である。
【図7】本発明のブロー成形容器の他の実施例の(a)側面図、(b)、(c)はそれぞれ(a)中のC−C線、D−D線に沿って示す胴部周壁の縦断面図である。
【図8】図7(a)中のB−B線に沿って示す、規制帯近傍の状態を示す拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を実施例に沿って図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は本発明によるブロー成形容器(以下、単に容器と記載する。)の一実施例を説明するためのもので、図1は全体斜視図、図2は図1の容器に注出キャップ41を組付けた注出容器を部分的に縦断して示す側面図、図3は図2中のA−A線に沿って示す平断面図である。
なお、図1では規制帯23近傍の層構成が判るように胴部4の周壁を部分的に破断して示している。
【0036】
この容器1は、口筒部2、テーパー筒状の肩部3、円筒状の胴部4、そして底部5を有する壜体状であり、全高さは195mm、円筒状の胴部2の直径は65mmである。また胴部4には、周壁の面剛性を大きくするため、さらには容器1の掴持性の向上を目的として4ケの周溝7が配設されている。
また、口筒部2には軸対称の位置(図2では左右の位置)で、外層11に一対の通気孔12が貫通形成されている。
また、図2中に示されるように、底部5には、ブロー成形時にパリソンを扁平状に押圧して底シール部6が形成されている。
【0037】
またこの容器1は、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略記する。)樹脂からなる外層11と、LDPE樹脂との相溶性が低いナイロン樹脂からなる内層13と、LDPE樹脂およびナイロン樹脂に対して、接着性を発揮する接着性ポリオレフィン樹脂(例えば、三井化学社製のアドマー)からなる接着層15を積層し、構成されている。
【0038】
そして、後述する規制帯23を除いた領域では、外層11と内層13は剥離可能に積層しており、外層11は、充分な機械的強度とスクイズ変形性と復元自在な可撓性とを有する外殻を形成し、内層13は、外殻の内側に、自在な減容変形性を有する薄肉の内袋を形成している。
【0039】
図3の平断面図に示されるように、胴部2の、円形の平断面形状の一対のパーティングラインPLの位置(図3では上下の位置に示される。)、そして通気孔12を避けて、通気孔12に対して直角の位置に一対の規制帯23が、容器1の全高さ範囲に亘り形成、配設されている。
この規制帯23は、両端部に位置する外層11と内層13と細縦帯状の接着層15から形成される接着帯21と、その間にある非接着帯22から構成されている。この一対の規制帯23により後述するように内層13の減容変形の進行様式を制御し、容器1内での内容液Lの注出流路を、内容液Lをほぼ使いきるまで確保することができ、スクイズ操作を最後までスムーズに実施することができる。
なお、本実施では胴部2における接着層15の横幅を1mm、規制帯23の横幅を18mmとしている。
【0040】
また、本実施例の容器では、図3に示されるように、規制帯23の左右中央部を除く、規制帯23の左右両端部を含む周壁の全領域に亘って、外層11に同材質で着色して不透明とした着色層11aを積層している。
そして、上記のような層構成により、半透明性を有するLDPE樹脂製の外層11と透明性を有するナイロン樹脂製の内層13が積層した規制帯23からは容器の内部を視認でき、内容液の性状を知ることができるが、他方、着色層11aを積層した領域からは内部を見ることができないような構成としている。
【0041】
なお、着色層11aは積層パリソンの押出し成形時に積層することができるので、規制帯23の左右両端部を含む周壁の全領域に亘って、外層11に容易に積層することができる。
また、規制帯23の左右端部にまで着色層11aを積層することにより、接着層15の存在や、接着層15による段差等を隠すことができる。
勿論、規制帯23の横幅のどこまでの範囲で、内部の視認を可能とするかは、内容液の視認性、容器の見栄え等を含めて適宜決めることができるものであり、
上記のように規制帯23の左右端部まで着色層11aを積層することなく、広い幅で内部を視認可能な構成とすることもできるし、逆に規制帯23の中央部の極く僅かな細帯状の領域で内部を視認可能な構成とすることもできる。
【0042】
次に、図2に示される本実施例の容器1を容器本体とし注出キャップ41と組み合せたクイズタイプの注出容器の例を説明する。
注出キャップ本体41は有頂筒状のキャップ本体42と、このキャップ本体42にヒンジ42hを介して一体設される蓋体43を有し、
キャップ本体42はネックリング2nを利用して打栓により乗り越え係止状に容器1の口筒部2に組付け固定される。
【0043】
キャップ本体42の頂壁には注出口47が配設され、この注出口47に対して第1弁体44が配設されている。
また、このキャップ本体42の頂壁には吸気孔46が配設されており、この吸気孔46に対して、第2弁体45が配設されている。
【0044】
次に、上記した図2に示されるクイズタイプの注出容器の使用態様について説明する。
図2のように構成された注出容器の胴部4をスクイズすると第1弁体44を開き、注出口47から内容液Lが外部に注出され、その分、内層13が減容変形する。
そして、容器1のスクイズを止め、胴部2に対する押圧を解除すると、外層11は弾性的な回復力により元の形に復元し始め、内層13の内圧が外気圧に戻り、第1弁体44が閉じ内容液Lの注出が止まる。
【0045】
さらに、外層の元の形への復元が進行すると、内層13は減容変形した形状を保持したまま、第2弁体45が開いて吸気孔46、通気孔12を介して外層11と内層13との層間に外気が吸引され、この際、外層11と内層13との剥離が進行する。図2ではある程度の量の内容液Lを注出した後の、内層13の減容変形の状態を二点鎖線で示している。
【0046】
次に、上記のような内容液Lの注出に伴う、内層13の減容変形の進行態様を図4、図5を参照して説明する。
図4は内層13の減容変形の進行の推移を示した概略説明図である。勿論、実際には内層13に皺や折り目ができる等し、不均衡に減容変形が進行するが、内層13の減容変形は、極く概略的には(a)→(b)→(c)→(d)の順に順次進行していく。
まず図4(a)は減容変形の初期段階で規制帯23に対して直角方向、図中では左右の位置で内層13が外層11から剥離すると共に扁平状に変形した状態を示し、図4(b)はさらに内層13の剥離と扁平化が進行し、左右中央部で左右の内層13が接触した状態を示す。
【0047】
図4(c)は注出の最終段階に近い状態を示しているが、(図5の拡大図も参照)、ここで規制帯23の幅を、容器1の大きさ、胴部4の断面形状等を考慮し、適宜の横幅に設定しておくことにより(本実施例では18mmとしている。)、このように内層13の減容変形がかなり進行した状態においても、内容液Lをほぼ全量使い切るまで、規制帯23近傍に、容器1の略全高さ範囲に亘って流動通路Fc(図4(b)、図4(c)参照)が確保されるので、最後まで良好な注出操作性を維持することが可能となる。
そして、図4(d)は、内層13の減容変形が理想的に達成され、内容液Lをほぼ全量、注出した状態を示す。
【0048】
そして、上記のように規制帯23近傍に、容器1の略全高さ範囲に亘って流動通路Fcが確保され、この流路Fcには内容液Lが充填されているので、使用中、内容液Lの残量に拘わらず、規制帯23を透して内容液Lを視認し、内容液Lがどんな種類のものかを確認することができる。
【0049】
他方、規制帯23の左右中央部を除く領域には着色層11aが積層しているため、この着色層11aにより、皺や折れ目等も含めて不規則に減容変形した内層13や内容液Lの偏在した状態を隠すことができ、さらには接着層15の左右の端部近傍での段差を隠すことができ、全体として見栄えの良い注出容器を提供することができる。
【0050】
ここで、本実施例では規制帯23の横幅を18mmとしたが、これは図4(d)に示される内層13の減容変形が理想的に達成された状態を想定して、算出、採用したものである。
すなわち、規制帯23の横幅をW、内層13の周長をLp、胴部の径をD、πを円周率とすると、図4(d)のような状態を想定すると、Lp=2D+4Wで、またLp=π*Dであるので、横幅Wは式、W=(1/4)D(π−2)で求めることができ、胴部4の径Dを65mmとすると、Wは18mm程度の大きさとなり、このように算出される値を目安に、実際の規制帯23の幅を決めることができる。
なお、本実施例は胴部4の平断面形状が円形で上記のような算出式により横幅Wの目安となる値を算出したが、たとえば平断面形状が楕円状や長円状の場合であっても、図4(d)のような状態を想定することにより、目安となる規制帯23の横幅を前もって算出することができる。
【0051】
次に、図7、8は本発明によるブロー成形容器の他の実施例を説明するためのもので、図7(a)は側面図、(b)、(c)はそれぞれ(a)中のC−C線、D−D線に沿って示す胴部4の周壁の縦断面図、また図8は図7(a)中のB−B線に沿って示すもので、図5と同様に規制帯近傍の状態を示す拡大平断面図である。なお、図7(b)、(c)では胴部4の外層11と内層13の積層構造は図示省略している。
【0052】
この容器1の外形、外層11、内層13、接着層15、着色層11a等の層構成、また左右に一対の規制帯23を配設した構成も含めて、図1に示す実施例の容器と同様であるが、縦方向に沿って7つの高さ位置に規制帯23の中央部を挟んで左右両側に横溝状に凹部8を形成している点が特徴的である。
なお、この凹部8は、図1の実施例に見られる周溝7と類似的ではあるが、この周溝7が規制帯23を含む、全周に亘って周設されているのに対し、本実施例の凹部8は左右に一対配設される規制帯23の一部でその形成がない(途切れている)のが特徴的である。
【0053】
図8は図7(a)中のB−B線に沿って示す、すなわち凹部8の底面8bに沿って示す規制帯23近傍の状態を示す拡大平断面図で、この図に示されるように、左右一対の凹部8は、規制帯23の左右中央部は残して、この中央部の左右の位置から規制帯23の左右の端部の方向に向けて横溝状に形成されている。
その結果、図8にあるように平断面でみると、左右に形成される凹部8の間の領域(すなわち、左右中央部)では、胴部4の周壁を外側に膨出状に屈曲するようにして凸部9が残存形成される。
従って凸部9の外周面は胴部4の外周面4pと一致している。
【0054】
そして、図4(c)から図4(d)に示されるように内容液の注出の進行がかなり進行した段階での内層13の変形態様を図8中、概略的に二点鎖線で示しているが、この変形態様に見られるように、内層13の流路Fcを塞ぐようなさらなる変形を凸部9の左右基端部、すなわち左右の凹部8の内周面4paで止めることができ、内容液Lの残量が少なくなった場合にも、この凸部9により内容液Lの縦方向の流路Fcを確実に確保することができる。
また、たとえ内層13の変形の態様が部分的に不規則になったとしても、この凸部9により流路Fcを確実に確保することができる。
【0055】
ここで、規制帯23の上下に隣接する凹部8の間に位置する領域では、凹部8の形成がないので通常の、凹凸のない周壁となるが、上下に隣接位置する凸部9により、上記説明したように内層13の変形が規制されるため、本実施例のように凹部8を縦方向に沿って多数配設し、上下に隣接する凹部8間の間隔を短くした場合には、凹部8を形成しない領域でも、内層13の流路Fcを塞ぐようなさらなる変形を抑制することができ、全体として縦方向の流路Fcを確実に保持することができる。
【0056】
また、上記のように規制帯23における内容液Lの視認用の窓としての機能を十分に発揮させるために凹部8を横溝状に形成したり、あるいは図1の実施例の容器のように面剛性を高めるために周溝7を形成すると、凹部や周溝により内周壁に形成される凹凸(段部)により残存した内容液Lのスムーズな流動が妨げられ、内容液Lを最後まで使い切ることが難しくなると云う恐れがあるが、
本実施例の容器1の構成によれば規制帯23の左右中央部に相当する位置では、容器1の胴部4の全高さ範囲に亘って、その内周面に凹凸のない縦帯状の平坦領域Rf(図7(a)、(b)参照)が残存形成されるため、この縦帯状の平坦領域Rfにより内容液をスムーズに流動させることができ、内容液Lが少なくなった状態でも注出操作をスムーズに実施することができると共に、内容液Lを略最後まで使い切ることができる。
【0057】
なお、上記したように流路Fcの確保という観点からは上記したように、規制帯23の縦方向に沿ってより多数の凹部を形成することが望ましいが、この凹部8の断面形状、延設長さ、左右の凹部の配設間隔、規制帯の縦方向に沿った配設数等の凹部の配設態様は、流路の確保と云う観点の他にも容器の剛性や座屈強度、外観、成形性等を考慮しながら適宜選択することができる。
たとえば、上記実施例では凹部8を規制帯23の中央部を除く領域に周設し、容器の面剛性を大きくするような構成としたが、規制帯23の中央部の左右に極く短かい凹部を配設するような構成でも、流路Fcを確保すると云う機能は発揮させることが可能である。
【0058】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
まず、上記実施例では本発明のデラミボトルタイプのブロー成形容器をスクイズタイプの注出容器の容器本体として利用した例を説明したが、ポンプ付き注出容器の容器本体としても利用することができる。
また、上記実施例では外層11としてLDPE樹脂、内層13としてナイロン樹脂を使用した例を示したが、容器のブロー成形性、外層11と内層13の剥離性等を考慮して、他の組み合わせとすることもできる。
また、上記実施例では胴部4を円筒状としたが、使用目的に応じて楕円筒状や長円筒状等、他の形状を選択することができる。
【0059】
通気孔12の配設位置に付いても、上記実施例では、口筒部2に配設する構成としたが、この吸気孔12はこの例に限定されるものでなく、スクイズタイプの注出容器に利用するか、ポンプ付き注出容器に使用するかも考慮し、たとえば、底シール部6等、口筒部2以外の部分に配設することができる。
また、外層に不透明層を積層するための具体的な手段としては、着色層を積層する方法の他にも、外層に着色不透明なラベルを貼着積層する方法を採用することもできる。また、塗装により不透明な塗膜を積層する方法も採用することができる。
【0060】
また、規制帯23を透して内部の視認が可能に、また規制帯23を除いた領域からは内部の視認が不能に構成する手段としては、上記したような外層11に不透明層を積層する方法に限定されるものではなく、
共押出して積層パリソンを成形する際、押出ダイの、外層を形成する管状流路内にマスターバッチで着色した溶融樹脂を供給すると共に、規制帯部分に成形される位置に無着色の同材質の溶融樹脂を供給し、軸方向に縦帯状の透明領域が形成された外層を有する積層パリソンを成形し、この積層パリソンをブロー成形する方法によっても、この規制帯23を透して内部の視認が可能に、また規制帯23を除いた領域からは内部の視認が不能にすると云う構成を実現することができる。
【0061】
また、上記実施例では規制帯23を一対の接着帯21とその間に位置する非接着帯22で構成しているが、図6に示すように比較的幅広の接着層15により規制帯23の全横幅に亘って外層11と内層13を接着固定する構成とすることもできる。
また、規制帯23の幅、配設位置、配設本数等の配設態様は、容器の形状、成形性、内容液の粘度等の性状を考慮して適宜決めることができ、使用目的に応じて規制帯23を1本だけとしたり、あるいは3本配設する構成とすることもできる。
また、上記実施例では形成される2本の規制帯23についていずれも内部の視認が可能な構成としたが、一方の規制帯23についてのみ内部の視認が可能な構成とし、他方の規制帯23については規制帯23を除いた領域と同様に内部の視認が不能な構成とすることもできる。
【0062】
また、図1に示される実施例では周壁の面剛性を高くするために胴部4に周溝7を配設した例を示しているが、必ずしも周溝を配設する必要はなく、周溝7の配設の有無は周壁の肉厚や容器の使用目的に応じて適宜選択することができるものである。

【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明のデラミボトルタイプのブロー成形容器は、内層の不規則な減容変形状態や、内容液の偏在を隠しながら、規制帯を透して内容液の残量に拘わらず内容液の性状が十分に確認できるようにしたものであり、スクイズタイプの注出容器やポンプ付き注出容器の容器本体として幅広い利用が期待される。

【符号の説明】
【0064】
1 ;容器
2 :口筒部
2n;ネックリング
3 ;肩部
4 ;胴部
4p;外周面
4pa;内周面
5 ;底部
6 ;底シール部
7 ;周溝
8 ;凹部
8b;底面
9 ;凸部
11;外層
11a;着色層
12;通気孔
13;内層
15;接着層
21;接着帯
22;非接着帯
23;規制帯
41;注出キャップ
42;キャップ本体
42h;ヒンジ
43;蓋
44;第1弁体
45;第2弁体
46;吸気孔
47;注出口
Fc;流路
L ;内容液
PL;パーティングライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻を形成する合成樹脂製の外層(11)と、該外層(11)と剥離自在に積層され内圧の減少による減容変形が自在に構成された内袋を形成する合成樹脂製の内層(13)を有し、前記外層(11)の所定の位置に、該外層(11)と内層(13)との層間に外部の空気を導入するための通気孔(12)を形成し、前記通気孔(12)を避けた位置に、前記外層(11)と内層(13)とを全高さ範囲に亘り接着層(15)により接着固定した縦帯状の接着帯(21)により、内層(13)の外層(11)からの剥離の進行を規制する規制帯(23)を形成、配設し、前記規制帯(23)を透して内部の視認が可能に構成し、また前記規制帯(23)を除いた領域からは内部の視認が不能に構成したことを特徴とするブロー成形容器。
【請求項2】
左右一対の接着帯(21)と、該一対の接着帯(21)の間に位置する非接着帯(22)により規制帯(23)を形成した請求項1記載のブロー成形容器。
【請求項3】
容器の中心軸に対して略軸対称の位置に一対の規制帯(23)を形成、配設した請求項1または2記載のブロー成形容器。
【請求項4】
規制帯(23)を除いた領域からは内部の視認が不能に、外層(11)に不透明層を積層した請求項1、2または3記載のブロー成形容器。
【請求項5】
規制帯(23)の少なくとも左右中央部を除いた全周に亘る領域で、外層(11)に同材質で着色不透明な着色層(11a)を積層した請求項4記載のブロー成形容器。
【請求項6】
規制帯(23)の少なくとも左右中央部を除いた全周に亘る領域で、外層(11)に着色不透明なラベルを貼着積層した請求項4記載のブロー成形容器。
【請求項7】
外層(11)をスクイズ変形可能で、復元自在な可撓性を有するものとした請求項1、2、3、4、5または6記載のブロー成形容器。

【請求項8】
規制帯(23)の縦方向に沿った複数の所定高さ位置に、前記規制帯(23)の少なくとも左右中央部を除いた左右の所定位置から、該規制帯(23)の左右の端部の方向に向けて一対の凹部(8)を横溝状に形成した請求項1、2、3、4、5、6または7記載のブロー成形容器。
【請求項9】
凹部(8)を、規制帯(23)の左右の所定位置に挟まれる領域を除く領域に周状に延設する構成とした請求項8記載のブロー成形容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−91865(P2012−91865A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145907(P2011−145907)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】