説明

プッシュ−プッシュ式挿入/引抜き機構、MT型コネクタ、及びシャッタ付きアダプタを備える多芯光ファイバ相互接続システム、並びにその使用方法

長手方向軸に沿って光ファイバアレイを保持するコネクタを備える光ファイバ相互接続システム。アダプタは、コネクタに第1の押進力を加えたときにコネクタを受け入れるとともにコネクタと結合するように構成されるプッシュ−プッシュ式結合機構を備える。コネクタは、コネクタに第2の押進力が加わるとアダプタと係合解除して抜くことができる。押進力は、スタイラス部材を用いることによって押進領域に加えることができる。
コネクタの一方のみがアダプタ内に挿入されるときに、塵埃及び他の夾雑物並びに眼損傷から保護するために、ばね付勢式自動シャッタがアダプタ内に設けられる。コネクタとアダプタとを係合解除するリリース機構により、小型コネクタが扱いやすくなる。リリース機構が動作すると、コネクタとアダプタの切り離しは、強い引張力を必要とせずに能動的に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年1月12日付で出願された「シャッターコネクタとシャッターアダプタを有する超小型フォームファクターの単芯光ファイバー相互接続システム(Ultra-Small, Form Factor Single Fiber Optical Interconnect System With Shuttered Connector and Shuttered Adapter)」と題する米国特許出願第11/036,306号の一部継続出願である、2005年6月17日付で出願された「プッシュ−プッシュ式の挿入/引抜き機構、シャッターモジュラーコネクタおよびシャッターアダプタを有する超小型フォームファクターの単芯光ファイバ相互接続システム、並びにその使用方法(Ultra-Small, Form Factor Single Fiber Optical Interconnect System, With Push-Push Type Insertion/Withdrawal Mechanism And Shuttered Modular Connector And Shuttered Adapter And Method For Using Same)」と題する米国特許出願第11/155,360号の一部継続出願である、2005年6月24日付で出願された米国特許出願第11/166,556号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、光ファイバ又は光ファイバ相互接続システムに関し、より詳細には、ファイバコネクタと、光ファイバケーブルの端どうしの正確な突き合わせのための対応のアダプタとから成る多芯光ファイバ相互接続システムに関する。より詳細には、本発明はさらに、「プッシュ−プッシュ式」挿入/引抜き機構を備える、光ファイバコネクタと対応のアダプタとから成るMT式相互接続システム、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバ分野では、単一チャネル/多重チャネルコネクタ及びアダプタの双方においてコネクタとアダプタとを接続又は接続解除する必要がある場合が多い。ここに開示される本発明は主として多芯ファイバ用途に適用される。光ファイバ用途、特に、多芯ファイバコネクタ又は多芯ファイバフェルールが小型サイズ、ルーチング、又は他の考慮事項により都合よく達成可能ではない場合において、より高密度の相互接続システムの需要が依然として増え続けている。
【0004】
光ファイバ分野では、或るファイバから別のファイバに光を恒久的又は一時的に伝送する必要性がある場合が多い。光コネクタプラグ又はコネクタは、このために用いられる解決策の1つである。光コネクタプラグで終端処理したファイバを、接続を断ち切るために、又は異なるファイバに光を送るために、必要に応じて互いに結合及び接続解除することができる。光コネクタプラグは、単芯ファイバ又は多芯ファイバの形態とすることができる。単芯ファイバコネクタプラグ(シンプレックスコネクタプラグ)は、或る一つのファイバだけを別の単芯ファイバへ接続する。多芯ファイバコネクタプラグでは、複数のファイバが別の組の同様のファイバと同時に結合する。
【0005】
従来、多芯ファイバコネクタでは、接続は、MT型フェルールの使用により達成される。たいていプラスチックから製造され得るフェルールは、光ファイバよりも若干大きい直径の複数のチャネルを有する。使用の際、光ファイバは、チャネルに挿入されて、例えばエポキシ樹脂(ただしこれに限定されない)の接着剤、又は機械式クランプを用いてその内部に固定されたままにされる。ファイバの端部は、好ましくは、平坦であるように、又はフェルールの端面からわずかに突出するように作製され、次いで、概して、非常に滑らかな表面の光学品質を与える研磨手順又は他の手段により仕上げされる。
【0006】
2つのコネクタはアダプタを用いて突き合わされる。各コネクタは、好ましくはフェルール及びフェルールホルダを備える。2つの突き合わせコネクタの一方は通常、一対の位置合わせピンを設けたフェルールを有し、他方のコネクタは、一対の位置合わせ穴を設けたフェルールを有する。最新の光ファイバコネクタは通常、制御された力によりフェルールを互いに対向して押圧するばね機構を有し、それにより、フェルール端の双方を物理的に接触させることで光学的接続性能を高めるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ファイバの端部の終端処理又は研磨は、非常に複雑で繊細な手法であるため、ファイバ位置がフェルールの端面の表面を若干下回る又は上回ることになる。フェルール端からのファイバの突出は、物理的に接触しているときのファイバの端部の損傷を回避するように非常に厳格な許容差に制御されねばならない。ファイバ間の圧力は、弾性領域内にガラスを保持するために、そしてそれによって、2つのコネクタが合わされたときにファイバの破壊及びフェルールのチャネル内部でのファイバの移動(ピストン移動)が起こらないようにするために、狭い範囲に保たれなければならない。特に、光が通るファイバの中心コア部に、引っ掻き及び他の瑕疵のない、非常に滑らかな表面を得ることもまた非常に重要である。特に、フェルール端及びファイバが一緒に研磨されることが好ましいため、この工程中、放出されたフェルール材料がファイバの端部に損傷を与えないようにすることが必要である。
【0008】
光ファイバコネクタプラグにごみ又は塵埃等の夾雑物がないようにすることも非常に重要である。ファイバの端部のごみ又は塵埃は光を散乱又は吸収する可能性があり、この光の散乱又は吸収は信号を過剰に損失させるとともに対応のシステム性能を劣化させる。コネクタプラグの内部に夾雑物があることにより、同様の結果との不一致が生じ得る。同様に、伝送される光の強度により、意図せぬ目視からユーザを保護して眼に損傷を与えないようにする。
【0009】
光ファイバ用途でのより高密度の相互接続システムの必要性もまた、依然として増え続けている。本発明による、標準MT型フェルールを有する多芯ファイバコネクタの導入により、非常に高密度の構成を可能にするプッシュ−プッシュ式機構を有する小型の多芯コネクタ/アダプタシステムが得られた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一目的は、従来の光ファイバ相互接続システムを達成し、作動させることが困難な環境での迅速且つ都合のよい接続/接続解除動作のためにプッシュ−プッシュ式機構を有する、高密度用途に適した、フットプリントの小さい多芯光ファイバ相互接続システムを提供することである。本明細書に開示されるシステムの一実施の態様は、2つの小型コネクタ及びアダプタを備える。小型コネクタは、多重チャネル標準MTフェルールを扱うことができるため、光ファイバを露出させた状態でケーブル接続することを可能にする。プッシュ−プッシュ式機構は、コネクタの内部ばねによって、また、アダプタ内の2つの同一ばねによって制御され、コネクタがアダプタの内部に対し接続又は接続解除される際に自動的に作動する。本発明のこのような形態では、コネクタを第1の時間押進し続けることによりコネクタをアダプタに接続し、その一方、コネクタを第2の時間押進し続けることによりコネクタをアダプタから接続解除するようになっている。
【0011】
コネクタは、一つの実施の態様では光ファイバを露出させてケーブル接続させるように標準MTフェルールを扱うことができる。フェルールは、主にプラスチック、または他の材料から製造することもでき、これらの材料として、セラミックス、金属、及びガラスが挙げられるが本発明の範囲から逸脱しない限り、それらに限定されない。本発明のこの形態では、塵埃及びレーザによる切屑から保護するシャッタがアダプタの両側に位置している。シャッタは、好ましくは、ばね機構により制御され、コネクタとアダプタとが取り付けられるか又は切り離されたときに自動的に開閉する。接続をしっかりと合わせたままにするラッチも設けられ、コネクタとアダプタとを能動的に結合解除する解除機構がコネクタの本体内に設けられる。アダプタはまた、EMI(電磁気干渉)から保護するような材料から作製されるか又はそのように被覆されることが好ましい。
【0012】
アダプタは、嵌合又は接続プロセス中、フェルールの位置合わせを可能にするのに十分な自由な動き(freedom)を与えられるように設計される。理想的には、この目的は、アダプタハウジング内にフェルールの遊動接続を与えることである。このことはまた、光軸に対して約8度の好適な実施の態様を含めた広範の角度に研磨された端を有することができる角度研摩したフェルールを使用するコネクタに関してあてはまる。フェルールの傾斜端は、面どうしを突き合わせた態様の2つのコネクタの突き合わせ表面である。
【0013】
本発明のシャッタ付きアダプタ形態の好適な一実施の態様では、アダプタシャッタ機構は、アダプタの各端の垂直軸を中心に回動するように取り付けられるシャッタドアのカムに作用する蛇行状ばね(serpentine-shaped spring)を備える。シャッタドアを通常の閉位置に付勢する他の形式のばね及び手段(例えば、ばねクリップ、コイルばね、トーションばね、及び弾性材料が挙げられるがこれらに限定されない)が、本発明の範囲内にあると考えられるものとする。アダプタがコネクタを開端に挿入されていない場合、蛇行状ばねが開端のシャッタドアのカムに押し当たり、その閉位置に付勢させる。コネクタがアダプタの開端に押し込まれると、コネクタの前面がアダプタシャッタドアに押し当たり、アダプタシャッタドアにかかる蛇行状ばねの力を克服して、シャッタドアを開位置に自動的に移動させるようになっている。
【0014】
コネクタの内部のフェルールのばね付勢は、好ましくは、コネクタハウジング内でフェルールを前方に付勢する役割を果たす2つのコイルばねによってもたらされるが、フェルールを前方に付勢する他の形式のばね及び手段(例えば、ばねクリップ、トーションばね、及び弾性材料が挙げられるがこれらに限定されない)が、本発明の範囲内にあると考えられるものとする。
【0015】
本発明の多くの他の特徴及び利点は、本発明の以下の詳細な説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかとなろう。ただし、同様の参照符号は同様の部品を指す。
【0016】
システムの構造は、本明細書に記載の以下の図面の説明によってよりよく理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、多くの種々の形態の実施形態に付すことができ、いくつかの具体的な実施形態が図面に示されるとともに本明細書中詳細に説明されているが、本開示は、本発明の原理の例示と見なされるにすぎず、また、本願は添付の特許請求の範囲にのみ限定されることを理解されたい。
【0018】
図1〜図7を参照すると、プッシュ−プッシュ式挿入/引抜き機構を備えた小型のMT型コネクタ/アダプタシステムが示されている。小型のMT型コネクタ/アダプタシステムは、雄コネクタ1、アダプタ2、及び雌コネクタ3を備える。
【0019】
図1では、雄コネクタ1は、直線状のストレインリリーフブーツ(strain relief boot)4がアダプタ2に挿入される前の位置にある状態で、光ファイバリボンケーブル用に設計された構造として示されており、雌コネクタ3は、アダプタ2中に完全に挿入されて突き合わせ状態に固定されたときにリボンが露出するように設計された小さなストレインリリーフブーツ6を有するものとして示されている。異なるジェンダー、異なるブーツ、フェルール型形式(単芯型及び多芯型)、複数のチャネル等とのコネクタ形式の任意の他の組み合わせが可能であり、この組み合わせは本発明の範囲内にあると考えられるものとする。
【0020】
図2は、図1の雄コネクタ1の等角投影図であり、雄コネクタとなる2つのピン8を有する小型のMT型フェルール7を示す。同図は、2つのラッチ開口10(一方の開口しか見えない)及びデュアルピン11を有するフロントハウジング9も示す。さらに、同図は、プッシュタブ13及び直線状のストレインリリーフブーツ4を有するリアハウジング12を示す。ブーツの異なる構成(例えば90°、60°、45°等)のブーツが本発明の範囲内にあると考えられるものとする。
【0021】
図3は、図2のコネクタ1の一部分解図である。同図は、後方からMTフェルール7に挿入される内部ブーツ14を有するMTフェルール7を示す。同図はまた、予め組立てられたピンホルダ15及び2つの位置合わせピン16も示す。ピンホルダ15は、コネクタ1の雄形状を形成する場合のみピン16と予め組立てられることを理解されたい。コネクタ1が雌形状として組立てられる場合は位置合わせピン16を設けない。
【0022】
ピンホルダ15(位置合わせピン16を有する又は有さない)は、2つのコネクタばね17によりフェルール7に直進して押し当たるか又はフェルール7を付勢する。リアハウジング18は、ばね17用の2つのネスト(nest)を有することで、ばねがピンホルダ15に押し当たり、結果として、コネクタハウジング9の内側のストッパ(図示せず)までフェルール7に押し当たる。リアハウジング18は、好ましくは、2つのラッチ19によりコネクタハウジング9の内側に固定され、このラッチ19はコネクタハウジング9の2つの開口10にスナップ嵌めする(一方のラッチ及び一方の開口しか図示せず)。フェルール7は、接続されると、ファイバ間の最適な接触のために設計された標準力でばね付勢される。リアハウジング18はタブ20も有し、このタブ20を用いて、密度が高く隙間がないため人の指で挿入又は引抜きすることができない場合にペン又はスタイラスにより雄コネクタ1を押進させることで挿入又は引抜きする。
【0023】
さらに、リアハウジング18は、好ましくは、光ファイバケーブルのアラミドヤーン用の保持手段として、楕円状圧着管22とともに役割を果たす溝付き尾部21を有する。コネクタのリボンが露出した形態では、リアハウジング18には溝付き尾端がなく、圧着管がないことを理解されたい。
【0024】
雄コネクタ1はまた、露出したリボンとの使用のため、ケーブル又は小ブーツ6(図1の雌コネクタ3に示されている)とともに用いるためにストレインリリーフブーツ4(多くの種々の形状とすることができる)を有することが好ましい。
【0025】
次に、図4を参照すると、アダプタ2は両端に、2つのコネクタ1及び/又は3(図1を参照)が挿入されることが意図された2つの開口23及び24を有して示されている。図4は、ホルダー(すなわちアダプタの各種部品を合わせて保持する)としての役割を果たす外殻25、及び内部部品すべてのカバー、並びにEMIシールドも示す。アダプタ2はまた、好ましくは、2つのラッチ5(一方のラッチしか見えない)及び2つのストッパ26(上側のストッパしか見えない)を有し、これらは、特定の厚みを有するパネル(図示せず)にアダプタを取り付けるのに役立つように設計される。アダプタは、フランジがないものとして示されているが、本発明の範囲から逸脱しない限りフランジ付きであってもよいことが理解される。
【0026】
図5は、プッシュ−プッシュ式アダプタ2(図4を参照)の分解図を示す。この図では、2つのプッシュ−プッシュ式機構27は、開口23及び24それぞれの付近に示されている。各機構27は、三叉ばねクリップ28、フリッパ29、及びネスト30から成り、ネスト30は、これを中心にフリッパ29が回動又は枢動する縦軸としての役割を果たす。また、図5には、デュアルシャッタ機構31及びそのカバー32が示されている。図5はまた、2つのカム34を外方に付勢する2つの蛇行状ばね33を示し、これらの2つのカムはそれぞれ、内側シャッタ35及び36に垂直に取り付けられた各端に各自取り付けられる。この例のシャッタはそれぞれ、縦の回動軸を有する。コネクタ1がアダプタ2の受け開口23及び24に挿入されない場合、ばね付勢カム34は、ばね33により押圧され、内側シャッタ35および36が閉位置にくるように回動して、塵埃及び他の夾雑物から保護するとともに、伝送される光の強度により眼が損傷しないようにする。本発明の範囲から逸脱しない限り、コネクタは雄コネクタであっても雌コネクタであってもよいことが理解される。
【0027】
アダプタはまた、好ましくは、整合スリーブ(図示せず)を含むバレルを有し、整合スリーブは、バレルの内側を或る程度自由に遊動し、それにより、2つのフェルールを最適に整合させてアダプタ2の2つの両側から物理的に端どうしを接触した状態に係合させるのに役立つ。
【0028】
デュアルピン11(図2に示す)は、プッシュ−プッシュ式機構27のアクチュエータとしての役割を果たすため、プッシュ−プッシュ式機構27の一体部品となることを理解されたい。各三叉ばねクリップ28は、プッシュ−プッシュ式機構27が作動しないときにアダプタの長軸と一列に中間位置にフリッパ29を保つ2つの側部アーム37を有する。三叉ばねクリップ28はまた、デュアルピン11(図2を参照)との一定の接触を維持するようフリッパ29を下方に押すとともに、アダプタ2に対するコネクタ1の挿入/引抜きの際にプッシュ−プッシュ式作用を行う、水平方向に位置するアーム39を有する。アダプタ2とのこのような係合及び保持関係となるコネクタ1の挿入は、特に、スタイラス、ペン先、ペーパークリップ端等を用いることによってタブ13(図2を参照)に対し長手方向の力を加えることにより達成することができる。
【0029】
図6a及び図6bはフリッパ29を詳細に示す。図6aはフリッパ29の底部表面の等角投影図であり、図6bはフリッパ29の底面図である。図6a及び図6bは、フリッパ29がピン40を有し、このピン40の縦軸Xを中心にフリッパ29がプッシュ−プッシュ式動作の際に左右に揺動又は枢動することになる。また、突起43の傾斜カム面41及び42、並びに突起45の傾斜カム面44も示され、これらの傾斜カム面は、挿入/引抜き動作の際、デュアルピン11(図2を参照)がそれぞれ前方へ動くか後方に動くかに応じて、フリッパ29をコネクタ1のデュアルピン11との直接接触に基づき、左右に揺動するように付勢する。
【0030】
図7dにさらに示すように、突起45のV字状溝面46は、2つの内部コネクタばね(図示せず)の力を用いてデュアルピン11の四角部を保持することによって、コネクタ1をその合わせ位置に保持する。カム48及び49は、フリッパ29の傾斜縁(ramped edge)50及び51にわたって移動しやすくさせるとともに、これらの縁50及び51の傾斜していない対向する縦側により、アダプタ2に対するコネクタ1の挿入/引抜きの際にフリッパ29が摺動し戻るとともに間違った方向に揺動しないようになっている。押進力Pp1が図7cに示すようにストッパとしての役割を果たす突起43の面42に達するまで、図7bの左側に進み続け、その一方、フリッパ29は、図6aに示すようにピン40の中心を通って縦方向に延出する軸Xを中心に上方に回動する。
【0031】
図7a〜図7fは、アダプタ2に対するコネクタ1の挿入/引抜きの際のフリッパ29とデュアルピン11との相互作用を概略的に示す。これらの図では、矢印F及びFは、ばねクリップ28(図5を参照)の2つの側部レッグ37によって生じる右方向付勢力及び左方向付勢力を表す。これらの力は、フリッパ29を非作動時に本来の位置に保つようにする。矢印Pp1は、第1の「押進」動作の際にコネクタ1がアダプタ2内へ移動するときの挿入力を表す。矢印Pは、2つの主要なコネクタばね(図7には示さず)によって与えられる力を表し、この力は、(1)コネクタ1をアダプタ2と合わせる位置に保つようにするか、又は(2)第2の「押進」動作後にアダプタ2の内部からコネクタ1を押進させるようにする。
【0032】
図7eに示すように、矢印Pp2は、第2の「押進」動作の力を表す。また、図7a〜図7fはそれぞれ、仮2mm定規を示し、挿入/引抜きプロセスの各ステップの際の、フリッパ29の、先に説明した要素とデュアルピン11の四角及び円形の要素の双方との異なる相対位置を示す。
【0033】
図7a〜図7cを参照すると、動作の際、アダプタ2(図4)の開口24に嵌め入れられるまで、図7aの矢印Pp1の方向にコネクタ1を押進させることで接続が開始する。コネクタ1のピン11の四角部分は、表面44と接触し、次いで、それに沿って摺動するため、傾斜面42に係止することによって停止位置(図7c)に達するまで、カム傾斜面48に沿ってガイドされる。したがって、アダプタ2の内部へのコネクタ1のさらなる移動が阻止される。フリッパ29は、ピン40及びホール30(図5)に対応して、軸Xを中心に自由に回動するため、ばねクリップ28の側部レッグ37により与えられるばね力Fが克服され、ピン11が図7cに示すように表面42に対し停止位置に達するまでフリッパ29が図7bに見られるように反時計回りに回動する。コネクタ1が解放され、アダプタ2の内部へもはや内方に押進されなくなると、ばねクリップ28の付勢力F及びFは、図7dの中央位置にフリッパを戻し、カム傾斜面48は、ピン11を下方に付勢して係止位置におき、図7dに示すように、ピン11の四角部分を捕捉することによって表面50及び46を当接させるようにする。
【0034】
コネクタ1をアダプタ2から外して抜くには、コネクタ1を図7e及び図7fに見られる長手方向軸に沿ってアダプタ2の内側へ向けて再び内方に押進させる。次いで、ピン11を以下のように係止位置から脱座させる。内向きの力Pp2を加えると、ピン11が、傾斜面49上方にカム傾斜面41に沿って移動し(そのため、表面50及び46の間にはもはや捕捉されない)、表面51に沿って摺動する。ピン11が解放されると、コネクタ1をアダプタ2から抜くことができる。フリッパ29は、軸Xを中心に回動することができるため、付勢力Fが克服され、フリッパ29は、図7e及び図7fに見られるように時計回りに回動する。
【0035】
上記教示に鑑みて、本発明の多くの変更及び変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で具体的に説明した以外の他の方法で本発明を実施することができるということを理解すべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り本明細書中に説明される本発明の構造の構成、動作、及び詳細において、種々の変更、改変、及び変形を行うことができる。本開示は、例示的なものであり、本発明を限定することは意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の小型コネクタ/アダプタシステムの全体的な斜視図である。
【図2】図1に示す小型コネクタの斜視図である。
【図3】図2に示す小型コネクタの一部分解図である。
【図4】図3の小型コネクタ用のアダプタの斜視図であり、コネクタを各端において各開口に受け入れる複数の開口が示されている。
【図5】各自のカムを有するシャッタ、通常、内部に収容されているS字ばね、及び取り外されている状態の外殻を示す、図4のアダプタの分解斜視図である。
【図6a】本発明のフリッパの底部の斜視図である。
【図6b】図6aのフリッパの底面図である。
【図7a】プッシュ−プッシュ式の挿入/引抜きを行っている間のアダプタのフリッパ及びコネクタのデュアルピンの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【図7b】プッシュ−プッシュ式の挿入/引抜きを行っている間のアダプタのフリッパ及びコネクタのデュアルピンの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【図7c】プッシュ−プッシュ式の挿入/引抜きを行っている間のアダプタのフリッパ及びコネクタのデュアルピンの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【図7d】プッシュ−プッシュ式の挿入/引抜きを行っている間のアダプタのフリッパ及びコネクタのデュアルピンの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【図7e】プッシュ−プッシュ式の挿入/引抜きを行っている間のアダプタのフリッパ及びコネクタのデュアルピンの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【図7f】プッシュ−プッシュ式の挿入/引抜きを行っている間のアダプタのフリッパ及びコネクタのデュアルピンの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多芯光ファイバ相互接続システムであって、
長手方向軸に沿って複数の光ファイバを保持するコネクタと、
該コネクタと動作可能に接続するように構成されるアダプタと
を備え、
前記アダプタは、第1の押進力が前記コネクタに加えられると前記コネクタを受け入れるとともに該コネクタに結合して、動作可能な接続方式で前記コネクタを取り外し可能に嵌め入れるように構成される結合機構を備え、
前記結合機構はさらに、第2の押進力が前記コネクタに加えられると前記コネクタを前記アダプタから結合解除することが可能であり、それにより、前記コネクタを前記アダプタから引き抜くことができる、多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項2】
前記押進力は前記長手方向軸に沿って加えられる、請求項1に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項3】
前記コネクタはさらに、前記押進力を加えるための押進領域を外部に有する、請求項1に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項4】
スタイラス部材を用いて前記押進領域に前記押進力を加える、請求項2に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項5】
前記コネクタはストレインリリーフブーツを備える、請求項1に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項6】
前記ストレインリリーフブーツは直線状である、請求項5に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項7】
前記ストレインリリーフブーツは傾斜している、請求項5に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項8】
前記アダプタは、前記結合機構へのアクセスを選択的に防止して夾雑物及び眼損傷から選択的に保護するようにするシャッタをさらに備える、請求項1に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項9】
前記シャッタは、前記コネクタが前記アダプタに接続されていないときに閉位置にばね付勢される、請求項8に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項10】
多芯光ファイバコネクタとアダプタとを接続及び接続解除する方法であって、
前記アダプタが前記コネクタを嵌め入れるまで前記アダプタへ向けて第1の押進力を前記コネクタに加えるステップと、
動作可能な構成で前記コネクタを前記アダプタと係合させるステップと、
前記コネクタを前記アダプタから係合解除するとともに抜くことを可能にするように、前記アダプタへ向けて第2の押進力を前記コネクタに加えるステップと
を含む、多芯光ファイバコネクタとアダプタとを接続及び接続解除する方法。
【請求項11】
スタイラス部材を用いることであって、それにより、前記押進力を前記コネクタに加えて前記コネクタを前記アダプタに対し接続及び接続解除する、スタイラス部材を用いることをさらに含む、請求項10に記載の多芯光ファイバコネクタとアダプタとを接続及び接続解除する方法。
【請求項12】
多芯光ファイバ相互接続システムであって、
長手方向軸に沿って複数の光ファイバを保持するコネクタと、
前記コネクタと動作可能に接続するように構成されるとともに内部を有するアダプタと
を備え、
前記コネクタは、該コネクタに固着されるとともに該コネクタから突出して前記アダプタの前記内部に挿入することが可能な一対のピン部材を備え、
前記アダプタは、第1の押進力が前記コネクタに加えられると前記コネクタを受け入れるとともに該コネクタに結合して、動作可能な接続方式で前記コネクタを取り外し可能に嵌め入れるように構成される結合機構を備え、
前記結合機構は、前記第1の押進力が前記コネクタに加えられる際に前記アダプタと前記コネクタとが係合すると前記ピン部材を保持することが可能なばね付勢式ピボット部材をさらに備え、
前記ピン部材は、第2の押進力が前記コネクタに加えられると前記コネクタを前記アダプタから係合解除するとともに抜くことができるように自由位置に付勢される、多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項13】
前記第1の押進力及び前記第2の押進力は、前記長手方向軸に沿ってほぼ同じ方向に加えられる、請求項12に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項14】
前記ピン部材は、ほぼ四角の横断面を有する部分を有することで、取り外し可能に前記ピボット部材と係合する、請求項12に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項15】
前記アダプタは、該アダプタの前記内部へのアクセスを選択的に防止して夾雑物及び眼損傷から保護するようにするシャッタをさらに備える、請求項12に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項16】
前記シャッタは、前記コネクタが前記アダプタの前記内部に挿入されていないときに閉位置にばね付勢される、請求項15に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項17】
多芯光ファイバ相互接続システムであって、
内部、及び該内部につながる両端に少なくとも2つの開口を有する本体と、
少なくとも2つのコネクタと
を備え、
前記コネクタはそれぞれ、前記本体の前記端の開口を介して前記本体の内部に嵌め入れることが可能なフェルールを備え、
前記本体はさらに、前記本体内での、少なくとも2つのコネクタのうち第2のコネクタのフェルールとの動作可能な位置合わせされた端どうしの接触状態で、前記少なくとも2つのコネクタのうち第1のコネクタの前記フェルールを嵌め入れることが可能である、多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項18】
前記フェルールは、前記少なくとも2つのコネクタ内でばね付勢される、請求項17に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項19】
前記少なくとも2つのコネクタのそれぞれの前記フェルールの前記ばね付勢は、前記コネクタ内で前記フェルールを前方に付勢する役割を果たす2つのコイルばねによってもたらされる、請求項18に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項20】
前記コネクタは、ストレインリリーフブーツを備える、請求項17に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項21】
前記ストレインリリーフブーツは直線状である、請求項17に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項22】
前記ストレインリリーフブーツは傾斜している、請求項17に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項23】
前記アダプタは、前記少なくとも2つの開口を選択的に覆う一対のシャッタをさらに備える、請求項17に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。
【請求項24】
前記シャッタは、前記少なくとも2つのコネクタが前記本体の前記内部に挿入されていないときに閉位置にばね付勢される、請求項23に記載の多芯光ファイバ相互接続システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【公表番号】特表2008−527442(P2008−527442A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550358(P2007−550358)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/038013
【国際公開番号】WO2006/076061
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000101385)アダマンド工業株式会社 (26)
【出願人】(507097936)イルム テクノロジーズ インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】