説明

プッシュオンスイッチ

【課題】各種電子機器の入力操作部に用いられるプッシュオンスイッチに関し、薄型小型でスイッチ操作時の接触安定性に優れるものを提供することを目的とする。
【解決手段】中央に略円錐台状の凸部11Bを設けた略矩形の金属板製の第一接点板11に対し、積層構成となるように、中央に円形の中央孔13Aが設けられたLCP樹脂製のスペーサ13と、中央に円形の中孔12Bを設けた略矩形の金属板製の第二接点板12を位置させ、熱圧着によりアンカー効果で固着させた。そして、第二接点板12上に、接触用突起14Aを設けた可動接点14を配し、さらにその上方から粘着剤16を塗布した保護シート15を貼り合わせた構成とし、押圧操作時に可動接点14の接触用突起14Aが、第一接点板11の凸部11Bを構成する側部近傍となる上面箇所に当接する構成のものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作部に用いられるプッシュオンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器は、電子機器の小型、軽量化並びに薄型化とあわせて、多機能化が留まることなく進んでおり、その操作部に用いられるプッシュオンスイッチについても、小型薄型化されたものへの強い要望がある。
【0003】
このような従来のプッシュオンスイッチについて、図7〜図9を用いて説明する。
【0004】
図7は従来のプッシュオンスイッチの断面図、図8は同分解斜視図であり、同図において、1は上方開口の凹部内底面に中央固定接点2とその中央固定接点2を挟む点対称位置の2箇所に外側固定接点3が露出した合成樹脂製のケースで、中央固定接点2に接続されている端子2Aおよび外側固定接点3に接続されている端子3Aは、ケース1の外方に導出されている。
【0005】
4は上方凸形のドーム状に形成され、下面に良導電性の表面処理がなされた弾性金属薄板からなる可動接点で、上記ケース1の凹部内に収容され、その外周下端が外側固定接点3上に載り、中央部下面は中央固定接点2の上面と間隔を有して対向している。
【0006】
5は下面に粘着剤(図示しない)が設けられた絶縁性フィルムからなる保護シートで、上記ケース1の凹部上面を覆うように、下面の粘着剤でケース1上に粘着固定されている。
【0007】
以上のように従来のプッシュオンスイッチは構成されており、次にその動作を説明する。
【0008】
まず、保護シート5の上方から可動接点4のドーム状の中央部分に押圧力を加えていき、その押圧力が所定の力を超えると、図9に示すように、可動接点4のドーム状の中央部分がクリック感を伴って下方凸形に弾性反転し、その中央部下面が下方の中央固定接点2に接触する。これにより、可動接点4を介して外側固定接点3と中央固定接点2が導通し、対応する端子2A,3A間がスイッチオンとなる。
【0009】
そして、上記押圧力を解除すると、可動接点4のドーム状の中央部分がクリック感を伴って元の上方凸形に弾性復帰し、中央固定接点2から離れて、対応する端子2A,3A間がスイッチオフとなるものであった。
【0010】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−297175号公報
【特許文献2】特開2002−63823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のプッシュオンスイッチにおいては、中央固定接点2と外側固定接点3及び、対応する端子2Aと端子3Aをインサート成形してケース1を形成していたため、今以上に厚みを薄くすると合成樹脂の薄肉部分で充填不足になりやすく、更なる小型薄型化に対応することが困難であるという課題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ケースに相当する部材を新たな構成として薄型化に対応すると共に、スイッチ操作時での接触安定性にも優れる構成とした小型のプッシュオンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0015】
本発明の請求項1に記載の発明は、導電性金属薄板からなる平板状で、中央位置にその板金素材を上方に向けて打ち出して形成した凸部が設けられると共に、端部に第一端子を備えた第一接点板と、この第一接点板に対面し、中央に中孔を有した導電性金属薄板からなる平板状で、端部に第二端子を備えた第二接点板と、上記第一接点板と上記第二接点板との間に介在し、アンカー効果で、上記第一接点板と上記第二接点板のそれぞれと固着して一体化された、中央孔を有した絶縁性のLCP樹脂(液晶ポリマー)からなる薄膜のスペーサと、上記第二接点板上に当接載置され、下方に突出する接触用突起を有した中央部下面が上記第二接点板の中孔および上記スペーサの中央孔を介して上記凸部を含む上記第一接点板の上面と間隔をあけて対面した可動接点と、この可動接点を保持して上記第二接点板上面に装着された可撓性を備えた蓋体とからなり、押圧操作して上記可動接点が反転動作した際に、上記可動接点の上記接触用突起が上記第一接点板の凸部を構成する側部近傍となる上面箇所に当接する構成としたことを特徴とするプッシュオンスイッチとしたものである。
【0016】
当該構成であれば、従来品のケースに相当する部材を、導電性金属薄板からなる2枚の接点板の間をスペーサの熱圧着によるアンカー効果で固着させた積層構成のものにできるため、2枚の接点板とスペーサの厚みに対応した薄型化が可能となる。また、従来品ではケースの凹部を形成するために、外壁部分を必要としたが、当該構成では、可動接点を第二接点板上に配する構成のため、その分の外形の小型化も図れたものにできるという作用を有する。
【0017】
さらに、押圧操作時に第一接点板の中央に形成した凸部の側部近傍となる上面箇所に可動接点の接触用突起を当接させる構成としているため、凸部の高さ及び接触用突起の高さを適宜設定することによって、接点間距離を適正な距離に容易に設定できると共に、当該当接箇所は凸部を構成している側部で間接的に支えられるため、繰り返し操作をされても凸部の陥没などの発生も防止でき、押圧操作時に安定した接触状態が長期に亘って維持されるものとして提供することができるという作用を有する。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、可動接点の接触用突起が仮想円に沿うように、複数個、点在して設けられ、凸部は、上記仮想円よりも若干大きい径の略円錐台状の一つのみが設けられているものであり、凸部形成が簡素にできると共に、スイッチ操作時に多点で安定した接触状態になるものに実現できるという作用を有する。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、可動接点内の空気が外部と通気可能となるように通空路を設けたものであり、可動接点の動作に応じて圧縮状態又は負圧状態となった可動接点内の空気が、通空路を介して流出入するものにでき、クリック感触の鈍化が抑制できるという作用を有する。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の発明において、第一接点板の凸部が環状で形成されているものであり、接触用突起と当接する箇所が凸部の外側部だけでなく内側部でも間接的に支えられるため、凸部の強度がより増大し、繰り返し操作をされても凸部の陥没などの発生がさらに防止でき、押圧操作時に安定した接触状態が長期に亘って維持されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、薄型化に対応すると共に、繰り返し操作による凸部の陥没などの発生が防止された接触安定性に優れる構成とした小型のプッシュオンスイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態によるプッシュオンスイッチの外観図
【図2】同分解斜視図
【図3】同断面図
【図4】同スリット部を含む位置での断面図
【図5】同スリット部の拡大断面図
【図6】同押圧操作時の断面図
【図7】従来のプッシュオンスイッチの断面図
【図8】同分解斜視図
【図9】同押圧操作時の断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0024】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるプッシュオンスイッチの外観図、図2は同分解斜視図、図3は同断面図、図4は同スリット部を含む位置での断面図、図5は同スリット部の拡大断面図、図6は同押圧操作時の断面図である。
【0025】
同図において、11はステンレス鋼板の両面に銀メッキ処理がなされた良導電性金属薄板からなる略矩形をした平板状の第一接点板で、対向する二つの辺から線対称にそれぞれ一つずつ第一端子11Aが外方に向けて延設されている。なお、上記第一端子11Aは、上記二つの辺の端部側に設けられている。また、第一接点板11の中央位置には上方に向けて打ち出して形成された略円錐台状の凸部11Bが設けられている。
【0026】
12はステンレス鋼板の両面に銀メッキ処理がなされた良導電性金属薄板からなる略矩形をした平板状の第二接点板で、上記第一接点板11と対面する位置に配され、その中央に、第一接点板11の凸部11Bよりも大きい円形の中孔12Bを有すると共に、二つの第一端子11Aと線対称となる位置に、二つの第二端子12Aが延設されている。
【0027】
そして、第一端子11Aと第二端子12Aは、延設部の根元から、それぞれ第一接点板11と第二接点板12が互いに向かい合う方向に折り曲げられている。
【0028】
13は、第一接点板11と第二接点板12との間に介在したLCP樹脂(液晶ポリマー)からなる薄膜の略矩形平板状のスペーサで、中央には、第二接点板12の中孔12Bと同形状又はそれよりも小さい円形の中央孔13Aが設けられており、上下の両面がそれぞれ第一接点板11と第二接点板12の対面する面に固着されている。つまり、図3に示すように、下側から第一接点板11、スペーサ13、第二接点板12の順に積層状態で一体化されている。
【0029】
この積層状態で一体化させているものが従来品のケース1に相当する部材であり、その製作方法としては、上記スペーサ13を挟持した状態で、凸部11B形成後の第一接点板11の下方と第二接点板12の上方から圧力と熱が加えられる、つまり熱圧着されることにより、接着剤等を用いることなくLCP樹脂製のスペーサ13が軟化し、アンカー効果を生じて、スペーサ13の表面が第一接点板11および第二接点板12のそれぞれの表面と相互に固着されて構成されている。
【0030】
また、第一接点板11の2つの第一端子11A側に対応する第二接点板12の2つの角部は、プリント基板等へのハンダ付け実装する際に、第一端子11Aとの短絡を防止するため、角部を切り欠いた面取りが設けられており、図示していないが、同様に、第一接点板11にも2つの第二端子12A側に対応する2つの角部に面取りが設けられている。そして、それらの面取り部分には、熱圧着時に軟化したスペーサ13のLCP樹脂が入り込んで硬化している。
【0031】
さらに、組み立て後の第一接点板11と第二接点板12との外周端部における絶縁状態をより安定に確保するため、上面視で第一接点板11は、第二接点板12より小寸になされており、第一接点板11の外周端部には、上記面取り部分と同様に、熱圧着時に軟化したスペーサ13のLCP樹脂が入り込んで硬化している。なお、本実施の形態では上面視で第一接点板11が第二接点板12より小寸とした構成としているが、逆に第二接点板12を第一接点板11より小寸として、その小寸となった外周端部に軟化したスペーサ13のLCP樹脂が入り込んだ構成としても良い。
【0032】
14は上方凸形の円形ドーム状に形成され、下面に良導電性の表面処理がなされた弾性金属薄板からなる可動接点であり、中央位置を中心とした仮想円に沿うように、三つの接触用突起14Aが120°間隔で設けられており、接触用突起14Aの形状は、下方に突出する略球面状で構成されている。なお、可動接点14の形状は上面視で楕円や略矩形などの多角形のものなどとしてもよい。さらに、接触用突起14Aの形状や配置位置や数量なども、特に限定はされない。
【0033】
そして、可動接点14は、上記第二接点板12の上に当接載置されており、中央部下面が上記第二接点板12の中孔12Bおよび上記スペーサ13の中央孔13Aを介して上記第一接点板11の上面と間隔をあけて対面している。
【0034】
ここで、第一接点板11の凸部11Bの形状などについて説明すると、略円錐台状の凸部11Bの上面の径は、可動接点14の接触用突起14Aが設けられている仮想円の径より若干大きい径となっており、可動接点14が弾性反転をした際に、接触用突起14Aが凸部11Bの側部を構成する傾斜面に近傍した上面外縁箇所に当接するように設定されている。
【0035】
なお、当該当接箇所は、凸部11B側部の傾斜面であってもよく、それらいずれかの箇所に当接させる構成であれば、当該当接箇所が凸部11Bの側部で間接的に支えられるため、繰り返し操作をされても凸部11Bの陥没などの発生を防止する作用が得られる。また、凸部11Bの高さと接触用突起14Aの高さを適宜設定することによって、接点間距離を適正な距離に容易に設定することもできる。
【0036】
そして、15は、下面全面に粘着剤16を有した蓋体としてなる絶縁フィルム製の保護シートで、粘着剤16を介して第二接点板12の上面に固定されている。なお、可動接点14も粘着剤16で保持され、これによって可動接点14は位置決めされている。保護シート15としては、ポリイミド樹脂等の耐熱性を有する材質の絶縁フィルムを矩形に形成したものが好ましく、粘着剤16もアクリル系等の耐熱性を有するものが好ましい。この粘着剤16付きの保護シート15を用いる構成とすれば、保護シート15を下面の粘着剤16によって第二接点板12上に容易に密着状態で装着できる。なお、この保護シート15をスペーサ13と同じLCP樹脂製として、粘着剤16を使用せず、熱圧着により取り付けても良い。
【0037】
さらに、当該構成では、図2、図4、図5から判るように、第二接点板12の外周端部から中孔12Bに向かってスリット12Cが設けられており、その形状は、幅が0.15mm程度の直線状で、可動接点14の外周下端よりも内側に入り込み、かつその先端が円弧状で、中孔12Bまでは貫通しない範囲となる長さに設定されている。つまり、可動接点14の外周下端の内側近傍からスリット12Cを介して、可動接点14内の空気が外方へと流通可能となっている。
【0038】
なお、スリット12Cは、中孔12Bまで貫通しても良いが、当該構成のように中孔12Bまで貫通していない構成であれば、製造時に第二接点板12がスリット12C部分を境としてねじれる等の変形が防止できるため、生産安定性が向上するなどの付帯的効果も得られる。
【0039】
本実施の形態によるプッシュオンスイッチは、以上のように構成され、次に、その動作を説明する。
【0040】
まず、上方から保護シート15の中央に押圧力を加えると、下方の可動接点14のドーム状頂点部に押圧力が加わり、その押圧力が所定の力を超えると、図6の動作状態の断面図に示すように、可動接点14は、クリック感を伴ってドーム状中央部が下方凸形に弾性反転して中央部に設けられた接触用突起14Aが下方に対面している第一接点板11の凸部11B上面に接触する。なお、その接触箇所は、凸部11Bの側部近傍の上面位置としているため、繰り返し操作時を含めて凸部11Bの変形などが防止できることは上述したとおりである。そして、それによって、可動接点14を介して第二接点板12と第一接点板11とが電気的に導通し、対応する第二端子12Aと第一端子11Aとの間でスイッチオンとなる。このとき、押圧により圧縮された可動接点14内の空気は可動接点14の外周下端の内側近傍からスリット12Cを介して外方へ流出される。つまり、可動接点14の反転動作によって圧縮された空気が外方へ流出するので、可動接点14の反転動作は、圧縮空気によって阻害されることなく良好なクリック感触が得られる。
【0041】
そして、押圧力を解除すると、可動接点14は自己復帰力により、クリック感を伴って元の上方凸形のドーム状に弾性復帰して、対応する第二端子12Aと第一端子11Aの間はスイッチオフとなる。このとき、反転復帰動作により可動接点14内の体積が拡大し、内部が負圧状態となり、外方の空気はスリット12Cを介して可動接点14の外周下端から可動接点14内へ流入される。
【0042】
このように本実施の形態によれば、従来品のケース1に相当する部材として、平板状の導電性金属薄板からなる第一接点板11と第二接点板12との間にLCP樹脂製の薄膜のスペーサ13を介在させて、加圧、加熱することによりスペーサ13が軟化して二つの接点板11,12表面にアンカー効果が働いて固着されている簡素な積層構成のものとしたため、第一接点板11、スペーサ13および第二接点板12のそれぞれの厚みを薄くすることで薄型化に容易に対応できる。
【0043】
さらに、従来品ではケース1の凹部を形成するために、外壁部分を必要としたが、当該構成では、可動接点14を第二接点板上に配する構成のため、その分の外形の小型化も図れたものにできるという作用を有する。
【0044】
また、上述したように、スリット12Cによる可動接点14内と外方とをつないだ通空路を設けることで、可動接点14の動作に応じた圧縮状態又は負圧状態となった可動接点14内の空気を通空路を介して流出入させることができ、空気の影響を低減させて良好なクリック感触が得られるものに実現できる。
【0045】
なお、通空路としては、スリット12Cのように第二接点板12を切り欠いて形成するのではなく、第二接点板12に厚み方向に凹形状の溝を形成した構成としてもよい。また、スペーサ13に当該構成の第二接点板12と同様なスリットを形成することで通空路とした構成としてもよい。いずれの構成であっても、可動接点14の動作に応じて圧縮状態又は負圧状態となった可動接点14内の空気が、通空路を介して流出入するものにでき、良好なクリック感触が得られる小型のプッシュオンスイッチを提供することができる。
【0046】
また、当該構成のように、スリット12Cが中孔12Bまで貫通していない構成にしておけば、貫通した場合に比べ、可動接点14内への塵埃などの侵入が抑制できる。なお、スリット12Cの形成パターンを直線状から、屈曲した形状や曲線状にしてもよい。
【0047】
さらに、図示していないが、可動接点14のドーム状の中央部分に対応した保護シート15の上面位置に、例えばポリイミド樹脂等の絶縁樹脂からなる略円柱状の押圧用突起を設け、保護シート15上面に熱硬化性や紫外線硬化性の接着剤等で固定した構成にしてもよい。当該構成のプッシュスイッチであれば、携帯電話等の電子機器に実装されて使用される際に、電子機器の操作ボタンと当該プッシュスイッチの中心位置がずれていても、操作ボタンで押圧用突起が押圧される構成にでき、常に良好なクリック感触が得られるものに実現できる。
【0048】
なお、第一接点板11の凸部11Bは、略円錐台状で一つのみ設けたものとすれば、板金素材を上方に向けて打ち出して形成する際に容易に形成できて好ましいが、略円柱状であっても、上面視で多角形形状のものであっても、同様な作用効果が期待できる。また、図示していないが、凸部11Bの形状としては、中心が凹んだ形状、つまり上面視で環状となる形状としてもよい。当該形状に形成することで、接触用突起14Aと当接する箇所が外側部だけでなく内側部でも間接的に支えられる構成となるため、凸部の強度がさらに増大し、繰り返し操作をされても凸部の陥没発生の防止効果がより高いものに構成できる。
【0049】
また、接触用突起14Aを中央位置に一つのみ設けた可動接点を用いる場合には、上述した作用効果が得られるように凸部の形状を適宜設定すればよい。
【0050】
なお、第一接点板11および第二接点板12は、ステンレス鋼板に銀メッキ処理がなされたもの以外に、銀クラッド材などで形成してもよく、良導電性でハンダ付け性の良い表面処理がなされていれば良い。また、その表面処理は全面でなくても良く、第一端子11Aと第二端子12Aの下面部分は、ハンダ付け性の良い表面処理がなされ、各中央部分のスイッチの接点機能部分では、良導電性の表面処理がなされていれば良い。また、第一端子11Aと第二端子12AもJベント形状などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によるプッシュオンスイッチは、薄型化に対応すると共に、スイッチ操作時での接触安定性にも優れる構成とした小型のものにでき、主に各種電子機器の操作部等に有用である。
【符号の説明】
【0052】
11 第一接点板
11A 第一端子
11B 凸部
12 第二接点板
12A 第二端子
12B 中孔
12C スリット
13 スペーサ
13A 中央孔
14 可動接点
14A 接触用突起
15 保護シート
16 粘着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属薄板からなる平板状で、中央位置にその板金素材を上方に向けて打ち出して形成した凸部が設けられると共に、端部に第一端子を備えた第一接点板と、この第一接点板に対面し、中央に中孔を有した導電性金属薄板からなる平板状で、端部に第二端子を備えた第二接点板と、上記第一接点板と上記第二接点板との間に介在し、アンカー効果で、上記第一接点板と上記第二接点板のそれぞれと固着して一体化された、中央孔を有した絶縁性のLCP樹脂(液晶ポリマー)からなる薄膜のスペーサと、上記第二接点板上に当接載置され、下方に突出する接触用突起を有した中央部下面が上記第二接点板の中孔および上記スペーサの中央孔を介して上記凸部を含む上記第一接点板の上面と間隔をあけて対面した可動接点と、この可動接点を保持して上記第二接点板上面に装着された可撓性を備えた蓋体とからなり、押圧操作して上記可動接点が反転動作した際に、上記可動接点の上記接触用突起が上記第一接点板の凸部を構成する側部近傍となる上面箇所に当接する構成としたことを特徴とするプッシュオンスイッチ。
【請求項2】
可動接点の接触用突起が仮想円に沿うように、複数個、点在して設けられ、上記第一接点板の凸部は、上記仮想円よりも若干大きい径の略円錐台状の一つのみが設けられている請求項1記載のプッシュオンスイッチ。
【請求項3】
可動接点内の空気が外部と通気可能となるように通空路を設けた、請求項1記載のプッシュオンスイッチ。
【請求項4】
上記第一接点板の凸部が環状で形成されている請求項2記載のプッシュオンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−199182(P2012−199182A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63818(P2011−63818)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】