説明

プッシュスイッチ

【課題】 耐久性・信頼性に優れるプッシュスイッチを提供する。
【解決手段】 台座40上に配されたスイッチ30を収容するケース10の上部に軟質のボタン20を装着してなるプッシュスイッチであって、台座40として、スイッチ30が載置される基部41と、基部41の上面にスイッチの本体部32よりも高く本体部32の周囲を囲うカバー部42と、基部41の下面に形成されてケース10の内側に係止されるストッパ部43とを樹脂で一体成形したものを用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質のボタンを用いたプッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、図5に示すように、ベース体111と、ベース体111上に配置されるスイッチ基板116及びスイッチ本体112と、スイッチ本体112上に配置されるキートップ114と、キートップ114の一部が突出するようにしてスイッチ本体112を収容するケース115とを備え、スイッチ本体112とキートップ114との間に、ケース115の内周面に密着してキートップ114を保持する弾性係合部材113を配設したプッシュスイッチ110が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、車両用ドアの施錠もしくは開錠を行うプッシュスイッチとして、図6に示すように車両用のドアロック装置のアウトサイドハンドル125内に装着され、軟質のボタン121のボス部122によって押圧されるスイッチ123に、スイッチキャップ124を被せたプッシュスイッチが記載されている。
このスイッチキャップ124は、アウトサイドハンドル125に固定されるスイッチケース126の開口の周縁に嵌着され、このスイッチケース126には更にスイッチプレート127が嵌着されている。
【0004】
このプッシュスイッチでは、ユーザよりボタン121が押圧されると、ボタン121の薄肉部131が変形することにより、ボス部122がスイッチキャップ124を押圧し、その押圧力によりスイッチ123を押圧し、スイッチがオンされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−146806号公報
【特許文献2】特開2004−327126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5のようなプッシュスイッチでは、キートップ114が過大な力で押圧されると、弾性係合部材113の薄肉部が必要以上に伸ばされ、弾性係合部材113の下面がスイッチ本体112の角部に当たり、弾性係合部材113に亀裂が入って破損する危険性があり、耐久性及び信頼性に欠ける問題がある。
また、キートップ114が過大な力で押圧されると、スイッチ本体112やスイッチ基板116に過大な力が作用し、これらが破損する危険性もある。
さらに、スイッチ本体112はスイッチ基板116上に載置され、さらにこのスイッチ基板116をケース115内で支持するためのベース体111を設けているため、部材数が増えてコスト高になってしまう。
【0007】
一方、図6に示したようなプッシュスイッチでは、軟質のボタン121が過大な力で押圧されると、ボタン121の端面128がスイッチプレート127の端面129に当接し、押圧荷重がスイッチケース126の下部に伝達され、スイッチケース126と当接するアウトサイドハンドル125の荷重受け部130へと逃げていくため、過大な荷重がスイッチ123に作用することがない。
【0008】
しかしながら、ボタン121が図面斜め上方から過大な荷重で押圧された場合には、ボタン121の薄肉部131が必要以上に伸ばされ、ボタン121の薄肉部131やボス部122がスイッチプレート127の開口部分の角部に当たり、肉薄部131やボス部122に亀裂が入り破損する危険性がある。
また、スイッチ123は基板132に載置され、さらにこのスイッチ123に過大な荷重が作用しないようにするためにスイッチプレート127を設けているため、部材数が増えてコスト高になってしまう。
さらに、ボタン121とスイッチケース126が完全に分離されているため、プッシュスイッチとしては汎用性に欠けると共に、取り付け時にボタン121とスイッチケース126の位置合わせが必要になり作業性に欠ける問題がある。
【0009】
そこで本発明は、部材数を削減しつつ、耐久性及び信頼性の高いプッシュスイッチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプッシュスイッチは、
台座上に配されたスイッチと、前記台座及び前記スイッチを収容する筒状のケースと、前記ケースの上部に装着される軟質のボタンとを具備するプッシュスイッチであって、
前記スイッチは、本体部と、前記本体部から上方に突出している操作部と、端子を有し、
前記ボタンの下面が、前記スイッチの操作部に対面しており、
前記台座は、前記スイッチが載置される基部と、前記基部の上面に前記スイッチの前記本体部よりも高く形成されて前記本体部の周囲を囲うカバー部と、前記基部の下面に形成されて前記ケースの内側に係止されるストッパ部とを備え、樹脂で一体に成形されたものであり
前記カバー部は、上面角部が曲面状に形成され、前記ボタンの内側に対して空間を設けて配されており、
前記スイッチの端子は、前記基部の下面に装着されているターミナル部材に接続され、前記ターミナル部材にリード線が接続されている、
ことを特徴としているものである。
【0011】
本発明のプッシュスイッチにおいては、前記カバー部は、前記操作部の上面よりも低いことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプッシュスイッチによれば、スイッチの本体部よりも高いカバー部によって本体部の周囲を囲い、このカバー部の上面角部を曲面状に形成したことにより、押圧される軟質のボタンの破損を効果的に防ぐことができると共に、スイッチに過大な力が作用するのを効果的に防ぐことができ、耐久性・信頼性に優れたものとなる。また、スイッチが載置される基部と、スイッチの本体部の周囲を囲うカバー部と、ストッパ部を一体成形してなる台座を用いたことにより、部材数を増やすことなく耐久性及び信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態例に係るプッシュスイッチの上面図である。
【図2】本発明の一実施形態例に係るプッシュスイッチの底面図である。
【図3】本発明の一実施形態例に係るプッシュスイッチの断面図であり、(a)は図1中のA−A線における断面図、(b)は図1中のB−B線における断面図である。
【図4】本発明の一実施形態例に係るプッシュスイッチの動作を説明するための断面図である。
【図5】従来のプッシュスイッチの断面図である。
【図6】従来の別のプッシュスイッチの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態例を説明する。
図1乃至図3は本発明の一実施形態例に係るプッシュスイッチ1を示しており、図1は上面図、図2は底面図、図3(a)は図1中のA−A線における断面図、図3(b)は図1中のB−B線における断面図である。
【0015】
本例のプッシュスイッチ1は、図示しない車両用ドアハンドル装置に装着されるものである。ユーザがドアロック装置を作動させるときは、車両用ドアハンドル装置より露出したプッシュスイッチ1のボタン20を押圧してドアの施錠もしくは解錠を行うことができるようになっている。
【0016】
このプッシュスイッチ1は、ケース10と、ボタン20と、スイッチ30と、台座40と、リード線50を備えている。
【0017】
ケース10は硬質樹脂によって筒状に一体に成形されており、内側の上部に係合凸部11を有し、内側の下部に係止爪12を有している。
なお、係合凸部11は内側全周に形成されており、係止爪12は3箇所に形成されている。
【0018】
ボタン20は、ゴム等の弾性を有する軟質樹脂で形成され、上部操作壁21と、その周縁から垂下された側周壁22を備え、下面に開口を有している。
上部操作壁21の中央下面には、操作突起23が設けられている。また、側周壁22には、係合凹部24と段差部25が設けられている。
【0019】
このボタン20は、ケース10の係合凸部11に係合凹部24を嵌め込むようにしてケース10に装着される。
なお、プッシュスイッチ1を不図示のドアハンドルに取り付ける際は、ボタン20の上部操作壁21が外部に露出するようにドアハンドルの内側に装着される。
【0020】
スイッチ30は、円柱状の操作部31と、直方体状の本体部32と、端子33を有する。操作部31は、本体部32内から上方に突出し、図面上下方向に移動可能に構成され、本体部32内の図示しない弾性部材により図面上向きに付勢されている。
このスイッチ30は台座40の上に載置され、スイッチ30と台座40はケース10の中に収容されている。
【0021】
台座40は、硬質樹脂によって一体に成形されており、スイッチ30が載置される平板状の基部41と、基部41の上面に形成されたカバー部42と、基部41の下面に形成されたストッパ部43とを備えている。
【0022】
カバー部42は、スイッチ30の本体部32の側面に沿って本体部32の周囲を囲っている。
カバー部42の上面は、本体部32の上面よりも高く、通常時(押し込まれる前の状態)における操作部31の上面よりも低くなっている。
また、カバー部42の上面角部44は、外側に凸の緩やかな曲面状に形成されている。なお、上面角部44の断面形状は、真円状の円弧状である必要はなく、任意の楕円の円弧状や面取りされた角部も、曲面状に形成された角部に含まれる。
【0023】
ストッパ部43は、ケース10の係止爪12に対応する3箇所の位置に設けられており、係止爪12にそれぞれ係止される。
これにより、台座40は、基部41の周縁部がボタン20の段差部25に嵌め込まれた状態でケース10の内側に固定される。また、カバー部42はボタン20の内側に対して所定の空間(間隙)を設けて配され、ボタン20の操作突起23はスイッチ30の操作部31に近接あるいは当接して対面する。
【0024】
基部41の下面には、導電性のターミナル部材45が装着されている。
このターミナル部材45は、平板部45aと、平板部45aの所定の位置からから立設された接続部45bを有している。
スイッチ30の端子33は、基部41と平板部45aに設けられている貫通孔を介して下方に引き出され、平板部45aに半田等によって電気的に接続されている。
また、ターミナル部材45の接続部45bには、リード線50が電気的に接続されており、このリード線50はケース10の外部に引き出されている。
【0025】
以上のように構成される本例のプッシュスイッチ1は、図3(a)の図面上方向から下方向にボタン20の上部操作壁21が押圧されると、図4に示すように上部操作壁21が弾性変形して、操作突起23が操作部31を下方へ押し込みスイッチ30をオンし、リード線50により外部に信号が伝わる。
【0026】
この時、ボタン20が過大な力で押圧されると、上部操作壁21の内側がスイッチ30の本体部32よりも高いカバー部42の上面に当接するが、上面角部44は所定の曲面状に形成されているため、ボタン20の内側を傷つけることがなく、軟質なボタン20の破れを効果的に防ぐことができる。
また、ボタン20のストローク量がカバー部42によって規制されるため、過大な荷重がスイッチ30に加わるのを防ぐこともできる。つまり、ボタン20が過大な力で押圧されると、ボタン20の内面がカバー部42に当接し、押圧荷重がカバー部42と一体に形成されている基部41及びストッパ部43を介してケース10に伝達されるため、過大な荷重がスイッチ30に直接作用することがない。
【0027】
このように本例のプッシュスイッチによれば、スイッチの本体部32よりも高いカバー部42によって本体部32の周囲を囲い、このカバー部42の上面角部44を曲面状に形成したことにより、ボタン20の破損を効果的に防ぐことができると共に、スイッチ30に過大な力が作用するのを効果的に防ぐことができ、耐久性・信頼性に優れたものとなる。
また、従来のようにスイッチを印刷配線基板やフレキシブル基板の上に配置した場合には、これらの基板を支えるストッパ部材を別途設ける必要があるが、本例のプッシュスイッチでは、スイッチ30を載置する基部41と、過大な荷重を受けてボタン20のストローク量を規制するカバー部42と、ストッパとして機能するストッパ部43を一体成形した台座40を用いたことにより、部材数を増やすことなく耐久性及び信頼性を高めることができる。
【0028】
また、本例のプッシュスイッチでは、カバー部42の上面は、通常時(押し込まれていない状態)における操作部31の上面よりも低くなっている。
このような構成によれば、スイッチ30がオンするまでのストロークを十分に確保しつつ、プッシュスイッチ全体の高さを効果的に抑えることができる。
【0029】
なお、本発明のプッシュスイッチでは、ボタン20の上部操作壁21とカバー部42との距離は、ボタン20を押圧してスイッチ30がオンするまでのストロークの距離とほぼ同じに設定するのが特に好ましい。これにより、ボタン20を押圧してスイッチ30をオンするとほぼ同時に上部操作壁21の内側がカバー部42に当接し、必要以上の荷重がスイッチ30に加わることなくスイッチをより一層確実に保護できる。それに加え、硬質のカバー部42が軟質のボタン20の過度の変形を抑える役割を果たし、軟質のボタン20の過変形による破れをより一層確実に防ぐことができ、耐久性をより一層向上できる。
【0030】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明はかかる実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜の変更等ができることは言うまでもない。
【0031】
具体的には例えば、上記実施形態例では筒状に連続して形成したカバー部42によりスイッチの本体部32の側面全周を囲っているが、ボタン20が過大な力で押圧された場合にもボタン20の内側が本体部32に当たらない形態であれば、カバー部42を幾つかに分割して形成してもよい。
【0032】
また、上記実施形態例ではボタン20の下面に操作突起23を設けているが、ボタン20の下面がスイッチの操作部31を下方に押し込み、スイッチ30をオンできる形態になっていれば、操作突起23は必ずしも設ける必要はない。
【符号の説明】
【0033】
1 プッシュスイッチ
10 ケース
11 係合凸部
12 係止爪
20 ボタン
21 上部操作壁
22 側周壁
23 操作突起
24 係合凹部
25 段差部
30 スイッチ
31 操作部
32 本体部
33 端子
40 台座
41 基部
42 カバー部
43 ストッパ部
44 上面角部
45 ターミナル部材
45a 平板部
45b 接続部
50 リード線
110 プッシュスイッチ
111 ベース体
112 スイッチ本体
113 弾性係合部材
114 キートップ
115 ケース
116 スイッチ基板
121 ボタン
122 ボス部
123 スイッチ
124 スイッチキャップ
125 アウトサイドハンドル
126 スイッチケース
127 スイッチプレート
128 ボタンの端面
129 スイッチプレートの端面
130 荷重受け部
131 薄肉部
132 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座上に配されたスイッチと、前記台座及び前記スイッチを収容する筒状のケースと、前記ケースの上部に装着される軟質のボタンとを具備するプッシュスイッチであって、
前記スイッチは、本体部と、前記本体部から上方に突出している操作部と、端子を有し、
前記ボタンの下面が、前記スイッチの操作部に対面しており、
前記台座は、前記スイッチが載置される基部と、前記基部の上面に前記スイッチの前記本体部よりも高く形成されて前記本体部の周囲を囲うカバー部と、前記基部の下面に形成されて前記ケースの内側に係止されるストッパ部とを備え、樹脂で一体に成形されたものであり
前記カバー部は、上面角部が曲面状に形成され、前記ボタンの内側に対して空間を設けて配されており、
前記スイッチの端子は、前記基部の下面に装着されているターミナル部材に接続され、前記ターミナル部材にリード線が接続されている、
ことを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記カバー部は、前記操作部の上面よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のプッシュスイッチ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−18794(P2012−18794A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154683(P2010−154683)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000220125)東京パーツ工業株式会社 (122)
【Fターム(参考)】