説明

プッシュスイッチ

【課題】プッシュスイッチに関し、実装時にスイッチと押しボタンとのズレが生じても、また操作距離が長いスイッチであっても、良好な操作感触を確保することができ、さらに下方が平板状の押しボタンを使用することも可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】円形開口部内に固定接点2,3,4を備えたケース1と、第1可動接点5とその上に載置された第2可動接点6とを円形開口部内に収容状態にして保護シート7がケース1上面に粘着され、その保護シート7の上から、外枠部21Bとその外枠部21Bからアーム部21Cを介して繋がり、中央に位置した押圧部21Aを備えた操作体21がケース1に取り付けられ、押圧部21Aの上面中央部位置に、PET樹脂やポリイミド樹脂等からなる所定高さの円柱状の操作突起22を接着剤により固着して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作部に用いられるプッシュスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器の操作部には、操作時に軽快な節度感が得られるプッシュスイッチが多く採用されている。そして、電子機器の小型・薄型化の進むなかにあっても、プッシュスイッチの軽快な節度感を維持するように要望されている。
【0003】
このような従来のプッシュスイッチについて、図8〜図12を用いて説明する。
【0004】
図8は従来のプッシュスイッチの断面図、図9は同分解斜視図である。
【0005】
同図において、1は、上方開口の円形開口部を有した合成樹脂からなる略箱形のケースで、ケース1の4つの角部に対応する位置の円形開口部に、内底面から上面に通じる溝部1Aがそれぞれ設けられている。そして、円形開口部内底面の中央に中央固定接点2とその中央固定接点2から所定距離離れた対称位置の2ヶ所に外側固定接点3,4が露出している。この中央固定接点2および2ヶ所の外側固定接点3,4は、それぞれ電気的に独立し、ケース1の合成樹脂内を通じて外方に導出された端子2A,3A,4Aと繋がっている。
【0006】
5は、上方凸形の円環部5Aとその円環部5Aの外縁の4ヶ所から斜め下方に向けて突出した脚部5Bを備えた弾性金属薄板からなる第1可動接点で、4つの脚部5Bはケース1の4ヶ所の溝部1Aに対応した位置に配され、円形開口部内に収容されている。そして、この第1可動接点5は、ケース1の円形開口部内に収容された状態で、円環部5A下面が間隔を空けて下方の外側固定接点3,4と対峙状態になされている。また、円環部5Aの外径はケース1の円形開口部の内径によって水平方向の位置が決まるような大きさになされている。
【0007】
なお、この第1可動接点5は、円環部5Aを押圧されて所定の押圧力を超えると節度感を伴って円環部5Aが下方凸形に弾性反転し、押圧を解除すると節度感を伴って元の状態に弾性復帰動作をするように形成されている。
【0008】
6は、中央部を頂点として上方凸形に膨出形成された弾性金属薄板からなる円形ドーム状の第2可動接点で、第1可動接点5の円環部5A外径とほぼ同じ大きさの外径になされており、外周下端が第1可動接点5の円環部5A上に載置され、頂点部下面が中央固定接点2と間隔を空けて対峙状態にケース1の円形開口部内に収容されている。この第2可動接点6はドーム状頂点部を押圧されて所定の押圧力を超えると、ドーム状中央部が節度感を伴って下方凸形に弾性反転し、押圧力を解除すると節度感を伴って元の上方凸形に弾性復帰動作をするように形成されている。
【0009】
そして、第2可動接点6が弾性反転する際の押圧力は第1可動接点5が弾性反転する際の押圧力より大きい値になされており、また第2可動接点6が弾性復帰する際の押圧力も第1可動接点5が弾性復帰する際の押圧力より大きい値になされている。
【0010】
7は下面に図示しない粘着剤を備えた可撓性を備えた絶縁性フィルムからなる保護シートで、粘着剤によりケース1の上面に粘着固定されて円形開口部上面を覆っている。
【0011】
8は保護シート7の上に配され、ケース1に取り付けられた金属薄板からなる操作体で、ケース1の上面中央に位置した押圧部8Aとその押圧部8Aから間隔を空けて位置した外枠部8Bとを備えており、その外枠部8Bと押圧部8Aとを繋ぎ上下方向に弾性変形可能なアーム部8Cが点対称位置の2ヶ所に設けられている。この押圧部8Aには、下方の第2可動接点6の頂点部に対応する中央位置に下方に突出した円形突部8Dが形成されている。
【0012】
以上のように構成されたプッシュスイッチの動作について説明する。
【0013】
図10はプッシュスイッチを搭載した電子機器の要部断面図であり、当図において、51は上面にプッシュスイッチを半田付け実装した回路基板で、図示しない端子用ランドに各端子2A,3A,4Aが半田付けされている。
【0014】
52は鍔部52Aから下方に突出した下方突部52Bと上方に突出した操作部52Cを備えた押しボタンで、53はボタン孔53Aが設けられた操作パネルであり、押しボタン52は下方突部52B下端がプッシュスイッチの押圧部8A上面に当接し、操作部52Cが操作パネル53のボタン孔53Aから上方に突出されてプッシュスイッチが搭載されている。
【0015】
このように搭載されたプッシュスイッチにおいて、まず、上方から押しボタン52の操作部52Cを押下すると、下方突部52Bが操作体8の押圧部8Aを押し下げ円形突部8Dが保護シート7を介して第2可動接点6のドーム状頂点部を押圧し、その押圧力が所定の大きさを超えると、図11に示すように、第1可動接点5の脚部5Bが少し撓んだ状態となり円環部5Aが節度感を伴って下方凸形に弾性反転して、円環部5A下面が下方に対峙した2ヶ所の外側固定接点3,4に接触する。これにより、第1可動接点5を介して2ヶ所の外側固定接点3,4間が導通し、対応する端子3A,4A間がオンし、1段目のスイッチが機能する。
【0016】
この外側固定接点3,4間の導通状態からさらに押しボタン52を押下していくと、図12に示すように、次は第2可動接点6のドーム状中央部が節度感を伴って下方凸形に弾性反転し、ドーム状頂点部下面が下方に対峙した中央固定接点2と接触する。これにより、第1可動接点5及び第2可動接点6を介して、中央固定接点2および外側固定接点3,4のそれぞれの間が導通し、対応する端子2A,3A,4A間がオンし、2段目のスイッチが機能する。
【0017】
そして、押しボタン52に加えていた押下力を除くと、最初に第2可動接点6が節度感を伴って元の上方凸形に弾性復帰して、中央固定接点2から離間し、2段目のスイッチがオフの図11に示した状態となり、次に第1可動接点5が節度感を伴って円環部5Aが元の上方凸形に弾性復帰して、外側固定接点3,4から離間し、1段目のスイッチがオフとなって、図10に示した初期状態となる。
【0018】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−41603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら上記従来のプッシュスイッチにおいては、実装されたスイッチと押しボタン52との組み合わせズレが生じることもあり、押しボタン52を押下してスイッチを動作させた際に、操作体8の押圧部8A位置は外枠部8B位置から下方側に沈み込んだ状態となるため、操作距離が長いスイッチでは、押しボタン52の下面が押圧部8Aより外側のアーム部8C等に接触して、操作感触が劣化する恐れがあるという課題があった。
【0021】
また、機器側としても、組み込み時など押しボタン52下面の下方突部52B部分での引っ掛かり防止のため、下方突部52Bをなくして下方が平板状の押しボタンの使用が可能なものへの要望があった。
【0022】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、実装時にスイッチと押しボタンとのズレが生じても、また操作距離が長いスイッチであっても、良好な操作感触を確保することができ、さらに下方が平板状の押しボタンを使用することも可能なプッシュスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0024】
本発明の請求項1に記載の発明は、上方開口の開口部内底面に複数の固定接点を配した合成樹脂製のケースと、上記開口部内に収容され、上記固定接点間を接離する上方凸形のドーム状に形成された弾性金属薄板製の可動接点と、上記ケースの開口部を覆って上面に取り付けられた可撓性を備えた絶縁性フィルム製の保護シートと、その保護シート上に配され、外枠部からアーム部を介して中央に位置した押圧部を備えた金属薄板製の操作体とからなり、この操作体の押圧部の上面位置に操作突起を一体に設けて、上記操作突起を押圧する押圧部材が、スイッチの操作距離一杯まで押下する際に上記操作突起以外に接触しないようになされていることを特徴とするプッシュスイッチとしたものであり、操作体の押圧部上面に操作突起を設けたことで、実装されて押しボタンとスイッチとの組み合わせズレが生じても、また操作距離が長いスイッチであっても、押しボタンは常に操作突起上面を押圧して操作突起以外に接触することがないため、良好な操作感触を確保することができ、さらに下方が平板状の押しボタンも使用可能なプッシュスイッチを提供することができるという作用を有する。
【0025】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、操作体の押圧部に貫通孔が設けられ、その貫通孔を通じてカシメ固定されたリベットの一端で操作突起が形成されていることを特徴とするものであり、リベットをカシメて形成する操作突起であれば金属板に一体に形成することが容易で、効率的にできるという作用を有する。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によれば、実装時にスイッチと押しボタンとのズレが生じても、また操作距離が長いスイッチであっても、良好な操作感触を確保することができ、さらに下方が平板状の押しボタンを使用することも可能なプッシュスイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるプッシュスイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同スイッチを搭載した電子機器の要部断面図
【図4】同2段目のスイッチの動作状態を示す要部断面図
【図5】本発明の第2の実施の形態によるプッシュスイッチの断面図
【図6】同操作体と操作突起の組み合わせを説明する図
【図7】同スイッチを搭載した電子機器の要部断面図
【図8】従来のプッシュスイッチの断面図
【図9】同分解斜視図
【図10】同スイッチを搭載した電子機器の要部断面図
【図11】同1段目のスイッチの動作状態を示す要部断面図
【図12】同2段目のスイッチの動作状態を示す要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図7を用いて説明する。
【0029】
なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態によるプッシュスイッチの断面図、図2は同分解斜視図である。
【0031】
同図において、1は、上面に円形開口部を有した合成樹脂製の略箱形のケースで、円形開口部には内底面から上面に通じる溝部1Aが外形の4つの角部に対応する位置にそれぞれ設けられ、内底面中央に中央固定接点2とその中央固定接点2から所定距離離れた対称位置の2ヶ所に外側固定接点3,4が露出している。この中央固定接点2および2ヶ所の外側固定接点3,4は、それぞれ電気的に独立し、ケース1の外方に導出された端子2A,3A,4Aと繋がっている。
【0032】
5は、中孔を有した上方凸形の円環部5Aおよびその外縁の4ヶ所から斜め下方に向けて突出した脚部5Bを備えた弾性金属薄板からなる第1可動接点で、脚部5Bはケース1の溝部1Aに位置され、円環部5A下面が間隔を空けて下方の外側固定接点3,4と対峙状態に円形開口部内に収容されている。また、円環部5Aの外径は、円形開口部の内径によって水平方向の位置が決まるような大きさになされている。なお、この第1可動接点5は、円環部5Aを押圧されて所定の押圧力を超えると円環部5Aは節度感を伴って下方凸形に弾性反転し、押圧を解除すると節度感を伴って元の状態に弾性復帰動作をするように形成されている。
【0033】
6は、中央部を頂点とした上方凸形に形成された弾性金属薄板からなる円形ドーム状の第2可動接点で、第1可動接点5の円環部5A外径とほぼ同じ大きさの外径に形成されており、外周下端が円環部5A上に載置され、頂点部下面が中央固定接点2と間隔を空けて対峙状態にケース1の円形開口部内に収容されている。この第2可動接点6はドーム状頂点部を押下されて所定の押圧力を超えると、ドーム状中央部が節度感を伴って下方凸形に弾性反転し、押圧力を解除すると節度感を伴って元の上方凸形に弾性復帰動作をするように形成されている。
【0034】
そして、第2可動接点6が弾性反転する際の押圧力は第1可動接点5が弾性反転する際の押圧力より大きい値になされ、また第2可動接点6が弾性復帰する際の押圧力は第1可動接点5が弾性復帰する際の押圧力より大きい値になされている。
【0035】
7は下面に図示しない粘着剤を備えた可撓性を備えた絶縁性フィルムからなる保護シートで、ケース1の円形開口部上面を覆って粘着固定されている。
【0036】
21は保護シート7上に配され、ケース1に取り付けられた金属薄板からなる略矩形の操作体で、この操作体21は、ケース1の円形開口部上面中央に位置した押圧部21Aと、その押圧部21Aから間隔を空けて外方に位置された外枠部21Bと、押圧部21Aと外枠部21Bとに繋がり上下方向に弾性変形可能なアーム部21Cとを備え、アーム部21Cは点対称位置の2ヶ所に設けられている。この押圧部21Aには、下方の第2可動接点6の頂点部に対応する位置に下方に突出した円形突部21Dが備えられている。
【0037】
以上は従来のものと同様であるが、本実施の形態によるものは、操作体21の押圧部21Aの上面中央部位置にPET樹脂やポリイミド樹脂等からなる円柱状の操作突起22が接着剤により、固着されているところが異なっている。
【0038】
この操作突起22は、外径が押圧部21Aの下方に突出した円形突部21Dの外径と同じか少し大きな外径で、高さは後述する所定高さになされており、エポキシ系接着剤あるいはウレタン系UV硬化接着剤等によって固着されている。なお、本実施の形態では、外径はφ1mm〜φ2mmで、高さは0.1mm〜0.5mmとした。
【0039】
以上のように構成されたプッシュスイッチの動作について説明する。
【0040】
図3は第1の実施の形態によるプッシュスイッチを搭載した電子機器の要部断面図であり、当図において、51は上面にプッシュスイッチを半田付け実装した回路基板で、図示しない端子用ランドに各端子2A,3A,4Aが半田付けされており、操作パネル53のボタン孔53Aから操作部52Cを突出した押しボタン52がプッシュスイッチの上に位置し、下方突部52B下端が操作体21の押圧部21A上に一体に固着された操作突起22の上面に当接してプッシュスイッチが搭載されている。
【0041】
このように搭載されたプッシュスイッチにおいて、まず、上方から押しボタン52の操作部52Cを押下すると、下方突部52Bによって操作突起22に押圧力が加わり、操作突起22と一体となされた押圧部21Aに押圧力が加わる。そして、操作体21のアーム部21Cが下方に弾性変形し、円形突部21Dが保護シート7を介して第2可動接点6のドーム状頂点部を押圧し、その押圧力が所定の大きさを超えると、第1可動接点5の脚部5Bが少し撓みながら円環部5Aが節度感を伴って下方凸形に弾性反転して、円環部5A下面が下方の外側固定接点3,4に接触する。これにより、第1可動接点5を介して2ヶ所の外側固定接点3,4間が導通し、対応する端子3A,4A間がオンし、1段目のスイッチが機能する。
【0042】
そして、この状態からさらに押しボタン52を押下していくと、図4に示すように、次は第2可動接点6のドーム状中央部が節度感を伴って下方凸形に弾性反転し、ドーム状頂点部下面が下方の中央固定接点2と接触する。これにより、第1可動接点5、第2可動接点6を介して、中央固定接点2および外側固定接点3,4のそれぞれの間が導通し、対応する端子2A,3A,4A間がオンし、2段目のスイッチが機能する。この押圧部21Aの下方への移動に際して、2ヶ所のアーム部21Cが弾性変形することにより、押圧部21Aの下方向の長い移動にも対応できる。
【0043】
そして、第2可動接点6のドーム状頂点部が弾性反転して2段目のスイッチが機能した図4の状態において、操作突起22の高さは、押しボタン52の下方突部52Bが操作体21のアーム部21C等に接触しない高さとなるように設定されているため、2段のスイッチを有するような操作距離が長いスイッチであっても、1段目、2段目の各スイッチは良好な操作感触を維持したものにできる。
【0044】
つまり、スイッチ操作の間において、操作突起22の上面が操作体21の外枠部21B上面より上方に位置するように操作突起22の高さは設定されている。
【0045】
その後、押しボタン52に加えていた押下力を除くと、最初に第2可動接点6が節度感を伴って元の上方凸形に弾性復帰して中央固定接点2から離れ、2段目のスイッチがオフの状態となり、次に第1可動接点5の円環部5Aが節度感を伴って元の上方凸形に弾性復帰して外側固定接点3,4から離れ、1段目のスイッチがオフとなって、図3に示した押圧操作していない初期状態となる。
【0046】
このように本実施の形態によれば、プッシュスイッチの操作体21の押圧部21A上面に操作突起22を設け、プッシュスイッチの操作距離一杯まで押圧操作しても、操作突起22の上面が操作体21の外枠部21B上面より上方に位置するように、操作突起22の高さを設定していることで、実装されたプッシュスイッチと押しボタン52との位置ズレが生じていても、また操作距離が長いプッシュスイッチであっても、押しボタン52の下面は操作突起22上面を押圧するため、押しボタン52がプッシュスイッチの操作突起22以外に接触することがなく、安定して良好な操作感触を維持したものにすることができる。
【0047】
さらに、図示しないが、プッシュスイッチの操作距離一杯まで押圧操作しても、操作突起22の上面は操作体21の外枠部21B上面より上方に位置するように操作突起22の高さを設定しているので、下方突部52Bをなくした下方が平板状の押しボタンを使用しても、押しボタンが操作突起22以外の部分に接触することがなく良好な操作感触を維持することができるプッシュスイッチを実現できる。
【0048】
(実施の形態2)
なお、実施の形態1の構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0049】
図5は本発明の第2の実施の形態によるプッシュスイッチの断面図、図6は同操作体と操作突起の組み合わせを説明する図である。
【0050】
図5において、1は溝部1Aを有する円形開口部内に中央固定接点2、外側固定接点3,4が配され、各固定接点2,3,4それぞれと繋がって外方へ延出された端子2A,3A,4Aを備えた略箱形のケース、5は円環部5Aと4つの脚部5Bを備えた第1可動接点、6は円形ドーム状の第2可動接点で、ケース1の円形開口部内に第1可動接点5が収容され、その第1可動接点5の円環部5A上に第2可動接点6が載置状態になされて収容されている。そして、可撓性を有した保護シート7がケース1の上面を覆って粘着固定されている。
【0051】
以上は、第1の実施の形態と同じであるが、本実施の形態によるものは、保護シート7上に配された金属薄板からなる操作体31および操作体31に取り付けられた操作突起32Cが異なっている。
【0052】
まず、操作体31は、ケース1の円形開口部上面中央に位置した貫通孔を有した円板形の押圧部31Aと、間隔を空けて押圧部31Aを囲むように位置した外枠部31Bと、押圧部31Aと外枠部31Bとに繋がり上下方向に弾性変形可能なアーム部31Cとを備え、このアーム部31Cは点対称位置の2ヶ所に設けられている。押圧部31Aの貫通孔には、金属製のリベット32がカシメ固定されている。図6に示すように、このリベット32は、円柱部32Aとその一端が円柱状の柱状押圧部32Bから構成されており、押圧部31Aの貫通孔に下方から円柱部32Aが挿通され、上方に突出した部分が潰しカシメされて固定されたもので、カシメ部分が円錐台状の操作突起32Cとして形成されている。なお、柱状押圧部32Bの先端部分の外径寸法は、第2可動接点6のドーム状頂点部が押圧されて弾性反転する際の操作感触が良好な状態となる大きさになされている。本実施形態によるものは、直径寸法が0.5〜1.5mmとした。
【0053】
本実施形態の操作体31は、実施の形態1で説明した操作体21の押圧部21Aに備えられていた円形突部21Dの代わりに、貫通孔の設けられた押圧部31Aに固定されたリベット32の柱状押圧部32Bが第1の実施の形態で説明した円形突部21Dと同じ機能を果たすようになされている。
【0054】
なお、カシメ部分の形状は、円柱状や半球状であっても良い。また、リベット32は上述とは逆に、上方から円柱部32Aを押圧部31Aの貫通孔に挿通して、下方に突出した円柱部32Aを潰しカシメして、カシメ部分が保護シート7側に位置し、上方側に位置した柱状押圧部を操作突起としても良い。さらに、合成樹脂製のリベットを採用し、カシメ部分を加熱して潰しカシメするようにしても良い。また、この操作突起32Cの高さは、後述する所定高さになされている。
【0055】
リベット32を用いる場合は、操作突起32Cの形成として、押圧部31Aに円柱部32Aをカシメ固定するのみでよく、また第2可動接点6のドーム状頂点部を安定して押圧するための円形突部21Dに代わる柱状押圧部32Bをリベット32自体が備えているため、効率的である。そして、接着剤を用いないため接着時の量や硬化状態等の管理が不要で、製造コストを抑えることができる。
【0056】
以上のように構成された本実施形態のプッシュスイッチについて、その動作を簡単に説明する。
【0057】
図7は第2の実施の形態によるプッシュスイッチを搭載した電子機器の要部断面図であり、当図において、51は上面にプッシュスイッチを半田付け実装した回路基板で、操作パネル53のボタン孔53Aから操作部52Cを突出した押しボタン52がプッシュスイッチの上に位置し、下方突部52B下端が操作体31の押圧部31Aにカシメ固定されたリベット32の操作突起32C上端に当接している。
【0058】
このように搭載されたプッシュスイッチにおいて、上方から押しボタン52の操作部52Cを押下すると、リベット32の操作突起32Cに押圧力が加わり、リベット32下端の柱状押圧部32Bが保護シート7を介して第2可動接点6を押圧し、その押圧力が所定の大きさを超えると、第1可動接点5の脚部5Bが少し撓みながら円環部5Aが節度感を伴って弾性反転して、2ヶ所の外側固定接点3,4間が導通し、1段目のスイッチが機能する。
【0059】
そして、この状態からさらに押しボタン52を押下していくと、第2可動接点6が節度感を伴って弾性反転し、中央固定接点2および外側固定接点3,4のそれぞれの間が導通し、2段目のスイッチが機能する。
【0060】
この2段目のスイッチが機能した状態において、操作突起32Cの上面が操作体31の外枠部31Bより上方に位置するように操作突起32Cの高さが設定されており、2段のスイッチを有するような操作距離が長いスイッチであっても押しボタン52がアーム部31C等に接触することがないため、スイッチの操作感触に影響を与えることはない。また、実装されたプッシュスイッチに対する押しボタン52の位置の組み合わせズレが生じても、押しボタンの押圧位置は常に操作突起32Cの上面であるため、良好な操作感触を維持できる。
【0061】
その後、押しボタン52に加えていた押下力を除くと、最初に第2可動接点6が節度感を伴って元の状態に弾性復帰して中央固定接点2から離れ、2段目のスイッチがオフの状態となり、次に節度感を伴って第1可動接点5の円環部5Aが元の状態に弾性復帰して外側固定接点3,4から離れ、1段目のスイッチがオフとなって、図3に示した初期状態となる。
【0062】
このように本実施の形態によれば、操作体31の押圧部31Aに設けた貫通孔にリベット32の円柱部32Aを挿通し、挿通した端部を潰しカシメして所定高さの操作突起32Cとして形成したので、操作突起32Cの形成が容易であり、また接着剤を用いないのでその管理も不要となり製造コストを抑えることができる。さらに、リベット32の他端で第2可動接点6を押圧する所定の大きさの突部を兼ねることができるため、都合が良いものとなる。
【0063】
なお、上述の形態では、2つ(2種)の可動接点をケース内に収容して構成したスイッチについて説明したが、1つ(1種)の可動接点をケース内に収容して構成したスイッチでも良く、操作距離が短いスイッチでも押圧部に操作突起を設けることで良好な操作感触を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によるプッシュスイッチは、実装時にスイッチと押しボタンとのズレが生じても、また操作距離が長いスイッチであっても、良好な操作感触を維持することができ、さらに下方が平板状の押しボタンを使用することも可能なものにでき、主に各種電子機器の操作部等に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 ケース
1A 溝部
2 中央固定接点
2A,3A,4A 端子
3,4 外側固定接点
5 第1可動接点
5A 円環部
5B 脚部
6 第2可動接点
7 保護シート
21,31 操作体
21A,31A 押圧部
21B,31B 外枠部
21C,31C アーム部
21D 円形突部
22,32C 操作突起
32 リベット
32A 円柱部
32B 柱状押圧部
51 回路基板
52 押しボタン
52A 鍔部
52B 下方突部
52C 操作部
53 操作パネル
53A ボタン孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口の開口部内底面に複数の固定接点を配した合成樹脂製のケースと、上記開口部内に収容され、上記固定接点間を接離する上方凸形のドーム状に形成された弾性金属薄板製の可動接点と、上記ケースの開口部を覆って上面に取り付けられた可撓性を備えた絶縁性フィルム製の保護シートと、その保護シート上に配され、外枠部からアーム部を介して中央に位置した押圧部を備えた金属薄板製の操作体とからなり、この操作体の押圧部の上面位置に操作突起を一体に設けて、上記操作突起を押圧する押圧部材が、スイッチの操作距離一杯まで押下する際に上記操作突起以外に接触しないようになされていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
操作体の押圧部に貫通孔が設けられ、その貫通孔を通じてカシメ固定されたリベットの一端で操作突起が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプッシュスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−43719(P2012−43719A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185759(P2010−185759)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】