説明

プッシュポンプ

【課題】 洗剤容器などに使用するプッシュポンプの空気漏れを防止する。
【解決手段】固定管10、可動管20、密封シール装置30から構成され、固定管一端には洗剤容器の蓋を設け、該固定管内には内溶液が流通し、ポンプ機構を設置する空間を形成する。
該密封シール装置は、ピストン31と逆流防止バルブ32からなり、可動管先端との間に液体シール室33を形成し、可動管頭部を押し下げて行なうポンプ操作に対してピストン下方のバネからなる復帰部品13により元に位置に復帰動作する。
ポンプ操作により固定管内の内溶液は、加圧されてバルブを押し開け、液体シール室を経て、可動管内を通じて汲み出され、ポンプを停止するとバルブが閉じて該液体シール室を封止し、内部に内溶液を貯留するため、固定間内壁に磨耗きずがあってもピストンの密封は保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュポンプ構造に関する。特に、プッシュポンプがピストン廻りの摩損により空気が漏れることで内容液を吸取りにくくなることを防止するプッシュポンプ構造に係る。
【背景技術】
【0002】
一般の洗浄用液体洗剤の容器の設計では、通常その頭部には弾性プッシュ機能を具えたプッシュポンプを設置して容器の内容液を吸出すことにより、使用のたび毎に蓋を開閉して、内容液を取り出す不便を避けることができる。
中華民国特許第90200119号「プッシュヘッド安全ロック構造」は、内、外管体のプッシュヘッドを利用するものである。該プッシュヘッドは、容器の開口端に設置され、該プッシュヘッドの内管はプッシュヘッドが押されるに従い連動し、該内管底部にはピストンとピストンを元の位置に復帰させるスプリングなどの弾性部品を設置され、該内管を押し下げると該ピストンの移動に応じて容器の内容液が押し上げられ、使用者が該プッシュヘッドを放すと、弾性部品の弾発力により該プッシュヘッドは元の位置に戻り、こうして反復し容器内の液を吸い出す。
しかし、これらの公知の構造は、容器内の液体を便利に吸出す効果を達成してはいるが、該容器の内容液が工業用のハンドソープ、スクラブ効果を具えた洗顔剤など顆粒を含む形態である場合には、該プッシュヘッドの外管と内管壁面は、使用時に内容液の顆粒による摩損を受け、間隙が生じてピストンとの間の密封性が維持できなくなってしまう。これにより該ピストンを圧縮し内容液を吸い出す作用が低下し、さらには機能しなくなってしまうことさえある。よって実用性に欠け、改良の必要がある。
【特許文献1】特開2005−47520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知構造には以下の欠点があった。
すなわち、公知構造では容器の内容液が顆粒やスクラブを含む形態である場合には、使用時にプッシュヘッドの外管と内管壁面は内容液の顆粒による摩損を受け間隙が生じ密閉できなくなってしまい、内容液を吸い出す効果が減損し、さらには使用不能になる恐れがある。
本発明は上記構造の問題点を解決したプッシュポンプ構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は下記のプッシュポンプ構造を提供する。
プッシュポンプ構造において、公知のプッシュポンプが顆粒或いはスクラブなどを含む内容液により摩損し空気漏れを起こし使用不能になる欠点を改善することができ、
すなわちそれは、固定管、可動管、密封シール装置を含み、
該固定管外には蓋を設置して容器の開口端と組み合わせ、該固定管内には設置空間を具え、該設置空間内に該可動管を設置し、
該可動管の頂点端は頭部を延伸し、該頭部は該可動管内と相互に連通し、出口端を具え、使用者は該頭部を押し容器内の内容液を吸い出すことができ、
該密封シール装置は該固定管内壁面に密着する方式により該可動管底端に結合し、これにより該密封シール装置と該可動管間には逆流防止機能を具えた液体シール室を形成し、該液体シール室は該可動管が押されるとそれに従い、一部の内容液は該液体シール室に貯蔵され、液体シール層を形成し、
さらにそれは内容液それ自身により液体シール層を形成することで、内容液の顆粒或いはスクラブの管壁に対する摩損を防止し、派生する空気漏れなどの問題を解決することができることを特徴とするプッシュポンプ構造である。
【発明の効果】
【0005】
上記のように、本発明では密封シール装置と可動管間には逆流防止機能を具えた液体シール室を形成し、液体シール室は可動管が押されるとそれに従い、一部の内容液は液体シール室に貯蔵され液体シール層を形成するため、内容液それ自身により形成された液体シール層は内容液の顆粒或いはスクラブの管壁に対する摩損を防止し、派生する空気漏れなどの問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1、2に示すように、本発明プッシュポンプ構造の本体1は固定管10、可動管20、密封シール装置30からなる。
使用者が該本体1の可動管頭部を押し下げると、該可動管20が該固定管10に沿って内部に押し込まれるにつれて先端部のピストン作用により内溶液を加圧し、可動管内を通して内容液を押し出す機能を達成する。この種のプッシュヘッドポンプが内容液を押し出す作動原理と構造は公知の技術に属するため、ここでは詳述しない。
該固定管10は、内部に内溶液を導通する管状体で、外側には容器の蓋体11を設置する。該蓋体11は、容器40の開口を密封する。該容器40内部には内容液を充填する。該固定管10内には内溶液を流通する設置空間12を形成し、上記の本発明のプッシュヘッドポンプ機構のピストンを元の位置に復帰させる弾発力を備えた復帰部品13を設置する。該復帰部品13は本実施例中ではコイルバネである。
該可動管20は、該固定管10の設置空間12内に設置され、該可動管20の上端には頭部21を延長形成する。該頭部21には出口端211を設け、該可動管20と相互に連通する。したがって、使用者は、該頭部21を押し下げて該可動管20を該固定管10内を軸方向に下降させるとき該復帰部品13の弾発力を受け、また、該頭部21から手を放すと、元の位置を回復する。
【0007】
次に図3〜8に示すように、密封シール装置30は、ピストン31、逆流防止バルブ32から構成される。
該密封シール装置30のピストン31は、該可動管20底端に結合されて該固定管10の設置空間12内壁面に密接して摺動動作し、該密封シール装置30のピストン31と該可動管20間には液体シール室33を形成する。また、該ピストン31上には少なくとも1個の貫通孔311と少なくとも1個の位置決め孔312を具える。
該貫通孔311は、該液体シール室33と相互に連通し、該貫通孔311の内径は両端が大きく、中央に向かい徐々に縮小する双方向傾斜状を呈する。該位置決め孔312は、該逆流防止バルブ32により位置決めされる。
該逆流防止バルブ32は、該貫通孔311の傾斜形状に対応する傾斜面を備えたブロック状の栓弁321、及び該位置決め孔312に挿通する位置決め棒322を具える。
該逆流防止バルブ32の栓弁321は、該液体シール室33に一方通行の逆流防止機能を提供し、これによりポンプ操作によって該液体シール室33内に流入した内溶液は貯留される。また該貫通孔311の双方向傾斜状によりこれらの貯留された内容液の密封作用を強化し、該液体シール室に貯留された内溶液の漏出を効果的に防止してこれらのピストン廻りに保持する。
該位置決め棒322は、該位置決め孔312内に挿通して嵌合され、該位置決め棒322と該位置決め孔312の嵌合により該逆流防止バルブ32は一定のストロークで開閉動作を行う。
該貫通孔311と該栓弁321は図3、4に示す形態に限定されるものではなく、弁作用を備える他のあらゆる幾何学形状とすることができる。
【0008】
続いて図9、10に示すように、使用者が使用に際して該頭部21を押し下げると、該内容液は上に向かって押し上げられ、逆流防止バルブ32は、内容液の圧力を受けて上方へと移動し、該貫通孔311を封鎖する栓弁321は上方へと移動し、該貫通孔311は開放状態となる。こうして内容液は、該貫通孔311から該液体シール室33内に流入し終わって、該逆流防止バルブ32は内容液を押上げる圧力が消失すると再び封止し、内容液は該液体シール室33内に貯蔵される。
該内容液は、気密液体シール層を形成するため、該固定管10は該密封シール装置30より下の設置空間12と該密封シール装置30より上の設置空間12に区画される。こうして、該可動管20は該頭部21が押し下げられる過程において、該液体シール室33に導入される内容液は、常にピストン廻りに重点されて該固定管10内縁壁面に生じた削り傷による凹凸を満たすため、該可動管20が該固定管10に沿って直線反復動作を行う時の液体シール効果により、容器内に貯蔵される内容液は可動管20のポンプ動作に従い完全に汲み出される。
該液体シール室33内に貯蔵する内容液が液体シール層を形成することにより、使用者が再び該頭部21を押すと、空気漏れを生じることなく該ピストン20は所定容量の内容液を汲み出せる。該内容液は該設置空間12底部より該可動管20へと流れ、該可動管20へと流れる内容液は、該頭部21の出口端211より放出される。該液体シール層は空気漏れを防止する機能を具えるため、使用者が該頭部21を押し下げて放出する内容液の量は一定に保持され、使用にとっては非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明プッシュポンプ構造の外観立体指示図である。
【図2】本発明プッシュポンプ構造の断面指示図である。
【図3】本発明プッシュポンプ構造の密封シール装置の立体分解図である。
【図4】本発明プッシュポンプ構造の密封シール装置の外観立体透視図である。
【図5】図4のA-A線における断面指示図である。
【図6】図5の逆流防止バルブ開放状態の断面指示図である。
【図7】図4のB-B線における断面指示図である。
【図8】図7の逆流防止バルブ開放状態の断面指示図である。
【図9】本発明プッシュポンプ構造の使用状態断面指示図である。
【図10】本発明プッシュポンプ構造の逆流防止バルブ開放指示図である。
【符号の説明】
【0010】
1 本体
10 固定管
11 蓋体
12 設置空間
13 復帰部品
20 可動管
21 頭部
211 出口端
30 密封シール装置
31 ピストン
311 貫通孔
312 位置決め孔
32 逆流防止バルブ
321 栓弁
322 位置決め棒
33 液体シール室
40 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定管、可動管、ピストンから構成され、
液体容器の開口に密封して固定された固定管内を内溶液の流通路とし、可動管を該固定管内に配置して可動管先端に設けたピストンと固定管によりポンプを構成し、該固定管内部に弾発力を備えてピストンを元の位置に復帰させる復帰部品を設置し、該頭部を押し下げて可動管を固定管軸方向に往復動作することにより、固定管内の内溶液を押し上げて可動管内を通して可動管上端に設けた頭部排出口から内溶液を汲み出すプッシュポンプにおいて、
該ピストン側に逆流防止機構を設けて可動管先端との間に内溶液を貯留する密封シール室を形成することにより、該ピストン廻りを内溶液で満たして固定管内壁面との密封性を保持せしめる、
ことを特徴とするプッシュポンプ。
【請求項2】
前記逆流防止機構は、該液体シール室と相互に連通する少なくとも1の貫通孔を備えた逆流防止バルブであることにより該液体シール室に内溶液を貯留する、
ことを特徴とする請求項1記載のプッシュポンプ。
【請求項3】
前記逆流防止バルブは、該貫通孔に対応する栓弁により構成したことを特徴とする請求項2記載のプッシュポンプ。
【請求項4】
前記逆流防止バルブには位置決め棒を設け、該密封シール装置上にはこれを挿通する位置決め孔を形成したことを特徴とする請求項2記載のプッシュポンプ。
【請求項5】
前記貫通孔内径は、双方向傾斜面を形成することを特徴とする請求項2記載のプッシュポンプ。
【請求項6】
前記復帰部品は、バネであることを特徴とする請求項1記載のプッシュポンプ。
【請求項7】
前記可動管外側には蓋を設けて、容器と組み合わせることを特徴とする請求項1記載のプッシュポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−74409(P2008−74409A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252149(P2006−252149)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(506316111)旭通模具有限公司 (1)
【Fターム(参考)】