説明

プッシュ式スイッチ

【課題】良好な外観品位を維持しながら、より高い防水性を確保するとともに、部品点数を削減して組み付け作業を簡素化し、低コスト化を実現できるプッシュ式スイッチを提供する。
【解決手段】プッシュ式スイッチ1において、パッキン50のシール部60はプッシュ部59から略フランジ状に延びて外板8の外面8A側から開口7の周縁7Aの全周に当接する。ベゼル70の環状部79は外面8A側からシール部60の内周縁側の全周とシール部60の外周縁側の全周とに当接する。ベゼル70の第1係合部71A、71Bは環状部79から第1連通孔61A、61Bを介して内面8B側に突出し、スイッチケース10と係合することにより環状部79と枠部19とを接近させてシール部60の内周縁側と環状部79とを密着させる。離反手段90は第2係合部72A、72Bを内面8Bから離反させて開口7の周縁7Aとシール部60の外周縁側と環状部79とを密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプッシュ式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のプッシュ式スイッチが開示されている。このプッシュ式スイッチは、車両用開閉体としてのドアの外板に貫設された開口に装着され、ドアを施錠又は開錠する際に操作されるものである。このプッシュ式スイッチは、スイッチケースと、スイッチ本体と、可撓性材料製のパッキンと、ベゼルとを備えている。
【0003】
スイッチケースは、外板の内面側に開口と対面するように配設され、開口より小さな枠部を開口内に位置させている。スイッチ本体は、スイッチケースに固定され、枠部を介して開口の略中央にプッシュボタンを突出させている。パッキンは、外板の外面側からプッシュボタンを覆うプッシュ部と、プッシュ部から略フランジ状に延びて、その外周縁側が枠部の端縁の全周に密着するシール部とを有している。ベゼルは、外径が開口より大きく、内径が開口より小さな略環形状をなして、外板の外面側からプッシュ部を囲うとともに、外板の外面側からシール部の外周縁側の全周に密着する環状部と、環状部から外板の内面側に延びて、スイッチケースの側壁面の突起と係合する係合部とを有している。
【0004】
このプッシュ式スイッチでは、ベゼルの係合部がスイッチケースの突起と係合することにより、ベゼルの環状部とスイッチケースの枠部とが接近して、枠部の端縁とシール部の外周縁側とが密着するとともにシール部の外周縁側と環状部とが密着する。その結果、このプッシュ式スイッチはスイッチ本体を防水することができる。また、このプッシュ式スイッチは、ベゼルの環状部がプッシュ部を「額縁」のように囲うことにより、良好な外観品位を呈する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−310706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のプッシュ式スイッチは、ベゼルと外板の開口の周縁との間にパッキンのシール部が存在せず、防水性が十分ではない。このため、ベゼルと外板の開口の周縁との間に別のシール部材を追加するとすれば、部品点数が増えて組み付け作業が煩雑化し、コストアップを招いてしまう。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、良好な外観品位を維持しながら、より高い防水性を確保するとともに、部品点数を削減して組み付け作業を簡素化し、低コスト化を実現できるプッシュ式スイッチを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプッシュ式スイッチは、車両用開閉体の外板に貫設された開口に装着され、前記車両用開閉体を施錠又は開錠する際に操作されるプッシュ式スイッチであって、
前記外板の内面側に前記開口と対面するように配設され、前記開口より小さな枠部を前記開口内に位置させるスイッチケースと、
前記スイッチケースに固定され、前記枠部を介して前記開口の略中央にプッシュボタンを突出させるスイッチ本体と、
外径が前記開口より大きく、内径が前記開口より小さな略環形状をなす環状部と、前記環状部から前記内面側に突出して前記スイッチケースと係合する第1係合部と、前記環状部から前記内面側に突出する第2係合部とを有するベゼルと、
前記第2係合部を前記内面から離反させる離反手段と、
前記外板の外面側から前記プッシュボタンを覆うプッシュ部と、前記プッシュ部から略フランジ状に延びて、前記外板の外面側から前記開口の周縁の全周に当接するシール部と、前記シール部に貫設され、前記開口の周縁と前記枠部との間で、前記外面側と前記内面側とを連通させて前記第1係合部を貫通させる第1連通孔と、前記シール部に貫設され、前記開口の周縁と前記枠部との間で、前記外面側と前記内面側とを連通させて前記第2係合部を貫通させる第2連通孔とを有する可撓性材料製のパッキンとを備え、
前記環状部は、前記外面側から前記シール部の内周縁側の全周に当接するとともに、前記外面側から前記シール部の外周縁側の全周に当接し、
前記第1係合部は、前記環状部と前記枠部とを接近させて前記シール部の内周縁側と前記環状部とを密着させ、
前記離反手段は、前記開口の周縁と前記シール部の外周縁側とを密着させるとともに前記シール部の外周縁側と前記環状部とを密着させるように構成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
本発明のプッシュ式スイッチでは、ベゼルの環状部が外板の外面側からパッキンのシール部の内周縁側の全周に当接する。そして、ベゼルの第1係合部がパッキンの第1連通孔を介して環状部から外板の内面側に突出し、スイッチケースと係合する。これにより、環状部と枠部とが接近してシール部の内周縁側と前記環状部とが密着する。すなわち、ベゼルの環状部と、パッキンのシール部の内周縁側との間に、プッシュ部を囲う第1のシールラインが形成される。
【0010】
また、ベゼルの環状部が外板の外面側からシール部の外周縁側の全周に当接する。そして、ベゼルの第2係合部がパッキンの第2連通孔を介して環状部から外板の内面側に突出し、離反手段が第2係合部を外板の内面から離反させることにより、シール部の外周縁側と環状部とが密着する。すなわち、パッキンのシール部の外周縁側と、ベゼルの環状部との間に、第2のシールラインが形成される。
【0011】
さらに、パッキンのシール部が外板の外面側から開口の周縁の全周に当接する。そして、ベゼルの第2係合部がパッキンの第2連通孔を介して環状部から外板の内面側に突出し、離反手段が第2係合部を外板の内面から離反させることにより、開口の周縁とシール部の外周縁側とが密着する。すなわち、開口の周縁と、パッキンのシール部の外周縁側との間に、第3のシールラインが形成される。
【0012】
こうして、このプッシュ式スイッチは、ベゼルの環状部がプッシュ部を「額縁」のように囲って、良好な外観品位を呈することができる。また、このプッシュ式スイッチは、第1のシールライン、第2のシールライン及び第3のシールラインにより、高い防水性を発揮できる。さらに、このプッシュ式スイッチは、パッキンが一つであることから、部品点数を削減して組み付け作業を簡素化し、低コスト化を実現できる。
【0013】
したがって、本発明のプッシュ式スイッチは、良好な外観品位を維持しながら、より高い防水性を確保できるとともに、部品点数を削減して組み付け作業を簡素化し、低コスト化を実現できる。
【0014】
離反手段は、第2係合部を外板の内面から離反させて開口の周縁とシール部の外周縁側とを密着させるとともにシール部の外周縁側と環状部とを密着させるものであれば、種々のものを採用することができる。例えば、第2係合部と外板の内面との間に介在されて両者を離反させるばね等の弾性部材、くさび等を採用することが可能である。この離反手段が第2係合部又は外板の内面に一体に設けられれば、部品点数の削減による製造コストの低廉化も実現できる。
【0015】
本発明のプッシュ式スイッチにおいて、離反手段は、外板の内面と第2係合部との間に挿入され、第2係合部を外板の内面から離反させる付勢力を有するリテーナであることが好ましい(請求項2)。
【0016】
この場合、リテーナを外板の内面と第2係合部との間に挿入することにより、容易に組付け作業を行うことが可能である。
【0017】
本発明のプッシュ式スイッチは、車両用開閉体を施錠又は開錠するキーシリンダが装着される外板の開口に、キーシリンダと置換して装着可能とされていることが好ましい(請求項3)。
【0018】
この場合、このプッシュ式スイッチは、車両用開閉体の外板に貫設された開口に装着される既存のキーシリンダと容易に置き換えることができる。そして、リモコンキーとの併用により、車両用開閉体を施錠又は解錠する際、操作者がキーをキーシリンダに挿入してキーシリンダをひねる操作を省略することができる。その結果、手動キーから電子キーに仕様変更する際の車両の設計変更を最小限に抑えることができ、車両の製造コストの高騰を抑制できる。
【0019】
本発明のプッシュ式スイッチにおいて、スイッチ本体は、スイッチケースに収容されるマイクロスイッチと、枠部内に保持され、プッシュ部が押し込まれることによりマイクロスイッチを断接するプッシュボタンと、スイッチケースに一体成形され、プッシュボタンとマイクロスイッチとの間に梁状に延在して、押し込まれたプッシュボタンを復帰させるバネ部とからなることが好ましい(請求項4)。
【0020】
このような具体的構成である本発明のプッシュ式スイッチによれば、組み付け作業の簡素化を確実に実現できる。また、規格品であるマイクロスイッチを採用でき、部品コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例のプッシュ式スイッチが適用される車両用開閉体(サイドドア)の斜視図である。
【図2】実施例のプッシュ式スイッチの斜視図である。
【図3】実施例のプッシュ式スイッチの分解斜視図である。
【図4】実施例のプッシュ式スイッチに係り、スイッチケースの拡大斜視図である。
【図5】実施例のプッシュ式スイッチに係り、図3のV−V断面を示す断面図である(外板の開口に装着される前の組み付け体の状態)。
【図6】実施例のプッシュ式スイッチに係り、図3のVI−VI断面を示す断面図である(外板の開口に装着される前の組み付け体の状態)。
【図7】実施例のプッシュ式スイッチに係り、図5の一部を拡大して示す断面図である。
【図8】実施例のプッシュ式スイッチに係り、図3のV−V断面を示す断面図である(外板の開口に装着されて、プッシュ式スイッチとして完成した後の状態)。
【図9】実施例のプッシュ式スイッチに係り、図3のVI−VI断面を示す断面図である(外板の開口に装着されて、プッシュ式スイッチとして完成した後の状態)。
【図10】実施例のプッシュ式スイッチに係り、図8の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
(実施例)
図1に示すように、実施例のプッシュ式スイッチ1は、車両(図示せず)の側面に開閉可能に設けられたサイドドア9に適用されている。サイドドア9は、本発明の「車両用開閉体」の一例である。サイドドア9は、その前端縁側が車両に回動可能に支持されており、通常は車両の側面を閉鎖している。そして、サイドドア9は、その後端縁側が車両の外側方向に揺動することにより、車両の側面を開放する。ここで、車両の外側方向とは、図1において紙面の右側から左側に向かう方向である。
【0024】
サイドドア9は、車両外側に位置する外板8と、車両内側に位置する内板5との組み合わされてなる中空構造体である。外板8の後方には、ドアハンドル3Aが外板8の外面8Aに露出するように設けられている。ドアハンドル3Aは、外板8に変位可能に支持された周知の構成であるので説明は省略する。
【0025】
サイドドア9の後端縁側において、ドアハンドル3Aの下方には、車両に固定されたストライカ6と係合可能なロック装置3が設けられている。ロック装置3は、ロッド3Bを介してドアハンドル3Aに連結されている。
【0026】
ロック装置3は、周知の構成であるので説明は簡略するが、サイドドア9が閉鎖状態にある場合、ロック装置3を構成するフォーク(図示せず)がストライカ6と係合するラッチ状態となって、サイドドア9が開放しないように固定する。そして、操作者がドアハンドル3Aを開く操作をすると、その動作がロッド3Bを介してロック装置3に伝達され、フォークが変位する。そうすると、ロック装置3がラッチ状態から、フォークがストライカ6と係合しなくなるアンラッチ状態に切り替わる。その状態では、操作者がドアハンドル3Aを保持してサイドドア9を車両の外側方向に引くことにより、サイドドア9を開放することができる。
【0027】
その一方、操作者が開放状態のサイドドア9を車両の内側方向に押すと、ストライカ6とロック装置3とが接近してフォークがストライカ6と係合し、ロック装置3がアンラッチ状態からラッチ状態に切り替わる。ここで、車両の内側方向とは、図1において紙面の左側から右側に向かう方向である。
【0028】
図1に示すように、外板8においてハンドル3Aの近傍には、本実施例のプッシュ式スイッチ1が設けられている。図2に示すように、プッシュ式スイッチ1は、外板8に貫設された丸穴形状の開口7に装着されている。
【0029】
本実施例における開口7は、プッシュ式スイッチ1の装着穴であるだけでなく、周知のキーシリンダが装着される装着穴でもある。図1及び図2では、開口7にプッシュ式スイッチ1が設けられたサイドドア9を図示しているが、仮に、開口7にキーシリンダが装着される場合、そのキーシリンダは、ロッド(図示せず)を介してロック装置3に連結される。そして、操作者が車両のキーをキーシリンダに挿入してひねる操作がロッドを介してロック装置3に伝達され、ロック装置3が施錠の動作又は解錠の動作をすることにより、閉鎖状態にあるサイドドア9を施錠又は解錠する。
【0030】
これに対して、本実施例のプッシュ式スイッチ1は、図2に示すように、外板8の開口7に、キーシリンダと置換して装着可能とされている。プッシュ式スイッチ1の具体的構成については、後で詳しく説明するが、プッシュ式スイッチ1において、プッシュ部59は、外板8の外面8A側に露出し、ベゼル70の環状部79がプッシュ部59を「額縁」のように囲んでいる。プッシュ部59は、周知のキーシリンダのキー挿入部と同程度の直径を有する円形状とされ、環状部79は、周知のキーシリンダにおいてキー挿入部を囲うベゼルと同様に、良好な外観品位を呈する。
【0031】
図2に示すように、プッシュ式スイッチ1は、操作者がプッシュ部59を押すことにより通電するマイクロスイッチ39と、マイクロスイッチ39から延在するリード線39A及びコネクタ39Bとを外板8の内面8B(図2において外板8の紙面奥側を向く面)側に備えている。マイクロスイッチ39の詳細については、図3〜図10を示して後述する。
【0032】
図1に示すように、コネクタ39Bは、ワイヤハーネスW1を介して制御部Cに接続されている。また、ロック装置3もワイヤハーネスW2を介して制御部Cと接続されている。この場合のロック装置3は、キーシリンダにロッドを介して連結される場合と異なり、制御部Cに制御されて動作する電動モータ(図示せず)を内部に備えている。そして、周知のリモコンキーを携帯した操作者が施錠の操作又は解錠の操作としてプッシュ部59を押すことにより、マイクロスイッチ39が通電し、リード線39A、コネクタ39B及びワイヤハーネスW1を介して制御部Cに通電信号が伝達される。そうすると、制御部Cは、ワイヤハーネスW2を介してロック装置3内の電動モータを制御して、ロック装置3に施錠の動作又は解錠の動作を行わせ、閉鎖状態にあるサイドドア9を施錠又は解錠する。
【0033】
このようにドアハンドル3A、ロック装置3及び制御部Cと連携して動作する本実施例のプッシュ式スイッチ1は、外板8の外面8A側から内面8B側への浸水を生じない高い防水性が要求されることから、図3〜図10を示して詳述する具体的構成を備えている。
【0034】
なお、図2に示すように、プッシュ式スイッチ1が外板8の開口7に装着された状態を基準として、プッシュ式スイッチ1のプッシュ部59が露出する方向、すなわち、外板8の外面8A側を向く方向を外側方向と規定し、リード線39A及びコネクタ39Bが延びる方向、すなわち、外板8の内面8A側を向く方向を内側方向と規定する。そして、図3〜図10の各図には、図2に対応する外側方向及び内側方向を表示して、プッシュ式スイッチ1の具体的構成を説明する。
【0035】
図3に示すように、プッシュ式スイッチ1は、ベゼル70と、パッキン50と、プッシュボタン35と、スイッチケース10と、マイクロスイッチ39と、リテーナ90とを備える。ベゼル70と、パッキン50と、プッシュボタン35と、スイッチケース10と、マイクロスイッチ39とは、外側方向及び内側方向と平行な中心軸線X1に沿って、この順序に組み付けられることにより、図5〜図7に示すように、組み付け体1Uとしてユニット化されるものである。一方、リテーナ90は、本発明の「離反手段」の一例である。図8〜図10に示すように、リテーナ90を用いて、組み付け体1Uを外板8の開口7に装着することにより、プッシュ式スイッチ1が完成する。
【0036】
ここで、図5、図7、図8及び図10は、図3に示すV−V断面、すなわち、中心軸線X1を含み、第1連通孔61A、61Bと交差する断面を示している。また、図6及び図9は、図3に示すVI−VI断面、すなわち、中心軸線X1を含み、第2連通孔62A、62Bと交差する断面を示している。V−V断面とVI−VI断面とは直交している。以下、上記各構成要素の詳細について順番に説明する。
【0037】
図3に示すように、ベゼル70は、環状部79と、一対の第1係合部71A、71Bと、一対の第2係合部72A、72Bとを一体に有する熱可塑製樹脂の射出成形品である。
【0038】
図3及び図5〜図7に示すように、環状部79は、中心軸線X1を中心する円環形状とされ、中心軸線X1方向の肉厚が薄くされている。図8に示すように、環状部79の内筒面79Aの内径D1は、開口7の内径D0より小さくされている。その一方、環状部79の外径D2は、開口7の内径D0より大きくされている。
【0039】
図5〜図7に示すように、環状部79の外面79Bは、テーパ面や、丸め処理された稜線等により構成された装飾性の高い意匠面とされている。その一方、環状部79の内面79Cは、中心軸線X1に直交する平面とされている。また、内面79Cの内周縁側及び外周縁側には、中心軸線X1を中心とする円周に沿って内側方向に断面略「V」字形状に突出しつつ延在する山状リブ79D、79Eが複数本設けられている。
【0040】
図3、図5及び図7に示すように、第1係合部71Aと第1係合部71Bとは、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ環状部79の内面79Cから内側方向にそれぞれ突出する略角柱体である。各第1係合部71A、71Bの内側方向の端部は、中心軸線X1の径外方向に鍵爪状に折れ曲がっている。図8に示すように、各第1係合部71A、71Bの鍵爪部分の先端同士の間隔は、組み付け体1Uを開口7に挿入する際に引っ掛からないように、開口7の内径D0より狭くされている。
【0041】
図3及び図6に示すように、第2係合部72Aと第2係合部72Bとは、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ環状部79の内面79Cから内側方向にそれぞれ突出する略角柱体である。各第2係合部72A、72Bの内側方向の端部は、中心軸線X1の径外方向に鍵爪状に折れ曲がっている。図9に示すように、各第2係合部72A、72Bの鍵爪部分の先端同士の間隔も、組み付け体1Uを開口7に挿入する際に引っ掛からないように、開口7の内径D0より狭くされている。
【0042】
各第1係合部71A、71B及び各第2係合部72A、72Bは、中心軸線X1周りに90°間隔で並んでいる。また、第1係合部71A、71B及び第2係合部72A、72Bのそれぞれと中心軸線X1との距離は、ほぼ等しくされている。
【0043】
図3に示すように、パッキン50は、ゴムやエラストマー等の可撓性材料製である。パッキン50は、プッシュ部59と、シール部60と、一対の第1連通孔61A、61Bと、一対の第2連通孔62A、62Bとを有する一体成形品である。
【0044】
図3及び図5〜図7に示すように、プッシュ部59は、中心軸線X1を中心とする円板形状とされた円板部59Bと、円板部59Bの外周縁に連続し、中心軸線X1を中心として内側方向に円筒状に延びる円筒部59Aとからなる。円筒部59Aの中心軸線X1方向の肉厚は、後で図5〜図7を示して詳しく説明するように、各第1係合部71A、71Bが各被係合部13A、13Bに係合する際、環状部79の内面79Cの内周縁側とシール面19Aとの間で押し潰される程度に厚くされている。図8に示すように、円筒部59Aの外径は、圧縮変形して内筒面79Aに嵌るように、環状部79の内筒面79Aの内径D1に対して僅かに大きくされている。
【0045】
図3及び図5〜図7に示すように、シール部60は、円筒部59Aから略フランジ状に延びる薄肉円盤形状とされている。図8に示すように、シール部60の外径は、開口7の内径D0及び環状部79の外径D2より大きくされている。図5〜図7に示すように、シール部60の内面60Cの外周縁側には、中心軸線X1を中心とする円周に沿って内側方向に突出しつつ延在する細いリップ60Dが複数本設けられている。
【0046】
図3、図5及び図7に示すように、第1連通孔61Aと第1連通孔61Bとは、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ円筒部59Aより外側でシール部60を貫通する略四角穴である。
【0047】
図3及び図6に示すように、第2連通孔62Aと第2連通孔62Bとは、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ円筒部59Aより外側でシール部60を貫通する略四角穴である。
【0048】
各第1連通孔61A、61B及び各第2連通孔62A、62Bは、中心軸線X1周りに90°間隔で並んでいる。また、第1連通孔61A、61B及び第2連通孔62A、62Bのそれぞれと中心軸線X1との距離は、ほぼ等しくされている。これらの距離は、上述した第1係合部71A、71B及び第2係合部72A、72Bのそれぞれと中心軸線X1との距離ともほぼ等しくされている。これにより、ベゼル70をパッキン50に組み付けると、各第1連通孔61A、61B及び各第2連通孔62A、62Bに、各第1係合部71A、71B及び各第2係合部72A、72Bを挿通させることができる。
【0049】
図3及び図5〜図7に示すように、プッシュボタン35は熱可塑性樹脂の射出成形品である。プッシュボタン35の外側方向を向く部位は、円板部59Bと円筒部59Aとにより区画される凹部に嵌まるボタン形状とされている。
【0050】
プッシュボタン35の内側方向を向く部位には、図5及び図6に示すように、VI−VI断面に沿う方向に細長い略直方体形状の凸部35Cと、図5に示すように、凸部35Cを挟みつつ、内側方向に突出する一対の壁部35A、35Bとが形成されている。壁部35A、35Bの内側方向にテーパ状に突出する各端縁は、互いに接近するように弾性変形可能とされている。
【0051】
図4〜図6に示すように、スイッチケース10は、枠部19と、一対の被係合部13A、13Bと、マイクロスイッチ収容部15A、15Bとを有する。
【0052】
枠部19は、中心軸線X1を中心とする略円筒形状とされている。図4に示すように、枠部19の外側方向を向く端面19Bの内周縁側は段状に膨出している。そして、その段状部分の外側方向を向く端面は、中心軸線X1を中心とする略円環形状のシール面19Aとされている。シール面19Aには、中心軸線X1を中心とする円周に沿って外側方向に断面略「V」字形状に突出しつつ延在する山状リブ19Fが設けられている。さらに、シール面19Aの内周縁側には、一対のC型壁部17A、17Bと、一対のバネ部18A、18Bとが形成されている。
【0053】
図4〜図6に示すように、各C型壁部17A、17Bは、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ、シール面19Aの内周縁側からそれぞれ外側方向に突出する形状とされている。また、各バネ部18A、18Bは、対向するC型壁部17A、17Bの隙間から互いに対向しつつ、中心軸線X1の径内方向に梁状に延在する形状とされている。
【0054】
図4及び図5に示すように、各被係合部13A、13Bは、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ、それぞれ枠部19の外筒面19Cから外側方向に突出するように設けられている。より詳しくは、図4に示すように、各被係合部13A、13Bは略「U」字形状とされており、その略「U」字形状の底部を外側方向に向けている。
【0055】
図4に示すように、枠部19の端面19Bの外周縁側には、外側方向に柱状に突出する柱部19Dが4本設けられている。ベゼル70をパッキン50に組み付けた際、シール部60における各第1連通孔61A、61B及び各第2連通孔62A、62Bの間に位置する部位に対して、各柱部19Dの外側方向を向く端面が当接することにより、シール部60が内側方向に撓むことを規制するようになっている。また、枠部19の端面19Bの外周縁側には、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ内側方向に段状に凹む一対の逃げ部19Eが設けられている。図6に示すように、ベゼル70をスイッチケース10に組み付けた際、各第2係合部72A、72Bが各逃げ部19E内に突出することにより、スイッチケース10と各第2係合部72A、72Bとが干渉しないようになっている。
【0056】
図4〜図6に示すように、マイクロスイッチ収容部15A、15Bは、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ、それぞれ枠部19から内側方向に板状に延在している。各マイクロスイッチ収容部15A、15Bの互いに対向する面には、中心軸線X1に沿って溝状に凹む保持溝15Cが凹設されている。また、マイクロスイッチ収容部15Bのマイクロスイッチ収容部15Aと対向する面には、図4及び図6に示すように、保持溝15Cと隣接してボタン状に突出する突起15Dが凸設されている。
【0057】
図3、図5及び図6に示すように、マイクロスイッチ39は周知の規格品である。マイクロスイッチ39の外側方向を向く面には、内側方向に押し込み可能とされた変位部39Eが凸設されている。その一方、マイクロスイッチ39の内側方向を向く面には、内側方向に延在するリード線39Aが配設されている。また、マイクロスイッチ39の両側面には、ボタン状に突出する突起39Cが互いに離反するように凸設されている。さらに、マイクロスイッチ39には、マイクロスイッチ39の両側面を連通させる連通穴39Dが突起39Cに隣接して貫設されている。
【0058】
図3に示すように、リテーナ90は、略U字状の板ばね部材であり、基部90Cと、一対の突出部90A、90Bとを有する。各突出部90A、90Bは、中心軸線X1を双方の間に位置させつつ、基部90Cから中心軸線X1と直交する平面に沿って延びている。各突出部90A、90Bは、その延在方向の中間部が内側方向に湾曲するアーチ形状とされている。図9に示すように、各突出部90A、90Bの内幅D3は、各第2係合部72A、72Bの鍵爪部分の先端同士の間隔より狭くされて、鍵爪部分に係合し易くなっている。また、各突出部90A、90Bの外幅は、開口7の内径D0よりも広くされている。
【0059】
上記構成であるベゼル70と、パッキン50と、プッシュボタン35と、スイッチケース10と、マイクロスイッチ39とは、以下のようにして組み付けられることにより、図5〜図7に示す組み付け体1Uとしてユニット化される。そして、上記構成であるリテーナ90を用いて、組み付け体1Uを外板8の開口7に装着することにより、図8〜図10に示すプッシュ式スイッチ1が完成する。以下の手順は一例であり、順番を適宜入れ替えることも可能である。
【0060】
図5〜図7に示すように、円板部59Bと円筒部59Aとにより区画される凹部内にプッシュボタン35を嵌め込んで、パッキン50にプッシュボタン35を組み付ける。
【0061】
次に、プッシュ部59を環状部79の内筒面79Aに嵌め込む。これにより、円筒部59Aが内筒面79Aに密着する。また、環状部79がプッシュ部59を「額縁」のように囲う。
【0062】
次に、各第1連通孔61A、61B及び各第2連通孔62A、62Bに、各第1係合部71A、71B及び各第2係合部72A、72Bを挿通させて、ベゼル70をパッキン50に組み付ける。そうすると、また、各第1係合部71A、71B及び各第2係合部72A、72Bは、シール部60の内面60Cよりも内側方向に突出する状態となる。この際、各第1係合部71A、71B及び各第2係合部72A、72Bと、各第1連通孔61A、61B及び各第2連通孔62A、62Bとの隙間を小さくすることにより、環状部79とパッキン50とを互いに位置決めできる。これにより、環状部79とパッキン50とがずれて外観品位が低下することを防止できる。
【0063】
次に、スイッチケース10のマイクロスイッチ収容部15A、15Bにマイクロスイッチ39を組み付ける。この際、マイクロスイッチ収容部15A、15Bの保持溝15Cに、マイクロスイッチ39の突起39Cを嵌め合わせ、マイクロスイッチ収容部15Bの突起15Dをマイクロスイッチ39の連通穴39Dに嵌め合わせる。これにより、マイクロスイッチ39をスイッチケース10に確実に固定することができる。
【0064】
次に、組み付けられたベゼル70、パッキン50及びプッシュボタン35と、別に組み付けられたスイッチケース10及びマイクロスイッチ39とを中心軸線X1に沿って接近させて、図5〜図7に示すように、ベゼル70の各第1係合部71A、71Bをスイッチケース10の各被係合部13A、13Bに係合させる。この際、各第1係合部71A、71Bの鍵爪部分が各被係合部13A、13Bの略「U」字形状の底部に喰い込むように係合するので、ベゼル70とスイッチケース10とを強固に固定できる。
【0065】
この状態では、環状部79の内面79Cの内周縁側は、外側からプッシュ部59の円筒部59Aの全周及びシール部60の内周縁側の全周に当接する。また、枠部19のシール面19Aは、内側から円筒部59Aの内側方向を向く端面の全周に当接する。そして、各第1係合部71A、71Bが各被係合部13A、13Bに係合することにより、環状部79と枠部19とが接近して、双方に挟まれたシール部60の内周縁側が押し潰される。この際、環状部79の内周縁側の山状リブ79Dがシール部60に食い込む。その結果、シール部60の内周縁側と、環状部79の内面79Cの内周縁側とは、全周にわたって密着する。すなわち、環状部79と、プッシュ部59の周囲との間に、プッシュ部59を囲う第1のシールラインS1が形成される。また、枠部19のシール面19Aの山状リブ19Fが円筒部59Aの内側方向を向く端面に食い込む。その結果、スイッチケース10の枠部19と、プッシュ部59の円筒部59Aの内側方向を向く端面との間に、シールラインS4が形成される。
【0066】
また、この状態では、図5及び図7に示すように、各C型壁部17A、17Bの外側方向を向く端縁が各壁部35A、35Bの内側方向にテーパ状に突出する各端縁と当接する。そして、図5〜図7に示すように、マイクロスイッチ39の変位部39Eがプッシュボタン35の凸部35Cに対して内側から当接する。さらに、図6に示すように、各バネ部18A、18Bの先端が、プッシュボタン35とマイクロスイッチ39との間に梁状に延在して、凸部35Cに対して内側から当接する。これにより、マイクロスイッチ39と、プッシュボタン35と、バネ部18A、18Bとにより、スイッチ本体30が構成される。
【0067】
こうして、図5〜図7に示すように、ベゼル70と、パッキン50と、プッシュボタン35と、スイッチケース10と、マイクロスイッチ39とが組み付け体1Uとしてユニット化される。この状態において、プッシュ部59が内側方向に押されると、プッシュ部59に覆われたプッシュボタン35もプッシュ部59と一体に内側方向に変位して、マイクロスイッチの変位部39Eを内側方向に押す。その結果、マイクロスイッチ39が通電状態となる。この際、各壁部35A、35Bは、各C型壁部17A、17Bの間に割り込みながら、互いに接近するように弾性変形する。これにより、操作者は、短い押し込みストロークで適度なクリック感を感じることができる。また、プッシュボタン35が内側方向に変位すると、各バネ部18A、18Bが内側方向に撓んで復元力を蓄える。これにより、プッシュ部59を押し込む力が作用しなくなると、各バネ部18A、18Bが復元力を発揮して、プッシュボタン35及びプッシュ部59を元の位置に復帰させる。このように、組み付け体1Uは、外板8の開口7に装着される前の出荷検査の段階で、スイッチ本体30の品質確認試験を実施できる。
【0068】
次に、リテーナ90を用いて、組み付け体1Uを外板8の開口7に装着する方法について説明する。
【0069】
図8〜図10に示すように、組み付け体1Uを外板8の外面8A側から開口7に挿入する。そうすると、シール部60の内面60Cの外周縁側は、外板8の外面8A側から開口7の周縁7Aの全周に当接する。また、環状部79の内面79Cの外周縁側は、外板8の外面8A側からシール部60の外周縁側の全周に当接する。
【0070】
一方、円筒部59Aは、外板8の外面8A側から開口7内に延在する。スイッチケース10は、外板8の内面8B側に開口7と対面するように配設され、開口7より小さな枠部19を開口7内に位置させる。スイッチ本体30、リード線39A及びコネクタ39Bも、外板8の内面8B側に配設される。なお、図8及び図9では、コネクタ39Bの図示を省略している。
【0071】
図8及び図10に示すように、各被係合部13A、13Bと係合する各第1係合部71A、71Bは、各第1連通孔61A、61Bを介して内面8B側に突出した状態となる。
【0072】
図9に示すように、各第2係合部72A、72Bは、各第2連通孔62A、62Bを介して内面8B側に突出した状態となる。各第2係合部72A、72Bの鍵爪部分と、内面8Bとの間には、中心軸線X1方向の隙間H1が形成される。
【0073】
次に、内面8Bと、各第2係合部72A、72Bの鍵爪部分との隙間H1に、リテーナ90の各突出部90A、90Bを挿入する。ここで、各突出部90A、90Bのアーチ形状部分の中心軸線X1方向の高さは、隙間H1より高くされている。このため、隙間H1に各突出部90A、90Bが挿入される際、各突出部90A、90Bのアーチ形状部分の曲率が緩やかになるように各突出部90A、90Bが弾性変形する。その反力により、各突出部90A、90Bは、隙間H1を広げるように各第2係合部72A、72Bを内面8Bから離反させる。これにより、環状部79は、シール部60の外周縁側を介して開口7の周縁7Aに押し付けられるので、双方に挟まれたシール部60の外周縁側が押し潰される。この際、シール部60のリップ60Dが潰れるとともに、環状部79の外周縁側の山状リブ79Eがシール部60に食い込む。その結果、シール部60の外周縁側と、環状部79の内面79Cの外周縁側とが全周にわたって密着する。すなわち、パッキン50のシール部60の外周縁側と、環状部79との間に、第2のシールラインS2が形成される。また、開口7の周縁7Aと、シール部60の外周縁側とが全周にわたって密着する。すなわち、開口7の周縁7Aと、パッキン50のシール部60の外周縁側との間に、第3のシールラインS3が形成される。
【0074】
こうして、外板8の開口7に装着されたプッシュ式スイッチ1は、ベゼル70の環状部79がプッシュ部59を「額縁」のように囲って、良好な外観品位を呈することができる。また、このプッシュ式スイッチ1は、第1のシールラインS1、第2のシールラインS2及び第3のシールラインS3により、外板8の外面8A側に対して内面8B側をシールできるので、高い防水性を発揮できる。そして、万が一、内面8B側に水が浸入したとしても、シールラインS4により、パッキン50の円筒部59Aと、スイッチケース10の枠部19との間から水がマイクロスイッチ39まで浸入することを確実に防止できる。さらに、このプッシュ式スイッチ1は、パッキン50が一つであることから、部品点数を削減して組み付け作業を簡素化し、低コスト化を実現できる。
【0075】
したがって、実施例のプッシュ式スイッチ1は、良好な外観品位を維持しながら、より高い防水性を確保できるとともに、部品点数を削減して組み付け作業を簡素化し、低コスト化を実現できる。
【0076】
また、このプッシュ式スイッチ1は、離反手段としてのリテーナ90を外板8の内面8Bと各第2係合部72A、72Bとの間に挿入する単純作業により、容易に外板8の開口7に装着できる。
【0077】
さらに、このプッシュ式スイッチ1は、サイドドア9を施錠又は開錠するキーシリンダ(図示せず)が装着される外板8の開口7に、キーシリンダと置換して装着可能とされている。このため、このプッシュ式スイッチ1は、開口7に装着される既存のキーシリンダと容易に置き換えることができる。その結果、手動キーから電子キーに仕様変更する際の車両の設計変更を最小限に抑えることができ、車両の製造コストの高騰を抑制できる。
【0078】
また、このプッシュ式スイッチ1において、スイッチ本体30は、上述のマイクロスイッチ39と、プッシュボタン35と、バネ部18A、18Bとからなる構成により、組み付け作業の簡素化及び部品点数の削減を確実に実現できる。また、規格品であるマイクロスイッチを採用しているので、部品コストを削減できる。
【0079】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0080】
例えば、本発明のプッシュ式スイッチが装着される車両用開閉体は、サイドドアに限定されず、テールゲートや、トランクハッチ等であってもよい。
【0081】
また、図1に示すロッド3Bの代わりに、ドアハンドル3Aを開く操作を検知して制御部Cに伝達するスイッチをドアハンドル3Aの近傍に設け、ロック装置3を制御部Cに制御されてラッチ状態又はアンラッチ状態に切り替える動作を行う電動モータ駆動式のものに変更してもよい。この場合、操作者によるドアハンドル3Aを開く操作がスイッチにより制御部Cに伝達され、制御部Cはそれに応じて、電動モータ駆動式のロック装置3をラッチ状態又はアンラッチ状態に切り替える。また、プッシュ式スイッチ1に対する操作も制御部Cに伝達され、制御部Cはそれに応じて、電動モータ駆動式のロック装置3を施錠状態又は解錠状態に切り替える。
【0082】
さらに、環状部は、円環形状に限定されず、四角枠形状や多角環形状等であってもよい。この場合、環状部の外径は、環状部の外側輪郭線に内接する円の直径であり、環状部の内径は、環状部の内側輪郭線に外接する円の直径である。
【0083】
また、環状部79の内面79Cに山状リブ79D、79Eに設ける代わりに、シール部60の内面79Cと当接する面に、リップ60Dと同様のリップを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
9…車両用開閉体(サイドドア)
8…外板
8A…外板の外面
8B…外板の内面
7…開口
7A…開口の周縁
1…プッシュ式スイッチ
10…スイッチケース
19…枠部
30…スイッチ本体
39…マイクロスイッチ
18A、18B…バネ部
35…プッシュボタン
50…パッキン
59…プッシュ部
60…シール部
61A、61B…第1連通孔
62A、62B…第2連通孔
70…ベゼル
79…環状部
D1…環状部の内径
D2…環状部の外径
71A、71B…第1係合部
72A、72B…第2係合部
90…離反手段(リテーナ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用開閉体の外板に貫設された開口に装着され、前記車両用開閉体を施錠又は開錠する際に操作されるプッシュ式スイッチであって、
前記外板の内面側に前記開口と対面するように配設され、前記開口より小さな枠部を前記開口内に位置させるスイッチケースと、
前記スイッチケースに固定され、前記枠部を介して前記開口の略中央にプッシュボタンを突出させるスイッチ本体と、
外径が前記開口より大きく、内径が前記開口より小さな略環形状をなす環状部と、前記環状部から前記内面側に突出して前記スイッチケースと係合する第1係合部と、前記環状部から前記内面側に突出する第2係合部とを有するベゼルと、
前記第2係合部を前記内面から離反させる離反手段と、
前記外板の外面側から前記プッシュボタンを覆うプッシュ部と、前記プッシュ部から略フランジ状に延びて、前記外板の外面側から前記開口の周縁の全周に当接するシール部と、前記シール部に貫設され、前記開口の周縁と前記枠部との間で、前記外面側と前記内面側とを連通させて前記第1係合部を貫通させる第1連通孔と、前記シール部に貫設され、前記開口の周縁と前記枠部との間で、前記外面側と前記内面側とを連通させて前記第2係合部を貫通させる第2連通孔とを有する可撓性材料製のパッキンとを備え、
前記環状部は、前記外面側から前記シール部の内周縁側の全周に当接するとともに、前記外面側から前記シール部の外周縁側の全周に当接し、
前記第1係合部は、前記環状部と前記枠部とを接近させて前記シール部の内周縁側と前記環状部とを密着させ、
前記離反手段は、前記開口の周縁と前記シール部の外周縁側とを密着させるとともに前記シール部の外周縁側と前記環状部とを密着させるように構成されていることを特徴とするプッシュ式スイッチ。
【請求項2】
離反手段は、前記内面と前記第2係合部との間に挿入され、前記第2係合部を前記内面から離反させる付勢力を有するリテーナである請求項1記載のプッシュ式スイッチ。
【請求項3】
前記車両用開閉体を施錠又は開錠するキーシリンダが装着される前記開口に、前記キーシリンダと置換して装着可能とされている請求項1又は2記載のプッシュ式スイッチ。
【請求項4】
前記スイッチ本体は、前記スイッチケースに収容されるマイクロスイッチと、前記枠部内に保持され、前記プッシュ部が押し込まれることにより前記マイクロスイッチを断接する前記プッシュボタンと、前記スイッチケースに一体成形され、前記プッシュボタンと前記マイクロスイッチとの間に梁状に延在して、押し込まれた前記プッシュボタンを復帰させるバネ部とからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載のプッシュ式スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−43636(P2012−43636A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183597(P2010−183597)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(591038587)株式会社アンセイ (48)
【Fターム(参考)】