プライミング式注出器のストッパー
【課題】押圧ヘッドの押し込みによって位置ずれを起こしたり、脱落することがなく、しかも、簡単な動作で着脱できるストッパーを提案する。
【解決手段】プライミング式注出器の押圧ヘッド９下端と該注出器のベースキャップ１２上面にそれぞれ当接して該押圧ヘッド９の押し込みを阻止する端面を有し、その相互間に位置する該注出器のポンプステムまたは該ポンプステムを取り囲むベースキャップの保護カバーに着脱自在に保持される周壁１を備えたストッパーにおいて、前記周壁１に、押圧ヘッド９の噴射ノズル９ａを露出させることが可能な窓孔２aを有し、該押圧ヘッド９の外側面に沿って起立する幅狭の起立壁部２と、この起立壁部２の上端部に一体連結して前記押圧ヘッド９の天面を隙間ｔを隔てて覆い隠す天壁部３とを設ける。
【解決手段】プライミング式注出器の押圧ヘッド９下端と該注出器のベースキャップ１２上面にそれぞれ当接して該押圧ヘッド９の押し込みを阻止する端面を有し、その相互間に位置する該注出器のポンプステムまたは該ポンプステムを取り囲むベースキャップの保護カバーに着脱自在に保持される周壁１を備えたストッパーにおいて、前記周壁１に、押圧ヘッド９の噴射ノズル９ａを露出させることが可能な窓孔２aを有し、該押圧ヘッド９の外側面に沿って起立する幅狭の起立壁部２と、この起立壁部２の上端部に一体連結して前記押圧ヘッド９の天面を隙間ｔを隔てて覆い隠す天壁部３とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、押圧ヘッドを繰り返し押し込み、ポンプを作動させることによって容器内の内容物を噴出させるプライミング式注出器に用いて好適なストッパーに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
押圧ヘッドを繰り返し押し込むことによってポンプを作動させ、容器内の内容物を注出する、所謂、プライミング形式の注出器を備えた容器にあっては、商品の流通過程で押圧ヘッドの不用意な押し込みによる内容物の流出を防止するため、押圧ヘッドの下端部（押圧ヘッドとベースキャップとの間）に、ポンプステムあるいは該ポンプステムを取り囲む保護カバー（ベースキャップと一体に成形されたもの）への着脱を可能とするストッパーが設けられている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
この種のストッパーとしては、通常、ポンプステムあるいはベースキャップの保護カバーに対する簡便な着脱を実現するため、ストッパー本体の弾性的な変形によって切り離し開放部の開放幅を適宜拡大できるようにしたＣ字形状をなす形状を有する筒状部材を適用しているのが普通である。
【０００４】
ところで、商品の流通過程で、押圧ヘッドに過剰な荷重が加えられた場合に、該押圧ヘッドによってストッパーが押し込まれ、該ストッパーの弾性変形により切り離し開放部の開放幅が拡大されてしまう結果、該ストッパーが位置ずれを起こしたり、脱落することがあり、それ自身が本来もつ機能を果たすことができなくなって、容器内の内容物が漏れ出てしまうおそれがあった。
【０００５】
この点に関する先行技術として特許文献２には、押下げヘッドの押し込みを防止するとともにノズル孔を密閉するカバーを備えた液体噴出容器が開示されている。
【０００６】
上記の特許文献２に開示されたカバーは、ステム覆合部分にヘッド覆合部分を一体化した構造を採用するものであり、該ヘッド覆合部分により、商品の流通過程で起こり得る押下げヘッドの不用意な押し込みをある程度防止できることが期待されていたものの、その取付けに際しては、カバーの向きと押下げヘッドの向きを常に一定にしなければならない面倒な動作が必要であり、該カバーの効率的なセットを行うことができない不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】実公昭６３―３３６４６号公報
【特許文献２】特許第４５９６４０８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明の課題は、商品の流通過程で懸念される内容物の流出を確実に回避するとともに、押圧ヘッドにおけるセットを簡便に行い得るプライミング式注出器のストッパーを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、プライミング式注出器の押圧ヘッド下端と該注出器のベースキャップ上面にそれぞれ当接して該押圧ヘッドの押し込みを阻止する端面を有し、その相互間に位置する該注出器のポンプステムまたは該ポンプステムを取り囲むベースキャップの保護カバーに着脱自在に保持される周壁を備えたストッパーであって、前記周壁に、押圧ヘッドの噴射ノズルを露出させることが可能な窓孔を有し、該押圧ヘッドの外側面に沿って起立する幅狭の起立壁部と、この起立壁部の上端部に一体連結して前記押圧ヘッドの天面を隙間を隔てて覆い隠す天壁部とを設けたことを特徴とするプライミング式注出器のストッパーである。
【００１０】
上記の構成からなるプライミング式注出器のストッパーにおいて、周壁には、その外側壁に、一端が押圧ヘッド下面に当接可能で、他端がベースキャップ上面に当接可能な複数の補強リブと、一端が前記起立壁部の下端につながり、他端がベースキャップ上面に当接可能な少なくとも１つの補強リブを設けるのが好ましい。
【００１１】
また、天壁部の裏面、すなわち、押圧ヘッドの天面に対向する面には、起立壁部からその後方に向けて延伸する少なくとも１つの補強リブを設けておくのが望ましい。
【発明の効果】
【００１２】
上記の構成からなる本発明のプライミング式注出器のストッパーによれば、押圧ヘッドの上部に、天壁部が存在しているため、商品の流通過程で所期しない荷重（外力）が付加されても、該荷重は、天壁部が受けることとなる。これにより、押圧ヘッドが押し込まれてストッパーの切り離し開放部の開放幅が拡大されてストッパーが位置ずれを起こしたり、脱落するようなことはなくなる。天壁部を支持する起立壁部については、幅の狭い板状部材にて構成したため、それ以外の周りには、何も存在しないことから、ストッパーを、プライミング注出器の押圧ヘッドに対して任意の向きに取付けることが可能となり、該ストッパーのセットが簡便になる。
【００１３】
また、本発明のプライミング式注出器のストッパーによれば、周壁の外側壁に、一端が押圧ヘッド下面に当接し、他端がベースキャップ上面に当接する複数の補強リブと、一端が前記起立壁部の下端につながり、他端がベースキャップ上面に当接する少なくとも１つの補強リブを設けたため、ポンプステムあるいはベースキャップの保護カバーに着脱する際の弾性的な変形を阻害することなしに周壁の剛性を高めることができる。
【００１４】
さらに、本発明のプライミング式注出器のストッパーによれば、天壁部の裏面に、起立壁部からその後方に向けて延伸する少なくとも１つの補強リブを設けることにより、天壁部自体の強度を高めることが可能となり、商品の流通過程での所期しない外力が付加されても該天壁部で確実に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】図１は、本発明に従うプライミング注出器のストッパーの実施の形態を模式的に示した外観斜視図である。
【図２】図２（ａ）は、図１に示したストッパーの正面を示した図（中心線を境にして右側半分を断面表示）であり、図２（ｂ）は、図１に示したストッパーの側面を示した図であり、図２（ｃ）は、図１に示したストッパーのＡ−Ａ断面を示した図であり、図２（ｄ）は、図１に示したストッパーの底面を示した図である。
【図３】図３（ａ）〜（ｃ）は、図１に示したストッパーをプライミング式注出器に装着した状態を示した図である。
【図４】図４は、ベースキャップの保護カバーとポンプステムの位置関係を示した図である。
【図５】図５は、図１に示したストッパーの他の取付け状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図１は、本発明に従うプライミング式注出器のストッパーの実施の形態を模式的に示した外観斜視図であり、図２（ａ）〜（ｄ）は、図１に示したストッパーの正面、側面、Ａ―Ａ断面および底面をそれぞれ示した図である。なお、本発明のストッパーは、合成樹脂を射出成形等の成形法を適用して成形することができるものである。
【００１７】
図における符号１は、注出器のポンプステムに着脱自在に保持される周壁である。この周壁１は、所定の幅でもって開放する切り離し開放部１ａを有するＣ字形状をなすもの(図２（ｃ）参照)であり、該周壁１自体の弾性的な変形により切り離し開放部１ａの開放幅ｗを拡大することができるようになっている（図２（ｄ）参照）。
【００１８】
そして、ポンプステムあるいはポンプステムを取り囲む保護カバーへの取付けに際し、その上端面１ｂを押圧ヘッドの下端（図３の符号９ｂ）に当接させる一方、下端面１ｃをベースキャップの上面（図３の符号１２ａ）に当接させることによって押圧ヘッドの押し込みを阻止する。
【００１９】
また、２は、切り離し開放部１ａの対向位置で、周壁１の上端部に一体的に設けられた幅狭の起立壁部である。この起立壁部２は、湾曲した板状部材から構成され、その壁面部の上方位置には、押圧ヘッドの噴射ノズルを露出させることを可能とする窓孔２ａが形成されており、該押圧ヘッドの外側面に沿って起立する。なお、起立壁部２は、湾曲した板状部材を例として示したが、該起立壁部２としては、例えば、フラットな板状部材を適用することも可能であり、とくに形状については限定されない。
【００２０】
符号３は、起立壁部２の上端部に一体連結して押圧ヘッドの天面を間隔を隔てて覆い隠す天壁部、４は、天壁部３の裏面（押圧ヘッドの天面に対向する面）に設けられた補強リブである。補強リブ４は、起立壁部２からその後方へ向けて延伸する棒状体にて構成されており、これにより天壁部３の強度を高めることができるようになっている。この補強リブ４は、この例では、１本設けた場合について示したが、その本数は、適宜増加させることができる。
【００２１】
符号５は、周壁１の内側面に設けられた突起である。突起５は、ストッパーをポンプステムあるは保護カバーに取付けた際に、該ポンプステムの外表面に接触して周壁１の適正な位置決めを行う。また、６、７は、周壁１の外側面に設けられた棒状の補強リブである。
【００２２】
補強リブ６、７は、周壁１の両サイドに１つずつ設けた場合を例として示してあり、その一端６ａ、７ａが押圧ヘッドの下端に当接可能になっており、他端６ｂ、７ｂがベースキャップの上面に当接可能になっており、これにより、周壁１の両サイドにおける縦方向の剛性を高める。
【００２３】
８は、周壁１の前方に設けられた棒状の補強リブである。この補強リブ８は、一端８ａが起立壁部２の下端に一体的につながっており、他端８ｂがベースキャップの上面に当接可能になっており、周壁１の前方における縦方向の剛性を高める機能を有している。
【００２４】
補強リブ６、７は、周壁１の両サイドに１つずつ設けた場合を、また、補強リブ８は、周壁１の前方に１つ設けた場合を例として示したが、補強リブ６、７、補強リブ８の本数は適宜増減できるものであって、図示のものに限定されない。
【００２５】
図３（ａ）〜（ｃ）は、本発明に従うストッパーを、押圧ヘッドに設けられた噴射ノズル（図３中の符号９、９ａ参照）が起立壁部２の窓孔２ａを通り抜けるように、プライミング式の注出器に装着した状態を示した図である。
【００２６】
プライミング式の注出器は、図３に示すように、押圧ヘッド９と、この押圧ヘッド９にポンプステム（ポンプステムは、保護カバー１１ａの内側に位置するため、図３には図示せず）を介してつながるポンプ本体部１０と、このポンプ本体部１０を、ポンプステム、押圧ヘッド９とともに容器の口部（図示せず）に固定保持するねじ止めタイプのベースキャップ１１（ベースキャップ１１は、天壁１１ａの中央部でポンプステムを取り囲み、その上端部分を押圧ヘッド９の内側に位置せしめる保護カバー１１ｂを備えたものを例として示してある）とを備えたもので構成され、通常、押圧ヘッド９を繰り返し押し込むことにより、ポンプステムを介してポンプ本体部１０内のピストン（図示せず）を作動させ、該ポンプ本体部１０の下端に設けられた吸引管１２を通して容器内の内容物を吸引、加圧して押圧ヘッド９の噴射ノズル９ａから内容物を噴出させるものである。なお、プライミング式注出器の機構については、上掲図３で説明したような構造のものに限定されることはなく、従来公知の他のプライミング式注出器にも適用し得る。図４にポンプステムと保護カバー１１ｂの位置関係を示す。
【００２７】
本発明に従うストッパーを、上記の構成からなるプライミング式注出器の保護カバー１１ｂに取付けるべく、周壁１の上端面１ｂを押圧ヘッド９の下端面９ｂに、該周壁１の下端面１ｃをベースキャップ１１の天壁１１ａ（上面）に当接させた場合において、所期しない外力が付加されても、天壁部３によってその外力による直接的な影響が遮断され、これにより、周壁１に及ぼす外力の影響も極めて小さくなり、ストッパーとしての機能を確実に保持し得る。
【００２８】
とくに、天壁部３は、押圧ヘッド９との間で隙間ｔ（図３参照（ａ）(ｂ)参照）を隔てて位置することになるため、過剰な外力により天壁部３が変形したとしても、その変形が隙間ｔの範囲内に収まることにより、外力が押圧ヘッド９に伝わることはなく、従って押圧ヘッド９を通してストッパー（周壁１）が変形して位置ずれを起こしたり、脱落することがない。
【００２９】
本発明に従うストッパーは、起立壁２が幅狭になっており、その他の部位には、何も存在しないため、例えば、図５に示すような向き（正反対）、あるいは、図示はしないがその他の任意の向き（起立壁２以外の向き）に取付けることも可能であり、とくに、消費者が日常使用する場合において、ストッパーの、押圧ヘッド９へのセットを極めて簡単に行うことができる。
【００３０】
起立壁２の幅寸法については、押圧ヘッド９の径とほぼ同じか、それよりも若干小さい寸法とするのがよい。
【産業上の利用可能性】
【００３１】
本発明によれば、押圧ヘッドの押し込みによって位置ずれを起こしたり、脱落することがなく、しかも、押圧ヘッドに対する取付け(セット)を簡単に行い得るストッパーが提供できる。
【符号の説明】
【００３２】
１ 周壁
１ａ 切り離し開放部
１ｂ 上端面
１ｃ 下端面
２ 起立壁
２ａ 窓孔
３ 天壁部
４ 補強リブ
５ 突起
６ 補強リブ
７ 補強リブ
８ 補強リブ
９ 押圧ヘッド
９ａ 噴射ノズル
９ｂ 下端面
１０ ポンプ本体部
１１ ベースキャップ
１１ａ 天壁
１１ｂ 保護カバー
１２ 吸入管
ｔ 隙間
ｗ 開放幅
【技術分野】
【０００１】
本発明は、押圧ヘッドを繰り返し押し込み、ポンプを作動させることによって容器内の内容物を噴出させるプライミング式注出器に用いて好適なストッパーに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
押圧ヘッドを繰り返し押し込むことによってポンプを作動させ、容器内の内容物を注出する、所謂、プライミング形式の注出器を備えた容器にあっては、商品の流通過程で押圧ヘッドの不用意な押し込みによる内容物の流出を防止するため、押圧ヘッドの下端部（押圧ヘッドとベースキャップとの間）に、ポンプステムあるいは該ポンプステムを取り囲む保護カバー（ベースキャップと一体に成形されたもの）への着脱を可能とするストッパーが設けられている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
この種のストッパーとしては、通常、ポンプステムあるいはベースキャップの保護カバーに対する簡便な着脱を実現するため、ストッパー本体の弾性的な変形によって切り離し開放部の開放幅を適宜拡大できるようにしたＣ字形状をなす形状を有する筒状部材を適用しているのが普通である。
【０００４】
ところで、商品の流通過程で、押圧ヘッドに過剰な荷重が加えられた場合に、該押圧ヘッドによってストッパーが押し込まれ、該ストッパーの弾性変形により切り離し開放部の開放幅が拡大されてしまう結果、該ストッパーが位置ずれを起こしたり、脱落することがあり、それ自身が本来もつ機能を果たすことができなくなって、容器内の内容物が漏れ出てしまうおそれがあった。
【０００５】
この点に関する先行技術として特許文献２には、押下げヘッドの押し込みを防止するとともにノズル孔を密閉するカバーを備えた液体噴出容器が開示されている。
【０００６】
上記の特許文献２に開示されたカバーは、ステム覆合部分にヘッド覆合部分を一体化した構造を採用するものであり、該ヘッド覆合部分により、商品の流通過程で起こり得る押下げヘッドの不用意な押し込みをある程度防止できることが期待されていたものの、その取付けに際しては、カバーの向きと押下げヘッドの向きを常に一定にしなければならない面倒な動作が必要であり、該カバーの効率的なセットを行うことができない不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】実公昭６３―３３６４６号公報
【特許文献２】特許第４５９６４０８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明の課題は、商品の流通過程で懸念される内容物の流出を確実に回避するとともに、押圧ヘッドにおけるセットを簡便に行い得るプライミング式注出器のストッパーを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、プライミング式注出器の押圧ヘッド下端と該注出器のベースキャップ上面にそれぞれ当接して該押圧ヘッドの押し込みを阻止する端面を有し、その相互間に位置する該注出器のポンプステムまたは該ポンプステムを取り囲むベースキャップの保護カバーに着脱自在に保持される周壁を備えたストッパーであって、前記周壁に、押圧ヘッドの噴射ノズルを露出させることが可能な窓孔を有し、該押圧ヘッドの外側面に沿って起立する幅狭の起立壁部と、この起立壁部の上端部に一体連結して前記押圧ヘッドの天面を隙間を隔てて覆い隠す天壁部とを設けたことを特徴とするプライミング式注出器のストッパーである。
【００１０】
上記の構成からなるプライミング式注出器のストッパーにおいて、周壁には、その外側壁に、一端が押圧ヘッド下面に当接可能で、他端がベースキャップ上面に当接可能な複数の補強リブと、一端が前記起立壁部の下端につながり、他端がベースキャップ上面に当接可能な少なくとも１つの補強リブを設けるのが好ましい。
【００１１】
また、天壁部の裏面、すなわち、押圧ヘッドの天面に対向する面には、起立壁部からその後方に向けて延伸する少なくとも１つの補強リブを設けておくのが望ましい。
【発明の効果】
【００１２】
上記の構成からなる本発明のプライミング式注出器のストッパーによれば、押圧ヘッドの上部に、天壁部が存在しているため、商品の流通過程で所期しない荷重（外力）が付加されても、該荷重は、天壁部が受けることとなる。これにより、押圧ヘッドが押し込まれてストッパーの切り離し開放部の開放幅が拡大されてストッパーが位置ずれを起こしたり、脱落するようなことはなくなる。天壁部を支持する起立壁部については、幅の狭い板状部材にて構成したため、それ以外の周りには、何も存在しないことから、ストッパーを、プライミング注出器の押圧ヘッドに対して任意の向きに取付けることが可能となり、該ストッパーのセットが簡便になる。
【００１３】
また、本発明のプライミング式注出器のストッパーによれば、周壁の外側壁に、一端が押圧ヘッド下面に当接し、他端がベースキャップ上面に当接する複数の補強リブと、一端が前記起立壁部の下端につながり、他端がベースキャップ上面に当接する少なくとも１つの補強リブを設けたため、ポンプステムあるいはベースキャップの保護カバーに着脱する際の弾性的な変形を阻害することなしに周壁の剛性を高めることができる。
【００１４】
さらに、本発明のプライミング式注出器のストッパーによれば、天壁部の裏面に、起立壁部からその後方に向けて延伸する少なくとも１つの補強リブを設けることにより、天壁部自体の強度を高めることが可能となり、商品の流通過程での所期しない外力が付加されても該天壁部で確実に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】図１は、本発明に従うプライミング注出器のストッパーの実施の形態を模式的に示した外観斜視図である。
【図２】図２（ａ）は、図１に示したストッパーの正面を示した図（中心線を境にして右側半分を断面表示）であり、図２（ｂ）は、図１に示したストッパーの側面を示した図であり、図２（ｃ）は、図１に示したストッパーのＡ−Ａ断面を示した図であり、図２（ｄ）は、図１に示したストッパーの底面を示した図である。
【図３】図３（ａ）〜（ｃ）は、図１に示したストッパーをプライミング式注出器に装着した状態を示した図である。
【図４】図４は、ベースキャップの保護カバーとポンプステムの位置関係を示した図である。
【図５】図５は、図１に示したストッパーの他の取付け状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図１は、本発明に従うプライミング式注出器のストッパーの実施の形態を模式的に示した外観斜視図であり、図２（ａ）〜（ｄ）は、図１に示したストッパーの正面、側面、Ａ―Ａ断面および底面をそれぞれ示した図である。なお、本発明のストッパーは、合成樹脂を射出成形等の成形法を適用して成形することができるものである。
【００１７】
図における符号１は、注出器のポンプステムに着脱自在に保持される周壁である。この周壁１は、所定の幅でもって開放する切り離し開放部１ａを有するＣ字形状をなすもの(図２（ｃ）参照)であり、該周壁１自体の弾性的な変形により切り離し開放部１ａの開放幅ｗを拡大することができるようになっている（図２（ｄ）参照）。
【００１８】
そして、ポンプステムあるいはポンプステムを取り囲む保護カバーへの取付けに際し、その上端面１ｂを押圧ヘッドの下端（図３の符号９ｂ）に当接させる一方、下端面１ｃをベースキャップの上面（図３の符号１２ａ）に当接させることによって押圧ヘッドの押し込みを阻止する。
【００１９】
また、２は、切り離し開放部１ａの対向位置で、周壁１の上端部に一体的に設けられた幅狭の起立壁部である。この起立壁部２は、湾曲した板状部材から構成され、その壁面部の上方位置には、押圧ヘッドの噴射ノズルを露出させることを可能とする窓孔２ａが形成されており、該押圧ヘッドの外側面に沿って起立する。なお、起立壁部２は、湾曲した板状部材を例として示したが、該起立壁部２としては、例えば、フラットな板状部材を適用することも可能であり、とくに形状については限定されない。
【００２０】
符号３は、起立壁部２の上端部に一体連結して押圧ヘッドの天面を間隔を隔てて覆い隠す天壁部、４は、天壁部３の裏面（押圧ヘッドの天面に対向する面）に設けられた補強リブである。補強リブ４は、起立壁部２からその後方へ向けて延伸する棒状体にて構成されており、これにより天壁部３の強度を高めることができるようになっている。この補強リブ４は、この例では、１本設けた場合について示したが、その本数は、適宜増加させることができる。
【００２１】
符号５は、周壁１の内側面に設けられた突起である。突起５は、ストッパーをポンプステムあるは保護カバーに取付けた際に、該ポンプステムの外表面に接触して周壁１の適正な位置決めを行う。また、６、７は、周壁１の外側面に設けられた棒状の補強リブである。
【００２２】
補強リブ６、７は、周壁１の両サイドに１つずつ設けた場合を例として示してあり、その一端６ａ、７ａが押圧ヘッドの下端に当接可能になっており、他端６ｂ、７ｂがベースキャップの上面に当接可能になっており、これにより、周壁１の両サイドにおける縦方向の剛性を高める。
【００２３】
８は、周壁１の前方に設けられた棒状の補強リブである。この補強リブ８は、一端８ａが起立壁部２の下端に一体的につながっており、他端８ｂがベースキャップの上面に当接可能になっており、周壁１の前方における縦方向の剛性を高める機能を有している。
【００２４】
補強リブ６、７は、周壁１の両サイドに１つずつ設けた場合を、また、補強リブ８は、周壁１の前方に１つ設けた場合を例として示したが、補強リブ６、７、補強リブ８の本数は適宜増減できるものであって、図示のものに限定されない。
【００２５】
図３（ａ）〜（ｃ）は、本発明に従うストッパーを、押圧ヘッドに設けられた噴射ノズル（図３中の符号９、９ａ参照）が起立壁部２の窓孔２ａを通り抜けるように、プライミング式の注出器に装着した状態を示した図である。
【００２６】
プライミング式の注出器は、図３に示すように、押圧ヘッド９と、この押圧ヘッド９にポンプステム（ポンプステムは、保護カバー１１ａの内側に位置するため、図３には図示せず）を介してつながるポンプ本体部１０と、このポンプ本体部１０を、ポンプステム、押圧ヘッド９とともに容器の口部（図示せず）に固定保持するねじ止めタイプのベースキャップ１１（ベースキャップ１１は、天壁１１ａの中央部でポンプステムを取り囲み、その上端部分を押圧ヘッド９の内側に位置せしめる保護カバー１１ｂを備えたものを例として示してある）とを備えたもので構成され、通常、押圧ヘッド９を繰り返し押し込むことにより、ポンプステムを介してポンプ本体部１０内のピストン（図示せず）を作動させ、該ポンプ本体部１０の下端に設けられた吸引管１２を通して容器内の内容物を吸引、加圧して押圧ヘッド９の噴射ノズル９ａから内容物を噴出させるものである。なお、プライミング式注出器の機構については、上掲図３で説明したような構造のものに限定されることはなく、従来公知の他のプライミング式注出器にも適用し得る。図４にポンプステムと保護カバー１１ｂの位置関係を示す。
【００２７】
本発明に従うストッパーを、上記の構成からなるプライミング式注出器の保護カバー１１ｂに取付けるべく、周壁１の上端面１ｂを押圧ヘッド９の下端面９ｂに、該周壁１の下端面１ｃをベースキャップ１１の天壁１１ａ（上面）に当接させた場合において、所期しない外力が付加されても、天壁部３によってその外力による直接的な影響が遮断され、これにより、周壁１に及ぼす外力の影響も極めて小さくなり、ストッパーとしての機能を確実に保持し得る。
【００２８】
とくに、天壁部３は、押圧ヘッド９との間で隙間ｔ（図３参照（ａ）(ｂ)参照）を隔てて位置することになるため、過剰な外力により天壁部３が変形したとしても、その変形が隙間ｔの範囲内に収まることにより、外力が押圧ヘッド９に伝わることはなく、従って押圧ヘッド９を通してストッパー（周壁１）が変形して位置ずれを起こしたり、脱落することがない。
【００２９】
本発明に従うストッパーは、起立壁２が幅狭になっており、その他の部位には、何も存在しないため、例えば、図５に示すような向き（正反対）、あるいは、図示はしないがその他の任意の向き（起立壁２以外の向き）に取付けることも可能であり、とくに、消費者が日常使用する場合において、ストッパーの、押圧ヘッド９へのセットを極めて簡単に行うことができる。
【００３０】
起立壁２の幅寸法については、押圧ヘッド９の径とほぼ同じか、それよりも若干小さい寸法とするのがよい。
【産業上の利用可能性】
【００３１】
本発明によれば、押圧ヘッドの押し込みによって位置ずれを起こしたり、脱落することがなく、しかも、押圧ヘッドに対する取付け(セット)を簡単に行い得るストッパーが提供できる。
【符号の説明】
【００３２】
１ 周壁
１ａ 切り離し開放部
１ｂ 上端面
１ｃ 下端面
２ 起立壁
２ａ 窓孔
３ 天壁部
４ 補強リブ
５ 突起
６ 補強リブ
７ 補強リブ
８ 補強リブ
９ 押圧ヘッド
９ａ 噴射ノズル
９ｂ 下端面
１０ ポンプ本体部
１１ ベースキャップ
１１ａ 天壁
１１ｂ 保護カバー
１２ 吸入管
ｔ 隙間
ｗ 開放幅
【特許請求の範囲】
【請求項１】
プライミング式注出器の押圧ヘッド下端と該注出器のベースキャップ上面にそれぞれ当接して該押圧ヘッドの押し込みを阻止する端面を有し、その相互間に位置する該注出器のポンプステムまたは該ポンプステムを取り囲むベースキャップの保護カバーに着脱自在に保持される周壁を備えたストッパーであって、
前記周壁に、押圧ヘッドの噴射ノズルを露出させることが可能な窓孔を有し、該押圧ヘッドの外側面に沿って起立する幅狭の起立壁部と、この起立壁部の上端部に一体連結して前記押圧ヘッドの天面を隙間を隔てて覆い隠す天壁部とを設けたことを特徴とするプライミング式注出器のストッパー。
【請求項２】
前記周壁は、その外側面に、一端が押圧ヘッド下面に当接可能で、他端がベースキャップ上面に当接可能な複数の補強リブと、一端が前記起立壁部の下端につながり、他端がベースキャップ上面に当接可能な少なくとも１つの補強リブとを有することを特徴とする請求項１に記載したプライミング式注出器のストッパー。
【請求項３】
前記天壁部は、その裏面に、前記起立壁部からその後方に向けて延伸する少なくとも１つの補強リブを有することを特徴とする請求項１または２に記載したプライミング式注出器のストッパー。
【請求項１】
プライミング式注出器の押圧ヘッド下端と該注出器のベースキャップ上面にそれぞれ当接して該押圧ヘッドの押し込みを阻止する端面を有し、その相互間に位置する該注出器のポンプステムまたは該ポンプステムを取り囲むベースキャップの保護カバーに着脱自在に保持される周壁を備えたストッパーであって、
前記周壁に、押圧ヘッドの噴射ノズルを露出させることが可能な窓孔を有し、該押圧ヘッドの外側面に沿って起立する幅狭の起立壁部と、この起立壁部の上端部に一体連結して前記押圧ヘッドの天面を隙間を隔てて覆い隠す天壁部とを設けたことを特徴とするプライミング式注出器のストッパー。
【請求項２】
前記周壁は、その外側面に、一端が押圧ヘッド下面に当接可能で、他端がベースキャップ上面に当接可能な複数の補強リブと、一端が前記起立壁部の下端につながり、他端がベースキャップ上面に当接可能な少なくとも１つの補強リブとを有することを特徴とする請求項１に記載したプライミング式注出器のストッパー。
【請求項３】
前記天壁部は、その裏面に、前記起立壁部からその後方に向けて延伸する少なくとも１つの補強リブを有することを特徴とする請求項１または２に記載したプライミング式注出器のストッパー。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１３−９５４６７（Ｐ２０１３−９５４６７Ａ）
【公開日】平成２５年５月２０日（２０１３．５．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２３９２２４（Ｐ２０１１−２３９２２４）
【出願日】平成２３年１０月３１日（２０１１．１０．３１）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年５月２０日（２０１３．５．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１０月３１日（２０１１．１０．３１）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
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