プラグの抜け防止具
【課題】線状コンセントからプラグが抜けることを、簡単な作業によって防止できるプラグの抜け防止具を得る。
【解決手段】線状コンセント10の表板12の複数の線状溝11のうちの少なくとも1つを通過してこの表板12と係合する係合爪を各々備えた1対の係合部2、2と、屈曲可能な部材から形成されて、前記1対の係合部2、2を連絡する連絡部4、4と、この連絡部4、4と一体的に形成され、前記1対の係合部2、2がプラグ20に対して所定の位置を取って表板12に係合したとき、このプラグ20を表板12に押し付ける押付け部5とを設けてプラグの抜け防止具1を形成する。
【解決手段】線状コンセント10の表板12の複数の線状溝11のうちの少なくとも1つを通過してこの表板12と係合する係合爪を各々備えた1対の係合部2、2と、屈曲可能な部材から形成されて、前記1対の係合部2、2を連絡する連絡部4、4と、この連絡部4、4と一体的に形成され、前記1対の係合部2、2がプラグ20に対して所定の位置を取って表板12に係合したとき、このプラグ20を表板12に押し付ける押付け部5とを設けてプラグの抜け防止具1を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる線状コンセントからプラグが抜けることを防止する、プラグの抜け防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電源とそれを使用する電気機器とを接続する給電構造として、電源側に接続されたコンセントと、電気機器側に接続されたプラグとを用いる構造が広く実用に供されている。この構造は基本的に、電源に接続する複数(多くの場合は2つの電極に対応させて2つ、またはそれらにアース用が加えられた3つ)の刃受部を有するコンセントと、電気機器に接続して前記刃受部に各々受承される栓刃を有するプラグとからなるものである。
【0003】
また、上述のような給電構造を構成するコンセントの一つとして、いわゆる線状コンセントも公知となっている(例えば非特許文献1参照)。以下、この線状コンセントについて、斜視形状を示す図8と、その中のA−A線に沿った部分の断面形状を示す図9とを参照して説明する。線状コンセント10は、互いに平行な複数の線状溝11を有する表板12および、この表板12の裏側において上記線状溝11に沿って各々配設された刃受部13を有するものである。本例において、3個の刃受部13のうち外側の2個は図示外の電線などを介して電源に接続されるもの、そして中央の1個はアースに接続されるものである。なお表板12は一つの部材から形成されてもよいし、あるいは複数の部材を組み合わせて形成されてもよい。また刃受部13は弾性の有る板部材から形成されて、そこに挿通される後述のプラグの栓刃を弾力的に挟持する。
【0004】
一方この線状コンセント10と接続されるプラグ20は図10に示すように、一例として3本の被覆電線21が接続された本体22と、3本の電線21の1つずつと各々接続された3個の栓刃23と、把手部24とを備えてなるものである。
【0005】
このプラグ20は、図8に示すようにして線状コンセント10に接続される。すなわちプラグ20は、その3個の栓刃23がそれぞれ線状溝11内に入り、またプラグ本体底面22aが上記表板12と接する状態にして、コンセント20と組み合わされる。すると線状溝11を通過した栓刃23がそれぞれコンセント20の刃受部13に受承、挟持された状態となる。この状態になると、図示外の電源に刃受部13、栓刃23および電線21が導通するので、電線21に接続している電気機器に給電可能となる。
【0006】
以上説明したような線状コンセントを用いる場合は、線状溝に沿って延びる刃受部のどこにでもプラグの栓刃を受承させることができるので、コンセントに対するプラグの接続位置を任意に変えることができる。そのような利点が有ることから線状コンセントは、例えば店舗の陳列棚の商品を照らす棚下用照明器具の給電用などに好適に利用されている。
【非特許文献1】「電気用品技術基準の解説」通商産業省資源エネルギー庁公益事業部電力技術課編集 日本電気協会発行 第9版 平成10年7月25日 p.265
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のような構造を有する線状コンセントを用いる際には、プラグの栓刃が刃受部内を移動可能とされることから、プラグが抜けやすいという問題が認められる。線状コンセントからプラグが完全に抜ける(より詳しくは、線状コンセントの刃受部からプラグの栓刃が抜ける)と、当然電気機器への給電が絶たれてしまう。また、線状コンセントからプラグが完全に抜けなくても、図11や図12に示すように一部が抜けた状態になっていると、線状コンセント10とプラグ20との間にできた隙間に異物が入り込むことがある。その場合、異物が金属製のものであると、それが栓刃23と刃受部13(図9参照)とに接触して短絡を起こし、ひいては焼損事故などを招くこともある。
【0008】
そのような問題を防止するには、線状コンセントに対してプラグを接続したなら、そのプラグをビニールワイヤなどで縛って固定するようなことも考えられる。しかしそのようにする場合は煩わしい作業が必要になり、またプラグの接続位置を変える際には、ワイヤによる固定を解除してまた固定する、といった非常に面倒な作業が必要になる。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、線状コンセントからプラグが抜けることを、簡単な作業によって防止できるプラグの抜け防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるプラグの抜け防止具は、
前述したような線状コンセントつまり、互いに平行な複数の線状溝を有する表板および、この表板の裏側において前記線状溝に沿って各々配設された刃受部を有するコンセントと、
前記線状溝を通して前記刃受部に各々受承される栓刃を有して、前記コンセントに接続されるプラグとからなる給電構造において、
前記コンセントに接続されたプラグが該コンセントから抜けることを防止するプラグの抜け防止具であって、
前記表板の複数の線状溝のうちの少なくとも1つを通過してこの表板と係合する係合爪を各々備えた1対の係合部と、
前記1対の係合部を連絡する連絡部と、
この連絡部と一体的に形成され、前記1対の係合部が前記プラグに対して所定の位置を取って前記表板に係合したとき、このプラグを前記表板に押し付ける押付け部とを有してなるものである。
【0011】
なお上記の連絡部は、例えば軟質合成樹脂製の屈曲可能な部材から形成されていることが望ましい。
【0012】
また上記連絡部は、前記1対の係合部が前記表板に係合した状態下で、コンセントに接続されたプラグの両側外方にそれぞれ位置するように1対配設され、また前記押付け部は、前記1対の連絡部にそれぞれ一端、他端が結合されて、それらの端部の間の部分で前記プラグを押し付けるように形成されるのが望ましい。
【0013】
また前記連絡部の長さは、前記プラグが完全にコンセントに接続していない状態では、前記1対の係合部の双方の係合爪が前記表板と係合することを不可能にする値とされていることが望ましい。
【0014】
他方、上記係合爪は、前記表板の線状溝に近い部分を弾性変形させつつ通過して、通過後に該部分に引っ掛かる、断面矢印状のものであることが特に望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるプラグの抜け防止具は、上述の通り、コンセントの表板の複数の線状溝のうちの少なくとも1つを通過してこの表板と係合する係合爪を各々備えた1対の係合部と、屈曲可能な部材から形成されて、前記1対の係合部を連絡する連絡部と、この連絡部と一体的に形成され、前記1対の係合部がプラグに対して所定の位置を取って前記表板に係合したとき、このプラグを表板に押し付ける押付け部とを備えているので、この抜け防止具を用いれば、上記1対の係合部をコンセント表板に係合させるだけの簡単な作業によって、プラグをコンセント表板に押し付け、保持することができる。それにより、プラグがコンセントから抜けてしまうことを確実に防止可能となる。
【0016】
また本発明によるプラグの抜け防止具において、特に上記連絡部の長さが、プラグが完全にコンセントに接続していない状態では、1対の係合部の双方の係合爪が上記表板と係合することを不可能にする値とされている場合、作業者は、係合爪が表板に係合し得ないことから、プラグがコンセントに正常に接続していないことに気付くようになる。そこでこの場合は、プラグが不正な位置にあるまま、それを抜け防止具で保持、固定してしまうことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態によるプラグの抜け防止具1を示すものである。図示の通りこのプラグの抜け防止具1は、1対の係合部2、2と、この係合部2、2の各々に設けられた係合爪3、3と、1対の係合部2、2を左右端部において連絡する細長い連絡部4、4と、これらの連絡部4、4の一方に一端が、他方に他端が結合した形に形成された押付け部5とからなるものである。
【0019】
係合部2は大部分が平板状に形成され、その一つの表面から係合爪3が突設されている。係合爪3は断面形状が大略矢印状とされた細長いもので、その長手方向が、連絡部4が延びる方向と一致する状態に配設されている。
【0020】
上記の各要素2〜5は、一例として軟質合成樹脂を一体成型することによって作られている。この軟質合成樹脂は、成型後の状態においてある程度の弾性を有するものであり、従って連絡部4は外力によって屈曲可能となっている。
【0021】
以下、上記構成を有する本実施形態のプラグの抜け防止具1の作用について説明する。この抜け防止具1は、図2および図3に示す線状コンセント10およびプラグ20からなる給電構造において使用される。これらの線状コンセント10およびプラグ20は、先に図8〜10を参照して説明したものと基本的に同じであるので、それらについての詳しい説明は特に必要の無い限り省略する。
【0022】
例えば前述した陳列棚照明用の蛍光ランプ等の電気機器(図示せず)に被覆電線21を介して接続しているプラグ20は、図2に示すように線状コンセント10に接続される。それにより、線状コンセント10の3つの刃受部13(図9参照)が、プラグ20の3つの栓刃23(図10参照)に受承されて、それら両者が電気的に導通可能となる。このときプラグ20は、前述した通り、線状コンセント10の線状溝11上の任意の位置に配設可能である。
【0023】
こうしてプラグ20が線状コンセント10に接続された後、プラグの抜け防止具1の一方の係合部2が、図2に示すように線状コンセント10の表板12に係合、固定される。この係合は、係合部2に突設されている係合爪3を、線状コンセント10の線状溝11(この場合は3本のうち真ん中のもの)に挿通させて行われる。すなわち、断面形状が矢印状とされた係合爪3の最大幅、つまりその左右の出張り部分の先端間の距離は、線状溝11の幅より若干大きく設定されているが、この係合爪3をある程度強い力で線状溝11に押し込むと、係合爪3の出張り部分が表板12の線状溝11に近い部分を弾性変形させつつ、この線状溝11を通過する。そして、線状溝11を通過した後の係合爪3は、元の状態に戻った表板12の線状溝11に近い部分に引っ掛かる。こうして、一方の係合部2が表板12に係合、固定される。
【0024】
その後プラグの抜け防止具1は、他方の係合部2が線状コンセント10に近付くように図2の矢印B方向に曲げられる。そして、その他方の係合部2も上記と同様にして表板12に係合、固定される。このとき2つの連絡部4、4は屈曲して、それぞれプラグ20の両側外方に位置する。図3および図4はこの状態を示すものであり、この状態では、抜け防止具1の押付け部5がプラグ20を表板12に押し付けるようになる。こうしてプラグ20は、抜け防止具1によって表板12上に押さえ付けられるので、線状コンセント10から簡単に抜け出てしまうことがなくなる。
【0025】
なお連絡部4の長さは、線状コンセント10に正常に接続しているプラグ20の上に押付け部5が位置するようになる範囲で、最小の値に設定されている。したがって、もしプラグ20が線状コンセント10の上で少しでも浮いた状態になっていれば、2つの係合部2、2が双方とも表板12に係合することは不可能である。そこで、抜け防止具1を取り付ける作業者は、2つの係合部2、2のうち後から係合させる方の係合部2が表板12に係合し得ないときは、プラグ20が不正な姿勢になっていると気付いて、それを適宜正常な接続状態に直すことができる。
【0026】
以上説明のようにしてプラグ20が線状コンセント10の表板12に押し付けられていれば、当然、プラグ20と線状コンセント10との間に隙間は生じないので、その隙間に異物が入り込んで短絡等の不具合を招くことが防止される。またプラグ20を押さえ付けている抜け防止具1は、2つの係合爪3の作用で線状コンセント10に強固に固定されるので、プラグ20が線状溝11に沿った方向に動いてしまうことも防止される。
【0027】
なお、プラグ20と線状コンセント10との間に若干の隙間が出来るような場合でも、図4から分かるようにその隙間の前後(同図中の左側と右側)は、厚みの有る係合部2によってそれぞれ閉じられた状態となるので、その隙間の前後から異物が進入することが防止される。
【0028】
以上説明した実施形態では、1つの係合部2に係合爪3が1つだけ設けられているが、図5に示すように1つの係合部2に係合爪3を2つ設けて、それらを2本の線状溝11に係合させたり、あるいは図6に示すように1つの係合部2に係合爪3を3つ設けて、それらを3本の線状溝11全てに係合させたりすることも可能である。係合部2と表板12との係合をより確実にする上では、より多くの係合爪3を設けるのが好ましい。
【0029】
また図7に示すように、係合部2の上表面から立ち上がった部分2aを設け、そこに被覆電線21を通してそれらをまとめるようにしてもよい。そうする場合は、この部分2aを完全な箱状とすると、予めその内部に被覆電線21を通す面倒な操作が必要になるので、そのようにはしないで、図示のように切欠き部分2bを設け、そこから被覆電線21を押し込めるようにするのが好ましい。さらには、図示のように係合部2の一部にも切欠き部分2cを設け、係合爪3を表板12に係合させる際に係合部2が変形しやすくなるようにしておけば、この係合作業をより容易に行えるようになる。
【0030】
さらに本発明によるプラグの抜け防止具は、硬質材料を用いて、元から図3や図4に示したような形に形成されてもよい。しかし、上記実施形態のように軟質材料から形成して連絡部を屈曲可能としたものは、大きさがある程度異なるプラグに対しても共通使用できる、防止具全体を大略1枚のシート状に形成可能であるから保管や輸送に要するスペースを小さくすることができる、といった効果が得られるのでより望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明によるプラグの抜け防止具の一実施形態を示す斜視図
【図2】図1のプラグの抜け防止具を取り付ける作業の様子を説明する図
【図3】図1のプラグの抜け防止具を取り付ける作業の様子を説明する図
【図4】図1のプラグの抜け防止具によるプラグ保持状態を示す側面図
【図5】本発明によるプラグの抜け防止具の別の実施形態を示す部分断面図
【図6】本発明によるプラグの抜け防止具のさらに別の実施形態を示す部分断面図
【図7】本発明によるプラグの抜け防止具のさらに別の実施形態を示す部分断面図
【図8】線状コンセントおよびプラグを示す斜視図
【図9】線状コンセントの要部を示す部分断面図
【図10】線状コンセント用のプラグを示す斜視図
【図11】プラグの抜け状態の一例を示す側面図
【図12】プラグの抜け状態の別の例を示す側面図
【符号の説明】
【0032】
1 プラグの抜け防止具
2 係合部
3 係合爪
4 連絡部
5 押付け部
10 コンセント
11 線状溝
12 コンセントの表板
13 刃受部
20 プラグ
23 栓刃
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる線状コンセントからプラグが抜けることを防止する、プラグの抜け防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電源とそれを使用する電気機器とを接続する給電構造として、電源側に接続されたコンセントと、電気機器側に接続されたプラグとを用いる構造が広く実用に供されている。この構造は基本的に、電源に接続する複数(多くの場合は2つの電極に対応させて2つ、またはそれらにアース用が加えられた3つ)の刃受部を有するコンセントと、電気機器に接続して前記刃受部に各々受承される栓刃を有するプラグとからなるものである。
【0003】
また、上述のような給電構造を構成するコンセントの一つとして、いわゆる線状コンセントも公知となっている(例えば非特許文献1参照)。以下、この線状コンセントについて、斜視形状を示す図8と、その中のA−A線に沿った部分の断面形状を示す図9とを参照して説明する。線状コンセント10は、互いに平行な複数の線状溝11を有する表板12および、この表板12の裏側において上記線状溝11に沿って各々配設された刃受部13を有するものである。本例において、3個の刃受部13のうち外側の2個は図示外の電線などを介して電源に接続されるもの、そして中央の1個はアースに接続されるものである。なお表板12は一つの部材から形成されてもよいし、あるいは複数の部材を組み合わせて形成されてもよい。また刃受部13は弾性の有る板部材から形成されて、そこに挿通される後述のプラグの栓刃を弾力的に挟持する。
【0004】
一方この線状コンセント10と接続されるプラグ20は図10に示すように、一例として3本の被覆電線21が接続された本体22と、3本の電線21の1つずつと各々接続された3個の栓刃23と、把手部24とを備えてなるものである。
【0005】
このプラグ20は、図8に示すようにして線状コンセント10に接続される。すなわちプラグ20は、その3個の栓刃23がそれぞれ線状溝11内に入り、またプラグ本体底面22aが上記表板12と接する状態にして、コンセント20と組み合わされる。すると線状溝11を通過した栓刃23がそれぞれコンセント20の刃受部13に受承、挟持された状態となる。この状態になると、図示外の電源に刃受部13、栓刃23および電線21が導通するので、電線21に接続している電気機器に給電可能となる。
【0006】
以上説明したような線状コンセントを用いる場合は、線状溝に沿って延びる刃受部のどこにでもプラグの栓刃を受承させることができるので、コンセントに対するプラグの接続位置を任意に変えることができる。そのような利点が有ることから線状コンセントは、例えば店舗の陳列棚の商品を照らす棚下用照明器具の給電用などに好適に利用されている。
【非特許文献1】「電気用品技術基準の解説」通商産業省資源エネルギー庁公益事業部電力技術課編集 日本電気協会発行 第9版 平成10年7月25日 p.265
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のような構造を有する線状コンセントを用いる際には、プラグの栓刃が刃受部内を移動可能とされることから、プラグが抜けやすいという問題が認められる。線状コンセントからプラグが完全に抜ける(より詳しくは、線状コンセントの刃受部からプラグの栓刃が抜ける)と、当然電気機器への給電が絶たれてしまう。また、線状コンセントからプラグが完全に抜けなくても、図11や図12に示すように一部が抜けた状態になっていると、線状コンセント10とプラグ20との間にできた隙間に異物が入り込むことがある。その場合、異物が金属製のものであると、それが栓刃23と刃受部13(図9参照)とに接触して短絡を起こし、ひいては焼損事故などを招くこともある。
【0008】
そのような問題を防止するには、線状コンセントに対してプラグを接続したなら、そのプラグをビニールワイヤなどで縛って固定するようなことも考えられる。しかしそのようにする場合は煩わしい作業が必要になり、またプラグの接続位置を変える際には、ワイヤによる固定を解除してまた固定する、といった非常に面倒な作業が必要になる。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、線状コンセントからプラグが抜けることを、簡単な作業によって防止できるプラグの抜け防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるプラグの抜け防止具は、
前述したような線状コンセントつまり、互いに平行な複数の線状溝を有する表板および、この表板の裏側において前記線状溝に沿って各々配設された刃受部を有するコンセントと、
前記線状溝を通して前記刃受部に各々受承される栓刃を有して、前記コンセントに接続されるプラグとからなる給電構造において、
前記コンセントに接続されたプラグが該コンセントから抜けることを防止するプラグの抜け防止具であって、
前記表板の複数の線状溝のうちの少なくとも1つを通過してこの表板と係合する係合爪を各々備えた1対の係合部と、
前記1対の係合部を連絡する連絡部と、
この連絡部と一体的に形成され、前記1対の係合部が前記プラグに対して所定の位置を取って前記表板に係合したとき、このプラグを前記表板に押し付ける押付け部とを有してなるものである。
【0011】
なお上記の連絡部は、例えば軟質合成樹脂製の屈曲可能な部材から形成されていることが望ましい。
【0012】
また上記連絡部は、前記1対の係合部が前記表板に係合した状態下で、コンセントに接続されたプラグの両側外方にそれぞれ位置するように1対配設され、また前記押付け部は、前記1対の連絡部にそれぞれ一端、他端が結合されて、それらの端部の間の部分で前記プラグを押し付けるように形成されるのが望ましい。
【0013】
また前記連絡部の長さは、前記プラグが完全にコンセントに接続していない状態では、前記1対の係合部の双方の係合爪が前記表板と係合することを不可能にする値とされていることが望ましい。
【0014】
他方、上記係合爪は、前記表板の線状溝に近い部分を弾性変形させつつ通過して、通過後に該部分に引っ掛かる、断面矢印状のものであることが特に望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるプラグの抜け防止具は、上述の通り、コンセントの表板の複数の線状溝のうちの少なくとも1つを通過してこの表板と係合する係合爪を各々備えた1対の係合部と、屈曲可能な部材から形成されて、前記1対の係合部を連絡する連絡部と、この連絡部と一体的に形成され、前記1対の係合部がプラグに対して所定の位置を取って前記表板に係合したとき、このプラグを表板に押し付ける押付け部とを備えているので、この抜け防止具を用いれば、上記1対の係合部をコンセント表板に係合させるだけの簡単な作業によって、プラグをコンセント表板に押し付け、保持することができる。それにより、プラグがコンセントから抜けてしまうことを確実に防止可能となる。
【0016】
また本発明によるプラグの抜け防止具において、特に上記連絡部の長さが、プラグが完全にコンセントに接続していない状態では、1対の係合部の双方の係合爪が上記表板と係合することを不可能にする値とされている場合、作業者は、係合爪が表板に係合し得ないことから、プラグがコンセントに正常に接続していないことに気付くようになる。そこでこの場合は、プラグが不正な位置にあるまま、それを抜け防止具で保持、固定してしまうことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態によるプラグの抜け防止具1を示すものである。図示の通りこのプラグの抜け防止具1は、1対の係合部2、2と、この係合部2、2の各々に設けられた係合爪3、3と、1対の係合部2、2を左右端部において連絡する細長い連絡部4、4と、これらの連絡部4、4の一方に一端が、他方に他端が結合した形に形成された押付け部5とからなるものである。
【0019】
係合部2は大部分が平板状に形成され、その一つの表面から係合爪3が突設されている。係合爪3は断面形状が大略矢印状とされた細長いもので、その長手方向が、連絡部4が延びる方向と一致する状態に配設されている。
【0020】
上記の各要素2〜5は、一例として軟質合成樹脂を一体成型することによって作られている。この軟質合成樹脂は、成型後の状態においてある程度の弾性を有するものであり、従って連絡部4は外力によって屈曲可能となっている。
【0021】
以下、上記構成を有する本実施形態のプラグの抜け防止具1の作用について説明する。この抜け防止具1は、図2および図3に示す線状コンセント10およびプラグ20からなる給電構造において使用される。これらの線状コンセント10およびプラグ20は、先に図8〜10を参照して説明したものと基本的に同じであるので、それらについての詳しい説明は特に必要の無い限り省略する。
【0022】
例えば前述した陳列棚照明用の蛍光ランプ等の電気機器(図示せず)に被覆電線21を介して接続しているプラグ20は、図2に示すように線状コンセント10に接続される。それにより、線状コンセント10の3つの刃受部13(図9参照)が、プラグ20の3つの栓刃23(図10参照)に受承されて、それら両者が電気的に導通可能となる。このときプラグ20は、前述した通り、線状コンセント10の線状溝11上の任意の位置に配設可能である。
【0023】
こうしてプラグ20が線状コンセント10に接続された後、プラグの抜け防止具1の一方の係合部2が、図2に示すように線状コンセント10の表板12に係合、固定される。この係合は、係合部2に突設されている係合爪3を、線状コンセント10の線状溝11(この場合は3本のうち真ん中のもの)に挿通させて行われる。すなわち、断面形状が矢印状とされた係合爪3の最大幅、つまりその左右の出張り部分の先端間の距離は、線状溝11の幅より若干大きく設定されているが、この係合爪3をある程度強い力で線状溝11に押し込むと、係合爪3の出張り部分が表板12の線状溝11に近い部分を弾性変形させつつ、この線状溝11を通過する。そして、線状溝11を通過した後の係合爪3は、元の状態に戻った表板12の線状溝11に近い部分に引っ掛かる。こうして、一方の係合部2が表板12に係合、固定される。
【0024】
その後プラグの抜け防止具1は、他方の係合部2が線状コンセント10に近付くように図2の矢印B方向に曲げられる。そして、その他方の係合部2も上記と同様にして表板12に係合、固定される。このとき2つの連絡部4、4は屈曲して、それぞれプラグ20の両側外方に位置する。図3および図4はこの状態を示すものであり、この状態では、抜け防止具1の押付け部5がプラグ20を表板12に押し付けるようになる。こうしてプラグ20は、抜け防止具1によって表板12上に押さえ付けられるので、線状コンセント10から簡単に抜け出てしまうことがなくなる。
【0025】
なお連絡部4の長さは、線状コンセント10に正常に接続しているプラグ20の上に押付け部5が位置するようになる範囲で、最小の値に設定されている。したがって、もしプラグ20が線状コンセント10の上で少しでも浮いた状態になっていれば、2つの係合部2、2が双方とも表板12に係合することは不可能である。そこで、抜け防止具1を取り付ける作業者は、2つの係合部2、2のうち後から係合させる方の係合部2が表板12に係合し得ないときは、プラグ20が不正な姿勢になっていると気付いて、それを適宜正常な接続状態に直すことができる。
【0026】
以上説明のようにしてプラグ20が線状コンセント10の表板12に押し付けられていれば、当然、プラグ20と線状コンセント10との間に隙間は生じないので、その隙間に異物が入り込んで短絡等の不具合を招くことが防止される。またプラグ20を押さえ付けている抜け防止具1は、2つの係合爪3の作用で線状コンセント10に強固に固定されるので、プラグ20が線状溝11に沿った方向に動いてしまうことも防止される。
【0027】
なお、プラグ20と線状コンセント10との間に若干の隙間が出来るような場合でも、図4から分かるようにその隙間の前後(同図中の左側と右側)は、厚みの有る係合部2によってそれぞれ閉じられた状態となるので、その隙間の前後から異物が進入することが防止される。
【0028】
以上説明した実施形態では、1つの係合部2に係合爪3が1つだけ設けられているが、図5に示すように1つの係合部2に係合爪3を2つ設けて、それらを2本の線状溝11に係合させたり、あるいは図6に示すように1つの係合部2に係合爪3を3つ設けて、それらを3本の線状溝11全てに係合させたりすることも可能である。係合部2と表板12との係合をより確実にする上では、より多くの係合爪3を設けるのが好ましい。
【0029】
また図7に示すように、係合部2の上表面から立ち上がった部分2aを設け、そこに被覆電線21を通してそれらをまとめるようにしてもよい。そうする場合は、この部分2aを完全な箱状とすると、予めその内部に被覆電線21を通す面倒な操作が必要になるので、そのようにはしないで、図示のように切欠き部分2bを設け、そこから被覆電線21を押し込めるようにするのが好ましい。さらには、図示のように係合部2の一部にも切欠き部分2cを設け、係合爪3を表板12に係合させる際に係合部2が変形しやすくなるようにしておけば、この係合作業をより容易に行えるようになる。
【0030】
さらに本発明によるプラグの抜け防止具は、硬質材料を用いて、元から図3や図4に示したような形に形成されてもよい。しかし、上記実施形態のように軟質材料から形成して連絡部を屈曲可能としたものは、大きさがある程度異なるプラグに対しても共通使用できる、防止具全体を大略1枚のシート状に形成可能であるから保管や輸送に要するスペースを小さくすることができる、といった効果が得られるのでより望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明によるプラグの抜け防止具の一実施形態を示す斜視図
【図2】図1のプラグの抜け防止具を取り付ける作業の様子を説明する図
【図3】図1のプラグの抜け防止具を取り付ける作業の様子を説明する図
【図4】図1のプラグの抜け防止具によるプラグ保持状態を示す側面図
【図5】本発明によるプラグの抜け防止具の別の実施形態を示す部分断面図
【図6】本発明によるプラグの抜け防止具のさらに別の実施形態を示す部分断面図
【図7】本発明によるプラグの抜け防止具のさらに別の実施形態を示す部分断面図
【図8】線状コンセントおよびプラグを示す斜視図
【図9】線状コンセントの要部を示す部分断面図
【図10】線状コンセント用のプラグを示す斜視図
【図11】プラグの抜け状態の一例を示す側面図
【図12】プラグの抜け状態の別の例を示す側面図
【符号の説明】
【0032】
1 プラグの抜け防止具
2 係合部
3 係合爪
4 連絡部
5 押付け部
10 コンセント
11 線状溝
12 コンセントの表板
13 刃受部
20 プラグ
23 栓刃
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な複数の線状溝を有する表板および、この表板の裏側において前記線状溝に沿って各々配設された刃受部を有するコンセントと、
前記線状溝を通して前記刃受部に各々受承される栓刃を有して、前記コンセントに接続されるプラグとからなる給電構造において、
前記コンセントに接続されたプラグが該コンセントから抜けることを防止するプラグの抜け防止具であって、
前記表板の複数の線状溝のうちの少なくとも1つを通過してこの表板と係合する係合爪を各々備えた1対の係合部と、
前記1対の係合部を連絡する連絡部と、
この連絡部と一体的に形成され、前記1対の係合部が前記プラグに対して所定の位置を取って前記表板に係合したとき、このプラグを前記表板に押し付ける押付け部とを有してなるプラグの抜け防止具。
【請求項2】
前記連絡部が、屈曲可能な部材から形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラグの抜け防止具。
【請求項3】
前記屈曲可能な部材が、軟質合成樹脂からなるものであることを特徴とする請求項2記載のプラグの抜け防止具。
【請求項4】
前記連絡部が、前記1対の係合部が前記表板に係合した状態下で、コンセントに接続されたプラグの両側外方にそれぞれ位置するように1対配設され、
前記押付け部が、前記1対の連絡部にそれぞれ一端、他端が結合されて、それらの端部の間の部分で前記プラグを押し付けるものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のプラグの抜け防止具。
【請求項5】
前記連絡部の長さが、前記プラグが完全にコンセントに接続していない状態では、前記1対の係合部の双方の係合爪が前記表板と係合することを不可能にする値とされていることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のプラグの抜け防止具。
【請求項6】
前記係合爪が、前記表板の線状溝に近い部分を弾性変形させつつ通過して、通過後に該部分に引っ掛かる、断面矢印状のものであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のプラグの抜け防止具。
【請求項1】
互いに平行な複数の線状溝を有する表板および、この表板の裏側において前記線状溝に沿って各々配設された刃受部を有するコンセントと、
前記線状溝を通して前記刃受部に各々受承される栓刃を有して、前記コンセントに接続されるプラグとからなる給電構造において、
前記コンセントに接続されたプラグが該コンセントから抜けることを防止するプラグの抜け防止具であって、
前記表板の複数の線状溝のうちの少なくとも1つを通過してこの表板と係合する係合爪を各々備えた1対の係合部と、
前記1対の係合部を連絡する連絡部と、
この連絡部と一体的に形成され、前記1対の係合部が前記プラグに対して所定の位置を取って前記表板に係合したとき、このプラグを前記表板に押し付ける押付け部とを有してなるプラグの抜け防止具。
【請求項2】
前記連絡部が、屈曲可能な部材から形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラグの抜け防止具。
【請求項3】
前記屈曲可能な部材が、軟質合成樹脂からなるものであることを特徴とする請求項2記載のプラグの抜け防止具。
【請求項4】
前記連絡部が、前記1対の係合部が前記表板に係合した状態下で、コンセントに接続されたプラグの両側外方にそれぞれ位置するように1対配設され、
前記押付け部が、前記1対の連絡部にそれぞれ一端、他端が結合されて、それらの端部の間の部分で前記プラグを押し付けるものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のプラグの抜け防止具。
【請求項5】
前記連絡部の長さが、前記プラグが完全にコンセントに接続していない状態では、前記1対の係合部の双方の係合爪が前記表板と係合することを不可能にする値とされていることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のプラグの抜け防止具。
【請求項6】
前記係合爪が、前記表板の線状溝に近い部分を弾性変形させつつ通過して、通過後に該部分に引っ掛かる、断面矢印状のものであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のプラグの抜け防止具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−259552(P2009−259552A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106285(P2008−106285)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000111166)ニッポ電機株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000111166)ニッポ電機株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
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