説明

プラグインユニットの取付構造

【課題】本発明は、プラグインユニットをシェルフに挿入、実装する際に、コネクタの破損や接続ピンの変形を防止したプラグインユニットの取付構造を提供する。
【解決手段】 コネクタを搭載したシェルフのユニット挿入口に、プリント回路板と、プリント回路板の前面に取り付く表面板と、プリント回路板の背面側に取り付くコネクタとからなるプラグインユニットを挿入して、両コネクタを嵌合させるプラグインユニットの取付構造に於て、前記ユニット挿入口の周縁に、前記両コネクタの嵌合直前に前記表面板の裏面側に当接してプラグインユニットの挿入を一時停止させる係止突起を移動可能に装着し、当該係止突起に、表面板との当接状態を解除する操作部材を連設すると共に、前記表面板に、両コネクタの嵌合後に前記係止突起が係止する被係止部を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェルフに挿入、実装するプラグインユニットの取付構造に係り、主としてプラグインコネクタを装着したプラグインユニットをシェルフに挿入、実装する際に、プラグインコネクタの破損やプラグインコネクタの接続ピンの変形を防止したプラグインユニットの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器等の電子機器では、保守、点検を容易にし、また、電子機器の機能を容易に拡張できるようにするため、電子回路をプラグインユニット化してシェルフに実装するようにシステムが構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
プラグインユニット(プリント板ユニット)は、プリント回路板と、プリント回路板の前面に取り付く表面板と、プリント回路板の背面側に取り付くプラグインコネクタ(以下、「コネクタ」という)とからなり、プラグインユニットをシェルフのプラグインユニット挿入口(以下、「ユニット挿入口」という)に挿入すると、前記コネクタが、シェルフの背面側のバックワイヤボードに搭載されたコネクタに嵌合されて、プラグインユニットが電気的に接続され且つ機械的に固定されるようになっている。そして、シェルフに、複数のプラグインユニットが並んで着脱自在に実装されるようになっている。
【0004】
しかし、実装するプラグインユニットが高密度になるに従い、コネクタは少ない面積で多数の接続ピンを配置するため、接続ピンの径が細くなる。このため、接続ピンの径が細くなるにつれて強度が低下し、コネクタの嵌合寸法がずれてしまうと接続ピンを変形させてしまう虞があった。
【0005】
そこで、図11及び図12に示すように、従来、プラグインユニット1とシェルフ3のバックワイヤボード5に搭載しているコネクタ7、9の両側に雌雄のガイドピン11、13を配置して嵌合位置の位置出し(位置補正)を行っている。また、コネクタに負荷をかけてしまう重量の大きなプラグインユニットにあっては、コネクタの嵌合を確認した後、プラグインユニットの表面板をシェルフにネジで固定していた。
【0006】
更に、従来、耐震対策としてもプラグインユニットをシェルフにネジ止めしているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−335650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし乍ら、図11及び図12の従来構造は、プラグインユニット1の挿入速度が作業者に依存している。このため、前記ガイドピン11、13を使用しても、挿入速度が高速になるほどコネクタ7、9やガイドピン11、13にかかる衝撃が大きく、ガイドピン11、13や接続ピン15が変形、破損してしまう虞があった。
【0009】
また、シェルフにプラグインユニットをネジ止めする構造にあっては、作業に当たりネジや広い操作スペースが必要になると共に、ドライバー等の工具を用いて作業をする煩わしさがあった。
【0010】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、プラグインユニットをシェルフに挿入、実装する際に、コネクタの破損や接続ピンの変形を防止したプラグインユニットの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
斯かる目的を達成するため、本発明は、コネクタを搭載したシェルフのユニット挿入口に、プリント回路板と、プリント回路板の前面に取り付く表面板と、プリント回路板の背面側に取り付くコネクタとからなるプラグインユニットを挿入して、両コネクタを嵌合させるプラグインユニットの取付構造に於て、前記ユニット挿入口の周縁に、前記両コネクタの嵌合直前に前記表面板の裏面側に当接してプラグインユニットの挿入を一時停止させる係止突起を移動可能に装着し、当該係止突起に、表面板との当接状態を解除する操作部材を連設すると共に、前記表面板に、両コネクタの嵌合後に前記係止突起が係止する被係止部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コネクタの嵌合直前に、係止突起が表面板の裏面に当接してプラグインユニットの挿入を一時停止させるため、プラグインユニットを高速で挿入しても、コネクタが勢いよく嵌合してコネクタに大きな衝撃が加わることとがなく、コネクタや接続ピンが変形、破損する虞がない。
【0013】
そして、プラグインユニットの挿入が係止突起によって一時停止されても、操作部材の操作で係止突起と表面板との当接状態が簡単に解除できるため、プラグインユニットの挿入、実装が容易で取り外しも容易であるため、プラグインユニットの着脱作業性に優れた利点を有する。
【0014】
また、コネクタの嵌合後、係止突起の係止部が表面板の被係止部に係止するため、シェルフに実装されたプラグインユニットを係止突起によって保持することができ、従来のネジ止め作業が不要となる。この結果、従来に比しプラグインユニットの着脱作業性の向上と省スペース化が可能となる。そして、コネクタの嵌合が不完全であるときには係止部が被係止部に係止せず、これによって作業者はプラグインユニットの挿入(コネクタの嵌合)が不完全であると判別できる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】プラグインユニットを挿入したシェルフの斜視図である。
【図2】シェルフの要部斜視図である。
【図3】板材の全体斜視図である。
【図4】プラグインユニットを挿入したシェルフの拡大斜視図である。
【図5】プラグインユニットを挿入したシェルフの斜視図である。
【図6】係止突起によるプラグインユニットの保持状態を示すシェルフの斜視図である。
【図7】通信装置の実装例を示す全体斜視図である。
【図8】プラグインユニットを挿入したシェルフの要部拡大斜視図である。
【図9】シェルフの要部斜視図である。
【図10】板材の全体斜視図である。
【図11】従来のシェルフの要部拡大斜視図である。
【図12】従来のプラグインユニットの要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1乃至図6は本発明に係るプラグインユニットの取付構造の第一実施形態を示し、図1に於て、21は図12に示すプラグインユニットと同様、プリント回路板(図示せず)と、プリント回路板の前面に取り付く表面板23と、プリント回路板の背面側に取り付くコネクタ(図示せず)とからなるプラグインユニット、25は当該プラグインユニット21を挿入、実装する通信装置のシェルフである。
【0018】
図11に示すシェルフ3と同様、シェルフ25の背面側の図示しないバックワイヤボードにコネクタが搭載されており、当該コネクタにプラグインユニット21側のコネクタが嵌合されて、プラグインユニット21が電気的に接続され且つ機械的に固定されるようになっている。
【0019】
図1及び図2に示すようにシェルフ25は、複数本の断面略コ字状のフレーム27、29、31、33、35と天板37、側板39等によって形成され、その正面側にプラグインユニット21を挿入するユニット挿入口41、43・・・が横方向に複数並設されている。尚、各ユニット挿入口41、43・・・の周縁の構造は同一であるため、以下、ユニット挿入口41に限定して本実施形態を説明する。
【0020】
ユニット挿入口41周縁の底部裏面側、即ち、図2に示すようにユニット挿入口41周縁の底部を形成するフレーム27の裏面側に、図3に示す短冊状の薄肉な金属製の板材45がフレーム27の長手方向に配置されている。
【0021】
図示するように板材45の両端側は正面視L字状に折曲されて、フレーム27に形成されたスリット47、49を挿通してシェルフ25の上方へ突出する突片51、53が形成されている。尚、スリット47、49はフレーム27の背面側から上面に亘って形成されており、シェルフ25の組み付けに当たり、予めフレーム27の背面側から突片51、53がスリット47、49に挿入されて、板材45がフレーム27の裏面側に配置されている。
【0022】
図2及び図3に示すように突片51は、プラグインユニット21の挿入方向に沿って立設された突片本体55と、前記側板39の端部に形成されたフランジ片57に対向するフランジ片59とで横断面L字状に形成され、同様に他方の突片49も、プラグインユニット21の挿入方向に沿って立設された突片本体61と、前記フレーム29に対向して形成されたフランジ片63とで横断面L字状に形成されている。
【0023】
そして、両フランジ片59、63の略中央に長孔65が上下方向に設けられており、フランジ片59側の長孔65に、前記フランジ片57に止着されたガイドピン(案内部材)67が挿通し、フランジ片63側の長孔57に、フレーム29に止着された図示しないガイドピン(案内部材)が挿通して、両突片51、53(板材45)が上下方向へ移動可能に保持されている。
【0024】
更に、図3に示すように突片本体55、61の上部には、シェルフ25の前方へ突出する係止突起69、71が設けられており、両係止突起69、71の突出端は、夫々、外方へ略く字状に折曲している。そして、両係止突起69、71の下側の基部に、後述する突片(被係止部)73に係止可能な凹状の係止部75が設けられている。
【0025】
また、板材45の中央には、係止突起69、71(板材45)の操作部材たる持ち上げレバー77が前方に突設されており、図2に示すように前記フレーム27の前面側には、持ち上げレバー77が挿通する凹状の切欠き79が設けられている。
【0026】
更にまた、板材45の上部中央には、正面視略く字状に形成された短冊状の板バネ81(バネ部材)が止着されており、板バネ81は中央が板材45にピン止めされ、左右の両端部は、夫々、フレーム27の上部裏面に圧接している。このため、板バネ81のバネ力によって係止突起69、71(板材45)は、常時下方へ押圧付勢されている。
【0027】
一方、図1及び図4に示すように表面板23の左右端部の中央よりやや低い位置に凹状の切欠き83が設けられており、切欠き83内に係止突起69、71が挿通可能とされている。そして、図1の如くユニット挿入口39にプラグインユニット21を挿入すると、プラグインユニット21とシェルフ25の両コネクタ同士の嵌合直前に、係止突起69、71の突出端が、夫々、切欠き83の下部に位置する表面板23の突片73の裏面側に当接して、プラグインユニット21の挿入が一時停止されるようになっている。そして、斯かる状態で、作業者が板バネ81のバネ力に抗して持ち上げレバー77を操作して板材45を上方へ移動させると、前記ガイドピン67に沿って板材45全体が上方へ移動し、これに伴い、係止突起69、71と突片73との当接状態が解除されて、図5に示すように係止突起69、71が切欠き83側に移動する。このため、係止突起69、71を切欠き83に挿通させ乍らプラグインユニット21を奥まで挿入することができ、両コネクタが嵌合できることとなる。
【0028】
そして、この状態で持ち上げレバー77から手を離すと、フレーム27の上部裏面に圧接する板バネ81が板材45を下方へ押圧付勢して、図6に示すように係止突起69、71に設けた係止部75が突片(被係止部)73に係止すると共に、板バネ81が突片73に係止する係止突起69、71を下方へ押圧付勢して、突片73と係止突起69、71との係止状態を強固に保持するようになっている。
【0029】
また、コネクタ同士の嵌合が不完全であるときには、持ち上げレバー77から手を離しても、係止突起69、71に設けた係止部75が突片73に係止せず、これによって、作業者はプラグインユニット21の挿入(コネクタの嵌合)が不完全であると判別できるようになっている。
【0030】
本実施形態はこのように構成されているから、作業者がユニット挿入口39内にプラグインユニット21を勢いよく挿入しても、図1及び図4に示すようにプラグインユニット21とシェルフ25のコネクタ同士の嵌合直前に、係止突起69、71の突出端が表面板23の左右の突片73の裏面側に当接して、プラグインユニット21の挿入が一時停止される。そして、突片73の裏面側に当接する係止突起69、71の突出端は外方へ略く字状に折曲しているため、両突出端が変形することで当接時の衝撃が吸収、緩和される。
【0031】
この後、作業者が板バネ81のバネ力に抗して持ち上げレバー77を上方へ操作して板材45を持ち上げれば、ガイドピン67に沿って板材45全体が上方へ移動し、係止突起69、71と突片73との当接状態が解除されて、図5に示すように係止突起69、71は切欠き83側に移動する。このため、係止突起69、71を切欠き83に挿通させ乍ら、プラグインユニット21を奥まで挿入することができ、両コネクタが嵌合できる。
【0032】
そして、コネクタの嵌合後、持ち上げレバー77から手を離せば、図6に示すように板バネ81のバネ力で係止突起69、71の係止部75が突片73に係止し、板バネ81が係止突起69、71を下方へ押圧付勢して突片73と係止突起69、71との係止状態を強固に保持すると共に、地震等の振動による突片73と係止突起69、71との係止解除方向への衝撃を板バネ81が吸収する。
【0033】
また、コネクタ同士の嵌合が不完全であるときには、係止突起69、71の係止部75が突片73に係止せず、これによって、作業者はプラグインユニット21の挿入(コネクタの嵌合)が不完全であると判別できることとなる。
【0034】
このように本実施形態に係るプラグインユニット21の取付構造によれば、従来に比し以下の如き優れた利点を有する。
【0035】
(1)コネクタの嵌合直前に、係止突起69、71が表面板23の突片73に当接してプラグインユニット21の挿入を一時停止させるため、プラグインユニット21を高速で挿入しても、コネクタが勢いよく嵌合してコネクタに大きな衝撃が加わることとがなく、コネクタや接続ピンが変形、破損する虞がない。
【0036】
(2)また、突片73に当接する係止突起69、71の突出端が外方へ略く字状に折曲しているため、プラグインユニット21を勢いよく挿入して突片73が係止突起69、71の突出端に衝突しても、係止突起69、71の突出端が変形することで衝撃が吸収、緩和され、プラグインユニット21やシェルフ25に大きな衝撃が加わることがない。
【0037】
(3)プラグインユニット21の挿入が一時停止されても、持ち上げレバー77を上方へ操作するだけで係止突起69、71と突片73との当接状態が解除できるため、プラグインユニット21の挿入、実装が容易で、また、取り外しも容易であるため、プラグインユニット21の着脱作業性に優れた利点を有する。
【0038】
(4)コネクタの嵌合後、係止突起69、71の係止部75が突片73に係止するため、シェルフ25に実装されたプラグインユニット21を係止突起69、71によって保持することができ、従来のネジ止め作業が不要となる。この結果、従来に比しプラグインユニット21の着脱作業性の向上と省スペース化が可能となる。
【0039】
(5)而も、板バネ81のバネ力で突片73と係止突起69、71との係止状態を強固に保持すると共に、地震等の振動による突片73と係止突起69、71との係止解除方向への衝撃を板バネ81が吸収することで、耐震性を兼ねたプラグインユニット21の保持が可能となる利点を有する。
【0040】
(6)また、コネクタの嵌合が不完全であるときには係止部75が突片73に係止せず、これによって、作業者はプラグインユニット21の挿入(コネクタの嵌合)が不完全であると判別できる利点を有する。
【0041】
図7乃至図10は本発明に係るプラグインユニットの取付構造の第二実施形態を示し、図7は本実施形態を適用した通信装置85の実装例、図8は2つのプラグインユニット87が挿入、実装された通信装置85の下部のシェルフ89を示している。
【0042】
図8中、91はプラグインユニット87の表面板で、左右端部の中央よりやや低い位置に、夫々、凹状の切欠き93、95が設けられており、正面視左側の切欠き93を挟んで上下に突片97、99が形成され、正面視右側の切欠き95を挟んで上下に突片101、103が形成されている。
【0043】
そして、図9に示すように、複数本の断面略コ字状のフレーム105、107、109や天板111、側板113等によって、シェルフ89の正面側にユニット挿入口115、117が横方向に2つ並設されている。尚、本実施形態に於ても、各ユニット挿入口115、117の周縁の構造は同一であるため、以下、ユニット挿入口115に限定して本実施形態を説明する。
【0044】
ユニット挿入口115周縁の底部裏面側、即ち、図9に示すようにユニット挿入口115周縁の底部を形成するフレーム105の裏面側に、図10に示す短冊状の薄肉な金属製の板材119がフレーム105の長手方向に配置されている。
【0045】
図10に示すように板材119の両端側は正面視L字状に折曲され、フレーム105に形成されたスリット121、123を挿通してシェルフ25の上方へ突出する突片125、127が形成されている。尚、本実施形態に於ても、スリット121、123はフレーム105の背面側から上面に亘って形成されており、シェルフ89の組み付けに当たり、予めフレーム105の背面側から突片125、127がスリット121、123に挿入されて、板材119がフレーム105の裏面側に配置されている。
【0046】
図9及び図10に示すように板材119の正面視右側の突片127は、プラグインユニット87の挿入方向に沿って立設された突片本体129と、前記側板113の端部に形成されたフランジ片131に対向するフランジ片133とで横断面L字状に形成され、フランジ片133は取付ネジ135を回転中心としてフランジ片131にネジ止めされている。
【0047】
一方、板材119の正面視左側の突片125は前記突片51と同一形状からなり、プラグインユニット87の挿入方向に沿って立設された突片本体137と、フレーム109に対向して形成されたフランジ片139とで横断面L字状に形成されている。そして、フランジ片139の略中央に略円弧状の長孔141が上下方向に設けられており、当該長孔141にフレーム109に止着されたガイドピン143が挿通して、前記取付ネジ135を回転中心に突片125(板材119)が回転可能に保持されている。
【0048】
そして、突片本体137の上部に、前方へ突出する係止突起145が設けられており、係止突起145の突出端は同じく外方へ略く字状に折曲し、係止突起145の下側の基部に、前記突片(被係止部)99に係止可能な凹状の係止部147が設けられている。
【0049】
また、係止突起145の近傍には、当該係止突起145(板材119)の操作部材たる持ち上げレバー149が前方に突設されており、図9に示すようにフレーム105の前面側には、持ち上げレバー149が挿通する凹状の切欠き151が設けられている。
【0050】
更に、板材119の上部中央には板バネ81が止着されており、板バネ81は中央が板材119にピン止めされ、左右の両端部は、夫々、フレーム105の上部裏面に圧接している。このため、板バネ81のバネ力によって係止突起145(板材119)は、取付ネジ135を中心として常時下方へ押圧付勢されている。
【0051】
そして、前記実施形態と同様、ユニット挿入口115にプラグインユニット87を挿入すると、プラグインユニット87とシェルフ89の両コネクタの嵌合直前に、係止突起145の突出端が突片99の裏面側に当接して、プラグインユニット87の挿入が一時停止される。
【0052】
この状態で、作業者が板バネ81のバネ力に抗して持ち上げレバー149を操作して、取付ネジ135を中心に板材119を上方へ移動させると、ガイドピン143に沿って板材119全体が同方向へ移動し、この結果、係止突起145と突片99との当接状態が解除されて、係止突起145が切欠き93側に移動する。このため、係止突起145を切欠き93に挿通させ乍らプラグインユニット87を奥まで挿入することができ、両コネクタが嵌合できることとなる。
【0053】
そして、コネクタの嵌合後、持ち上げレバー149から手を離すと、取付ネジ135を中心に板バネ81が板材119を下方へ押圧付勢して、図8に示すように係止突起145に設けた係止部147が突片(被係止部)99に係止すると共に、板バネ81が係止突起145を下方へ押圧付勢して、突片99と係止突起145との係止状態を強固に保持するようになっている。また、本実施形態に於ても、コネクタ同士の嵌合が不完全であるときには、持ち上げレバー149から手を離しても、係止部147が突片99に係止せず、これによって、作業者はプラグインユニット87の挿入(コネクタの嵌合)が不完全であると判別できるようになっている。
【0054】
このように本実施形態は、表面板91の正面視左側を、突片99に係止する係止突起145によって保持しているが、図8に示すように本実施形態は、表面板91の正面視右側に設けた突片101を、更に、側板113に設けたフランジ片153に最終的に固定ネジ155で固定して、前記実施形態に比しより高い耐震性を確保している。
【0055】
本実施形態はこのように構成されているから、作業者がユニット挿入口115内にプラグインユニット21を勢いよく挿入しても、コネクタの嵌合直前に、係止突起145の突出端が突片99の裏面側に当接して、プラグインユニット87の挿入が一時停止される。
【0056】
そして、突片99の裏面側に当接する係止突起145の突出端は外方へ略く字状に折曲しているため、突出端が変形することで当接時の衝撃が吸収、緩和される。
【0057】
この後、作業者が板バネ81のバネ力に抗して持ち上げレバー149を操作して、取付ネジ135を中心に板材119を上方へ移動させれば、ガイドピン143に沿って板材119全体が同方向へ移動し、係止突起145と突片99との当接状態が解除されて、係止突起145が切欠き93側に移動する。このため、係止突起145を切欠き93に挿通させ乍らプラグインユニット87を奥まで挿入することができ、両コネクタが嵌合できる。
【0058】
そして、コネクタの嵌合後、持ち上げレバー149から手を離せば、取付ネジ135を中心に板バネ81のバネ力で係止突起145の係止部147が突片99に係止し、最後に表面板91の突片101をフランジ片153に固定ネジ155で固定する。
【0059】
これにより、板バネ81が係止突起145を下方へ押圧付勢して突片99と係止突起145との係止状態を強固に保持すると共に、地震等の振動による突片99と係止突起145との係止解除方向への衝撃を板バネ81が吸収し、また、表面板91の突片101を固定ネジ155で固定したことでより高い耐震性が確保される。
【0060】
また、コネクタ同士の嵌合が不完全であるときには、係止部147が突片99に係止せず、これによって、作業者はプラグインユニット87の挿入(コネクタの嵌合)が不完全であると判別できることとなる。
【0061】
このように本実施形態に係るプラグインユニット87の取付構造に於ても、前記実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能で、以下の如き優れた利点を有する。
【0062】
(7)コネクタの嵌合直前に、係止突起145が表面板91の突片99に当接してプラグインユニット87の挿入を一時停止させるため、プラグインユニット87を高速で挿入しても、コネクタが勢いよく嵌合してコネクタに大きな衝撃が加わることとがなく、コネクタや接続ピンが変形、破損する虞がない。
【0063】
(8)また、突片99に当接する係止突起145の突出端が外方へ略く字状に折曲しているため、プラグインユニット87を勢いよく挿入して突片99が係止突起145の突出端に衝突しても、係止突起145の突出端が変形することで衝撃が吸収、緩和され、プラグインユニット87やシェルフ89に大きな衝撃が加わることがない。
【0064】
(9)プラグインユニット87の挿入が一時停止されても、持ち上げレバー149を上方へ操作するだけで係止突起145と突片99との当接状態が解除できるため、プラグインユニット87の挿入、実装が容易で、また、取り外しも容易であるため、着脱作業性に優れた利点を有する。
【0065】
(10)コネクタの嵌合後、係止突起145の係止部147が突片99に係止するため、シェルフ89に実装されたプラグインユニット87を係止突起145によって保持することができると共に、表面板91の突片101を固定ネジ155で固定したことでプラグインユニット87の保持がより確実となる。また、一つのプラグインユニット87に対して一本の固定ネジ155ですむため、複数本の固定ネジを必要とする従来に比し作業性に優れた利点を有する。
【0066】
(11)而も、板バネ81のバネ力で突片99と係止突起145との係止状態を強固に保持すると共に、地震等の振動による突片99と係止突起145との係止解除方向への衝撃を板バネ81が吸収するが、突片101を固定ネジ155で固定したことで、前記実施形態に比しより高い耐震性を確保することができる。
【0067】
(12)また、板材119の一端側をシェルフ89側に回転可能に止着して、突片(被係止部)99に係止する係止突起145を1つにしたため、2つの係止突起69、71を突片(被係止部)73に係止させる前記実施形態に比し、板材119の高い加工精度を必要としない利点を有する。
【0068】
尚、既述した二つの実施形態は、係止突起を上方へ移動させて表面板との当接状態を解除するように構成したが、係止突起を横方向に移動させて、表面板との当接状態を解除するように構成してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
21、87 プラグインユニット
23、91 表面板
25、89 シェルフ
27、105 フレーム
41、115 ユニット挿入口
45、119 板材
51、53、125、127 突片
55、61、129、137 突片本体
57、59、63、131、133、139、153 フランジ片
65、141 長孔
67、143 ガイドピン(案内部材)
69、71、145 係止突起
73、99 突片(被係止部)
75、147 係止部
77、149 持ち上げレバー
81 板バネ(バネ部材)
83、93、95 切欠き
85 通信装置
135 取付ネジ
155 固定ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグインコネクタを搭載したシェルフのプラグインユニット挿入口に、プリント回路板と、プリント回路板の前面に取り付く表面板と、プリント回路板の背面側に取り付くプラグインコネクタとからなるプラグインユニットを挿入して、両プラグインコネクタを嵌合させるプラグインユニットの取付構造に於て、
前記プラグインユニット挿入口の周縁に、前記両プラグインコネクタの嵌合直前に前記表面板の裏面側に当接してプラグインユニットの挿入を一時停止させる係止突起を移動可能に装着し、
前記係止突起に、表面板との当接状態を解除する操作部材を連設すると共に、
前記表面板に、両プラグインコネクタの嵌合後に前記係止突起が係止する被係止部を設けたことを特徴とするプラグインユニットの取付構造。
【請求項2】
前記プラグインユニット挿入口周縁の底部裏面側に配置する短冊状の板材の両端側を正面視L字状に折曲して、前記底部裏面側からシェルフの上方へ突出する突片を形成し、当該両突片を、プラグインユニット挿入口周縁の左右に設けた案内部材を介して上下方向へ移動可能に保持すると共に、両突片に前方へ突出する前記係止突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラグインユニットの取付構造。
【請求項3】
前記プラグインユニット挿入口周縁の底部裏面側に配置する短冊状の板材の両端側を正面視L字状に折曲して、前記底部裏面側からシェルフの上方へ突出する突片を形成し、
一方の当該突片を、プラグインユニット挿入口の周縁に設けた案内部材を介して上下方向へ移動可能に保持すると共に、当該突片に前方へ突出する前記係止突起を形成し、
他方の突片を、プラグインユニット挿入口の周縁に回転可能に止着したことを特徴とする請求項1に記載のプラグインユニットの取付構造。
【請求項4】
前記板材に、前記係止突起の操作部材たる持ち上げレバーをシェルフの前方へ突設したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプラグインユニットの取付構造。
【請求項5】
前記係止突起に、前記表面板に設けた被係止部に係止する係止部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプラグインユニットの取付構造。
【請求項6】
前記板材に、前記プラグインユニット挿入口周縁の底部裏面に圧接するバネ部材を装着し、当該バネ部材のバネ力で板材を押圧付勢して、前記係止突起を被係止部に押圧付勢することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラグインユニットの取付構造。
【請求項7】
前記表面板の裏面側に当接する前記係止突起の突出端を、外方へ略く字状に折曲させたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプラグインユニットの取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−186284(P2012−186284A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47786(P2011−47786)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】