説明

プラスチックシート用切取線、これを備えた包装ケース形成用プラスチックシート及び包装ケース

【課題】プラスチックシートに設ける切取線に関し、容易に開封でき、開封したことがはっきりと確認でき、しかも、切り離した際或いはその後にバリに手が触れる可能性を少なくすることができるプラスチックシート用切取線を提案する。
【解決手段】プラスチックシートを平面視した際に、山部2Aと谷部2Bとを中腹部2Cを介して交互に繰り返し、且つシート厚さ方向に貫通してなる貫通線2を備えると共に、全ての各中腹部2C内に、或いは一定間隔をおいた一部の中腹部2C内に、シート厚さ方向に貫通しない非貫通部3を設けてなる構成を備えた、一本の線からなるプラスチックシート用切取線を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば包装ケースを構成するプラスチックシート等に設けるプラスチックシート用切取線に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や玩具等を包装する包装ケースは、商品を保護しつつ見栄えよく展示するため、透明度の高いプラスチックシートから形成されている。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、特にアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)などによって成形されたシートを所望形状に打ち抜き、折り曲げ箇所に罫線を入れてケース組立用プラスチックシートを形成した後、これを自動製函機等によって組み立てて形成されるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
より具体的には、例えば特許文献2において、ケースの一側面となる板部端縁から開口面を塞ぐ開閉板部を連設し、その先端に折曲線を介して差込み片を延設し、上記板部と交差方向の面を有する他側面の板部端縁から折曲線を介して折込み片を連設し、閉蓋状態で差込み片を折込み片の一側辺に沿って差込むようにしたケース構成を有するプラスチックシートであって、差込み片と開閉板部との境界には両側から切込みを形成すると共に、折込み片の上記一側辺の付け根部に、上記切込み部分が係合可能な係止部を突設し、係止部の先端に形成された段違い部に折込み片の付け根方向への凹部を形成して包装用プラスチックシートを構成したことを特徴とするものが開示されている。
【0004】
近年、商品の流通過程で異物が混入される事件をきっかけとして、包装された商品であっても、その安全性が疑問視されることがある。そこで本発明者は、プラスチックシートからなる包装ケースに関し、包装ケースに切取線を設けることによって、包装を開封すると、開封されたことがはっきりと分かるようにすることを着想した。
【0005】
この種の切取線を設けたケースとしては、例えば特許文献3において、プラスチックシートからなる包装ケースではなく、段ボールケースに関してではあるが、段ボールに区画形成されたフラップに、ジッパー、ミシン目、テープ等の切断開封部と、再封緘用差し込み舌片と、該差し込み舌片を差し込むための差し込み口とを設けたことを特徴とする、カートリッジ用包装箱が開示されている。
【0006】
また、紙製のケースに関してではあるが、特許文献4においては、缶等の物品を複数保持するためのカートンであって、上記カートンは、筒状構造を形成するための底壁パネル、側壁パネルおよび頂壁パネルを含む複数のパネルを備え、上記頂壁パネルは、上記カートンを開封する際に破断するジッパーによって両側を区切られた切り取りパネルを備え、上記ジッパーは、カートンの一方の表面からカートンの厚さ方向に打刻された半切れ線およびカートンの他方の表面からカートンの厚さ方向に打刻された半切れ線からなり、上記半切れ線は互いに離間して平行な方向へ向けて延在し、上記半切れ線のうち少なくとも一方は、連続した波形の半切れ線であることを特徴とするカートンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−139019号公報
【特許文献2】特開2001−171645号公報
【特許文献3】特開平5−124638号公報の請求項1
【特許文献4】特開2005−255210号公報の請求項1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プラスチックシートに切取線を設ける場合、段ボールや紙に比べて材質的に切断し難いため、前記特許文献3や4に開示されている切取線を設けただけでは、開封したい時に容易に開封できないという課題を抱えていた。また、プラスチックシートの場合には、切取線に沿って切断した際に鋭利な突起部(“バリ”と称する)が発生し易く、しかもプラスチックの場合にはバリが特に鋭利で固いため、切り離した際或いはその後にバリに手が触れてケガをするおそれがあった。
【0009】
そこで本発明は、プラスチックシートに設ける切取線に関し、開封したい時に容易に開封することができ、開封した際には開封したことがはっきりと確認でき、しかも、切り離した際或いはその後にバリに手が触れる可能性を少なくすることができるプラスチックシート用切取線を提案せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題に鑑みて、本発明は、プラスチックシートに設けるプラスチックシート用切取線であって、シートを平面視した際に、山部と谷部とが中腹部を介して交互に繰り返して連続し、且つシート厚さ方向に貫通してなる貫通線を備えると共に、全ての各中腹部内に或いは一定間隔をおいた一部の中腹部内に、シート厚さ方向に貫通しない非貫通部を設けてなる構成を備えており、さらに山部と谷部に挟まれた振幅内領域に、厚さ方向に膨らんだ部分を有する膨出部を備えたプラスチックシート用切取線を提案する。
この際、膨出部は、山部と谷部に挟まれた振幅内領域に、厚さ方向に膨らんだ部分を有していれば、膨出部全体が振幅内領域に存在するものであっても、膨出部の一部が振幅内領域に存在し、全体は存在しないものであってもよい。
【0011】
このような構成の切取線であれば、開封したい時に容易に開封することができ、開封した際には開封したことがはっきりと確認できる。また、山部と谷部の間の中腹部に非貫通部を設けたことにより、手や指が触れにくい中腹部内にバリが発生するため、切り離した際或いはその後にバリに手が触れる可能性を少なくすることができ、しかも膨出部が邪魔になるため、バリに手が触れる可能性をより一層少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る切取線の一例を示した平面図である。
【図2】本発明に係る切取線の一例を示した図であり、(A)はその平面図、(B)はそのB−B線断面図である。
【図3】本発明に係る切取線の一例を示した拡大平面図である。
【図4】本発明に係る切取線の一例に沿って、切断線の途中までプラスチックシートを切断した状態を示した平面図である。
【図5】本発明に係る切取線の平面視形状を例示した平面図である。
【図6】図5に示した(B)〜(D)の切取線の変形例を示した平面図である。
【図7】本発明の一実施例に係る切取線の変形例を示した図であり、(A)は、ピッチHと振幅幅hとの比(h/H)が1/2未満である例であり、(B)は(h/H)が1以上である例を示した平面図である。
【図8】本発明に係る切取線をプラスチックシートに設けた状態を説明するために、本発明に係る切取線の一例をプラスチックシートに設けた場合の一例を示した平面図である。
【図9】本発明に係る切取線において、非貫通部を設ける位置を説明するための図であり、(A)は、本発明に係る切取線の一例を示した平面図であり、(B)は、それの切断後の状態を示した平面図である。
【図10】本発明に係る切取線の非貫通部の断面形状を説明するための断面図であり、(A)〜(C)はそれぞれ異なる例を示したものである。
【図11】本発明に係る切取線の膨出部の平面視形状の一例を示した平面図である。
【図12】本発明に係る切取線の膨出部の他例を示した図であり、(A)はその平面図、(B)はそのB−B線断面図である。
【図13】本発明に係る切取線の膨出部のさらなる他例を示した図であり、(A)はその平面図、(B)はそのB−B線断面図である。
【図14】本発明に係る切取線の膨出部のさらなる他例を示した図であり、(A)はその平面図、(B)はそのB−B線断面図である。
【図15】本発明に係る切取線の膨出部の他例を示した断面図である。
【図16】切取線に沿ってプラスチックシートを切断した際のバリが発生する様子とその近傍の膨出部の状態を示した図であり、(A)は平面図、(B)は切り離す側の一部を示した断面図であり、(C)は切り残される側の一部を示した断面図である。
【図17】本発明に係る切取線の他例を示した平面図である。
【図18】本発明の一実施例に係る切取線の一例を形成したケース組立用プラスチックシートの展開状態を示した平面図である。
【図19】図18のケース組立用プラスチックシートを組み立てた包装ケースを示した上部斜視図である。
【図20】図19の包装ケースの開封状態を示した上部斜視図である。
【図21】本発明の他例に係る切取線の一例を形成した、図18とは異なるケース組立用プラスチックシートの展開状態を示した平面図である。
【図22】本発明に係る切取線をプラスチックシートに設ける場合において、切取線の端部に切除部を設ける場合の一例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面によって説明する。但し、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
【0014】
(切取線)
本発明のプラスチックシート用切取線1は、図1−3などに示すように、プラスチックシートに設ける切取線であって、シートを平面視した際に、山部2Aと谷部2Bとを中腹部2Cを介して交互に繰り返して連続し、且つシート厚さ方向に貫通してなる貫通線2を備えると共に、全ての各中腹部2C内に、或いは一定間隔をおいた一部の中腹部2C内に、シート厚さ方向に貫通しない非貫通部3を設け、さらに山部2Aと谷部2Bに挟まれた振幅内領域に、厚さ方向に膨らんだ部分を有する膨出部4(4A、4B)を設けてなる構成を備えた切取線である。
【0015】
この切取線1において、山部2Aは、図4に示すように、切取線1で切り離した際に切り離される側の凹部を示し、谷部2Bは、切り残される側の凹部を示し、中腹部2Cは、山部2Aと谷部2Bの頂部間を示している。
【0016】
切取線1の平面視形状は、図5(A)に示すように、丸く湾曲した山部2Aと谷部2Bとが交互に繰り返してなる波状を呈する形状であってもよいし、又、図5(B)に示すように、三角形状の山部2Aと谷部2Bとが交互に繰り返してなる形状であってもよいし、又、図5(C)に示すように、台形状の山部2Aと谷部2Bとが交互に繰り返してなる形状であってもよいし、又、図5(D)に示すように、矩形状の山部2Aと谷部2Bとが交互に繰り返してなる形状であってもよい。
より好ましくは、切取線1に沿ってプラスチックシートを切り離した際に、切り離した後に角張った部分がなるべく生じないように、角張った部分に丸みを持たせるように形成するのが好ましい。例えば図5(B)〜(D)に示した形態であれば、それぞれ図6(A)〜(C)に示すように、角張った部分に丸みを持たせるように形成するのが好ましい。
これらの中でも、プラスチックシートにおいては、開封したい時に容易に開封することができ、切り離した際にバリが生じ難いという観点から、図5(A)に示すように、丸く湾曲した山部2Aと谷部2Bとが交互に繰り返してなる波状を呈する形状が好ましい。この際、円弧或いは楕円弧からなる山部2Aと谷部2Bとが非貫通部3を介して交互に繰り返してなる波状であってもよいが、より円滑に切り離すことができる観点から、非貫通部3も含めた切取線1全体が滑らかな波状を呈するように、例えばサインカーブを描くように形成するのがより好ましい。
【0017】
隣接する山部2A、2A間、若しくは隣接する谷部2B、2Bの距離(ピッチ)Hは、0.5mm〜20mmであるのが好ましい。0.5mm以上であれば加工が困難であることもなく、20mm以下であれば、山部2A、2A間或いは谷部2B、2B間に指が入り難いため、指がバリに触れるのを効果的に防止することができる。
よって、かかる観点から、距離Hは0.5mm〜20mmであるのがより好ましく、特に1mm〜10mmであるのがさらに好ましい。
【0018】
山部2A、谷部2Bの振幅幅hは、0.5mm〜20mmであるのが好ましい。0.5mm以上であれば、指がバリに触れるのを効果的に防止することができ、20mm以下であれば加工が困難であることもない。よって、かかる観点から、振幅幅hは0.5mm〜15mmであるのがより好ましく、特に1mm〜10mmであるのがさらに好ましい。
【0019】
また、隣接する山部2A、2A間、若しくは隣接する谷部2B、2Bの距離(ピッチ)Hと山部2A、谷部2Bの振幅幅hとの比(h/H)は、各中腹部2Cの真ん中に非貫通部3を設けることを想定して指がバリに触れるのを効果的に防止するという観点から、図7(A)に示すように1/2未満となるように形成するのではなく、1/2以上、中でも例えば図7(B)に示すように、1以上となるように形成するのが好ましい。
【0020】
切取線1は、図8に示すように、箱を封緘する際に切取線1に沿ってプラスチックシートが折れ曲がるのを防止するために、平面視した場合に切取線1全体が一つの円弧状に湾曲するように形成するのが好ましい。
この際、円弧の最も張り出した頂部と、該円弧の両端部を結ぶ直線(弦)との距離を、プラスチックシートの折れ曲がる防止と切断し易さの観点から、1mm〜10mm、特に2mm〜5mmとするのが好ましい。
さらに、切断した際に切り残された側に生じたバリが手に触れにくいという観点から、切り残される側が凹むように湾曲するように形成するのが好ましい。
但し、切取線1は直線的に形成してもよい。
【0021】
非貫通部3は、図1−3に示すように、全ての各中腹部2C内に設けてもよいし、一定間隔をおいた一部の中腹部2C内、例えば一つ飛ばし毎の中腹部2C内に設けてもよい。
また、各中腹部2C内の一カ所に設けてもよいし、二カ所以上に設けてもよいが、開封し易さを考慮すると、各中腹部2C内の一カ所或いは二カ所に設けるのが好ましい。
【0022】
非貫通部3の長さlは、0.1mm〜1mmであるのが好ましい。1mm以内であれば切り取り難いことはなく、0.1mm以上であれば、通常の使用時に切れてしまうこともない。よって、かかる観点から、非貫通部3の長さlは0.1mm〜1mmであるのがより好ましく、特に0.2mm〜0.5mmであるのがさらに好ましい。
【0023】
非貫通部3は、図9(A)に示すように、谷部2Bから見て振幅幅hの3/4の位置或いはそれより手前側の位置に設けるのが好ましい。切取線1に沿ってプラスチックシートを切断した際、図9(B)に示すように、非貫通部3が鋭利な突起部(“バリ”)4となるから、前記のような位置に非貫通部3を設けることにより、バリ4が手(指を含めて)に触れるのをより一層防ぐことができる。
かかる観点から、非貫通部3は、谷部2Bから見て振幅幅hの2/3の位置或いはそれより手前側の位置に設けるのがさらに好ましく、中でも谷部2Bから見て振幅幅hの1/2の位置或いはそれより手前側の位置に設けるのがさらに好ましい。
【0024】
非貫通部3は、シートの厚さのまま残すことも可能であるが、図10(A)〜(C)に示すように、溝部3Bを設け、シート面より厚さの薄い薄肉部3Aとして残すように形成することもできる。
図10(A)に示すように、シート面の上下両側に溝部3Bを設けて、中間に薄肉部3Aを残すように設けてもよいし、図10(B)に示すように、シート面の上下一側に溝部3Bを設けてもよい。この際、図10(C)に示すように、開口部から徐々に幅狭となるように溝部3Bを設けてもよい。
このように溝部3Aを設ける場合、溝部3Aを含めた切取線1全体が、平面視した場合に滑らかな波状を呈するように、例えばサインカーブを呈するように形成するのがより好ましい。
【0025】
また、貫通させないで残す薄肉部3A(シートの厚さのまま残す場合も含む)がバリを形成することになるため、貫通させないで残す薄肉部3Aの肉厚d、長さlは、この部分が2倍の長さに伸びてバリを形成することを想定して、山部2A、谷部2Bの振幅幅hの1/2よりも小さくなるように形成するのが好ましい。逆に言えば、薄肉部3Aの肉厚dはプラスチックシートの肉厚の半分程度とするのが好ましいから、山部2A、谷部2Bの振幅幅hを2×dよりも大きく、さらに5×dよりも大きく、中でもさらに10×dより大きくするのがより好ましい。さらに、山部2A、谷部2Bの振幅幅hを2×lよりも大きく、さらに5×lよりも大きくするのがより好ましい。
【0026】
膨出部4は、バリの発生元である非貫通部3の近傍に設け、膨出部4が邪魔になってバリに指などが触れないように形成するのが好ましい。よって、例えば隣り合う非貫通部3を結んだ断面において、シート厚さ方向に膨出した膨出部4を各非貫通部3の横に設けるのが好ましい。
【0027】
膨出部4は、山部2Aと谷部2Bに上下を挟まれた振幅内領域に、厚さ方向に膨らんだ部分を有していれば、例えば図2や図11、図12などに示すように、膨出部全体が振幅内領域に存在するものであってもよいし、また、図13に示すように、膨出部4の一部が振幅内領域に存在し、膨出部全体が振幅内領域に存在しないものであってもよい。
【0028】
ここで、図1及び2に示す膨出部4は、隣接する山部2A、2Aに囲まれており、且つ山部2Aと谷部2Bに上下を挟まれた振幅内領域、及び、隣接する谷部2B、2Bに囲まれており、且つ山部2Aと谷部2Bに上下を挟まれた振幅内領域のそれぞれに、切取線2に沿った輪郭を有する膨出部4を一つ設けてあり、シートを平面視した際に、切取線2で切断した際に切り離す側に設けられる膨出部4Aの膨出方向と、切り残される側に設けられる膨出部4Bの膨出方向が反対方向に設けてある。
【0029】
図11に示す膨出部4は、図1とは形状が異なるものであり、隣り合う非貫通部3,3・・を結んだ線方向に長尺で、かつその両端が各非貫通部3の横まで伸びるような帯状に形成してある。
【0030】
図12に示す膨出部4は、隣接する山部2A、2Aに囲まれており、且つ山部2Aと谷部2Bに上下を挟まれた振幅内領域、及び、隣接する谷部2B、2Bに囲まれており、且つ山部2Aと谷部2Bに上下を挟まれた振幅内領域の各非貫通部3の横に、それぞれ2つの膨出部4を設けてある。
【0031】
図13に示す膨出部4は、全体が切取線1の連続方向に沿った帯状を呈しており、シートを平面視した際に、切取線2で切断した際に切り離す側に設けられる一つの膨出部4Aと、切り残される側に設けられる一つの膨出部4Bの2つからなっており、膨出部4Aと膨出部4Bの膨出方向は反対方向であり、膨出部4A及び膨出部4Bはそれぞれ切取線2側を切取線2に沿った輪郭を有する形状に形成してある。
【0032】
また、図2や図11、図13に示すように、隣り合う山部2A、山部2A間の間に一つの膨出部4を設けるようにしてもよいし、また、図12に示すように2以上設けるようにしてもよい。この際、図12に示すように、非貫通部3を挟んだ両側に、すなわち切取線2を切断した際に一側(切り離す側)と他側(切り残される側)の両側にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0033】
膨出部4の形状は、特に限定するものではなく、三角形状、四角形状、丸状、帯状など任意である。
例えば、図14に示すように、隣り合う非貫通部3,3・・を結んだ線方向に長尺で、かつその両端が各非貫通部3の横まで伸びるような帯状に形成してもよい。
【0034】
膨出部4の膨出方向は、例えば図15に示すように、全ての膨出部4が一方に膨らむように形成してもよいが、例えば図16(A)に示すように、切取線2を切断する際に、切り離す側を上方(紙面の手前)に引き上げるようにすると、図16(B)に示すように、切り離す側の非貫通部3では、切り残される側に向かって、すなわち下方(紙面の裏面側)にバリ5が伸びるため、切り離す側の膨出部4は下方(紙面の裏面側)に膨らむように形成するのが好ましく、逆に、切り残される側の非貫通部3は、図16(C)に示すように、切り離す側に向かって、すなわち上方(紙面の手前側)にバリ5が伸びるため、切り残される側の膨出部4は上方(紙面の手前側)に膨らむように形成するのが好ましい。
このように、シート1を平面視した際に、切取線2で切断した際に切り離す側に設けられる膨出部4の膨出方向と、切り残される側に設けられる膨出部4の膨出方向を反対方向にするのが好ましい。
【0035】
膨出部4が厚さ方向に膨出する高さは、適宜調整すればよい。上述のように、貫通させないで残す薄肉部3Aがバリを形成することになるため、この部分が2倍の長さに伸びてバリを形成することを想定して、薄肉部3Aの肉厚d、長さlのいずれよりも大きくするのが好ましく、5×dよりも大きく、中でもさらに10×dより大きくするのがより好ましい。さらに、5×lよりも大きく、中でもさらに10×dより大きくするのがより好ましい。
【0036】
なお、切取線1は、1本単独で切取線を構成するものである以外に、図17に示すように、2本の切取線1、1を所定間隔を置いて並設する切取線であってもよい。この際、2本の切取線1、1に挟まれた帯状部6を上方(紙面の手前)に引き上げるように切り離すため、バリも上方(紙面の手前)に向かって生じるから、全ての膨出部4を上方(紙面の手前)に膨らむように形成するのが好ましい。
但し、2本の切取線1、1を所定間隔を置いて並設してなる切取線では、2本の切取線1、1に挟まれた帯状部6がゴミとなってしまうため、ゴミの発生を防止する観点から1本の切取線1で切取線を構成するものが好ましい。
【0037】
以上説明したプラスチックシート用切取線1は、例えば包装ケースを組み立てるためのプラスチックシートに設けるのに適している。但し、他の用途に用いるプラスチックシートに設けることもできる。
この際、プラスチックシートの材質は、特に限定するものではない。例えばアモルファスポリエチレンテレフタレート(A―PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびポリ乳酸のいずれか、或いはこれらのうちの2種類以上の組合わせからなるポリマーブレンドなど、透明性が良好で且つ剛性も高い合成樹脂を好ましく例示することができる。
【0038】
切取線1は、例えば所定の平面視形状を備えた切断刃の適宜箇所に、非切断部を設けてなる切取線形成刃を使用して、プラスチックシートに設けることができる。但し、この方法に限定されるものではない。
【0039】
[用語の説明]
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の一実施例として、切取線1を形成したプラスチックシート50について、図面を用いて説明する。但し、本発明が以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0041】
図18に示すプラスチックシート50は、切取線1を形成した包装ケース組み立て用プラスチックシートの一例である。
このプラスチックシート50は、正面板部51の左右に、左右側面板部52,53及び背面板部54をそれぞれ折曲線(罫線など)70を介して連設すると共に、背面板部54の側端に折曲線70を介して糊代55を連設し、さらに正面板部51の上端縁及び下端縁からそれぞれ折曲線70を介して上面板部56又は底面板部57を連設し、それぞれの先端に差込み片58又は59を延設し、左右側面板部52,53の上下端縁から折曲線70を介してそれぞれに折込み片60、61、62又は63を連設し、背面板部54の上端縁及び下端縁にはそれぞれ折曲線70を介して固着片64又は65を連設し、上面板部56内に切取線1を設けてなる構成を備えている。
【0042】
切取線1は、上面板部56内の中央より根本側、すなわち正面板部51との折曲線70寄り部位に、上面板部56の全幅に渡って、正面板部51との折曲線70側に円弧状に凹むように形成してある。
【0043】
なお、上面板部56内において切取線1を設ける位置は任意である。要するに、図19に示すように、上面板部56において、固着片65が固着された部分と、それ以外の部分とを分断できれば切取線1を設ける位置は任意である。但し、切り取りしやすさの観点から、上面板部56内の中央より根本側部位、すなわち正面板部51との折曲線70寄り部位の全幅に渡って設けるのが好ましい。
【0044】
切取線1の左右両端部は、切取線1に沿って切断を開始し易いように、上面板部56の左右両側縁部から適宜幅内側までを湾曲状に切除してある(切除部67,67)。
【0045】
切除部67は、図22に示すように、角張った部分ができないように、上面板部56の左右両側縁部から適宜幅内側まで丸みを帯びた湾曲状に切除して形成するのが好ましい。
また、図22に示すように、上面板部56に設けた切取線1の複数の中腹部2Cにおいて、左右両側縁部から内側に向かって順次2C1、2C2、2C3・・・と表す場合、より一層バリに指が触れないようにするためには、最も外側の中腹部2C1には非貫通部3を設けず、次の中腹部2C2から内側の2C3・・・に非貫通部3を設けるのが好ましい。
【0046】
切取線1は、図18では明確には分からないが、丸く湾曲した山部2Aと谷部2Bとが中腹部2Cを介して交互に繰り返して連続してなる波状を呈し、全ての中腹部2Cの中間部、言い換えれば振幅幅hの中間部に非貫通部3を設けて形成してある。また、山部2Aと谷部2Bに挟まれた振幅内領域に、厚さ方向に膨らんだ部分を有する膨出部4(4A、4B)を設けてあり、切取線2で切断した際に切り離す側に設けられる膨出部4Aの膨出方向と、切り残される側に設けられる膨出部4Bの膨出方向が反対方向に設けてある。
非貫通部3は、図10(C)に示すように、開口部から徐々に幅狭となる溝部3Bをシートの一面に設けて形成してあり、溝部3Bの深さはシート厚の1/2、すなわち薄肉部3Aの厚さdはシート厚の1/2である。
ただし、切取線1の形状等は前述したとおりであり、適宜変更可能である。
【0047】
上記の構成を備えたプラスチックシート50は、次のようにして包装ケース75を組み立てることができる。
図19に示すように、正面板部51、左右側面板部52,53及び背面板部54をそれぞれ折曲線70を介して折り曲げて、糊代55を左右側面板部52の裏面に固着させ容器本体部71を組み立てる。次に、折込み片61及び63を底面内に折り込み、底面板部57を底面内に折り込み、さらに差込み片59を容器本体部71内に差し入れて係合させた後、固着片65を底面板部57に接着剤等を用いて固着させて底面72を形成する。次に、容器本体部71内に商品等を収納した後、折込み片60及び62を上面内に折り込み、上面板部56を上面内に折り込み、さらに差込み片58を容器本体部71内に差し入れて係合させた後、固着片64を上面板部56に接着剤等を用いて固着させて上面73を形成するようにして、包装ケース75を組み立てることができる。
【0048】
このように組み立てた包装ケース75は、上面板部56及び底面板部57が、固着片64、65を介して容器本体部に固着(固定)されているから、切取線1に沿って上面板部56を切断する以外、開封する方法がなく、図20に示すように、切取線1に沿って上面板部56を切断して容易に開封することができる。そして、一度切取線1を切り離したら元通りに接続することは不可能であるから、開封の有無を明確に確認することができる。
【0049】
図21は、上記プラスチックシート50の他例としてのプラスチックシート80を示したものである。この際、プラスチックシート80は、プラスチックシート50と構成を共通するため、プラスチックシート50と同じ構成部分は同じ符号とし、異なる部分についてのみ説明する。
【0050】
プラスチックシート80は、図21に示すように、上面板部56ばかりか、底面板部57にも切取線1を設けてある。
なお、切取線1を設ける板部及びその数は任意であるが、プラスチックシート80のように、上面板部56及び底面板部57に切取線1を設けることにより、廃棄時に小さく折り畳みが可能になるような利点を得ることができる。
【0051】
上面板部56には、2本の切取線1、1を所定間隔を置いて平行に設け、2本の切取線1、1に挟まれた帯状部6を切り離すことができるように形成してある。
また、上面板部56内の中央よりやや先端側、すなわち差込み片58側に若干寄った部位に設けてある。
他方、底面板部57には、底面板部57内の中央部に全幅に渡って、一本の切取線1を形成してある。
切取線1の詳しい構造は上述のとおりである。
【符号の説明】
【0052】
1 切取線
2 貫通線
2A 山部
2B 谷部
2C 中腹部
3 非貫通部
3A 薄肉部
3B 溝部
4 膨出部
5 突起部(“バリ”)
6 帯状部
50 プラスチックシート
51 正面板部
52 左側面板部
53 右側面板部
54 背面板部
55 糊代
56 上面板部
57 底面板部
58,59 差込み片
60、61、62,63 折込み片
64,65 固着片
67 切除部
70 折曲線
71 容器本体部
72 底面
73 上面
75 包装ケース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックシートに設けるプラスチックシート用切取線であって、シートを平面視した際に、山部と谷部とが中腹部を介して交互に繰り返して連続し、且つシート厚さ方向に貫通してなる貫通線を備えると共に、全ての各中腹部内に或いは一定間隔をおいた一部の中腹部内に、シート厚さ方向に貫通しない非貫通部を設けてなる構成を備えており、さらに山部と谷部に挟まれた振幅内領域に、厚さ方向に膨らんだ部分を有する膨出部を備えたプラスチックシート用切取線。
【請求項2】
隣り合う非貫通部を結んだ断面において、各非貫通部の横に、シート厚さ方向に膨出した膨出部を備えることを特徴とする請求項1記載のプラスチックシート用切取線。
【請求項3】
シートを平面視した際に、切取線で切断した際に切り離す側に設けられる膨出部の膨出方向と、切り残される側に設けられる膨出部の膨出方向が反対方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックシー用切取線。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載されたプラスチックシート用切取線を備えたプラスチックシート。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載されたプラスチックシート用切取線を備えた包装ケース形成用プラスチックシート。
【請求項6】
請求項1〜3の何れかに記載されたプラスチックシート用切取線を備えた包装ケース。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2011−148519(P2011−148519A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10633(P2010−10633)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(591123252)菱江産業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】