説明

プラスチック光ファイバ素線の製造方法

【課題】 透明性および伸度,強度などに優れたPOFを製造する。
【解決手段】結晶構造を含む重合体から管状の第1部材11を作製する。第1部材11としても機能するパイプ17の内側に非結晶を含む重合体を形成する重合成化合物を注入し、重合させる工程を繰り返し行い、同心円状に層が順次重ねられ、径の外側から中心に向かうにしたがい屈折率が高くなる第2部材13を作製する。第1部材11の内径D1(mm)と第2部材13の外径D2(mm)とが、0.01<D1−D2<1.0の条件を満たすようにする。第1部材11と第2部材13とを組み合わせてプリフォーム24とする。プリフォーム24を加熱延伸させることにより透明性や破断伸度,結節強度に優れるPOFを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送体である光ファイバや曲率を有する光導波路に利用することができるプラスチック光ファイバ素線およびその製造方法に関するものであり、かつ上記プラスチック光ファイバ素線の母材となるプラスチック光ファイバプリフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送体として、例えば、光ファイバへ利用したプラスチック光ファイバ素線(Plastic Optical Fiber;POF)は、互いに屈折率の異なる外殻部と光伝送部とからなり、光伝送部に対して所定の角度で光を入射させ、屈折率の異なる外殻部と光伝送部との界面で光を全反射させることにより光を伝播させる光伝送体である。最近では、このPOFの中でも、中心から外側に向かって屈折率に高低分布を設けた屈折率分布型POFが注目されている。屈折率分布型POFは、その特有の屈折率分布により、中心を通る光と周辺を経由する光とがほぼ同時に伝播される。そのため、入力信号に歪が発生しないので、高い伝送容量を発現させて大幅な高速通信を実現することができる。
【0003】
屈折率分布型POFとしては、例えば、非結晶性の含フッ素重合体を主成分とし、この主成分に主成分と屈折率の異なる物質を添加して、その半径方向に濃度勾配をつけて分布させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、POFはプラスチック特性により、非常にフレキシブルであるため、折れ曲げなどの変形が生じやすい。このように変形が生じると、POFの伝送損失が上昇してしまうなどの問題が発生する。
【0004】
これを受けて、曲げ時の伝送損失の上昇を抑制することができる屈折率分布型POFとして、光伝送部の屈折率よりも低く、非晶質構造を形成させる含フッ素重合体により外殻部を形成させるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−005848号公報
【特許文献2】特開2002−071972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の屈折率分布型POFは、低い屈折率を示す含フッ素重合体により外殻部を形成させるため、光伝送部を伝播する光が外部へ発散することを防止することにより、伝送損失の上昇を抑制することができる。しかしながら、外殻部には非結晶構造のみが含まれているため、このような屈折率分布型POFは、伸度や強度などの物理的特性に劣るという問題を抱えている。
【0006】
本発明は、曲げ時での伝送損失上昇を抑制し、かつ伸度や強度などを向上させた光学的,物理的特性の双方に優れる屈折率分布型POFを製造することができるプラスチック光ファイバ素線の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のプラスチック光ファイバ素線の製造方法は、中空部を有する第1部材と第1部材とは異なる第2部材よりなるプラスチック光ファイバプリフォームを加熱溶融しながら長手方向に延伸させてプラスチック光ファイバ素線とする製造方法において、結晶構造を含む重合体からなる管状の前記第1部材を形成する第1部材形成工程と、非晶質を含む重合体からなる前記第2部材を形成する第2部材形成工程と、前記第1部材と前記第2部材とを組み合わせてプラスチック光ファイバプリフォームとする組合せ工程とを有し、前記第1部材の屈折率は、前記第1部材と接する前記第2部材の面の屈折率よりも少なくとも5×10-3以上低いことを特徴とする。
【0008】
前記第2部材は、前記第1部材と接する面の屈折率が1.4以上1.5以下であることが好ましい。前記第1部材は、フッ素原子を含む重合体であることが好ましい。また、前記第1部材の内径をD1(mm)とし、前記第2部材の最外層の外径をD2(mm)とするとき、0.01<D1−D2<1.0の条件を満たすことが好ましい。そして、前記第2部材は、円柱状もしくは円筒状であり、前記第2部材が円筒状である場合には、減圧しながら前記プラスチック光ファイバプリフォームを加熱溶融させて延伸させることが好ましい。なお、前記第2部材は、外側から径の中心に向かうにしたがい次第に屈折率が高くなることが好ましい。
【0009】
そして、本発明のプラスチック光ファイバ素線は、上記いずれかひとつ記載のプラスチック光ファイバ素線の製造方法で製造されることを特徴とする。また、本発明のプラスチック光ファイバプリフォームは、結晶構造を含む重合体からなる管状の第1部材と、前記第1部材の中に挿入される部材であり、外面の屈折率が1.4以上1.5以下である非晶質を含む重合体からなる第2部材とを有することを特徴とする。なお、前記第2部材は、外側から径の中心に向かうにしたがい次第に屈折率が高くなることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、伸度や強度などの物理的特性を向上させた屈折率分布型POFを製造することができる。そのため、このような屈折率分布型POFは、折れ曲げなどの変形が生じるのを抑制することができるので、曲げ時での伝送損失の上昇を防止することができる。また、本発明は、光ファイバとしてだけでなく、光導波路などとしても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について図を引用しながら説明する。ただし、本発明は本実施形態に限定されるものではない。図1は、本実施形態でのPOFの製造工程図である。ここでは、工程の流れについてのみ説明する。
【0012】
本発明のPOF10の製造工程は、外殻部となる管状の第1部材11を形成する第1部材形成工程12と、光伝送部となる第2部材13を形成する第2部材形成工程14と第1部材11と第2部材13とを組み合わせる組合せ工程15と延伸工程16とを有する。
【0013】
第1部材形成工程12において第1部材11を形成させる。第1部材11は、結晶構造を含む重合体からなる。結晶構造は非結晶構造と比べて、強度などが優れている。そのため、このような結晶構造を含む重合体から形成される第1部材11は、優れた強度や伸度などの物理的特性を示す。なお、本実施形態においては、溶融押出成形により第1部材11を形成する。ただし、第1部材11の製造方法は特に限定されず、後述するように、所定の重合容器を用いて、その内部に第1部材11を生成させる重合体化合物を注入し、重合させて管状の第1部材11を形成させてもよい。
【0014】
第2部材形成工程14において第2部材13を形成させる。本発明では、あらかじめ溶融押出成形などにより製造されたパイプ17などの管状部材の内部に、所定の重合成化合物を順次注入して重合させる工程を繰り返し行い、同心円状に外側から順次重ねられたn層の複層構造を示す円筒部材を第2部材13として形成する。また、第2部材13は、非晶質を含む重合体から形成される。ここでは、第1層〜第n層形成工程20〜23を連続して行うことにより、パイプ17の内部に第1層,第2層,・・・・,第(n−1)層,第n層とn層からなる複層構造を形成させる。なお、本実施形態では、図1においては、説明の便宜上、第1部材11とパイプ17を別々に記載しているが、第1部材11をパイプ17として使用する。ただし、本発明は、本実施形態のようにパイプ17として第1部材11を用いてもよいし、パイプ17と第1部材11とを別々に作製したものを用いてもよい。
【0015】
次に、組合せ工程15において、管状の第1部材11と第2部材13とを組み合わせて第2部材13の外周に第1部材11を設けたプリフォーム24を作製する。このとき、本実施形態のように、管状の第1部材11内に第2部材13を直接形成する場合には、第2部材13の製造工程が組合せ工程15を兼ねることになる。そして、延伸工程16において、このプリフォーム24を長手方向に加熱延伸させることにより所望の径のPOF10を形成させる。また、第2部材13は、円柱状または円筒状の部材とする。円筒状の第2部材13を使用する場合には、延伸工程16においてプリフォーム24を減圧しながら加熱延伸させる。これにより、プリフォーム24の内部に発砲が生じることを抑制しながらPOF10を得ることができる。
【0016】
第2部材形成工程21について詳細に説明する。図2は、第2部材形成工程の流れを示す工程図である。本発明では、上記のように複層構造の第2部材13を作製する。したがって、第2部材形成工程14は、第1層31を形成させる第1層形成工程20と第2層32を形成させる第2層形成工程21と第(n−1)層33を形成させる第(n−1)層形成工程22と、第n層34を形成させる第n層形成工程23とを有する。
【0017】
まず、第1注入工程35において、パイプ17の内部に第1層31を生成させる第1の重合成化合物を注入する。そして、第1重合工程36として、第1の重合成化合物を重合させて第1層31を形成させる。続いて、第2注入工程37として、第1層31の内側に第2の重合成化合物を注入してから、この第2の重合成化合物を重合させる第2重合工程38を行い、第2層32を形成させる。本実施形態では、このような層形成工程を、所望の層数が得られるまで繰り返し行う。第(n−1)層33を形成させる際には、第(n−1)の重合体化合物を注入する第(n−1)注入工程39を行ってから、第(n−1)重合工程40を行う。最後に、第n層形成工程23として、第(n−1)層33の内側に、第nの重合体化合物を注入する第n注入工程41を行ってから、この第nの重合体化合物を重合させる第n重合工程42を行う。
【0018】
第1層〜第n層形成工程20〜23では、重合管への重合成化合物の注入量を、内側の層に向かうにしたがい次第に減らすようにすることが好ましい。これにより、各層の厚みを概ね一定もしくは近似した値に調整することができる。この注入量は、特に限定されるものではなく、形成したい層の厚みを考慮しながら調整すればよい。なお、本実施形態では、パイプ17を第1部材11とし、その中に第2部材13を形成させたが、例えば、第1部材11および第1部材11とは異なるパイプ17の中に複層構造を生成させて第2部材13を形成した後、第2部材13のパイプ17を取り除いてから、第1部材11の中に第2部材13を直接挿入してもよいし、第1部材11の中にパイプ17を取り除かない第2部材13を直接挿入してもよい。
【0019】
以上により、パイプ17の内部にそれぞれ屈折率の異なる第1層〜第n層31〜34を形成させると、光の分散を抑制しながら光を伝播させることができる。なお、本実施形態では、各重合工程において、重合管を回転させることにより重合成化合物を重合させる回転ゲル重合法を用いる。回転ゲル重合法の詳細については後述する。
【0020】
組合せ工程22について説明する。図3に、組合せ工程の説明図を示す。第1部材11および第2部材13は径方向の断面図で示す。上記したように、第1部材11は管状であり、結晶構造を含む重合体から形成されており、本実施形態ではパイプ17である。そして、第2部材13は、第1層〜第n層31〜34で構成された複層構造の芯部材50を有する。各層は、外径および内径が長手方向に一定で、厚みが均一の管状となっている。また、径の中心には空洞部51を有している。なお、図3では、各層の境界を示しているが、製造条件などにより境界の明確さは異なり、必ずしも確認できるものでなくてもよい。同様に、空洞部51も、製造条件などにより消失する場合があるが、その有無は本発明では限定されない。
【0021】
第1部材11の内径をD1(mm)とし、第2部材13の外径をD2(mm)とするとき、0.01<D1−D2<1.0の条件を満たすように第1部材11と第2部材12とをそれぞれ形成させる。このような範囲を満たすようにD1とD2とを調整すると、例えば、第1部材11と第2部材13とを別々に形成させた後、第1部材11の中に第2部材13を挿入して組み合わせる場合、第2部材13の最外層が第1部材11に接触することなく第1部材11の中に第2部材13を挿入することができる。そのため、第1部材11と第2部材13とがそれぞれ欠損することを防止することができるとともに、容易に挿入することができる。
【0022】
本発明では、第1部材11の屈折率は、第1部材11と接する第2部材13の面の屈折率よりも5×10-3以上低くなるように調整する。すなわち、本実施形態では、パイプ17の内部に形成される第2部材13の最外層、すなわち第1層31の屈折率よりも、第1部材11に相当するパイプ17の屈折率が5×10-3以上低くなるように調整されている。このとき、第1部材11の屈折率も、上記の範囲を満たすように調整することが好ましい。なお、例えば、パイプ17が存在しない場合には、第1部材11の屈折率が上記範囲を満たすように調整すればよい。また、第2部材13の最外層の屈折率は1.4以上1.5以下となるように調整されている。そして、第2部材13の屈折率は、径の中心に向かうにしたがい次第に高くなるよう設計されている。これにより、低伝送損失を維持しながら光を伝播させることができる第2部材13を得ることができる。ただし、第1層〜第n層31〜34の屈折率の変化は、段階的であってもよいし、連続的であってもよい。
【0023】
本実施形態では、第2部材13に径方向への屈折率分布を付与する方法として、各層を、互いに異なる屈折率を示すホモポリマーを生成する重合成化合物を少なくとも2種類用いて、これらを互いに異なる配合比で共重合させて生成したコポリマーとする方法を適用している。このように、異なる屈折率を示すホモポリマーの配合比を調整しながら共重合させると、各層の屈折率に差を発現させることができる。また、各層は同じ重合成化合物を用いて形成されるので、互いに隣り合う層で形成される界面での親和性を向上させることができる。本実施形態のように、径の外側から中心に向かって屈折率を高くするためには、屈折率が低いホモポリマーに対して、より屈折率が高いホモポリマーの配合量が多くなるようにすればよい。これにより、径の内側に向かうにしたがい形成される層の屈折率を高くすることができる。なお、第1部材11は、結晶構造を含む重合体からなり、さらにフッ素原子を含むように重合成化合物を選択する。これにより、伝送損失の上昇を抑制することができる。
【0024】
第2部材13は、非晶質を含む重合体からなるように、第2部材13を生成させる重合成化合物を選択する。本実施形態では、第2部材13を生成させる重合成化合物として、重合体の屈折率が1.41である2,2,2トリフルオロエチルメタクリレート(3FMd7)と、重合体の屈折率が1.49であるペンタフルオロフェニルメタクリレート(PFPMAd5)とをそれぞれ用いて、異なる配合比となるように調整する。このように、異なる屈折率を示す重合成化合物の配合比を変更しながら各層を形成させると、上記のように、径方向に向かうにしたがい次第に変化する所望の屈折率の高低分布を発現させることができる。また、このように水素原子が一部重水素原子とされた3FMd7とPFPMAd5とを使用すると、伝送損失を低下させることができるので好ましい。
【0025】
なお、プリフォーム24に所望の屈折率の高低分布を付与する方法としては、上記の他に、各層31〜34を形成させる重合体化合物に屈折率調整剤を添加し、さらに、各層31〜34での屈折率調整剤の添加量を互いに異なるように調製することにより、所望の屈折率分布を付与することもできる。この場合には、径の内側にしたがい屈折率調整剤の添加量を高くすることで、外側から径の中心に向かうにしたがい次第に屈折率を高くすることができる。屈折率調整剤の詳細に関しては、後で説明する。
【0026】
以上より、結晶構造を含む重合体からなる管状の第1部材11の中に、非晶質を含む重合体であり、外面の屈折率が所定の範囲を満たすように調整された第2部材13を組み合わせることにより、プリフォーム24を形成することができる。このプリフォーム24を長手方向に加熱延伸することにより、所望の径のPOF10とすることができる。図4にPOF10の断面図を示す。POF10はプリフォーム24を加熱しながら所望の径となるまで溶融延伸される。これにより、第1部材111と第2部材113とは密着するため、プリフォーム24に存在していた空洞部58は消失する。このとき、減圧しながら延伸すると、空隙を発生させずにPOF10とすることができるので好ましい。また、第1部材11と第2部材13とを別々に作製後、第1部材11の中に第2部材13を挿入してプリフォーム24とする場合には、第1部材11と第2部材13との間に、間隙が生じる場合がある。しかし、本発明のようにプリフォーム24を加熱延伸させることにより、第1部材11と第2部材13とが密着するため、間隙は消失するため問題はない。
【0027】
POF10の断面径方向における屈折率は、プリフォーム24と同様に、第2部材113を構成する芯部材150のうち、第1層131が最も低く、第2層132,・・・・,第(n−1)層133,第n層134の順に次第に高くなっており、POF10の断面中心に向かうほど連続的に高くなっている。このとき、POF10の屈折率分布係数は、プリフォーム24とほぼ同じ値を示す。なお、プリフォーム24の屈折率分布については先に述べた通りである。なお、プリフォーム24は、POF10とされなくとも、この状態のままで光伝送体としての機能を発現する。
【0028】
第1部材11および第2部材13を生成させる材料について説明する。第1部材11は、結晶構造を含む重合体から形成する。これにより、伸度および強度などの物理的特性を向上させて、曲げ時での変形などが生じないプリフォーム24およびPOF10を製造することができる。第1部材11を形成する重合体化合物は、結晶構造が含まれ、かつフッ素原子を含むことが物理強度の向上および低屈折率を実現することができる点で好ましい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂,テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド三元系コポリマー(THV)樹脂,四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合(FEP)樹脂,テトラフルオロエチレンパーフルオロ(アルキルビニルエーテル(PFA)樹脂などが好ましく、低屈折率である点でTHV樹脂を用いることが特に好ましい。
【0029】
第2部材13のうち、第1層〜第n層31〜33を形成する重合体化合物は、光散乱が生じないように非晶質のポリマーとし、互いに密着性に優れることが好ましい。より好ましくは、機械的特性や耐湿熱性に優れているポリマーとすることである。また、パイプ17は、第1部材11の管状部材であっても良いし、パイプ17内で形成する重合体化合物から容易に除去することができる管状部材であってもよい。なお、管状部材を形成させる際には、重合成化合物を使用してもよいし、重合体でなくモノマーにより形成させてもよい。そして、第1層用モノマーとしては、ポリマーの中でも屈折率が低いものであることが好ましい。
【0030】
第1層〜第n層用モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類(フッ素不含(メタ)アクリル酸エステル(a),含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(b)),スチレン系化合物(c),ビニルエステル類(d)、主鎖環状含フッ素ポリマー形成モノマー類(e)、非晶質フッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標)AF)、AVA樹脂、ノルボルネン系樹脂(例えば、ZEONEX(登録商標:日本ゼオン(株)製))、ファンクショナルノルボルネン系樹脂(例えば、ARTON(登録商標:JSR製)など)ポリカーボネート類の原料であるビスフェノールAなどを重合性化合物として用いて重合させたものとすることができる。なお、各層用モノマーを選択する際には、少なくとも一方の屈折率や親和性などの関係を考慮することが好ましい。
【0031】
上記の(a)フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボニルメタクリレートなどが挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
【0032】
(b)含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0033】
(c)スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられ、(d)ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテートなど、(e)主鎖環状含フッ素ポリマー形成モノマー類としては、モノマーとして環状構造を有するまたもしくは環化重合することによって非晶質の主鎖に環状構造を有する含フッ素重合体を形成するポリマーを形成するものであり、サイトップ(登録商標)として知られるポリパーフルオロブタニルビニルエーテルや特開平8−334634などに例示される主鎖に脂肪環もしくは複素環を有するようなポリマーを形成するモノマー、および特願2004−186199号に例示されるものなどが挙げられる。もちろん、これらに限定されるものではなく、重合性化合物の単独あるいは共重合体からなるポリマーの屈折率が、光伝送体に成形されたときに所定の屈折率分布を成形体の中で有するように、種類や組成比を決定することが好ましい。
【0034】
また、第1層用モノマーとしては、上記の各種化合物の他に以下のものが挙げられる。例えば、メチルメタクリレート(MMA)とトリフルオロエチルメタクリレート(3FM)や、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレートのフッ化(メタ)アクリレートなどとの共重合体がある。また、MMAと,tert−ブチルメタクリレートなどの分岐を有する(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、トリシクロデカニルメタクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレートなどとの共重合体がある。さらには、ポリカーボネート(PC)、ノルボルネン系樹脂(例えば、ZEONEX(登録商標:日本ゼオン(株)製))、ファンクショナルノルボルネン系樹脂(例えば、ARTON(登録商標:JSR製)など)、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)を用いることもできる。また、フッ素樹脂の共重合体(例えば、PVDF系共重合体)やテトラフルオロエチレンパーフルオロ(アルキルビニルエーテル(PFA))ランダム共重合体、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体などを用いることもできる。
【0035】
なお、これらのポリマーが水素原子(H)を含んでいる場合には、その水素原子が重水素原子(D)に置換されていることが好ましく、これにより伝送損失の低減、特に近赤外領域の波長における伝送損失の低減を図ることができる。
【0036】
また、POF10を近赤外光用途に用いるためには、ポリマーを構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許3332922号公報や特開2003−192708号公報などに記載されているような、C−H結合の水素原子を重水素原子やフッ素などで置換したポリマーを用いることで、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。このようなポリマーとしては、例えば、重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを例示することができる。なお、原料となる化合物は、重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に十分に除去されることが望ましい。
【0037】
本発明においては、重合性化合物を重合させてコポリマーとする際において、重合開始剤を使用する。重合開始剤としては、例えば、ラジカルを生成するものが各種ある。例えばラジカルを生成するものとして、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は、これらに限定されるものではない。また、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
コポリマーとしたときの機械特性や熱物性などの各種物性値を全体にわたって均一に保つために、重合度の調整を行うことが好ましい。重合度の調整のためには、連鎖移動剤を使うことができる。連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択できる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
【0039】
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなど)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオールなど)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は勿論これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
【0040】
所望の屈折率分布を付与する方法として、各層を形成させる主成分に屈折率調整剤を添加する場合には、屈折率調整剤として、非重合性の化合物を用いることが好ましい。第2部材13の芯部材50を形成させる際に屈折率調整剤を添加する場合には、芯部材50を形成する主成分に対してその添加率が0.01〜25重量%とすることが好ましい。より好ましくは、添加率が1〜20重量%である。これにより、断面円形の径方向における屈折率分布係数を上記のような好ましい範囲により制御しやすくなる。
【0041】
屈折率調整剤としては高屈折率で分子体積が大きく、重合に関与せず、溶融状態のポリマー中で所定の拡散速度を有する低分子化合物を用いることが好ましい。なお、屈折率調整剤は、モノマーに限定されず、オリゴマー(ダイマー,トリマーなどを含む)であってもよい。
【0042】
また、屈折率調整剤としては、例えば、安息香酸ベンジル(BEN),硫化ジフェニル(DPS),リン酸トリフェニル(TPP),フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP),フタル酸ジフェニル(DPP),ジフェニル(DP),ジフェニルメタン(DPM),リン酸トリクレジル(TCP),ジフェニルスルホキシド(DPSO)などの非重合性低分子化合物を用いてもよく、中でも、BEN,DPS,TPP,DPSOを使用することが好ましい。このような屈折率調整剤を、芯部材50を形成させるホモポリマーに添加し、さらに、屈折率調整剤の濃度分布を調整することにより、第2部材13の屈折率を所望の値に制御する。
【0043】
前述した重合開始剤や連鎖移動剤や屈折率調整剤の各添加量は、使用する第1層〜第n層用モノマーである重合性化合物の種類などに応じて、好ましい範囲を適宜決定することができる。本実施形態においては、重合開始剤は、第1層〜第n層31〜34の重合性化合物に対して、0.005〜0.050質量%となるように添加しているが、この添加率を0.010〜0.020質量%とすることがより好ましい。また、前記連鎖移動剤は、第1層〜第n層の重合性化合物に対して、0.10〜0.40質量%となるように添加しているが、この添加率を0.15〜0.30質量%とすることがより好ましい。
【0044】
その他にも、芯部材50を構成する各層の一部に、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、芯部材50を構成する各層もしくはその一部に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。
【0045】
また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として用いることができる。これらの添加剤も、前記原料となる各種重合性化合物に添加した後、重合することによって、各層31〜34、もしくはそれらの一部に含有させることができる。
【0046】
第2部材13の製造方法について詳細に説明する。ただし、本実施形態は、本発明の一様態としての例示であり、限定されるものではない。図5に、プリフォーム24を作製する際に使用する重合容器の断面図を示す。重合容器60は、円筒管状の容器本体60aとこの容器本体60aの両端をそれぞれ塞ぐ蓋60bとを有し、本実施形態においてはSUS製とされる。また、重合容器60は、その内径が中に収容されるパイプ17の外径よりもわずかに大きいものであり、重合容器60の回転に伴ってパイプ17が回転することができるようにされている。
【0047】
まず、この重合容器60に、あらかじめ、市販の溶融押出成型により成型したパイプ17を収容する。次に、栓61でパイプ17の片端部を塞ぐ。この栓61は第1層〜第n層用モノマーに溶解しない素材からなり、可塑剤などを溶出させるような化合物も含まないものとする。このような素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
【0048】
片端部を栓61で塞いだ後、第1層31を形成させる第1層用モノマー31aをパイプ17の中に注入する。そして、他方の端部を栓61で塞いでから、重合容器60を回転させることにより第1層用モノマー31aを重合させて第1層31を形成させる。なお、パイプ17が重合容器60の回転に応じることができるように、重合容器60の内面などにパイプ17を支持する支持部材を設けてもよい。
【0049】
上記のように重合容器60を回転させる際には、回転重合装置を利用する。図6に、回転重合装置71の概略図を示す。回転重合装置71は、装置本体72の中に設けられた複数の回転部材73と駆動部76と装置本体72内の温度を検知してその検知結果に応じて内部温度を制御するための温度コントローラ77とを有している。
【0050】
回転部材73は、円柱形状であり、2本の周面で少なくともひとつの重合容器60を支持することができるように、長手方向が互いに概ね平行かつ略水平となっている。各回転部材73は、その一端が装置本体72の側面に回動自在に取り付けられており、駆動部76によりそれぞれ独立した条件で回転駆動される。なお、駆動部76には、駆動部76の駆動を制御するためにコントローラ(図示しない)が備えられている。
【0051】
図7に、重合容器の回転方法についての説明図を示す。重合反応時においては、隣り合う回転部材73の周面により形成される谷部に重合容器60がセットされた後、回転部材73の回転に応じて重合容器60は回転させられる。図7では、回転部材73の回転軸を符号73aで示している。このように、回転重合装置71に重合容器60をセットさせて回転させることにより、第1層用モノマー31aを重合させることができる。なお、本実施形態では、重合容器60の回転をサーフェスドライブ式としているが、重合容器60の回転方式は、特に限定されるものではない。
【0052】
また、本実施形態では、図7に示すように、重合容器60の両端の蓋60bに磁石60cを備えるとともに、隣り合う2本の回転部材73の間の下方に磁石75を備えている。これにより、回転時において重合容器60が回転部材73から浮くことを防止することができる。ただし、重合容器60の回転部材73からの浮きを防止する方法としては、本形態に限定されるものではない。例えば、回転部材73と同様な回転手段を、セットされた重合容器60の上部に接するように設けて、同様に回転させることにより重合容器60の浮きを防止する方法や重合容器60の上方に押さえ手段を設けて、重合容器60に所定の荷重をかけることにより浮きを防止する方法などが挙げられる。なお、本発明は浮き防止方法に依存するものではなく、いずれの方法も適用することができる。
【0053】
なお、回転重合の前に、パイプ17を立てた状態で第1層31を予備重合させてもよい。予備重合を行う際には、必要に応じて所定の回転機構によりパイプ17の円管軸を回転中心として回転させる。このようにパイプ17の長手方向を概ね水平に保ちながら回転させると、パイプ17の内面全体に第1層31が生成しやすくなるため好ましい。また、本発明では、第1層31の重合時において、パイプ17の長手方向を水平とすることが、パイプ17の内面全体に第1層31を形成する上でもっとも好ましい。ただし、略水平であればよく、回転軸の許容される角度は水平に対して概ね5°以内である。
【0054】
なお、第1層〜第n層用モノマーを濾過や蒸留などを行うことにより、重合禁止剤や水分および不純物などをあらかじめ除去してから用いることが好ましい。なお、モノマーや重合開始剤を混合した後に、この混合物を超音波処理して溶存気体や揮発成分を除去することが好ましい。さらに、必要に応じて、第1層形成工程の前後において、公知の減圧装置によりパイプ17や第1層用モノマー31aを減圧処理してもよい。
【0055】
以上のようにして第1層31が形成されたパイプ17を、回転重合装置71から取り出した後、本実施形態では、所定温度に設定された恒温槽などの加熱手段により所定時間の加熱処理をしている。
【0056】
次に、第2層32〜第n層34を順次生成させる。図8に、各層の生成開始時における重合容器80の断面図を示す。この重合容器60は、第1層31を生成させた際に用いたものと同じであるため同一の符号を用いる。まず、第2層用モノマー32aを第1層31の中空部に注入する。そして、栓61により注入口を塞ぎ、第1層31が形成されたパイプ17の長手方向を略水平状態とし、パイプ17の断面円形の中心が回転軸となるように回転させながら反応を開始する。このように回転させながら重合を進めることにより第2層32を形成させる。第2層〜第n層用モノマーを重合させる際には、第1層31を作製する際に使用した回転重合装置71(図6参照)を用いる。なお、必要に応じては、第2層用モノマー32aをはじめとする第2層〜第n層用モノマーを注入する前後において、公知の減圧装置によりパイプ17や注入物を減圧処理してもよい。
【0057】
このとき、第2層用モノマー32aが重合を開始すると、第1層31の内壁が第2層用モノマー32aにより膨潤し、重合初期段階において膨潤層を形成する。この膨潤層は、ゲル状態となっているため、重合速度が加速(ゲル効果と称する)する。このような現象から、本発明では、あらかじめ作製された管状部材を回転させながら、この管状部材と注入された重合性化合物との反応により膨潤層を形成させて重合性化合物を重合させる反応方法を回転ゲル重合法と称する。なお、この重合反応は、本実施形態のように、管状部材の長手方向が水平とされることがより好ましい。
【0058】
なお、各重合反応の反応速度は、適宜調整されることが好ましい。例えば、各重合成化合物の反応度合いを表す転化率が、1時間あたり5〜90%となるように反応速度を調整することが好ましい。より好ましくは、1時間あたりの転化率が10〜85%となるように調整することであり、さらに好ましくは20〜80%である。この反応速度の制御は、重合開始剤の種類や重合温度の調整などにより制御することができる。なお、重合性化合物の転化率の求め方は周知の方法を用いればよく特に限定はされない。例えば、ガスクロマトグラフィによる残留モノマーの定量分析と目視評価とを実施して両者の関係をあらかじめ求めておき、この関係をもとに目視観察にて評価すればよい。なお、上記のような回転ゲル重合法においては、その反応温度を用いる重合性化合物の沸点以下とすることが好ましい。また、回転速度を適宜調整することにより、各層の転化率などを制御する。
【0059】
以上の方法により、所定の材料により生成された第1層〜第n層31〜34の複層構造をパイプ17の内部に形成させて第2部材13を作製することができる。そして、別途製造した管状の第1部材11の中に第2部材13を挿入してプリフォーム24とし、このプリフォーム24を溶融延伸させることにより所望の直径(例えば、200〜1000μm)を有するPOF10を得ることができる。なお、プリフォーム24の延伸方法は、特開平07−234322号公報などに記載される各種延伸方法を適用することができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、第2部材13の屈折率が径の中心に向かうにしたがい連続的に高くなるグレードインデックス型(Graded Index:GI型)POFを示したが、第2部材13の屈折率が段階的に変化するステップインデックス型(Step Index;SI型)POFでもよい。このSI型POFは、GI型POFの第2部材13がパイプ17と第1層〜第n層31〜34までの複層構造であるのに対して、パイプ17と第1層31との2層構造を有する。なお、SI型POFの作製工程は、GI型POFと同じであるため、説明は省略する。
【0061】
POF10は、曲げ、耐候性の向上,吸湿による性能低下抑制,引張強度の向上,耐踏付け性付与,難燃性付与,薬品による損傷からの保護,外部光線によるノイズ防止,着色などによる商品価値の向上などを目的として、通常、その表面に1層以上の保護層を被覆して使用される。
【0062】
このようにして得られたPOF10の外周を被覆材により被覆すると、プラスチック光ファイバ心線またはプラスチック光ファイバコード(ともに、Plastic Optical Code)を得ることができる。なお、POF10の外周を被覆材により被覆する際には、一次被覆を実施した後に二次被覆を実施する方法が一般的である。ただし、被覆層の数については1層または2層に限定されるものではない。
【0063】
また、このプラスチック光ファイバコードを束ねることによりプラスチック光ファイバケーブル(Plastic Optical Cable)を得ることができる。本発明においては、このファイバコードが1本のままであって必要に応じてさらに被覆を施されたものをシングルファイバケーブルと称する。また、ファイバコードがテンションメンバなどとともに複数本組合されてさらなる被覆材が被されたものをマルチファイバケーブルと称する。なお、プラスチック光ファイバケーブルは、これらのシングルファイバケーブルとマルチファイバケーブルとの両方を含む。
【0064】
光ケーブルの中でもシングルファイバケーブルとする場合には、第2の被覆工程を経ることなく、第1被覆工程における被覆層を外表としたままで光ケーブルとして用いることもある。光ケーブルとされるときの被覆の形態としては、一本の前記心線と被覆材との界面、あるいは複数本束ねた状態の光ファイバ心線の外周と被覆材との界面が、すべて接するように被覆されている密着型の被覆と、被覆材と光ファイバ心線との界面に空隙を有するルース型被覆とがある。ルース型被覆では、たとえばコネクタとの接続部において被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。
【0065】
しかし、被覆材と光ファイバ心線とが密着していないので、光ケーブルにかかる応力や熱などのダメージの多くを、被覆層により緩和させることができるという利点を有する。そのため、ルース型の被覆は、使用目的によっては好ましく用いることができる。ルース型被覆の場合のコネクタ接続部からの水分の伝播については、光ファイバ心線と被覆材との界面の空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することにより、防止することができる。さらに、これらの半固体や粉粒体に対して耐熱や機械的機能の向上などの他の異なる機能を付与させることにより、多機能な被覆層を形成した光ファイバケーブルを製造することができる。また、ルース型の被覆とするには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置による減圧度を加減することにより、前記空隙を有する層を形成することができる。この空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層とを加圧/減圧することにより調整することができる。なお、第1、第2の被覆工程で設けられる被覆材には、難燃剤や、紫外線吸収剤、酸化防止剤、昇光剤、滑材などを、光伝送特性に影響を及ぼさない条件範囲で添加してもよい。
【0066】
前記難燃剤としては、臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤、リン含有のものがあるが、燃焼時における毒性ガス低減などの安全性の観点では、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物が主流となりつつある。ただし、このような金属水酸化物は、その内部に水分を結晶水として有している。この水分は、これら金属水酸化物の製法過程における付着水に起因するものであり完全除去は不可能とされる。したがって、金属水酸化物による難燃性付与は、POF10に接する被覆層には含有させず、ケーブルとしての外表となる被覆層に対してのみ行うことが望ましい。
【0067】
また、プラスチック光ファイバケーブルに複数の機能を付与させるために、さらに、適宜機能性層となる被覆層を積層させてもよい。前記難燃化層以外の機能層としては、例えば、POF10の吸湿を抑制するためのバリア層や、POF10に含有された水分を除去するための吸湿材料層などが挙げられる。なお、この吸湿材料層の付与方法としては、例えば、吸湿テープや吸湿ジェルを所定の被覆層内や被覆層間に設ける方法がある。
【0068】
さらに、その他の機能性層としては、可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や外部からの応力を緩衝するための緩衝材として機能する発泡材料層、剛性を向上させるための強化層などが挙げられる。また、プラスチック光ファイバケーブルの構造材(被覆材)としては、樹脂以外にも、例えば、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線などの線材を熱可塑性樹脂に含有させたものが挙げられる。このような材料を用いると、プラスチック光ファイバケーブルの力学的強度を補強することができるために好ましい。
【0069】
なお、前記抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維,ポリエステル繊維,ポリアミド繊維が挙げられる。そして、前記金属線としては、ステンレス線,亜鉛合金線,銅線などが挙げられる。ただし、本発明に適用することができる抗張力繊維および金属線は、これらに限定されるものではない。また、その他にも、プラスチック光ファイバケーブルを保護するための金属管の外装や架空用の支持線、配線時の作業性を向上させるための機構などをプラスチック光ファイバケーブルの外周部に組み込むこともできる。
【0070】
プラスチック光ファイバケーブルの形状は使用形態によって、プラスチック光ファイバコードを同心円上にまとめた集合型のものや一列に並べたテープ型のもの、さらに、それらを押え巻やラップシースなどでまとめたものなどが挙げられる。なお、これらの使用形態は、用途に応じて適宜選択すればよい。
【0071】
本発明のプリフォーム24から得られたプラスチック光ファイバケーブルは、従来品と比べて軸ずれに対する許容度が高いために、突き合せにより接合しても用いることができる。ただし、より好ましくは、光ケーブルの端部に接続用光コネクタを備えて、互いの接続部を確実に固定することである。また、コネクタは、一般に知られているPN型,SMA型,SMI型などの市販の各種コネクタを利用することが可能である。そのため、本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、種々の発光素子や受光素子や光スイッチ,光アイソレータ,光集積回路,光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置などが組み合わされて好適に用いられる。この際、必要に応じて他の光ファイバなどと組合せてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用することができる。例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。
【0072】
また、前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線,車両や船舶などの内部配線,光端末とデジタル機器,デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LANなどをはじめとする高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
【0073】
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON.,VOL.E84−C,No.3,MARCH 2001,p.339−344 「High−Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3,No.6,2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開2003−152284号公報に記載の導波路面に対する発光素子の配置;特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号などの各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号などの各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号などの公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号などの各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号などに記載の光信号処理装置;特開2001−86537号などに記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号などに記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号などの各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用したより高度な光伝送システムを構築することができる。なお、以上の光伝送用途以外にも、照明(導光)やエネルギー伝送,イルミネーション,レンズ,センサ分野にも用いることができる。
【0074】
以下、本発明に関する実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明の光学材料および製造方法によりPOFを作製したが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、プリフォーム24の製造方法などに関しては実施例1において詳細に説明し、実施例2および比較例1において、実施例1と同じ場合には説明を省略する。
【実施例1】
【0075】
図1に示すPOF製造工程にしたがいPOF10を製造した。溶融押出成形により作製した内径19.5mm、長さ27cmのPVDF管を、第1部材11として機能するパイプ17とし、この中空部に第1層用モノマー31aを、孔径が0.2μmのPTFEメンブランフィルターを用いて濾過しながら注入した。第1層用モノマー31aとしては、重合成化合物として3FMd7(以下、aと称する)を21.73mlおよび重合成化合物としてPFPMAd5(以下、bと称する)を4.56ml混合してから、重合開始剤として2,2ジメチルアゾビスイソブチレートを0.1mol%とドデシルメルカプタンを0.05mol%とを添加したものを調製した。
【0076】
第1層用モノマー31aが注入された屈折率が1.41であるPVDF管を、回転重合装置71の重合器本体60aに長手方向が水平となるようにセットし、2000rpmで回転させながら90℃の雰囲気下で2時間の加熱重合を行った。重合容器60はSUS製のものを使用した。このとき、回転する重合容器60の近傍、具体的には1〜2cm離れた位置に非接地型熱電対を設けて、温度を測定し、この測定温度を重合反応による温度としてみなした。また、この方法により測定された重合反応の発熱における温度ピーク(発熱ピーク)を求めた。実施例1では、重合開始から約1時間20分経過したときに67℃の発熱ピークが認められた。以上により、パイプ17の内面に第1層31を形成させた。なお、得られた重合体の転化率は90%であった。
【0077】
次に、重合容器60から第1層31が形成されたパイプ17を取り出し、その中空部に第2混合溶液を注入し、回転重合させることにより第2層32を形成させた。このとき、第1層31を形成したときと同じ条件,方法を用いた。第2層用モノマー32aとしては、aを7.57mlおよびbを1.99ml混合してから、重合開始剤として2,2ジメチルアゾビスイソブチレートを0.1mol%とドデシルメルカプタンを0.05mol%とを添加した混合溶液を用いた。そして、第2層32を形成した後、表1に示すように配合比としてb/aが異なるように調製した第3〜第11混合溶液を用いて、径の中心に向かうにしたがい各層用モノマーの注入量を表1のように減らしながら、上記と同じ工程を繰り返し行うことにより、第1部材11となるパイプ17の内部に11層の複層構造を形成させてPVDFからなる第2部材13を製造した。第2部材13の最外層である第1層31の外面での屈折率は1.432であった。
【0078】
第11混合溶液を重合させた後、90℃に加熱させた状態で6時間保持し残存している重合成化合物を反応させた。プリフォーム24とした。このとき、第1部材11の屈折率と第2部材13の外面との屈折率差は0.022であった。その後、得られたプリフォーム24の空洞部58を減圧させながら200℃に加熱させた状態で、溶融延伸させることにより空洞部58を閉塞させるとともに、第1部材11と第2部材13とを密着させることにより隙間59を消失させて、外径が470μmのPOF10を得た。このとき、POF10の外径の変動は±15μmであった。
【0079】
得られたPOF10に、半径10mmの曲率にて360°の曲げを付与したところ、光損失は1.0dBであった。また、得られたPOF10を引張り試験機(東洋精機製 STROGRAPH−M1)にて物理特性として破断伸度(%)と結節強度(MPa)をそれぞれ測定した結果、破断伸度は20.0%であり、結節強度は423MPaであった。
【実施例2】
【0080】
実施例1と同じ材料および方法を用いて第2部材13を形成させたが、実施例2では、第1部材として機能するパイプ17として使用したPVDF管を除去し、第1部材11として、あらかじめ市販のDyneon(登録商標:3M製)ペレットを用いて溶融押出成形により製造した内径20mm,外径21mm、屈折率が1.36の管状の第1部材11の中に、第1〜11層で構成された第2部材13を挿入してプリフォーム24とした。このとき、第1部材11の屈折率と、第2部材13の外面での屈折率差は0.072であった。その後、得られたプリフォーム24の空洞部58を減圧させながら200℃に加熱させた状態で、溶融延伸させることにより空洞部58を閉塞させるとともに、第1部材11と第2部材13とを密着させることにより隙間59を消失させて、外径が470μmのPOF10を得た。このとき、POF10の外径の変動は±15μmであった。
【0081】
得られたPOF10に、半径10mmの曲率にて360°の曲げを付与したところ、光損失は0.2dBとなり、実施例1に対し更に曲げによる光放射損失が低減した。また、得られたPOF10を引張り試験機(東洋精機製 STROGRAPH−M1)にて物理特性として破断伸度(%)と結節強度(MPa)をそれぞれ測定した結果、破断伸度は6.0%であり、結節強度は381MPaであった。
【0082】
〔比較例1〕
実施例1と同じ材料および方法を用いて第2部材13を形成させた。ただし、比較例1では、第1部材11を用いずに、第2部材13のみをプリフォーム24とした。したがって、パイプ17が最外層である。そして、このプリフォーム24を実施例1と同じ方法で加熱延伸させることにより外径が470μmのPOF10を作製した。また、得られたPOF10を用いて実施例1と同じように、半径10mmの曲率にて360°の曲げを与えたところ、光損失は2.2dBであった。なお、POF10を一時曲げた時点で、折れ曲り、破断する場合もあった。さらに、引張り試験機(東洋精機製;STROGRAPH−M1)により引張り試験を行ったところ、破断伸度は6.0%であり、結節強度は47MPaであった。
【0083】
実施例1,2および比較例1において、第2部材13を形成する際に使用した第2部材形成材料に関し、各混合溶液でのa,bの配合比(b/a)および総量(a+b)などを表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
実施例1は、第1部材11として機能するPVDFからなる管状のパイプ17の内部に
円筒状である第2部材13を形成し、これを加熱延伸させることによりPOF10を製造した。また、実施例2は、パイプ17を重合管としてのみ使用し、パイプ17を除去した後、管状の第1部材11と円筒状の第2部材13とを別々に製造後、第1部材11の中に第2部材13を挿入してプリフォーム24とし、これを加熱延伸させることによりPOF10を製造した。一方、比較例1は、第1部材11を使用せずに、第2部材13の最外層を外殻部とするプリフォーム24を作製してから、これを加熱延伸させてPO10を製造した。
【0086】
その結果、実施例1では、白濁が生じることがなく透明性に優れ、かつ破断伸度、結節強度ともに大きい値を示すPOF10を得ることができた。また、実施例2では、実施例1と比べて、破断伸度が大きく、曲げによる損失も極めて小さいPOFを得ることができた。一方、比較例1では、破断伸度,結節強度とも小さくなり物理性に乏しく、かつ曲げによる損失増加が大きいPOF10を得た。以上より、実施例1において、破断強度および結節強度に優れ、低光損失を示すPOFを製造することができることを確認した。したがって、結晶構造を含む管状の第1部材と、非結晶構造を含む第2部材とをそれぞれ作製した後、第1部材の中空部に第2部材を挿入し、これらを互いに組み合わせることでプリフォームとし、このプリフォームを加熱延伸させると、伸度や強度に優れ、かつ曲げ時での伝送損失の上昇を抑制することができるPOFを製造することができることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のPOFの製造工程図である。
【図2】本発明の第2部材形成の流れを示す工程図である。
【図3】本発明の組合せ工程の説明図である。
【図4】本発明のPOFの断面図である。
【図5】重合容器の断面図である。
【図6】回転重合装置の概略図である。
【図7】重合容器の回転方法についての説明図である。
【図8】第1層形成後の重合容器の断面図である。
【符号の説明】
【0088】
10 POF
11 第1部材
12 第1部材形成工程
13 第2部材
14 第2部材形成工程
15 組合せ工程
16 延伸工程
24 プリフォーム
31 第1層
32 第2層
33 第(n−1)層
34 第n層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する第1部材と第1部材とは異なる第2部材よりなるプラスチック光ファイバプリフォームを加熱溶融しながら長手方向に延伸させてプラスチック光ファイバ素線とする製造方法において、
結晶構造を含む重合体からなる管状の前記第1部材を形成する第1部材形成工程と、
非晶質を含む重合体からなる前記第2部材を形成する第2部材形成工程と、
前記第1部材と前記第2部材とを組み合わせてプラスチック光ファイバプリフォームとする組合せ工程とを有し、
前記第1部材の屈折率は、前記第1部材と接する前記第2部材の面の屈折率よりも少なくとも5×10-3以上低いことを特徴とするプラスチック光ファイバ素線の製造方法。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第1部材と接する面の屈折率が1.4以上1.5以下であることを特徴とする請求項1記載のプラスチック光ファイバ素線の製造方法。
【請求項3】
前記第1部材は、フッ素原子を含む重合体であることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック光ファイバ素線の製造方法。
【請求項4】
前記第1部材の内径をD1(mm)とし、前記第2部材の最外層の外径をD2(mm)とするとき、0.01<D1−D2<1.0の条件を満たすことを特徴とする請求項1ないし3いずれかひとつ記載のプラスチック光ファイバ素線の製造方法。
【請求項5】
前記第2部材は、円柱状もしくは円筒状であり、
前記第2部材が円筒状である場合には、減圧しながら前記プラスチック光ファイバプリフォームを加熱溶融させて延伸させることを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつ記載のプラスチック光ファイバ素線の製造方法。
【請求項6】
前記第2部材は、外側から径の中心に向かうにしたがい次第に屈折率が高くなることを特徴とする請求項1ないし5いずれかひとつ記載のプラスチック光ファイバ素線の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかひとつ記載のプラスチック光ファイバ素線の製造方法で製造されることを特徴とするプラスチック光ファイバ素線。
【請求項8】
結晶構造を含む重合体からなる管状の第1部材と、前記第1部材の中に挿入される部材であり、外面の屈折率が1.4以上1.5以下である非晶質を含む重合体からなる第2部材とを有することを特徴とするプラスチック光ファイバプリフォーム。
【請求項9】
前記第2部材は、外側から径の中心に向かうにしたがい次第に屈折率が高くなることを特徴とする請求項8記載のプラスチック光ファイバプリフォーム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate