プラスチック光学部材の製造方法
【課題】コアをマトリックスに配置したプラスチック光学部材を容易且つ精度良く製造する。
【解決手段】丸棒状の芯部20を形成する。嵌合孔21aを有する外殻部21を形成する。嵌合孔21a内に芯部20を嵌合させて、プリフォーム素片23を形成する。プリフォーム素片23を3×3のマトリックスに配置し、プリフォーム25を構成する。プリフォーム25を加熱炉で加熱延伸し、9個のコアを有する光伝送体27を得る。加熱延伸では、延伸後の光伝送体の横断面の形状が、プリフォーム25の横断面形状と略相似形になるように、加熱条件を制御する。加熱延伸により多芯構造の光伝送体を容易に精度よく形成することができる。
【解決手段】丸棒状の芯部20を形成する。嵌合孔21aを有する外殻部21を形成する。嵌合孔21a内に芯部20を嵌合させて、プリフォーム素片23を形成する。プリフォーム素片23を3×3のマトリックスに配置し、プリフォーム25を構成する。プリフォーム25を加熱炉で加熱延伸し、9個のコアを有する光伝送体27を得る。加熱延伸では、延伸後の光伝送体の横断面の形状が、プリフォーム25の横断面形状と略相似形になるように、加熱条件を制御する。加熱延伸により多芯構造の光伝送体を容易に精度よく形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック光学部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を伝播させる光伝送体としては、硬度が高く化学的に安定でありながら、伝送損失が低く、さらには、優れた透明性や成形性などの長所を有することから、石英系光伝送体が使用されている。この石英系光伝送体としては、その用途や形状の違いにより、光ファイバ素線や、光導波路、あるいはレンズや電子部品などが挙げられる。ただし、最近では、石英系光伝送体に劣らぬ優れた加工性や透明性を有し、さらには軽量化が可能であるなどの長所を有することから、プラスチック光学部材が注目されている。このプラスチック光学部材は、素材が全てポリマーであるため、石英系に比べて伝送損失がやや大きいという短所を有するが、上記の長所に加えて、良好な可撓性を示し、また石英系よりも大口径化が可能であるなどの長所も有するため、特に、伝送損失の大きさがあまり問題とならない程度の短距離用の光伝送体としての利用が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
プラスチック光学部材は、プラスチックからなり光伝送路となるコア(コア部と称するときもある)と、コアよりも低屈折率のプラスチックからなるクラッド(クラッド部と称するときもある)とを有している。なお、以下の説明では、コアを含む部材を芯部と称し、この芯部の外周に配され、芯部に対する熱ダメージや耐水性などを向上させることを目的とする部材を外殻部と称する。そして、この外殻部には、上記のクラッドや芯部を保護する保護層が含まれる。
【0004】
芯部、特にコアは、径の中心から外側に向かうにしたがい次第に屈折率が変化する屈折率分布を有するものが好ましく用いられる。そして、屈折率分布の違いにより、グレーテッドインデックス(GI)型、ステップインデックス(SI)型、マルチステップインデックス(MSI)型などに分類される。GI型プラスチック光学部材とは、径の中心から外側に向かって屈折率が連続的に低くなるものであり、SI型プラスチック光学部材は、径の中心から外側に向かって屈折率が段階的に低くなるものである。そして、MSI型プラスチック光学部材は、このGI型とSI型との中間的な屈折率分布を有するものである。
【0005】
屈折率分布の違いに関わらず、プラスチック光学部材の製造方法としては、例えば、溶融押出法によりパイプ状のクラッド部(以下、クラッドパイプと称する)を形成した後、このクラッドパイプ中にコア部を形成する方法が挙げられる。そして、GI型プラスチック光学部材の製造方法としては、例えば、重合法により光伝送体を構成するポリマーを重合させてプリフォーム(母材)を作製した後、このプリフォームを加熱炉で加熱溶融延伸する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、一般に、プラスチック光学部材は、その外径断面が円形であるものが多い。しかしながら、用途によっては、外形が円形ではなく矩形や長円などであることが望ましい場合がある。そこで、このように外形が非円形である光伝送体の製造方法としては、例えば、断面の外形が円形である光伝送体を製造後、これを加工して断面が長円のプラスチック光学部材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、プラスチック光学部材は、そのままの形状でも利用されるが、パラレル信号伝送や画像取り込み、画像出力などの用途においては、複数のプラスチック光学部材を密接に配列または円柱状、角柱状に結束させて利用する場合が多い。このような、単一の光伝送体を複数用いた集合体を形成する方法としては、複数の光伝送体を並列状態で熱圧着する方法(例えば、特許文献4参照)や、フォトレジストやエッチングを利用して光伝送体を製造する方法(特許文献5参照)、さらには、複数の中空部が並列に形成されたクラッド部に、複数のコア部を挿入して光伝送体を製造する方法(例えば、特許文献6参照)、複数個のMI型プラスチック光学部材をその最外層において融着一体化して製造する方法(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開昭61−130904号公報
【特許文献2】特許第3332922号公報
【特許文献3】特願2004−019968号公報
【特許文献4】特開平6−317716号公報
【特許文献5】特開2001−166165号公報
【特許文献6】特開2005−003899号公報
【特許文献7】特開平11−52147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記に挙げた各特許文献のうち、特許文献6は、石英系光伝送体の製造方法であり、プラスチック光学部材に関する記載ではない。また、上記いずれの方法においても、光伝送体を製造する際に、加工のために特別な装置を必要とし、設備コストの増大を招くなどの問題がある。しかも、各種の光伝送体に対応させて加工装置を用いると、製造時間が長くなるとともに、製造コストが上昇してしまう。くわえて、特許文献3のように、所望の断面を有する光伝送体を形成する場合には、微細な加工を必要とするため、その精度を確保することが困難であるとともに、製造効率が低下してしまうという問題を有する。また、上記いずれの方法も、複数の光伝送体を高密度で集積することには手間がかかり、大量生産するには向いていないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、光伝送路となる複数のコアを二次元方向に配置したプラスチック光学部材を精度良く且つ低コストで量産可能な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプラスチック光学部材の製造方法は、光伝送部となる芯部と、この芯部の外周に配置される外殻部とからなる光学部材プリフォームを長手方向に延伸してプラスチック光学部材を製造する方法において、前記芯部を前記長手方向に直交する方向に複数配置して前記光学部材プリフォームを形成する光学部材プリフォーム形成工程と、前記光学部材プリフォームを加熱延伸し前記光学部材プリフォームの横断面形状と略相似形の横断面形状を有する前記プラスチック光学部材を得る加熱延伸工程を有することを特徴とする。なお、前記芯部が規則的に配置されていることが好ましい。また、前記芯部の外周に光伝送部より屈折率が低いクラッドを有するか、前記外殻部の芯部と接する面に、光伝送部より屈折率が低いクラッドを有することが好ましい。
【0010】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、複数の前記光学部材プリフォームを束ねてプリフォーム集合体を構成し、前記加熱延伸工程では、前記プリフォーム集合体を延伸することが好ましい。または、前記光学部材プリフォーム形成工程では、前記芯部からなるプリフォーム素片及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成することが好ましい。
【0011】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、複数の前記光学部材プリフォームを束ねてプリフォーム集合体を構成し、前記加熱延伸工程では、前記プリフォーム集合体を延伸することが好ましい。また、前記外殻部はその側面で連結されていることが好ましい。
【0012】
前記芯部は複数種類のものから構成されていることが好ましい。また、前記外殻部が複数種類の材料もしくは形状から構成されていることが好ましい。また、前記芯部の横断面中心から外側に向って屈折率が徐々に低下する屈折率分布を有することが好ましい。さらに、前記コア部の横断面形状が円形であり、前記クラッド部の横断面形状が多角形、特に正方形、長方形、または正6角形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプラスチック光学部材の製造方法によれば、芯部を長手方向に直交する方向に複数配置して光学部材プリフォームを形成し、この光学部材プリフォームを加熱延伸し前記光学部材プリフォームの横断面形状と略相似形の横断面形状を有するプラスチック光学部材を作成するようにしたから、複数の芯部を有するプラスチック光学部材を簡単にしかも特別な製造装置を用いることなく、精度よく製造することができる。また、延伸倍率を変えることにより、または複数回に分けて加熱延伸することにより、高密度の多芯プラスチック光学部材を簡単に製造することができる。
【0014】
芯部の外周に光伝送部より屈折率が低いクラッドを有するか、前記外殻部の芯部と接する面に、光伝送部より屈折率が低いクラッドを有することにより、光がそれらの界面で全反射し、芯部で光伝送される。
【0015】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、前記芯部及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成したり、前記芯部からなるプリフォーム素片及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成したりすることにより、多種多様な横断面形状を有するプラスチック光学部材を簡単に製造することができる。さらに、前記光学部材プリフォーム形成工程では、複数の前記光学部材プリフォームを束ねてプリフォーム集合体を構成し、前記加熱延伸工程では、前記プリフォーム集合体を延伸することにより、延伸倍率が上がって、より精緻な横断面形状を有するプラスチック光学部材が得られるようになる。
【0016】
また、芯部を複数種類のものから構成したり、外殻部を複数種類の材料もしくは形状から構成したりすることにより、より一層多種多様な形態のプラスチック光学部材が得られるようになる。芯部の横断面中心から外側に向って屈折率が徐々に低下する屈折率分布を有することにより、伝送特性に優れた光伝送体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。実施の形態については、本発明の好適な適用例を記載しているものであり、本発明を何ら制限するものではない。
【0018】
図1に示すように、本発明のプラスチック光学部材の製造方法は、大きく分けてプリフォーム形成工程11と加熱延伸工程12とからなる。プリフォーム形成工程11は、芯部形成工程13、外殻部形成工程14、嵌合工程15、組み立て工程16を有する。
【0019】
まず、芯部形成工程13において芯部20を形成する。また、外殻部形成工程14において外殻部21を形成する。次に、嵌合工程15において、芯部20と外殻部21とを嵌合させてプリフォーム素片23を得る。次に、組み立て工程16において、複数のプリフォーム素片23を組み合わせて束ね、プリフォーム25を形成する。
【0020】
加熱延伸工程12では、図2に示すようにプリフォーム25を加熱炉30内に配置する。そして、この加熱炉30により、プリフォーム25を加熱してプリフォーム25の一部を軟化させた後、この軟化箇所の先端部25aを始点として長手方向に線引き(延伸)を行い、光伝送体27を得る。ここで長手方向とは芯部及び外殻部の横断面が同一もしくは相似となる面に対して垂直な方向、つまり軸方向となる。この軟化温度は、特に限定されるものではないが、80〜500℃の温度であることが好ましく、より好ましくは180〜240℃であり、最も好ましくは190〜220℃である。線径モニタ32は光伝送体27の外径をモニタリングする。このモニタリング結果に応じて加熱炉30内のプリフォーム25の位置や加熱炉30の温度、巻取装置33の巻取速度などを適宜調整して、光伝送体27の外径が常に一定になるようにする。巻取装置33は、線引きした光伝送体27を芯材33aに巻き取る。以上により、ロール状に巻き取り収納された光伝送体27が得られる。
【0021】
なお、本発明での加熱延伸での軟化とは、非円形のプリフォーム25を加熱延伸したときに、略相似形の断面が得られる状態をいい、本発明での加熱延伸での溶融とは、非円形のプリフォームを加熱延伸したときに、略相似形が保持されず略円形などの断面になる状態をいう。プリフォームが軟化する温度は、ポリマーの温度特性に依存し、一概には規定することはできないため、ポリマー毎に加熱延伸時の軟化する温度を実験などにより求めておき、この求めた温度範囲で加熱延伸を行う。
【0022】
これにより、プリフォーム25の横断面と略相似形の光伝送体27が得られる。得られた光伝送体27に対しては、その外周面を保護するために樹脂を被覆して保護膜を形成させても良い。この被覆による保護膜は、放射線硬化樹脂の塗布後に放射線を照射して形成してもよいし、熱可塑性樹脂の押出成形により形成してもよい。なお、保護膜を形成させる場合には、光伝送体の製造工程とは別ラインとして行っても良いし、加熱延伸工程の後に行うなどして光伝送体の製造工程中に組み込んでもよい。
【0023】
図3(A)に示すように、芯部20は、コア20aとクラッド20bとを有する。コア20aは、光の伝送路となる部材であり、クラッド20bは、コア20aよりも低屈折率であり、コア20aとの界面で光を全反射させる中空状の部材である。また、本実施形態では、コア20aは、径の中心から外側に向かうにしたがい次第に屈折率が低くなるように屈折率分布が調整されている。このような屈折率分布を有する芯部20は、GI型プラスチック光ファイバ素線(POF)用プリフォームと同様に構成される。
【0024】
コア20aやクラッド20bの製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、PVDFを用いて溶融押出成形により形成したクラッドパイプの中に、コア20aを形成させるPMMAを注入後、ラジカル重合させる方法が挙げられ、本実施形態ではこの方法を適用している。その他にも、共押出することができる複合型ノズルを備えた溶融押出装置を用いてコア20aの外周にクラッド20bが設けられた芯部20を形成してもよい。なお、コア20aを形成させるポリマーの中に屈折率調整剤を添加し、その分散具合や濃度を調整すると、所望の屈折率分布を発現させることができる。具体的には、特許3332922号公報に記載されているラジカル重合による製造方法や、特願2004−354786号に記載されている溶融押出方法などが挙げられ、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0025】
図3(A)に示すように、外殻部21は嵌合孔21aを有する部材である。外殻部21の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、外殻部21を形成する材料(例えば、PMMAやPVDFなど)を用いた溶融押出成形法が挙げられる。なお、本実施形態では、PMMAを用いて溶融押出により成形している。嵌合孔21aの横断面形状は、芯部20の断面形状と略一致していればよい。したがって、芯部20の横断面形状が円形以外の、楕円形、長方形などの多角形又は直線と曲線,円弧,楕円とが組み合わされた形状などから構成される場合には、これと略一致した形状とされる。なお、クラッド20bをコア20aの外周に形成する代わりに、外殻部21の嵌合孔21aに形成してもよい。
【0026】
そして、芯部20を嵌合孔21aに挿入して嵌合させ、図3(B)に示すようなプリフォーム素片23を形成する。このとき、芯部20および嵌合孔21aのサイズは、嵌合時に空隙24が形成されるようにそれぞれ調整されている。本発明では、この空隙24のクリアランスX(mm)が0<X≦8を満たすようにする。これにより、芯部20と外殻部21とを容易に嵌合させることができる。ただし、8<Xの場合には、クリアランスが大きすぎるので、光伝送体とした場合、芯部と嵌合部との整合性が低下してしまうおそれがある。
【0027】
次に、プリフォーム素片23の端部のうち、どちらか一方の端部を固定する。この固定した端部は、加熱延伸時において延伸側の端部となる。これにより、外殻部21から芯部20が落下したり、嵌合位置がずれたりすることなく、プリフォーム素片23を加熱炉30内で延伸することができる。端部の固定は、嵌合孔21aの一端部に設けた固定部材により行う。固定部材としては、市販の耐熱テープや接着剤などが挙げられる。ただし、プリフォーム素片23を形成するポリマー材料との親和性を考慮して選択すると、界面での優れた接着性を得ることができるので好ましい。この他にも、固定部材を用いる代わりに、プリフォーム素片23の一端部を加熱融着させてもよい。加熱装置としては、固定端部を直接加熱して融着することができるものであればよく、例えば、ホットプレートや電熱ヒータなどが用いられる。
【0028】
図3(C)に示すように、プリフォーム素片23は、例えば3×3のマトリックスに並べられ、プリフォーム25が形成される。各プリフォーム素片23同士の接合は、例えば加熱により行われる。加熱は加熱延伸前に行ってもよく、または加熱延伸時の熱融着で行ってもよい。事前に接合する場合には、芯部20及び外殻部21の固定と同時に行ってもよい。また、加熱延伸時に熱融着させる場合には、クランプなどでプリフォーム素片23を保持しておく。なお、プリフォーム素片23の配置例は、3×3に限られず、N×MやN×N(Nは2以上の整数、Mは3以上の整数)であってもよい。
【0029】
なお、本実施形態では径の中心から外側に向かうにしたがい次第に屈折率が低くなるGI型を示したが、屈折率分布が径の中心から外側に向かって次第に低下する形態であればよく、特に限定されるものではない。GI型のほかにも、例えば、径の中心から外側に向かうにしたがい段階的に屈折率が低下するSI型や、GI型とSI型のほぼ中間の特性を示すMSI型なども用いることができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、1個の外殻部21に1個の芯部20を有する単芯型のプリフォーム素片23を形成したが、これに代えて、図4に示すように、1個の外殻部34に複数個の芯部20を有する多芯型のプリフォーム素片35を形成してもよい。以下の各実施形態において、上記実施形態と同一構成部材には同一符号を付して重複した説明を省略している。本実施形態の場合には、1個の外殻部34に3個の嵌合孔34aを並べて設けて、横断面を矩形状に形成する。この外殻部34の各嵌合孔34aに芯部20を嵌合して、図4(B)に示すようなプリフォーム素片35を構成する。次に、図4(C)に示すように、このプリフォーム素片35を3個重ねることで、3×3のマトリックス状に芯部20が配置されたプリフォーム36を構成する。このプリフォーム36を加熱延伸することにより、図1に示す光伝送体27と同様な光伝送体が得られる。
【0031】
また、図5に示すように、プリフォーム素片23を組み合わせてプリフォーム37を構成する際に、間隔調整材38を外殻部21の間に配置し、各芯部20の間隔を調節してもよい。間隔調整材38は、外殻部21と同じ材質のものが好ましく用いられる。このようなプリフォーム37を加熱延伸することにより、各芯部20の間隔を任意に変更可能な光伝送体39が得られる。
【0032】
図6は他の実施形態におけるプリフォーム40を示す断面図である。このプリフォーム40では、(A)に示すように、円筒状のパイプを外殻部41とし、内側に芯部42を設けて、プリフォーム素片43を形成する。プリフォーム素片43としては、図1に示す芯部20そのものを用いてもよく、または、外殻部41内に芯部42を嵌合させて形成してもよい。組み立て工程では、これらプリフォーム素片43を2×4のマトリックスに並べ、各プリフォーム素片43同士を接着し、プリフォーム40を構成する。プリフォーム素片43の接着は、接着剤を用いる他に、加熱による溶着等で行ってもよい。このプリフォーム40を加熱延伸工程で加熱延伸することにより、プリフォーム40と略相似形の横断面形状を有する光伝送体44が得られる。
【0033】
なお、図6(B)に示すように、プリフォーム素片43を縦及び横方向で接合したプリフォーム40に代えて、図7に示すように、上下の各プリフォーム素片43を千鳥状に配列して接合したプリフォーム45としてもよい。図6に示すプリフォーム40から得られた光伝送体44では、各コアをターミナルなどに接合する際の各コアの分離性が向上し接続作業が容易になる。また、図7に示すプリフォーム45から得られた光伝送体46では、各コアを高密度で束ねることができ、光伝送体46のコンパクトが図れる。
【0034】
また、上記実施形態では、嵌合工程で芯部及び外殻部を嵌合させ、プリフォーム素片を構成したが、この他に、パイプ状の外殻部内に芯部となるポリマーを充填して例えばラジカル重合させることにより、プリフォーム素片を構成してもよい。また、芯部や外殻部は複数の素片を組み合わせて構成してもよい。
【0035】
また、図8に示すように、プリフォーム形成工程49において、プリフォーム素片23に対して第1加熱延伸工程50で加熱延伸を行い、横断面のサイズを縮小した中間プリフォーム素片51を形成し、組み立て工程16で、この中間プリフォーム素片51を組み合わせて、プリフォーム53を成形してもよい。この場合には、第2加熱延伸工程54で加熱延伸を行い、光伝送体55を得る。なお、プリフォーム素片23のサイズ縮小のための加熱延伸は1回に限られず、複数回行ってよい。
【0036】
また、図10に示すように、複数個の芯部70と外殻部71とを組み合わせてプリフォーム72を構成してもよい。この場合には、芯部70をPMMA製の角棒から構成し、クラッド用外殻部71をPVDF製の角棒から構成する。そして、芯部70の側面を覆うように、4個の外殻部71を配置して、プリフォーム72を構成する。また、図11に示すように、外殻部71の側面を覆うようにPMMA製の角棒73を配置してプリフォーム75を構成してもよい。この場合には、角棒73からなる外殻部が保護層の機能を有する。
【0037】
以下に、本発明に係わる実施形態での製造条件の詳細を説明する。本発明において、複数本のプリフォーム素片を用いてプリフォームを製造する場合、プリフォーム素片の数は特に限定されるものではないが、2本以上100本以下であることが好ましく、より好ましくは2本以上50本以下であり、最も好ましくは2本以上10本以下である。また、その配置も特に限定されるものではなく、隣接するように配列させたり、結束させたりしてもよい。
【0038】
また、プリフォームを形成する際に使用するプリフォーム素片または中間プリフォーム素片は、それぞれが溶着もしくは接着によって接合されることにより連結して、一体化されたプリフォームが形成される。複数本のプリフォーム素片を配列または束ねる場合には、その界面に接着剤(例えば、ウレタン系化合物,エポキシ系化合物,アクリル系化合物など)を用いればよい。ただし、加熱加圧法,超音波溶着法,振動溶着法などを用いて、各界面などを接着しても良い。なお、溶着または接着は、加熱延伸の前に行う他に、加熱延伸時の熱で行ってもよい。
【0039】
また、プリフォームに対して、その外周に被覆を施しても良い。これにより、耐水性や強靭性の向上を図ることができる。なお、プリフォームは、これを構成する複数のプリフォーム素片または中間プリフォーム素片を束ねる際に、接着を行わずに整列した状態のままで、これを延伸させてもよい。この場合には、光伝送体を形成する際に行う加熱延伸工程において加熱軟化する段階で、複数のプリフォーム素片または中間プリフォーム素片の表面同士が接着し、プリフォームの横断面と略相似形の横断面形状を有する光伝送体を得ることができる。この方法は、特にプリフォームを構成するプリフォーム素片などの数が少ない場合に好適であり、接着工程が省略できるという利点がある。
【0040】
また、プリフォーム素片は、異なる形状または異なる光学特性のものを混在させて用いてもよい。プリフォーム素片の横断面の外周形状は、略円形に限定されるものでなく、略楕円形、多角形、直線と曲線とを組み合わせた形状であればよい。また、異なる光学特性のプリフォーム素片を製造する方法としては、その構成材料を変更したり、後で説明する屈折率調整剤を用いて屈折率分布を変更したり、添加物を選択することにより、所望の光学特性を発現させる方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0041】
本発明の光伝送体のうち、コア部について説明する。コア部の原料となる重合性モノマーとしては、塊状重合が容易である原料を選択するのが好ましい。光透過性が高く塊状重合しやすい原料としては例えば、以下のような(メタ)アクリル酸エステル類(フッ素不含(メタ)アクリル酸エステル(a),含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(b)),スチレン系化合物(c),ビニルエステル類(d)などを例示することができ、コア部はこれらのホモポリマー、あるいはこれらモノマーの2種以上からなる共重合体、およびホモポリマー及び/または共重合体の混合物から形成することができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル類を重合性モノマーとして含む組成を好ましく用いることができる。
【0042】
以上に挙げた重合性モノマーとしては、具体的に、(a)フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル(BzMA)、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02 ,6 ]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレートなどが挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。また、(b)含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。さらに、(c)スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。そして、(d)ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテートなどが挙げられる。勿論、これらに限定されるものではない。モノマーの単独あるいは共重合体からなるコア部のポリマーの屈折率は、クラッド部のそれに比べて同等かあるいはそれ以上になるように構成モノマーの種類,組成比を選択する。特に好ましいポリマーとしては、透明樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)が挙げられる。
【0043】
さらに、光伝送体を近赤外線用途に用いる場合は、コア部のポリマーを構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許第3332922号公報などに記載されているような重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを始めとする、C−H結合の水素原子(H)を重水素原子(D)やフッ素(F)などで置換した重合体を用いる。これにより、伝送損失が生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。なお、原料モノマーは重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に十分に低減することが望ましい。
【0044】
本発明の光伝送体のうち、クラッド部について説明する。クラッド部の素材には、コア部を伝送する光がそれらの界面で全反射するために、コア部よりも低屈折率であり、コア部との密着性に優れるものを用いることが好ましい。ただし、素材の選択によってコア部とクラッド部との界面において不整が起こりやすかったり、もしくは、製造適性上、好ましくなかったりする場合などでは、コア部とクラッド部との間に、さらに層を設けて、その整合性を向上させても良い。この場合、例えば、コア部との界面(即ち、中空管の内壁面)に、コア部のマトリックスと同一組成のポリマーからなるアウターコア層を形成すると、コア部とクラッド部との界面状態を矯正することができる。勿論、アウターコア層を形成せずに、クラッド部そのものを、コア部のマトリックスと同一組成のポリマーから形成してもよい。
【0045】
クラッド部の素材としては、タフネス及び耐湿熱性にも優れているものが好ましく用いられる。例えば、好適な素材としては、フッ素含有モノマーの単独重合体または共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーとしては、フッ化ビニリデン(PVDF)が好ましく、フッ化ビニリデンを10質量%以上含有する1種以上の重合性モノマーを重合させて得られるフッ素樹脂が好ましく用いられる。
【0046】
また、溶融押出法により重合体を成形し、クラッド部を作製する場合は、重合体の溶融粘度が適当であることが必要である。この溶融粘度については、相関する物性として分子量が用いられ特に重量平均分子量との相関がある。本発明においては、重量平均分子量が1〜100万の範囲であることが適当であり、より好ましくは5〜50万の範囲である。
【0047】
さらに、コア部への水分の侵入を防ぐことが好ましく、そのためには、吸水率が低いポリマーをクラッド部の素材(材料)として用いる。すなわち飽和吸水率(以下、吸水率と称する)が1.8%未満のポリマーを用いてクラッド部を作製するのが好ましい。より好ましくは1.5%未満のポリマー、さらに好ましくは1.0%未満のポリマーを用いてクラッド部を作製することが好ましい。また、前記アウターコア層を作製する場合にも同様の吸水率のポリマーを用いることが好ましい。吸水率(%)は、ASTM D 570試験法に従い、23℃の水中に試験片を1週間浸漬し、そのときの吸水率を測定することにより算出することができる。
【0048】
コア部及び/又はクラッド部が、重合性モノマーから重合されたポリマーから作製される場合、重合の際に重合開始剤が用いられる。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤はこれらに限定されるものではなく、更には2種類以上を併用してもよい。
【0049】
コア部形成用重合性組成物及びクラッド部形成用重合性組成物は、連鎖移動剤を含有していることが好ましい。連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。クラッド部およびコア部形成用重合性組成物がそれぞれ連鎖移動剤を含有していると、重合性モノマーからポリマーを形成する際に、重合速度および重合度を前記連鎖移動剤によってより制御することができ、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができる。例えば、得られたプリフォームを延伸により線引して光伝送体を形成する際に、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。
【0050】
連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、前記連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
【0051】
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなど)、チオフェノール類(例えば、チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオールなど)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子(D)やフッ素原子(F)で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は勿論これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
【0052】
コア部用重合性組成物には、屈折率調整剤を含有させることが好ましい。屈折率調整剤はドーパントとも称され、併用する前記重合性モノマーの屈折率と異なる化合物である。なお、必要に応じて、クラッド部重合性組成物に屈折率調整剤を含有させても良い。屈折率調整剤の濃度に分布を持たせることによって、濃度の分布に基づいて屈折率分布型のコアを容易に作製することができる。このとき、その屈折率差は0.005以上であるのが好ましい。ただし、屈折率調整剤を用いなくとも、コア部の形成に2種以上の重合性モノマーを用いて、コア部内に共重合比の分布を持たせることにより、屈折率分布構造を導入することもできるが、共重合の組成比制御などと比較して、製造の簡便さなどを鑑みると屈折率調整剤を用いることが好ましい。
【0053】
ドーパントは、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して、屈折率が高くなる性質を有する。これらは、特許第3332922号公報や特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成される重合体との比較において溶解性パラメータとの差が7(cal/cm3 )1/2 以内であると共に、屈折率の差が0.001以上であり、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して屈折率が変化する性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧などの重合条件)下において安定であるものを、いずれも用いることができる。
【0054】
上記性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧などの重合条件)下において安定であるものを、ドーパントとして用いることができる。例えば、コア部形成用重合性組成物にドーパントを含有させ、コア部を形成する工程においてラジカル重合により重合の進行方向を制御し、ドーパントの濃度に傾斜を持たせ、コア部にドーパントの濃度分布に基づく屈折率分布構造を形成する方法が挙げられる。この屈折率分布構造は、GI型やMSI型があり、これらGI型またはMSI型の光伝送体は、広い伝送帯域を有する。
【0055】
ドーパントは重合性化合物であってもよく、重合性化合物のドーパントを用いた場合は、これを共重合成分として含む共重合体が、これを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いる。なお、このような共重合体には、MMA−BzMA共重合体などが挙げられる。
【0056】
ドーパントとしては、特許第3332922号や特開平11−142657号公報に記載されているような、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ジフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)、硫化ジフェニル誘導体、ジチアン誘導体などが挙げられる。中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOおよび硫化ジフェニル誘導体、ジチアン誘導体が好ましい。なお、これらの化合物中に存在する水素原子を重水素原子に置換した化合物も広い波長域での透明性を向上させる目的で用いることができる。また、重合性化合物として、例えば、トリブロモフェニルメタクリレートなどが挙げられる。屈折率調整成分として重合性化合物を用いる場合は、マトリックスを形成する際に、重合性モノマーと重合性屈折率成分とを共重合させるので、種々の特性(特に光学特性)の制御がより困難となるが、耐熱性の面では有利となる可能性がある。
【0057】
ドーパントの濃度および分布を調整することによって、光伝送体の屈折率を所望の値に変化させることができる。その添加量は、用途および組み合わされる部材に応じて適宜選ばれる。なお、ドーパントは、複数種類添加してもよい。
【0058】
ドーパントなどの他にも、コア部やクラッド部、もしくはそれらの一部には、光伝送性能を低下させない範囲であれば、それらを構成する重合性組成物に添加剤を含有させることができる。例えば、コア部もしくはその一部に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。前記誘導放出機能化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部に光ファイバ増幅器として使用することができる。これらの添加剤も、原料モノマーに添加した後、重合することによって、コア部、クラッド部もしくはそれらの一部に含有させることができる。
【0059】
加熱延伸後のクラッド部の外周には、防水性や耐久性などを向上させる目的により、溶融樹脂の押出成形などによって被覆層を設けることが好ましい。この被覆層の材料は特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂が用いられ、特に、耐薬品性や柔軟性が良好であることなどからポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン又はα−オレフィンなどの重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペプテン、1−オクテンなどが挙げられ、これらの重合体としては、例えば、ポリエチレン、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体、ポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、ポリブテン、ポリイソプレンなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂は、得られる物性を考慮した上で、適当な組合せにてブレンドされているものを用いてもよい。なお、ポリオレフィン系樹脂の分子量および分子量分布は、特に限定されるものではないが、その重量平均分子量は、通常5000〜5000000であり、好ましくは20000〜300000である。そして、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnで示される分子量分布は、2〜80であり、好ましくは3〜40とされる。
【0060】
また、放射線硬化樹脂や熱硬化性樹脂を塗布した後に、放射線を照射したり、熱をかけたりすることにより硬化させて、被覆材としてもよい。放射線硬化樹脂としては、例えば、アクリル変性の不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂、ポリウレタンなどが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂、ジアクリルフタレート樹脂などが挙げられる。なお、前記被覆層は一層のみならず、複層であってもよい。複層とする場合には、間に抗張力繊維などを配置してもよい。
【0061】
前述の各実施形態においてコアには予め光散乱粒子を含有させてもよい。光散乱粒子としては、その大きさは特に限定されるものではないが、平均粒径が1μm以上2μm以下のものが好ましく用いられる。なお、素材も特に限定されるものではないが、シリコン粒子,シリカ粒子,ポリスチレン粒子,ジルコニアビーズ,メラミン粒子などが好ましく用いられ、特に好ましくはシリコン粒子を用いることである。コアに光散乱粒子を含有させることで、特開平10−186184号公報に開示されている光バス(シートバス)のような光インターコネクション技術用途や、また異なる光散乱粒子濃度の単位をパターン状に配置して局部的に光散乱能を変化させた導光板や拡散シートおよび反射板などの導光部材用途などに本発明の光伝送体を用いることができる。
【0062】
本発明の光伝送材料は、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置に用いられ、必要に応じて他の石英やプラスッチ製の光ファイバや光導波路などと組み合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、本発明の光伝送体は、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線や、車両・船舶などの内部配線、光伝送システムなどに用いられる。光伝送システムは、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途に用いられ、短距離用途であることが特に好ましい。この光伝送システムの具体例としては、データ通信光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや、一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LANなどがある。
【0063】
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84-C, No.3, MARCH 2001, p.339−344 「High Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインターコネクション」に記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号などの各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号などの各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号などの公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号などの各公報に記載の光信号伝達装置や光バスシステム;特開2002−23011号などに記載の光信号処理装置;特開2001−86537号などに記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号などに記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号などの各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用して、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも、本発明のプラスチック光学部材は、照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
【0064】
以下、本発明に係る光伝送体の製造方法について、実施例1〜3を挙げて説明する。なお、以下の実施例に示す材料の種類、それらの割合、処方などは、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更してよい。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例に制限されるものではない。
【実施例1】
【0065】
実施例1では、図3(A)に示すような横断面形状が10mm角の正方形で、中央部に直径が5mmの丸孔を有するPMMA製角パイプ(外殻部21に相当)を形成し、この断面円形の中空部内に、屈折率調節剤であるDPSを7重量%としてMMAモノマー溶液に加えた混合液を入れて、ラジカル重合により芯部20を形成し、プリフォーム素片23を作製した。このプリフォーム素片23を組み立て工程で3×3のマトリックスに配置して、図3(C)に示すようなプリフォーム25を得た。このプリフォーム25を加熱延伸し、図3(D)に示すような光伝送体27を製造した。この光伝送体27は、横断面において外形寸法が600μm角となり、コアの直径が100μmで3×3の9芯となった。また、この光伝送体27の伝送損失を測定したところ、850nm波長で0.03dB/cmとなり、低伝送損失を示した。
【実施例2】
【0066】
実施例2では、図8に示すような工程に従い光伝送体55を製造した。先ず、図9に示すように、内径が9mmで外径が10mmのPVDFパイプ60に、重水素化MMAモノマー溶液を加え、ラジカル重合により芯部61を作製した。また、横断面が20mm×30mmの矩形状であり、中心部に直径10mmの丸孔62aを有するPMMA棒からなる外殻部62を作製し、この丸孔62a内に芯部20を嵌めてプリフォーム素片23aを作製した。このプリフォーム素片23aを第1加熱延伸工程50で加熱延伸し、6mm×9mmの横断面が矩形状の中間プリフォーム素片51を作製した。次に、6mm×6mmのPMMA製角棒を間隔調整材63として各中間プリフォーム素片51の間に配置し、2×2の4個の芯部を有するプリフォーム53を作製した。このプリフォーム53を加熱延伸することにより、横断面が400μm×500μmの矩形状であり、コアの直径が180μmの4芯の光伝送体55aを製作した。得られた光伝送体55aは、4芯とも850nm波長で0.02dB/cmとなり、低伝送損失を示した。
【実施例3】
【0067】
実施例3では、図6に示すように、内径が9mmで外形が10mmのPVDF製丸パイプを外殻部41として、この外殻部41内に、MMAモノマー溶液の混合液を加えラジカル重合により芯部42を形成し、プリフォーム素片43を作製した。このプリフォーム素片43を2×4のマトリックスに配置してプリフォーム40を作製し、このプリフォーム40を加熱延伸して、延伸熱により各プリフォーム素片43が融着された400μm×800μmの光伝送体44を作製した。得られた光伝送体44は、8芯とも850nm波長で0.03dB/cmとなり、低伝送損失を示した。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る光伝送体の製造方法を示す工程図である。
【図2】本発明の加熱延伸工程の説明図である。
【図3】製造工程における芯部、外殻部、プリフォーム素片、プリフォーム及び光伝送体の横断面形状を示す断面図である。
【図4】他の実施形態における芯部、外殻部、プリフォーム素片、及びプリフォームの横断面形状を示す断面図である。
【図5】他の実施形態におけるプリフォームの横断面形状を示す断面図である。
【図6】他の実施形態におけるプリフォーム素片、プリフォーム及び光伝送体を示す断面図である
【図7】他の実施形態におけるプリフォーム素片、プリフォーム及び光伝送体を示す断面図である
【図8】他の実施形態における光伝送体の製造工程を示す概略図である。
【図9】実施例2のプリフォーム素片やプリフォームを示す断面図である。
【図10】他の実施形態におけるプリフォームの横断面形状を示す断面図である。
【図11】他の実施形態におけるプリフォームの横断面形状を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
11 プリフォーム形成工程
12 加熱延伸工程
20 芯部
21 外殻部
27,37,44,46,55 光伝送体
23,31,43,47 プリフォーム素片
25,32,37,40,45 プリフォーム
27,39,44,46,55 光伝送体
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック光学部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を伝播させる光伝送体としては、硬度が高く化学的に安定でありながら、伝送損失が低く、さらには、優れた透明性や成形性などの長所を有することから、石英系光伝送体が使用されている。この石英系光伝送体としては、その用途や形状の違いにより、光ファイバ素線や、光導波路、あるいはレンズや電子部品などが挙げられる。ただし、最近では、石英系光伝送体に劣らぬ優れた加工性や透明性を有し、さらには軽量化が可能であるなどの長所を有することから、プラスチック光学部材が注目されている。このプラスチック光学部材は、素材が全てポリマーであるため、石英系に比べて伝送損失がやや大きいという短所を有するが、上記の長所に加えて、良好な可撓性を示し、また石英系よりも大口径化が可能であるなどの長所も有するため、特に、伝送損失の大きさがあまり問題とならない程度の短距離用の光伝送体としての利用が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
プラスチック光学部材は、プラスチックからなり光伝送路となるコア(コア部と称するときもある)と、コアよりも低屈折率のプラスチックからなるクラッド(クラッド部と称するときもある)とを有している。なお、以下の説明では、コアを含む部材を芯部と称し、この芯部の外周に配され、芯部に対する熱ダメージや耐水性などを向上させることを目的とする部材を外殻部と称する。そして、この外殻部には、上記のクラッドや芯部を保護する保護層が含まれる。
【0004】
芯部、特にコアは、径の中心から外側に向かうにしたがい次第に屈折率が変化する屈折率分布を有するものが好ましく用いられる。そして、屈折率分布の違いにより、グレーテッドインデックス(GI)型、ステップインデックス(SI)型、マルチステップインデックス(MSI)型などに分類される。GI型プラスチック光学部材とは、径の中心から外側に向かって屈折率が連続的に低くなるものであり、SI型プラスチック光学部材は、径の中心から外側に向かって屈折率が段階的に低くなるものである。そして、MSI型プラスチック光学部材は、このGI型とSI型との中間的な屈折率分布を有するものである。
【0005】
屈折率分布の違いに関わらず、プラスチック光学部材の製造方法としては、例えば、溶融押出法によりパイプ状のクラッド部(以下、クラッドパイプと称する)を形成した後、このクラッドパイプ中にコア部を形成する方法が挙げられる。そして、GI型プラスチック光学部材の製造方法としては、例えば、重合法により光伝送体を構成するポリマーを重合させてプリフォーム(母材)を作製した後、このプリフォームを加熱炉で加熱溶融延伸する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、一般に、プラスチック光学部材は、その外径断面が円形であるものが多い。しかしながら、用途によっては、外形が円形ではなく矩形や長円などであることが望ましい場合がある。そこで、このように外形が非円形である光伝送体の製造方法としては、例えば、断面の外形が円形である光伝送体を製造後、これを加工して断面が長円のプラスチック光学部材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、プラスチック光学部材は、そのままの形状でも利用されるが、パラレル信号伝送や画像取り込み、画像出力などの用途においては、複数のプラスチック光学部材を密接に配列または円柱状、角柱状に結束させて利用する場合が多い。このような、単一の光伝送体を複数用いた集合体を形成する方法としては、複数の光伝送体を並列状態で熱圧着する方法(例えば、特許文献4参照)や、フォトレジストやエッチングを利用して光伝送体を製造する方法(特許文献5参照)、さらには、複数の中空部が並列に形成されたクラッド部に、複数のコア部を挿入して光伝送体を製造する方法(例えば、特許文献6参照)、複数個のMI型プラスチック光学部材をその最外層において融着一体化して製造する方法(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開昭61−130904号公報
【特許文献2】特許第3332922号公報
【特許文献3】特願2004−019968号公報
【特許文献4】特開平6−317716号公報
【特許文献5】特開2001−166165号公報
【特許文献6】特開2005−003899号公報
【特許文献7】特開平11−52147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記に挙げた各特許文献のうち、特許文献6は、石英系光伝送体の製造方法であり、プラスチック光学部材に関する記載ではない。また、上記いずれの方法においても、光伝送体を製造する際に、加工のために特別な装置を必要とし、設備コストの増大を招くなどの問題がある。しかも、各種の光伝送体に対応させて加工装置を用いると、製造時間が長くなるとともに、製造コストが上昇してしまう。くわえて、特許文献3のように、所望の断面を有する光伝送体を形成する場合には、微細な加工を必要とするため、その精度を確保することが困難であるとともに、製造効率が低下してしまうという問題を有する。また、上記いずれの方法も、複数の光伝送体を高密度で集積することには手間がかかり、大量生産するには向いていないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、光伝送路となる複数のコアを二次元方向に配置したプラスチック光学部材を精度良く且つ低コストで量産可能な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプラスチック光学部材の製造方法は、光伝送部となる芯部と、この芯部の外周に配置される外殻部とからなる光学部材プリフォームを長手方向に延伸してプラスチック光学部材を製造する方法において、前記芯部を前記長手方向に直交する方向に複数配置して前記光学部材プリフォームを形成する光学部材プリフォーム形成工程と、前記光学部材プリフォームを加熱延伸し前記光学部材プリフォームの横断面形状と略相似形の横断面形状を有する前記プラスチック光学部材を得る加熱延伸工程を有することを特徴とする。なお、前記芯部が規則的に配置されていることが好ましい。また、前記芯部の外周に光伝送部より屈折率が低いクラッドを有するか、前記外殻部の芯部と接する面に、光伝送部より屈折率が低いクラッドを有することが好ましい。
【0010】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、複数の前記光学部材プリフォームを束ねてプリフォーム集合体を構成し、前記加熱延伸工程では、前記プリフォーム集合体を延伸することが好ましい。または、前記光学部材プリフォーム形成工程では、前記芯部からなるプリフォーム素片及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成することが好ましい。
【0011】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、複数の前記光学部材プリフォームを束ねてプリフォーム集合体を構成し、前記加熱延伸工程では、前記プリフォーム集合体を延伸することが好ましい。また、前記外殻部はその側面で連結されていることが好ましい。
【0012】
前記芯部は複数種類のものから構成されていることが好ましい。また、前記外殻部が複数種類の材料もしくは形状から構成されていることが好ましい。また、前記芯部の横断面中心から外側に向って屈折率が徐々に低下する屈折率分布を有することが好ましい。さらに、前記コア部の横断面形状が円形であり、前記クラッド部の横断面形状が多角形、特に正方形、長方形、または正6角形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプラスチック光学部材の製造方法によれば、芯部を長手方向に直交する方向に複数配置して光学部材プリフォームを形成し、この光学部材プリフォームを加熱延伸し前記光学部材プリフォームの横断面形状と略相似形の横断面形状を有するプラスチック光学部材を作成するようにしたから、複数の芯部を有するプラスチック光学部材を簡単にしかも特別な製造装置を用いることなく、精度よく製造することができる。また、延伸倍率を変えることにより、または複数回に分けて加熱延伸することにより、高密度の多芯プラスチック光学部材を簡単に製造することができる。
【0014】
芯部の外周に光伝送部より屈折率が低いクラッドを有するか、前記外殻部の芯部と接する面に、光伝送部より屈折率が低いクラッドを有することにより、光がそれらの界面で全反射し、芯部で光伝送される。
【0015】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、前記芯部及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成したり、前記芯部からなるプリフォーム素片及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成したりすることにより、多種多様な横断面形状を有するプラスチック光学部材を簡単に製造することができる。さらに、前記光学部材プリフォーム形成工程では、複数の前記光学部材プリフォームを束ねてプリフォーム集合体を構成し、前記加熱延伸工程では、前記プリフォーム集合体を延伸することにより、延伸倍率が上がって、より精緻な横断面形状を有するプラスチック光学部材が得られるようになる。
【0016】
また、芯部を複数種類のものから構成したり、外殻部を複数種類の材料もしくは形状から構成したりすることにより、より一層多種多様な形態のプラスチック光学部材が得られるようになる。芯部の横断面中心から外側に向って屈折率が徐々に低下する屈折率分布を有することにより、伝送特性に優れた光伝送体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。実施の形態については、本発明の好適な適用例を記載しているものであり、本発明を何ら制限するものではない。
【0018】
図1に示すように、本発明のプラスチック光学部材の製造方法は、大きく分けてプリフォーム形成工程11と加熱延伸工程12とからなる。プリフォーム形成工程11は、芯部形成工程13、外殻部形成工程14、嵌合工程15、組み立て工程16を有する。
【0019】
まず、芯部形成工程13において芯部20を形成する。また、外殻部形成工程14において外殻部21を形成する。次に、嵌合工程15において、芯部20と外殻部21とを嵌合させてプリフォーム素片23を得る。次に、組み立て工程16において、複数のプリフォーム素片23を組み合わせて束ね、プリフォーム25を形成する。
【0020】
加熱延伸工程12では、図2に示すようにプリフォーム25を加熱炉30内に配置する。そして、この加熱炉30により、プリフォーム25を加熱してプリフォーム25の一部を軟化させた後、この軟化箇所の先端部25aを始点として長手方向に線引き(延伸)を行い、光伝送体27を得る。ここで長手方向とは芯部及び外殻部の横断面が同一もしくは相似となる面に対して垂直な方向、つまり軸方向となる。この軟化温度は、特に限定されるものではないが、80〜500℃の温度であることが好ましく、より好ましくは180〜240℃であり、最も好ましくは190〜220℃である。線径モニタ32は光伝送体27の外径をモニタリングする。このモニタリング結果に応じて加熱炉30内のプリフォーム25の位置や加熱炉30の温度、巻取装置33の巻取速度などを適宜調整して、光伝送体27の外径が常に一定になるようにする。巻取装置33は、線引きした光伝送体27を芯材33aに巻き取る。以上により、ロール状に巻き取り収納された光伝送体27が得られる。
【0021】
なお、本発明での加熱延伸での軟化とは、非円形のプリフォーム25を加熱延伸したときに、略相似形の断面が得られる状態をいい、本発明での加熱延伸での溶融とは、非円形のプリフォームを加熱延伸したときに、略相似形が保持されず略円形などの断面になる状態をいう。プリフォームが軟化する温度は、ポリマーの温度特性に依存し、一概には規定することはできないため、ポリマー毎に加熱延伸時の軟化する温度を実験などにより求めておき、この求めた温度範囲で加熱延伸を行う。
【0022】
これにより、プリフォーム25の横断面と略相似形の光伝送体27が得られる。得られた光伝送体27に対しては、その外周面を保護するために樹脂を被覆して保護膜を形成させても良い。この被覆による保護膜は、放射線硬化樹脂の塗布後に放射線を照射して形成してもよいし、熱可塑性樹脂の押出成形により形成してもよい。なお、保護膜を形成させる場合には、光伝送体の製造工程とは別ラインとして行っても良いし、加熱延伸工程の後に行うなどして光伝送体の製造工程中に組み込んでもよい。
【0023】
図3(A)に示すように、芯部20は、コア20aとクラッド20bとを有する。コア20aは、光の伝送路となる部材であり、クラッド20bは、コア20aよりも低屈折率であり、コア20aとの界面で光を全反射させる中空状の部材である。また、本実施形態では、コア20aは、径の中心から外側に向かうにしたがい次第に屈折率が低くなるように屈折率分布が調整されている。このような屈折率分布を有する芯部20は、GI型プラスチック光ファイバ素線(POF)用プリフォームと同様に構成される。
【0024】
コア20aやクラッド20bの製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、PVDFを用いて溶融押出成形により形成したクラッドパイプの中に、コア20aを形成させるPMMAを注入後、ラジカル重合させる方法が挙げられ、本実施形態ではこの方法を適用している。その他にも、共押出することができる複合型ノズルを備えた溶融押出装置を用いてコア20aの外周にクラッド20bが設けられた芯部20を形成してもよい。なお、コア20aを形成させるポリマーの中に屈折率調整剤を添加し、その分散具合や濃度を調整すると、所望の屈折率分布を発現させることができる。具体的には、特許3332922号公報に記載されているラジカル重合による製造方法や、特願2004−354786号に記載されている溶融押出方法などが挙げられ、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0025】
図3(A)に示すように、外殻部21は嵌合孔21aを有する部材である。外殻部21の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、外殻部21を形成する材料(例えば、PMMAやPVDFなど)を用いた溶融押出成形法が挙げられる。なお、本実施形態では、PMMAを用いて溶融押出により成形している。嵌合孔21aの横断面形状は、芯部20の断面形状と略一致していればよい。したがって、芯部20の横断面形状が円形以外の、楕円形、長方形などの多角形又は直線と曲線,円弧,楕円とが組み合わされた形状などから構成される場合には、これと略一致した形状とされる。なお、クラッド20bをコア20aの外周に形成する代わりに、外殻部21の嵌合孔21aに形成してもよい。
【0026】
そして、芯部20を嵌合孔21aに挿入して嵌合させ、図3(B)に示すようなプリフォーム素片23を形成する。このとき、芯部20および嵌合孔21aのサイズは、嵌合時に空隙24が形成されるようにそれぞれ調整されている。本発明では、この空隙24のクリアランスX(mm)が0<X≦8を満たすようにする。これにより、芯部20と外殻部21とを容易に嵌合させることができる。ただし、8<Xの場合には、クリアランスが大きすぎるので、光伝送体とした場合、芯部と嵌合部との整合性が低下してしまうおそれがある。
【0027】
次に、プリフォーム素片23の端部のうち、どちらか一方の端部を固定する。この固定した端部は、加熱延伸時において延伸側の端部となる。これにより、外殻部21から芯部20が落下したり、嵌合位置がずれたりすることなく、プリフォーム素片23を加熱炉30内で延伸することができる。端部の固定は、嵌合孔21aの一端部に設けた固定部材により行う。固定部材としては、市販の耐熱テープや接着剤などが挙げられる。ただし、プリフォーム素片23を形成するポリマー材料との親和性を考慮して選択すると、界面での優れた接着性を得ることができるので好ましい。この他にも、固定部材を用いる代わりに、プリフォーム素片23の一端部を加熱融着させてもよい。加熱装置としては、固定端部を直接加熱して融着することができるものであればよく、例えば、ホットプレートや電熱ヒータなどが用いられる。
【0028】
図3(C)に示すように、プリフォーム素片23は、例えば3×3のマトリックスに並べられ、プリフォーム25が形成される。各プリフォーム素片23同士の接合は、例えば加熱により行われる。加熱は加熱延伸前に行ってもよく、または加熱延伸時の熱融着で行ってもよい。事前に接合する場合には、芯部20及び外殻部21の固定と同時に行ってもよい。また、加熱延伸時に熱融着させる場合には、クランプなどでプリフォーム素片23を保持しておく。なお、プリフォーム素片23の配置例は、3×3に限られず、N×MやN×N(Nは2以上の整数、Mは3以上の整数)であってもよい。
【0029】
なお、本実施形態では径の中心から外側に向かうにしたがい次第に屈折率が低くなるGI型を示したが、屈折率分布が径の中心から外側に向かって次第に低下する形態であればよく、特に限定されるものではない。GI型のほかにも、例えば、径の中心から外側に向かうにしたがい段階的に屈折率が低下するSI型や、GI型とSI型のほぼ中間の特性を示すMSI型なども用いることができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、1個の外殻部21に1個の芯部20を有する単芯型のプリフォーム素片23を形成したが、これに代えて、図4に示すように、1個の外殻部34に複数個の芯部20を有する多芯型のプリフォーム素片35を形成してもよい。以下の各実施形態において、上記実施形態と同一構成部材には同一符号を付して重複した説明を省略している。本実施形態の場合には、1個の外殻部34に3個の嵌合孔34aを並べて設けて、横断面を矩形状に形成する。この外殻部34の各嵌合孔34aに芯部20を嵌合して、図4(B)に示すようなプリフォーム素片35を構成する。次に、図4(C)に示すように、このプリフォーム素片35を3個重ねることで、3×3のマトリックス状に芯部20が配置されたプリフォーム36を構成する。このプリフォーム36を加熱延伸することにより、図1に示す光伝送体27と同様な光伝送体が得られる。
【0031】
また、図5に示すように、プリフォーム素片23を組み合わせてプリフォーム37を構成する際に、間隔調整材38を外殻部21の間に配置し、各芯部20の間隔を調節してもよい。間隔調整材38は、外殻部21と同じ材質のものが好ましく用いられる。このようなプリフォーム37を加熱延伸することにより、各芯部20の間隔を任意に変更可能な光伝送体39が得られる。
【0032】
図6は他の実施形態におけるプリフォーム40を示す断面図である。このプリフォーム40では、(A)に示すように、円筒状のパイプを外殻部41とし、内側に芯部42を設けて、プリフォーム素片43を形成する。プリフォーム素片43としては、図1に示す芯部20そのものを用いてもよく、または、外殻部41内に芯部42を嵌合させて形成してもよい。組み立て工程では、これらプリフォーム素片43を2×4のマトリックスに並べ、各プリフォーム素片43同士を接着し、プリフォーム40を構成する。プリフォーム素片43の接着は、接着剤を用いる他に、加熱による溶着等で行ってもよい。このプリフォーム40を加熱延伸工程で加熱延伸することにより、プリフォーム40と略相似形の横断面形状を有する光伝送体44が得られる。
【0033】
なお、図6(B)に示すように、プリフォーム素片43を縦及び横方向で接合したプリフォーム40に代えて、図7に示すように、上下の各プリフォーム素片43を千鳥状に配列して接合したプリフォーム45としてもよい。図6に示すプリフォーム40から得られた光伝送体44では、各コアをターミナルなどに接合する際の各コアの分離性が向上し接続作業が容易になる。また、図7に示すプリフォーム45から得られた光伝送体46では、各コアを高密度で束ねることができ、光伝送体46のコンパクトが図れる。
【0034】
また、上記実施形態では、嵌合工程で芯部及び外殻部を嵌合させ、プリフォーム素片を構成したが、この他に、パイプ状の外殻部内に芯部となるポリマーを充填して例えばラジカル重合させることにより、プリフォーム素片を構成してもよい。また、芯部や外殻部は複数の素片を組み合わせて構成してもよい。
【0035】
また、図8に示すように、プリフォーム形成工程49において、プリフォーム素片23に対して第1加熱延伸工程50で加熱延伸を行い、横断面のサイズを縮小した中間プリフォーム素片51を形成し、組み立て工程16で、この中間プリフォーム素片51を組み合わせて、プリフォーム53を成形してもよい。この場合には、第2加熱延伸工程54で加熱延伸を行い、光伝送体55を得る。なお、プリフォーム素片23のサイズ縮小のための加熱延伸は1回に限られず、複数回行ってよい。
【0036】
また、図10に示すように、複数個の芯部70と外殻部71とを組み合わせてプリフォーム72を構成してもよい。この場合には、芯部70をPMMA製の角棒から構成し、クラッド用外殻部71をPVDF製の角棒から構成する。そして、芯部70の側面を覆うように、4個の外殻部71を配置して、プリフォーム72を構成する。また、図11に示すように、外殻部71の側面を覆うようにPMMA製の角棒73を配置してプリフォーム75を構成してもよい。この場合には、角棒73からなる外殻部が保護層の機能を有する。
【0037】
以下に、本発明に係わる実施形態での製造条件の詳細を説明する。本発明において、複数本のプリフォーム素片を用いてプリフォームを製造する場合、プリフォーム素片の数は特に限定されるものではないが、2本以上100本以下であることが好ましく、より好ましくは2本以上50本以下であり、最も好ましくは2本以上10本以下である。また、その配置も特に限定されるものではなく、隣接するように配列させたり、結束させたりしてもよい。
【0038】
また、プリフォームを形成する際に使用するプリフォーム素片または中間プリフォーム素片は、それぞれが溶着もしくは接着によって接合されることにより連結して、一体化されたプリフォームが形成される。複数本のプリフォーム素片を配列または束ねる場合には、その界面に接着剤(例えば、ウレタン系化合物,エポキシ系化合物,アクリル系化合物など)を用いればよい。ただし、加熱加圧法,超音波溶着法,振動溶着法などを用いて、各界面などを接着しても良い。なお、溶着または接着は、加熱延伸の前に行う他に、加熱延伸時の熱で行ってもよい。
【0039】
また、プリフォームに対して、その外周に被覆を施しても良い。これにより、耐水性や強靭性の向上を図ることができる。なお、プリフォームは、これを構成する複数のプリフォーム素片または中間プリフォーム素片を束ねる際に、接着を行わずに整列した状態のままで、これを延伸させてもよい。この場合には、光伝送体を形成する際に行う加熱延伸工程において加熱軟化する段階で、複数のプリフォーム素片または中間プリフォーム素片の表面同士が接着し、プリフォームの横断面と略相似形の横断面形状を有する光伝送体を得ることができる。この方法は、特にプリフォームを構成するプリフォーム素片などの数が少ない場合に好適であり、接着工程が省略できるという利点がある。
【0040】
また、プリフォーム素片は、異なる形状または異なる光学特性のものを混在させて用いてもよい。プリフォーム素片の横断面の外周形状は、略円形に限定されるものでなく、略楕円形、多角形、直線と曲線とを組み合わせた形状であればよい。また、異なる光学特性のプリフォーム素片を製造する方法としては、その構成材料を変更したり、後で説明する屈折率調整剤を用いて屈折率分布を変更したり、添加物を選択することにより、所望の光学特性を発現させる方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0041】
本発明の光伝送体のうち、コア部について説明する。コア部の原料となる重合性モノマーとしては、塊状重合が容易である原料を選択するのが好ましい。光透過性が高く塊状重合しやすい原料としては例えば、以下のような(メタ)アクリル酸エステル類(フッ素不含(メタ)アクリル酸エステル(a),含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(b)),スチレン系化合物(c),ビニルエステル類(d)などを例示することができ、コア部はこれらのホモポリマー、あるいはこれらモノマーの2種以上からなる共重合体、およびホモポリマー及び/または共重合体の混合物から形成することができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル類を重合性モノマーとして含む組成を好ましく用いることができる。
【0042】
以上に挙げた重合性モノマーとしては、具体的に、(a)フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル(BzMA)、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02 ,6 ]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレートなどが挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。また、(b)含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。さらに、(c)スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。そして、(d)ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテートなどが挙げられる。勿論、これらに限定されるものではない。モノマーの単独あるいは共重合体からなるコア部のポリマーの屈折率は、クラッド部のそれに比べて同等かあるいはそれ以上になるように構成モノマーの種類,組成比を選択する。特に好ましいポリマーとしては、透明樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)が挙げられる。
【0043】
さらに、光伝送体を近赤外線用途に用いる場合は、コア部のポリマーを構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許第3332922号公報などに記載されているような重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを始めとする、C−H結合の水素原子(H)を重水素原子(D)やフッ素(F)などで置換した重合体を用いる。これにより、伝送損失が生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。なお、原料モノマーは重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に十分に低減することが望ましい。
【0044】
本発明の光伝送体のうち、クラッド部について説明する。クラッド部の素材には、コア部を伝送する光がそれらの界面で全反射するために、コア部よりも低屈折率であり、コア部との密着性に優れるものを用いることが好ましい。ただし、素材の選択によってコア部とクラッド部との界面において不整が起こりやすかったり、もしくは、製造適性上、好ましくなかったりする場合などでは、コア部とクラッド部との間に、さらに層を設けて、その整合性を向上させても良い。この場合、例えば、コア部との界面(即ち、中空管の内壁面)に、コア部のマトリックスと同一組成のポリマーからなるアウターコア層を形成すると、コア部とクラッド部との界面状態を矯正することができる。勿論、アウターコア層を形成せずに、クラッド部そのものを、コア部のマトリックスと同一組成のポリマーから形成してもよい。
【0045】
クラッド部の素材としては、タフネス及び耐湿熱性にも優れているものが好ましく用いられる。例えば、好適な素材としては、フッ素含有モノマーの単独重合体または共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーとしては、フッ化ビニリデン(PVDF)が好ましく、フッ化ビニリデンを10質量%以上含有する1種以上の重合性モノマーを重合させて得られるフッ素樹脂が好ましく用いられる。
【0046】
また、溶融押出法により重合体を成形し、クラッド部を作製する場合は、重合体の溶融粘度が適当であることが必要である。この溶融粘度については、相関する物性として分子量が用いられ特に重量平均分子量との相関がある。本発明においては、重量平均分子量が1〜100万の範囲であることが適当であり、より好ましくは5〜50万の範囲である。
【0047】
さらに、コア部への水分の侵入を防ぐことが好ましく、そのためには、吸水率が低いポリマーをクラッド部の素材(材料)として用いる。すなわち飽和吸水率(以下、吸水率と称する)が1.8%未満のポリマーを用いてクラッド部を作製するのが好ましい。より好ましくは1.5%未満のポリマー、さらに好ましくは1.0%未満のポリマーを用いてクラッド部を作製することが好ましい。また、前記アウターコア層を作製する場合にも同様の吸水率のポリマーを用いることが好ましい。吸水率(%)は、ASTM D 570試験法に従い、23℃の水中に試験片を1週間浸漬し、そのときの吸水率を測定することにより算出することができる。
【0048】
コア部及び/又はクラッド部が、重合性モノマーから重合されたポリマーから作製される場合、重合の際に重合開始剤が用いられる。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤はこれらに限定されるものではなく、更には2種類以上を併用してもよい。
【0049】
コア部形成用重合性組成物及びクラッド部形成用重合性組成物は、連鎖移動剤を含有していることが好ましい。連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。クラッド部およびコア部形成用重合性組成物がそれぞれ連鎖移動剤を含有していると、重合性モノマーからポリマーを形成する際に、重合速度および重合度を前記連鎖移動剤によってより制御することができ、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができる。例えば、得られたプリフォームを延伸により線引して光伝送体を形成する際に、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。
【0050】
連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、前記連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
【0051】
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなど)、チオフェノール類(例えば、チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオールなど)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子(D)やフッ素原子(F)で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は勿論これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
【0052】
コア部用重合性組成物には、屈折率調整剤を含有させることが好ましい。屈折率調整剤はドーパントとも称され、併用する前記重合性モノマーの屈折率と異なる化合物である。なお、必要に応じて、クラッド部重合性組成物に屈折率調整剤を含有させても良い。屈折率調整剤の濃度に分布を持たせることによって、濃度の分布に基づいて屈折率分布型のコアを容易に作製することができる。このとき、その屈折率差は0.005以上であるのが好ましい。ただし、屈折率調整剤を用いなくとも、コア部の形成に2種以上の重合性モノマーを用いて、コア部内に共重合比の分布を持たせることにより、屈折率分布構造を導入することもできるが、共重合の組成比制御などと比較して、製造の簡便さなどを鑑みると屈折率調整剤を用いることが好ましい。
【0053】
ドーパントは、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して、屈折率が高くなる性質を有する。これらは、特許第3332922号公報や特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成される重合体との比較において溶解性パラメータとの差が7(cal/cm3 )1/2 以内であると共に、屈折率の差が0.001以上であり、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して屈折率が変化する性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧などの重合条件)下において安定であるものを、いずれも用いることができる。
【0054】
上記性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧などの重合条件)下において安定であるものを、ドーパントとして用いることができる。例えば、コア部形成用重合性組成物にドーパントを含有させ、コア部を形成する工程においてラジカル重合により重合の進行方向を制御し、ドーパントの濃度に傾斜を持たせ、コア部にドーパントの濃度分布に基づく屈折率分布構造を形成する方法が挙げられる。この屈折率分布構造は、GI型やMSI型があり、これらGI型またはMSI型の光伝送体は、広い伝送帯域を有する。
【0055】
ドーパントは重合性化合物であってもよく、重合性化合物のドーパントを用いた場合は、これを共重合成分として含む共重合体が、これを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いる。なお、このような共重合体には、MMA−BzMA共重合体などが挙げられる。
【0056】
ドーパントとしては、特許第3332922号や特開平11−142657号公報に記載されているような、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ジフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)、硫化ジフェニル誘導体、ジチアン誘導体などが挙げられる。中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOおよび硫化ジフェニル誘導体、ジチアン誘導体が好ましい。なお、これらの化合物中に存在する水素原子を重水素原子に置換した化合物も広い波長域での透明性を向上させる目的で用いることができる。また、重合性化合物として、例えば、トリブロモフェニルメタクリレートなどが挙げられる。屈折率調整成分として重合性化合物を用いる場合は、マトリックスを形成する際に、重合性モノマーと重合性屈折率成分とを共重合させるので、種々の特性(特に光学特性)の制御がより困難となるが、耐熱性の面では有利となる可能性がある。
【0057】
ドーパントの濃度および分布を調整することによって、光伝送体の屈折率を所望の値に変化させることができる。その添加量は、用途および組み合わされる部材に応じて適宜選ばれる。なお、ドーパントは、複数種類添加してもよい。
【0058】
ドーパントなどの他にも、コア部やクラッド部、もしくはそれらの一部には、光伝送性能を低下させない範囲であれば、それらを構成する重合性組成物に添加剤を含有させることができる。例えば、コア部もしくはその一部に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。前記誘導放出機能化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部に光ファイバ増幅器として使用することができる。これらの添加剤も、原料モノマーに添加した後、重合することによって、コア部、クラッド部もしくはそれらの一部に含有させることができる。
【0059】
加熱延伸後のクラッド部の外周には、防水性や耐久性などを向上させる目的により、溶融樹脂の押出成形などによって被覆層を設けることが好ましい。この被覆層の材料は特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂が用いられ、特に、耐薬品性や柔軟性が良好であることなどからポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン又はα−オレフィンなどの重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペプテン、1−オクテンなどが挙げられ、これらの重合体としては、例えば、ポリエチレン、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体、ポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、ポリブテン、ポリイソプレンなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂は、得られる物性を考慮した上で、適当な組合せにてブレンドされているものを用いてもよい。なお、ポリオレフィン系樹脂の分子量および分子量分布は、特に限定されるものではないが、その重量平均分子量は、通常5000〜5000000であり、好ましくは20000〜300000である。そして、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnで示される分子量分布は、2〜80であり、好ましくは3〜40とされる。
【0060】
また、放射線硬化樹脂や熱硬化性樹脂を塗布した後に、放射線を照射したり、熱をかけたりすることにより硬化させて、被覆材としてもよい。放射線硬化樹脂としては、例えば、アクリル変性の不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂、ポリウレタンなどが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂、ジアクリルフタレート樹脂などが挙げられる。なお、前記被覆層は一層のみならず、複層であってもよい。複層とする場合には、間に抗張力繊維などを配置してもよい。
【0061】
前述の各実施形態においてコアには予め光散乱粒子を含有させてもよい。光散乱粒子としては、その大きさは特に限定されるものではないが、平均粒径が1μm以上2μm以下のものが好ましく用いられる。なお、素材も特に限定されるものではないが、シリコン粒子,シリカ粒子,ポリスチレン粒子,ジルコニアビーズ,メラミン粒子などが好ましく用いられ、特に好ましくはシリコン粒子を用いることである。コアに光散乱粒子を含有させることで、特開平10−186184号公報に開示されている光バス(シートバス)のような光インターコネクション技術用途や、また異なる光散乱粒子濃度の単位をパターン状に配置して局部的に光散乱能を変化させた導光板や拡散シートおよび反射板などの導光部材用途などに本発明の光伝送体を用いることができる。
【0062】
本発明の光伝送材料は、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置に用いられ、必要に応じて他の石英やプラスッチ製の光ファイバや光導波路などと組み合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、本発明の光伝送体は、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線や、車両・船舶などの内部配線、光伝送システムなどに用いられる。光伝送システムは、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途に用いられ、短距離用途であることが特に好ましい。この光伝送システムの具体例としては、データ通信光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや、一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LANなどがある。
【0063】
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84-C, No.3, MARCH 2001, p.339−344 「High Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインターコネクション」に記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号などの各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号などの各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号などの公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号などの各公報に記載の光信号伝達装置や光バスシステム;特開2002−23011号などに記載の光信号処理装置;特開2001−86537号などに記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号などに記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号などの各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用して、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも、本発明のプラスチック光学部材は、照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
【0064】
以下、本発明に係る光伝送体の製造方法について、実施例1〜3を挙げて説明する。なお、以下の実施例に示す材料の種類、それらの割合、処方などは、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更してよい。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例に制限されるものではない。
【実施例1】
【0065】
実施例1では、図3(A)に示すような横断面形状が10mm角の正方形で、中央部に直径が5mmの丸孔を有するPMMA製角パイプ(外殻部21に相当)を形成し、この断面円形の中空部内に、屈折率調節剤であるDPSを7重量%としてMMAモノマー溶液に加えた混合液を入れて、ラジカル重合により芯部20を形成し、プリフォーム素片23を作製した。このプリフォーム素片23を組み立て工程で3×3のマトリックスに配置して、図3(C)に示すようなプリフォーム25を得た。このプリフォーム25を加熱延伸し、図3(D)に示すような光伝送体27を製造した。この光伝送体27は、横断面において外形寸法が600μm角となり、コアの直径が100μmで3×3の9芯となった。また、この光伝送体27の伝送損失を測定したところ、850nm波長で0.03dB/cmとなり、低伝送損失を示した。
【実施例2】
【0066】
実施例2では、図8に示すような工程に従い光伝送体55を製造した。先ず、図9に示すように、内径が9mmで外径が10mmのPVDFパイプ60に、重水素化MMAモノマー溶液を加え、ラジカル重合により芯部61を作製した。また、横断面が20mm×30mmの矩形状であり、中心部に直径10mmの丸孔62aを有するPMMA棒からなる外殻部62を作製し、この丸孔62a内に芯部20を嵌めてプリフォーム素片23aを作製した。このプリフォーム素片23aを第1加熱延伸工程50で加熱延伸し、6mm×9mmの横断面が矩形状の中間プリフォーム素片51を作製した。次に、6mm×6mmのPMMA製角棒を間隔調整材63として各中間プリフォーム素片51の間に配置し、2×2の4個の芯部を有するプリフォーム53を作製した。このプリフォーム53を加熱延伸することにより、横断面が400μm×500μmの矩形状であり、コアの直径が180μmの4芯の光伝送体55aを製作した。得られた光伝送体55aは、4芯とも850nm波長で0.02dB/cmとなり、低伝送損失を示した。
【実施例3】
【0067】
実施例3では、図6に示すように、内径が9mmで外形が10mmのPVDF製丸パイプを外殻部41として、この外殻部41内に、MMAモノマー溶液の混合液を加えラジカル重合により芯部42を形成し、プリフォーム素片43を作製した。このプリフォーム素片43を2×4のマトリックスに配置してプリフォーム40を作製し、このプリフォーム40を加熱延伸して、延伸熱により各プリフォーム素片43が融着された400μm×800μmの光伝送体44を作製した。得られた光伝送体44は、8芯とも850nm波長で0.03dB/cmとなり、低伝送損失を示した。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る光伝送体の製造方法を示す工程図である。
【図2】本発明の加熱延伸工程の説明図である。
【図3】製造工程における芯部、外殻部、プリフォーム素片、プリフォーム及び光伝送体の横断面形状を示す断面図である。
【図4】他の実施形態における芯部、外殻部、プリフォーム素片、及びプリフォームの横断面形状を示す断面図である。
【図5】他の実施形態におけるプリフォームの横断面形状を示す断面図である。
【図6】他の実施形態におけるプリフォーム素片、プリフォーム及び光伝送体を示す断面図である
【図7】他の実施形態におけるプリフォーム素片、プリフォーム及び光伝送体を示す断面図である
【図8】他の実施形態における光伝送体の製造工程を示す概略図である。
【図9】実施例2のプリフォーム素片やプリフォームを示す断面図である。
【図10】他の実施形態におけるプリフォームの横断面形状を示す断面図である。
【図11】他の実施形態におけるプリフォームの横断面形状を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
11 プリフォーム形成工程
12 加熱延伸工程
20 芯部
21 外殻部
27,37,44,46,55 光伝送体
23,31,43,47 プリフォーム素片
25,32,37,40,45 プリフォーム
27,39,44,46,55 光伝送体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送部となる芯部と、この芯部の外周に配置される外殻部とからなる光学部材プリフォームを長手方向に延伸してプラスチック光学部材を製造する方法において、
前記芯部を前記長手方向に直交する方向に複数配置して前記光学部材プリフォームを形成する光学部材プリフォーム形成工程と、
前記光学部材プリフォームを加熱延伸し前記光学部材プリフォームの横断面形状と略相似形の横断面形状を有する前記プラスチック光学部材を得る加熱延伸工程を有することを特徴とするプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項2】
前記芯部が規則的に配置されていることを特徴とする請求項1記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項3】
前記芯部の外周に光伝送部より屈折率が低いクラッドを有することを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項4】
前記外殻部の芯部と接する面に、光伝送部より屈折率が低いクラッドを有することを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項5】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、前記芯部及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項6】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、前記芯部からなるプリフォーム素片及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項7】
前記加熱延伸工程では、複数の前記光学部材プリフォームを束ねてプリフォーム集合体を構成し、このプリフォーム集合体を延伸することを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項8】
前記芯部は複数種類のものから構成されていることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項9】
前記外殻部が複数種類の材料もしくは形状から構成されていることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項10】
前記芯部の横断面中心から外側に向って屈折率が徐々に低下する屈折率分布を有することを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項1】
光伝送部となる芯部と、この芯部の外周に配置される外殻部とからなる光学部材プリフォームを長手方向に延伸してプラスチック光学部材を製造する方法において、
前記芯部を前記長手方向に直交する方向に複数配置して前記光学部材プリフォームを形成する光学部材プリフォーム形成工程と、
前記光学部材プリフォームを加熱延伸し前記光学部材プリフォームの横断面形状と略相似形の横断面形状を有する前記プラスチック光学部材を得る加熱延伸工程を有することを特徴とするプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項2】
前記芯部が規則的に配置されていることを特徴とする請求項1記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項3】
前記芯部の外周に光伝送部より屈折率が低いクラッドを有することを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項4】
前記外殻部の芯部と接する面に、光伝送部より屈折率が低いクラッドを有することを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項5】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、前記芯部及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項6】
前記光学部材プリフォーム形成工程では、前記芯部からなるプリフォーム素片及び外殻部からなるプリフォーム素片を集積して前記光学部材プリフォームを形成することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項7】
前記加熱延伸工程では、複数の前記光学部材プリフォームを束ねてプリフォーム集合体を構成し、このプリフォーム集合体を延伸することを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項8】
前記芯部は複数種類のものから構成されていることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項9】
前記外殻部が複数種類の材料もしくは形状から構成されていることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【請求項10】
前記芯部の横断面中心から外側に向って屈折率が徐々に低下する屈折率分布を有することを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載のプラスチック光学部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−121381(P2007−121381A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309567(P2005−309567)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]