説明

プラスチック燃料燃焼装置および運転方法

【課題】小型で廉価な構成によりプラスチックの乾留処理を行うことができるプラスチック燃料燃焼装置を提案すること。
【解決手段】プラスチック燃料燃焼装置1では、燃焼室3外のホッパー2と燃焼室3内のガス化室9が燃焼室3の外周壁4aを貫通して上下に延びる連通管7によって連結されている。灯油バーナー6で燃焼室3を加熱すると、燃焼室3内のガス化室9、これに連結されている連通管7およびホッパー2の下側部分も加熱される。この結果、ホッパー2の上側部分をプラスチックが固体のままの常温帯域Aとし、その下側からガス化部9までの間をプラスチックを溶融させる溶融部Bとし、その下のガス化室9をプラスチックをガス化するガス化部Cとし、この状態を維持して、ガス化室9から燃焼室3内に継続してプラスチックの乾留ガスを供給して燃焼を継続する循環燃焼状態を形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボイラーなどの熱源として用いるプラスチック燃料燃焼装置に関し、特に、効率良く廃プラスチックを燃焼できる小型でコンパクトな構成のプラスチック燃料燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては廃プラスチックを単に焼却して処分するだけでなく、焼却時の燃焼によって発生する熱を蒸気ボイラーなどの熱源として利用する試みがなされている。特許文献1には、破砕した廃棄プラスチックを溶融して気化させ、気化ガスを燃料として使用するプラスチック処理装置が記載されている。このプラスチック処理装置では、廃プラスチックを乾燥部で乾燥させた後に連結部を介して筒状の溶融部に供給して溶融し、溶融後の廃プラスチックを連結部を介して筒状の気化部に供給して気化し、気化部で生成された乾留ガスを燃料として用いるようにしている。気化部は、水平に配置した筒状のケーシングと、この中に配置したリードスクリューから構成されており、リードスクリューによってケーシング内を搬送されるプラスチックをセラミックヒータによって加熱して気化させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−126454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、廃プラスチックを燃料として用いる場合には、空気を遮断した状態で筒状の溶融部および気化部を介して廃プラスチックの乾留処理を行って乾留ガスを生成している。しかしながら、筒状の溶融部および気化部を連結して乾留処理を行う機構は装置寸法が大きくなり、製造コストも上昇する。また、溶融部および気化部にそれぞれ専用のヒーターを配置して廃プラスチックを加熱する必要があるので、これによっても、装置寸法が大型化し、製造コストも上昇する。
【0005】
本発明の課題は、プラスチックを燃料として用いるための乾留処理を小型で廉価な構成で行うことのできるプラスチック燃料燃焼装置、および、その運転方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のプラスチック燃料燃焼装置は次の構成を備えている。なお、括弧付の符号は本発明の実施の形態において対応する部位に用いた符号である。これらの符号は、理解を容易にするために付したものであるが、本発明を実施の形態の構造に限定することを意図したものではない。
【0007】
すなわち、本発明のプラスチック燃料燃焼装置(1)は、
燃料用のプラスチックが上端開口部(2d)から投入されるホッパー(2)と、
前記ホッパー(2)の下端開口部(2b)から下方に延びる連通管(7)と、
前記ホッパー(2)の前記下端開口部(2b)の開閉および開度調整を行うための流量調整機構(11)と、
前記連通管(7)の下端に連通しているガス化室(9)と、
前記ガス化室(9)から供給される前記プラスチックの乾留ガスを燃焼させるための燃焼室(3)と、
前記燃焼室(3)を前記乾留ガスの発火温度に加熱する加熱機構(6)と、
前記燃焼室(3)内に燃焼用エアーを供給する給気機構(5)とを有しており、
前記連通管(7)は、前記燃焼室(3)の外周壁(4a)を貫通した状態で、前記燃焼室(3)の内部に配置されている前記ガス化室(9)と前記燃焼室(3)の外に配置されている前記ホッパー(2)の間を連通していることを特徴としている。
【0008】
本発明のプラスチック燃料燃焼装置では、ホッパー、連通管およびガス化室が上から下に向けて配列されており、燃焼室外の上側位置に配置されているホッパーと燃焼室内に配置されているガス化室の間が、燃焼室の外壁を貫通して延びている連通管によって連通されている。燃焼室内を加熱機構、例えば灯油バーナーなどを用いて加熱すると、燃焼室内のガス化室が加熱され、これに連通している連通管、および当該連通管に連通しているホッパーの下側部分も加熱される。ホッパーにおいてはその下端開口から上端開口に向かって温度が低下して上端開口側の部分では常温状態あるいは、これに近い温度状態になる。
【0009】
よって、燃焼室内をプラスチックの乾留ガスの発火温度に加熱すれば、その中に配置されているガス化室がプラスチックの気化温度に加熱され、連通管からホッパーの下側部分までの部分がプラスチックの溶融温度に加熱される。流量調整機構によってホッパーの下端開口の開度を適切に設定すれば、ホッパー内の上側部分がほぼ常温状態に維持されて投入プラスチックが固体状態のままとなり、その下側部分から下端開口に向かうに連れてプラスチックが徐々に軟化して下端開口を介して自重により流下可能なプラスチックの溶融状態が形成される。また、下端開口から連通管を介してガス化室に流れ落ちた溶融状態のプラスチックが当該ガス化室内で気化して乾留ガスが生成するプラスチックのガス化状態が形成される。
【0010】
この結果、ホッパーとガス化室の間が、溶融状態のプラスチックで実質的に密閉された遮断状態になり、ガス化室内への空気の侵入が防止される。よって、密閉状態の溶融部、気化部などをそれぞれ独立した構造となるように配置することなく、乾留ガスの爆発を確実に回避できる。
【0011】
また、灯油バーナーなどの加熱機構によって投入したプラスチックを気化して燃焼を開始させた後においては、プラスチックを溶融するための加熱源、溶融したプラスチックを気化させるための加熱源として、燃焼室内でのプラスチックの乾留ガスの燃焼によって発生する熱を利用することができる。したがって、加熱機構は最初の燃焼開始時のみにおいて使用すればよく、この後は、プラスチックの乾留ガスを燃焼し、その燃焼によって発生した熱でプラスチックを溶融して乾留ガスを生成するという、プラスチックの自己燃焼熱による循環燃焼状態(熱リサイクル)が形成される。よって、燃焼用の熱源を配置することなく、プラスチックの乾留処理を効率良く行うことのできる小型で廉価な構成のプラスチック燃料燃焼装置を実現できる。
【0012】
ここで、前記加熱機構(6)としては、前記燃焼室(3)内で灯油を燃焼して当該燃焼室内を加熱する一般的な灯油バーナー(6)を用いることができる。
【0013】
また、前記給気機構(5)としては給気ファン(5)を用いることができ、そのエアー吹き込み口(5a)が燃焼室(3)内に開口する状態に給気ファンを配置すればよい。この場合、給気ファンのエアー吸込み口(5b)には、ホッパー(2)の上端開口部(2d)から排出されるガスを吸引して当該エアー吸込み口(5b)に供給するための燃焼用エアーダクト(12)を接続しておくことが望ましい。
【0014】
開放型のホッパーの下側部分においてプラスチックが溶融すると、ここで発生したガスの一部がホッパーの上端開口から排出される。このような排出ガスの量は僅かではあるが、臭気を持ち、室内などの閉鎖された空間に充満すると環境が悪化し、爆発のおそれもある。本発明によれば、排出ガスを給気ファンによって回収して燃焼室に送り込むようにしているので、このような弊害を回避できる。
【0015】
さらに、燃焼室(3)内に配置したガス化室(9)で生成された乾留ガスを、ガスダクト(10)を介して給気ファン(5)のエアー吹き込み口(5a)の手前の位置まで導き、ここから、燃焼室(3)内に送り出せばよい。給気ファンから燃焼室内に吹き込まれる燃焼用エアーの流れに乗って、燃焼用エアーと十分に混合した状態で乾留ガスが燃焼室内に供給されるので、乾留ガスの燃焼を効率良く行うことができる。
【0016】
次に、燃焼室の室外に配置されているホッパーにおける下側部分を、プラスチックの溶融温度に維持するためには、燃焼室(3)外に露出している連通管(7)の上側部分(7a)およびホッパー(2)の下側部分を、保温カバー(8)によって覆って熱を外部に逃がさないようにしておくことが望ましい。
【0017】
一方、本発明は、上記構成のプラスチック燃料燃焼装置(1)の運転方法であって、
前記ホッパー(2)に燃料用のプラスチックを投入し、
前記給気機構(5)によって前記燃焼室(3)に燃焼用エアーの供給を開始すると共に、前記加熱機構(6)によって前記燃焼室(3)内で灯油に着火して燃焼を開始して当該燃焼室(3)の加熱を開始し、
前記ガス化室(9)が前記プラスチックの発火点温度に達し、前記ホッパー(2)の下端開口部(2b)の部分が前記プラスチックの溶融温度に達した後は、閉じ状態の前記流量調整機構(11)を開けて、前記ホッパー(2)から前記連通管(7)を介して溶融状態のプラスチックを前記ガス化室(9)に供給可能とし、
前記ガス化室(9)内でプラスチックが気化することにより生成された乾留ガスが前記燃焼室(3)に供給されて燃焼を開始した後に前記加熱機構(6)を停止し、
前記流量調整機構(11)を調整して、前記ホッパー(2)の上側部分においてはプラスチックが固体のまま維持される常温帯域(A)を形成し、前記ホッパー(2)の下側部分から前記連通管(7)に向けてプラスチックが溶融して流動性が徐々に増す溶融部(B)を形成し、前記ガス化室(9)内においては溶融状態のプラスチックがガス化されるガス化部(C)を形成することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明を適用したプラスチック燃料燃焼装置の概略側面図であり、(b)は(a)のb−b線で切断した部分を示す概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明を適用したプラスチック燃料燃焼装置の実施の形態を説明する。
【0020】
(構造の説明)
図1に示すように、本実施の形態に係るプラスチック燃料燃焼装置1は、燃料用のプラスチックが投入されるホッパー2と、このホッパー2から供給されるプラスチックを燃焼させる燃焼室3が内部に形成されている燃焼筒4と、燃焼室3内に燃焼用エアーを供給する給気ファン5と、燃焼室3内をプラスチックの発火温度まで加熱するための点火用灯油バーナー6とを備えている。
【0021】
燃焼筒4は横置きの円形断面の筒であり、その円形の外周壁4aにおける上方を向いている外周壁部分には、ここを貫通して垂直に延びる円形断面の連通管7が取り付けられている。連通管7における燃焼筒4から上方に突出している上側部分7aの上端開口はホッパー2における下方に向かって窄まっている円錐台状の底板2aの中心に形成されている下端開口部2bに接続されている。ホッパー2は底板2aの外周縁から上方に同軸状に延びている円筒状胴部2cを備えており、この上端開口部2dがプラスチック投入口となっている。
【0022】
燃焼筒4における連通管7およびホッパー2が配置されている外周壁部分には、円筒状の保温カバー8が垂直に取り付けられている。この保温カバー8によって、ホッパー2における下側部分と、連通管7における燃焼筒4から上方に露出している上側部分7aの外周側が覆われている。
【0023】
連通管7における燃焼筒4の内部、すなわち燃焼室3内に突入している下側部分7bの下端開口は、燃焼室3内において水平に配置されている矩形筒状のガス化室9の上面部分に連通している。ガス化室9の側面には矩形断面のガスダクト10の後端開口10bが接続されている。ガスダクト10は燃焼筒4の中心軸線に平行な方向に水平に延びている。ガスダクト10は、燃焼筒4の前側の円形端壁4bの内側の近傍位置から下方に垂直に折れ曲がって延びており、その下向きの先端開口10aは、燃焼筒4の中心軸線よりも僅かに下側に位置している。
【0024】
ホッパー2の下端開口部2bには、この開口の開度を調整するための流量調整バルブ11が配置されている。流量調整バルブ11は、下端開口部2b内に配置されている下向きの円錐台状の外周面を備えた弁体11aと、下端開口部2bの内周面部分に取り付けた上向きの円錐台状内周面を備えた弁座部11bと、弁体11aから同軸状態で上方に向けて垂直に延びている連結軸11cと、連結軸11cにおけるホッパー2の上端開口部2dよりも上方に突出している軸上端部に取り付けた流量調整用ハンドル11dとを備えている。連結軸11cはホッパー2によってその中心軸線回りに回転可能な状態で支持されており、流量調整用ハンドル11dを回すと、その方向に応じて、弁体11aを上下に移動させることが可能となっている。弁体11aが上下することにより、下端開口部2bの開度を全閉状態から全開状態までの間で変化させることができる。
【0025】
次に、給気ファン5は、燃焼筒4の前側の円形端壁4bの外側に取り付けられており、そのエアー吹き込み口5aが燃焼室3内に開口している。先に述べたガスダクト10の先端開口10aはエアー吹き込み口5aの前側近傍に位置している。また、円形端壁4bには、ここを貫通して灯油バーナー6が燃焼室3内に延びており、当該灯油バーナー6の口もエアー吹き込み口5aの前側近傍に位置している。灯油バーナー6には不図示の灯油供給源から灯油が供給される。
【0026】
ここで、ホッパー2の上端開口部2dと、燃焼室3外に開口している給気ファン5のエアー吸込み口5bとの間は、燃焼用エアーダクト12によって連通している。燃焼用エアーダクト12におけるホッパー2の側の後端部には、下端が開口している円筒12aが垂直に取り付けられている。この下向きの円筒12aはホッパー2の上端開口部2dよりも一回り大きな内径寸法の円筒であり、当該上端開口部2dおよび、これに連続する円筒状胴部2cの上端部分を覆う状態に配置されている。また、燃焼用エアーダクト12におけるホッパー2の上端開口部2dに対して上側から対峙しているダクト面部分12bを貫通して、流量調整バルブ11の連結軸11cが上方に突出しており、上方に突出した軸上端部に流量調整用ハンドル11dが位置している。
【0027】
(燃焼動作の説明)
上記構成のプラスチック燃料燃焼装置1は次のように燃焼動作が行われる。まず、ホッパー2に燃料用のプラスチックを投入する。プラスチックは例えば使用済の農業用マルチシートなどの廃プラスチックを洗浄乾燥して所定の大きさに切断したもの、あるいはペレット状にしたものなどが用いられる。
【0028】
プラスチックが投入された後は、給気ファン5を駆動して燃焼室3内に燃焼用エアーの供給を開始すると共に、灯油バーナー6に点火して燃焼室3内で灯油を燃焼させて当該燃焼室3の加熱を開始する。
【0029】
燃焼室3が加熱されて、ガス化室9が投入したプラスチックの発火点温度に達し、連通管7およびホッパー2の下側部分がプラスチックの溶融温度に達した後は、閉じ状態の流量調整バルブ11を開ける。ホッパー2内においては、その上端開口部2dからその下端開口部2bを介して燃焼室3内のガス化室9に至るまでの間の部分では、上端開口部2dから下に向かうに連れて、常温状態からプラスチックの溶融温度の状態まで上昇する温度勾配が生じている。また、ガス化室9の内部ではプラスチックの気化温度の状態が形成されている。
【0030】
したがって、流量調整バルブ11を開けると、ホッパー2の下端開口部2bから溶融状態のプラスチックが連通管7に流れ落ちる。連通管7に流れ落ちた溶融状態のプラスチックは更に流動性を増しながら、また、一部が気化しながら連通管7を流れ落ちてガス化室9内に流れ込む。ガス化室9内に流れ込んだプラスチックは当該ガス化室9内でガス化されて乾留ガスになる。乾留ガスはガスダクト10を通ってその先端開口10aから燃焼室3内に流れ込む。
【0031】
燃焼室3内は灯油バーナー6によってプラスチックの発火温度に加熱されており、給気ファン5によって燃焼用エアーが燃焼室3内に吹き込まれているので、先端開口10aから燃焼室3内に流入した乾留ガスが発火して、燃焼室3内において乾留ガスの燃焼が始まる。この後は灯油バーナー6の燃焼を止める。
【0032】
このようにして乾留ガスの生成および燃焼が始まった後は、流量調整バルブ11の開度を適切な状態に調整することによって、継続して乾留ガスを燃焼室3内に供給することができる。また、ホッパー2の上側部分においてはプラスチックが固体のまま維持され、ホッパー2の下側部分から連通管7に向かうに連れてプラスチックが溶融して流動性が増加する溶融状態が形成され、ガス化室9内においてはプラスチックの気化状態が形成されるようにすることができる。
【0033】
すなわち、図1に示すように、ホッパー2の上端開口部2dから下側に向かって所定の範囲内においてはプラスチックが固体のままの常温帯域Aが形成される。また、この下側のホッパー2の部分から連通管7を通ってガス化室9に至る部分には、上側から下側に向かってプラスチックが徐々に溶融し、溶融したプラスチックの流動性が徐々に増加していく溶融部Bが形成される。さらに、ガス化室9内には溶融状態のプラスチックが気化するガス化部Cが形成される。
【0034】
溶融部Bが適切な長さとなるように流量調整バルブ11を調整すれば、当該溶融部Bに位置している溶融状態のプラスチックによって、ガス化室9をホッパー2の側から実質的に密閉状態に隔離することができ、ガス化室9に空気が侵入して爆発が発生してしまうことを確実に防止できる。すなわち、固体状のプラスチックを投入しても空気が外部から燃焼室側に侵入しないので、従来のような爆発を避けることができる。なお、これらの境界部分は便宜上定めたものであり、これらの領域AとBの間、および、BとCの間において、プラスチックの状態は徐々に変化している。
【0035】
また、乾留ガスの燃焼が開始した後は、プラスチックの乾留ガスの燃焼熱で、投入されたプラスチックが溶融されて乾留ガスが生成され、生成した乾留ガスが燃焼するという、自己燃焼熱の循環燃焼状態が形成される。このような熱リサイクルによって、効率良くプラスチックの乾留処理を行うことができる。
【0036】
次に、本例では、燃焼用エアーダクト12によって、ホッパー2の上端開口部2dから漏れ出るガスを給気ファン5によって回収して燃焼室3内に燃焼ガスとして供給している。したがって、ホッパー2の上端開口部2dから漏れ出るガスが室内などに充満して悪臭が発生し、また、爆発の危険性が高まるなどの弊害を未然に防止できる。
【符号の説明】
【0037】
1 プラスチック燃料燃焼装置
2 ホッパー
2a 底板
2b 下端開口部
2c 円筒状胴部
2d 上端開口部
3 燃焼室
4 燃焼筒
4a 外周壁
4b 円形端壁
5 給気ファン
5a エアー吹き込み口
5b エアー吸込み口
6 灯油バーナー
7 連通管
7a 上側部分
7b 下側部分
8 保温カバー
9 ガス化室
10 ガスダクト
10a 先端開口
10b 後端開口
11 流量調整バルブ
11a 弁体
11b 弁座部
11c 連結軸
11d 流量調整用ハンドル
12 燃焼用エアーダクト
12a 円筒
12b ダクト面部分
A 常温帯域
B 溶融部
C ガス化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料用のプラスチックが上端開口部(2d)から投入されるホッパー(2)と、
前記ホッパー(2)の下端開口部(2b)から下方に延びる連通管(7)と、
前記ホッパー(2)の前記下端開口部(2b)の開閉および開度調整を行うための流量調整機構(11)と、
前記連通管(7)の下端に連通しているガス化室(9)と、
前記ガス化室(9)から供給される前記プラスチックの乾留ガスを燃焼させるための燃焼室(3)と、
前記燃焼室(3)を前記乾留ガスの発火温度に加熱する加熱機構(6)と、
前記燃焼室(3)内に燃焼用エアーを供給する給気機構(5)とを有しており、
前記連通管(7)は、前記燃焼室(3)の外周壁(4a)を貫通した状態で、前記燃焼室(3)の内部に配置されている前記ガス化室(9)と前記燃焼室(3)の外に配置されている前記ホッパー(2)の間を連通しており、
前記燃焼室(3)内での前記乾留ガスの燃焼熱によって前記連通管(7)内のプラスチックを溶融して前記ガス化室(9)内において乾留ガスを発生させる循環燃焼状態が形成されることを特徴とするプラスチック燃料燃焼装置(1)。
【請求項2】
請求項1において、
前記連通管(7)内には、前記ホッパー(2)から投入されたプラスチックが、前記燃焼室(3)内における前記乾留ガスの燃焼熱によって溶融した状態の部分が形成され、当該連通管(7)から溶融状態のプラスチックが前記ガス化室(9)に供給されるようになっていることを特徴とするプラスチック燃料燃焼装置(1)。
【請求項3】
請求項2において、
前記加熱機構(6)は、前記燃焼室(3)の内部で灯油を燃焼して当該燃焼室(3)を加熱する灯油バーナー(6)であることを特徴とするプラスチック燃料燃焼装置(1)。
【請求項4】
請求項3において、
前記給気機構(5)は、前記燃焼室(3)の内部に開口しているエアー吹き込み口(5a)を備えた給気ファン(5)を備えており、
前記給気ファン(5)のエアー吸込み口(5b)には、前記ホッパー(2)の上端開口部(2b)から排出されるガスを吸引して当該エアー吸込み口(5b)に供給するための燃焼用エアーダクト(12)が接続されていることを特徴とするプラスチック燃料燃焼装置(1)。
【請求項5】
請求項4において、
前記燃焼室(3)の内部に配置したガスダクト(10)を有しており、
このガスダクト(10)は、その後端開口(10b)が前記ガス化室(9)に連通しており、その先端開口(10a)が前記燃焼室(3)の内部に開口している前記給気ファン(5)の前記エアー吹き込み口(5a)の前方に位置していることを特徴とするプラスチック燃料燃焼装置(1)。
【請求項6】
請求項5において、
前記燃焼室(3)の外周壁(4a)から外方に露出している前記連通管(7)の上側部分(7a)、および前記ホッパー(2)の下側部分を覆っている保温カバー(8)を有していることを特徴とするプラスチック燃料燃焼装置(1)。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載のプラスチック燃料燃焼装置(1)の運転方法であって、
前記ホッパー(2)に燃料用のプラスチックを投入し、
前記給気機構(5)によって前記燃焼室(3)に燃焼用エアーの供給を開始すると共に、前記加熱機構(6)によって前記燃焼室(3)内で灯油に着火して燃焼を開始して当該燃焼室(3)の加熱を開始し、
前記ガス化室(9)が前記プラスチックの発火点温度に達し、前記ホッパー(2)の下端開口部(2b)の部分が前記プラスチックの溶融温度に達した後は、閉じ状態の前記流量調整機構(11)を開けて、前記ホッパー(2)から前記連通管(7)を介して溶融状態のプラスチックを前記ガス化室(9)に供給可能とし、
前記ガス化室(9)内でプラスチックが気化することにより生成された乾留ガスが前記燃焼室(3)に供給されて燃焼を開始した後に前記加熱機構(6)を停止し、
前記流量調整機構(11)を調整して、前記ホッパー(2)の上側部分においてはプラスチックが固体のまま維持される常温帯域(A)を形成し、前記ホッパー(2)の下側部分から前記連通管(7)に向けてプラスチックが溶融して流動性が徐々に増す溶融部(B)を形成し、前記ガス化室(9)内においては溶融状態のプラスチックがガス化されるガス化部(C)を形成することを特徴とするプラスチック燃料燃焼装置(1)の運転方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−193942(P2012−193942A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138180(P2011−138180)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(507111449)サンシンエキスプレス株式会社 (2)
【出願人】(511053230)
【Fターム(参考)】