説明

プラスチック製段ボール箱の間仕切用部品

【課題】 プラスチック段ボール箱などのプラスチック製容器に関して、容器内部に間仕切を施す随時着脱可能な手段を提供する。
【解決手段】 本発明による容器内部の間仕切手段は、基体部とその基体部に付設された仕切板挟持部から成り;仕切板挟持部は仕切板の端部を挿入して保持できるほぼ直線上の溝を少なくとも一つ有し;基体部及び仕切板挟持部はプラスチックを素材とし、射出成形により誘導帯を利用して一体成形することができる。容器の内部に少なくとも一対の間仕切手段をそれぞれの仕切板挟持部が互いに対向するように設置し、対向する仕切板挟持部の溝に仕切板の両端部をそれぞれ挿入することによって容器に間仕切を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製容器に関し、特に、その容器内部の間仕切を行う手段及びその手段を施した容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、木製の本箱のように、容器の周壁板及び/又は底板の内側の面に溝を設けて、その溝に溝の一方から仕切板の端部を滑り込ませるなどして嵌合することによる容器の間仕切方法がある。
【0003】
また、従来、プラスチック製弁当箱のようにプラスチック成形によって作られる容器の場合、間仕切部分も含めた一体成形で間仕切りを行う方法もある。(特許文献1及び特許文献2参照。)
【0004】
しかし、このような間仕切方法では、間仕切りの間隔若しくは形状はそのような木製の周壁板及び/又は底板の内面に溝を加工した段階或いはプラスチック一体成形用の金型を製作した段階で定まっており、間仕切りの間隔若しくは形状が異なる容器が必要である場合には、例えば予め溝間隔の小さい余分な溝を設けておいて使用時に溝を選択できるようにすることによってある程度そのような多様な間仕切の要求に対応することができる場合もあるが、基本的にはそれぞれの間隔若しくは形状に応じて容器周壁も含めた容器全体の設計を変える必要がある。
【0005】
このため、特定の間仕切の間隔若しくは形状の容器の需要が少ない場合に、他の間仕切間隔の容器の周壁板及び/又は底板或いは一体成形用の金型などを共用することができないため、量産効果が得られず、コスト高となる問題があった。
【0006】
更に、容器の周壁板及び/又は底板に溝を設ける間仕切方法の場合で、容器の周壁板及び/又は底板の材料がプラスチック製段ボールのシート(以下、「プラダン」という。)を含むがそれに限らないプラスチック薄板であるときには、周壁板及び/又は底板に仕切板を十分に保持するだけの深さの溝を設けることができないか、そのような溝を設けることによって周壁板及び/又は底板の強度を弱めてしまう問題があり、更に、溝を設けずにビスなどによる仕切板の固定も、特に仕切板がプラダンであ場合には脆く軟弱であるために採用できないという問題もある。
【0007】
上記に述べたような問題があるため、従来より、プラスチック製容器の間仕切は容器本体と一体成形で行われているが、特にプラダンを周壁及び/又は底板の材料として用いた容器(以下、「プラダン容器」という。)の場合には、プラダン材料が間仕切を有する容器の一体成形に適していないため、間仕切は行われていのが実情である。
【0008】
【特許文献1】特開2000−209950
【特許文献2】特開2000−327062
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、現在のところ、プラスチック製容器の内部に間仕切を設ける方法としては、容器の周壁と間仕切部をプラスチック射出成形などによる一体成形する方法しか提案されておらず、特にプラダン容器においては、そのような一体成形ができなため、内部に間仕切を設ける方法は提案されていない。
【0010】
本発明の課題は、プラダン容器を含むがそれに限らないプラスチック製容器(以下、「プラスチック容器」という。)の内部に随時間仕切を行うことができ、比較的容易に着脱可能で間仕切の変更に対応可能で、かつ、任意の形状の間仕切を可能とし、比較的容易に広範なニーズに対応できる手段を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決する手段として、プラスチック容器の内部の間仕切を行って区画するためのプラスチック製の板(以下、「仕切板」という。)及びその仕切板をプラスチック容器内の所定の位置に導いて保持するためのプラスチック製の保持具(以下、「仕切板保持具」という。)から成る手段を提供する。
【0012】
本発明に従う仕切板の材料は、シート状のプラダンを含むがそれに限らないプラスチック製平板状材料とする。
【0013】
仕切板の寸法形状は、入手可能なプラスチック製平板状部材の厚さ、プラスチック容器全体の形状、用途に応じて区画されるそれぞれの間仕切の形状などに従って任意に選択が可能である。
【0014】
仕切板は、仕切板の本体部分を成す平板状部分(以下、「仕切板平板部」という。)と仕切板の周辺端部であって仕切板保持具に嵌合して挟持される部分(以下、「仕切板嵌合端部」という。)とから成り、仕切板平板部の形状は、矩形平面板(図1参照。)、矩形曲面板、矩形屈曲板、複雑輪郭板、網目状板及び格子状板を含むがそれに限らない任意の平板形状とすることができ、仕切板は少なくとも一カ所の仕切板嵌合端部を有し、仕切板嵌合端部の形状は、仕切板平板部の延長平板を面に垂直に切断した端部形状及び仕切板平板部の延長平板の端部に任意形状の隆起部を設けた端部形状(図2参照。)を含むがそれに限らない仕切板保持具に嵌合できる任意の形状とすることができる。
【0015】
仕切板の材料として既製品のシート状プラダン又はシート状プラスチック薄板を購入して用いることができ、この場合には、購入したシート状プラダン又はシート状プラスチック薄板を裁断することによって所望の寸法形状に加工する。
【0016】
仕切板としてプラダンを用いる利点は、材料が入手容易、軽量、安価で、リサイクル性に富んでいることであるが、不利な点は、比較的強度が小さく、複雑な形状の加工が難しことである。
【0017】
仕切板をプラスチック射出成形を含むがそれに限らないプラスチック成形加工によって製作することもでき、この場合には、成型用金型を任意に設計することによって比較的複雑な寸法形状に成形加工することができる。
【0018】
仕切板をプラスチック射出成形によって製作する利点は、平面板だけでなく、曲面板、屈曲板、網目板を含むがそれに限らない複雑な表面形状を有する成形加工が可能で、プラスチック素材に抗菌剤や着色剤などの添加物を必要に応じて加えることも可能で、かつ、比較的強度が大きいことであるが、不利な点は、金型製作費、プラスチック材料費、成形加工費などの製作費が比較的高いことである。
【0019】
仕切板をプラスチック射出成形によって製作する場合、仕切板の形状が複雑であったり非対称であったりするときは、金型内を溶融プラスチックが末端まで流れなかったり、成形後に製品の反りなどが発生したりする可能性があるので、このような現象を緩和するために、溶融プラスチックの注入ゲート部から周囲に向かって伸びており、注入された溶融プラスチックを流れやすくして誘導するために周囲より流路を深く及び/又は幅広くした溝(以下、「誘導帯」という。)を金型に設けることが望ましく、この場合には、成形された仕切板には誘導帯に起因するリブ状突起(以下、「誘導帯リブ状突起」という。)が形成され、この誘導帯リブ状突起は仕切板の補強リブとしての効果も有する。
【0020】
本発明に従う仕切板保持具は、挿入された仕切板の仕切板嵌合端部を挟持しながら仕切板の移動をガイドすると共に仕切板が所定の位置まで移動した段階で仕切板を保持する仕切板挟持部(以下、「挟持部」という。)とその挟持部が設けられて挟持部を支持している基体部(以下、「基体部」という。)とから成る(図3参照。)。
【0021】
仕切板保持具の挟持部は、両側を壁面で挟まれた凹所を形成する溝状構造(以下、「溝」という。)を有し、その溝に垂直な断面形状が少なくとも仕切板の仕切板嵌合端部の端面に沿った方向に垂直な断面形状を嵌合できる形状と大きさを有し、その溝はその仕切板の仕切板嵌合端部を溝の一方の端から挿入した状態で溝に沿って仕切板を摺動によって移動させることができるようほぼ直線状に形成するが、仕切板嵌合端部の形状が図2に示すような隆起部を有する仕切板を用いる場合にあっては、断面形状が溝の奥の方が溝の開口部よりも広がっているような溝形状にすることによって仕切板のたわみによって仕切板保持具の挟持部と仕切板嵌合端部との嵌合が外れるのを防ぐことができる(図4参照。)。
【0022】
仕切板保持具の挟持部の溝は、仕切板保持具の基体部の一方の側に一対の平行に伸びるリブ状突起を形成することによって、その対向するリブ状突起の間の凹所として形成することができ(図3参照。)、このような溝の構造は、一つの基体部に比較的広い間隔で複数の溝を設ける場合にプラスチック素材の使用量を少なくできる利点があり、又は、仕切板保持具の基体部の一方の側に内部に向かって溝状に窪む凹所を設けることにより形成することもでき(図5参照。)、このような溝の構造は、比較的堅牢性が高い利点がある。
【0023】
本発明に従う仕切板保持具の材料は、プラスチック材料とする。
【0024】
仕切板保持具はプラスチック射出成形によって一体成形することもでき、この場合には、成型用金型を任意に設計することによって所望の寸法形状に成形加工する。
【0025】
仕切板保持具をプラスチック射出成形によって製作する場合、仕切板保持具の形状が複雑であったり非対称であったりするときは、金型内を溶融プラスチックが末端まで流れなかったり、成形後に製品の反りなどが発生したりする可能性があるので、このような現象を緩和するために、溶融プラスチックの注入ゲート部から周囲に向かって伸びており、注入された溶融プラスチックを流れやすくして誘導するために周囲より流路を深く及び/又は幅広くした誘導帯を金型に設けることが望ましく、この場合には、成形された仕切板保持具には誘導帯に起因する誘導帯リブ状突起が形成され、この誘導帯リブ状突起は仕切板保持具の補強リブとしての効果を有する。
【0026】
上記に述べたように金型に誘導帯を設ける場合、その誘導帯の適切な太さ、長さ、形状及び位置は、成形品の広さ、厚さ、形状の複雑さ、非対称性、素材の種類などに依存して複雑に変化するため、成形品毎に実験的に定める必要がある。
【0027】
プラスチック容器内に仕切板を複数設置する場合、仕切板保持具の一つの基体部に複数の仕切板挟持部を設けることができる(図6参照。)。
【0028】
仕切板として曲面板、屈曲板などを用いる場合又はプラスチック容器の内部を斜行するように間仕切を施す場合のように仕切板がプラスチック容器の周壁に対して垂直でない角度で設置されるときには、基体部に対する仕切板挟持部の溝の深さ方向は、仕切板の向きと仕切板挟持部の溝の深さ方向が一致するように任意の向きになるようにすることができる(図7参照。)。
【0029】
仕切板保持具をプラスチック容器内に設置する方法として、溶接、ビス止め、両面テープによる貼付などを含むがそれに限らないその容器の周壁及び/又は底板に仕切板保持具の基体部をその仕切板挟持部が容器内部に向くように固定することによって設置する方法(図8及び図9参照。)、その容器の周壁と底板が成すコーナーに当接するように仕切板保持具の基体部をその仕切板挟持部が容器内部に向くように置いて周壁方向への移動ができないように設置する方法、その容器の上縁に引っ掛けるフックを仕切板保持具基体部に付設して仕切板保持具をその仕切板挟持部が容器内部に向くように容器上縁から吊すことによって周壁の任意の高さに設置する方法、その容器の底板上の任意の位置に仕切板保持具の基体部が当接するように置いて保持されている仕切板と共に自立させ、必要に応じて仕切板の位置及び方向を随時自由に変更できるように設置する方法がある。
【0030】
仕切板保持具をプラスチック容器内に設置する方法で、上記に述べた周壁に固定する方法、周壁に当接する方法又は周壁に吊す方法のいずれにおいても、仕切板の横方向の強度、使用材料の量などを考慮して、仕切板保持具の設置箇所はその容器側壁の上部、中段部、下部のいずか一カ所のみとすることも、上部、中段部、下部の任意の複数箇所とすることもでき、仕切板保持具の一部が容器から飛び出すような箇所とすることもでき、また、仕切板保持具の横幅寸法も、容器の各側壁の全幅を覆う幅若しくは側壁の一部のみを覆う幅を任意に選択することができ、仕切板保持具の縦寸法も容器の側壁の全高を覆う高さ、容器側壁の一部のみを覆う高さ若しくは容器全高を超えて容器より突き出る高さを任意に選択することができる。
【0031】
仕切板保持具及び仕切板を用いてプラスチック容器内に間仕切を施す方法としては、上記に述べた周壁に固定する方法、周壁に当接する方法又は周壁に吊す方法によってその容器の対向する周壁にそれぞれ仕切板保持具を設置し、そのそれぞれの仕切板保持具の仕切板挟持部に仕切板両端の仕切板嵌合端部をその仕切板挟持部の溝の上部からそれぞれ滑り込ませるようにして所定の位置まで挿入することによって間仕切を行うことができるが、この場合、対向して設置されるそれぞれの仕切板保持具の寸法形状及びプラスチック容器内における高さ位置はほぼ同じであることが望ましいが、対向する仕切板保持具の仕切板挟持部に仕切板の仕切板嵌合端部が一部でも掛かる範囲にあればその容器の形状などに応じて必ずしも同じ高さである必要はなく、また、仕切板が挿入されて保持される位置としては仕切板の底端部がその容器の底板に当接することが仕切板位置の安定性の上から望ましいが、仕切板に上下方向の強い力が作用しない用途であれば、仕切板挟持部の溝の表面と仕切板嵌合端部表面との摩擦抵抗を利用して、仕切板の底端部がその容器の底板に当接しない位置で止めることもできる。
【0032】
仕切板保持具及び仕切板を用いてプラスチック容器内に間仕切を施す方法として、仕切板の横方向の強度を必要とする場合には、上記に述べた周壁に固定する方法、周壁に当接する方法又は周壁に吊す方法によってその容器の対向する周壁にそれぞれ仕切板保持具を設置すると共に、別の仕切板保持具を容器の底板に固定し、周壁に設置されたそれぞれの仕切板保持具の仕切板挟持部に仕切板両端の仕切板嵌合端部をその仕切板挟持部の上部からそれぞれ滑り込ませるようにし、更に仕切板の下部に設けた仕切板嵌合端部がその容器の底板に固定された仕切板挟持部に嵌合する位置まで挿入することによって間仕切を行うことができる。
【0033】
仕切板保持具及び仕切板を用いてプラスチック容器内に間仕切を施す別の方法として、上記に述べたようにその容器の底板上の任意の位置に仕切板保持具を互いに対向するようにその基体部が容器の底板上に当接するように置き、それぞれの仕切板挟持部が向き合うようにし、そのそれぞれの仕切板挟持部に仕切板両端の仕切板嵌合端部をその仕切板挟持部の上部からそれぞれ滑り込ませるようにして所定の位置まで挿入し、対向する仕切板保持具をそれに保持されている仕切板と共に自立させ、必要に応じて仕切板の容器内における位置及び方向を随時自由に変更できる衝立のような状態で間仕切を行うことができるが、このような方法においてその仕切板保持具を容器底板上に固定することもできる。
【0034】
仕切板保持具及び仕切板を用いてプラスチック容器内に間仕切を施す別の方法として、上記に述べたようにその容器の底板上の任意の位置に仕切板挟持部が上方を向くように一個若しくは複数個の仕切板保持具を置き、そのそれぞれの仕切板挟持部に仕切板の下部に設けた仕切板嵌合端部をその仕切板挟持部の溝の上部から挿入して溝の底に当接させ、仕切板保持具をそれに保持されている仕切板と共に自立させ、必要に応じて仕切板の位置及び方向を随時自由に変更できる衝立のような状態で間仕切を行うことができ、この場合、仕切板保持具の仕切板挟持部の溝形状としては十字形若しくはセクター形もあるが、このような方法において仕切板保持具を容器底板上に固定することもできる。
【0035】
仕切板保持具及び仕切板を用いてプラスチック容器内に間仕切を簡便に施す別の方法として、仕切板保持具の仕切板挟持部の形状を筒状にし、一方、仕切板の形状を一本の旗竿様の棒に少なくとも一枚の旗様の仕切板を横に張り出した形状とし、その仕切板の棒部分をその容器内の底板上に置いた仕切板挟持部の筒部に挿入することにより、その棒部分を軸として自由に回転できる仕切板によって容器の内部に間仕切を行うことができるが、このような方法において仕切板保持具を容器底板上に固定することもできる。
【0036】
仕切板保持具及び仕切板を用いてプラスチック容器内に間仕切を施す別の方法として、例えば矩形容器の四つの側面全てに仕切板保持具を設置する場合のように、挿入し保持された仕切板が互いに交差する方向になるように複数組の対向する仕切板保持具を設置し、交差する一方の方向で対向する仕切板保持具のそれぞれの挟持部の溝に上部から仕切板両端の仕切板嵌合端部を挿入した後に、その挿入された仕切板に重ねるように更にその上から、交差する他方の方向で対向する仕切板保持具のそれぞれの挟持部の溝に上部から仕切板両端の仕切板嵌合端部を挿入して間仕切を行うことができ、この場合には、異なる方向で交差する仕切板が交互に積み重なるように設置され、間仕切の一部が仕切板のない状態で間仕切が行われるが、この方法は仕切板の材料が少なくてすむことと仕切板の挿入が簡便であるという利点がある。
【0037】
また、上記に述べた仕切板が交差するように間仕切を行う方法にあって、互いに交差する仕切板に一方の方向の仕切板には上端から、他方の仕切板には下端から少なくとも相手方仕切板の厚さ以上の幅の切り込みを入れ、上端から切り込みを入れた仕切板が下側になり、下端から切り込みを入れた仕切板が上側になるようにして、互いの切り込みの位置が正対するように切り込みの位置を合わせてそれぞれの仕切板両端の仕切板嵌合端部を対向する仕切板保持具のそれぞれの仕切板挟持部の溝に上部からに挿入することにより、交差するそれぞれの仕切板の上端の位置が互いに接近するように設置でき、例えば交差する両方の仕切板の高さが等しい場合には、両方の切り込みの深さの合計を仕切板の深さに等しくすれば、挿入後の両方の仕切板の上端の位置を同じ高さにすることができ、特に両方の切り込みの深さを等しくすれば、両方向の仕切板を区別せずに共用することができるという利点がある。
【0038】
仕切板保持具及び仕切板を用いてプラスチック容器内に間仕切を施す方法において、仕切板保持具の仕切板挟持部における仕切板の保持力を補強する方法として、仕切板挟持部の溝側面及び/又は溝底面の一部に若しくは溝の全長に渉って突起若しくは隆起部を設け、その突起若しくは隆起部の高さは仕切板の仕切板嵌合端部がその溝に挿入される場合にその仕切板嵌合端部の表面がその突起で狭くなった溝若しくは浅くなった溝部分を摺動するときの摩擦抵抗が仕切板嵌合端部の弾力性及び反発力に応じて大きくなるが摺動を阻止してしまわない範囲とすることによって仕切板挟持部における仕切板の保持力を補強することができる。
【0039】
仕切板保持具及び仕切板を用いてプラスチック容器内に間仕切を施す方法において、間仕切を施すプラスチック容器と横断面の形状寸法が同じで周壁のみで底板のない容器の胴体部分(以下、「容器胴体」という。)を作成し、その容器胴体を間仕切を施すプラスチック容器の上にプラスチック容器の上縁と容器胴体の下縁がぴったり重なるように置いた場合に、その容器胴体の周壁に固定した仕切板保持具の挟持部の溝の延長線が下のプラスチック容器に設置されている仕切板保持具の挟持部の溝の延長線に重なるようにその固定位置を定め、上に重ねた容器胴体に固定されている仕切板保持具の挟持部の上部から仕切板の仕切板嵌合端部を挿入し、その仕切板が容器胴体部分の下端から突出して下に重なっているプラスチック容器の仕切板保持具の挟持部の上部に挿入されるまで押下することによって、重ねられたプラスチック容器と容器胴体が仕切板によって連結され一体化し、容器の深さをプラスチック容器の深さに重ねられた容器胴体の深さを加えた深さにすることができ、また、このような容器胴体を複数段重ねたり取り外したりすることによって容器の深さをニーズに応じて随時調節することができ、またこの場合に、重ねるプラスチック容器及び/又は容器胴体の内壁に設置する仕切板保持具がそのプラスチック容器及び/又は容器胴体から上方又は下方に一部突出するような位置に固定して、その突出部を重ねる相手方のプラスチック容器及び/又は容器胴体の内壁に嵌合させることによって、重ねたプラスチック容器及び容器胴体の一体化を補強することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に従う仕切板保持具及び仕切板を採用することにより、通常の矩形のプラスチック容器以外にも、円筒形、多角形を含むがそれに限らない任意の形状のプラスチック容器の間仕切が可能となり、プラスチック素材の衛生的性質、洗浄可能性、リサイクル性、機能付加性によって、随時間仕切の変更を必要とするプラスチック製弁当箱、食品保存箱、工業用又は家庭用冷蔵庫の分別保存容器、倉庫などにおける物品分別貯蔵箱、工場ラインにおける部品分別トレイ、部品保存箱などの新しい事業分野にプラスチック容器の用途を拡大する効果がある。
【0041】
更に、このような随時設置が可能な仕切板保持具及び仕切板を採用することにより、既に使われている既存のプラスチック容器にも間仕切を施すことが可能となり、今まで利用出来なかった分野に利用を拡大できる効果があり、資源の有効利用に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】仕切板例の斜視図
【図2】仕切板嵌合端部が平板状でない例の斜視図
【図3】リブ状突起によって仕切板挟持部を形成した例の部分斜視図
【図4】平板状でない仕切板嵌合端部例の仕切板挟持部との嵌合状態の斜視図
【図5】基体部の内部に向けて溝を設けて仕切板挟持部を形成した例の部分斜視図
【図6】基体部に多数の仕切板挟持部をリブ状突起によって形成した例の斜視図
【図7】仕切板挟持部の向きが基体部に関して傾斜しているものを含む例の斜視図
【図8】プラスチック容器に仕切板保持具を固定して設置した例の斜視図
【図9】プラスチック容器に仕切板保持具を固定して間仕切を施した例の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明では、プラスチック容器内の間仕切を随時簡便に行うことができる手段及びその製造方法を実現した。
【実施例1】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を、仕切板保持具及び仕切板を製作し、その仕切板保持具及び仕切板をプラスチック容器内に設置して間仕切を施す実施例によって示す。
【0045】
本発明に従って、プラスチック容器として既存の矩形プラダン容器を用い、仕切板の素材として市販のプラダンを用い、仕切板保持具の素材として、射出成形が可能なプラスチックを用いる。
【0046】
プラダン容器の間仕切方向と所望の間仕切の区画数(以下、「間仕切区画数」という。)を決定するが、本実施例においてはそれぞれの区画は等間隔とする。
【0047】
仕切板保持具を設置する側であるプラダン容器の間仕切方向と垂直な方向の容器側面の内部寸法(以下、「容器側面内部寸法」という。)を計測し、仕切板保持具の基体部の全長を決定する。
【0048】
容器側面内部寸法を間仕切区画数で割り、間仕切間隔(以下、「間仕切間隔」という。)及び仕切板保持具の挟持部の設置位置を求める。
【0049】
プラダンの厚さを計測して、仕切板保持具の挟持部の溝幅を決定する。
【0050】
用途に応じて仕切板保持具及び仕切板に掛かる力を考慮し、仕切板保持具の基体部の厚さ及び幅並びに仕切板保持具の挟持部を形成するためのリブ状突起の高さ及び厚さを決定する。
【0051】
上記によって定まる仕切板保持具全体の形状寸法を考慮して、成形金型における適切な誘導帯の設置位置を決定する。
【0052】
上記で決定した仕切板保持具の基体部の全長、幅及び厚さ、仕切板保持具の挟持部の設置位置、リブ状突起により形成される溝幅、リブ状突起の高さ及び幅並びに誘導帯の設置位置を考慮して、仕切板保持具のプラスチック射出成形による一体成型用金型を設計製作する。
【0053】
上記で製作した仕切板保持具の基体部の挟持部が設けられていない側の面をプラダン容器の間仕切方向と垂直な方向の容器内側面の上端に容器内面に向いている挟持部の溝が真っ直ぐ上下方向になるように当接して、ヒートバーを用いて基体部の周囲を加熱してプラダン容器に溶接し、同様にして対向する容器内側面の上端に別の仕切板保持具の基体部を溶接する。
【0054】
上記で溶接された対向する仕切板保持具の挟持部のそれぞれの溝底部間の距離を計測して、その両挟持部間に張り渡す仕切板の幅を決定し、同時に用途に応じた仕切板の高さを決定する。
【0055】
上記で決定した仕切板の幅と高さに従って購入したプラダンを裁断して、上記で決定した区画数から1を減じた枚数の仕切板を製作する。
【0056】
上記においてプラダン容器の内部の対向する内面に溶接によって固定されている仕切板保持具のそれぞれ対向する挟持部の溝に、上記で製作した仕切板を溝の上端から挿入し、溝に沿って摺動させながら仕切板の下端がプラダン容器の底板に当接するまで押し下げ、この作業を全ての製作した仕切板に施こすことによってプラダン容器の間仕切が完成する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、随時間仕切の変更を必要とするプラスチック製弁当箱、食品保存箱、工業用又は家庭用冷蔵庫の分別保存容器、倉庫などにおける物品分別貯蔵箱、工場ラインにおける部品分別トレイ、部品保存箱などの新しい事業分野にプラスチック容器の用途を拡大する効果があり、従って、本発明は産業において利用されうるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 仕切板
2 仕切板嵌合端部
3 基体部
4 リブ状突起
5 仕切板挟持部
6 プラスチック容器
7 仕切板保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製容器の内部に間仕切を施すための該容器内部において装着及び取外しが可能なプラスチック製の容器間仕切用部品であって、基体部と間仕切を行うための仕切板を挟持するために該基体部に付設された挟持部とから成り、該挟持部は両側を壁面で挟まれた凹所を形成する溝状構造を有し、該溝状構造の溝方向に対して垂直な断面の形状寸法が該仕切板の側端部を該溝状構造の一方の端から挿入して嵌合できる形状寸法を有し、該溝状構造は該仕切板の側端部を該溝状構造の一方の端に挿入した状態で該溝状構造に沿って該仕切板を摺動によって多端に向かって移動させることができるようほぼ直線状であることを特徴とする容器間仕切用部品。
【請求項2】
請求項1における容器間仕切部品にあって、基体部と一つ以上の挟持部が一体成形され、該挟持部が該基体部の表面から突出した1対のリブ状突起に挟まれて形成された溝状構造よりなることを特徴とする容器間仕切部品。
【請求項3】
請求項1における容器間仕切部品にあって、基体部と一つ以上の挟持部が一体成形され、該挟持部が該基体部の表面から下方に掘り下げられて形成された溝状構造よりなることを特徴とする容器間仕切部品。
【請求項4】
プラスチック製容器であって、請求項1乃至3における容器間仕切部品を該プラスチック製容器内に対向するように複数設置し、対向する該容器間仕切部品の溝状構造に仕切板の対向する端部をそれぞれ挿入することにより該プラスチック製容器の内部に間仕切を施していることを特徴とするプラスチック製容器。
【請求項5】
請求項4におけるプラスチック製容器にあって、該容器の材料がプラスチック製段ボールであることを特徴とするプラスチック製容器。
【請求項6】
請求項2乃至請求項3における容器間仕切部品の製造方法であって、該容器間仕切部品の基体部及び挟持部をプラスチック射出成形によって一体成形し、該射出成形に使用する金型に、溶融プラスチックの注入ゲート部から周囲に向かって伸びており、注入された溶融プラスチックを流れやすくして誘導するために周囲より流路を深く及び/又は幅広くした溝を設けることを特徴とする容器間仕切部品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−56628(P2012−56628A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224318(P2010−224318)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(594064297)
【Fターム(参考)】