説明

プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法

【課題】プラズマディスプレイパネルにおいて、低コストで、組立ての容易な構成を提供することを目的とする。
【解決手段】表示電極対が形成された前面パネル20と、前面パネル20と放電空間を挟んで対向配置されかつデータ電極が形成された背面パネル30と、背面パネル30に設けた貫通孔36に繋がるように接合部材45で接合された排気管44とを備えたプラズマディスプレイパネルであって、背面パネル30の貫通孔36は、背面パネル30の外側の径が排気管44の外径より大きいとともに、放電空間側の径が排気管44の外径より小さくなるようなテーパー面37を持つ形状とし、かつ排気管44は、少なくとも先端面において、貫通孔36のテーパー面37に接合部材45により接合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流面放電型のプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と略記する)は、視認性に優れた薄型の表示デバイスとして注目されている。その中でも、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、交流面放電型のPDPが主流となっている。
【0003】
PDPの製造工程では、まず前面パネルと背面パネルとをシール部材で封着するとともに、背面パネルに設けた貫通孔と排気管との位置を合わせ、背面パネルと排気管とを接合する。その後前面パネルと背面パネルとに囲まれた空間を排気管を通じて排気し、放電ガスを封入する。最後に排気管を封止してPDPを作製する。
【0004】
しかし、一般的なガラス管を切断しただけの直管の排気管は口径が小さく、貫通孔との位置合わせが非常に困難であった。そのため、排気管と貫通孔との位置を合わせる様々な方法が検討されていた。
【0005】
図10は、従来のPDPの一例を示す図で、排気管が接合された位置での拡大断面図である。この図10に示す例は、背面パネル100に設けたテーパー状の貫通孔101に直管の排気管102を嵌め込み、その周囲に接合材103を塗布して接合した構成である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図11は、従来のPDPの他の例を示す図で、排気管が接合された位置での拡大断面図である。この図11に示す例は、背面パネル200に設けた貫通孔201の周辺部に、一端をフレアー状に加工した排気管202を当接させ、フリットタブレット203を用いて排気管202の周囲を背面パネル200に接合した構成である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−15299号公報
【特許文献2】特開2000−82410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのようなPDPにおいて、低コストで、組立ての容易な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のPDPは、表示電極対が形成された前面パネルと、前面パネルと放電空間を挟んで対向配置されかつデータ電極が形成された背面パネルと、背面パネルに設けた貫通孔に繋がるように接合部材で接合された排気管とを備えたPDPであって、背面パネルの貫通孔は、背面パネルの外側の径が排気管の外径より大きいとともに、放電空間側の径が排気管の外径より小さくなるようなテーパー面を持つ形状とし、かつ排気管は、少なくとも先端面において、貫通孔のテーパー面に接合部材により接合したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の製造方法は、表示電極対が形成された前面パネルと、前面パネルと放電空間を挟んで対向配置されかつデータ電極が形成された背面パネルと、背面パネルに設けた貫通孔に繋がるように接合部材で接合された排気管とを備えたPDPの製造方法であって、背面パネルに、背面パネルの外側の径が排気管の外径より大きいとともに、放電空間側の径が排気管の外径より小さくなるようなテーパー面を持つ形状の貫通孔を形成し、排気管の少なくとも先端面に接合部材を付着させた後、排気管の先端面を貫通孔のテーパー面に当接させ、その状態で接合部材を溶融させるとともに固化させることにより排気管を貫通孔に接合部材で接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、直管の排気管を用いて、容易に排気管を接合することができ、低コストで組立ての容易なPDPを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態におけるPDPの分解斜視図である。
【図2】同PDPの背面図である。
【図3】同PDPにおいて、排気管が接合された状態を示す拡大断面図である。
【図4】同PDPの製造方法を示すフローチャートである。
【図5】同PDPの背面基板に設けられた貫通孔の拡大断面図である。
【図6】同PDPの製造方法において、排気管作製工程後の排気管の一方の先端部の拡大断面図である。
【図7】同PDPの製造方法において、封着装置を示す模式図である。
【図8】同PDPの製造方法において、排気管を貫通孔に当接した状態を示す拡大断面図である。
【図9】同PDPの製造方法において、排気管封止工程を示す拡大断面図である。
【図10】従来のPDPの一例を示す拡大断面図である。
【図11】従来のPDPの他の例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態におけるPDPおよびその製造方法について、図1〜図9の図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態におけるPDP10の分解斜視図である。PDP10は、表示電極対が形成された前面パネル20と、前面パネル20と放電空間を挟んで対向配置され、かつデータ電極が形成された背面パネル30とから構成されている。
【0015】
前面パネル20は、ガラス製の前面基板21上に走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24を複数形成して構成されている。走査電極22は、酸化インジウムスズ(ITO)からなる幅の広い透明電極22aの上に、銀を含む幅の狭いバス電極22bを積層して形成されている。維持電極23も同様に、幅の広い透明電極23aの上に幅の狭いバス電極23bを積層して形成されている。バス電極22b、23bは導電性を高めるために設けられている。そして表示電極対24を覆うように誘電体層25が形成され、誘電体層25上に保護膜26が形成されている。誘電体層25は酸化ビスマス系の低融点ガラスで形成されている。保護膜26はMgOを主成分とする薄膜層で形成されている。
【0016】
背面パネル30は、ガラス製の背面基板31上にデータ電極32を複数形成して構成されている。そしてデータ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、誘電体層33上に井桁状の隔壁34が形成されている。さらに隔壁34の側面および誘電体層33上に赤色、緑色および青色の各色に発光する蛍光体層35が形成されている。データ電極32は銀を含む導電性の高い材料で形成され、隔壁34は低融点ガラス材料で形成されている。蛍光体層35には、青色の蛍光体材料としてBaMgAl1017:Euが、緑色の蛍光体材料としてZnSiO:Mnが、赤色の蛍光体材料として(Y、Gd)BO:Euがそれぞれ用いられている。
【0017】
放電空間には、放電ガスとしてネオン(Ne)とキセノン(Xe)との混合ガスが封入されている。画像表示領域の放電空間は、図1に示すように隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。これらの各放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
【0018】
図2は、PDP10の背面図である。前面パネル20と背面パネル30とは、放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向して配置されている。その外周はシール部材41によって封着されている。また、画像表示領域に対応する背面パネル30の領域である背面側表示領域42とシール部材41との間の領域である外周域43の隅には、放電空間に繋がるように排気管44が接合されている。
【0019】
図3は、PDP10において、排気管44が接合された状態を示す拡大断面図である。
【0020】
背面パネル30には、背面パネル30の外側の径L1が排気管44の外径L3より大きいとともに、放電空間側の径L2が排気管44の外径L3より小さくなるようなテーパー面37を持つ形状の貫通孔36が形成されている。そして、一端が封止された排気管44の先端部の側面44aおよび先端面44bが貫通孔36のテーパー面37に位置合わせされて、接合部材45により接合され、これにより排気管44が貫通孔36を通して放電空間に繋がっている。なお、図3に示す例では、排気管44の先端部の側面44aおよび先端面44bが貫通孔36のテーパー面37に位置合わせされて、接合部材45により接合されているが、排気管44の少なくとも先端面44bが貫通孔36のテーパー面37に接合部材45により接合されていればよく、さらには接合部材45が貫通孔36から食み出していてもよい。
【0021】
ここで、シール部材41および接合部材45としては、Bi:60重量%、B:15重量%、SiO:10重量%、ZnO:15重量%の組成を有するガラスペーストが用いられている。また、排気管44としては、外径L3が5mm程度、内径L4が3mm程度、管厚L5が1mm程度の一般的な直管のガラス管を所定の長さで切断して用いることができる。
【0022】
なお、上記実施の形態で示したPDP10の構造、材料等は一例に過ぎず、上述のものに限定されるものではない。例えば、透明電極22a、23aは酸化スズ(SnO)、バス電極22b、23bはアルミニウム薄膜やCr/Cu/Cr積層薄膜であってもよい。また、貫通孔36の背面パネル30の外側の径L1は、排気管44の外径L3より大きければよいが、排気管44の外径L3、内径L4と、貫通孔36の径L1、L2との関係は、L1>L3>L4>L2となるように設定しておくことが望ましい。これにより、排気管44と貫通孔36との位置ずれを補正して、貫通孔36と排気管44との接合部分からパネル内部に封入した放電ガスが漏れるのを防ぐことができる。特に、貫通孔36の背面パネル30の外側の径L1は、貫通孔36の放電空間側の径L2と、排気管の外径L3と、排気管の管厚L5とを足し合わせた長さより大きいとさらに望ましい。つまり、L1>(L2+L3+L5)に設定することが望ましい。
【0023】
図4は、PDP10の製造方法を示すフローチャートである。本実施の形態におけるPDP10の製造方法は、前面パネル作製工程、背面パネル作製工程、排気管作製工程、封着工程、排気・放電ガス供給工程、排気管封止工程を有する。以下、PDP10の製造方法についてこのフローチャートに沿って説明する。
【0024】
(前面パネル作製工程)
前面パネル作製工程は、前面基板21上に表示電極対24と誘電体層25と保護膜26とを順に積層させて前面パネル20を作製する工程である。
【0025】
まず、表示電極対24を形成する。真空蒸着法を用いてITOの薄膜を前面基板21上に形成し、その後エッチングして透明電極22a、23aを形成する。そしてバス電極22b、23b用のペーストを、スクリーン印刷法を用いて透明電極22a、23a上に印刷し、その後焼成してバス電極22b、23bを形成する。このようにして走査電極22および維持電極23からなる表示電極対24を形成する。
【0026】
次に、誘電体層25を形成する。酸化ビスマス系のガラス材料を含むペーストを、走査電極22および維持電極23を覆うようにダイコート法を用いて塗布し、その後、焼成して誘電体層25を形成する。
【0027】
最後に、保護膜26を形成する。MgOを主成分とする粉末を焼結させたペレットを用い、真空蒸着法により誘電体層25上にMgOを積層させて保護膜26を形成する。
【0028】
(背面パネル作製工程)
背面パネル作製工程は、背面基板31に、貫通孔36およびテーパー37を形成する工程と、データ電極32から蛍光体層35までを積層する工程と、シール部材41を形成する工程とを有する。
【0029】
次に、データ電極32から蛍光体層35までを形成する工程について説明する。まずテーパー37を形成した面の裏面に、データ電極32用のペーストをスクリーン印刷法を用いて印刷し、その後焼成してデータ電極32を形成する。そのデータ電極32を覆うように、TiO粒子と誘電体ガラス粒子とを含むペーストをスクリーン印刷法を用いて印刷し、その後焼成して誘電体層33を形成する。その上に、酸化ビスマス系のガラス粒子とフィラーと感光性樹脂とを含むペーストをスクリーン印刷法を用いて印刷し、乾燥させた後、露光、現像、焼成して隔壁34を形成する。最後に隔壁34の間隙に、赤色、緑色および青色の各色の蛍光体材料をラインジェット印刷法を用いて印刷し、その後焼成して各色の蛍光体層35を形成する。
【0030】
次に、背面基板31にテーパー面37を有する貫通孔36を形成する工程について説明する。
【0031】
図5は、背面基板31に設けられた貫通孔36の拡大断面図である。
【0032】
厚さ1.8mmの背面基板31の外周域43の隅に、まず背面基板31の両面側からドリルを用いて直径2mmの貫通孔36を形成する。その後、背面基板31の外側から貫通孔36を中心として直径8mm、深さ1.2mmのテーパー面37を研磨して形成することにより、背面パネル30に排気管44の外径より大きな直径のテーパー面37を有する貫通孔36を形成する。
【0033】
次に、シール部材41を形成する工程について説明する。まずデータ電極32から蛍光体層35までを形成した面の背面パネル30の外周上に、ディスペンス法を用いてガラスペーストを塗布する。その後ガラスペーストの樹脂成分等を除去するために450℃の温度で仮焼成してシール部材41を形成する。
【0034】
(排気管作製工程)
排気管作製工程は、直管のガラス管の先端部に接合部材45を形成して排気管44を作製する工程である。
【0035】
図6は、排気管作製工程後の排気管44の一方の先端部の拡大断面図である。
【0036】
まず、一般的な直管のガラス管を所定の長さに切断する。そのガラス管の一方の先端部をガラスペーストの中に1mm程度浸した後、ガラス管の内部に空気を通す。ガラス管の内部に空気を通すのは、ガラスペーストがガラス管の管口を塞ぐことを防止するためである。このようにして、ガラス管の先端部の側面44aから先端面44bにかけて接合部材45としてのガラスペーストを塗布する。その後、塗布したガラスペーストを450℃の温度で仮焼成する。このようにして図6に示すように、直管のガラス管の先端部に接合部材45を付着させた排気管44を作製する。
【0037】
(封着工程)
封着工程は、前面パネル20と背面パネル30と排気管44との位置を合わせて配置する工程と、前面パネル20と背面パネル30との封着および背面パネル30と排気管44との接合を同時に行う工程とを含む。
【0038】
図7は、封着装置50を示す模式図である。封着装置50は、加熱炉51、ヒータ52、ゲージポート53、配管54、バルブ61、バルブ62、排気装置71、放電ガス供給装置72を有する。ヒータ52は加熱炉51の内部を加熱する。ゲージポート53は加熱炉51内部に設置される排気管44を固定する。ゲージポート53には配管54が接続され、配管54はバルブ61を介して排気装置71に接続されるとともにバルブ62を介して放電ガス供給装置72に接続されている。
【0039】
まず、前面パネル20と背面パネル30と排気管44とを位置合わせして配置する。この場合、接合部材45を形成した先端部を上側にして、排気管44をゲージポート53に固定し、次に、重ね合わせてクリップで固定した前面パネル20と背面パネル30とを排気管44の上部に設置する。その後、前面パネル20と背面パネル30とを降下させ、図8に示すように、背面パネル30の貫通孔36のテーパー面37に排気管44を当接させる。
【0040】
テーパー面37は貫通孔36の中心に向って傾斜しているため、排気管44は、テーパー面37に当接させると、テーパー面37に沿って滑りながら貫通孔36の中心に向って移動する。このように、排気管44の中心が貫通孔36の中心を外れてテーパー面37に当接した場合であっても、排気管44と貫通孔36との位置合わせが自動的に行われる。
【0041】
このようにして、前面パネル20と背面パネル30と排気管44とを位置合わせして加熱炉51内部に配置する。
【0042】
次に、前面パネル20と背面パネル30との封着および背面パネル30と排気管44との接合を同時に行う。
【0043】
図7において、まず、ヒータ52を制御して加熱炉51内部の温度を490℃まで上昇させる。すると、シール部材41が溶融して前面パネル20と背面パネル30とが密着する。また接合部材45が溶融して背面パネル30と排気管44とが密着する。
【0044】
ここで、排気管44の一方の先端部に形成した接合部材45が溶融することで、テーパー面37と排気管44との当接部の摩擦が小さくなる。そのため、たとえ排気管44がテーパー面37との当接部で引っ掛かり排気管44の中心と貫通孔36の中心とがずれたまま配置されていたとしても、接合部材45が溶融するときに、排気管44は貫通孔36の中心に向って移動する。したがって、貫通孔36の外側の径を大きくして、テーパー面37の傾斜を緩やかな形状のものとしても、排気管44がテーパー面37に引っ掛かり位置合わせができなくなるというおそれがない。
【0045】
その後、ヒータ52をオフにして加熱炉51内部の温度を400℃まで下げ、シール部材41および接合部材45を固化させる。このようにして背面パネル30に排気管44を接合部材45で接合するとともに、前面パネル20と背面パネル30とを封着する。
【0046】
(排気・放電ガス供給工程)
排気・放電ガス供給工程は、PDP10の内部の放電空間を排気した後、放電ガスを充填する工程である。
【0047】
まず、バルブ61を開いて放電空間の内部を排気しながら、ヒータ52を制御して加熱炉51内部の温度を400℃にする。そして加熱炉51内部の温度を400℃に保持しながら排気を数時間継続する。その後ヒータ52をオフにして加熱炉51内部の温度を室温まで低下させる。
【0048】
次に、バルブ62を開いてNeおよびXeを主成分とする放電ガスを供給する。放電ガスを充填した後、バルブ62を閉じる。
【0049】
(排気管封止工程)
排気管封止工程は、放電ガスを放電空間の内部に密封するために、放電ガス充填後に排気管44を封止する工程である。
【0050】
図9(A)は、排気管封止工程の開始時点において排気管44が接合された位置での拡大断面図であり、図9(B)は、同排気管封止工程の中間時点における拡大断面図であり、図9(C)は、同排気管封止工程の終了時点における拡大断面図である。
【0051】
放電ガス充填後、排気管44を引っ張りながら、排気管44の封止する箇所の外周をガスバーナ81で加熱する(図9(A))。すると排気管44が軟化し、熱した箇所が上下に延びて細くなる。さらに加熱し続けると、排気管44の内部の表面が接触して融合する。融合した箇所はさらに延びて細くなった後、切断される(図9(B))。そして切断された端部は、溶融したガラスの表面張力により曲面を有した突起状に封止される(図9(C))。以上のようにして、PDP10が完成する。
【0052】
なお、上述した各工程で使用した方法、材料等は一例に過ぎず、上述のものに限定されるものではない。例えば、真空蒸着法の代わりにスパッタリング法やCVD法を用いて電極等の薄膜を形成してもよい。また、サンドブラスト法、ウェットエッチング法、感光性隔壁形成法、転写法、埋め込み法、または積層印刷法等を用いて隔壁34を形成してもよい。
【0053】
また封着工程では、前面パネル20と背面パネル30とを重ね合わせて固定し、排気管44の上部から背面パネル30の貫通孔36のテーパー面37を当接させた。しかし前面パネル20の上に背面パネル30を重ね、背面パネル30の貫通孔36のテーパー面37の上部から排気管44を当接させてもよい。
【0054】
以上のように本実施の形態のPDPにおいては、背面パネル30の貫通孔36は、背面パネル36の外側の径が排気管44の外径より大きいとともに、放電空間側の径が排気管44の外径より小さくなるようなテーパー面37を持つ形状とし、かつ排気管44は、少なくとも先端面44bにおいて、貫通孔36のテーパー面37に接合部材45により接合した。これにより、排気管44が貫通孔36のテーパー面37に当接すると、排気管44は貫通孔36の中心に向けて滑って移動することとなり、排気管44と貫通孔36とを正確に位置合わせして接合部材45により接合することが可能となる。
【0055】
また、予め排気管44の少なくとも先端面44bに接合部材45を付着させた後、排気管44の先端面44bを背面パネル30の貫通孔36のテーパー面37に当接させ、その状態で接合部材45を溶融させるとともに固化させることにより貫通孔36のテーパー面に接合部材45で排気管44を接合している。そのため、排気管44の先端部がテーパー面37で引っ掛かって留まり、貫通孔36との位置がずれたまま配置された場合であっても、封着工程の際に接合部材45が溶融し、貫通孔36のテーパー面37と排気管44との当接部の摩擦が小さくなるため、排気管44が貫通孔36の中心に向けて滑って移動する。これによりフレアー状に加工した排気管を用いることなく、排気管44と貫通孔36との確実な位置合わせが可能となる。
【0056】
また、排気管44の一方の先端部に予め接合部材45を付着させていることで、背面パネル30と排気管44とは、接合部材45が排気管44の外側に大きく広がることなく、小さな領域で確実な接合が可能となる。
【0057】
このように、本発明によれば、排気管44として、安価な直管のガラス管を用いて小さな領域で確実な接合が可能となる。そのため、コストの削減が可能となるとともに、画像表示領域の比率を低下させることなく、排気管44と貫通孔36との位置合わせ裕度を大きくして、背面パネル30に排気管44を確実に接合することができる。さらに上述したように組立ても容易に行うことができるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、低コストで組立ての容易なPDPを提供する上で有用である。
【符号の説明】
【0059】
10 PDP
20 前面パネル
21 前面基板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25 誘電体層
26 保護膜
30 背面パネル
31 背面基板
32 データ電極
33 誘電体層
34 隔壁
35 蛍光体層
36 貫通孔
37 テーパー面
41 シール部材
42 背面側表示領域
43 外周域
44 排気管
45 接合部材
50 封着装置
51 加熱炉
52 ヒータ
53 ゲージポート
54 配管
61,62 バルブ
71 排気装置
72 放電ガス供給装置
81 ガスバーナ
100,200 背面パネル
101,201 貫通孔
102,202 排気管
103 接合材
203 フリットタブレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示電極対が形成された前面パネルと、前記前面パネルと放電空間を挟んで対向配置されかつデータ電極が形成された背面パネルと、前記背面パネルに設けた貫通孔に繋がるように接合部材で接合された排気管とを備えたプラズマディスプレイパネルであって、前記背面パネルの貫通孔は、背面パネルの外側の径が前記排気管の外径より大きいとともに、前記放電空間側の径が前記排気管の外径より小さくなるようなテーパー面を持つ形状とし、かつ前記排気管は、少なくとも先端面において、前記貫通孔のテーパー面に前記接合部材により接合したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
表示電極対が形成された前面パネルと、前記前面パネルと放電空間を挟んで対向配置されかつデータ電極が形成された背面パネルと、前記背面パネルに設けた貫通孔に繋がるように接合部材で接合された排気管とを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記背面パネルに、背面パネルの外側の径が前記排気管の外径より大きいとともに、前記放電空間側の径が前記排気管の外径より小さくなるようなテーパー面を持つ形状の貫通孔を形成し、前記排気管の少なくとも先端面に前記接合部材を付着させた後、
前記排気管の先端面を前記貫通孔のテーパー面に当接させ、その状態で前記接合部材を溶融させるとともに固化させることにより前記貫通孔のテーパー面に前記排気管を前記接合部材で接合することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−243429(P2011−243429A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114909(P2010−114909)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】