説明

プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造用チャンバー

【課題】PDPのパネル厚程度まで薄型化が可能なパネルの構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】PDPの前面側ガラス基板1と接触する背面側ガラス基板2の面にガス導入穴4を設ける。このガス導入穴4を介して、真空引き、放電ガスの導入を行う。放電ガスの導入後、チャンバー内のハンダコテ昇降・ハンダ供給機構が超音波ハンダゴテの先端をガス導入穴4に挿入し、封止材5の材料となるハンダの供給を開始する。封止材5の形成処理が一通り終われば、ハンダの固化前に超音波ハンダゴテを抜いて封止材の形成を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示用デバイスとして用いられるプラズマディスプレイパネルの構造、及びその製造用のチャンバーに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、大画面化に好適なフルカラー表示装置として注目されると共に、広く一般に普及した製品である。特に三電極面放電型のAC型PDPは、表示側のガラス基板(前面側ガラス基板)上に面放電を発生する複数の表示電極対をITOなどで構成する。また背面側のガラス基板(背面側ガラス基板)には、その表示電極対と表示領域から見て直交するアドレス電極及びそれを被覆する蛍光体層を形成する。
【0003】
前面側ガラス基板と背面側ガラス基板は低融点ガラスシールにより封入されており、背面側ガラス基板に設けられたガス導入管から放電ガスを導入後このガス導入管を封止し、切断している(図9#A参照)。
【0004】
特開2005−303065号公報(特許文献1)には、不活性ガス雰囲気下において気密溶接を行うことで、真空パッケージを製造する手段が記載されている。
【0005】
特開2004−296308号公報(特許文献2)には、背面側板ガラスを貫通する穴に一端が埋め込まれる排気管を備え、この排気管を通して減圧する旨が記載されている。
【0006】
特開2000−149791号公報(特許文献3)には、平面型表示装置の気密に際し、排気孔を塞ぐ排気管を取り付け、排気管から排気をした後に排気孔を塞ぐ手段が開示されている。特開平11−240739号公報(特許文献4)にも同様の記載がある。
【0007】
特開平11−326037号公報(特許文献5)には、貫通孔を通して真空にした後に隙間中にゲッタを配置し製造される赤外線検出器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−303065号公報
【特許文献2】特開2004−296308号公報
【特許文献3】特開2000−149791号公報
【特許文献4】特開平11−240739号公報
【特許文献5】特開平11−326037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし上記各特許文献にもそれぞれ問題が存在する。
【0010】
特許文献1記載の技術では、パッケージ側方に開口部を設けるため、前面側ガラス基板と背面側ガラス基板とを張り合わせる構造を持つPDPでは採用しづらい。
【0011】
特許文献2記載の技術では、背面側ガラス基板から突出する排気管の他端を封止する。したがって、PDPの厚みはこの排気管の長さに律則されてしまう問題がある。
【0012】
特許文献3及び4記載の技術では、PDPの構造とは関係の無い排気管の取り付けに際し、フリットガラスなどによる接合を行うため、製造工程が増える問題がある。
【0013】
特許文献5記載の技術でも、密封用の真空封止用ハンダは背面側ガラス基板から突出するため、特許文献2同様の問題があった。
【0014】
本発明の目的は、PDPのパネル厚程度まで薄型化が可能なパネルの構造及びその製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0017】
本発明の代表的な実施の形態に関わるプラズマディスプレイパネルは、前面側ガラス基板と、背面側ガラス基板と、を有し、前面側ガラス基板と背面側ガラス基板との間で放電ガスを封止するものであって、放電ガスを導入するための空孔が前面側ガラス基板あるいは背面側ガラス基板に設けられ、背面側ガラス基板と前面側ガラス基板との間で封止材が空孔からの大気の進入を防ぐ形で封着されることを特徴とする。
【0018】
このプラズマディスプレイパネルにおいて、封止材が前面側ガラス基板あるいは背面側ガラス基板の露出面より突出しないことを特徴としても良い。
【0019】
また、このプラズマディスプレイパネルにおいて、封止材はシールの封着温度または保護膜の活性化温度以下で固化・溶融するハンダを材料にすることを特徴としても良い。
【0020】
このプラズマディスプレイパネルにおいて、前面側ガラス基板または背面側ガラス基板のいずれかの放電ガスが充填される側の面に土手が設けられることを特徴としても良い。
【0021】
このプラズマディスプレイパネルにおいて、土手は該プラズマディスプレイパネルの表示領域に封止材が漏出することを防止するためのものであることを特徴としても良い。
【0022】
本発明の代表的な実施の形態に関わるプラズマディスプレイパネルは、前面側ガラス基板と、背面側ガラス基板と、前面側ガラス基板と背面側ガラス基板との間で放電ガスを封止するシール材と、を有するものであって、放電ガスを導入するための溝がシール材に設けられ、背面側ガラス基板と前面側ガラス基板との間で封止材が空孔からの大気の進入を防ぐ形で封着されることを特徴とする。
【0023】
本発明の代表的な実施の形態に関わるプラズマディスプレイパネルの製造用チャンバーは、前面側ガラス基板と、背面側ガラス基板と、を有し、前面側ガラス基板と背面側ガラス基板との間で放電ガスを封止するものであって、放電ガスを導入するための空孔が前面側ガラス基板あるいは背面側ガラス基板に設けられ、空孔から真空引きすると共に放電ガスを導入する排気・放電ガス導入・放電ガス回収機構と、空孔にハンダを導入・過熱し封止材を形成するハンダコテ昇降・ハンダ供給機構と、を有することを特徴とする。
【0024】
このプラズマディスプレイパネルの製造用チャンバーのハンダコテ昇降・ハンダ供給機構は超音波ハンダコテを含み、超音波ハンダコテの過熱部の一部あるいは全部の径が空孔の内径より小さく、ハンダコテ昇降・ハンダ供給機構は、超音波ハンダコテの過熱部を空孔に挿入してハンダを供給することを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0025】
本発明のPDPにより、ガス導入管または排気管が不要となり、パネルの厚みを前面側ガラス基板、背面側ガラス基板及びそれらの封止用の低融点ガラスシールの厚みにすることが可能となる。
【0026】
また、PDPの構造とは関係の無い排気管やその取り付け工程・設備が不要となる為、コストの低減が期待できる。
【0027】
また、排気・ガス導入用の穴を必ずしも背面側ガラス基板に設ける必要は無く、パネル設計の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に関わる構造を用いたAC型PDPの上面透視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に関わる構造を用いた封止前のAC型PDPの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に関わる構造を用いた封止後のAC型PDPの断面図である。
【図4】本発明に関わるチャンバーの構造を表す概念図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるハンダの導入方法の一例を表す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に関わる構造を用いたAC型PDPの別の上面透視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に関わる構造を用いたAC型PDPの上面透視図である。
【図8】(a)は本発明に関わる構造を用いた封止前のAC型PDPの断面図である。(b)は本発明に関わる構造を用いた封止後のAC型PDPの断面図である。
【図9】従来のAC型PDPの構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に関わる構造を用いたAC型PDPの上面透視図である。また、図2は本発明の第1の実施の形態に関わる構造を用いた封止前のAC型PDPの断面図である。図2の断面図は、図1のA−a断面のものである。図3は本発明の第1の実施の形態に関わる構造を用いた封止後のAC型PDPの断面図である。
【0031】
このAC型PDPは、前面側ガラス基板1、背面側ガラス基板2、シール3、ガス導入穴4、封止材5(図3に図示)を含んで構成される。
【0032】
前面側ガラス基板1は、表示装置としてのプラズマディスプレイテレビの表示面となるガラス基板である。この前面側ガラス基板1にはITO及び金属電極で作成された表示電極対、誘電体層、該誘電体層を保護する保護膜などから構成されているが、本発明とは直接関連性が無いのでこれらの図示は省略する。
【0033】
背面側ガラス基板2は、アドレス電極及び誘電体層、放電空間を仕切るリブ、リブ間に設けられた蛍光体などから構成されるガラス基板である。これらの個々の構成要素も図示は省略する。
【0034】
シール3は、前面側ガラス基板1及び背面側ガラス基板2を気密封止するシールである。シール3は表示面から見ると、前面側ガラス基板1と背面側ガラス基板2の重複箇所の外周に配置される。
【0035】
ガス導入穴4は、前面側ガラス基板1あるいは背面側ガラス基板2に予め設けられた空孔である。シール3による前面側ガラス基板1及び背面側ガラス基板2の封止後、このガス導入穴4を通して放電ガスがPDP内に充填される。
【0036】
このガス導入穴4は、前面側ガラス基板1あるいは背面側ガラス基板2のシール3に密閉される領域の中に位置する空孔である。ただし、表示領域6にはリブなどの構造物が存在するため、表示領域6の周りに存在することとなる。
【0037】
図3に図示する封止材5は、PDP内部に充填した放電ガスを密閉するための1種類または2種類以上の金属を用いた合金(ハンダ)である。
【0038】
次に、このPDPの製造過程について説明する。なお、前面側ガラス基板1と背面側ガラス基板2のシール3による封着は従来どおりであるので省略する。ただし、この封着機構を図4のチャンバー本体100内に設置し、同チャンバー内で封止しても良い。
【0039】
この前面側ガラス基板1及び背面側ガラス基板2がシール3により封着されたPDP(封止材5による封止は未実施の物)を、1)真空引きする機構と、2)放電ガスを導入する機構と、3)超音波ハンダコテによりガス導入穴4を封着する機構と、を有するチャンバーに設置する。
【0040】
図4は本発明に関わるチャンバーの構造を表す概念図である。
【0041】
上述の通り、このチャンバー内には、前面側ガラス基板1及び背面側ガラス基板2がシール3により封着されたPDP200が設置される。
【0042】
このチャンバーは、チャンバー本体100、ロードロック室101、102、ゲートバルブ103、104、排気・放電ガス導入・放電ガス回収機構105、ハンダコテ昇降・ハンダ供給機構106を含んで構成される。なおこの図では、PDP200をチャンバー内に導入する機構及びチャンバー内で保持する機構、PDP200のガラス基板を過熱する機構、常温に戻した際に所望の圧力になるようにチャンバー内のガス圧を制御する機構などは省略している。これらは、一般に用いられている方法でよい。
【0043】
ロードロック室101、102はPDP設置時に、チャンバー内を真空に保ちながらチャンバー内に大気を入れずにPDPを出し入れするための装置である。
【0044】
ゲートバルブ103、104はロードロック室101、102が真空状態になった後にチャンバー本体100にPDPを挿抜するためのバルブ機構である。
【0045】
排気・放電ガス導入・放電ガス回収機構105はチャンバー本体100の排気(真空引き)、真空引き終了後の放電ガスのチャンバー内への導入、封止材5固定後の放電ガスの回収などを行うポンプ等である。
【0046】
ハンダコテ昇降・ハンダ供給機構106は、超音波ハンダコテ8の昇降(Z軸)、ハンダの供給、などを行う駆動部品である。気密を保持できれば超音波ハンダコテ8の微調整機構(XY軸)などもあってよい。
【0047】
次に、チャンバー内での処理について説明する。
【0048】
作業者はロードロック室101に連結した図示しない封着室で、パネルの周囲をシールガラスによってシール3を形成し気密すると共に、350℃程度まで真空加熱することで保護膜の活性化処理を行う。シール3の材料として低融点ガラスを用いる際には450℃程度まで過熱される。
【0049】
作業者は冷却後ロードロック室101を通して、PDP200をチャンバー本体100に導入する。
【0050】
PDP200の固定後は、作業者は排気・放電ガス導入・放電ガス回収機構105を用いてチャンバー内を真空引きし、所望の真空度(本実施例では1.0×10−5Pa以下)まで達した後に放電ガスを所望の圧力(本実施の形態では500Torr)まで導入する。
【0051】
その後、作業者はハンダコテ昇降・ハンダ供給機構106を用いて超音波ハンダコテ8の先端がガス導入穴4に入る位置まで移動させる。図5は本発明の第1の実施の形態におけるハンダの導入方法の一例を表す図である。
【0052】
本実施の形態のやり方では、ガス導入穴4よりも小さい径の超音波ハンダコテ8をチャンバー内に用意する。この超音波ハンダコテ8をガス導入穴4に差し込むようにしてハンダを溶解することで、平坦な先端の超音波ハンダコテを背面側ガラス基板2の外部に押し当てた場合と比較して、より接着強度を高めることが可能となる。
【0053】
このガス導入穴4に導入するハンダを増やすと、図3のようにガス導入穴4と対向する位置の前面側ガラス基板1に溶融したハンダが到達し、更にハンダを供給するとガス導入穴4の周囲の前面側ガラス基板1及び背面側ガラス基板2との間にハンダが広がっていく。このハンダの供給量を調整することで、封止材5が背面側ガラス基板2の露出面から盛り上がることなく封止することが可能となる。
【0054】
本実施の形態では、ハンダコテの先端は十分ハンダが溶ける温度になるように250℃程度に加熱されている。ハンダコテ昇降・ハンダ供給機構106により、ハンダコテの先端からスズSn―鉛Pb―インジウムIn系でインジウムInの量を調整して180℃程度で溶融するよう調整したハンダを所望の量だけガス導入穴4に供給する。その際、ハンダの供給と共に60KHz、10Wの超音波を投入する。このようにしてハンダが固化し、封止材5が形成される。
【0055】
なお、シール3の封着温度には上述の通り、素材によって350℃から450℃までの幅がある。上記では180℃としたが、封止材5を形成するハンダの固化・溶融温度はシール3の材料の封着温度以下、あるいは保護膜の活性化温度以下となるように調整する。また、ガラス基板の加熱が無くてもガラス基板が割れることの無いように温度の調整を行うことが望ましいが、ガラス基板が割れないように加温しても良い。
【0056】
ハンダの投入及び封止材5の形成の一連の処理が終われば、ハンダコテ昇降・ハンダ供給機構106によりハンダコテをPDP200から離す。なお、ハンダが固化すると超音波ハンダコテ8が挿抜できなくなるので、超音波ハンダコテ8を抜くタイミングは工程設計時に詰める必要がある。
【0057】
ハンダが固化した後に、チャンバー本体100内の放電ガスを排気・放電ガス導入・放電ガス回収機構105を用いて回収する。
【0058】
その後、ロードロック室102を経由してPDP200を取り出す。なお、ラインの都合で、このチャンバーにはロードロック室及びゲートバルブが2セット用意されているが、1セットであっても実用上の問題は無い。
【0059】
以上のようにすることで、本発明の目的であるPDPのパネル厚程度まで薄型化をすることが可能となる。
【0060】
なお、封止材5に用いられるハンダの選定条件に、前面側ガラス基板1の表示電極対、背面側ガラス基板2上のアドレス電極にショートなどの悪影響を及ぼさないことが含まれることはいうまでも無い。
【0061】
また、上記説明では背面側ガラス基板2に設けられたガス導入穴4を用いて真空引きなどを行っていた。しかし、必ずしもこれには拘らない。本発明により基板ガラスから突出する部分が無いので、ガス導入穴4が前面側ガラス基板にあっても良い。また、図6は、本発明の第1の実施の形態に関わる構造を用いたAC型PDPの別の上面透視図である。この図ではガス導入穴4の代わりにシール3の切断箇所4bを設けている。この切断箇所4bから真空引きなどを行い、ハンダを供給してもよい。
【0062】
また、前面側ガラス基板1及び背面側ガラス基板2はガラス製には限らない。放電ガスの気密という機能を維持できれば他の素材であっても良い。また、前面側ガラス基板1は表示可能なように透過性を有することが条件となり、背面側ガラス基板2は、構造的な強度を有することが条件となるであろうが、将来的に適用される素材が何であっても本発明を適用することは可能である。
【0063】
また上記では封止材5にハンダを使用する旨説明した。しかし、これに捉われるものではない。機密性を有するのであれば前面側ガラス基板1及び背面側ガラス基板2の接合に適用可能な他の材料で封止材5を構成しても良い。
【0064】
さらには上記の実施の形態では封止材5の材料としてハンダを充填する際に、前面側ガラス基板1及び背面側ガラス基板2の間で双方に接触する形での充填を想定した。しかし、ガス導入穴4のみが塞がる形、すなわち前面側ガラス基板1にハンダが到達しない形で構成しても良い。
【0065】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について図を用いて説明する。
【0066】
第1の実施の形態では、ガス導入穴4に供給するハンダは供給後の制約は特に無かった。したがって、供給量の加減に失敗すると、表示領域6に関連する構造体(背面側ガラス基板2上のリブなど)にハンダが流れ込む虞もある。
【0067】
この実施の形態では、それを防止する構成を提案する。
【0068】
図7は本発明の第2の実施の形態に関わる構造を用いたAC型PDPの上面透視図である。また、図8(a)は本発明に関わる構造を用いた封止前のAC型PDPの断面図である。図8(b)は本発明に関わる構造を用いた封止後のAC型PDPの断面図である。
【0069】
図7に見るように、本実施の形態では表示領域6の近傍に背面側ガラス基板2に設けた図示しないリブと同じ高さ、もしくはそれより低い高さの土手7を予め形成しておく。
【0070】
本実施の形態では、土手7は前面側ガラス基板1に設けられている(図8(a)参照)。しかし、背面側ガラス基板2の図示しないリブの構成と同時に背面側ガラス基板2上に設けても良い。また、シール3の材料により、シール3形成と同時に土手7を形成しても良い。
【0071】
これによりハンダの広がりを止める、もしくは所定の方向に制約を掛けることが可能となる(図8(b)参照)。
【0072】
なお、上記では土手7はガス導入穴4と表示領域6の間に直線状に置かれているが、必ずしもこれに拘るものではない。例えば、ガス導入穴4の周囲を囲むように配置しても問題は無い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
上記ではプラズマディスプレイパネルの製造について説明した。しかしこれだけには限られず、真空気密を必要とする表示デバイス、例えば封止を必要とする有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)への適用も可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…前面側ガラス基板、2…背面側ガラス基板、3…シール、
4…ガス導入穴、4b…切断箇所、5…封止材、6…表示領域、7…土手、
8…超音波ハンダコテ、100…チャンバー本体、
101、102…ロードロック室、103、104…ゲートバルブ、
105…排気・放電ガス導入・放電ガス回収機構、
106…ハンダコテ昇降・ハンダ供給機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側ガラス基板と、背面側ガラス基板と、を有し、前記前面側ガラス基板と前記背面側ガラス基板との間で放電ガスを封止するプラズマディスプレイパネルであって、
前記放電ガスを導入するための空孔が前記前面側ガラス基板あるいは前記背面側ガラス基板に設けられ、
前記背面側ガラス基板と前記前面側ガラス基板との間で封止材が前記空孔からの大気の進入を防ぐ形で封着されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記封止材が前記前面側ガラス基板あるいは前記背面側ガラス基板の露出面より突出しないことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記封止材はシールの封着温度または保護膜の活性化温度以下で固化・溶融するハンダを材料にすることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記前面側ガラス基板または前記背面側ガラス基板のいずれかの前記放電ガスが充填される側の面に土手が設けられることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
請求項4記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記土手は該プラズマディスプレイパネルの表示領域に封止材が漏出することを防止するためのものであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
前面側ガラス基板と、背面側ガラス基板と、前記前面側ガラス基板と前記背面側ガラス基板との間で放電ガスを封止するシール材と、を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記放電ガスを導入するための溝が前記シール材に設けられ、
前記背面側ガラス基板と前記前面側ガラス基板との間で封止材が空孔からの大気の進入を防ぐ形で封着されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
前面側ガラス基板と、背面側ガラス基板と、を有し、前記前面側ガラス基板と前記背面側ガラス基板との間で放電ガスを封止するプラズマディスプレイパネルの製造用チャンバーであって、
前記放電ガスを導入するための空孔が前記背面側ガラス基板に設けられ、
該プラズマディスプレイパネルの製造用チャンバーは、前記空孔から真空引きすると共に前記放電ガスを導入する排気・放電ガス導入・放電ガス回収機構と、
前記空孔にハンダを導入・過熱し封止材を形成するハンダコテ昇降・ハンダ供給機構と、を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造用チャンバー。
【請求項8】
請求項7のプラズマディスプレイパネルの製造用チャンバーにおいて、
前記ハンダコテ昇降・ハンダ供給機構は超音波ハンダコテを含み、前記超音波ハンダコテの過熱部の一部あるいは全部の径が前記空孔の内径より小さく、
前記ハンダコテ昇降・ハンダ供給機構は、前記超音波ハンダコテの過熱部を前記空孔に挿入してハンダを供給することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造用チャンバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−187330(P2011−187330A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51972(P2010−51972)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【出願人】(503411576)株式会社次世代PDP開発センター (65)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】