説明

プラズマディスプレイパネル用誘電体材料

【課題】 600℃以下の温度で焼成することができ、焼成時に分相せず、Ag電極との反応による黄変が少なく、高い透過率と低い誘電率を有する誘電体層を得ることが可能なプラズマディスプレイパネル用誘電体材料及びそれを用いて形成された誘電体層を備えてなるプラズマディスプレイパネル用ガラス板を提供することである。
【解決手段】 本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料は、B−SiO系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体材料であって、該ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、B 26〜45%、SiO 42超〜57%、Al 1〜8%、NaO 0〜10%、KO 1〜15%、NaO+KO 4〜20%、ZnO 0〜5%、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0〜6%含有するガラスからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル用誘電体材料、それを用いて形成された誘電体層を備えてなるプラズマディスプレイパネル用ガラス板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは、自己発光型のフラットパネルディスプレイであり、軽量薄型、高視野角等の優れた特性を備えており、また大画面化が可能であることから、急速に市場が拡大している。
【0003】
プラズマディスプレイパネルは、前面ガラス基板と背面ガラス基板とが一定の間隔で対向しており、その周囲が封着ガラスで気密封止された構造を有している。尚、前面ガラス基板の外面側には、前面ガラス基板を保護するための保護板が貼り付けられ、保護板の上にはカラーフィルタが取り付けられている。また、パネル内部にはNe、Xe等の希ガスが充填されている。
【0004】
上記用途に供される前面ガラス基板には、プラズマ放電用の走査電極が形成され、その上には走査電極を保護するために、10〜40μm程度の誘電体層(透明誘電体層)が形成されている。
【0005】
また、背面ガラス基板には、プラズマ放電の位置を定めるためのアドレス電極が形成され、その上にはアドレス電極を保護するために、10〜20μm程度の誘電体層(アドレス電極保護誘電体層)が形成されている。更に、アドレス電極保護誘電体層上には、放電のセルを仕切るために隔壁が形成され、また、セル内には、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体が塗布されており、プラズマ放電を起こして紫外線を発生させることにより、蛍光体が刺激されて発光する仕組みになっている。
【0006】
一般に、プラズマディスプレイパネルの前面ガラス基板や背面ガラス基板には、ソーダライムガラスや高歪点ガラスが使用されており、走査電極やアドレス電極には、安価なAgやCr−Cu−Crからなる材料が広く用いられている。電極を形成したガラス基板への誘電体層の形成にあたっては、ガラス基板の変形を防止し、電極との反応による特性の劣化を抑えるために、500〜600℃程度の温度域で焼成する方法が採られている。それ故、誘電体材料には、ガラス基板の熱膨張係数に適合し、500〜600℃で焼成でき、しかも、電極と反応しないことが求められている。
【0007】
また、透明誘電体層においては、上記特性に加え、高い透明性を有することも求められるため、透明誘電体層を形成するための誘電体材料には、焼成時に泡が抜けやすいことも求められている。
【0008】
上記の要求特性を満たすものとして、特許文献1に示すようなPbO−B−SiO系の鉛ガラス粉末を含む誘電体材料が使用されてきたが、近年、環境保護の高まりや環境負荷物質の使用削減の動きから、特許文献2に示すようなZnO−B−SiO系非鉛ガラス粉末を含む誘電体材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−60272号公報
【特許文献2】特開2008−60064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近年のエコ指向の流れから、プラズマディスプレイパネルにおいても低消費電力化が大きな課題となってきており、より低い誘電率を有する誘電体層が強く求められている。
【0011】
誘電体層の誘電率を低下させる方法として、比較的容易にガラスの低融点化が可能なZnO−B−SiO系非鉛ガラスにおいて、B、SiOを多く含有させ、ZnOの含有量を少なくすることが考えられる。
【0012】
しかしながら、ZnO−B−SiO系非鉛ガラスにおいて、B、SiOを多く含有させ、ZnOの含有量を少なくすると、ガラスの軟化点が上昇し、600℃以下の温度での焼成が難しくなるという問題が発生する。また、ガラスの耐候性が低下したり、ガラスが不安定となることがあり、焼成中にガラスが分相し、高い透過率を有する誘電体層が得られない場合がある。
【0013】
そこで、この組成系のガラスにおいて、ガラスの軟化点を低下させるために、NaOやKOのアルカリ金属酸化物を多く含有させることが考えられるが、このガラス粉末をペースト化して焼成すると、ガラス膜(誘電体層)中に泡が多く残存し、高い透過率を有する誘電体層が得られないという問題が生じる。また、電極材料としてAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄変し、画像が見難くなる問題が生じる。
【0014】
特に、近年、プラズマディスプレイパネルは、高いコントラストの品位が求められており、透過率が高く、黄変の少ない誘電体層が求められている。
【0015】
本発明の目的は、600℃以下の温度で焼成することができ、焼成時に分相せず、Ag電極との反応による黄変が少なく、高い透過率と低い誘電率を有する誘電体層を得ることが可能なプラズマディスプレイパネル用誘電体材料及びそれを用いて形成された誘電体層を備えてなるプラズマディスプレイパネル用ガラス板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は種々の実験を行った結果、B、SiOの含有量を多く、ZnOの含有量を少なくしたB−SiO系非鉛ガラスにおいて、NaOやKO等のアルカリ金属酸化物及びAlを必須成分として含有させ、その含有量を厳密に制限することで、600℃以下の温度で焼成でき、焼成時における分相を抑え、しかも、Ag電極との反応による黄変が少なく、高い透過率と低い誘電率を有する誘電体層が得られることを見いだし提案するものである。
【0017】
即ち、本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料は、B−SiO系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体材料であって、該ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、B 26〜45%、SiO 42超〜57%、Al 1〜8%、NaO 0〜10%、KO 1〜15%、NaO+KO 4〜20%、ZnO 0〜5%、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0〜6%含有するガラスからなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のプラズマディスプレイパネル用ガラス板は、上記の誘電体材料より形成された誘電体層を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料は、低い誘電率を有し、600℃以下の温度で焼成しやすくなる。また、焼成後のガラス膜中に残存する泡は少なく、Ag電極との反応による変色が起こり難く、高い透過率を有する誘電体層を形成することができる。それ故、プラズマディスプレイパネル用誘電体材料及びそれを用いて形成された誘電体層を備えてなるプラズマディスプレイパネル用ガラス板として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料は、比較的容易に低い誘電率を得やすいB−SiO系非鉛ガラスを基本組成とする。
【0021】
一般に、この系のガラスは、B、SiOの含有量が多いため、ガラスの軟化点が高く、また、ガラスの耐候性が低く、ガラスも不安定である。そのため、この系のガラスを誘電体材料として用いると、600℃以下の温度で焼成し難しくなる。また、大気中の水分でガラスが変質して、粉末状に加工することが難しくなったり、焼成中にガラスが分相して高い透過率が得難くなる傾向にある。そこで、本発明では、ガラスの軟化点を低下させる成分であるNaOやKO等のアルカリ金属酸化物を4モル%以上含有させると共に、ガラスを安定化させ、ガラスの耐候性を向上させる成分であるAlを1モル%以上含有させている。そのため、600℃以下の温度で焼成することができ、焼成時に分相せず、高い透過率と低い誘電率を有する誘電体層を得ることができる。
【0022】
本発明において使用するガラス粉末は、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、B 26〜45%、SiO 42超〜57%、Al 1〜8%、NaO 0〜10%、KO 1〜15%、NaO+KO 4〜20%、ZnO 0〜5%、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0〜6%の組成を有するガラスであれば使用することができる。尚、アルカリ金属酸化物の含有量を多くし、ZnOの含有量を少なくすると、誘電率を著しく上昇させることなく、より低い温度で焼成することが可能な誘電体層を得やすく、また、ZnOの含有量を多くし、アルカリ金属酸化物の含有量を少なくすると、誘電率を著しく上昇させることなく、焼成時に分相が生じ難くなり高い透過率を有する誘電体層が得やすくなる。
【0023】
具体的には、ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、B 26〜45%、SiO 42超〜57%、Al 1〜8%、NaO 0〜10%、KO 1〜15%、NaO+KO 5〜20%、ZnO 0〜1%未満、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0〜6%含有するガラスからなるものであれば、誘電率を著しく上昇させることなく、より低い温度で焼成することが可能な誘電体層を得やすく、また、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、B 26〜45%、SiO 42超〜57%、Al 1〜8%、NaO 0〜3%、KO 1〜10%、NaO+KO 4〜10%、ZnO 1〜5%、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0〜6%含有するガラスからなるものであれば、誘電率を著しく上昇させることなく、焼成時に分相が生じ難くなり高い透過率を有する誘電体層が得やすくなる。
【0024】
本発明において、ガラスの組成を上記のように限定した理由は、次の通りである。
【0025】
はガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量は26〜45%である。Bの含有量が少なくなると、ガラスの誘電率が高くなる傾向にある。一方、含有量が多くなりすぎると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で焼成し難くなる。また、ガラスの耐候性が低下してガラスが変質して、粉末状に加工することが難しくなったり、ガラスの安定性が著しく低下する傾向にあり、誘電体層を焼成する際に、ガラスが分相して高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。Bの好ましい範囲は29〜40%であり、より好ましい範囲は30〜38%未満である。
【0026】
SiOはガラスの骨格を形成すると共に、誘電率を低下させる成分であり、その含有量は42超〜57%である。SiOの含有量が少なくなると、ガラスの誘電率が著しく上昇する。一方、含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で焼成し難くなる。また、ガラスの熱膨張係数がガラス基板より小さくなりすぎて、焼成時にガラス基板に反りが発生しやすくなる。SiOの好ましい範囲は42.5〜56%であり、より好ましい範囲は43〜55%である。
【0027】
尚、低い誘電率を維持しながら、焼成時におけるガラスの分相を抑えて高い透過率を有する誘電体層を得やすくするには、B/SiOの値をモル比で0.55〜0.80の範囲となるようにすることが好ましい。B/SiOの値が小さくなりすぎると、誘電体層の強度が低下する傾向にあり、高い強度を有するガラス基板が得難くなる傾向にある。一方、B/SiOの値が大きくなりすぎると、ガラスの耐候性が低下してガラスが変質して、粉末状に加工することが難しくなったり、ガラスの安定性が低下する傾向にあり、誘電体層を焼成する際に、ガラスが分相して高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。B/SiOのより好ましい範囲は0.60〜0.80であり、さらに好ましい範囲は0.67〜0.80である。
【0028】
Alはガラスの耐候性を向上させたり、ガラスを安定化させ、焼成時におけるガラスの分相を抑える成分であり、その含有量は1〜8%である。Alの含有量が少なくなると、ガラスの耐候性が低下してガラスが変質して、粉末状に加工することが難しくなる。また、分相を抑える効果が得難くなり、結果として、高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。一方、含有量が多くなっても、分相を抑える効果が得難くなり、高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。Alの好ましい範囲は1.0〜7.4%、より好ましい範囲は1.0〜6.8%、さらに好ましい範囲は1.0〜6.0%であり、最も好ましい範囲は1.4〜5.4%である。
【0029】
NaOはガラスの軟化点を低下させたり、熱膨張係数を調整する成分であり、その含有量は0〜10%である。含有量が多くなると、電極にAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄色に変色(黄変)しやすくなり、画像が見難くなる問題が生じる。また、熱膨張係数がガラス基板より大きくなり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。さらに、ガラスの安定性が低下する傾向にあり、誘電体層を焼成する際に、ガラスが分相して高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。NaOの好ましい範囲は0〜8%であり、より好ましい範囲は0〜6%である。尚、ガラスの軟化点と誘電率を著しく上昇させずに、焼成時における分相を抑えて高い透過率を有する誘電体層を得たい場合は、ガラスの軟化点を下げると共に、ガラスを安定化させる成分であるZnOを1%以上含有させると共に、NaOの含有量を0〜3%にすることが好ましく、より好ましくは0〜1%であり、さらに好ましくは実質的に含有しないことである。
【0030】
Oはガラスの軟化点を低下させたり、熱膨張係数を調整する成分であり、その含有量は1〜15%である。KOの含有量が少なくなると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、含有量が多くなると、電極にAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄変する傾向にあり、画像が見難くなる問題が生じやすくなる。また、熱膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。KOの好ましい範囲は1〜14%であり、より好ましい範囲は4〜12%である。尚、ガラスの軟化点と誘電率を著しく上昇させずに、焼成時における分相を抑えて高い透過率を有する誘電体層を得たい場合は、ガラスの軟化点を下げると共に、ガラスを安定化させる成分であるZnOを1%以上含有させると共に、KOの含有量を1〜10%にすることが好ましく、より好ましくは4〜10%であり、さらに好ましくは4〜9%である。
【0031】
尚、Agとの反応による誘電体層の黄変を抑え、600℃以下の温度で焼成でき、ガラス基板に適合する熱膨張係数を有するようにするには、NaO及びKOを合量で4〜20%にすることが好ましい。これら成分の合量が少なくなると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、これら成分の合量が多くなると、電極にAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄変する傾向にあり、画像が見難くなる問題が生じやすくなる。また、熱膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。さらに、ガラスの安定性が低下する傾向にあり、誘電体層を焼成する際に、ガラスが分相して高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。これら成分の合量の好ましい範囲は4〜18%であり、より好ましい範囲は5〜15%である。尚、誘電率を著しく上昇させずに、より低い温度で焼成することが可能な誘電体層を得たい場合は、ZnOを1%未満にすると共に、NaO及びKOを合量で5〜20%にすることが好ましく、より好ましくは7〜18%であり、さらに好ましくは8〜15%である。また、ガラスの軟化点と誘電率を著しく上昇させずに、焼成時における分相を抑えて高い透過率を有する誘電体層を得たい場合は、ガラスの軟化点を下げると共に、ガラスを安定化させる成分であるZnOを1%以上含有させると共に、NaO及びKOを合量で4〜10%にすることが好ましく、より好ましくは4〜9%であり、さらに好ましくは5〜9%である。
【0032】
尚、本発明の誘電体材料をAg電極上に形成する場合、誘電体材料とAgとの反応による誘電体層の変色を抑えるには、CuO、MoO、CeO、MnO及びCoOを合量で6%まで含有させればよい。これら成分の合量が多くなると、これらの成分による誘電体層の着色が生じやすくなる。これら成分の合量の好ましい範囲は0.005〜5%であり、より好ましい範囲は0.005〜3%である。尚、これらの成分の中でも、CuOは黄変の抑制効果が最も大きく、CuOを必須成分とすることがより好ましく、この場合、CuOの含有量は、0.01〜3.0%(望ましくは0.02〜2.5%)であることが好ましく、また、MoO、CeO、MnO及びCoOはそれぞれ0〜5%(望ましくは0.01〜3%)であることが好ましい。また、焼成条件の変動によるCuOの変色抑制効果にばらつきが生じる場合には、CuOの含有量を0.005〜0.20%に制限し、CuO、MoO、CeO、MnO及びCoOを合量で0.005〜6%となるように含有量を調整することが望ましい。
【0033】
また、焼成時におけるガラスの分相とAgとの反応による誘電体層の黄変を抑えて高い透過率を有する誘電体層を得やすくするには、B/(NaO+KO)の値をモル比で3.3〜7.2の範囲となるようにすることが好ましい。B/(NaO+KO)の値が小さくなりすぎると、電極にAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄変する傾向にあり、画像が見難くなる問題が生じやすくなる。一方、B/(NaO+KO)の値が大きくなりすぎると、ガラスの安定性が低下する傾向にあり、誘電体層を焼成する際に、ガラスが分相して高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。また、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、600℃以下の温度で焼成し難くなる。B/(NaO+KO)のより好ましい範囲は3.3〜5.1であり、さらに好ましい範囲は3.3〜4.9であり、最も好ましい範囲は3.4〜4.8である。
【0034】
ZnOはガラスの軟化点を下げると共に、ガラスを安定化させる成分であるが、ガラスの誘電率を著しく上昇させる成分でもあり、その含有量は0〜5%である。含有量が多くなると、ガラスの誘電率が著しく上昇する傾向にある。尚、誘電率を著しく上昇させずに、より低い温度で焼成することが可能な誘電体層を得たい場合は、アルカリ金属酸化物の含有量を多くすると共に、ZnOの含有量を0〜1%未満にすることが好ましく、より好ましくは0〜0.9%であり、さらに好ましくは0.1〜0.7%である。また、誘電率を著しく上昇させずに、焼成時における分相を抑えて高い透過率を有する誘電体層を得たい場合は、アルカリ金属酸化物の含有量を少なくすると共に、ZnOの含有量を1〜5%にすることが好ましく、より好ましくは1〜4%であり、さらに好ましくは2〜4%である。
【0035】
また、本発明の誘電体材料は、上記成分以外にも、要求される特性を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。例えば、熱膨張係数を調整する成分であるMgO、CaO、SrO、BaO及びTiOを合量で15%まで、ガラスの軟化点を低下させるために、CsO、RbO等を合量で10%まで、ガラスを安定化させたり、耐水性や耐酸性を向上させるために、ZrO、Y、La、Ta、SnO、WO、Nb、Sb、P等を合量で10%まで添加することができる。但し、Pはガラスを失透させて、透明な焼成膜を得難くする成分でもあるため、その含有量は5%以下にすることが望ましい。
【0036】
尚、Biは、ガラスの軟化点を低下させる成分であるため、Biを含有させることによって、アルカリ金属酸化物成分の含有量を低減させて、Agとの反応による誘電体層の黄変を生じ難くすることが可能である。しかし、Biは、ガラスの誘電率を大きくしたり、コストを著しく上昇させる成分であるため、その含有量は5%以下にすることが好ましく、より好ましくは実質的に含有しないことである。
【0037】
また、PbOは、ガラスの融点を低下させる成分であるが、環境負荷物質でもあるため、実質的に含有しないことが好ましい。
【0038】
尚、本発明で言う「実質的に含有しない」とは、積極的に原料として用いず不純物として混入するレベルをいい、具体的には、含有量が0.1%以下であることを意味する。
【0039】
本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料におけるガラス粉末の粒度は、平均粒径D50が3.0μm以下、最大粒径Dmaxが20μm以下のものを使用することが望ましい。いずれか一方でもその上限を超えると、焼成膜中に大きな泡が残存しやすくなり、安定した耐電圧を有する誘電体層が得難くなるためである。
【0040】
本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料は、熱膨張係数や焼成後の強度及び外観の調節の為に、上記ガラス粉末に加えてセラミック粉末を含有してもよい。セラミック粉末が多くなると、十分に焼結が行えず、緻密な膜を形成することが難しくなる。尚、セラミック粉末としては、例えばアルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニア、コージエライト、ムライト、シリカ、ウイレマイト、酸化錫、酸化亜鉛等を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、セラミック粉末の導入による誘電体層の透明性の低下を避けたい場合は、セラミック粉末の一部または全部が球状のものを用いればよい。ここでいう球状とは、写真での状態観察において、粒子表面に角張った個所がなく、且つ粒子中心から表面全体の半径が±20%以内であるものをいう。また、セラミック粉末は平均粒径が5.0μm以下、最大粒径は20μm以下のものを用いることが望ましい。
【0041】
尚、本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料は、前面ガラス基板用の透明誘電体層もしくは背面ガラス基板用のアドレス電極保護誘電体層のいずれの用途においても使用することが可能であり、また、2層以上の誘電体構造有する誘電体の電極と接する下層誘電体層や、下層誘電体層の上に形成されるため直接電極と接することない上層誘電体層の材料としても使用することが可能である。もちろんAg以外の電極上に形成する誘電体材料や、それ以外の用途、例えば、隔壁形成材料において使用することもできる。透明誘電体材料として使用する場合は、上記セラミック粉末の含有量を0〜20質量%(好ましくは0〜10質量%)にすることで使用できる。セラミック粉末の含有量をこのようにすることで、セラミック粉末の添加による可視光の散乱を抑えて透明度の高い焼成膜を得ることができる。また、アドレス電極保護誘電体材料や隔壁材料として使用する場合は、上記セラミック粉末を0〜50質量%(より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜40質量%)の範囲で含有させることで使用できる。セラミック粉末の含有量をこのようにすることで、高い強度、或いは優れた耐酸性を有する焼成膜を得ることができる。
【0042】
次に、本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料の使用方法を説明する。本発明の材料は、例えばペーストやグリーンシートなどの形態で使用することができる。
【0043】
ペーストの形態で使用する場合、上述した誘電体材料と共に、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を使用する。尚、ペースト全体に占める誘電体材料の割合としては、30〜90質量%程度が一般的である。
【0044】
熱可塑性樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は、0.1〜20質量%程度が一般的である。熱可塑性樹脂としてはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0045】
可塑剤は、乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0〜10質量%程度が一般的である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0046】
溶剤は材料をペースト化するための材料であり、その含有量は10〜35質量%程度が一般的である。溶剤としては、例えばターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
【0047】
ペーストの作製は、上記の誘電体材料、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を用意し、これを所定の割合で混練することにより行うことができる。
【0048】
このようなペーストを用いて、誘電体層を形成するには、まず、電極が形成されたガラス基板上に、これらのペーストをスクリーン印刷法や一括コート法等を用いて塗布し、所定の膜厚の塗布層を形成した後、乾燥させる。その後、500〜600℃の温度で5〜20分間保持し焼成することで所定の誘電体層を得ることができる。尚、焼成温度が低すぎたり、保持時間が短くなると、十分に焼結が行えず、緻密な膜を形成することが難しくなる。一方、焼成温度が高すぎたり、保持時間が長くなると、ガラス基板が変形したり、電極との反応によって誘電体層が変色しやすくなる。
【0049】
尚、2層以上の誘電体構造を有する誘電体層を形成する場合、予め電極が形成されたガラス基板上に、下層誘電体形成用ペーストをスクリーン印刷法や一括コート法等によって、膜厚がおよそ20〜80μmとなるように塗布し、乾燥させた後、上記と同様に焼成する。続いて、その上に上層誘電体形成用ペーストをスクリーン印刷や一括コート法等によって膜厚がおよそ60〜160μmとなるように塗布し、乾燥させる。その後、上記と同様に焼成することで得ることができる。
【0050】
本発明の材料をグリーンシートの形態で使用する場合、上述した誘電体材料と共に、熱可塑性樹脂、可塑剤等を使用する。尚、グリーンシート中に占める誘電体材料の割合は、60〜80質量%程度が一般的である。
【0051】
熱可塑性樹脂及び可塑剤としては、上記ペーストの調製の際に用いられるのと同様の熱可塑性樹脂及び可塑剤を用いることができ、熱可塑性樹脂の混合割合としては、5〜30質量%程度が一般的であり、可塑剤の混合割合としては、0〜10質量%程度が一般的である。
【0052】
グリーンシートを作製する一般的な方法としては、上記の誘電体材料、熱可塑性樹脂、可塑剤等を用意し、これらにトルエン等の主溶媒や、イソプロピルアルコール等の補助溶媒を添加してスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムの上にシート成形する。シート成形後、乾燥させることによって溶媒や溶剤を除去し、グリーンシートとすることができる。
【0053】
以上のようにして得られたグリーンシートを用いて誘電体層を形成するには、電極が形成されたガラス基板上に、グリーンシートを配置し、熱圧着して塗布層を形成した後に、上述のペーストの場合と同様に焼成することで誘電体層を得ることができる。
【0054】
尚、2層以上の誘電体構造を有する誘電体層を形成する場合、予め電極が形成されたガラス基板上に、下層誘電体形成用グリーンシートを熱圧着して下層誘電体膜を形成した後、上述のペーストの場合と同様に焼成する。続いてその上に上層誘電体形成用グリーンシートを熱圧着して上層誘電体膜を形成し、その後、上記と同様に焼成することで得ることができる。
【0055】
2層以上の誘電体構造有する誘電体層を形成するにあたっては、上層誘電体層を形成する場合、ペーストやグリーンシートのどちらを用いても、下層誘電体層を焼成する温度±20℃の温度範囲で上層誘電体材料を焼成すれば、Agによる誘電体層の黄変を抑制でき、しかも、下層誘電体層の形状を維持しながら、下層と上層との界面での発泡を抑制することができる。また、上層誘電体材料及び下層誘電体材料の焼成温度が同じである場合は、上記形成方法以外にも、下層誘電体膜を乾燥させた後、上層誘電体膜を形成し乾燥後、所定の温度で両層を同時焼成する方法を採用することもできる。
【0056】
また、下層誘電体層は、ペーストを用いて形成し、上層誘電体層は、グリーンシートを用いて形成するハイブリッド形成法を用いることも可能である。
【0057】
上記のように、電極が形成されたガラス基板上に本発明の誘電体材料を塗布または配置し、焼成し、誘電体層を形成することで、電極にAgを用いた場合、Agによる誘電体層の変色が少なく、透明性に優れ本発明のプラズマディスプレイパネル用ガラス板を得ることができる。
【0058】
上記の説明においては、誘電体形成方法として、ペーストまたはグリーンシートを用いた方法を例にして説明しているが、本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料は、これらの方法に限定されるものではなく、感光性ペースト法、感光性グリーンシート法などその他の形成方法にも適用され得る材料である。
【実施例】
【0059】
以下、本発明のプラズマディスプレイの誘電体材料を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0060】
表1〜表4は、本発明の実施例(試料No.1〜18)及び比較例(試料No.19〜21)をそれぞれ示している。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
表の各試料は、次のようにして調製した。
【0066】
まず、モル%で表に示すガラス組成となるように原料を調合し、均一に混合した。次いで、白金ルツボに入れて1350℃で2時間溶融した。その後、溶融ガラスの一部をカーボン板の上に流し出して板状に成形し、徐冷した後、ガラス塊を切断、#600の研磨材を用いて研磨加工することで、10mm×10mm×5mmの大きさのガラス試料を得て、耐候性を評価した。
【0067】
また、溶融ガラス残りを薄板状に成形した。続いて、これらをボールミルにて粉砕し、気流分級して平均粒径D50が3.0μm以下、最大粒径Dmaxが20μm以下のガラス粉末からなる試料を得た。このようにして得られた各ガラス粉末試料について軟化点、熱膨張係数及び誘電率を評価した。
【0068】
次に、上記のガラス粉末試料を、エチルセルロースを5%含有するターピネオール溶液に混合し、3本ロールミルにて混練してペースト化し、次いで、このペーストを、約25μmの焼成膜が得られるようにガラス基板上にスクリーン印刷法で塗布し、乾燥後、電気炉で600℃で10分間保持し焼成して、誘電体層を形成したガラス基板試料を得た。このようにして得られた各試料について、分相の有無及び透過率を測定した。
【0069】
さらに、上記と同様の方法で、Ag電極が形成されたガラス基板上に上記のペーストを塗布し、焼成して、約25μmの誘電体層を形成し、黄変の度合いを評価した。
【0070】
尚、Ag電極には昭栄化学工業(株)製のH−4040Aを、また、ガラス基板には、厚み1.8mm、5cm角の日本電気硝子株式会社製PP−8をそれぞれ用いた。
【0071】
表から明らかなように、実施例である試料No.1〜18は、重量減少率(ΔW)が0.96以下と小さく、粉末状に加工するのに十分な耐候性を有していた。また、ガラスの軟化点は603℃以下であり、600℃以下の温度で十分に焼成できるものであった。また、熱膨張係数は56〜75×10−7/℃でガラス基板の熱膨張係数と整合するものであり、ガラス基板上に誘電体層を形成しても、焼成時にガラス基板に反りが発生しないものであった。また、誘電率は5.3以下であり低いものであった。さらに、分相も全く認められない、若しくは、分相が認められたとしても極僅かであり、透過率は81%以上と高いものであった。また、b*が+5.0以下であり、Ag電極との反応による黄変も殆どないものであった。
【0072】
これに対し、比較例である試料No.19及びNo.21は、重量減少率(ΔW)が1.14以上と大きく、ガラスの耐候性は低く、しかも、焼成時に分相し、透過率は51%と低かった。また、試料No.20は、誘電率が6.6と高いものであった。
【0073】
尚、ガラスの耐候性については、得られたガラス試料を、水で洗浄し、120℃で30分間乾燥した後、耐候性評価前のガラス試料の重量を測定し、次いで、ガラス試料を、60℃の純水に1時間浸漬し、120℃で30分間乾燥し後、耐候性評価後のガラス試料の重量を測定することにより、ガラス試料の重量減少率(ΔW)を求めることで評価した。尚、この値が大きいほど、耐候性が低いことを示す。また、重量減少率(ΔW)が1%より大きくなると、大気中の水分でガラスが変質しやすくなる傾向にあり、粉末ガラスに加工することが難しくなったり、焼成時に、ガラスが分相しやすくなる。
【0074】
ガラスの軟化点については、マクロ型示差熱分析計を用いて測定し、第四の変曲点の値を軟化点とした。
【0075】
ガラスの熱膨張係数については、各ガラス粉末試料を粉末プレス成型し、600℃、10分間焼成した後、直径4mm、長さ20mmの円柱状に研磨加工し、JIS R3102に基づいて測定し、30〜300℃の温度範囲における値を求めた。尚、プラズマディスプレイパネルに用いられているガラス基板の熱膨張係数は83×10−7/℃程度であり、誘電体材料の熱膨張係数が55〜80×10−7/℃であれば、ガラス基板の熱膨張係数と整合しやすく、ガラス基板上に誘電体層を形成しても、焼成時にガラス基板に反りが発生しにくいものとなる。
【0076】
誘電率については、各試料を粉末プレス成型し、600℃、10分間焼成した後、2mmの板状体に研磨加工し、JIS C2141に基づいて測定し、25℃、1MHzにおける値を求めた。
【0077】
分相の有無については、焼成後のガラス膜(誘電体層)の表面を目視で観察し、全く白濁がなく分相が認められなかったものを「◎」、極僅かに白濁し一部分相が認められたもの「○」、白濁が認められ明らかに分相しているものを「×」として示した。
【0078】
透過率については、波長550nmにおける拡散透過率を、積分球を取り付けた分光光度計を用いて測定した。尚、透過率測定は島津製作所製U−4000にて行い、ガラス板の値をキャンセルした後の値を示した。尚、透過率の値が大きくなるほど、透明性に優れていることを示す。
【0079】
黄変の度合いについては、誘電体層の色調を色彩色差計にてb*値を測定し評価した。尚、b*値が大きくなるほど、黄色に変色していることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−SiO系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体材料であって、該ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、B 26〜45%、SiO 42超〜57%、Al 1〜8%、NaO 0〜10%、KO 1〜15%、NaO+KO 4〜20%、ZnO 0〜5%、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0〜6%含有するガラスからなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
【請求項2】
−SiO系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体材料であって、該ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、B 26〜45%、SiO 42超〜57%、Al 1〜8%、NaO 0〜10%、KO 1〜15%、NaO+KO 5〜20%、ZnO 0〜1%未満、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0〜6%含有するガラスからなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
【請求項3】
−SiO系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体材料であって、該ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、B 26〜45%、SiO 42超〜57%、Al 1〜8%、NaO 0〜3%、KO 1〜10%、NaO+KO 4〜10%、ZnO 1〜5%、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0〜6%含有するガラスからなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
【請求項4】
ガラス粉末が、モル比で、B/SiO 0.55〜0.80であるガラスからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
【請求項5】
ガラス粉末が、モル比で、B/(NaO+KO) 3.3〜7.2であるガラスからなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
【請求項6】
ガラス基板上に形成されたAg電極と接する誘電体層の形成に用いられることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
【請求項7】
前面ガラス基板用の透明誘電体材料として使用されることを特徴とする特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の誘電体材料より形成された誘電体層を備えてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用ガラス板。

【公開番号】特開2012−33454(P2012−33454A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226166(P2010−226166)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】