説明

プラズマディスプレイ装置

【課題】プラズマディスプレイ装置で万一故障が発生しても安全に停止させることができ、かつ故障箇所を速やかに特定する。
【解決手段】パネルと、パネルを駆動する駆動回路とを有するプラズマディスプレイ装置であって、駆動回路は複数の回路基板に分割されて搭載され、回路基板のうちの2以上の回路基板のそれぞれには動作異常を検出して異常検出信号を出力する異常検出部を有し、駆動回路は、リセット機能を有するとともにリセット後の最初に出力された異常検出信号を記憶する異常検出信号メモリと、異常検出信号メモリに記憶された異常検出信号と現在出力されている異常検出信号とを切り替える切替スイッチと、切替スイッチで切り替えられた異常検出信号を表示する表示素子とを有する異常表示回路をさらに備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルを用いたプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と呼ぶ)は、大画面、薄型、軽量であることを特徴とする視認性に優れた表示デバイスである。このパネルを用いたプラズマディスプレイ装置には、例えば部品の破壊等により動作異常が発生した場合にその動作異常を検出する様々な異常検出回路が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、書込み期間における走査電極への書込みバイアス電圧を生成する書込みバイアス電圧生成回路と、書込みバイアス電圧に重畳する走査パルス信号を生成しそれぞれの走査電極に供給する複数の走査パルス発生回路とを有し、書込みバイアス電圧生成回路と走査パルス発生回路との間の電流が所定の電流値を超えたとき動作異常を検出したとする異常検出回路とをさらに有するプラズマディスプレイ装置が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、書込み期間における書込みパルスに起因するパルス電圧を動作異常として誤検出することなく、維持期間における動作異常の発生を確実に検出することが可能なプラズマディスプレイ装置が開示されている。
【0005】
また特許文献3には、走査電極駆動回路および維持電極駆動回路の回収コンデンサの電圧が所定の電圧範囲を越えると異常検出信号を出力するプラズマディスプレイ装置が開示されている。
【0006】
また特許文献4には、駆動回路の動作異常を検出するための異常検出回路を備え、動作異常が検出された場合に、異常箇所の表示を行うためのLED等の異常箇所表示部を有するプラズマディスプレイ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−218969号公報
【特許文献2】特開2008−275792号公報
【特許文献3】特開2009−058912号公報
【特許文献4】特開2003−248456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年は、パネルの高精細度化および表示性能の向上にともない駆動回路の回路構成が複雑になり、さらにパネルの大型化にともない駆動回路を搭載した回路基板の数も増加する傾向にある。同時に、駆動回路の動作異常により電力供給を停止する保護機能や、1つの回路ブロックの動作異常により他の回路ブロックの動作を停止する保護機能も充実しつつある。そのため、いずれかの回路ブロックで万一故障が発生しても、プラズマディスプレイ装置を安全に停止させることができる。
【0009】
しかしながら1つの回路ブロックを複数の回路基板に分割して搭載する等、多くの回路基板を有するプラズマディスプレイ装置では、1枚の回路基板の故障により他の回路基板の動作が停止する等、多くの保護機能が複雑に動作するため、真の故障箇所を特定することが難しくなるという課題があった。
【0010】
本発明は、これらの課題に鑑みなされたものであり、万一故障が発生しても安全に停止させることができ、かつ故障箇所を速やかに特定することができるプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、パネルと、パネルを駆動する駆動回路とを有するプラズマディスプレイ装置であって、駆動回路は複数の回路基板に分割されて搭載され、回路基板のうちの2以上の回路基板のそれぞれには動作異常を検出して異常検出信号を出力する異常検出部を有し、駆動回路は、リセット機能を有するとともにリセット後の最初に出力された異常検出信号を記憶する異常検出信号メモリと、異常検出信号メモリに記憶された異常検出信号と現在出力されている異常検出信号とを切り替える切替スイッチと、切替スイッチで切り替えられた異常検出信号を表示する表示素子とを有する異常表示回路をさらに備えたことを特徴とする。この構成により、万一故障が発生しても安全に停止させることができ、かつ故障箇所を速やかに特定することができるプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
【0012】
また本発明のプラズマディスプレイ装置の表示素子は、動作異常の内容を示す第1発光素子と、動作異常を検出した回路基板を示す第2発光素子とを有してもよい。
【0013】
また本発明のプラズマディスプレイ装置の第1発光素子は点滅回数で動作異常の内容を示し、第2発光素子は点滅回数で動作異常を検出した回路基板を示し、第1発光素子と第2発光素子とは同期して点滅させてもよい。この構成により、それぞれの発光素子の点滅回数が視認しやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、万一故障が発生しても安全に停止させることができ、かつ故障箇所を速やかに特定することができるプラズマディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のパネルの構造を示す分解斜視図である。
【図2】同プラズマディスプレイ装置のパネルの電極配列図である。
【図3】同プラズマディスプレイ装置のパネルの各電極に印加する駆動電圧波形を示す図である。
【図4】同プラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。
【図5】同プラズマディスプレイ装置の構造を示す分解斜視図である。
【図6】同プラズマディスプレイ装置の回路基板の配置を示す図である。
【図7】同プラズマディスプレイ装置の異常表示回路の回路図である。
【図8】同プラズマディスプレイ装置の異常情報と赤LEDおよび黄LEDの点滅回数との関係を示す図である。
【図9】同プラズマディスプレイ装置の赤LEDおよび黄LEDの点滅の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面基板11上には、走査電極12と維持電極13とからなる表示電極対14が複数形成されている。そして走査電極12と維持電極13とを覆うように誘電体層15が形成され、その誘電体層15上に保護層16が形成されている。背面基板21上にはデータ電極22が複数形成され、データ電極22を覆うように誘電体層23が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁24が形成されている。そして、隔壁24の側面および誘電体層23上には赤色、緑色および青色の各色に発光する蛍光体層25が設けられている。
【0018】
これら前面基板11と背面基板21とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対14とデータ電極22とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。放電空間は隔壁24によって複数の区画に仕切られており、表示電極対14とデータ電極22とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長い複数本の走査電極12および同数本の維持電極13が配列され、列方向に長い複数本のデータ電極22が配列されている。そして、1対の走査電極12および維持電極13からなる表示電極対14と1本のデータ電極22とが交差する位置に放電セルが形成されている。こうして複数の放電セルは、複数の画素行および複数の画素列が形成されるように行列状に配置されている。
【0020】
次に、パネル10を駆動する方法について説明する。本実施の形態においては、画像信号に応じた階調を表示する方法としていわゆるサブフィールド法を用いている。サブフィールド法は1フィールド期間を初期化期間、書込み期間、維持期間を有する複数のサブフィールドに分割し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行う方法である。
【0021】
図3は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を示す図である。図3には3つのサブフィールドSF1〜SF3に対する駆動電圧波形を示しているが、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形もほぼ同様である。
【0022】
サブフィールドSF1の初期化期間では、電圧Vi2に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を走査電極12に印加する。その後、維持電極13に電圧Veを印加するとともに、電圧Vi4に向かって緩やかに下降するランプ電圧を走査電極12に印加する。すると各放電セルで微弱な初期化放電が発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成する。
【0023】
なお、初期化期間の動作としては、サブフィールドSF2、SF3の初期化期間に示したように、電圧Vi4に向かって緩やかに下降するランプ電圧を走査電極12に印加するだけでもよい。
【0024】
続く書込み期間では、1行目の走査電極12に電圧Vaの走査パルスを印加するとともに、発光すべき放電セルに対応するデータ電極22に電圧Vdの書込みパルスを印加する。すると走査パルスと書込みパルスとが同時に印加された1行目の放電セルでは書込み放電が発生し、放電セルの走査電極12上および維持電極13上に壁電荷を蓄積する書込み動作が行われる。
【0025】
以上の書込み動作をすべての行の放電セルで繰り返し、発光すべき放電セルに対して選択的に書込み放電を発生させ壁電荷を形成する。
【0026】
続く維持期間では、維持電極13および走査電極12に電圧Vsの維持パルスを輝度重みに応じた数だけ交互に印加する。すると、書込み放電を起こした放電セルでは維持放電が起こり発光する。そして、維持期間の最後には電圧Vrに向かって緩やかに上昇するランプ電圧を走査電極12に印加して、壁電荷を消去する。こうして書込み放電の発生した放電セルを輝度重みに応じた輝度で発光させる維持動作が終了する。
【0027】
続くサブフィールドの動作はサブフィールドSF1の動作とほぼ同様である。
【0028】
図4は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置30の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置30はパネル10とそれを駆動する駆動回路とを備え、駆動回路は、画像信号処理回路31、データ電極駆動回路32、走査電極駆動回路33、維持電極駆動回路34、タイミング発生回路35、電源回路36および異常表示回路39を備えている。
【0029】
画像信号処理回路31は、入力された画像信号をサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。画像信号処理回路31は複数枚の回路基板に分割して実装され、それぞれの回路基板には異常検出部が設けられている。
【0030】
データ電極駆動回路32はサブフィールド毎の画像データを各データ電極22に印加する書込みパルスに変換する。データ電極駆動回路32も複数枚の回路基板に分割して実装されている。
【0031】
タイミング発生回路35は水平同期信号、垂直同期信号をもとにして各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。
【0032】
走査電極駆動回路33はタイミング信号にもとづいて走査電極12に印加する駆動電圧を発生する。走査電極駆動回路33も複数枚の回路基板に分割して実装され、それぞれの回路基板には異常検出部が設けられている。維持電極駆動回路34はタイミング信号にもとづいて維持電極13に印加する駆動電圧を発生する。維持電極駆動回路34も複数枚の回路基板に分割して実装され、それぞれの回路基板には異常検出部が設けられている。電源回路36は、走査電極12、維持電極13、データ電極22を駆動するための各種の電圧を発生し、それぞれの回路ブロックに供給している。また画像信号処理回路31およびタイミング発生回路35を駆動するための電源も備えている。電源回路36も複数枚の回路基板に分割して実装され、それぞれの回路基板には異常検出部が設けられている。
【0033】
異常表示回路39は、各回路基板に設けられた異常検出部から出力される異常検出信号を記憶し、現在の異常検出信号または記憶されている異常検出信号を表示する。
【0034】
図5は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置30の構造を示す分解斜視図である。プラズマディスプレイ装置30は、パネル10と、パネル10を前面に保持するシャーシ41と、パネル10で発生した熱をシャーシ41に伝達するとともにパネル10とシャーシ41とを接着するための熱伝導シート42と、シャーシの背面側に取り付けられ、パネル10を駆動するための各種の駆動回路を実装した回路基板群43と、これらを収納する前面枠45およびバックカバー46とを備えている。また前面枠45にはパネル10を保護するための透明な保護板を設けている。
【0035】
図6は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置30の回路基板の配置を示す図である。図6は、画面サイズが150インチ相当のパネルを搭載したプラズマディスプレイ装置30の回路基板の配置図であり、バックカバー46を外した状態で、各種の駆動回路を搭載した回路基板とその配置を模式的に示す図である。
【0036】
走査電極駆動回路33は6枚の回路基板53(1)〜53(6)に分割されて搭載されている。このうち、維持パルスを発生する回路および初期化波形を発生する回路はそれぞれ2枚の回路基板53(1)、53(2)に分割されて搭載され、走査パルスを発生する回路は4枚の回路基板53(3)〜53(6)に分割されて搭載されている。また回路基板53(1)、53(2)のそれぞれには、たとえば特許文献3に記載されているような異常検出部63(1)、63(2)が設けられており、動作異常が検出されるとそれぞれ異常検出信号SOS3(1)、SOS3(2)が出力される。同様に、回路基板53(3)〜53(6)のそれぞれには、たとえば特許文献1に記載されているような異常検出部63(3)〜63(6)が設けられており、動作異常が検出されるとそれぞれ異常検出信号SOS3(3)〜SOS3(6)が出力される。
【0037】
維持電極駆動回路34は2枚の回路基板54(1)、54(2)に分割されて搭載されている。なお2枚の回路基板54(3)、54(4)は、それぞれ回路基板54(1)、54(2)から出力される駆動電圧波形を維持電極に供給するための中継用の回路基板である。また回路基板54(1)、54(2)のそれぞれには、たとえば特許文献3に記載されているような異常検出部64(1)、64(2)が設けられており、動作異常が検出されるとそれぞれ異常検出信号SOS4(1)、SOS4(2)が出力される。
【0038】
画像信号処理回路31は4枚の回路基板51(1)〜51(4)に分割されて搭載されている。そして回路基板51(1)〜51(4)のそれぞれには異常検出部61(1)〜61(4)が設けられており、動作異常が検出されるとそれぞれ異常検出信号SOS1(1)〜SOS1(4)が出力される。
【0039】
データ電極駆動回路32は8枚の回路基板52(1)〜52(8)に分割されて搭載されている。本実施の形態においてはこれらの回路基板52(1)〜52(8)には異常検出部は設けられていないが、もちろん回路基板52(1)〜52(8)のそれぞれに異常検出部を設けてもよい。
【0040】
電源回路36は4枚の回路基板56(1)〜56(4)に分割されて搭載されている。また回路基板56(1)〜56(4)のそれぞれには異常検出部66(1)〜66(4)が設けられており、動作異常が検出されるとそれぞれ異常検出信号SOS6(1)〜SOS6(4)が出力される。
【0041】
このように、駆動回路は複数の回路基板に分割されて搭載され、回路基板のうちの2以上の回路基板のそれぞれには、搭載されている回路の動作異常を検出して異常検出信号を出力する異常検出部が設けられている。
【0042】
そしてそれぞれの回路基板から出力される異常検出信号はタイミング発生回路35および異常表示回路39が搭載されている回路基板55に伝送される。
【0043】
図7は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置30の異常表示回路39の回路図である。異常表示回路39は、異常検出信号制御部81と、異常検出信号メモリ82と、切替スイッチ83と、表示素子ドライバ84と、表示素子85とを有する。
【0044】
表示素子85としては、動作異常の内容を示す第1発光素子86と、動作異常を検出した回路基板を示す第2発光素子87とを有する。本実施の形態においては、第1発光素子86は赤色に発光するLED(以下、「赤LED86」と略記)であり、第2発光素子87は黄色に発光するLED(以下、「黄LED87」と略記)である。
【0045】
異常検出信号制御部81は、各回路基板から伝送されてくる異常検出信号に基づき、動作異常の種類(異常モード)および動作異常が発生した回路基板を特定する。また、以下に説明する異常検出信号メモリ82の異常検出信号の書込み、読み出しおよびリセットを制御する。なお異常モードの情報と異常が発生した回路基板の情報とをあわせて、「異常情報」と呼称する。
【0046】
異常検出信号メモリ82はリセット機能を有し、工場出荷時にリセットした後またはサービスマンがリセットした後の最初に出力された異常検出信号を記憶する。その後サービスマンがリセットするまで異常検出信号メモリ82はその記憶を保持し、途中で書き換わることはない。切替スイッチ83は、異常検出信号メモリ82に記憶された異常検出信号と現在出力されている異常検出信号とを切り替えてどちらかを選択する。そして選択した異常検出信号(異常情報を表す)を異常検出信号制御部81を介して表示素子ドライバ84に出力する。
【0047】
表示素子ドライバ84は、切替スイッチ83により出力された異常情報に基づき、赤LED86および黄LED87を発光させる。本実施の形態においては、赤LED86は異常モードに依存する回数の点滅を繰り返し、黄LED87は異常が発生した回路基板に依存する回数の点滅を繰り返す。
【0048】
図8は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置30の異常情報と赤LED86および黄LED87の点滅回数との関係を示す図である。本実施の形態においては、赤LED86は異常検出時に1回〜8回の点滅を行い、黄LED87は1回〜4回の点滅を行う。例えば、赤LED86の点滅回数が2回の場合には、画像信号処理に関する動作異常が発生していることを示し、このときの黄LED87の点滅回数が4回であれば、回路基板51(4)で動作異常が発生していることを示している。また赤LED86の点滅回数が5回の場合には、電源回路に関する動作異常が発生していることを示し、このときの黄LED87の点滅回数が2回であれば、回路基板56(2)で動作異常が発生していることを示している。
【0049】
このようなプラズマディスプレイ装置で故障が発生し、サービスマンが修理する場合について、以下に説明する。故障の状況を確認するためにサービスマンが電源を投入すると、例えば赤LED86が5回点滅し、黄LED87が2回点滅したとする。この場合、上述したように、電源回路36に関する動作異常であり回路基板56(2)で動作異常が発生していることを示している。電源の再投入を何回か繰り返して確認しても同様の結果であったとする。しかしこのことは必ずしも回路基板56(2)に搭載されている電源回路36が故障していることを示しているとは限らない。
【0050】
次にサービスマンは、切替スイッチ83を切り替えて、異常検出信号メモリ82に記憶されている異常情報を調べる。このとき例えば赤LED86が6回点滅し、黄LED87が2回点滅したとする。すると最初に発生した動作異常は走査電極駆動波形に関する動作異常であり、回路基板53(2)に搭載されている走査電極駆動回路33で発生したことが分かる。そして最初の動作異常が発生した後、2回目以降の電源投入時には回路基板56(2)に搭載されている電源回路36の保護機能が働いて、回路基板56(2)から所定の電圧が出力されないという動作異常が発生していたことが分かる。
【0051】
このように、サービスマンは、現在の異常情報に加えて、異常検出信号メモリ82に記憶されている最初に発生した異常情報を確認することにより、真の故障箇所を特定することができ、回路基板の交換等の修理を速やかに行うことができる。
【0052】
図9は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置30の赤LED86および黄LED87の点滅の様子を示す図であり、赤LED86の点滅回数が8回、黄LED87の点滅回数が2回である場合の例を示している。LED86、87は同期しながら点灯および消灯を繰り返す。このように、第1発光素子である赤LED86は点滅回数で動作異常の内容を示し、第2発光素子である黄LED87は点滅回数で動作異常を検出した回路基板を示す。そして第1発光素子と第2発光素子とを同期して点滅させることにより、それぞれの発光素子の点滅回数が視認しやすくなる。
【0053】
なお、本実施の形態においては、画像信号処理回路31を4枚の回路基板に、データ電極駆動回路32を8枚の回路基板に、走査電極駆動回路33を6枚の回路基板に、維持電極駆動回路34を2枚の回路基板に、電源回路36を4枚の回路基板にそれぞれ分割して搭載したプラズマディスプレイ装置について説明した。しかしもちろんこれらは一例を示したに過ぎず、本発明はそれぞれの回路を搭載する回路基板の数に限定されるものではない。
【0054】
また、本実施の形態においては、2つのLEDを用いてそれぞれ最大8回および4回の点滅を行うものとして説明したが、これらLEDの数、およびそれらの点滅回数も上記に限定されるものではなく、さらにその組合せによって決まる異常情報についても上記に限定されるものでない。
【0055】
さらに、本実施の形態において示した具体的な各数値は、実施の形態の一例を示したものに過ぎない。本発明はこれらの数値に何ら限定されるものではなく、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等にあわせて最適に設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、万一故障が発生しても安全に停止させることができ、かつ故障箇所を速やかに特定することができるので、プラズマディスプレイ装置として有用である。
【符号の説明】
【0057】
10 パネル
11 前面基板
12 走査電極
13 維持電極
14 表示電極対
21 背面基板
22 データ電極
30 プラズマディスプレイ装置
31 画像信号処理回路
32 データ電極駆動回路
33 走査電極駆動回路
34 維持電極駆動回路
35 タイミング発生回路
36 電源回路
39 異常表示回路
51,52,53,54,55,56 回路基板
61,62,63,64,65,66 異常検出部
81 異常検出信号制御部
82 異常検出信号メモリ
83 切替スイッチ
84 表示素子ドライバ
85 表示素子
86 第1発光素子(赤LED)
87 第2発光素子(黄LED)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマディスプレイパネルと、前記プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動回路とを有するプラズマディスプレイ装置であって、
前記駆動回路は複数の回路基板に分割されて搭載され、前記回路基板のうちの2以上の回路基板のそれぞれには動作異常を検出して異常検出信号を出力する異常検出部を有し、
前記駆動回路は、リセット機能を有するとともにリセット後の最初に出力された異常検出信号を記憶する異常検出信号メモリと、前記異常検出信号メモリに記憶された異常検出信号と現在出力されている異常検出信号とを切り替える切替スイッチと、前記切替スイッチで切り替えられた異常検出信号を表示する表示素子とを有する異常表示回路をさらに備えたことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項2】
前記表示素子は、動作異常の内容を示す第1発光素子と、動作異常を検出した回路基板を示す第2発光素子とを有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1発光素子は点滅回数で動作異常の内容を示し、前記第2発光素子は点滅回数で動作異常を検出した回路基板を示し、前記第1発光素子と前記第2発光素子とは同期して点滅することを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−88540(P2012−88540A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235342(P2010−235342)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】