説明

プラズマ・ディスプレイ・パネルのドライバの過熱を回避するための方法および装置

【課題】
表示を行う際に完全なフレキシビリティを確保すると共に、過熱を回避する。
【解決手段】
プラズマ・ディスプレイ・パネルを駆動するための方法は、サブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、この表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックの形態でパラレルに転送するステップと、更に、隣接する、または先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる値を有するサブフィールド・データ・ビットをカウントし、各カウントの信号をプラズマ・ディスプレイ・パネルの駆動のために提供するステップとを含んでいる。結果として得られるカウント値は、サブフィールド・データ・ビットの熱寄与を示し、プラズマ・ディスプレイ・パネルを制御するために使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信するステップと、この表示用データを、所定数のサブフィールド・データ・ビットのシーケンスからなるデータ・ブロックの形態でパラレルに転送するステップとを含む、プラズマ・ディスプレイ・パネルを駆動するための方法に関する。更に、本発明は、プラズマ・ディスプレイ・パネルを駆動するための対応する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、公知のプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP:Plasma Display Panel)の電子機器の主要な構造を示している。
【0003】
プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)処理の中心部、即ち、PDP ICコントローラを含むディジタル基板1にビデオ信号が送信される。このIC(集積回路)は、PDPに関連する全ての信号処理を取り扱い、ビデオ・データを通常のサブフィールド情報に変換する。更に、ICは、全ての電力信号を、下記を含むハードウエアに送信する役目を果たす。
・現在選択されている各ラインの全てのセル3のためのビット(1または0)を、垂直電極上に送信するPDP2のデータ・ドライバD1〜D6
・書き込まれる行を順次選択するライン・ドライバL1、L2、L3
・サステイン(sustain)、消去、プライミング(priming)などの(ライン・ドライバと組み合わせた)グローバル信号を発生させる共通部4
【0004】
図1に示すように、PDPセル3は、データ・ドライバ出力D1からの垂直電極と、ライン・ドライバ出力L1からの水平電極と、共通電子回路4からの水平電極との間の交差点として定義される。データ・ドライバD1〜D6は、図2を参照して説明されるシリアルからパラレルへの変換器である。各データ・ドライバDk(n個の出力)は、PDP ICコントローラからのラインtのn個のサブフィールド・データ・ビット(Cn、t)をシリアルに受信する。クロック信号(clk)によって定義される周波数で入力が発生する。
【0005】
イネーブル信号(ENA)の各開始エッジ上で、ドライバDkのn個の出力は、PDP ICから記憶されたn個の値をとる。実際には、データCn、tがドライバDkの入力に送信されると、出力は、値Cn、t−1をとる。イネーブル信号(ENA)は、現在のラインt−1を駆動するために使用されるアドレス指定信号の中に含まれる。重要な点は、入力信号は「制御ロジック信号(低電圧)であり、出力信号は、電力信号(高電力、例えば60V)である」という点である。
【0006】
ドライバDkのアクティビティは、以下の2つの重要な点によって定義される。
・ドライバの入力でのアクティビティ(ドライバのローディング中に幾つの変更が発生しているか?)
・ドライバの出力でのアクティビティ(あるラインから別のラインに幾つの出力が変更されているか?) 更に、どのような変化が現れているかに気がつくことが重要である。実際、全ての出力が同じ値をとり、同時に変化している場合には、各出力が異なって変化している場合よりも、エネルギー消費が少ない。
【0007】
上述の仮定の全てに基づき、図3に示すようにドライバ毎にクリティカル・テスト・パターンを定義することができる。
【0008】
このパターンは、特に、高解像度での表示のための場合など、アドレス指定スピードが高速である(cklおよびENAが高周波数の信号である)ときに、ドライバの過熱を招く。ドライバが長時間(多くのフレーム)に渡って過熱される場合には、ドライバのダメージ(損傷、破損)が決定的なものとなる。更に、今日、各ドライバは、PDPガラス上に接着剤を用いて接着され、交換を行うためにドライバを取り除くことはほぼ不可能である。従って、ドライバにダメージが生じた場合には、パネル全体を破棄することになる場合がある。
【0009】
今日、このような問題を回避するための方法として、以下の3つの方法が想定される。
・アドレス指定スピードを制限する(clkおよびENAの周波数を低くする)か、フレーム毎に使用されるサブフィールドの数を制限することによってこのような過熱を回避することを試みる技術的手法。
・標準的なピクチャのために図3に描かれた状態を軽減する(符号語の中のトグリング(トグルすること)を低減する)ような特定の符号化を使用することを試みる符号化手法。
・アドレス指定の間に使用されるサブフィールドの数を減少させるためにクリティカル・パターンを検出することを直接的に試みる信号処理手法。
【0010】
図3の問題を招く通常の実際のパターンを図4に示す。
【0011】
問題は、このパターンがほとんど発生しないものであっても、主に、PCのアプリケーションの場合のみに現れることがあり、表示を堅牢な(robust)壊れないものにすべきである。これは、上述した解決法を必要とする。問題は、このような解決法が全ての可能性、全てのリスクをカバーするものでないということである。更に、幾つかの解決法(例えば、符号化手法)は、表示のフレキシビリティを制限し、ピクチャ品質(画質)に影響を与えることがある(例えば、サブフィールドの数が減少するか、最適な符号化が行われない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、過熱を回避し、表示を行う際に完全なフレキシビリティ(自由度)を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、プラズマ・ディスプレイ・パネルにおいてドライバ回路の過熱を回避するための方法であって、ドライバ回路が、サブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックの形態でパラレルに転送し、
隣接するサブフィールド・データ・ビット、または、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なるサブフィールド・データ・ビットをカウントし、ドライバ回路の温度を表す各カウント信号を提供するステップと、
カウント信号が所定の閾値を超えている場合に、温度を低下させる対策を実行するステップと、を含む方法によって解決される。
【0014】
更に、プラズマ・ディスプレイ・パネルにおいてドライバ回路の過熱を回避するための方法であって、ドライバ回路がサブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックの形態でパラレルに転送し、
各サブフィールド・データ・ビットについて、当該サブフィールド・データ・ビットの値と隣接するサブフィールド・データの値の関係を表す遷移情報を決定するステップと、
隣接するサブフィールド・データ・ビット、または、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なるサブフィールド・データ・ビット、および/または、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なる遷移情報をカウントし、ドライバ回路の温度を表す各カウント信号を提供するステップと、
カウント信号が所定の閾値を超えている場合に、温度を低下させる対策を実行するステップと、を含む方法が提供される。
【0015】
更に、上記目的は、プラズマ・ディスプレイ・パネルにおいてドライバ回路の過熱を回避するための装置であって、ドライバ回路が、サブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックの形態でパラレルに転送し、
隣接するサブフィールド・データ・ビット、または、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なるサブフィールド・データ・ビットをカウントし、ドライバ回路の温度を表す各カウント信号を提供するカウント手段と、
カウント信号が所定の閾値を超えている場合に、温度を低下させる対策を実行する制御手段と、を含む装置によって解決される。
【0016】
最後に、本発明によれば、プラズマ・ディスプレイ・パネルにおいてドライバ回路の過熱を回避するための装置であって、ドライバ回路が、サブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックの形態でパラレルに転送し、
各サブフィールド・データ・ビットについて、当該サブフィールド・データ・ビットの値と隣接するサブフィールド・データの値の関係を表す遷移情報を決定するデータ処理手段と、
隣接するサブフィールド・データ・ビット、または、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なるサブフィールド・データ・ビット、および/または、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なる遷移情報をカウントし、ドライバ回路の温度を表す各カウント信号を提供するカウント手段と、
カウント信号が所定の閾値を超えている場合に、温度を低下させる対策を実行する制御手段と、を含む装置が提供される。
【0017】
従って、データ・ドライバの過熱が発生せず、表示を行う際に完全なフレキシビリティ(必要な数のサブフィールド、可能な限り高速なアドレス指定、完全に最適化された符号化など)を確保するために、極めて信頼性の高い解決法が提供される。好ましくは、受信したサブフィールド・データ・ビットの値が前に受信した隣接するサブフィールド・データ・ビットの値とは異なる場合に、入力カウンタの値が増加される。これにより、ドライバのローディング中に発生する変化の数が考慮される。
【0018】
更に、データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットの値のものとは異なる場合に、出力カウンタの値が増加されるようにしてもよい。代替的には、または、追加的には、データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの前記遷移情報が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、ステージ・カウンタの値が増加されるようにしてもよい。これにより、ドライバの出力のアクティビティ、即ち、あるラインから別のラインに変化している出力が幾つあるかが考慮される。
【0019】
好適には、対策を実行するステップが、オプションとして、入力カウンタ、出力カウンタ、およびステージ・カウンタのうちの少なくとも2つのカウンタのカウンタ値に基づいて前記プラズマ・ディスプレイ・パネルの利得(ゲイン)、または、フレーム毎に使用されるサブフィールドの数を減少させるための過熱信号を発生させるステップを含んでいる。従って、過熱レベルに関する有用な値が作成される。
【0020】
プラズマ・ディスプレイ・デバイスが上述のドライバ装置を複数含む場合には、各々がディスプレイ・パネルのドライバ回路に関連付けられ、各装置に対し過熱信号を発生可能であるとよく、1つの装置の過熱信号が所定の閾値を超えている場合、所定の数を超える装置の各過熱信号が所定の閾値を超えている場合、または、所定の数を超える隣接する装置の各過熱信号が閾値を超えている場合に、利得またはサブフィールドの数を減少させることが可能であるとよい。これにより、過熱の状態に対して信頼性のある決定を導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、PDPの電子的な構造全体を示す図である。
【図2】図2は、データ・ドライバの主要部を示す図である。
【図3】図3は、クリティカル・テスト・パターンを示す図である。
【図4】図4は、クリティカル・ビデオ・パターンを示す図である。
【図5】図5は、エミュレータ・ブロックを示す図である。
【図6】図6は、本発明に係るプラズマ・ディスプレイ・パネルの実施態様の概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面に示された本発明の各例示的な実施の形態について、以下詳細に説明する。
【0023】
データ・ドライバの過熱を回避する堅牢なシステムを提供するために、ドライバ・システムの各ドライバは、EMU_DRと呼ばれるブロックによりPDP ICコントローラの内部でエミュレートされる。このようなブロックを図5に示す。
【0024】
過熱寄与を評価するために使用される各情報Cx、tは、以下の2つのタイプの情報を含んでいる。
・Cx、tの値−1または1、更に、
・3つのステージ<、=、>をとりえる、前のCx−1、tに対するCx、tの水平方向の遷移(transition)
【0025】
図5に示すエミュレータ・ブロック5は、各ドライバのために以下の項目を評価する複合カウンタ(complex counter)である。
・2つの連続した、即ち、水平方向に隣接する入力Cx、t+1およびCx+1、t+1の間の差の数をカウントすることによる入力のアクティビティ(activity)。遷移(1→0、または、0→1)が検出される毎に、入力カウンタCnt_INがこのような遷移によるドライバDkに対する過熱の影響を示す値HEAT_INだけ増加する。
・メモリMEM_BLK内に完全なドライバ出力データ・ブロック(例えば、96個の出力の場合は96個の値)のデータを記憶することによる出力のアクティビティ。新たなデータCx、t+1が発生する毎に、メモリ内の従前の値Cx、tが置換され、Cx、t+1、およびCx、tの値が異なる場合には、Cnt_OUTと呼ばれるカウンタが値HEAT_OUTだけ増加する。Cx、t+1、およびCx、tのステージが異なる場合には(例えば、<から=に変化するなどの場合には)、それぞれ、カウンタCnt_OUT_Diffが値HEAT_DIFFだけ増加する。値HEAT_OUTおよび値HEAT_OUT_DIFFは、出力トグリングの熱寄与を表す。
【0026】
一般的な熱カウンタHEAT = Cnt_IN + Cnt_OUT + Cnt_OUT_Diffは、ドライバDkの熱を表す。このドライバは、新たな出力フレーム毎に垂直同期信号Vに基づいてリセットされる。この値は、閾値OVERHEATと比較される。
【0027】
ここで、以下の状態の際に反応が可能である。
(1)単一のドライバDkがHEAT>OVERHEATとなるように過熱されている状態
(2)p個の異なるドライバがHEAT>OVERHEATの状態
(3)p個の隣接するドライバがHEAT>OVERHEATであり、m∈[k−p;k]である状態
【0028】
3つの異なる閾値OVERHEAT1、OVERHEAT2、およびOVERHEAT3を使用することによって3つの状態を全て使用することが可能である。ここで、OVERHEAT1>OVERHEAT2>OERHEAT3である。
【0029】
過熱が発生しているかどうかの最終的な決定は、上に挙げた3つの可能性に基づく。この決定は、電子的な挙動に依存してプログラム可能である。
【0030】
過熱が検出されるとすぐに、過熱を減らすために、アドレス指定コンセプトの何らかの変更が行われるとよい。しかしながら、過熱の問題は、1つのフレームのみに表れる「定時の(punctual)」問題ではなく、このフレームの間にパネルを破損させることがある。つまり、過熱が長時間発生する場合のみにこのような問題が生じることがある。
【0031】
従って、過熱が発生しているフレームの数がカウントされる。
決定は、以下のように行われる
・3つの過熱基準(1)、(2)、(3)のうちの1つが検出されたとき、OVERHEAT_FRAMEの値が増加される(ここで、OVERHEAT FRAME1、OVERHEAT FRAME2、OVERHEAT FRAME3を使用することによって、3つの条件の全てを使用することもできる)。
・過熱基準が有効でなくなるとすぐに、OVERHEAT_FRAME の値が減少される。
【0032】
OVERHEAT_FRAMEの値が0に減少すると、これ以上は減少しない(0がこのカウンタの最小値である)。
【0033】
OVERHEAT_FRAMEがOVERHEAT_DANGERに達すると、実際の対策が実行される。例えば、OVERHEAT_FRAMEは2×OVERHEAT_DANGER + MARGINまで増加される(これは、OVERHEAT_FAMEカウンタが到達する最高値である)。MARGINは、正または負のパラメータである。
【0034】
危険が検出されるとすぐに対策が実行される。この対策により、フレーム毎のデータ・ドライバにおけるハイアクティビティを回避できるとよい。危険が検出された場合には、フレーム毎に使用するサブフィールドの数を減少させることも想定される。
【0035】
これを実行するために、フレームにおける最高のビデオ・レベルがこのフレームに使用されるサブフィールドの最大値を定義することが分かっていることが重要である。実際、レベル255を符号化するためには、全てのサブフィールドをオンに切り換えなければならない。逆に、レベル64を符号化するためには、サブフィールドの量を減らしたもののみが使用される。
【0036】
危険が検出されたときにドライバの過熱を低減するコンセプトは、入力されるビデオの信号振幅を減少させることに基づく。これは、1よりも小さな利得を有する乗算器(コントラストのためなど)を用いて実施される。この場合、最高のビデオ・レベルが減少され、必要なサブフィールドの数が少なくなる。
【0037】
減少は、ピクチャの変化が視覚的に認められないように、非常にゆっくりと行われる。この減少は、OVERHEAT_FRAME>OVERHEAT_DANGERである限り継続する。この状態が失われると、ビデオの利得はゆっくりと1に戻るように変更される。この目的は、OVERHEAT_FRAMEがOVERHEAT_DANGERのすぐ下になるように利得を自動的に調節することである。
【0038】
更に、ヒステリシス関数が利得変化に追加されて全く視覚的に認められないような振動でさえも回避されるとよい。
【0039】
図6は、上述した解決法の想定可能な実施態様を示している。
【0040】
ディジタル基板1は、図1に示した場合と概ね同様にPDP2を制御する。従って、データ・ドライバD1〜Dn、共通部4におけるライン・ドライバL1〜Lfについては、図1の説明を参照されたい。しかしながら、図6によれば、ライン・ドライバL1〜Lfおよび共通部4は、具体的には、ディジタル基板1に含まれる波形発生器6によって駆動される。ビデオ入力信号10は、ガンマ変換ブロック11に転送され、以下の演算が実行される。IOUT=(Iin、通常γ=2.2である。このブロック11の出力は、ドライバ過熱に対して信号振幅を調節するために必要な別の利得乗算器12に供給される。乗算器が使用されない場合には、サブフィールドの量を減少させるための他の解決法を使用することも可能であるが、効率は劣っている。
【0041】
次に、その出力は、ビデオ機能、ディザリング、およびサブフィールド符号化を含む、標準的なPDP機能13に対して転送される。符号化された信号は、サブフィールド単位、更に、画素単位でフレーム・メモリ14内に記憶される。
【0042】
フレーム・メモリ14の出力は、サブフィールド単位、更に、ライン単位で読み出され、データ・ドライバD1〜Dnに送信され、同時に、ドライバ加熱エミュレーション・ブロックEMU_DRに送信される。なお、0≦k≦nである。このブロックは、それぞれ、値HEAT =Cnt_IN + Cnt_OUTを評価する。オプションとして、値HEATにCnt_OUT_Diffを更に追加することもできる。次に、この値は、制御手段に提供され、値HEATが所定の閾値を超えている場合には、データ・ドライバDkの温度を低下させるための対策が実施される。
【0043】
これらのエミュレータの出力は全て収集され、カウンタOVERHEAT_FRAME15が(1)、(2)、または、(3)の方法に従って増加されなければならないか減少されなければならないかを判定するために分析される。この値には飛びや振動を低減するために、ヒステリシス関数16によってフィルタがかけられる。
【0044】
最後に、比較17に依存して、値OVERHEAT_FRAMEがOVERHEAT_DANGERよりも大きいか、または小さい場合には、これに応じてガンマ・ブロック11の直後に位置する乗算器12の利得が減少、または増加される。
【0045】
この解決法の利点は、単純にサブフィールドを抑制する場合と比べてビデオ情報のロスを回避すること、(更に、グレイスケール品質の低下を回避すること)である。代替的には、ビデオ利得はガンマ・ブロック11の前に存在し、従って、APL測定(図示せず)の前に存在してもよい。この場合、利得を減少させることによって、APLが減少し、標準的なPDPの電力管理によりサステインの数が増加する。結果として、大変安定した光出力が得られる。ここでは、グレイスケール・ダイナミック(grayscale dynamic)のみが減少する。
【0046】
このコンセプトを改善させるために、利得に対して時間領域内のローパス・フィルタ処理が実行され、符号化手法の使用後の振動が回避される。この場合、実際の利得(Gainused)は以下のように定義される。
【数1】

【0047】
値Tを増加させることによって、Tが最大の加熱時間(図4に示すクリティカル・テスト・パターンの場合にはドライバ温度がクリティカル・ポイントに達した後の時間)よりも短い限り、ドライバの加熱の問題に対する追加のリスクを招くことなく、特定の符号化方法の影響が軽減される。
【0048】
オプションとして、クリティカルなシーケンスに対する更なる改良が実現可能である。危険が検出されると、以下の利得関数の前に、ピクチャに対して、特定の空間フィルタ処理が実施される。
【数2】

【0049】
この例示的な関数により、図4に示すクリティカルな差異が低減されるが、鮮明さ(sharpness:シャープネス)が最低限低下することとなる。これはオプションのコンセプトでありシステム・インテグレータに依存して実施してもよく、OVERHEAT_FRAMEが極めて高い値OVERHEAT_STRONG_DANGERに達した場合に自動的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ディジタル基盤
2 PDP
3 PDPセル
4 共通電子回路
5 エミュレータ・ブロック
6 波形発生器
12 利得乗算器
14 フレーム・メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ・ディスプレイ・パネルにおいて個々のドライバ回路の過熱を回避するための方法であって、
前記ドライバ回路が、サブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、前記表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックでパラレルに転送し、
隣接するサブフィールド・データ・ビット、または、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なるサブフィールド・データ・ビットをカウントすることによって、前記個々のドライバ回路の温度を表す信号を計算し、前記個々のドライバ回路の温度を表す前記信号を提供するステップと、
前記カウントの信号が所定の閾値を超えている場合に、前記温度を低下させる対策を実行するステップと、を含み、
前記対策を実行するステップが、入力カウンタ、出力カウンタ、およびステージ・カウンタのうちの少なくとも2つのカウンタのカウンタ値に基づいてフレーム毎に使用されるサブフィールドの数を減少させるための過熱信号を発生させるステップを含む、前記方法。
【請求項2】
受信したサブフィールド・データ・ビットの値が前に受信した隣接するサブフィールド・データ・ビットの値とは異なる場合に、入力カウンタの値が増加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットの値のものとは異なる場合に、出力カウンタの値が増加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットの値のものとは異なる場合に、出力カウンタの値が増加される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記対策を実行するステップが、代替的には前記プラズマ・ディスプレイ・パネルの利得を減少させるための過熱信号を発生させるステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プラズマ・ディスプレイ・パネルにおいて個々のドライバ回路の過熱を回避するための方法であって、
前記ドライバ回路がサブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、前記表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックの形態でパラレルに転送し、
前記方法が、
各サブフィールド・データ・ビットについて、当該サブフィールド・データ・ビットの値と隣接するサブフィールド・データ・ビットの値との間の関係を表す遷移情報を決定するステップと、
隣接するサブフィールド・データ・ビット、および、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なるサブフィールド・データ・ビットをカウントすることによって、前記個々のドライバ回路の温度を表す信号を計算し、前記個々のドライバ回路の温度を表す前記信号を提供するステップと、
前記カウントの信号が所定の閾値を超えている場合に、前記温度を低下させる対策を実行するステップと、を含み、
前記対策を実行するステップが、入力カウンタ、出力カウンタ、およびステージ・カウンタのうちの少なくとも2つのカウンタのカウンタ値に基づいてフレーム毎に使用されるサブフィールドの数を減少させるステップを含む、前記方法。
【請求項7】
受信したサブフィールド・データ・ビットの値が前に受信した隣接するサブフィールド・データ・ビットの値とは異なる場合に、入力カウンタの値が増加される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットの値のものとは異なる場合に、出力カウンタの値が増加される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの前記遷移情報が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、ステージ・カウンタの値が増加される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットの値のものとは異なる場合に、出力カウンタの値が増加される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの前記遷移情報が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、ステージ・カウンタの値が増加される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対策を実行するステップが、代替的には前記プラズマ・ディスプレイ・パネルの利得を減少させるための過熱信号を発生させるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プラズマ・ディスプレイ・パネルにおいて個々のドライバ回路の過熱を回避するための装置であって、
前記個々のドライバ回路が、サブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、前記表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックでパラレルに転送し、
前記装置は、
隣接するサブフィールド・データ・ビット、および、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なるサブフィールド・データ・ビットをカウントすることによって、前記ドライバ回路の温度を表す信号を計算し、前記個々のドライバ回路の温度を表す各カウントの信号を提供する計算手段と、
前記カウントの信号が所定の閾値を超えている場合に、前記温度を低下させる対策を実行する制御手段と、を含み、前記制御手段は、入力カウンタ、出力カウンタ、およびステージ・カウンタのうちの少なくとも2つのカウンタのカウンタ値に基づいてフレーム毎に使用されるサブフィールドの数を減少させるための過熱信号を発生させる信号処理手段を含む、前記装置。
【請求項14】
受信したサブフィールド・データ・ビットの値が前に受信した隣接するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、値が増加される入力カウンタを前記カウントをする手段が備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、値が増加される出力カウンタを前記カウントをする手段が備える、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、値が増加される出力カウンタを前記カウントをする手段が備える、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記信号処理手段が、代替的には前記プラズマ・ディスプレイ・パネルの利得を減少させるための過熱信号を発生させる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
プラズマ・ディスプレイ・パネルにおいて個々のドライバ回路の過熱を回避するための装置であって、
前記個々のドライバ回路が、サブフィールド・データ・ビットのシーケンスの形態の表示用データをシリアルに受信し、前記表示用データを各々が所定数のサブフィールド・データ・ビットからなるデータ・ブロックでパラレルに転送し、
前記装置が、
各サブフィールド・データ・ビットについて、当該サブフィールド・データ・ビットの値と隣接するサブフィールド・データ・ビットの値との間の関係を表す遷移情報を決定するデータ処理手段と、
隣接するサブフィールド・データ・ビット、および、先行するサブフィールド・データ・ビットのものとは値が異なるサブフィールド・データ・ビットをカウントすることによって、前記個々のドライバ回路の温度を表す信号を計算し、前記個々のドライバ回路の温度を表す前記信号を提供する計算手段と、
前記カウントの信号が所定の閾値を超えている場合に、前記温度を低下させる対策を実行する制御手段と、を含み、前記制御手段は、入力カウンタ、出力カウンタ、およびステージ・カウンタのうちの少なくとも2つのカウンタのカウンタ値に基づいてフレーム毎に使用されるサブフィールドの数を減少させるための過熱信号を発生させる信号処理手段を含む、前記装置。
【請求項19】
受信したサブフィールド・データ・ビットの値が前に受信した隣接するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、値が増加される入力カウンタを前記カウントをする手段が備える、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、値が増加される出力カウンタを前記カウントをする手段が備える、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの前記遷移情報が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、値が増加されるステージ・カウンタを前記カウントをする手段が備える、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの値が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、値が増加される出力カウンタを前記カウントをする手段が備える、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
データ・ブロックのサブフィールド・データ・ビットの前記遷移情報が先行するデータ・ブロックの対応するサブフィールド・データ・ビットのものとは異なる場合に、値が増加されるステージ・カウンタを前記カウントをする手段が備える、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記信号処理手段が、代替的には前記プラズマ・ディスプレイ・パネルの利得を減少させるための過熱信号を発生させる、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
ディスプレイ・パネルと、請求項17に記載の装置を複数含むプラズマ・ディスプレイ・デバイスであって、各装置が前記ディスプレイ・パネルの個々のドライバ回路に関連付けられ、前記カウントの信号が所定の閾値を超えている場合に、各装置のために過熱信号を発生可能であり、
1つの装置の前記過熱信号が所定の閾値を越えている場合、
所定の数を超える装置の各過熱信号が前記所定の閾値を超えている場合、または、
所定の数を超える連続した装置の各過熱信号が前記所定の閾値を超えている場合に、
利得またはサブフィールドの数を減少させることが可能である、前記プラズマ・ディスプレイ・デバイス。
【請求項26】
ディスプレイ・パネルと、請求項25に記載の装置を複数含むプラズマ・ディスプレイ・デバイスであって、各装置が前記ディスプレイ・パネルの個々のドライバ回路に関連付けられ、前記カウントの信号が所定の閾値を超えている場合に、各装置のために過熱信号を発生可能であり、
1つの装置の前記過熱信号が所定の閾値を越えている場合、
所定の数を超える装置の各過熱信号が前記所定の閾値を超えている場合、または、
所定の数を超える連続した装置の各過熱信号が前記所定の閾値を超えている場合に、
利得またはサブフィールドの数を減少させることが可能である、前記プラズマ・ディスプレイ・デバイス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−65044(P2013−65044A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281985(P2012−281985)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2007−34294(P2007−34294)の分割
【原出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】