説明

プラズマ表示装置およびその駆動装置と駆動方法

【課題】プラズマ表示装置およびその駆動装置と駆動方法を提供する。
【解決手段】プラズマ表示装置は維持期間の間維持放電を行う電極にハイレベル電圧とローレベル電圧を交互に印加する。このような動作のために、電極とハイレベル電圧を供給する第1電源の間に第1スイッチが連結されており、前記電極とローレベル電圧を供給する第2電源の間に第2スイッチが連結されている。電力回収用キャパシタに少なくともひとつのインダクタの第1端が連結されており、前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に第1ダイオードと第3スイッチが直列に連結されており、前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に第2ダイオードと第4スイッチが直列に連結されている。この時、少なくともひとつのインダクタの第2端に連結されているクランピング回路部は第1および第2スイッチの導通の時に前記少なくともひとつのインダクタによって、発生する共振エネルギーを吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマ表示装置およびその駆動装置とその駆動方法に関し、特に、維持放電回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ表示装置は、気体放電によって生成されたプラズマを用いて、文字または映像を表示するプラズマ表示パネルを用いた表示装置である。このようなプラズマ表示パネルには複数の放電セルがマトリックス形態に配列されている。
【0003】
一般にプラズマ表示装置では、1フレームが複数のサブフィールドに分割されて駆動され、複数のサブフィールドのうち表示動作が起こるサブフィールドの加重値の組み合わせによって階調が表示される。各サブフィールドのアドレス期間の間に発光セルと非発光セルが選択され、維持期間の間に実際に映像を表示するために発光セルに対して維持放電が行われる。
【0004】
このような動作をするために、維持期間の間に維持放電を行う電極にハイレベル電圧とローレベル電圧が交互に印加される。この時、維持放電が起こる二つの電極は容量性成分として作用するので、電極にハイレベル電圧またはローレベル電圧を印加するためには無効電力が必要である。したがって、プラズマ表示装置の維持放電回路は、無効電力を回収して再使用するエネルギー回収回路が使用される。
【0005】
このようなエネルギー回収回路は、維持放電を行う電極に連結されたインダクタとの共振を用いる。この時、インダクタの一端には電極が連結され、他端にはインダクタの他端の電圧が許容電圧から外れることを防ぐクランピングダイオードが連結される。したがって、インダクタとの共振を用いて電極の電圧を増加させた後、電極にハイレベル電圧を印加する時、またはインダクタとの共振を用いて電極の電圧を減少させた後、電極にローレベル電圧を印加する時、インダクタの特性によりクランピングダイオードを通過するフリーホイール電流が発生する。
【0006】
このようなフリーホイール電流によってインダクタに貯蔵されたエネルギーが失われる。このため、電極の電圧を共振を用いて増加させる前には、電極の電圧はハイレベル電圧より低くなっており、電極の電圧を共振を用いて減少させる前には、電極の電圧はローレベル電圧より高くなっている。つまり、インダクタの端子間電圧が充分にならなくてエネルギー回収率が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、維持放電回路でエネルギー回収率を向上させることができるプラズマ表示装置およびその駆動装置とその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によるプラズマ表示装置は、電極と、第1スイッチと、第2スイッチと、少なくともひとつのインダクタと、第3スイッチと、第4スイッチと、第1ダイオードと、第2ダイオードと、そしてクランピング回路部と、を含む。第1スイッチは前記電極と第1電圧を供給する第1電源の間に連結されている。第2スイッチは前記電極と第2電圧を供給する第2電源の間に連結されている。少なくともひとつのインダクタは、前記第1電圧と前記第2電圧の間の第3電圧を供給する第3電源に第1端が連結されている。第3スイッチは、前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に連結されている。第4スイッチは、前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に連結されている。第1ダイオードは、前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に連結されており、前記第3スイッチの導通の時に前記電極の電圧を増加させる経路を形成する。第2ダイオードは、前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に連結されており、前記第4スイッチの導通の時に前記電極の電圧を減少させる経路を形成する。そしてクランピング回路部は、前記第1および第2スイッチの導通の時に前記少なくともひとつのインダクタによって発生する共振エネルギーを吸収する。
【0009】
本発明の他の実施例によれば、電極を含むプラズマ表示装置を駆動する方法が提供される。この駆動方法は、維持期間で、第1電圧を供給する第1電源に第1端が連結されている第1インダクタおよび前記第1インダクタの第2端と前記電極の間に連結されている第1スイッチを含む第1経路を通じて、前記電極の電圧を増加させる段階と、そして前記電極に前記第1電圧より高い第2電圧を印加する段階と、を含む。この時、前記電極に前記第2電圧を印加する段階は、前記第1インダクタによって発生する共振エネルギーを吸収する段階を含む。
【0010】
本発明のまた他の実施例によれば、電極を含むプラズマ表示装置を駆動する装置が提供される。この駆動装置は、第1スイッチと、第2スイッチと、上昇経路と、下降経路およびクランピング回路部と、を含む。第1スイッチは、前記電極と第1電圧とを供給する第1電源の間に連結されている。第2スイッチは前記電極と前記第1電圧より低い第2電圧を供給する第2電源の間に連結されている。上昇経路は、前記第1電圧と前記第2電圧の間の第3電圧を供給する第3電源に連結されている第1インダクタ、前記第1インダクタと前記電極の間に直列に連結されている第1ダイオードおよび第3スイッチを含み、前記第3スイッチの導通の時に前記電極の電圧を増加させる。下降経路は前記第3電源に連結されている第2インダクタ、前記第2インダクタと前記電極の間に直列に連結されている第2ダイオードおよび第4スイッチを含み、前記第4スイッチの導通の時に前記電極の電圧を減少させる。そしてクランピング回路部は前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの導通の時に前記第1インダクタおよび前記第2インダクタによって発生する共振エネルギーを吸収する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施例によれば、維持期間でエネルギー回収回路を使う時、共振エネルギーを吸収できて、エネルギー回収率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施例について当業者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかしながら、本発明は多様に異なる形態で実現できるので、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0013】
図面では本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略した。明細書全体を通じて類似した部分については同一な図面符号を付した。ある部分が他の部分と連結されているという時、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を間において連結されている場合も含む。
【0014】
そして明細書全体で電圧を維持するという表現は、特定2点間の電位差が時間経過により変化してもその変化が設計上許容できる範囲内であったり、変化の原因が当業者の設計慣行では無視されている寄生成分も考慮した場合を含む。また、放電電圧に比べて半導体素子(トランジスタ、ダイオードなど)のしきい電圧が非常に低いので、しきい電圧を0V電圧と見なして近似処理する。したがって、電源によってノード、電極などに印加される電圧は前記電源の電圧でしきい電圧、寄生成分などによって電圧変動が起こった電圧を含む。
【0015】
以下、本発明の実施例によるプラズマ表示装置およびその駆動装置とその駆動方法について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例によるプラズマ表示装置を概略的に示す図面であり、図2は本発明の第1実施例によるプラズマ表示装置の駆動波形を示した図面である。図2では説明の便宜上維持期間での駆動波形だけを示し、一つのX電極と一つのY電極だけを示した。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施例によるプラズマ表示装置は、プラズマ表示パネル100と、制御部200と、アドレス電極駆動部300と、走査電極駆動部400および維持電極駆動部500と、を含む。
【0018】
プラズマ表示パネル100は、列方向に伸びている複数のアドレス電極(以下、“A電極”という)(A1〜Am)、そして行方向に互いに対を構成しながら伸びている複数の維持電極(以下、“X電極”という)(X1〜Xn)および走査電極(以下、“Y電極”という)(Y1〜Yn)を含む。一般に、X電極(X1〜Xn)は各Y電極(Y1〜Yn)に対応して形成されており、X電極(X1〜Xn)とY電極(Y1〜Yn)が維持期間で画像を表示するための表示動作を行う。Y電極(Y1〜Yn)とX電極(X1〜Xn)はA電極(A1〜Am)と直交するように配置される。この時、A電極(A1〜Am)、X電極(X1〜Xn)およびY電極(Y1〜Yn)の交差部にある放電空間がセル110を形成する。このようなプラズマ表示パネル100の構造は一例であり、以下で説明する駆動波形が適用できる他の構造のパネルも本発明に適用できる。
【0019】
制御部200は外部から映像信号を受信してA電極駆動制御信号、X電極駆動制御信号およびY電極駆動制御信号を出力する。そして制御部200は、1フレームを複数のサブフィールドに分割して駆動する。
【0020】
アドレス電極駆動部300は、制御部200からの駆動制御信号によってA電極(A1〜Am)に駆動電圧を印加する。
【0021】
走査電極駆動部400は、制御部200からの駆動制御信号によってY電極(Y1〜Yn)に駆動電圧を印加する。
【0022】
維持電極駆動部500は、制御部200からの駆動制御信号によってX電極(X1〜Xn)に駆動電圧を印加する。
【0023】
具体的には、各サブフィールドのアドレス期間の間、アドレス電極駆動部300、走査電極駆動部400および維持電極駆動部500は複数のセル110の中にあって当該サブフィールドでの発光セルと非発光セルを選択する。各サブフィールドの維持期間の間、図2に示すように走査電極駆動部400はY電極(Y1〜Yn)にハイレベル電圧(Vs)およびローレベル電圧(0V)を交互に有する維持パルスを当該サブフィールドの加重値に相当する回数だけ印加する。そして維持電極駆動部500はX電極(X1〜Xn)に維持パルスをY電極(Y1〜Yn)に印加される維持パルスと反対位相で印加する。このようにすると、各Y電極(Y1〜Yn)と各X電極(X1〜Xn)の電圧差がVs電圧と−Vs電圧を交互に有し、これにより発光セルで維持放電が所定回数だけ繰り返して起こる。
【0024】
次に、Y電極(Y1〜Yn)に印加される維持パルスを供給する維持放電回路について図3および図4を参照して説明する。
【0025】
図3は本発明の第1実施例による維持放電回路を示した図面であり、図4は本発明の第2実施例による維持放電回路を示した図面である。図3および図4で維持放電回路410はY電極(Y1〜Yn)に共通に連結されており、X電極(X1〜Xn)にも図3および図4の維持放電回路410と同一な維持放電回路510が連結される。図3および図4では説明の便宜上一つのX電極と一つのY電極だけを示し、X電極とY電極によって形成される容量性成分をパネルキャパシタ(Cp)に示した。また、図3および図4ではトランジスタ(Ys、Yr、Yf、Yg)をnチャンネル電界効果トランジスタ、特にNMOS(n-channel metal oxide semiconductor)トランジスタに示し、これらトランジスタ(Ys、Yr、Yf、Yg)にはソースからドレイン方向にボディーダイオードが形成できる。そして、NMOSトランジスタの代わりに類似な機能をする他のトランジスタがこれらトランジスタ(Ys、Yr、Yf、Yg)に使用されてもよい。また、トランジスタ(Ys、Yr、Yf、Yg)をそれぞれ一つのトランジスタに示したが、トランジスタ(Ys、Yr、Yf、Yg)はそれぞれ並列に連結された複数のトランジスタに形成できる。
【0026】
まず、図3に示すように、本発明の第1実施例による維持放電回路410は維持放電部411およびエネルギー回収部412を備える。維持放電部411はトランジスタ(Ys、Yg)を備え、エネルギー回収部412はトランジスタ(Yr、Yf)と、インダクタ(Ly)と、キャパシタ(Css)およびダイオード(Dr、Df、Ds、Dg)と、を備える。
【0027】
具体的には、トランジスタ(Ys)のドレインはハイレベル電圧(Vs)を供給する電源(Vs)に連結されており、トランジスタ(Ys)のソースはY電極に連結されている。トランジスタ(Yg)のソースはローレベル電圧(0V)を供給する電源(つまり、接地端)に連結されており、トランジスタ(Yg)のドレインはY電極に連結されている。
【0028】
トランジスタ(Yr)のソースおよびトランジスタ(Yf)のドレインがそれぞれY電極に連結されており、トランジスタ(Yr)のドレインおよびトランジスタ(Yf)のソースがそれぞれインダクタ(Ly)の一端に連結されている。インダクタ(Ly)の他端はエネルギー回収用電源であるキャパシタ(Css)に連結されている。インダクタ(Ly)の一端とトランジスタ(Yr)のドレインとの間にダイオード(Dr)が連結されており、インダクタ(Ly)の一端とトランジスタ(Yf)のソースとの間にダイオード(Df)が連結されている。この時、キャパシタ(Css)はハイレベル電圧(Vs)とローレベル電圧(0V)の間の電圧を供給し、特に、二つの電圧(Vs、0V)の中間電圧(Vs/2)を供給する。そしてダイオード(Dr)は、Y電極の電圧を増加させるための電流経路(以下、“上昇経路”という)を設定し、ダイオード(Df)はY電極の電圧を減少させるための電流経路(以下、“下降経路”という)を設定する。そしてダイオード(Dr)とトランジスタ(Yr)の位置が互いに変わってもよく、ダイオード(Df)とトランジスタ(Yf)の位置が互いに変わってもよい。
【0029】
また、インダクタ(Ly)の一端にアノードが連結されているダイオード(Ds)のカソードが電源(Vs)に連結されており、インダクタ(Ly)の一端にカソードが連結されているダイオード(Dg)のアノードが接地端に連結されている。ダイオード(Ds、Dg)は、それぞれインダクタ(Ly)の一端の電圧、つまり、電圧(VL)が急激に変わりながら、許容電圧から外れることを防ぐクランピングの役割を果たす。したがって、ダイオード(Ds、Dg)はクランピング手段として動作する。
【0030】
そして図3と異なり、本発明の第2実施例による維持放電回路410は上昇経路と下降経路上にインダクタがそれぞれ連結されてもよい。つまり、図4に示すように、本発明の第2実施例によるエネルギー回収部412aは、インダクタ(Lyr)の一端がダイオード(Dr)のアノードに連結されており、インダクタ(Lyf)の一端がダイオード(Df)のカソードに連結されており、インダクタ(Lyr、Lyf)の他端がそれぞれキャパシタ(Css)に連結されている。この場合、ダイオード(Ds)はインダクタ(Lyr)の一端と電源(Vs)の間に連結され、ダイオード(Dg)はインダクタ(Lyf)の一端と接地端の間に連結できる。
【0031】
一方、維持パルスはハイレベル電圧とローレベル電圧でそれぞれVs電圧と0V電圧と違った電圧が使われてもよい。
【0032】
図5は、本発明の第2実施例によるプラズマ表示装置の駆動波形を示した図面であり、図6は本発明の実施例による維持放電回路を示した図面である。
【0033】
図5に示すように、維持パルスのハイレベル電圧にVs/2電圧が使われ、維持パルスのローレベル電圧に−Vs/2電圧が使われてもよい。このようにしても、各Y電極(Y1〜Yn)と各X電極(X1〜Xn)の電圧差がVs電圧と−Vs電圧を交互に有するので、発光セルで維持放電が起こされる。
【0034】
そして図3および図4に示す維持放電回路410で、トランジスタ(Ys)およびダイオード(Ds)のカソードが連結される電源(Vs)をVs/2電圧を供給する電源に変え、トランジスタ(Yg)およびダイオード(Dg)のアノードが連結される接地端を−Vs/2電圧を供給する電源に変えれば、Y電極にVs/2電圧と−Vs/2電圧を印加することができる。
【0035】
一方、本発明の第2実施例による維持パルスはハイレベル電圧がVs/2電圧であり、ローレベル電圧が−Vs/2電圧であるので、維持パルスのハイレベル電圧(Vs/2)と維持パルスのローレベル電圧(−Vs/2)の中間電圧は0Vとなる。したがって、図6に示すように、本発明の第3実施例によるエネルギー回収部412bはキャパシタ(図3および図4のCss)がなくても良い。
【0036】
次に、本発明の第1実施例による維持放電回路の動作について図7、図8Aおよび図8Bを参照して説明する。
【0037】
図7は本発明の第1実施例による維持放電回路の信号タイミング図であり、図8Aおよび図8Bはそれぞれ図7のモード2およびモード4で維持放電回路を近似化した図面である。図7のモード1(M1)の直前モード4(M4)ではトランジスタ(Yg)が導通してY電極に0V電圧が印加されているものと仮定する。そして図7で“VO”はパネルキャパシタ(Cp)のY電極の電圧を意味し、“V1”はダイオード(Df)のアノード電圧を意味する。“V2”はダイオード(Dr)のカソード電圧を意味し、“VL”はインダクタ(Ly)の一端電圧を意味する。
【0038】
モード1(M1)ではトランジスタ(Yg)を遮断してトランジスタ(Yr)を導通する。以下、キャパシタ(Css)、インダクタ(Ly)、ダイオード(Dr)、トランジスタ(Yr)およびパネルキャパシタ(Cp)のY電極で電流経路が形成される。この時、パネルキャパシタ(Cp)とインダクタ(Ly)との間で共振が発生する。この共振によってVOおよびVL電圧が増加する。
【0039】
モード2(M2)ではトランジスタ(Yr)を遮断してトランジスタ(Ys)を導通する。以下、電源(Vs)、トランジスタ(Ys)およびパネルキャパシタ(Cp)のY電極で電流経路が形成されながらV0電圧がVs電圧になる。この時、t〜t領域では電流が逆方向に変わった後、ダイオード(Dr)が電流をそれ以上流れることができないように防止し始める時まで電流をそのまま通過させる。t〜t領域ではダイオード(Dr)が逆バイアスに転換されたので、VL、V1およびV2電圧がそれぞれ異なる速度で変動が起こる。そしてインダクタ(Ly)でY電極に向かってながめた回路は、図8Aに示すように各接合キャパシタンスの合計である一つのキャパシタ(Cp)のように近似が可能である。したがって、t以後の領域ではインダクタ(Ly)とキャパシタ(Cp)との間で共振が発生しながらVLおよびV2電圧が変動する。つまり、インダクタ(Ly)に流れる電流が共振エネルギーに発散されながらトランジスタ(Ys)ではフリーホイール電流が流れなくなる。
【0040】
モード3(M3)ではトランジスタ(Ys)を遮断してトランジスタ(Yf)を導通する。そうすれば、パネルキャパシタ(Cp)のY電極、トランジスタ(Yf)、ダイオード(Df)、インダクタ(Ly)およびキャパシタ(Css)に電流経路が形成される。この時、パネルキャパシタ(Cp)とインダクタ(Ly)との間で共振が発生する。この共振によってVOおよびVL電圧が減少する。
【0041】
モード4(M4)ではトランジスタ(Yf)を遮断してトランジスタ(Yg)を導通する。そうすれば、パネルキャパシタ(Cp)のY電極、トランジスタ(Yg)および接地端で電流経路を形成しながらV0電圧が0Vになる。モード4(M4)でもモード2(M2)と類似にしt'〜t'領域では電流が逆方向に変わった後、ダイオード(Df)が電流をそれ以上流れることができないように防止し始める時まで電流をそのまま通過させる。t'〜t'領域ではダイオード(Df)が逆バイアスに転換されたので、VL、V1およびV2電圧がそれぞれ異なる速度で変動が起こる。そしてインダクタ(Ly)でY電極に向かってながめた回路は、図8Bに示すように各接合キャパシタンスの合計である一つのキャパシタ(Cp)のように近似が可能である。したがって、t'以後の領域ではインダクタ(Ly)とキャパシタ(Cp)との間で共振が発生しながらVLおよびV1電圧が変動する。つまり、インダクタ(Ly)に流れる電流が共振エネルギーに発散されながらトランジスタ(Yg)ではフリーホイール電流が流れなくなる。
【0042】
次に、維持期間の間に維持放電回路410はモード1乃至4(M1〜M4)の動作を当該サブフィールドの加重値に対応する回数だけ繰り返すことによって、Y電極に0V電圧とVs電圧を交互に有する維持パルスを印加することができる。
【0043】
このように、本発明の第1実施例による維持放電回路410ではフリーホイール電流が流れないので、エネルギー回収率を従来より増加させることができる。
【0044】
そして図4および図6に示す維持放電回路の動作および効果もまた図3に示す維持放電回路の動作および効果と同一である。
【0045】
次に、図9〜図12を参照して本発明の第4乃至第7実施例による維持放電回路について説明する。
【0046】
図9〜図12はそれぞれ本発明の第4乃至第7実施例による維持放電回路を示した図面である。
【0047】
図9に示すように、本発明の第4実施例によるエネルギー回収部412cは、ダイオード(Ds、Dg)の代わりにクランピング回路部412−1を含むという点を除けば、第1実施例と同一である。
【0048】
クランピング回路部412−1は抵抗(Rc)およびキャパシタ(Cc)を含む。インダクタ(Ly)の一端に抵抗(Rc)が連結されており、抵抗(Rc)と接地端との間にキャパシタ(Cc)が連結されている。この時、キャパシタ(Cc)のキャパシタンスはキャパシタ(Cp)のキャパシタンスより大きい。したがって、抵抗(Rc)およびキャパシタ(Cc)はY電極にVs電圧を印加する時、およびY電極に0V電圧を印加する時(つまり、図7のM2、M4)、インダクタ(Ly)とキャパシタ(Cp)間の共振エネルギーを吸収する役割を果たす。つまり、Y電極にVs電圧を印加する時、およびY電極に0V電圧を印加する時、キャパシタ(Cc)のキャパシタンスがキャパシタ(Cp)のキャパシタンスより大きくなれば、キャパシタ(Cc)とインダクタ(Ly)との共振が主成分になる。この時、抵抗(Rc)により共振エネルギーが速い速度で減少するようになるので、Y電極に安定した電圧を印加できるようになる。この時、抵抗(Rc)の抵抗値はインダクタ(Ly)に流れる電流のピーク値により決定され、キャパシタ(Cc)のキャパシタンスはキャパシタ(Cp)により決定される。
【0049】
そして図10のように、本発明の第5実施例によるエネルギー回収部(412d)は、クランピング回路部412−2がダイオード(Dc)をさらに含むという点を除けば、本発明の第4実施例と同一である。この時、ダイオード(Dc)のアノードがインダクタ(Ly)の一端に連結されており、ダイオード(Dc)のカソードが抵抗(Rc)とキャパシタ(Cc)との間に連結されている。このようなダイオード(Dc)はVL電圧が急激に増加する時、キャパシタ(Cc)および接地端で電流経路を形成してVL電圧が急速に増加することを防止することができる。
【0050】
一方、図9および図10ではクランピング回路部412−1、412−2を本発明の第1実施例による維持放電回路410に適用したが、クランピング回路部412−1、412−2を本発明の第2および第3実施例による維持放電回路410にも適用することができる。
【0051】
つまり、本発明の第2実施例による維持放電回路410に図9のクランピング回路部412−1を適用すれば図11と同じように示すことができ、本発明の第2実施例による維持放電回路410に図10のクランピング回路部412−2を適用すれば図12と同じように示すことができる。
【0052】
具体的には、図11に示すように、本発明の第6実施例によるエネルギー回収部412eで、クランピング回路部412−1'にはインダクタ(Lyr)とダイオード(Dr)の接続点と接地端の間に抵抗(Rcr)およびキャパシタ(Ccr)が直列に連結されており、クランピング回路部412−1''にはインダクタ(Lyf)とダイオード(Df)の接続点と接地端の間に抵抗(Rcf)およびキャパシタ(Ccf)が直列に連結されている。
【0053】
また、図12に示すように、本発明の第7実施例によるエネルギー回収部412fで、クランピング回路部412−2'にはインダクタ(Lyr)とダイオード(Dr)の接続点と接地端の間に抵抗(Rcr)およびキャパシタ(Ccr)が直列に連結されており、ダイオード(Dcr)が抵抗(Rcr)に並列に連結されている。また、クランピング回路部412−2''にはインダクタ(Lyf)とダイオード(Df)の接続点と接地端の間に抵抗(Rcf)およびキャパシタ(Ccf)が直列に連結されており、ダイオード(Dcf)が抵抗(Rcf)に並列に連結されている。
【0054】
これとは異なり、クランピング回路部412−1、412−2が接地端ではない電圧を供給する電源に連結されてもよい。つまり、クランピング回路部412−1、412−2が電源(Vs)に連結されてもよい。
【0055】
一方、図9および図10のクランピング回路部412−1、412−2と類似な動作を行う他の形態のクランピング回路が本発明の第1乃至第3実施例による維持放電回路410に適用されてもよい。以下、このようなクランピング回路について図13および図14を参考として説明する。
【0056】
図13および図14は、それぞれ本発明の第8および第9実施例による維持放電回路を示した図面である。
【0057】
図13に示すように、本発明の第8実施例によるエネルギー回収部412gのクランピング回路部412−3'ではダイオード(Dr)のアノードとダイオード(Dr)のカソードの間に抵抗(Rcr)およびキャパシタ(Ccr)が直列に連結されており、ダイオード(Dcr)が抵抗(Rcr)に並列に連結できる。また、エネルギー回収部412hのクランピング回路部412−3''ではダイオード(Df)のカソードとダイオード(Df)のアノードの間に抵抗(Rcf)およびキャパシタ(Ccf)が直列に連結されており、ダイオード(Dcf)が抵抗(Rcf)に並列に連結される。
【0058】
そして図13と異なり、図14に示すように、本発明の第9実施例によるエネルギー回収部412hのクランピング回路部412−4'ではインダクタ(Lyr)の両端の間に抵抗(Rcr)およびキャパシタ(Ccr)が直列に連結でき、同様にエネルギー回収部412hのクランピング回路部412−4''ではインダクタ(Lyf)の両端の間に抵抗(Rcf)およびキャパシタ(Ccf)が直列に連結できる。そして本発明の第6乃至第9実施例による維持放電回路410のエネルギー回収部412e〜412hでのクランピング回路部412−1'、412−1''、412−2'、412−2''、412−3'、412−3''、412−4'、412−4''の動作および効果は、本発明の第4および第5実施例による維持放電回路でのクランピング回路部412−1、412−2の動作および効果と同一である。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これもまた本発明の範囲に属することは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例によるプラズマ表示装置を概略的に示す図面である。
【図2】本発明の第1実施例によるプラズマ表示装置の駆動波形を示した図面である。
【図3】本発明の第1実施例による維持放電回路を示した図面である。
【図4】本発明の第2実施例による維持放電回路を示した図面である。
【図5】本発明の第2実施例によるプラズマ表示装置の駆動波形を示した図面である。
【図6】本発明の第3実施例による維持放電回路を示した図面である。
【図7】本発明の第1実施例による維持放電回路の信号タイミング図である。
【図8A】図7のモード2で維持放電回路を近似化した図面である。
【図8B】図7のモード4で維持放電回路を近似化した図面である。
【図9】本発明の第4実施例による維持放電回路を示した図面である。
【図10】本発明の第5実施例による維持放電回路を示した図面である。
【図11】本発明の第6実施例による維持放電回路を示した図面である。
【図12】本発明の第7実施例による維持放電回路を示した図面である。
【図13】本発明の第8実施例による維持放電回路を示した図面である。
【図14】本発明の第9実施例による維持放電回路を示した図面である。
【符号の説明】
【0061】
110 セル
400 走査電極駆動部
500 維持電極駆動部
410、510 維持放電回路
411 維持放電部
412、412a〜412h エネルギー回収部
412−1、412−2 クランピング回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と、
前記電極と第1電圧を供給する第1電源の間に連結されている第1スイッチと、
前記電極と第2電圧を供給する第2電源の間に連結されている第2スイッチと、
前記第1電圧と前記第2電圧の間の第3電圧を供給する第3電源に第1端が連結されている少なくともひとつのインダクタと、
前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に連結されている第3スイッチと、
前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に連結されている第4スイッチと、
前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に連結されており、前記第3スイッチの導通の時に前記電極の電圧を増加させる経路を形成する第1ダイオードと、
前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記電極の間に連結されており、前記第4スイッチの導通の時に前記電極の電圧を減少させる経路を形成する第2ダイオードと、
前記第1および第2スイッチの導通の時に前記少なくともひとつのインダクタによって発生する共振エネルギーを吸収するクランピング回路部と、
を備えることを特徴とする、プラズマ表示装置。
【請求項2】
前記クランピング回路部は、
前記少なくともひとつのインダクタの第2端と前記第1電源の間に直列に連結されている抵抗および第1キャパシタを備えることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ表示装置。
【請求項3】
前記第2電圧は前記第1電圧より高い電圧であり、前記抵抗が前記少なくともひとつのインダクタの第2端に連結され、前記第1キャパシタが前記第1電源に連結されることを特徴とする、請求項2に記載のプラズマ表示装置。
【請求項4】
前記クランピング回路部は、
前記第1ダイオードのアノードと前記第1ダイオードのカソードの間および前記第2ダイオードのアノードと前記第2ダイオードのカソードの間にそれぞれ直列に連結されているキャパシタおよび抵抗を備えることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ表示装置。
【請求項5】
前記クランピング回路部は、
前記少なくともひとつのインダクタの第1端と前記少なくともひとつのインダクタの第2端の間に直列に連結されているキャパシタおよび抵抗を備えることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ表示装置。
【請求項6】
前記クランピング回路部は、
前記抵抗に並列に連結されている第3ダイオードをさらに備えることを特徴とする、請求項2乃至請求項5のうち何れか一項に記載のプラズマ表示装置。
【請求項7】
前記第3電源は前記第3電圧を充電しているキャパシタを備えることを特徴とする、請求項6に記載のプラズマ表示装置。
【請求項8】
前記第1電圧は正の電圧であり、前記第2電圧は前記第1電圧と絶対値が同じ負の電圧であることを特徴とする、請求項6に記載のプラズマ表示装置。
【請求項9】
電極を備えるプラズマ表示装置を駆動する方法であって、
維持期間で、
第1電圧を供給する第1電源に第1端が連結されている第1インダクタ、および前記第1インダクタの第2端と前記電極の間に連結されている第1スイッチを含む第1経路を通じて、前記電極の電圧を増加させる段階と、
前記電極に前記第1電圧より高い第2電圧を印加する段階と、
を備え、
前記電極に前記第2電圧を印加する段階は、
前記第1インダクタによって発生する共振エネルギーを吸収する段階を備えることを特徴とする、駆動方法。
【請求項10】
前記維持期間で、
前記第1電源に第1端が連結されている第2インダクタおよび前記第2インダクタの第2端と前記電極の間に連結されている第2スイッチを備える第2経路を通じて、前記電極の電圧を減少させる段階と、
前記電極に前記第1電圧より低い第3電圧を印加する段階と、
をさらに備え、
前記電極に前記第3電圧を印加する段階は、
前記第2インダクタによって発生する共振エネルギーを吸収する段階を備えることを特徴とする、請求項9に記載の駆動方法。
【請求項11】
前記第1および第2インダクタは同一なインダクタであることを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の駆動方法。
【請求項12】
電極を含むプラズマ表示装置を駆動する装置であって、
前記電極と第1電圧を供給する第1電源の間に連結されている第1スイッチと、
前記電極と前記第1電圧より低い第2電圧を供給する第2電源の間に連結されている第2スイッチと、
前記第1電圧と前記第2電圧の間の第3電圧を供給する第3電源に連結されている第1インダクタと、
前記第1インダクタと前記電極の間に直列に連結されている第1ダイオードおよび第3スイッチを含み、前記第3スイッチの導通の時に前記電極の電圧を増加させる上昇経路と、
前記第3電源に連結されている第2インダクタと、
前記第2インダクタと前記電極の間に直列に連結されている第2ダイオードおよび第4スイッチを含み、前記第4スイッチの導通の時に前記電極の電圧を減少させる下降経路と、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの導通の時に前記第1インダクタおよび前記第2インダクタによって発生する共振エネルギーを吸収するクランピング回路部と、
を備えることを特徴とする、駆動装置。
【請求項13】
前記クランピング回路部は、
前記第1インダクタと前記第1電源または前記第2電源の間に直列に連結されている第1抵抗および第1キャパシタと、そして
前記第2インダクタと前記第1電源または前記第2電源の間に直列に連結されている第2抵抗および第2キャパシタと、
を備えることを特徴とする、請求項12に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記クランピング回路部は、
前記第1ダイオードのアノードと前記第1ダイオードのカソードの間に直列に連結されている第1キャパシタおよび第1抵抗と、
前記第2ダイオードのアノードと前記第2ダイオードのカソードの間に直列に連結されている第2キャパシタおよび第2抵抗と、
を備えることを特徴とする、請求項12に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記クランピング回路部は、
前記第1インダクタの両端の間に直列に連結されている第1キャパシタおよび第1抵抗と、
前記第2インダクタの両端の間に直列に連結されている第2キャパシタおよび第2抵抗と、
を備えることを特徴とする、請求項12に記載の駆動装置。
【請求項16】
前記第1抵抗および第2抵抗にそれぞれ並列に連結されている第3および第4ダイオードをさらに備えることを特徴とする、請求項13乃至請求項15のうち何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項17】
前記第1および第2インダクタは同一なインダクタであり、前記第1および第2キャパシタは同一なキャパシタであり、前記第1および第2抵抗は同一な抵抗であることを特徴とする、請求項13乃至請求項15のうち何れか一項に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−122649(P2009−122649A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242772(P2008−242772)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】