説明

プラットホーム用タイル

【課題】表示装置の設置及びLED表示器の取り付けと交換を騒音を出すことなく容易に行えるプラットホーム用タイルを提供する。
【解決手段】プラットホーム用タイル11には、着脱枠体3が埋設されている。着脱枠体3は、プラットホーム用タイル11の上面に臨ませた収容口からLED表示器2を収容する枠本体31と、LED表示器2を載置されて固定される仕切枠32と、仕切枠32の仕切板321に形成された電線導入口32aとを備えている。枠本体31は、プラットホーム用タイル11の縦骨組材14aに載置されてプラットホーム用タイル11に埋設される。仕切枠32は、枠本体31内を上下に仕切る仕切板321を備えており、枠本体31に収容されて固定される。電線導入口32aは、LED表示器2から引き出されたケーブル23を、仕切板321の下側に導くためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅のプラットホームに据え付けるタイルに関するものであり、例えば、タイルに取り付ける表示器取付用シャーシとタイルとが一体化されているタイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。すなわち、特許文献1には、列車接近表示灯等を駅のプラットホームの床面から突出しないよう設置し、保守や交換の際にプラットホームの床面を掘り返す必要がなく、作業を容易にすることができ、工事も簡単にしたホーム設備の取付構造について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−169937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の埋設タイプの表示装置では、既設のプラットホームに新規に表示装置を据え付ける場合には、プラットホームを掘り起こしてLED表示器を取り付けるシャーシ本体を埋設してLED表示器の取り付けと接続配線などを行っている。これらの設置作業は、列車の終電から始発までの限られた時間内に作業を終わらせる必要があった。また、LED表示器を取り付けるシャーシ本体を埋設するためにプラットホームのタイルを掘り起こして、タイルにおけるシャーシ本体の取付部分を加工しているので、住宅街では騒音となり、工事の妨げとなっている。また、これらの工事は数日間を要するので、近隣からの苦情の元になっている。
【0005】
本発明は斯かる課題に鑑みてなされたもので、上記課題を解決し、表示装置の設置及びLED表示器の取り付けと交換を騒音を出すことなく容易に行えるプラットホーム用タイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明のプラットホーム用タイルは、駅のプラットホームに据え付けるタイルであって、経時性硬化材料と、該経時性硬化材料に埋設された骨組材と、前記経時性硬化材料に固定されて埋設体を収容する埋設体着脱枠体とを備え、該埋設体着脱枠体は、前記経時性硬化材料に外側面を接する枠本体と、該枠本体の外側面に設けられた位置決め片と、前記枠本体の内部を仕切る仕切枠と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記仕切枠には、前記埋設体から引き出された電線を導く電線導入口が設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記位置決め片には、前記骨組材の外寸より僅かに大きな切欠部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記位置決め片の下端部は、側方に向けて屈曲されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記位置決め片は、前記切欠部を備える先端側を、側方に向けて30度〜60度の何れかの角度に屈曲させていることを特徴とする。
また、本発明は、前記枠本体に支持されて表面に配置される滑止部材を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記埋設体は、光源としてLED発光体を備えたLED表示器であることを特徴とする。
また、本発明は、前記埋設体は、音声で案内するスピーカーを備えた出音装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プラットホームの躯体にタイルを据え付けるという簡単な作業で、埋設体の設置及び交換ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態のプラットホームを部分的に示す図であり、(a)は平面図,(b)は正面図である。
【図2】本発明の一実施形態の駅のプラットホームに据え付けるタイルの内部構造及びLED表示器と着脱枠体の取付構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態の駅のプラットホームに据え付けるタイルの内部構造及びLED表示器と着脱枠体の取付構造を示す分解斜視図である。
【図4】着脱枠体に対するLED表示器の取付構造を示す断面図である。
【図5】プラットホーム用タイルが備える着脱枠体からLED表示器を取り外す状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態のプラットホーム用タイルを示す図であり、(a)は平面図,(b)は右側から見た断面図,(c)は着脱枠体の取付構造を示す左右方向での断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の駅のプラットホームに据え付けるタイルの内部構造及びLED表示器と着脱枠体の取付構造の他の例を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態の駅のプラットホームに据え付けるタイルの内部構造及びLED表示器と着脱枠体の取付構造の他の例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の最良の形態を説明する。図1は、本実施形態のプラットホーム1を部分的に示す図であり、(a)は平面図,(b)は正面図である。図2は、プラットホームに据え付けるタイルの内部構造及びLED表示器と着脱枠体の取付構造を示す斜視図である。図3は、プラットホームに据え付けるタイルの内部構造及びLED表示器と着脱枠体の取付構造を示す分解斜視図である。図4は、着脱枠体3に対するLED表示器2の取付構造を示す断面図である。図5は、プラットホーム用タイル11が備える着脱枠体3からLED表示器2を取り外す状態を示す図である。図6は、プラットホーム用タイル11を示す図であり、(a)は平面図,(b)は右側から見た断面図,(c)は着脱枠体の取付構造を示す左右方向での断面図である。
【0010】
図1に示すように、プラットホーム1は、躯体が備える床版10の前縁部の上面にコンクリート製の複数のタイルを左右方向に並べて構成されている。タイルには、プラットホーム用タイル11,電線引出タイル12,及び電線挿通タイル13の3種類がある。プラットホーム用タイル11は、発光表示用のLED表示器2を備えている。電線引出タイル12は、LED表示器2への電源供給用の配線(外線ケーブル)を引き出す電線引出孔12aを備えている。電線挿通タイル13は、LED表示器2への電源供給用の配線(結線ケーブル)を挿通される電線挿通孔13aを備えている。プラットホーム用タイル11,電線引出タイル12,及び電線挿通タイル13は、略矩形の平板状を呈しており、滑り止め用の複数のゴム板g(滑止部材)が、前後方向に所定間隔で上面に配置されている。
【0011】
図2,図3に示すように、プラットホーム用タイル11に埋設するLED表示器2の断面略U字状の枠体21には、光源としてLED発光体を備えたLED発光部が、左右方向に所定間隔で複数配置されており、樹脂22に埋設されている。枠体21の底板の左右の端部からは、LED表示器2の電源供給用のケーブル23が延びている。ケーブル23の先端には、コネクタ23aが備えられている。樹脂22の上面には、LED発光部の備える光透過部2aが臨んでおり、樹脂22の上面とその上面を面一にしている。樹脂22の上面には、着脱枠体3にLED表示器2をネジ止めするネジ26(図4参照)を覆う装飾用の蓋体2bが備えられている。また、枠体21の前後の側面には、略矩形の平板状を呈したスポンジ24が、それぞれ貼り付けられている。
【0012】
図4に示すように、枠体21には、雌ネジ孔25aを備えたネジ座25が樹脂22で固定されている。雌ネジ孔25aは、LED表示器2を着脱枠体3にネジ止めするネジ26が螺着される。
【0013】
着脱枠体3は、プラットホーム用タイル11に固定される枠本体31と、LED表示器2の取り付けられる仕切枠32と、枠本体31の位置決め用の位置決め片33とを備えている。枠本体31は、断面略U字状を呈して左右方向に延びており、上方に延びた前板及び後板には、それぞれ複数(図では7個)のネジ孔31aが設けられている。枠本体31の底板の左右の縁部には、一対の雌ネジ部材31cがそれぞれ設けられている。枠本体31の上端開口部は、LED表示器2の収容口となっている。ネジ孔31aは、ゴム板gを枠本体31に支持する支持棒34を枠本体31にネジ止めするためのものであり、枠本体31の前板又は後板の上縁部を貫通している。ゴム板gは、略四角棒状を呈して左右に延びており、支持棒34の挿通孔g1が左右方向に等間隔で配置されている。各挿通孔g1は、ゴム板gを前後方向に貫通している。支持棒34は、ネジ孔31aにネジ止めされて枠本体31に固定され、前方又は後方を向いた先端側からゴム板gの挿通孔g1に挿通されて、ゴム板gを枠本体31に支持する。ゴム板gを支持した支持棒34は、挿通孔g1から前方又は後方に向けて先端部を突出させている。
【0014】
仕切枠32は、断面略U字状を呈して左右方向に延びており、前板及び後板を枠本体31の底板側に向けて枠本体31内に配置されている。仕切枠32の仕切板321と枠本体31の底板との間には、略矩形の断面形状を有して仕切枠32の左端から右端にかけて延びるケーブル収容室3Aが形成されている。仕切枠32の仕切板321の左右の端部には、LED表示器2のケーブル23をケーブル収容室3A内に導くための電線導入口32aが設けられている。各電線導入口32aは、仕切板321の左縁部又は右縁部から左右の中央部側にかけて、仕切板321を略矩形に切り欠いた形状を呈している。
【0015】
仕切枠32の仕切板321の左右方向の中央部には、略矩形の開口形状を有した一対の挿通口32bが形成されている。一対の電線導入口32a間に位置する仕切枠32の仕切板321の下面には、略矩形の平板状を呈した取付板35が配置される。取付板35の前縁部及び後縁部には、複数の突片が設けられている。図示しないが、取付板35は、仕切枠32の前板及び後板に所定間隔で形成された貫通孔に各突片を挿入することで仕切枠32に支持されている。
【0016】
取付板35の左右の端部にはそれぞれ貫通孔(不図示)が形成されている。また、図4に示すように、取付板35の左右の端部には、ネジ止部材36が設けられている。ネジ止部材36は、取付板35の左右の縁部を挟持して取付板35に固定される本体37と、本体37が備える一対の挿通片371に一対の突片381をそれぞれ挿通されて、本体37に対して移動自在に支持されたネジ止部38とを備えており、ネジ止め部38を取付板35の下面側に位置させている。ネジ止部38は、LED表示器2がネジ座25に備える雌ネジ孔25aよりも小さな径の雌ネジ孔382を備えており、取付板35の貫通孔を通して雌ネジ孔を仕切板321の上方に臨ませている。仕切枠32は、枠本体31及び仕切枠32の前板及び後板がそれぞれ備える貫通孔に挿通された締結部材31bで、枠本体31に取り付けられている。
【0017】
LED表示器2は、ネジ座25の雌ネジ孔25aとネジ止部38の雌ネジ孔382とが連通するように仕切枠32の仕切板321に載置され、雌ネジ孔25aを通してネジ止部38の雌ネジ孔382にネジ26の雄ネジ部を螺着することで着脱枠体3に取り付けられる。ネジ26の頭部には、上述した蓋体2bが嵌め合わされて取り付けられる。また、LED表示器2は、ネジ止部38の雌ネジ孔382に螺着されたネジ26を取り外した後、図5に示すように、ネジ26よりも大きな径の雄ネジ部を備えた分解工具BKを、ネジ座25の雌ネジ孔25aに矢印Aで示すようにねじ込み、続いて矢印Bに示すように持ち上げることで、着脱枠体3から取り外される。
【0018】
位置決め片33は、略矩形の平板の一縁部を屈曲させた概略形状を有しており、枠本体31の前板及び後板の外面に、仕切枠32と共に締結部材31bで取り付けられている。枠本体31に取り付けられた位置決め片33は、下縁部を枠本体31の外方に延出させ、かつ、枠本体31の底板よりも下方に位置させている。位置決め片33の屈曲した下縁部には複数の切欠部33aが備えられている。切欠部33aは、プラットホーム用タイル11の縦骨組材14aに着脱枠体3を位置決めするためのものであり、位置決め片33を略矩形に切り欠いた形状を有し、プラットホーム用タイル11の備える縦骨組材14aの配置間隔と同じ間隔で配置されている。位置決め片33の屈曲角は、縦骨組材14aと切欠部33aとの係合、及び浮上防止の見地から、30度〜60度の何れかの角度にすることが望ましい。プラットホーム用タイル11は、左右方向に延びる横骨組材14bと、横骨組材14bよりも大きな外径を有して前後方向に延びる縦骨組材14aとを骨組材として備えており、切欠部33aは前後に延びる縦骨組材14aに上側から嵌め合わされて着脱枠体3を位置決めする。縦骨組材14aは、略矩形の断面形状を有している。縦骨組材14a及び横骨組材14bは、溶接されて互いに接続された後に、外面に溶融亜鉛メッキが施されている。着脱枠体3の配置される左右方向と直交する前後方向に沿わせて縦骨組材14aを配置することで、プラットホーム用タイル11の曲げ強さを高めることができる。
【0019】
各着脱枠体3は、隣りのプラットホーム用タイル11が備える着脱枠体3とフルカプラ4Aで接続される。フルカプラ4Aは、断面略U字状を呈して左右方向に延びた本体枠41と、本体枠41の前板と後板との間に架け渡されたキャップ42とを備えている。キャップ42は、本体枠41の左右方向の中央部に位置しており、本体枠41の前板及び後板の外面に溶接等して取り付けられる。本体枠41の底板の四隅には、それぞれ貫通孔41aが設けられている。
【0020】
プラットホーム用タイル11が電線引出タイル12又は電線挿通タイル13と隣接する場合、電線引出タイル12又は電線挿通タイル13と隣り合う着脱枠体3の端部には、ハーフカプラ4Bが取り付けられる。ハーフカプラ4Bは、図2,3に示すフルカプラ4Aの本体枠41をキャップ42を境とした左側又は右側を切断した概略形状を有している。図3では、キャップ42の右側を切断した形状のハーフカプラ4Bのみが示されている。
【0021】
着脱枠体3は、フルカプラ4Aが備える本体枠41の右端側を枠本体31の左端部に、本体枠41の左端側を枠本体31の右端部にそれぞれ収容し、貫通孔41aを挿通したネジを枠本体31の雌ネジ部31cに螺着することで、左右の端部にフルカプラ4Aを固定される。また、電線引出タイル12又は電線挿通タイル13に隣接する着脱枠体3は、ハーフカプラ4Bの本体枠41を枠本体31の右端部又は左端部にそれぞれ収容し、貫通孔41aを挿通したネジを枠本体31の雌ネジ部31cに螺着することで、電線引出タイル12又は電線挿通タイル13に隣接する右端部又は左端部にハーフカプラ4Bを固定される。
【0022】
また、着脱枠体3は、仕切枠32の仕切板321にLED表示器2の枠体21を載置され、LED表示器2を挿通したネジ26を挿通口32bを通してネジ止部材36が備えるネジ止部38の雌ネジ孔382に螺着することで、取付板35にLED表示器2を固定される。
【0023】
次に、着脱枠体3を備えたプラットホーム用タイル11の製造方法について説明する。
プラットホーム用タイル11の製造に用いる型枠の底板には、底板の全面を覆うように樹脂製の板材が配置される。この板材には、ゴム板gを収容するための開口が設けられている。着脱枠体3は、底面を上方に向け、支持棒34で枠本体31に支持されたゴム板gを表面側から板材の開口部に嵌め合わせて、板材に載置される。また、残りのゴム板gも板材の開口部に嵌め合わされて載置される。その後、縦骨組材14a及び横骨組材14bを型枠内に配置して、位置決め片33の切欠部33aに縦骨組材14aを嵌め合わせ、コンクリートが打設される。打設されたコンクリートが固まると型枠及び板材が取り除かれ、図6に示すように着脱枠体3と一体化されたプラットホーム用タイル11が完成する。
【0024】
本実施形態によれば、躯体が備える床版10にプラットホーム用タイル11を設置し、プラットホーム用タイル11の着脱枠体3にLED表示器2を装着することで、プラットホーム1にスレッドライン表示装置を構築することができる。従って、スレッドライン表示装置の設置作業を簡略化できる。
【0025】
また、床版10に設置されたタイルをプラットホーム用タイル11に交換し、プラットホーム用タイル11の着脱枠体3にLED表示器2を装着するだけで、スレッドライン表示装置を構築できるので、騒音を生じることなく工事を行うことができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、収容口となる枠本体31の上端開口部から収容したLED表示器2を仕切枠32の仕切板321に載置して固定し、プラットホーム用タイル11の上面に臨ませたLED表示器2で発光表示を行うことから、LED表示器2を仕切枠32に付け替えるという簡単な作業で、LED表示器2を交換できる。しかも、LED表示器2から引き出されたケーブル23を、電線導入口32aから枠本体31の載置面側、つまり底板側に導いて枠本体31と仕切枠32の仕切板321との間に形成されたケーブル収容室3Aに収容することで、このケーブル収容室3Aをケーブル23の配索路として用いることもできる。このため、LED表示器2を簡単な作業で取り付けられる。
【0027】
また、本実施形態によれば、位置決め片33の切欠部33aをプラットホーム用タイル11の縦骨組材14aに嵌合させることで枠本体31を位置決めでき、着脱枠体3のプラットホーム用タイル11への埋設作業を簡略化できる。
【0028】
また、本実施形態によれば、プラットホーム用タイル11を床版10に設置し、隣り合う着脱枠体3に収容される各LED表示器2のケーブル23同士を接続した後に、LED表示器2を着脱枠体3に収容して固定することでプラットホーム1が構築されることから、プラットホーム1へのスレッドライン表示装置の構築を簡単な作業で行える。また、着脱枠体3からLED表示器2を取り外し、新たなLED表示器2のケーブル23同士を接続した後に、そのLED表示器2を着脱枠体3に取り付けることで、LED表示器2を交換できる。このため、LED表示器2の交換を簡単な作業で行える。
【0029】
また、本実施形態によれば、ゴム板gを枠本体31に支持する支持棒34が先端を挿通孔g1からゴム板gの外方に突出させており、支持棒34が枠本体31とコンクリートとで両端を支持されることから、ゴム板gを介して上方から荷重を加えられるのに伴う支持棒34の変形を抑え、ゴム板gがプラットホーム用タイル11の上方に突出したり、プラットホーム用タイル11内に没入するのを防止できる。
【0030】
また、LED発光部を備えた枠体21に樹脂22を充填してLED表示器2が構成されていることから、LED表示器2をプラットホーム用タイル11に直接埋設する場合には、LED表示器2やプラットホーム用タイル11の温度変化等に伴う膨張や収縮により、LED表示器2とプラットホーム用タイル11との取付箇所に損傷が生じる等する虞がある。しかしながら、本実施形態では、着脱枠体3を介してLED表示器2をプラットホーム用タイル11に取り付けることで、LED表示器2やプラットホーム用タイル11の温度変化等に伴う膨張や収縮によるLED表示器2の損傷を防止することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、着脱枠体3が枠本体31に支持棒34でゴム板gを支持することで、両者が一体に構成されていたが、図7,図8に示す着脱枠体3のように、滑り止め用のゴム板gを取り付けないで用いることもできる。
【0032】
図7,図8に示す着脱枠体3は、枠本体31のネジ孔31aに螺着された支持棒34に、ゴム板gが取り付けられていない点で、図2、図3に示す着脱枠体3と相違する。この着脱枠体3は、ゴム板gを設置しないプラットホーム用タイル11や、プラットホーム用タイル11におけるゴム板gの設置されない箇所にLED表示器2を埋設するのに用いることができる。
【0033】
また、上記実施形態では、ゴム板gが枠本体31の前後の両側板に取り付けられている場合について説明した。しかしながら、ゴム板gは、枠本体31の前板及び後板の両方ではなく、何れか一方のみに取り付けられていてもよい。この場合、ゴム板gの取り付けられていない側板には、支持棒34を設けない構成としてもよい。また、枠本体31の側板へのゴム板gの固定方法も任意である。また、ゴム板gを着脱枠体3に取り付けない場合には、枠本体31が支持棒34を備えない構成としてもよい。
【0034】
上記実施形態では、プラットホーム用タイル11の本体がコンクリートから形成されている場合について説明した。しかしながら、プラットホーム用タイル11をタイル状に形成できるのであれば、本体の材質は任意であり、例えば、モルタル等の他の経時性硬化材料を用いることもできる。また、プラットホーム用タイル11の製造方法も上記実施形態での方法には限定されず、例えば、着脱枠体3を埋設した粘土製の本体を焼き上げて製造してもよい。また、上記実施形態では、着脱枠体3に収容してプラットホーム用タイル11に埋設する埋設体として、プラットホーム1のスレッドライン表示装置を構成するLED表示器2を用いた場合について説明したが、着脱枠体3に着脱してプラットホーム用タイル11に埋設する埋設体の種類は任意であり、例えば、音声出力を行うスピーカ等の出音装置を埋設体として用いることもできる。
【0035】
上記実施形態では、枠本体31に位置決め片33が取り付けられている場合について説明したが、位置決め片33は必ずしも備えられていなくてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、プラットホーム用タイル11が2つの着脱枠体3を前後に並べて備え、各着脱枠体3にLED表示器2を設置することでプラットホーム1に2列のスレッドラインを備えたスレッドライン表示装置が形成される場合について説明した。しかしながら、スレッドライン表示装置が備えるスレッドラインの本数は2本には限定されず、1本でも3本以上でもよい。例えば、1本のスレッドラインをプラットホーム1に形成する場合には、スレッドライン同士を結線ケーブルで接続する必要がないことから、電線挿通タイル13に代えて電線挿通孔13aを備えていないタイルを床版10に設置することで、プラットホーム1が形成される。また、3本以上のスレッドラインをプラットホーム1に形成する場合には、電線引出タイル12が電線引出孔12aだけでなく電線挿通孔も備える構成とし、外線ケーブルに接続されていないスレッドライン同士を電線引出タイル12の電線挿通孔に挿通させた結線ケーブルで接続してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 プラットホーム
10 床版
11 プラットホーム用タイル
12 電線引出タイル
13 電線挿通タイル
12a 電線引出孔
13a 電線挿通孔
14a 縦骨組材
14b 横骨組材
2 LED表示器
2a 光透過部
2b 蓋体
21 枠体
22 樹脂
23 ケーブル
23a コネクタ
24 スポンジ
25 ネジ座
25a 雌ネジ孔
26 ネジ
3 着脱枠体
3A ケーブル収容室
31 枠本体
31a ネジ孔
31b 締結部材
31c 雌ネジ部材
32 仕切枠
321 仕切板
32a 電線導入口
32b 挿通口
32c ネジ止部
33 位置決め片
33a 切欠部
34 支持棒
35 取付板
36 ネジ止部材
37 本体
371 挿通片
38 ネジ止部
381 突片
382 雌ネジ孔
4A フルカプラ
4B ハーフカプラ
41 本体枠
41a 貫通孔
42 キャップ
g ゴム板(滑止部材)
g1 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅のプラットホームに据え付けるタイルであって、
経時性硬化材料と、
該経時性硬化材料に埋設された骨組材と、
前記経時性硬化材料に固定されて埋設体を収容する埋設体着脱枠体とを備え、
該埋設体着脱枠体は、
前記経時性硬化材料に外側面を接する枠本体と、
該枠本体の外側面に設けられた位置決め片と、
前記枠本体の内部を仕切る仕切枠と、
を備えたことを特徴とするプラットホーム用タイル
【請求項2】
前記仕切枠には、前記埋設体から引き出された電線を導く電線導入口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラットホーム用タイル。
【請求項3】
前記位置決め片には、前記骨組材の外寸より僅かに大きな切欠部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラットホーム用タイル。
【請求項4】
前記位置決め片の下端部は、側方に向けて屈曲されていることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載のプラットホーム用タイル。
【請求項5】
前記位置決め片は、前記切欠部を備える先端側を、側方に向けて30度〜60度の何れかの角度に屈曲させていることを特徴とする請求項4に記載のプラットホーム用タイル。
【請求項6】
前記枠本体に支持されて表面に配置される滑止部材を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のプラットホーム用タイル。
【請求項7】
前記埋設体は、光源としてLED発光体を備えたLED表示器であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のプラットホーム用タイル。
【請求項8】
前記埋設体は、音声で案内するスピーカーを備えた出音装置であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のプラットホーム用タイル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−254046(P2010−254046A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104340(P2009−104340)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【出願人】(500210822)株式会社佐渡島 (2)
【出願人】(391013531)株式会社吾妻製作所 (18)
【出願人】(500029316)株式会社セプト・ワン (3)
【Fターム(参考)】