プラテン、及び画像記録装置
【課題】インクジェット記録方式で被記録媒体に縁なし印刷を繰り返し実行しても、被記録媒体の裏面がインクで汚れる可能性を低くすることができる構造を提供する。
【解決手段】搬送される記録用紙を支持するプラテン４２である。プラテン４２は、上方のノズル３９から吐出されたインクが上面に着弾可能であり、左右方向９に間隔７３をあけて複数配置された第１部材７１と、第１部材７１の上流側及び下流側に設けられ、記録用紙を支持可能な後側部材８３及び前側部材８４と、間隔７３の少なくとも一つにおいて第１部材７１と左右方向９に隔てられており、搬送向きに沿って両部材８３、８４間に延設されており、且つ第１部材７１の上面よりも上側まで突出されて記録用紙を支持可能な第１リブ７４とを備えている。
【解決手段】搬送される記録用紙を支持するプラテン４２である。プラテン４２は、上方のノズル３９から吐出されたインクが上面に着弾可能であり、左右方向９に間隔７３をあけて複数配置された第１部材７１と、第１部材７１の上流側及び下流側に設けられ、記録用紙を支持可能な後側部材８３及び前側部材８４と、間隔７３の少なくとも一つにおいて第１部材７１と左右方向９に隔てられており、搬送向きに沿って両部材８３、８４間に延設されており、且つ第１部材７１の上面よりも上側まで突出されて記録用紙を支持可能な第１リブ７４とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテン、及び当該プラテンを備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
インクジェット記録方式の画像記録装置は、インク滴を記録ヘッドに設けられたノズルから被記録媒体に吐出する。これにより、記録ヘッドに対向して設けられたプラテンに支持された被記録媒体に画像が記録される。
【０００３】
また、当該画像記録装置は、被記録媒体に余白を設けずに画像を記録する所謂縁なし印刷を行う場合、画像の記録領域（被記録媒体の領域）に加えて被記録媒体のわずかに外側の領域にもインク滴が吐出されてしまう。これにより、被記録媒体に着弾しないインク滴は、プラテンに付着する。すると、次に搬送されてきてプラテンに支持された被記録媒体の裏面にインクが付着して汚れてしまう。
【０００４】
これを防止するために、例えば、特許文献１に記載されているプラテンにおいては、縁なし印刷においてインク滴が着弾される記録領域に、領域内支持リブが設けられている。これにより、被記録媒体は、記録領域において領域内支持リブによって支持されるため、被記録媒体の裏面がインクで汚されることが防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００９−２０８２４５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、縁なし印刷が繰り返し実行されると、プラテンに付着するインクの総量が多くなってくる。すると、特許文献１に記載されているプラテンにおいては、以下で説明するように、被記録媒体の裏面がインクで汚されることが防止できなくなる。
【０００７】
特許文献１に記載されているプラテンにおいては、領域内支持リブは、プラテンの上面から立設されている。このため、プラテンに付着したインクの総量が多くなると、インクは、毛細管現象によって、プラテンの上面から領域内支持リブの壁面に沿って領域内支持リブの頂上まで上昇するおそれがある。当該上昇が発生すると、次に搬送されてきて、領域内支持リブに支持された被記録媒体の裏面にインクが付着して、被記録媒体が汚れてしまう。
【０００８】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェット記録方式で被記録媒体に縁なし印刷を繰り返し実行しても、被記録媒体の裏面がインクで汚れる可能性を低くすることができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
(1) 本発明は、インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に上記記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテンである。上記プラテンは、上記ノズルから吐出されたインク滴が着弾可能な被着弾面が形成された第１部材が、上記搬送向きに直交し且つ上記被着弾面に沿った幅方向に間隔をあけて複数配置され、上記第１部材よりも上記搬送向きの上流側に設けられており、被記録媒体を支持可能な第２部材と、上記第１部材よりも上記搬送向きの下流側に設けられており、被記録媒体を支持可能な第３部材と、上記間隔の少なくとも一つにおいて上記第１部材と上記幅方向に隔てられており、上記搬送向きに沿って上記第２部材及び上記第３部材の間に延設されており、且つ上記被着弾面よりも上側まで突出されて被記録媒体を支持可能な第１リブと、を備えている。
【００１０】
本構成によれば、第１リブが、第１部材間の間隔の少なくとも一つに形成されており、第１部材と隔てられている。よって、縁なし印刷が繰り返し実行され、被着弾面に付着したインクの総量が多くなっても、インクが第１リブに伝わることが防止できる。したがって、インクが、毛細管現象によって、第１リブの頂上まで伝わることが防止できる。
【００１１】
(2) 上記第１リブは、上記搬送向きの上流側または下流側の少なくとも一方を上記第２部材または上記第３部材と一体に形成されている。
【００１２】
本構成によれば、第１リブの搬送向きの端が第２部材及び／または第３部材に固定される。よって、第１リブの高さ位置を第２部材及び／または第３部材に対して固定させることができる。したがって、精度が要求される第１リブの高さ位置を正確に固定できる。
【００１３】
(3) 上記第２部材の上面には、上記搬送向きに沿って延設された複数の第２リブが形成されている。上記第３部材の上面には、上記搬送向きに沿って延設された複数の第３リブが形成されている。上記第１リブの上端は、上記第２リブ及び上記第３リブの上端よりも低い。
【００１４】
第１リブは、各第１部材の間の間隔に形成されている。つまり、第１リブの搬送向きにおける位置は、被着弾面と同じ位置である。よって、ノズルから吐出されたインク滴は、第１リブに付着するおそれがある。しかし、本構成によれば、被記録媒体が第２リブまたは第３リブによって支持されている場合、被記録媒体が被着弾面の上側において垂れ下がらない限り、被記録媒体が第１リブによって支持されることはない。つまり、本構成においては、被記録媒体が第１リブによって支持される状況が少なくなる。よって、第１リブに付着したインクが、被記録媒体の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【００１５】
(4) 上記第１部材及び上記第１リブが設けられた領域のうち、一領域の上記第１部材及び上記第１リブは、上記搬送向きの長さが他領域の上記第１部材及び上記第１リブよりも長く形成されている。上記幅方向において上記他領域に対応し、且つ、上記搬送向きにおいて上記被着弾面が長く形成された部分と対応する領域の少なくとも一部に、上記第２部材または上記第３部材が位置するように形成されている。上記一領域に設けられた少なくとも一つの上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材または上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端と同じ高さである。
【００１６】
縁なし印刷が実行される場合、インクは、被着弾面に着弾される。よって、同時にインクを吐出可能なノズルの搬送向きの数は、被着弾面の搬送向きの長さまでに制限されてしまう。つまり、搬送される被記録媒体の両側端部への画像記録は、効率よく実行できない。しかし、本構成においては、一領域の第１部材及び第１リブは、他領域の第１部材及び第１リブよりも搬送向きの長さが長い。よって、第１部材が搬送向きに長くなっている位置において、同時にインクを吐出するノズルの搬送向きの数を増加することが可能である。これにより、被記録媒体への画像記録が、効率よく実行可能である。
【００１７】
また、本構成において、第１リブの上端は、幅方向に第２部材または第３部材が形成されている部分において、第２リブまたは第３リブの上端と同じ高さである。よって、被記録媒体は、上記部分において、第１リブに加えて第２リブまたは第３リブによっても支持されることが可能である。これにより、被記録媒体は、インク滴が被記録媒体に吐出される際に、より安定して支持されることが可能である。
【００１８】
(5) 上記一領域の上記第１部材は、上記幅方向の中央部の上記第２部材または上記第３部材の両側に設けられている。当該一領域に設けられた上記第１部材のうち、上記中央部側の上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材または上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端よりも高さが低い。当該一領域に設けられた上記第１部材のうち、上記中央部側の上記第１リブよりも外側の上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材又は上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端と同じ高さである。
【００１９】
中央部側の第１リブの上端を第２リブまたは第３リブの上端よりも低くしても、中央部に近い位置において、被記録媒体は、中央部の第２部材または第３部材によって支持されることができる。また、中央部側の第１リブの上端を第２リブまたは第３リブの上端よりも低くすることによって、中央部側の第１リブにインクが付着しても、当該インクが被記録媒体に付着する可能性を低くすることができる。
【００２０】
一方で、本構成においては、中央部から遠い位置、つまり中央部側の第１リブよりも外側の位置の第１リブの上端を、中央部の第２リブまたは第３リブの上端と同じ高さにしている。これにより、中央部においては第２リブまたは第３リブが被記録媒体を支持し、中央部から遠い位置においては第１リブが被記録媒体を支持可能である。その結果、被記録媒体の搬送を安定させることができる。
【００２１】
(6) 上記第１リブは、上記第１部材の下面よりも下側に突出している。
【００２２】
本構成によれば、第１リブに着弾したインクは、第１リブの壁面に沿って下方に流れる。よって、第１リブにインクが付着しても、当該インクが被記録媒体の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【００２３】
(7) 上記被着弾面には、着弾したインクを上記幅方向に沿って流すインク流路が形成されている。
【００２４】
第１部材と第２部材または第３部材とが一体に形成されている場合、被着弾面に着弾したインクは、搬送向きまたは搬送向きと逆向きに沿って流れて、第２部材または第３部材に到達するおそれがある。その結果、通常、インクが着弾しない第２部材または第３部材が、インクによって汚れてしまう。また、第２部材または第３部材に到達したインクが、毛細管現象によって第２リブまたは第３リブの壁面に沿って上昇してしまうおそれがある。その結果、第２リブまたは第３リブに支持された被記録媒体の裏面にインクが付着して、被記録媒体が汚れてしまうおそれがある。しかし、本構成においては、被着弾面に着弾したインクは、インク流路に沿って幅方向に沿って流れ、間隔へ導かれるため、上述のような問題の発生を防止することができる。
【００２５】
(8) 上記第１リブは、上記幅方向において、上記第２リブ間及び上記第３リブ間に配置されている。
【００２６】
これにより、被記録媒体を支持する幅方向の領域を増加させることができる。その結果、被記録媒体の搬送を安定させることができる。
【００２７】
(9) 本発明は、上記プラテンと、上記プラテンの上側に上記プラテンと所定間隔を空けて対向して配置されており、上記幅方向に沿って往復動可能な可動部と、上記可動部に設けられており、上記プラテンに向けてインク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドと、を備えている画像記録装置として捉えることもできる。
【発明の効果】
【００２８】
本発明においては、第１リブが、第１部材間の間隔に少なくとも一つ形成されているため、第１部材と隔てられている。これにより、被着弾面に着弾したインクが第１リブに伝わることが防止できる。よって、インクジェット記録方式で被記録媒体に縁なし印刷を繰り返し実行しても、被記録媒体の裏面がインクで汚れる可能性が低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】図１は、本発明の実施形態の一例である複合機１０の外観斜視図である。
【図２】図２は、プリンタ部１１の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図３】図３は、キャリッジ４０及びプラテン４２を示す斜視図である。
【図４】図４は、プラテン４２を上方から見た斜視図である。
【図５】図５は、プラテン４２を下方から見た斜視図である。
【図６】図６は、プラテン４２の平面図である。
【図７】図７は、プラテン４２の図６におけるＧ−Ｇ間の縦断面図である。
【図８】図８は、プラテン４２の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【００３０】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機１０が使用可能に設置された状態（図１の状態）を基準として上下方向７が定義され、開口１３が設けられている側を手前側（正面）として前後方向８が定義され、複合機１０を手前側（正面）から見て左右方向９が定義される。
【００３１】
［複合機１０］
図１に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機１０は、概ね薄型の直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部１１が設けられている。複合機１０は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリンタ部１１は、正面に開口１３が形成された筐体１４を有している。給紙トレイ２０及び排紙トレイ２１が、開口１３から前後方向８に挿抜可能である。給紙トレイ２０には、所望のサイズの記録用紙（本発明の被記録媒体の一例）が載置される。
【００３２】
図２に示されるように、プリンタ部１１は、記録用紙を給送する給紙部１５と、記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部２４などを備えている。プリンタ部１１は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙に画像を記録する。
【００３３】
［給紙部１５］
図２に示されるように、給紙部１５は、給紙トレイ２０の上側に設けられている。給紙部１５は、給紙ローラ２５、給紙アーム２６、及び複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構２７を備えている。給紙ローラ２５は、給紙アーム２６の先端部で軸支されている。給紙アーム２６は、基端部に設けられた軸２８を中心として、矢印２９の方向に回動する。これにより、給紙ローラ２５は給紙トレイ２０に当接及び離間が可能である。給紙ローラ２５は、駆動伝達機構２７によって、モータ（不図示）の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ２５は、給紙トレイ２０上に積載された記録用紙のうち、一番上側の記録用紙に当接された状態で、当該記録用紙を他の記録用紙から分離して以下で説明する湾曲路６６へ供給する。
【００３４】
［搬送路６５］
図２に示されるように、プリンタ部１１の内部には、給紙トレイ２０の先端（後方側の端部）から記録部２４を経て排紙トレイ２１に至るまでの間、記録用紙を案内可能な搬送路６５が形成されている。
【００３５】
搬送路６５は、給紙トレイ２０の先端から後述する第１ローラ対５８に至る間に形成された湾曲路６６と、第１ローラ対５８から記録部２４の直下を介して排紙トレイ２１に至る間に形成された直線路６７とに区分される。
【００３６】
湾曲路６６は、給紙トレイ２０の先端付近から第１ローラ対５８に亘って延設された湾曲状の通路である。記録用紙は、湾曲路６６を搬送方向（図２において一点鎖線で示される方向）に沿って搬送向き（図２において一点鎖線に付された矢印の向き）に湾曲されて案内される。湾曲路６６は、第１ローラ対５８を挟んで直線路６７と連続している。これにより、記録用紙は、湾曲路６６を介して直線路６７に案内される。湾曲路６６は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材１９及び外側ガイド部材１７によって区画されている。
【００３７】
直線路６７は、湾曲路６６における搬送向きの下流端、つまり第１ローラ対５８から排紙トレイ２１に亘って前後方向８に延設された直線状の通路である。記録用紙は、直線路６７を搬送向き（図２において２点鎖線に付された矢印の向き）に案内される。記録用紙は、記録部２４によって画像を記録された後に排紙トレイ２１に排出される。直線路６７は、記録部２４が設けられている箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部２４及びプラテン４２によって形成されており、記録部２４が設けられていない箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材５２及び下側ガイド部材５３よって区画されている。
【００３８】
［記録部２４］
図２に示されるように、記録部２４は、直線路６７の上側に設けられている。記録部２４は、記録ヘッド３８（本発明の記録ヘッドの一例）を搭載して主走査方向、つまり図２の紙面に垂直な方向である左右方向９（本発明の幅方向に相当）へ往復移動するキャリッジ４０（本発明の可動部の一例）を備えている。
【００３９】
図３に示されるように、キャリッジ４０は、プリンタ部１１の内部に設けられたフレーム７０に取り付けられたガイドレール４５、４６によって支持されている。詳細には、ガイドレール４５、４６は、記録用紙の搬送向きに所定間隔をあけて配置されており、キャリッジ４０は、ガイドレール４５，４６を跨ぐようにして、ガイドレール４５、４６上を左右方向９（主走査方向）に摺動可能に設けられている。
【００４０】
キャリッジ４０に搭載された記録ヘッド３８には、インクカートリッジ（不図示）からインクが供給される。図２に示されるように、記録ヘッド３８の下面には、ノズル３９（本発明のノズルの一例）が形成されている。記録ヘッド３８は、ノズル３９からインクを微小なインク滴として吐出する。ノズル３９は、直線路６７の下方に記録部２４と所定間隔を空けて対向して設けられているプラテン４２（本発明のプラテンの一例）に向けて、インク滴を吐出する。搬送向きに搬送される記録用紙は、プラテン４２によって支持される。
【００４１】
以上より、キャリッジ４０が主走査方向へ往復動されながら、ノズル３９からプラテン４２上を搬送される記録用紙に向けてインク滴が吐出される。これにより、記録用紙に画像が記録される。なお、プラテン４２については、後述される。
【００４２】
［第１ローラ対５８及び第２ローラ対５９］
図２に示されるように、直線路６７における記録部２４より搬送向きの上流側には、直線路６７の上側に配置された第１搬送ローラ６０と、直線路６７の下側に第１搬送ローラ６０に対向して配置されたピンチローラ６１とよりなる第１ローラ対５８が設けられている。ピンチローラ６１は、バネなどの弾性部材（不図示）によって第１搬送ローラ６０のローラ面に圧接されている。第１ローラ対５８は、記録用紙を狭持してプラテン４２上へ搬送する。
【００４３】
直線路６７における記録部２４より搬送向きの下流側には、直線路６７の下側に配置された第２搬送ローラ６２と、直線路６７の上側に第２搬送ローラ６２に対向して配置された拍車６３とよりなる第２ローラ対５９が設けられている。拍車６３は、バネなどの弾性部材（不図示）によって第２搬送ローラ６２のローラ面に圧接されている。第２ローラ対５９は、記録部２４を通過した記録用紙を狭持して排紙トレイ２１へ搬送する。
【００４４】
第１搬送ローラ６０及び第２搬送ローラ６２は、モータ（不図示）から駆動力が伝達されて回転される。モータが正転または逆転の一方に回転された場合、第１搬送ローラ６０及び第２搬送ローラ６２は、記録用紙を搬送向きに搬送する。
【００４５】
［プラテン４２］
図２に示されるように、プラテン４２は、その上面が記録ヘッド３８の下面と対向されて配置されている。図４に示されるように、プラテン４２は、概ね平板形状である。プラテン４２は、左右方向９を長手方向として配置されている。プラテン４２は、第１部材７１（本発明の第１部材の一例）、第２部材７２、及び第１リブ７４（本発明の第１リブの一例）を備えている。
【００４６】
なお、以下の説明において、以下に記すように図中の符号が一部省略されている。図４〜図６及び図８において、一部の符号は、拡大図のみに付されており、拡大されていない箇所において省略されている。また、図４において、後側部材８３に形成された第２リブ８５の符号は、一部の第２リブ８５のみに付されている。また、図６において、前側部材８４に形成された第３リブ８６の符号は、一部の第３リブ８６のみに付されている。また、図４において、後端９４は、一つの第２リブ８５にのみ付されており、その他の第２リブ８５において省略されている。また、図４において、前端９５は、一つの第３リブ８６にのみ付されており、その他の第３リブ８６において省略されている。
【００４７】
［第１部材７１］
図４及び図６に示されるように、第１部材７１は、概ね平板形状である。第１部材７１は、所定の間隔７３をあけて複数配置されている。各第１部材７１は、左右方向９に沿って一列に設けられている。本実施形態において、２１個の第１部材７１が配置されている。
【００４８】
第１部材７１の上面は、記録ヘッド３８の下面においてノズル３９が配置されている領域（以下、ノズル領域と記す。）と対向可能な位置に形成されている。詳細には、第１部材７１の上面の最前端９０は、ノズル領域の前端よりも前方に位置している。また、第１部材７１の上面の最後端９１は、ノズル領域の後端よりも後方に位置している。また、第１部材７１の上面の右端は、キャリッジ４０が記録用紙への画像記録中に摺動可能な最も右側に摺動した場合におけるノズル領域の右端よりも右側に位置している。また、第１部材７１の上面の左端は、キャリッジ４０が記録用紙への画像記録中に摺動可能な最も左側に摺動した場合におけるノズル領域の左端よりも左側に位置している。以上より、第１部材７１の上面は、ノズル３９から吐出されたインクが着弾可能な本発明の被着弾面に相当する。換言すると、被着弾面が、第１部材７１に形成されている。なお、第１部材７１の上面の後端は、最後端９１と、最後端９１よりも前方の後端９３とで構成されているが、これについては後述する。
【００４９】
第１部材７１の上面には、第１インク流路７６及び第２インク流路７７よりなる上面インク流路（本発明のインク流路の一例）が形成されている。上面インク流路は、第１部材７１の上面の全体に亘って形成されている。第１インク流路７６及び第２インク流路７７は、前後方向８において交互に設けられている。第１インク流路７６は、右端において最も高位置であり且つ前後方向８の幅が最も広く、左方に向かうにしたがって低くなり且つ前後方向８の幅が狭くなっている。これにより、第１インク流路７６上に吐出されたインクは、左方へ向かって流れ、第１部材７１の左端、つまり間隔７３との境界へと導かれる。第２インク流路７７は、左端において最も高位置であり且つ前後方向８の幅が最も広く、右方に向かうにしたがって低くなり且つ前後方向８の幅が狭くなっている。これにより、第２インク流路７７上に吐出されたインクは、右方へ向かって流れ、第１部材７１の右端、つまり間隔７３との境界へと導かれる。
【００５０】
図５及び図８に示されるように、第１部材７１の下面には、下面インク流路８０が形成されている。下面インク流路８０は、左右インク流路８１及び前後インク流路８２で構成されている。左右インク流路８１は、第１部材７１の左右端の縁部から左右方向９に延設されている溝である。前後インク流路８２は、一端を左右インク流路８１と連接され、他端を第１部材７１の下面の前端９２まで延設されている。ここで、第１部材７１の前方に設けられている前側部材８４の下方には、発泡ポリウレタンなどの多孔材料からなるインク吸収体（不図示）が配置されている。そして、前後インク流路８２の他端は、インク吸収体に連通されている。
【００５１】
以上より、第１部材７１の上面に吐出されたインクは、第１インク流路７６または第２インク流路７７に沿って左右方向９に流れて第１部材７１の左右端、つまり間隔７３との境界に到達する。次に、当該インクは、第１部材７１の上側から左右端の縁部を通って下側に到達する。最終的に、当該インクは、下面インク流路８０に沿って流れてインク吸収体に到達する。
【００５２】
［後側部材８３及び前側部材８４］
図４及び図６に示されるように、プラテン４２は、第１部材７１の後側に配置された後側部材８３（本発明の第２部材の一例）と、第１部材７１の前側に配置された前側部材８４（本発明の第３部材の一例）とを備えている。後側部材８３及び前側部材８４は、概ね平板形状である。後側部材８３の前端は、第１部材７１の最後端９１及び後端９３と一体に形成されている。前側部材８４の後端は、第１部材７１の最前端９０と一体に形成されている。
【００５３】
なお、本実施形態においては、プラテン４２は、後側部材８３と前側部材８４とを備えているが、プラテン４２は、後側部材８３または前側部材８４のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【００５４】
［第２リブ８５及び第３リブ８６］
図４及び図６に示されるように、後側部材８３の上面には、複数の第２リブ８５（本発明の第２リブの一例）が形成されている。また、前側部材８４の上面には、複数の第３リブ８６（本発明の第３リブの一例）が形成されている。第２リブ８５及び第３リブ８６の各々は、後側部材８３及び前側部材８４の上面から上方に向かって突出されている。また、第２リブ８５及び第３リブ８６の各々は、前後方向８に沿って延設されている。また、第２リブ８５及び第３リブ８６の各々は、左右方向９に所定の間隔をおいて形成されている。複数の第２リブ８５は、後側部材８３の直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。複数の第３リブ８６は、前側部材８４の直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。
【００５５】
図４に示されるように、後側部材８３に形成されている第２リブ８５の各々の後端９４は、後側部材８３の上面の後端９６よりも後側まで突出されている。また、前側部材８４に形成されている第３リブ８６の各々の前端９５は、前側部材８４の上面の前端９７よりも前側まで突出されている。
【００５６】
一方、後側部材８３に形成されている第２リブ８５の各々の前端９８(図４における拡大図参照）は、後側部材８３の上面の前端よりも若干後方までしか延設されていない。つまり、前端９８は、第１部材７１の最後端９１及び後端９３と非接触である。また、前側部材８４に形成されている第３リブ８６の各々の後端９９(図４における拡大図参照）は、前側部材８４の上面の後端よりも若干前方までしか延設されていない。つまり、後端９９は、第１部材７１の最前端９０と非接触である。
【００５７】
［間隔７３］
図４〜図６及び図８に示されるように、間隔７３は、第１部材７１の上面に、左右方向９に複数形成されている。間隔７３の右側は各第１部材７１の左端部の側面で構成されており、間隔７３の左側は各第１部材７１の右端部の側面で構成されており、間隔７３の後側は後側部材８３の前端を構成する側面で構成されており、間隔７３の前側は前側部材８４の後端を構成する側面で構成されている。
【００５８】
［第１リブ７４］
図４及び図６に示されるように、複数の間隔７３の少なくとも一つには、第１リブ７４が設けられている。本実施形態においては、６つの間隔７３の各々に１つずつの第１リブ７４が設けられている。第１リブ７４の各々は、前後方向８に沿って延設されている。第１リブ７４の各々の後端は、後側部材８３と一体に形成されている。第１リブ７４の各々の前端は、前側部材８４と一体に形成されている。つまり、第１リブ７４は、後側部材８３及び前側部材８４の間に延設されている。第１リブ７４の各々は、間隔７３における左右方向９の中央部に設けられている。これにより、第１リブ７４の各々は、左右方向９において、第１部材７１と隔てられている。
【００５９】
図４及び図６に示されるように、各第１リブ７４の左右方向９における位置は、第２リブ８５及び第３リブ８６とは異なっている。つまり、各第１リブ７４は、左右方向９において、２つの第２リブ８５の間に配置されている。また、各第１リブ７４は、左右方向９において、２つの第３リブ８６の間に配置されている。
【００６０】
図４に示されるように、第１リブ７４の各々は、第１部材７１の上面よりも上側まで突出されている。換言すると、第１リブ７４の各々の上端は、第１部材７１の上面よりも高位置である。また、図７に示されるように、第１リブ７４の各々の上端は、後述する第２範囲８８（図６参照）に設けられた第１リブ７４の一部を除いて、第２リブ８５及び第３リブ８６の上端よりも低位置である。以上より、複数の第１リブ７４は、第１部材７１の直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。
【００６１】
図５に示されるように、第１リブ７４の各々は、第１部材７１の下面よりも下側まで突出されている。換言すると、第１リブ７４の各々の下端は、第１部材７１の下面よりも低位置である。
【００６２】
なお、図４〜図６及び図８に示されるように、本実施形態においては、第１リブ７４は、複数の間隔７３の一部に設けられているが、第１リブ７４は、全ての間隔７３に設けられていてもよい。また、本実施形態においては、第１リブ７４は、各間隔７３に一つ設けられているが、各間隔７３に複数設けられていてもよい。
【００６３】
また、本実施形態においては、上述したように、第１リブ７４は、前後端を後側部材８３及び前側部材８４と一体に形成されている。しかし、第１リブ７４は、前端または後端の一方において、後側部材８３または前側部材８４と一体に形成されていてもよい。
【００６４】
［第１範囲８７及び第２範囲８８］
図４及び図６に示されるように、第１部材７１は、左右方向９の少なくとも一部分において、他の部分よりも後方まで延設されている。詳細には、図６に示されるように、本実施形態における第１部材７１は、左右方向９の両端部の第３範囲３０、及び左右方向９の中央部と両端部との間の第４範囲３１において、後端９３よりも後方の最後端９１まで延設されている。一方、第１部材７１は、左右方向９における第３範囲３０及び第４範囲３１以外の第５範囲３２において、後端９３まで延設されている。
【００６５】
つまり、第１部材７１は、前後方向８の第１範囲８７において、左右方向９の全ての範囲（第３範囲３０、第４範囲３１、及び第５範囲３２）に亘って形成されている。一方、第１部材７１は、前後方向８の第２範囲８８において、左右方向９の一部の範囲（第３範囲３０及び第４範囲３１）のみに亘って形成されている。
【００６６】
以上より、第３範囲３０と第１範囲８７及び第２範囲８８とによって形成される領域、並びに第４範囲３１と第１範囲８７及び第２範囲８８とによって形成される領域が、本発明の一領域に相当する。また、第５範囲３２と第１範囲８７及び第２範囲８８とによって形成される領域が、本発明の他領域に相当する。そして、一領域に形成された第１部材７１は、他領域に形成された第１部材７１よりも前後方向８の長さが長い。
【００６７】
上述したように、第１部材７１の最後端９１及び後端９３と、後側部材８３の前端とは、一体に形成されている。これにより、前後方向８の第２範囲８８において第１部材７１が形成されていない左右方向９の範囲、つまり第５範囲３２において、後側部材８３が形成されている。具体的には、第５範囲３２と第２範囲８８とによって形成される領域において、後側部材８３が形成されている。
【００６８】
以上より、プラテン４２が右端から左向きに視認された場合または左端から右向きに視認された場合、第１部材７１は、前後方向８の第２範囲８８において、後側部材８３と重畳するように形成されている。そして、第２範囲８８において第１部材７１が後側部材８３と重畳する左右方向９の範囲は、第３範囲３０及び第４範囲３１である。つまり、第１部材７１は、左右方向９の少なくとも一部（第３範囲３０及び第４範囲３１）において、後側部材８３と重畳するように形成されている。
【００６９】
換言すると、左右方向９において他領域（つまり左右方向９において第３範囲３０）に対応し、且つ、搬送向きにおいて第１部材７１の長さが長い部分（つまり前後方向８において第２範囲８８）と対応する領域の少なくとも一部に、後側部材８３が形成されている。
【００７０】
なお、以上の説明では、第１部材７１が後側部材８３と重畳するように形成されている構成が説明されたが、第１部材７１は、前側部材８４と重畳するように形成されていてもよい。つまり、左右方向９において他領域に対応し、且つ、搬送向きにおいて第１部材７１の長さが長い部分と対応する領域の少なくとも一部に、前側部材８４が形成されていてもよい。
【００７１】
また、第４範囲３１において、３つの第１部材７１が、最後端９１まで延設されている。このため、３つの第１部材７１の間に形成された間隔７３、及び当該間隔７３の間に形成された第１リブ７４も、最後端９１まで延設されている。よって、一領域に形成された第１リブ７４は、他領域に形成された第１リブ７４よりも前後方向８の長さが長い。
【００７２】
以上より、プラテン４２が右端から左向きに視認された場合または左端から右向きに視認された場合、第１部材７１と同様に、間隔７３及び第１リブ７４の少なくとも一つは、前後方向８の第２範囲８８において、後側部材８３と重畳するように形成されている。この際、間隔７３及び第１リブ７４は、左右方向９の少なくとも一部（第４範囲３１）において、後側部材８３と重畳するように形成されている。
【００７３】
また、図４、図６及び図７に示されるように、第２範囲８８において、第１リブ７４の少なくとも一つの上端は、第２リブ８５の上端と同等の高さである。換言すると、一領域に設けられた少なくとも一つの第１リブ７４の上端は、左右方向９に後側部材８３が形成されている部分において、第２リブ８５の上端と同じ高さである。なお、第１部材７１が前側部材８４と重畳するように形成されている場合、一領域に設けられた少なくとも一つの第１リブ７４の上端は、左右方向９に前側部材８４が形成されている部分において、第３リブ８６の上端と同じ高さである。
【００７４】
これにより、図６に示されるように、第１範囲８７においては、複数の第１リブ７４が、直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。一方、第２範囲８８においては、第２リブ８５及び第２リブ８５と同等の高さの第１リブ７４が、直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。
【００７５】
以下、本実施形態における第１リブ７４の高さについて、上記よりも具体的に説明する。図４及び図６に示されるように、本実施形態においては、第４範囲３１と第１範囲８７及び第２範囲８８とによって形成される領域、つまり一領域のうちの一部の領域の６つの第１部材７１は、左右方向９の中央部の後側部材８３の両側に３つずつ設けられている。そして、図４及び図６に示されるように、６つの第１部材７１の間に形成された４つの間隔７３の各々には、第１リブ７４（図６において７４Ａ，７４Ｂ，７４Ｃ，７４Ｄと記される。）が設けられている。
【００７６】
第１リブ７４Ａ〜７４Ｄのうち、左右方向９の中央部側の第１リブ７４Ｂ、７４Ｃの上端は、左右方向９に後側部材８３が形成されている部分、つまり第２範囲８８において、第２リブ８５の上端よりも高さが低い。一方、第１リブ７４Ａ〜７４Ｄのうち、第１リブ７４Ｂ、７４Ｃよりも左右方向９の外側の第１リブ７４Ａ、７４Ｄの上端は、左右方向９に後側部材８３が形成されている部分、つまり第２範囲８８において、第２リブ８５の上端と同じ高さである。
【００７７】
［実施形態の効果］
上述の実施形態によれば、第１リブ７４が、第１部材７１の間隔７３の少なくとも一つに形成されており、第１部材７１と隔てられている。よって、縁なし印刷が繰り返し実行され、第１部材７１の上面に付着したインクの総量が多くなっても、インクが第１リブ７４に伝わることが防止できる。したがって、インクが、毛細管現象によって、第１リブ７４の頂上まで伝わることが防止できる。以上より、上述の実施形態によれば、インクジェット記録方式で記録用紙に縁なし印刷を繰り返し実行しても、記録用紙の裏面がインクで汚れる可能性が低減可能である。
【００７８】
また、上述の実施形態によれば、第１リブ７４の搬送向きの端が後側部材８３及び前側部材８４に固定される。よって、第１リブ７４の高さ位置を後側部材８３及び前側部材８４に対して固定させることができる。したがって、精度が要求される第１リブ７４の高さ位置を正確に固定できる。
【００７９】
また、上述の実施形態において、第１リブ７４は、各第１部材７１の間の間隔７３に形成されている。つまり、第１リブ７４の搬送向きにおける位置は、第１部材７１の上面と同じ位置である。よって、ノズル３９から吐出されたインク滴は、第１リブ７４に付着するおそれがある。しかし、上述の実施形態によれば、記録用紙が第２リブ８５または第３リブ８６において支持されている場合、記録用紙が第１部材７１の上面の上側において垂れ下がらない限り、記録用紙が第１リブ７４によって支持されることはない。つまり、上述の実施形態においては、記録用紙が第１リブ７４によって支持される状況が少なくなる。よって、第１リブ７４に付着したインクが、記録用紙の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【００８０】
また、上述の実施形態において、縁なし印刷が実行される場合、インクは、第１部材７１の上面に着弾される。よって、同時にインクを吐出可能なノズル３９の搬送向きの数は、第１部材７１の上面の搬送向きの長さまでに制限されてしまう。つまり、搬送される記録用紙の両側端部への画像記録は、効率よく実行できない。しかし、上述の実施形態においては、一領域の第１部材７１及び第１リブ７４は、他領域の第１部材７１及び第１リブ７４の搬送向きの長さが長い。よって、第１部材７１が搬送向きに長くなっている位置において、同時にインクを吐出するノズル３９の搬送向きの数を増加することが可能である。これにより、記録用紙への画像記録が、効率よく実行可能である。
【００８１】
また、上述の実施形態において、第１リブ７４の上端は、左右方向９に後側部材８３が形成されている部分において、第２リブ８５の上端と同じ高さである。よって、記録用紙は、上記部分において、第１リブ７４に加えて第２リブ８５によっても支持されることが可能である。これにより、記録用紙は、インクが記録用紙に吐出される際に、より安定して支持されることが可能である。
【００８２】
また、上述の実施形態においては、中央部側の第１リブ７４Ｂ、７４Ｃの上端を第２リブ８５の上端よりも低くしても、中央部に近い位置において、記録用紙は、中央部の後側部材８３によって支持されることができる。また、中央部側の第１リブ７４Ａ、７４Ｄの上端を第２リブ８５の上端よりも低くすることによって、中央部側の第１リブ７４Ｂ、７４Ｃにインクが付着しても、当該インクが記録用紙に付着する可能性を低くすることができる。
【００８３】
一方で、上述の実施形態においては、中央部から遠い位置、つまり中央部側の第１リブ７４Ｂ、７４Ｃよりも外側の位置の第１リブ７４Ａ、７４Ｄの上端を、中央部の第２リブ８５の上端と同じ高さにしている。これにより、中央部においては第２リブ８５が記録用紙を支持し、中央部から遠い位置においては第１リブ７４Ａ、７４Ｄが記録用紙を支持可能である。その結果、記録用紙の搬送を安定させることができる。
【００８４】
また、上述の実施形態によれば、第１リブ７４に着弾したインクは、第１リブ７４の壁面に沿って下方に流れる。よって、第１リブ７４にインクが付着しても、当該インクが記録用紙の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【００８５】
第１部材７１と後側部材８３または前側部材８４とが一体に形成されている場合、第１部材７１の上面に着弾したインクは、搬送向きまたは搬送向きと逆向きに沿って流れて、後側部材８３または前側部材８４に到達するおそれがある。その結果、通常、インクが着弾しない後側部材８３または前側部材８４が、インクによって汚れてしまう。また、後側部材８３または前側部材８４に到達したインクが、毛細管現象によって第２リブ８５または第３リブ８６の壁面に沿って上昇してしまうおそれがある。その結果、第２リブ８５または第３リブ８６に支持された記録用紙の裏面にインクが付着して、記録用紙が汚れてしまうおそれがある。しかし、上述の実施形態においては、第１部材７１の上面に着弾したインクは、第１インク流路７６及び第２インク流路７７に沿って左右方向９に沿って流れ、間隔７３へ導かれるため、上述のような問題の発生を防止することができる。
【００８６】
また、上述の実施形態においては、第１リブ７４は、左右方向９において、第２リブ８５間及び第３リブ８６間に配置されている。これにより、記録用紙を支持する左右方向９の領域を増加させることができる。その結果、記録用紙の搬送を安定させることができる。
【符号の説明】
【００８７】
１０・・・複合機
３８・・・記録ヘッド
３９・・・ノズル
４０・・・キャリッジ
４２・・・プラテン
７１・・・第１部材
７２・・・第２部材
７３・・・間隔
７４・・・第１リブ
７６・・・第１インク流路
７７・・・第２インク流路
８５・・・第２リブ
８６・・・第３リブ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテン、及び当該プラテンを備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
インクジェット記録方式の画像記録装置は、インク滴を記録ヘッドに設けられたノズルから被記録媒体に吐出する。これにより、記録ヘッドに対向して設けられたプラテンに支持された被記録媒体に画像が記録される。
【０００３】
また、当該画像記録装置は、被記録媒体に余白を設けずに画像を記録する所謂縁なし印刷を行う場合、画像の記録領域（被記録媒体の領域）に加えて被記録媒体のわずかに外側の領域にもインク滴が吐出されてしまう。これにより、被記録媒体に着弾しないインク滴は、プラテンに付着する。すると、次に搬送されてきてプラテンに支持された被記録媒体の裏面にインクが付着して汚れてしまう。
【０００４】
これを防止するために、例えば、特許文献１に記載されているプラテンにおいては、縁なし印刷においてインク滴が着弾される記録領域に、領域内支持リブが設けられている。これにより、被記録媒体は、記録領域において領域内支持リブによって支持されるため、被記録媒体の裏面がインクで汚されることが防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００９−２０８２４５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、縁なし印刷が繰り返し実行されると、プラテンに付着するインクの総量が多くなってくる。すると、特許文献１に記載されているプラテンにおいては、以下で説明するように、被記録媒体の裏面がインクで汚されることが防止できなくなる。
【０００７】
特許文献１に記載されているプラテンにおいては、領域内支持リブは、プラテンの上面から立設されている。このため、プラテンに付着したインクの総量が多くなると、インクは、毛細管現象によって、プラテンの上面から領域内支持リブの壁面に沿って領域内支持リブの頂上まで上昇するおそれがある。当該上昇が発生すると、次に搬送されてきて、領域内支持リブに支持された被記録媒体の裏面にインクが付着して、被記録媒体が汚れてしまう。
【０００８】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェット記録方式で被記録媒体に縁なし印刷を繰り返し実行しても、被記録媒体の裏面がインクで汚れる可能性を低くすることができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
(1) 本発明は、インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に上記記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテンである。上記プラテンは、上記ノズルから吐出されたインク滴が着弾可能な被着弾面が形成された第１部材が、上記搬送向きに直交し且つ上記被着弾面に沿った幅方向に間隔をあけて複数配置され、上記第１部材よりも上記搬送向きの上流側に設けられており、被記録媒体を支持可能な第２部材と、上記第１部材よりも上記搬送向きの下流側に設けられており、被記録媒体を支持可能な第３部材と、上記間隔の少なくとも一つにおいて上記第１部材と上記幅方向に隔てられており、上記搬送向きに沿って上記第２部材及び上記第３部材の間に延設されており、且つ上記被着弾面よりも上側まで突出されて被記録媒体を支持可能な第１リブと、を備えている。
【００１０】
本構成によれば、第１リブが、第１部材間の間隔の少なくとも一つに形成されており、第１部材と隔てられている。よって、縁なし印刷が繰り返し実行され、被着弾面に付着したインクの総量が多くなっても、インクが第１リブに伝わることが防止できる。したがって、インクが、毛細管現象によって、第１リブの頂上まで伝わることが防止できる。
【００１１】
(2) 上記第１リブは、上記搬送向きの上流側または下流側の少なくとも一方を上記第２部材または上記第３部材と一体に形成されている。
【００１２】
本構成によれば、第１リブの搬送向きの端が第２部材及び／または第３部材に固定される。よって、第１リブの高さ位置を第２部材及び／または第３部材に対して固定させることができる。したがって、精度が要求される第１リブの高さ位置を正確に固定できる。
【００１３】
(3) 上記第２部材の上面には、上記搬送向きに沿って延設された複数の第２リブが形成されている。上記第３部材の上面には、上記搬送向きに沿って延設された複数の第３リブが形成されている。上記第１リブの上端は、上記第２リブ及び上記第３リブの上端よりも低い。
【００１４】
第１リブは、各第１部材の間の間隔に形成されている。つまり、第１リブの搬送向きにおける位置は、被着弾面と同じ位置である。よって、ノズルから吐出されたインク滴は、第１リブに付着するおそれがある。しかし、本構成によれば、被記録媒体が第２リブまたは第３リブによって支持されている場合、被記録媒体が被着弾面の上側において垂れ下がらない限り、被記録媒体が第１リブによって支持されることはない。つまり、本構成においては、被記録媒体が第１リブによって支持される状況が少なくなる。よって、第１リブに付着したインクが、被記録媒体の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【００１５】
(4) 上記第１部材及び上記第１リブが設けられた領域のうち、一領域の上記第１部材及び上記第１リブは、上記搬送向きの長さが他領域の上記第１部材及び上記第１リブよりも長く形成されている。上記幅方向において上記他領域に対応し、且つ、上記搬送向きにおいて上記被着弾面が長く形成された部分と対応する領域の少なくとも一部に、上記第２部材または上記第３部材が位置するように形成されている。上記一領域に設けられた少なくとも一つの上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材または上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端と同じ高さである。
【００１６】
縁なし印刷が実行される場合、インクは、被着弾面に着弾される。よって、同時にインクを吐出可能なノズルの搬送向きの数は、被着弾面の搬送向きの長さまでに制限されてしまう。つまり、搬送される被記録媒体の両側端部への画像記録は、効率よく実行できない。しかし、本構成においては、一領域の第１部材及び第１リブは、他領域の第１部材及び第１リブよりも搬送向きの長さが長い。よって、第１部材が搬送向きに長くなっている位置において、同時にインクを吐出するノズルの搬送向きの数を増加することが可能である。これにより、被記録媒体への画像記録が、効率よく実行可能である。
【００１７】
また、本構成において、第１リブの上端は、幅方向に第２部材または第３部材が形成されている部分において、第２リブまたは第３リブの上端と同じ高さである。よって、被記録媒体は、上記部分において、第１リブに加えて第２リブまたは第３リブによっても支持されることが可能である。これにより、被記録媒体は、インク滴が被記録媒体に吐出される際に、より安定して支持されることが可能である。
【００１８】
(5) 上記一領域の上記第１部材は、上記幅方向の中央部の上記第２部材または上記第３部材の両側に設けられている。当該一領域に設けられた上記第１部材のうち、上記中央部側の上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材または上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端よりも高さが低い。当該一領域に設けられた上記第１部材のうち、上記中央部側の上記第１リブよりも外側の上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材又は上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端と同じ高さである。
【００１９】
中央部側の第１リブの上端を第２リブまたは第３リブの上端よりも低くしても、中央部に近い位置において、被記録媒体は、中央部の第２部材または第３部材によって支持されることができる。また、中央部側の第１リブの上端を第２リブまたは第３リブの上端よりも低くすることによって、中央部側の第１リブにインクが付着しても、当該インクが被記録媒体に付着する可能性を低くすることができる。
【００２０】
一方で、本構成においては、中央部から遠い位置、つまり中央部側の第１リブよりも外側の位置の第１リブの上端を、中央部の第２リブまたは第３リブの上端と同じ高さにしている。これにより、中央部においては第２リブまたは第３リブが被記録媒体を支持し、中央部から遠い位置においては第１リブが被記録媒体を支持可能である。その結果、被記録媒体の搬送を安定させることができる。
【００２１】
(6) 上記第１リブは、上記第１部材の下面よりも下側に突出している。
【００２２】
本構成によれば、第１リブに着弾したインクは、第１リブの壁面に沿って下方に流れる。よって、第１リブにインクが付着しても、当該インクが被記録媒体の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【００２３】
(7) 上記被着弾面には、着弾したインクを上記幅方向に沿って流すインク流路が形成されている。
【００２４】
第１部材と第２部材または第３部材とが一体に形成されている場合、被着弾面に着弾したインクは、搬送向きまたは搬送向きと逆向きに沿って流れて、第２部材または第３部材に到達するおそれがある。その結果、通常、インクが着弾しない第２部材または第３部材が、インクによって汚れてしまう。また、第２部材または第３部材に到達したインクが、毛細管現象によって第２リブまたは第３リブの壁面に沿って上昇してしまうおそれがある。その結果、第２リブまたは第３リブに支持された被記録媒体の裏面にインクが付着して、被記録媒体が汚れてしまうおそれがある。しかし、本構成においては、被着弾面に着弾したインクは、インク流路に沿って幅方向に沿って流れ、間隔へ導かれるため、上述のような問題の発生を防止することができる。
【００２５】
(8) 上記第１リブは、上記幅方向において、上記第２リブ間及び上記第３リブ間に配置されている。
【００２６】
これにより、被記録媒体を支持する幅方向の領域を増加させることができる。その結果、被記録媒体の搬送を安定させることができる。
【００２７】
(9) 本発明は、上記プラテンと、上記プラテンの上側に上記プラテンと所定間隔を空けて対向して配置されており、上記幅方向に沿って往復動可能な可動部と、上記可動部に設けられており、上記プラテンに向けてインク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドと、を備えている画像記録装置として捉えることもできる。
【発明の効果】
【００２８】
本発明においては、第１リブが、第１部材間の間隔に少なくとも一つ形成されているため、第１部材と隔てられている。これにより、被着弾面に着弾したインクが第１リブに伝わることが防止できる。よって、インクジェット記録方式で被記録媒体に縁なし印刷を繰り返し実行しても、被記録媒体の裏面がインクで汚れる可能性が低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】図１は、本発明の実施形態の一例である複合機１０の外観斜視図である。
【図２】図２は、プリンタ部１１の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図３】図３は、キャリッジ４０及びプラテン４２を示す斜視図である。
【図４】図４は、プラテン４２を上方から見た斜視図である。
【図５】図５は、プラテン４２を下方から見た斜視図である。
【図６】図６は、プラテン４２の平面図である。
【図７】図７は、プラテン４２の図６におけるＧ−Ｇ間の縦断面図である。
【図８】図８は、プラテン４２の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【００３０】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機１０が使用可能に設置された状態（図１の状態）を基準として上下方向７が定義され、開口１３が設けられている側を手前側（正面）として前後方向８が定義され、複合機１０を手前側（正面）から見て左右方向９が定義される。
【００３１】
［複合機１０］
図１に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機１０は、概ね薄型の直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部１１が設けられている。複合機１０は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリンタ部１１は、正面に開口１３が形成された筐体１４を有している。給紙トレイ２０及び排紙トレイ２１が、開口１３から前後方向８に挿抜可能である。給紙トレイ２０には、所望のサイズの記録用紙（本発明の被記録媒体の一例）が載置される。
【００３２】
図２に示されるように、プリンタ部１１は、記録用紙を給送する給紙部１５と、記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部２４などを備えている。プリンタ部１１は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙に画像を記録する。
【００３３】
［給紙部１５］
図２に示されるように、給紙部１５は、給紙トレイ２０の上側に設けられている。給紙部１５は、給紙ローラ２５、給紙アーム２６、及び複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構２７を備えている。給紙ローラ２５は、給紙アーム２６の先端部で軸支されている。給紙アーム２６は、基端部に設けられた軸２８を中心として、矢印２９の方向に回動する。これにより、給紙ローラ２５は給紙トレイ２０に当接及び離間が可能である。給紙ローラ２５は、駆動伝達機構２７によって、モータ（不図示）の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ２５は、給紙トレイ２０上に積載された記録用紙のうち、一番上側の記録用紙に当接された状態で、当該記録用紙を他の記録用紙から分離して以下で説明する湾曲路６６へ供給する。
【００３４】
［搬送路６５］
図２に示されるように、プリンタ部１１の内部には、給紙トレイ２０の先端（後方側の端部）から記録部２４を経て排紙トレイ２１に至るまでの間、記録用紙を案内可能な搬送路６５が形成されている。
【００３５】
搬送路６５は、給紙トレイ２０の先端から後述する第１ローラ対５８に至る間に形成された湾曲路６６と、第１ローラ対５８から記録部２４の直下を介して排紙トレイ２１に至る間に形成された直線路６７とに区分される。
【００３６】
湾曲路６６は、給紙トレイ２０の先端付近から第１ローラ対５８に亘って延設された湾曲状の通路である。記録用紙は、湾曲路６６を搬送方向（図２において一点鎖線で示される方向）に沿って搬送向き（図２において一点鎖線に付された矢印の向き）に湾曲されて案内される。湾曲路６６は、第１ローラ対５８を挟んで直線路６７と連続している。これにより、記録用紙は、湾曲路６６を介して直線路６７に案内される。湾曲路６６は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材１９及び外側ガイド部材１７によって区画されている。
【００３７】
直線路６７は、湾曲路６６における搬送向きの下流端、つまり第１ローラ対５８から排紙トレイ２１に亘って前後方向８に延設された直線状の通路である。記録用紙は、直線路６７を搬送向き（図２において２点鎖線に付された矢印の向き）に案内される。記録用紙は、記録部２４によって画像を記録された後に排紙トレイ２１に排出される。直線路６７は、記録部２４が設けられている箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部２４及びプラテン４２によって形成されており、記録部２４が設けられていない箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材５２及び下側ガイド部材５３よって区画されている。
【００３８】
［記録部２４］
図２に示されるように、記録部２４は、直線路６７の上側に設けられている。記録部２４は、記録ヘッド３８（本発明の記録ヘッドの一例）を搭載して主走査方向、つまり図２の紙面に垂直な方向である左右方向９（本発明の幅方向に相当）へ往復移動するキャリッジ４０（本発明の可動部の一例）を備えている。
【００３９】
図３に示されるように、キャリッジ４０は、プリンタ部１１の内部に設けられたフレーム７０に取り付けられたガイドレール４５、４６によって支持されている。詳細には、ガイドレール４５、４６は、記録用紙の搬送向きに所定間隔をあけて配置されており、キャリッジ４０は、ガイドレール４５，４６を跨ぐようにして、ガイドレール４５、４６上を左右方向９（主走査方向）に摺動可能に設けられている。
【００４０】
キャリッジ４０に搭載された記録ヘッド３８には、インクカートリッジ（不図示）からインクが供給される。図２に示されるように、記録ヘッド３８の下面には、ノズル３９（本発明のノズルの一例）が形成されている。記録ヘッド３８は、ノズル３９からインクを微小なインク滴として吐出する。ノズル３９は、直線路６７の下方に記録部２４と所定間隔を空けて対向して設けられているプラテン４２（本発明のプラテンの一例）に向けて、インク滴を吐出する。搬送向きに搬送される記録用紙は、プラテン４２によって支持される。
【００４１】
以上より、キャリッジ４０が主走査方向へ往復動されながら、ノズル３９からプラテン４２上を搬送される記録用紙に向けてインク滴が吐出される。これにより、記録用紙に画像が記録される。なお、プラテン４２については、後述される。
【００４２】
［第１ローラ対５８及び第２ローラ対５９］
図２に示されるように、直線路６７における記録部２４より搬送向きの上流側には、直線路６７の上側に配置された第１搬送ローラ６０と、直線路６７の下側に第１搬送ローラ６０に対向して配置されたピンチローラ６１とよりなる第１ローラ対５８が設けられている。ピンチローラ６１は、バネなどの弾性部材（不図示）によって第１搬送ローラ６０のローラ面に圧接されている。第１ローラ対５８は、記録用紙を狭持してプラテン４２上へ搬送する。
【００４３】
直線路６７における記録部２４より搬送向きの下流側には、直線路６７の下側に配置された第２搬送ローラ６２と、直線路６７の上側に第２搬送ローラ６２に対向して配置された拍車６３とよりなる第２ローラ対５９が設けられている。拍車６３は、バネなどの弾性部材（不図示）によって第２搬送ローラ６２のローラ面に圧接されている。第２ローラ対５９は、記録部２４を通過した記録用紙を狭持して排紙トレイ２１へ搬送する。
【００４４】
第１搬送ローラ６０及び第２搬送ローラ６２は、モータ（不図示）から駆動力が伝達されて回転される。モータが正転または逆転の一方に回転された場合、第１搬送ローラ６０及び第２搬送ローラ６２は、記録用紙を搬送向きに搬送する。
【００４５】
［プラテン４２］
図２に示されるように、プラテン４２は、その上面が記録ヘッド３８の下面と対向されて配置されている。図４に示されるように、プラテン４２は、概ね平板形状である。プラテン４２は、左右方向９を長手方向として配置されている。プラテン４２は、第１部材７１（本発明の第１部材の一例）、第２部材７２、及び第１リブ７４（本発明の第１リブの一例）を備えている。
【００４６】
なお、以下の説明において、以下に記すように図中の符号が一部省略されている。図４〜図６及び図８において、一部の符号は、拡大図のみに付されており、拡大されていない箇所において省略されている。また、図４において、後側部材８３に形成された第２リブ８５の符号は、一部の第２リブ８５のみに付されている。また、図６において、前側部材８４に形成された第３リブ８６の符号は、一部の第３リブ８６のみに付されている。また、図４において、後端９４は、一つの第２リブ８５にのみ付されており、その他の第２リブ８５において省略されている。また、図４において、前端９５は、一つの第３リブ８６にのみ付されており、その他の第３リブ８６において省略されている。
【００４７】
［第１部材７１］
図４及び図６に示されるように、第１部材７１は、概ね平板形状である。第１部材７１は、所定の間隔７３をあけて複数配置されている。各第１部材７１は、左右方向９に沿って一列に設けられている。本実施形態において、２１個の第１部材７１が配置されている。
【００４８】
第１部材７１の上面は、記録ヘッド３８の下面においてノズル３９が配置されている領域（以下、ノズル領域と記す。）と対向可能な位置に形成されている。詳細には、第１部材７１の上面の最前端９０は、ノズル領域の前端よりも前方に位置している。また、第１部材７１の上面の最後端９１は、ノズル領域の後端よりも後方に位置している。また、第１部材７１の上面の右端は、キャリッジ４０が記録用紙への画像記録中に摺動可能な最も右側に摺動した場合におけるノズル領域の右端よりも右側に位置している。また、第１部材７１の上面の左端は、キャリッジ４０が記録用紙への画像記録中に摺動可能な最も左側に摺動した場合におけるノズル領域の左端よりも左側に位置している。以上より、第１部材７１の上面は、ノズル３９から吐出されたインクが着弾可能な本発明の被着弾面に相当する。換言すると、被着弾面が、第１部材７１に形成されている。なお、第１部材７１の上面の後端は、最後端９１と、最後端９１よりも前方の後端９３とで構成されているが、これについては後述する。
【００４９】
第１部材７１の上面には、第１インク流路７６及び第２インク流路７７よりなる上面インク流路（本発明のインク流路の一例）が形成されている。上面インク流路は、第１部材７１の上面の全体に亘って形成されている。第１インク流路７６及び第２インク流路７７は、前後方向８において交互に設けられている。第１インク流路７６は、右端において最も高位置であり且つ前後方向８の幅が最も広く、左方に向かうにしたがって低くなり且つ前後方向８の幅が狭くなっている。これにより、第１インク流路７６上に吐出されたインクは、左方へ向かって流れ、第１部材７１の左端、つまり間隔７３との境界へと導かれる。第２インク流路７７は、左端において最も高位置であり且つ前後方向８の幅が最も広く、右方に向かうにしたがって低くなり且つ前後方向８の幅が狭くなっている。これにより、第２インク流路７７上に吐出されたインクは、右方へ向かって流れ、第１部材７１の右端、つまり間隔７３との境界へと導かれる。
【００５０】
図５及び図８に示されるように、第１部材７１の下面には、下面インク流路８０が形成されている。下面インク流路８０は、左右インク流路８１及び前後インク流路８２で構成されている。左右インク流路８１は、第１部材７１の左右端の縁部から左右方向９に延設されている溝である。前後インク流路８２は、一端を左右インク流路８１と連接され、他端を第１部材７１の下面の前端９２まで延設されている。ここで、第１部材７１の前方に設けられている前側部材８４の下方には、発泡ポリウレタンなどの多孔材料からなるインク吸収体（不図示）が配置されている。そして、前後インク流路８２の他端は、インク吸収体に連通されている。
【００５１】
以上より、第１部材７１の上面に吐出されたインクは、第１インク流路７６または第２インク流路７７に沿って左右方向９に流れて第１部材７１の左右端、つまり間隔７３との境界に到達する。次に、当該インクは、第１部材７１の上側から左右端の縁部を通って下側に到達する。最終的に、当該インクは、下面インク流路８０に沿って流れてインク吸収体に到達する。
【００５２】
［後側部材８３及び前側部材８４］
図４及び図６に示されるように、プラテン４２は、第１部材７１の後側に配置された後側部材８３（本発明の第２部材の一例）と、第１部材７１の前側に配置された前側部材８４（本発明の第３部材の一例）とを備えている。後側部材８３及び前側部材８４は、概ね平板形状である。後側部材８３の前端は、第１部材７１の最後端９１及び後端９３と一体に形成されている。前側部材８４の後端は、第１部材７１の最前端９０と一体に形成されている。
【００５３】
なお、本実施形態においては、プラテン４２は、後側部材８３と前側部材８４とを備えているが、プラテン４２は、後側部材８３または前側部材８４のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【００５４】
［第２リブ８５及び第３リブ８６］
図４及び図６に示されるように、後側部材８３の上面には、複数の第２リブ８５（本発明の第２リブの一例）が形成されている。また、前側部材８４の上面には、複数の第３リブ８６（本発明の第３リブの一例）が形成されている。第２リブ８５及び第３リブ８６の各々は、後側部材８３及び前側部材８４の上面から上方に向かって突出されている。また、第２リブ８５及び第３リブ８６の各々は、前後方向８に沿って延設されている。また、第２リブ８５及び第３リブ８６の各々は、左右方向９に所定の間隔をおいて形成されている。複数の第２リブ８５は、後側部材８３の直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。複数の第３リブ８６は、前側部材８４の直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。
【００５５】
図４に示されるように、後側部材８３に形成されている第２リブ８５の各々の後端９４は、後側部材８３の上面の後端９６よりも後側まで突出されている。また、前側部材８４に形成されている第３リブ８６の各々の前端９５は、前側部材８４の上面の前端９７よりも前側まで突出されている。
【００５６】
一方、後側部材８３に形成されている第２リブ８５の各々の前端９８(図４における拡大図参照）は、後側部材８３の上面の前端よりも若干後方までしか延設されていない。つまり、前端９８は、第１部材７１の最後端９１及び後端９３と非接触である。また、前側部材８４に形成されている第３リブ８６の各々の後端９９(図４における拡大図参照）は、前側部材８４の上面の後端よりも若干前方までしか延設されていない。つまり、後端９９は、第１部材７１の最前端９０と非接触である。
【００５７】
［間隔７３］
図４〜図６及び図８に示されるように、間隔７３は、第１部材７１の上面に、左右方向９に複数形成されている。間隔７３の右側は各第１部材７１の左端部の側面で構成されており、間隔７３の左側は各第１部材７１の右端部の側面で構成されており、間隔７３の後側は後側部材８３の前端を構成する側面で構成されており、間隔７３の前側は前側部材８４の後端を構成する側面で構成されている。
【００５８】
［第１リブ７４］
図４及び図６に示されるように、複数の間隔７３の少なくとも一つには、第１リブ７４が設けられている。本実施形態においては、６つの間隔７３の各々に１つずつの第１リブ７４が設けられている。第１リブ７４の各々は、前後方向８に沿って延設されている。第１リブ７４の各々の後端は、後側部材８３と一体に形成されている。第１リブ７４の各々の前端は、前側部材８４と一体に形成されている。つまり、第１リブ７４は、後側部材８３及び前側部材８４の間に延設されている。第１リブ７４の各々は、間隔７３における左右方向９の中央部に設けられている。これにより、第１リブ７４の各々は、左右方向９において、第１部材７１と隔てられている。
【００５９】
図４及び図６に示されるように、各第１リブ７４の左右方向９における位置は、第２リブ８５及び第３リブ８６とは異なっている。つまり、各第１リブ７４は、左右方向９において、２つの第２リブ８５の間に配置されている。また、各第１リブ７４は、左右方向９において、２つの第３リブ８６の間に配置されている。
【００６０】
図４に示されるように、第１リブ７４の各々は、第１部材７１の上面よりも上側まで突出されている。換言すると、第１リブ７４の各々の上端は、第１部材７１の上面よりも高位置である。また、図７に示されるように、第１リブ７４の各々の上端は、後述する第２範囲８８（図６参照）に設けられた第１リブ７４の一部を除いて、第２リブ８５及び第３リブ８６の上端よりも低位置である。以上より、複数の第１リブ７４は、第１部材７１の直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。
【００６１】
図５に示されるように、第１リブ７４の各々は、第１部材７１の下面よりも下側まで突出されている。換言すると、第１リブ７４の各々の下端は、第１部材７１の下面よりも低位置である。
【００６２】
なお、図４〜図６及び図８に示されるように、本実施形態においては、第１リブ７４は、複数の間隔７３の一部に設けられているが、第１リブ７４は、全ての間隔７３に設けられていてもよい。また、本実施形態においては、第１リブ７４は、各間隔７３に一つ設けられているが、各間隔７３に複数設けられていてもよい。
【００６３】
また、本実施形態においては、上述したように、第１リブ７４は、前後端を後側部材８３及び前側部材８４と一体に形成されている。しかし、第１リブ７４は、前端または後端の一方において、後側部材８３または前側部材８４と一体に形成されていてもよい。
【００６４】
［第１範囲８７及び第２範囲８８］
図４及び図６に示されるように、第１部材７１は、左右方向９の少なくとも一部分において、他の部分よりも後方まで延設されている。詳細には、図６に示されるように、本実施形態における第１部材７１は、左右方向９の両端部の第３範囲３０、及び左右方向９の中央部と両端部との間の第４範囲３１において、後端９３よりも後方の最後端９１まで延設されている。一方、第１部材７１は、左右方向９における第３範囲３０及び第４範囲３１以外の第５範囲３２において、後端９３まで延設されている。
【００６５】
つまり、第１部材７１は、前後方向８の第１範囲８７において、左右方向９の全ての範囲（第３範囲３０、第４範囲３１、及び第５範囲３２）に亘って形成されている。一方、第１部材７１は、前後方向８の第２範囲８８において、左右方向９の一部の範囲（第３範囲３０及び第４範囲３１）のみに亘って形成されている。
【００６６】
以上より、第３範囲３０と第１範囲８７及び第２範囲８８とによって形成される領域、並びに第４範囲３１と第１範囲８７及び第２範囲８８とによって形成される領域が、本発明の一領域に相当する。また、第５範囲３２と第１範囲８７及び第２範囲８８とによって形成される領域が、本発明の他領域に相当する。そして、一領域に形成された第１部材７１は、他領域に形成された第１部材７１よりも前後方向８の長さが長い。
【００６７】
上述したように、第１部材７１の最後端９１及び後端９３と、後側部材８３の前端とは、一体に形成されている。これにより、前後方向８の第２範囲８８において第１部材７１が形成されていない左右方向９の範囲、つまり第５範囲３２において、後側部材８３が形成されている。具体的には、第５範囲３２と第２範囲８８とによって形成される領域において、後側部材８３が形成されている。
【００６８】
以上より、プラテン４２が右端から左向きに視認された場合または左端から右向きに視認された場合、第１部材７１は、前後方向８の第２範囲８８において、後側部材８３と重畳するように形成されている。そして、第２範囲８８において第１部材７１が後側部材８３と重畳する左右方向９の範囲は、第３範囲３０及び第４範囲３１である。つまり、第１部材７１は、左右方向９の少なくとも一部（第３範囲３０及び第４範囲３１）において、後側部材８３と重畳するように形成されている。
【００６９】
換言すると、左右方向９において他領域（つまり左右方向９において第３範囲３０）に対応し、且つ、搬送向きにおいて第１部材７１の長さが長い部分（つまり前後方向８において第２範囲８８）と対応する領域の少なくとも一部に、後側部材８３が形成されている。
【００７０】
なお、以上の説明では、第１部材７１が後側部材８３と重畳するように形成されている構成が説明されたが、第１部材７１は、前側部材８４と重畳するように形成されていてもよい。つまり、左右方向９において他領域に対応し、且つ、搬送向きにおいて第１部材７１の長さが長い部分と対応する領域の少なくとも一部に、前側部材８４が形成されていてもよい。
【００７１】
また、第４範囲３１において、３つの第１部材７１が、最後端９１まで延設されている。このため、３つの第１部材７１の間に形成された間隔７３、及び当該間隔７３の間に形成された第１リブ７４も、最後端９１まで延設されている。よって、一領域に形成された第１リブ７４は、他領域に形成された第１リブ７４よりも前後方向８の長さが長い。
【００７２】
以上より、プラテン４２が右端から左向きに視認された場合または左端から右向きに視認された場合、第１部材７１と同様に、間隔７３及び第１リブ７４の少なくとも一つは、前後方向８の第２範囲８８において、後側部材８３と重畳するように形成されている。この際、間隔７３及び第１リブ７４は、左右方向９の少なくとも一部（第４範囲３１）において、後側部材８３と重畳するように形成されている。
【００７３】
また、図４、図６及び図７に示されるように、第２範囲８８において、第１リブ７４の少なくとも一つの上端は、第２リブ８５の上端と同等の高さである。換言すると、一領域に設けられた少なくとも一つの第１リブ７４の上端は、左右方向９に後側部材８３が形成されている部分において、第２リブ８５の上端と同じ高さである。なお、第１部材７１が前側部材８４と重畳するように形成されている場合、一領域に設けられた少なくとも一つの第１リブ７４の上端は、左右方向９に前側部材８４が形成されている部分において、第３リブ８６の上端と同じ高さである。
【００７４】
これにより、図６に示されるように、第１範囲８７においては、複数の第１リブ７４が、直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。一方、第２範囲８８においては、第２リブ８５及び第２リブ８５と同等の高さの第１リブ７４が、直上の直線路６７を搬送される記録用紙を支持可能である。
【００７５】
以下、本実施形態における第１リブ７４の高さについて、上記よりも具体的に説明する。図４及び図６に示されるように、本実施形態においては、第４範囲３１と第１範囲８７及び第２範囲８８とによって形成される領域、つまり一領域のうちの一部の領域の６つの第１部材７１は、左右方向９の中央部の後側部材８３の両側に３つずつ設けられている。そして、図４及び図６に示されるように、６つの第１部材７１の間に形成された４つの間隔７３の各々には、第１リブ７４（図６において７４Ａ，７４Ｂ，７４Ｃ，７４Ｄと記される。）が設けられている。
【００７６】
第１リブ７４Ａ〜７４Ｄのうち、左右方向９の中央部側の第１リブ７４Ｂ、７４Ｃの上端は、左右方向９に後側部材８３が形成されている部分、つまり第２範囲８８において、第２リブ８５の上端よりも高さが低い。一方、第１リブ７４Ａ〜７４Ｄのうち、第１リブ７４Ｂ、７４Ｃよりも左右方向９の外側の第１リブ７４Ａ、７４Ｄの上端は、左右方向９に後側部材８３が形成されている部分、つまり第２範囲８８において、第２リブ８５の上端と同じ高さである。
【００７７】
［実施形態の効果］
上述の実施形態によれば、第１リブ７４が、第１部材７１の間隔７３の少なくとも一つに形成されており、第１部材７１と隔てられている。よって、縁なし印刷が繰り返し実行され、第１部材７１の上面に付着したインクの総量が多くなっても、インクが第１リブ７４に伝わることが防止できる。したがって、インクが、毛細管現象によって、第１リブ７４の頂上まで伝わることが防止できる。以上より、上述の実施形態によれば、インクジェット記録方式で記録用紙に縁なし印刷を繰り返し実行しても、記録用紙の裏面がインクで汚れる可能性が低減可能である。
【００７８】
また、上述の実施形態によれば、第１リブ７４の搬送向きの端が後側部材８３及び前側部材８４に固定される。よって、第１リブ７４の高さ位置を後側部材８３及び前側部材８４に対して固定させることができる。したがって、精度が要求される第１リブ７４の高さ位置を正確に固定できる。
【００７９】
また、上述の実施形態において、第１リブ７４は、各第１部材７１の間の間隔７３に形成されている。つまり、第１リブ７４の搬送向きにおける位置は、第１部材７１の上面と同じ位置である。よって、ノズル３９から吐出されたインク滴は、第１リブ７４に付着するおそれがある。しかし、上述の実施形態によれば、記録用紙が第２リブ８５または第３リブ８６において支持されている場合、記録用紙が第１部材７１の上面の上側において垂れ下がらない限り、記録用紙が第１リブ７４によって支持されることはない。つまり、上述の実施形態においては、記録用紙が第１リブ７４によって支持される状況が少なくなる。よって、第１リブ７４に付着したインクが、記録用紙の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【００８０】
また、上述の実施形態において、縁なし印刷が実行される場合、インクは、第１部材７１の上面に着弾される。よって、同時にインクを吐出可能なノズル３９の搬送向きの数は、第１部材７１の上面の搬送向きの長さまでに制限されてしまう。つまり、搬送される記録用紙の両側端部への画像記録は、効率よく実行できない。しかし、上述の実施形態においては、一領域の第１部材７１及び第１リブ７４は、他領域の第１部材７１及び第１リブ７４の搬送向きの長さが長い。よって、第１部材７１が搬送向きに長くなっている位置において、同時にインクを吐出するノズル３９の搬送向きの数を増加することが可能である。これにより、記録用紙への画像記録が、効率よく実行可能である。
【００８１】
また、上述の実施形態において、第１リブ７４の上端は、左右方向９に後側部材８３が形成されている部分において、第２リブ８５の上端と同じ高さである。よって、記録用紙は、上記部分において、第１リブ７４に加えて第２リブ８５によっても支持されることが可能である。これにより、記録用紙は、インクが記録用紙に吐出される際に、より安定して支持されることが可能である。
【００８２】
また、上述の実施形態においては、中央部側の第１リブ７４Ｂ、７４Ｃの上端を第２リブ８５の上端よりも低くしても、中央部に近い位置において、記録用紙は、中央部の後側部材８３によって支持されることができる。また、中央部側の第１リブ７４Ａ、７４Ｄの上端を第２リブ８５の上端よりも低くすることによって、中央部側の第１リブ７４Ｂ、７４Ｃにインクが付着しても、当該インクが記録用紙に付着する可能性を低くすることができる。
【００８３】
一方で、上述の実施形態においては、中央部から遠い位置、つまり中央部側の第１リブ７４Ｂ、７４Ｃよりも外側の位置の第１リブ７４Ａ、７４Ｄの上端を、中央部の第２リブ８５の上端と同じ高さにしている。これにより、中央部においては第２リブ８５が記録用紙を支持し、中央部から遠い位置においては第１リブ７４Ａ、７４Ｄが記録用紙を支持可能である。その結果、記録用紙の搬送を安定させることができる。
【００８４】
また、上述の実施形態によれば、第１リブ７４に着弾したインクは、第１リブ７４の壁面に沿って下方に流れる。よって、第１リブ７４にインクが付着しても、当該インクが記録用紙の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【００８５】
第１部材７１と後側部材８３または前側部材８４とが一体に形成されている場合、第１部材７１の上面に着弾したインクは、搬送向きまたは搬送向きと逆向きに沿って流れて、後側部材８３または前側部材８４に到達するおそれがある。その結果、通常、インクが着弾しない後側部材８３または前側部材８４が、インクによって汚れてしまう。また、後側部材８３または前側部材８４に到達したインクが、毛細管現象によって第２リブ８５または第３リブ８６の壁面に沿って上昇してしまうおそれがある。その結果、第２リブ８５または第３リブ８６に支持された記録用紙の裏面にインクが付着して、記録用紙が汚れてしまうおそれがある。しかし、上述の実施形態においては、第１部材７１の上面に着弾したインクは、第１インク流路７６及び第２インク流路７７に沿って左右方向９に沿って流れ、間隔７３へ導かれるため、上述のような問題の発生を防止することができる。
【００８６】
また、上述の実施形態においては、第１リブ７４は、左右方向９において、第２リブ８５間及び第３リブ８６間に配置されている。これにより、記録用紙を支持する左右方向９の領域を増加させることができる。その結果、記録用紙の搬送を安定させることができる。
【符号の説明】
【００８７】
１０・・・複合機
３８・・・記録ヘッド
３９・・・ノズル
４０・・・キャリッジ
４２・・・プラテン
７１・・・第１部材
７２・・・第２部材
７３・・・間隔
７４・・・第１リブ
７６・・・第１インク流路
７７・・・第２インク流路
８５・・・第２リブ
８６・・・第３リブ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に上記記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテンであって、
上記ノズルから吐出されたインク滴が着弾可能な被着弾面が形成された第１部材が、上記搬送向きに直交し且つ上記被着弾面に沿った幅方向に間隔をあけて複数配置され、
上記第１部材よりも上記搬送向きの上流側に設けられており、被記録媒体を支持可能な第２部材と、
上記第１部材よりも上記搬送向きの下流側に設けられており、被記録媒体を支持可能な第３部材と、
上記間隔の少なくとも一つにおいて上記第１部材と上記幅方向に隔てられており、上記搬送向きに沿って上記第２部材及び上記第３部材の間に延設されており、且つ上記被着弾面よりも上側まで突出されて被記録媒体を支持可能な第１リブと、を備えたプラテン。
【請求項２】
上記第１リブは、上記搬送向きの上流側または下流側の少なくとも一方を上記第２部材または上記第３部材と一体に形成されている請求項１に記載のプラテン。
【請求項３】
上記第２部材の上面には、上記搬送向きに沿って延設された複数の第２リブが形成され、
上記第３部材の上面には、上記搬送向きに沿って延設された複数の第３リブが形成され、
上記第１リブの上端は、上記第２リブ及び上記第３リブの上端よりも低い請求項１または２に記載のプラテン。
【請求項４】
上記第１部材及び上記第１リブが設けられた領域のうち、一領域の上記第１部材及び上記第１リブは、上記搬送向きの長さが他領域の上記第１部材及び上記第１リブよりも長く形成されており、
上記幅方向において上記他領域に対応し、且つ、上記搬送向きにおいて上記被着弾面が長く形成された部分と対応する領域の少なくとも一部に、上記第２部材または上記第３部材が位置するように形成されており、
上記一領域に設けられた少なくとも一つの上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材または上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端と同じ高さである請求項３に記載のプラテン。
【請求項５】
上記一領域の上記第１部材は、上記幅方向の中央部の上記第２部材または上記第３部材の両側に設けられており、
当該一領域に設けられた上記第１部材のうち、上記中央部側の上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材または上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端よりも高さが低く、
当該一領域に設けられた上記第１部材のうち、上記中央部側の上記第１リブよりも外側の上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材又は上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端と同じ高さである請求項４に記載のプラテン。
【請求項６】
上記第１リブは、上記第１部材の下面よりも下側に突出している請求項１から５のいずれかに記載のプラテン。
【請求項７】
上記被着弾面には、着弾したインクを上記幅方向に沿って流すインク流路が形成されている請求項１から６のいずれかに記載のプラテン。
【請求項８】
上記第１リブは、上記幅方向において、上記第２リブ間及び上記第３リブ間に配置されている請求項１から７のいずれかに記載のプラテン。
【請求項９】
請求項１から８のいずれかに記載のプラテンと、
上記プラテンの上側に上記プラテンと所定間隔を空けて対向して配置されており、上記幅方向に沿って往復動可能な可動部と、
上記可動部に設けられており、上記プラテンに向けてインク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドと、を備えている画像記録装置。
【請求項１】
インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に上記記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテンであって、
上記ノズルから吐出されたインク滴が着弾可能な被着弾面が形成された第１部材が、上記搬送向きに直交し且つ上記被着弾面に沿った幅方向に間隔をあけて複数配置され、
上記第１部材よりも上記搬送向きの上流側に設けられており、被記録媒体を支持可能な第２部材と、
上記第１部材よりも上記搬送向きの下流側に設けられており、被記録媒体を支持可能な第３部材と、
上記間隔の少なくとも一つにおいて上記第１部材と上記幅方向に隔てられており、上記搬送向きに沿って上記第２部材及び上記第３部材の間に延設されており、且つ上記被着弾面よりも上側まで突出されて被記録媒体を支持可能な第１リブと、を備えたプラテン。
【請求項２】
上記第１リブは、上記搬送向きの上流側または下流側の少なくとも一方を上記第２部材または上記第３部材と一体に形成されている請求項１に記載のプラテン。
【請求項３】
上記第２部材の上面には、上記搬送向きに沿って延設された複数の第２リブが形成され、
上記第３部材の上面には、上記搬送向きに沿って延設された複数の第３リブが形成され、
上記第１リブの上端は、上記第２リブ及び上記第３リブの上端よりも低い請求項１または２に記載のプラテン。
【請求項４】
上記第１部材及び上記第１リブが設けられた領域のうち、一領域の上記第１部材及び上記第１リブは、上記搬送向きの長さが他領域の上記第１部材及び上記第１リブよりも長く形成されており、
上記幅方向において上記他領域に対応し、且つ、上記搬送向きにおいて上記被着弾面が長く形成された部分と対応する領域の少なくとも一部に、上記第２部材または上記第３部材が位置するように形成されており、
上記一領域に設けられた少なくとも一つの上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材または上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端と同じ高さである請求項３に記載のプラテン。
【請求項５】
上記一領域の上記第１部材は、上記幅方向の中央部の上記第２部材または上記第３部材の両側に設けられており、
当該一領域に設けられた上記第１部材のうち、上記中央部側の上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材または上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端よりも高さが低く、
当該一領域に設けられた上記第１部材のうち、上記中央部側の上記第１リブよりも外側の上記第１リブの上端は、上記幅方向に上記第２部材又は上記第３部材が形成されている部分において、上記第２リブまたは上記第３リブの上端と同じ高さである請求項４に記載のプラテン。
【請求項６】
上記第１リブは、上記第１部材の下面よりも下側に突出している請求項１から５のいずれかに記載のプラテン。
【請求項７】
上記被着弾面には、着弾したインクを上記幅方向に沿って流すインク流路が形成されている請求項１から６のいずれかに記載のプラテン。
【請求項８】
上記第１リブは、上記幅方向において、上記第２リブ間及び上記第３リブ間に配置されている請求項１から７のいずれかに記載のプラテン。
【請求項９】
請求項１から８のいずれかに記載のプラテンと、
上記プラテンの上側に上記プラテンと所定間隔を空けて対向して配置されており、上記幅方向に沿って往復動可能な可動部と、
上記可動部に設けられており、上記プラテンに向けてインク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドと、を備えている画像記録装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１２−１１６０５１（Ｐ２０１２−１１６０５１Ａ）
【公開日】平成２４年６月２１日（２０１２．６．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２６６６１６（Ｐ２０１０−２６６６１６）
【出願日】平成２２年１１月３０日（２０１０．１１．３０）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年６月２１日（２０１２．６．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１１月３０日（２０１０．１１．３０）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]