説明

プラテン、及び画像記録装置

【課題】インクジェット記録方式で被記録媒体に縁なし印刷を実行しても、被記録媒体の裏面がインクで汚れる可能性を低くすることができる構造を提供する。
【解決手段】搬送される記録用紙を支持するプラテン42である。プラテン42は、上方のノズル39から吐出されたインクが上面に着弾可能な第1部材71と、上記上面の領域内において搬送向きに延設され、上記上面よりも上側で記録用紙を支持する第1リブ74と、第1部材71の上流側及び下流側に設けられた第2部材72とを備える。第1リブ74のうち少なくとも一つの上端には、第2部材72との境界部にその底面109が第2部材72の上面よりも低い凹部34が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテン、及び当該プラテンを備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式の画像記録装置は、インク滴を記録ヘッドに設けられたノズルから被記録媒体に吐出する。これにより、記録ヘッドに対向して設けられたプラテンに支持された被記録媒体に画像が記録される。
【0003】
また、当該画像記録装置は、被記録媒体に余白を設けずに画像を記録する所謂縁なし印刷を行う場合、画像の記録領域(プラテンに支持された被記録媒体が存在している領域)に加えて被記録媒体のわずかに外側の領域にもインクが吐出されてしまう。これにより、被記録媒体に着弾しないインクは、プラテンに付着する。すると、次に搬送されてきてプラテンに支持された被記録媒体の裏面にインクが付着して汚れてしまう。
【0004】
これを防止するために、例えば、特許文献1に記載されているプラテンにおいては、縁なし印刷においてインクが着弾される記録領域に、領域内支持リブが設けられている。これにより、被記録媒体は、記録領域において領域内支持リブによって支持されるため、被記録媒体の裏面がインクで汚されることが防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−208245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているプラテンにおいては、領域内支持リブは、記録領域の上流側に設けられた上流側支持部と繋がった状態で形成されている。このため、記録領域のうち、領域内支持リブと上流側支持部の境界部付近に着弾したインクは、毛細管現象によって、領域内支持リブから上流側支持部に移動してしまうおそれがある。これにより、通常、インクが着弾しない上流側支持部が、インクによって汚れてしまう。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェット記録方式で被記録媒体に縁なし印刷を実行しても、被記録媒体の裏面がインクで汚れる可能性を低くすることができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明は、インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に上記記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテンである。上記プラテンは、上記ノズルから吐出されたインクが着弾可能な被着弾面が形成された第1部材と、上記被着弾面を含む所定領域において上記搬送向きに沿って延設され、上記被着弾面よりも上側まで突出されて被記録媒体を支持可能な複数の第1リブと、上記第1部材よりも上記搬送向きの上流側または下流側の少なくとも一方に設けられており、被記録媒体を支持可能な第2部材と、を備えている。上記第1リブのうち少なくとも一つの上端には、上記第2部材との境界部にその底面が上記第2部材の上面よりも低い凹部が形成されている。
【0009】
本構成によれば、第1リブと第2部材との境界部付近に着弾したインクは、凹部に溜まる。これにより、当該インクが毛細管現象によって凹部から第2部材に到達するまでに必要な上昇の距離が長くなる。よって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブから第2部材に移動する可能性を低くすることができる。
【0010】
(2) 上記第1リブのうち少なくとも一つは、上記搬送向きに直交し且つ上記被着弾面に沿った幅方向に、上記第2部材が位置するように形成されている。上記凹部は、上記幅方向に上記第2部材が位置する部分を有する上記第1リブの上端の上記第2部材との境界部に形成されている。
【0011】
第1リブに凹部が形成されている場合、被記録媒体の先端が凹部に入り込むおそれがある。しかし、本構成において、凹部は、幅方向に第2部材が位置する部分を有する第1リブの上端の第2部材との境界部に形成されている。これにより、被記録媒体は、凹部が形成されている位置において、第2部材によって支持される。よって、被記録媒体の先端が凹部に入り込むことが防止可能である。
【0012】
(3) 上記第1リブの上端は、上記第2部材の上端よりも低い。
【0013】
第1リブは、被着弾面を含む所定領域に形成されている。よって、ノズルから吐出されたインク滴は、第1リブに付着するおそれがある。しかし、本構成によれば、被記録媒体が第2部材によって支持されている場合、被記録媒体が第1リブによって支持されることはない。つまり、本構成においては、被記録媒体が第1リブによって支持される状況が少なくなる。よって、第1リブに付着したインクが、被記録媒体の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【0014】
(4) 上記第1部材は、上記幅方向に間隔をあけて複数配置されている。上記第1リブは、上記間隔に上記第1部材と上記幅方向に隔てられている。
【0015】
縁なし印刷が繰り返し実行された場合、被着弾面に付着したインクの総量が多くなる。すると、インクは、毛細管現象によって、被着弾面から第1リブの壁面に沿って第1リブの頂上まで上昇するおそれがある。当該上昇が発生すると、次に搬送されてきて、第1リブに支持された被記録媒体の裏面にインクが付着して、被記録媒体が汚れてしまう。
【0016】
しかし、本構成によれば、第1リブが、第1部材間の間隔に形成されているため、第1部材と隔てられている。よって、縁なし印刷が繰り返し実行され、被着弾面に着弾したインクの総量が多くなっても、インクが第1リブに伝わることが防止できる。したがって、インクが、毛細管現象によって、第1リブの頂上まで伝わることが防止できる。
【0017】
(5) 上記第1リブは、上記第2部材と一体に形成されている。
【0018】
本構成によれば、第1リブの位置を第2部材によって固定させることができる。したがって、精度が要求される第1リブの高さ位置を正確に固定できる。
【0019】
(6) 上記凹部の底面は、上記被着弾面よりも低い位置である。
【0020】
本構成によれば、凹部が被着弾面よりも深く形成されるため、凹部に溜まったインクが第2部材に到達するまでに必要な上昇の距離を、更に長くすることができる。
【0021】
(7) 上記第1リブは、上記第1部材の下面よりも下側に突出している。
【0022】
本構成によれば、第1リブにおいて、凹部がより深く形成可能である。よって、凹部に溜まったインクが第2部材に到達するまでに必要な上昇の距離を、更に長くすることができる。また、第1リブと第2部材との境界部の面積を大きくすることができる。これにより、当該境界部の取付強度を強くすることができる。
【0023】
(8) 上記凹部の底面には、撥水処理が施されている。
【0024】
本構成によれば、インクが、凹部の底面に付着し難くなる。よって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブから第2部材や第2リブに移動する可能性を低くすることができる。
【0025】
(9) 上記凹部の底面は、上記幅方向の中央部が上記幅方向の両端部よりも高くなるように傾斜した少なくとも一つの傾斜面で構成される。
【0026】
本構成によれば、インクが、傾斜に沿って、凹部の底面から第1リブの両端へ導かれやすい。よって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブから第2部材や第2リブに移動する可能性を低くすることができる。
【0027】
(10) 本発明は、上記プラテンと、上記プラテンの上側に上記プラテンと所定間隔を空けて対向して配置されており、上記幅方向に沿って往復動可能な可動部と、上記可動部に設けられており、上記プラテンに向けてインク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドと、を備えている画像記録装置として捉えることもできる。
【0028】
(11) 上記凹部は、上記記録ヘッドに上記ノズルが配置された領域と対向する領域の外側に形成されている。
【0029】
本構成によれば、インクが凹部に直接着弾されることがない。よって、当該インクが、凹部に溜まりにくい。したがって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブから第2部材や第2リブに移動する可能性を低くすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明においては、第1リブと第2部材との境界部付近に着弾したインクは、凹部に溜まる。これにより、当該インクが毛細管現象によって凹部から第2部材に到達するまでに必要な上昇の距離が長くなる。よって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブから第2部材に移動する可能性を低くすることができる。したがって、インクジェット記録方式で被記録媒体に縁なし印刷を実行しても、被記録媒体の裏面がインクで汚れる可能性を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、キャリッジ40及びプラテン42を示す斜視図である。
【図4】図4は、プラテン42を上方から見た斜視図である。
【図5】図5は、プラテン42を下方から見た斜視図である。
【図6】図6は、プラテン42の平面図である。
【図7】図7は、プラテン42の縦断面図であり、(A)には図6におけるG−G間の縦断面図が示されており、(B)には図6におけるE−E間の縦断面図が模式的に示されている。
【図8】図8は、プラテン42の下面図である。
【図9】図9は、凹部34の正面図及び左側面図であり、(A)には変形例2の第1例における凹部34の正面図が示されており、(B)には変形例2の第2例における凹部34の正面図が示されており、(C)には変形例2の第3例における凹部34の正面図が示されており、(D)には変形例2の第3例における凹部34の左側面図が示されている。
【図10】図10は、変形例3におけるプラテン42の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0033】
[複合機10]
図1に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリンタ部11は、正面に開口13が形成された筐体14を有している。給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。給紙トレイ20には、所望のサイズの記録用紙(本発明の被記録媒体の一例)が載置される。
【0034】
図2に示されるように、プリンタ部11は、記録用紙を給送する給紙部15と、記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24などを備えている。プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙に画像を記録する。
【0035】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端部で軸支されている。給紙アーム26は、基端部に設けられた軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に当接及び離間が可能である。給紙ローラ25は、駆動伝達機構27によって、モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙のうち、一番上側の記録用紙に当接された状態で、当該記録用紙を他の記録用紙から分離して以下で説明する湾曲路66へ供給する。
【0036】
[搬送路65]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、給紙トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙トレイ21に至るまでの間、記録用紙を案内可能な搬送路65が形成されている。
【0037】
搬送路65は、給紙トレイ20の先端から後述する第1ローラ対58に至る間に形成された湾曲路66と、第1ローラ対58から記録部24の直下を介して排紙トレイ21に至る間に形成された直線路67とに区分される。
【0038】
湾曲路66は、給紙トレイ20の先端付近から第1ローラ対58に亘って延設された湾曲状の通路である。記録用紙は、湾曲路66を搬送方向(図2において一点鎖線で示される方向)に沿って搬送向き(図2において一点鎖線に付された矢印の向き)に湾曲されて案内される。湾曲路66は、第1ローラ対58を挟んで直線路67と連続している。これにより、記録用紙は、湾曲路66を介して直線路67に案内される。湾曲路66は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材19及び外側ガイド部材17によって区画されている。
【0039】
直線路67は、湾曲路66における搬送向きの下流端、つまり第1ローラ対58から排紙トレイ21に亘って前後方向8に延設された直線状の通路である。記録用紙は、直線路67を搬送向き(図2において2点鎖線に付された矢印の向き)に案内される。記録用紙は、記録部24によって画像を記録された後に排紙トレイ21に排出される。直線路67は、記録部24が設けられている箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24及びプラテン42によって形成されており、記録部24が設けられていない箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材52及び下側ガイド部材53よって区画されている。
【0040】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線路67の上側に設けられている。記録部24は、記録ヘッド38(本発明の記録ヘッドの一例)を搭載して主走査方向、つまり図2の紙面に垂直な方向である左右方向9(本発明の幅方向に相当)へ往復移動するキャリッジ40(本発明の可動部の一例)を備えている。
【0041】
図3に示されるように、キャリッジ40は、プリンタ部11の内部に設けられたフレーム70に取り付けられたガイドレール45、46によって支持されている。詳細には、ガイドレール45、46は、記録用紙の搬送向きに所定間隔をあけて配置されており、キャリッジ40は、ガイドレール45,46を跨ぐようにして、ガイドレール45、46上を左右方向9(主走査方向)に摺動可能に設けられている。
【0042】
キャリッジ40に搭載された記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。図2に示されるように、記録ヘッド38の下面には、ノズル39(本発明のノズルの一例)が形成されている。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴として吐出する。ノズル39は、直線路67の下方に記録部24と所定間隔を空けて対向して設けられているプラテン42(本発明のプラテンの一例)に向けて、インク滴を吐出する。搬送向きに搬送される記録用紙は、プラテン42によって支持される。
【0043】
以上より、キャリッジ40が主走査方向へ往復動されながら、ノズル39からプラテン42上を搬送される記録用紙に向けてインク滴が吐出される。これにより、記録用紙に画像が記録される。なお、プラテン42については、後述される。
【0044】
[第1ローラ対58及び第2ローラ対59]
図2に示されるように、直線路67における記録部24より搬送向きの上流側には、直線路67の上側に配置された第1搬送ローラ60と、直線路67の下側に第1搬送ローラ60に対向して配置されたピンチローラ61とよりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1ローラ対58は、記録用紙を狭持してプラテン42上へ搬送する。
【0045】
直線路67における記録部24より搬送向きの下流側には、直線路67の下側に配置された第2搬送ローラ62と、直線路67の上側に第2搬送ローラ62に対向して配置された拍車63とよりなる第2ローラ対59が設けられている。拍車63は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2ローラ対59は、記録部24を通過した記録用紙を狭持して排紙トレイ21へ搬送する。
【0046】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、モータ(不図示)から駆動力が伝達されて回転される。モータが正転または逆転の一方に回転された場合、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、記録用紙を搬送向きに搬送する。
【0047】
[プラテン42]
図2に示されるように、プラテン42は、その上面が記録ヘッド38の下面と対向されて配置されている。図4に示されるように、プラテン42は、概ね平板形状である。プラテン42は、左右方向9を長手方向として配置されている。プラテン42は、第1部材71(本発明の第1部材の一例)、第2部材72(本発明の第2部材の一例)、第1リブ74(本発明の第1リブの一例)、及び第2リブ86を備えている。
【0048】
なお、以下の説明において、以下に記すように図中の符号が一部省略されている。図4〜図6及び図8において、一部の符号は、拡大図のみに付されており、拡大されていない箇所において省略されている。また、図4において、後側部材83に形成された第2リブ86の符号は、一部の第2リブ86のみに付されている。また、図6において、前側部材84に形成された第2リブ86の符号は、一部の第2リブ86のみに付されている。また、図4において、後端94及び前端95は、一つの第2リブ86にのみ付されており、その他の第2リブ86において省略されている。
【0049】
[第1部材71]
図4及び図6に示されるように、第1部材71は、概ね平板形状である。第1部材71は、所定の間隔73をあけて複数配置されている。各第1部材71は、左右方向9に沿って一列に設けられている。本実施形態において、21個の第1部材71が配置されている。
【0050】
第1部材71の上面は、記録ヘッド38の下面においてノズル39が配置されている領域(以下、ノズル領域と記す。)と対向可能な位置に形成されている。詳細には、第1部材71の上面の最前端90は、ノズル領域の前端よりも前方に位置している。また、第1部材71の上面の最後端91は、ノズル領域の後端よりも後方に位置している。また、第1部材71の上面の右端は、キャリッジ40が記録用紙への画像記録中に摺動可能な最も右側に摺動した場合におけるノズル領域の右端よりも右側に位置している。また、第1部材71の上面の左端は、キャリッジ40が記録用紙への画像記録中に摺動可能な最も左側に摺動した場合におけるノズル領域の左端よりも左側に位置している。以上より、第1部材71の上面は、ノズル39から吐出されたインクが着弾可能な本発明の被着弾面に相当する。換言すると、被着弾面が、第1部材71に形成されている。なお、第1部材71の上面の後端は、最後端91と、最後端91よりも前方の後端93とで構成されているが、これについては後述する。
【0051】
第1部材71の上面には、第1インク流路76及び第2インク流路77よりなる上面インク流路が形成されている。上面インク流路は、第1部材71の上面の全体に亘って形成されている。第1インク流路76及び第2インク流路77は、前後方向8において交互に設けられている。第1インク流路76は、右端において最も高位置であり且つ前後方向8の幅が最も広く、左方に向かうにしたがって低くなり且つ前後方向8の幅が狭くなっている。これにより、第1インク流路76上に吐出されたインクは、左方へ向かって流れ、第1部材71の左端、つまり間隔73との境界へと導かれる。第2インク流路77は、左端において最も高位置であり且つ前後方向8の幅が最も広く、右方に向かうにしたがって低くなり且つ前後方向8の幅が狭くなっている。これにより、第2インク流路77上に吐出されたインクは、右方へ向かって流れ、間隔73へと導かれる。
【0052】
図5及び図8に示されるように、第1部材71の下面には、下面インク流路80が形成されている。下面インク流路80は、左右インク流路81及び前後インク流路82で構成されている。左右インク流路81は、第1部材71の左右端の縁部から左右方向9に延設されている溝である。前後インク流路82は、一端を左右インク流路81と連接され、他端を第1部材71の下面の前端92まで延設されている。ここで、第1部材71の前方に設けられている第2部材72の下方には、発泡ポリウレタンなどの多孔材料からなるインク吸収体(不図示)が配置されている。そして、前後インク流路82の他端は、インク吸収体に連通されている。
【0053】
以上より、第1部材71の上面に吐出されたインクは、第1インク流路76または第2インク流路77に沿って左右方向9に流れて第1部材71の左右端、つまり間隔73との境界に到達する。次に、当該インクは、第1部材71の上側から左右端の縁部を通って下側に到達する。最終的に、当該インクは、下面インク流路80に沿って流れてインク吸収体に到達する。
【0054】
[第2部材72]
図4及び図6に示されるように、第2部材72は、概ね平板形状である。第2部材72は、第1部材71の後側に配置された後側部材83と、第1部材71の前側に配置された前側部材84とで構成されている。後側部材83の前端は、第1部材71の最後端91及び後端93と一体に形成されている。前側部材84の後端は、第1部材71の最前端90と一体に形成されている。
【0055】
なお、本実施形態においては、第2部材72は、後側部材83と前側部材84とで構成されているが、第2部材72は、後側部材83のみで構成されていてもよいし、前側部材84のみで構成されていてもよい。
【0056】
[第2リブ86]
図4及び図6に示されるように、第2部材72の上面には、複数の第2リブ86が形成されている。第2リブ86の各々は、後側部材83及び前側部材84の上面から上方に向かって突出されている。また、第2リブ86の各々は、前後方向8に沿って延設されている。また、第2リブ86の各々は、左右方向9に所定の間隔をおいて形成されている。複数の第2リブ86は、第2部材72の直上の直線路67を搬送される記録用紙を支持可能である。
【0057】
図4に示されるように、後側部材83に形成されている第2リブ86の各々の後端94は、後側部材83の上面の後端96よりも後側まで突出されている。また、前側部材84に形成されている第2リブ86の各々の前端95は、前側部材84の上面の前端97よりも前側まで突出されている。
【0058】
一方、後側部材83に形成されている第2リブ86の各々の前端98(図4における拡大図参照)は、後側部材83の上面の前端よりも若干後方までしか延設されていない。つまり、前端98は、第1部材71の最後端91及び後端93と非接触である。また、前側部材84に形成されている第2リブ86の各々の後端99(図4における拡大図参照)は、前側部材84の上面の後端よりも若干前方までしか延設されていない。つまり、後端99は、第1部材71の最前端90と非接触である。
【0059】
なお、本実施形態においては、第2部材72の上面には、第2リブ86が形成されているが、第2リブ86が形成されていなくてもよい。この場合、記録用紙は、第2部材72の上面によって支持される。
【0060】
[間隔73]
図4〜図6及び図8に示されるように、間隔73は、第1部材71の上面に、左右方向9に複数形成されている。間隔73の右側は各第1部材71の左端部の側面で構成されており、間隔73の左側は各第1部材71の右端部の側面で構成されており、間隔73の後側は後側部材83の前端を構成する側面で構成されており、間隔73の前側は前側部材84の後端を構成する側面で構成されている。
【0061】
[第1リブ74]
図4及び図6に示されるように、複数の間隔73の少なくとも一つには、第1リブ74が設けられている。本実施形態においては、6個の第1リブ101〜106が設けられている。第1リブ74の各々は、前後方向8に沿って延設されている。第1リブ74の各々の後端は、後側部材83と一体に形成されている。第1リブ74の各々の前端は、前側部材84と一体に形成されている。第1リブ74の各々は、間隔73における左右方向9の中央部に設けられている。これにより、第1リブ74の各々は、左右方向9において、第1部材71と隔てられている。
【0062】
以上より、第1リブ74は、複数の第1部材71の上面で構成される領域の範囲内に設けられている。換言すると、第1リブ74は、第1部材71の上面を含む所定領域内に設けられている。
【0063】
図4に示されるように、第1リブ74の各々は、第1部材71の上面よりも上側まで突出されている。換言すると、第1リブ74の各々の上端は、第1部材71の上面よりも高位置である。また、図7(A)に示されるように、第1リブ74の各々の上端は、後述する第2範囲88(図6参照)に設けられた第1リブ74の一部を除いて、第2リブ86の上端よりも低位置である。なお、第2リブ86が設けられていない構成においては、第1リブ74の各々の上端は、後述する第2範囲88(図6参照)に設けられた第1リブ74の一部を除いて、第2部材72の上面よりも低位置である。以上より、複数の第1リブ74は、第1部材71の直上の直線路67を搬送される記録用紙を支持可能である。
【0064】
図5に示されるように、第1リブ74の各々は、第1部材71の下面よりも下側まで突出されている。換言すると、第1リブ74の各々の下端は、第1部材71の下面よりも低位置である。
【0065】
なお、図4〜図6及び図8に示されるように、本実施形態においては、第1リブ74は、複数の間隔73の一部に設けられているが、第1リブ74は、全ての間隔73に設けられていてもよい。また、本実施形態においては、第1リブ74は、各間隔73に一つ設けられているが、各間隔73に複数設けられていてもよい。
【0066】
また、本実施形態においては、上述したように、第1リブ74は、前後端を第2部材72と一体に形成されている。しかし、第1リブ74は、前端または後端の一方において、後側部材83または前側部材84と一体に形成されていてもよい。
【0067】
[第1範囲87及び第2範囲88]
図4及び図6に示されるように、第1部材71は、左右方向9の少なくとも一部分において、他の部分よりも後方まで延設されている。詳細には、図6に示されるように、本実施形態における第1部材71は、左右方向9の両端部の第3範囲30、及び左右方向9の中央部と両端部との間の第4範囲31において、後端93よりも後方の最後端91まで延設されている。一方、第1部材71は、左右方向9における第3範囲30及び第4範囲31以外の第5範囲32において、後端93まで延設されている。
【0068】
つまり、第1部材71は、前後方向8の第1範囲87において、左右方向9の全ての範囲(第3範囲30、第4範囲31、及び第5範囲32)に亘って形成されている。一方、第1部材71は、前後方向8の第2範囲88において、左右方向9の一部の範囲(第3範囲30及び第4範囲31)のみに亘って形成されている。ここで、上述したように、第1部材71の最後端91及び後端93と、後側部材83の前端とは、一体に形成されている。これにより、前後方向8の第2範囲88において第1部材71が形成されていない左右方向9の範囲、つまり第5範囲32において、第2部材72が形成されている。
【0069】
以上より、プラテン42が右端から左向きに視認された場合または左端から右向きに視認された場合、第1部材71は、前後方向8の第2範囲88において、後側部材83と重畳するように形成されている。そして、第2範囲88において第1部材71が後側部材83と重畳する左右方向9の範囲は、第3範囲30及び第4範囲31である。つまり、第1部材71は、左右方向9の少なくとも一部(第3範囲30及び第4範囲31)において、後側部材83及び第2リブ86と重畳するように形成されている。
【0070】
また、第4範囲31において、3つの第1部材71が、最後端91まで延設されている。このため、3つの第1部材71の間に形成された間隔73、及び当該間隔73の間に形成された第1リブ102、103、104、105も、最後端91まで延設されている。よって、プラテン42が右端から左向きに視認された場合または左端から右向きに視認された場合、第1部材71と同様に、間隔73及び第1リブ74の少なくとも一つ(本実施形態では第1リブ102、103、104、105)は、前後方向8の第2範囲88において、後側部材83と重畳するように形成されている。この際、間隔73及び第1リブ102、103、104、105は、左右方向9の少なくとも一部(第4範囲31)において、後側部材83及び第2リブ86と重畳するように形成されている。
【0071】
換言すると、第1リブ74のうち少なくとも一つは、左右方向9に、第2部材72が位置するように形成されている。
【0072】
また、図4及び図7(A)に示されるように、第2範囲88において、第1リブ74の少なくとも一つ(本実施形態では第1リブ102、105)の上端は、第2リブ86の上端と同等の高さである。これにより、図6に示されるように、第1範囲87においては、複数の第1リブ74(本実施形態では第1リブ101〜106)が、直上の直線路67を搬送される記録用紙を支持可能である。一方、第2範囲88においては、第2リブ86及び第2リブ86と同等の高さの第1リブ74(本実施形態では第1リブ102、105)が、直上の直線路67を搬送される記録用紙を支持可能である。
【0073】
なお、第2リブ86が設けられていない構成の場合、第2範囲88において、第1リブ74の少なくとも一部(本実施形態では第1リブ102、105)の上端は、第2部材72の上面と同等の高さである。これにより、第1範囲87においては、複数の第1リブ74(本実施形態では第1リブ101〜106)が、直上の直線路67を搬送される記録用紙を支持可能である。一方、第2範囲88においては、第2部材72の上面及び第2リブ86と同等の高さの第1リブ74(本実施形態では第1リブ102、105)が、直上の直線路67を搬送される記録用紙を支持可能である。
【0074】
[凹部34]
上述したように、第1リブ74は、第2範囲88(図6参照)において、第2部材72及び第2リブ86と重畳する部分を有している。そして、図4及び図6に示されるように、上記重畳する部分を有する第1リブ74の少なくとも一つの上端には、第2部材72との境界部に凹部34(本発明の凹部の一例)が形成されている。本実施形態において、凹部34は、第2範囲88において後側部材83及び第2リブ86と重畳する第1リブ102、103、104、105のうちの第1リブ103、104の上端に形成されている。
【0075】
換言すると、凹部34は、左右方向9に第2部材72が位置する部分を有する第1リブ103、104の上端の第2部材72との境界部に形成されている。
【0076】
凹部34は、第1リブ103、104の後端の上面を下向きに切り欠くことによって形成されている。これにより、凹部34は、図4における拡大図に示されるように、2つの側面(前側面107及び後側面108)及び1つの底面109(本発明の底面の一例)で区画される。ここで、前側面107は、第1リブ103、104を切り欠くことによって形成された面である。また、後側面108は、後側部材83の前端を構成する側面である。
【0077】
凹部34の深さ、つまり、凹部34の上下方向7の長さは、第1リブ103、104の上端と第1部材71の上面との間の長さよりも長い。つまり、凹部34の底面109は、第1部材71の上面よりも低い位置である。
【0078】
また、上述したように、第1リブ74の各々の上端は、第2リブ86の上端と同じ高さまたは第2リブ86の上端よりも低位置である。よって、凹部34の底面109は、第2リブ86の上端よりも低位置である。また、上述したように、第2リブ86が設けられていない構成においては、第1リブ74の各々の上端は、第2部材72の上面と同じ高さまたは第2部材72の上面よりも低位置である。よって、凹部34の底面109は、第2部材72の上面よりも低位置である。
【0079】
なお、本実施形態において、凹部34は、第1リブ103、104に形成されている。しかし、凹部34は、上記重畳する部分を有する第1リブ74であれば、第1リブ103、104以外に形成されていてもよい。例えば、凹部34は、第1リブ102、105に形成されていてもよい。
【0080】
また、本実施形態において、第1リブ74は、第2部材72のうちの後側部材83と重畳する部分を有してあり、凹部34は、後側部材83との境界部に形成されている。しかし、第1リブ74が前側部材84と重畳する部分を有している場合、凹部34は、前側部材84との境界部に形成されていてもよい。
【0081】
図7(B)に示されるように、後側部材83との境界部に形成されている凹部34は、前後方向8において、上述したノズル領域の後端39Aよりも後方に形成される。また、凹部34が前側部材84との境界部に形成されている場合、凹部34は、前後方向8において、ノズル領域の前端よりも前方に形成される。これにより、凹部34の前後方向8の位置は、キャリッジ40の左右方向9の位置にかかわらず、ノズル領域の外側である。つまり、凹部34の前後方向8及び左右方向9の位置は、ノズル領域の外側である。換言すると、凹部34は、第1リブ74が設けられている領域であって、ノズル領域と対向する領域の外側に形成されている。なお、後側部材83との境界部に形成されている凹部34は、前後方向8において、上述したノズル領域の後端39Aと同位置または後端39Aよりも前方に形成されていてもよい。また、凹部34が前側部材84との境界部に形成されている場合、凹部34は、前後方向8において、ノズル領域の前端と同位置または前端よりも後方に形成されていてもよい。
【0082】
[実施形態の効果]
上述の実施形態によれば、第1リブ74と第2部材72との境界部付近に着弾したインクは、凹部34に溜まる。これにより、当該インクが毛細管現象によって凹部34から第2部材72に到達するまでに必要な上昇の距離が長くなる。よって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブ74から第2部材72や第2リブ86に移動する可能性を低くすることができる。したがって、インクジェット記録方式で記録用紙に縁なし印刷を実行しても、記録用紙の裏面がインクで汚れる可能性を低くすることができる。また、本来、インクが付着しない第2部材72が、インクによって汚れる可能性を低くすることができる。
【0083】
第1リブ74に凹部34が形成されている場合、記録用紙の先端が凹部34に入り込むおそれがある。しかし、本実施形態において、凹部34は、左右方向9に第2部材72が位置する部分を有する第1リブ74の上端の第2部材72との境界部に形成されている。これにより、記録用紙は、凹部34が形成されている位置において、第2リブ86によって支持される。よって、記録用紙の先端が凹部34に入り込むことが防止可能である。
【0084】
第1リブ74は、第1部材71の上面を含む所定領域に形成されている。よって、ノズル39から吐出されたインク滴は、第1リブ74に付着するおそれがある。しかし、本実施形態によれば、記録用紙が第2リブ86によって支持されている場合、記録用紙が第1リブ74によって支持されることはない。つまり、本実施形態においては、記録用紙が第1リブ74によって支持される状況が少なくなる。よって、第1リブ74に付着したインクが、記録用紙の裏面に付着する可能性を低くすることができる。
【0085】
縁なし印刷が繰り返し実行された場合、第1部材71の上面に付着したインクの総量が多くなる。すると、インクは、毛細管現象によって、第1部材71の上面から第1リブ74の壁面に沿って第1リブ74の頂上まで上昇するおそれがある。当該上昇が発生すると、次に搬送されてきて、第1リブ74に支持された記録用紙の裏面にインクが付着して、記録用紙が汚れてしまう。しかし、上述の実施形態によれば、第1リブ74が、第1部材71間の間隔73に形成されているため、第1部材71と隔てられている。よって、縁なし印刷が繰り返し実行され、第1部材71の上面に着弾したインクの総量が多くなっても、インクが第1リブ74に伝わることが防止できる。したがって、インクが、毛細管現象によって、第1リブ74の頂上まで伝わることが防止できる。
【0086】
また、上述の実施形態によれば、第1リブ74の位置を第2部材72によって固定させることができる。したがって、精度が要求される第1リブ74の高さ位置を正確に固定できる。
【0087】
また、上述の実施形態によれば、凹部34が第1部材71の上面よりも深く形成されるため、凹部34に溜まったインクが第2部材72に到達するまでに必要な上昇の距離を、更に長くすることができる。
【0088】
また、上述の実施形態によれば、第1リブ74が第1部材71の下面よりも下側に突出しているため、第1リブ74において、凹部34がより深く形成可能である。よって、凹部34に溜まったインクが第2部材72に到達するまでに必要な上昇の距離を、更に長くすることができる。また、第1リブ74と第2部材72との境界部の面積を大きくすることができる。これにより、当該境界部の取付強度を強くすることができる。
【0089】
また、上述の実施形態によれば、凹部34がノズル領域と対向する領域の外側に形成されているため、インクが凹部34に直接着弾されることがない。よって、当該インクが、凹部34に溜まりにくい。したがって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブ74から第2部材72や第2リブ86に移動する可能性を低くすることができる。
【0090】
[実施形態の変形例1]
凹部34の底面109には、撥水処理が施されていてもよい。例えば、底面109が、フッ素などの撥水性の高い物質でコーティングされていてもよい。別の例として、底面109に細かな凹凸が設けられていてもよい。上記の2つの例が組み合わされてもよい。つまり、細かな凹凸が設けられた底面109が、フッ素などによってコーティングされていてもよい。
【0091】
変形例1によれば、インクが、凹部34の底面109に付着し難くなる。よって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブ74から第2部材72や第2リブ86に移動する可能性を低くすることができる。
【0092】
[実施形態の変形例2]
凹部34の底面109は、左右方向9の中央部が左右方向9の両端部よりも高くなるように傾斜した少なくとも一つの傾斜面(本発明の傾斜面の一例)で構成されていてもよい。
【0093】
第1例として、図9(A)に示されるように、本発明の傾斜面としての底面109は、左右方向9の中央部から両端部に向かって湾曲しながら下方へ傾斜していてもよい。
【0094】
第2例として、図9(B)に示されるように、底面109は、左右方向9の中央部で尖った形状でもよい。つまり、底面109は、左右方向9の中央部の先端112から右斜め下に向かう第1傾斜面110(本発明の傾斜面の一例)と、先端112から左斜め下に向かう第2傾斜面111(本発明の傾斜面の一例)とで構成されていてもよい。
【0095】
第3例として、図9(C)、(D)に示されるように、本発明の傾斜面としての底面109は、球面で構成されていてもよい。
【0096】
変形例2によれば、インクが、傾斜に沿って、凹部34の底面109から第1リブ74の両端へ導かれやすい。よって、当該インクが、毛細管現象によって、第1リブ74から第2部材72や第2リブ86に移動する可能性を低くすることができる。
【0097】
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態においては、図6に示されるように、第1部材71は所定の間隔73をあけて複数配置されており、第1リブ74は間隔73に設けられている構成について説明した。しかし、図10に示されるように、第1部材71は所定の間隔73をあけることなく単体で配置されており、第1リブ74は第1部材71の上面から立設されていてもよい。図10に示される構成の場合においても、図6に示される構成の場合と同様に、第1リブ74は、第2部材72及び第2リブ86と重畳する部分を有している。そして、上記重畳する部分を有する第1リブ74の少なくとも一つの上端には、第2部材72との境界部に凹部34が形成されている。
【符号の説明】
【0098】
10・・・複合機
38・・・記録ヘッド
39・・・ノズル
40・・・キャリッジ
42・・・プラテン
71・・・第1部材
72・・・第2部材
73・・・間隔
74・・・第1リブ
86・・・第2リブ
109・・・底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドの下側に上記記録ヘッドと対向して配置され、搬送向きに搬送される被記録媒体を支持するプラテンであって、
上記ノズルから吐出されたインクが着弾可能な被着弾面が形成された第1部材と、
上記被着弾面を含む所定領域において上記搬送向きに沿って延設され、上記被着弾面よりも上側まで突出されて被記録媒体を支持可能な複数の第1リブと、
上記第1部材よりも上記搬送向きの上流側または下流側の少なくとも一方に設けられており、被記録媒体を支持可能な第2部材と、を備え、
上記第1リブのうち少なくとも一つの上端には、上記第2部材との境界部にその底面が上記第2部材の上面よりも低い凹部が形成されているプラテン。
【請求項2】
上記第1リブのうち少なくとも一つは、上記搬送向きに直交し且つ上記被着弾面に沿った幅方向に、上記第2部材が位置するように形成されており、
上記凹部は、上記幅方向に上記第2部材が位置する部分を有する上記第1リブの上端の上記第2部材との境界部に形成されている請求項1に記載のプラテン。
【請求項3】
上記第1リブの上端は、上記第2部材の上端よりも低い請求項1または2に記載のプラテン。
【請求項4】
上記第1部材は、上記幅方向に間隔をあけて複数配置され、
上記第1リブは、上記間隔に上記第1部材と上記幅方向に隔てられている請求項1から3のいずれかに記載のプラテン。
【請求項5】
上記第1リブは、上記第2部材と一体に形成されている請求項1から4のいずれかに記載のプラテン。
【請求項6】
上記凹部の底面は、上記被着弾面よりも低い位置である請求項1から5のいずれかに記載のプラテン。
【請求項7】
上記第1リブは、上記第1部材の下面よりも下側に突出している請求項1から6のいずれかに記載のプラテン。
【請求項8】
上記凹部の底面には、撥水処理が施されている請求項1から7のいずれかに記載のプラテン。
【請求項9】
上記凹部の底面は、上記幅方向の中央部が上記幅方向の両端部よりも高くなるように傾斜した少なくとも一つの傾斜面で構成される請求項1から8のいずれかに記載のプラテン。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のプラテンと、
上記プラテンの上側に上記プラテンと所定間隔を空けて対向して配置されており、上記幅方向に沿って往復動可能な可動部と、
上記可動部に設けられており、上記プラテンに向けてインク滴を吐出可能なノズルを有する記録ヘッドと、を備えている画像記録装置。
【請求項11】
上記凹部は、上記記録ヘッドに上記ノズルが配置された領域と対向する領域の外側に形成されている請求項10に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−116052(P2012−116052A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266619(P2010−266619)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】