説明

プラノプロフェン含有医薬製剤

【課題】プラノプロフェンの安定性を向上する。
【解決手段】プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された容器に収容されていることを特徴とする医薬製剤の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラノプロフェン又はその塩の安定性が改善された医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プラノプロフェンは、優れた抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を持つ、安全性の高いプロピオン酸系の酸性非ステロイド系抗炎症剤として知られており、点眼剤や錠剤、カプセル剤、シロップ剤等の内服剤などの形態で広く使用されているが、光に晒されると経時的に分解するため遮光保存する必要がある。特に、水の存在下では著しく不安定になる上、不溶物が生じやすく、長期間保存すると溶液の澄明性が損なわれ、外観が悪化してしまうという問題点もある。
【0003】
このため、プラノプロフェンを安定化させた水性組成物が種々検討され、例えば炭酸塩(特許文献1)、有機アミン(特許文献2)、抗酸化剤(特許文献3)、プロピレングリコール(特許文献4)等の成分を配合することが報告されているが、満足できるほど十分なプラノプロフェンの光安定化効果、あるいは組成物の澄明性の保持は達成されていない。
【0004】
【特許文献1】特開平5−186349号公報
【特許文献2】特開平8−291065号公報
【特許文献3】特開平7−304670号公報
【特許文献4】特開平10−236951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、プラノプロフェン又はその塩の光による分解を抑制することができる医薬製剤を提供することである。さらに、長期間保存しても沈殿物や不溶物が生じることがなく澄明性を保持できる医薬製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物を、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された容器に収容することによって医薬製剤を安定に保持することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は下記(1)〜(7)に掲げるものである。
(1)プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された容器に収容されていることを特徴とする医薬製剤、
(2)プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、ポリエチレンテレフタレート樹脂とを含んで構成された容器に収容されていることを特徴とする(1)に記載の医薬製剤、
(3)プラノプロフェン又はその塩、及び安定剤を含有する水性組成物である(1)又は(2)に記載の医薬製剤、
(4)安定剤を、0.0001〜1.0w/v%で含有する(3)に記載の医薬製剤、
(5)安定剤が、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、ジブチルヒドロキシトルエンからなる群から選択される少なくとも一種である(3)又は(4)に記載の医薬製剤、
(6)340nm〜365nmの平均吸光度が1.8以上、340nm〜380nmの平均吸光度が1.0以上、かつ450〜780nmの平均吸光度が0.6以下である容器である(1)乃至(5)のいずれかに記載の医薬製剤、
(7)プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物を、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された容器に収容することを特徴とする、プラノプロフェン又はその塩を安定化する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物をポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された容器に収容することで、プラノプロフェンを光に対して顕著に安定化することができる。さらに、沈殿物や不溶物が生成することなく、澄明な状態を保持することができるため、外観を長期間に亘って良好な状態に維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書中、特に言及しない限り、%はw/v%を意味するものとする。また、コンタクトレンズという語句は、特記しない限り、ハード、酸素透過性ハード、ソフト等のあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する意味で用いる。
また、本明細書中、「塩」とは薬理学的に又は生理学的に許容される塩を意味する。
さらに、本明細書中、水性組成物とは、組成物中に水を少なくとも5重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%、特に好ましくは90重量%以上含有するものを意味する。
【0010】
本発明は、プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)樹脂から構成された容器に収容されていることを特徴とする。
【0011】
本発明において容器とは、主としてプラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物を直接収容する容器(一次容器)を意味するが、水性組成物を収容した一次容器を更に収容する容器(二次容器)をも含む。また、容器は、容器本体部に蓋部や抽出口部が付随されていることもある。
【0012】
本発明において、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むPET樹脂は、PETに対して、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を共有結合等の化学結合等によって含むPET樹脂でもよく、PETに、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を混合してポリマーアロイやポリマーブレンドする等して含むPET樹脂でもよい。また、PETに、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を適宜、添加したり、コーティングしたり、シュリンクフィルムやラベルにして装着したり、多層容器として含むPET樹脂でもよい。さらに、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むPET樹脂と、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むPET樹脂とを、適宜組み合わせてもよい。
【0013】
本発明のポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むPET樹脂から構成された容器とは、当該特定のPET樹脂のみから形成されていてもよく、また、当該特定のPET樹脂のほかにも通常プラスチック製容器を成形するのに用いられるポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂など)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体など)、セルロースアセテート類などの樹脂をさらに含んで構成された容器でもよい。
【0014】
なかでも、本発明の容器においては、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むPET樹脂とともに、PET樹脂を併用した構成の容器とするのが、成形性や強度、透湿性の観点から好ましい。この場合には、例えば容器本体部全体に対して、PET樹脂が、通常50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上となるように用いるのが好ましい。本発明の容器にベンゾトリアゾール系化合物を含有するPET樹脂を用いる場合には、例えば容器本体部全体に対して0.01〜1.0重量%となるように含有するのが好ましく、0.03〜0.5重量%がより好ましく、0.05〜0.3重量%が特に好ましい。
【0015】
本発明の容器を、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート又はポリアリレートを含むPET樹脂から構成する場合には、例えば、ポリアリレート又はポリエチレンナフタレートであれば、容器本体部全体に対して0.5〜50重量%となるように含有することが好ましく、1.0%〜30重量%がより好ましく、3.0〜20重量%が特に好ましい。例えば、ポリイミドであれば、容器本体部全体に対して0.01〜20重量%となるように含有することが好ましく、0.05〜10重量%となるように含有することがより好ましく、0.05〜5重量%であることが特に好ましい。
【0016】
ここで、本発明において用いられるベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2-(2'-hydroxy-3'-tert-butyl-5'-methylphenol)-5- chlorobenzotriazole(商品名、「チヌビン(登録商標)326」 長瀬産業株式会社)などが例示される。その他にも、例えば、商品名チヌビン(R)328、チヌビン(R)384-2、チヌビン(R)400、チヌビン(R)400-2、チヌビン(R)900、チヌビン(R)928、チヌビン(R)1130、5-chloro-2-(3,5-di-tert-butyl-2-hydroxyphenyl)-2H-benzotriazole(商品名「SEESORB702」 シプロ化成株式会社)、2-(3,5-di-tert-butyl-2-hydroxyphenyl)-2H-benzotiazole(商品名「SEESORB705」 シプロ化成株式会社)等のベンゾトリアゾール系化合物の市販品を利用できる。本発明の容器にベンゾトリアゾール系化合物を含むPET樹脂を用いる場合には、例えば容器本体部全体に対して0.01〜1.0重量%となるように含有するのが好ましく、0.03〜0.5重量%がより好ましく、0.05〜0.3重量%が特に好ましい。
【0017】
ここで、本発明において用いられるベンゾフェノン系化合物としては、オキシベンゾン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが例示できる。これらの化合物も、例えば、2,4-dihydroxybenzophenone(商品名「SEESORB100」 シプロ化成株式会社)、4-dodecyloxy-2-hydroxybenzophenone(商品名「SEESORB103」 シプロ化成株式会社)、2,2'4,4'-tetrahydroxybenzophenone(商品名「SEESORB106」 シプロ化成株式会社)などの市販品を利用できる。本発明の容器にベンゾフェノン系化合物を含むPET樹脂を用いる場合には、例えば容器本体部全体に対して0.01〜1.0重量%となるように含有するのが好ましく、0.03〜0.5重量%がより好ましく、0.05〜0.3重量%が特に好ましい。
【0018】
本発明の容器は、水性組成物中の異物試験または残存容量を確認等するため、450nm〜780nmの平均吸光度が、好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.4以下、さらに特に好ましくは0.2以下であるとよい。ここで、450nm〜780nmの平均吸光度が0.6以下である容器とは、450nm〜780nmの間を5nm毎に、すなわち 450nm、455nm、460 nm…・770nm、775nm、780nmの各波長における光透過率(%)の平均光透過率(%)を基に、平均吸光度=−log(平均光透過率/100)の式から算出される平均吸光度が0.6以下である容器である。光透過率(%)は、例えばプラスチックの光学的特性試験方法(JIS7105)に従い、市販の測定装置を用いて測定することができる。
【0019】
本発明の容器は、プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物を収容する容器が、340nm〜365nmの平均吸光度が1.8以上であり、好ましくは2.0以上であり、より好ましくは2.4以上である。また、プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物が、340nm〜365nmの平均吸光度が1.8以上であり、かつ340nm〜380nmの平均吸光度が1.0以上容器に収容されていることによって、より安定性が向上する。さらに、プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物が、340nm〜365nmの平均吸光度が1.8以上であり、かつ340nm〜380nmの平均吸光度が2.0以上容器に収容されていることによって、さらに安定性が向上する。なお、340nm〜365nmの平均吸光度又は340nm〜380nmの平均吸光度は、上記した450nm〜780nmの平均吸光度と同様にして、5nm毎の各波長の平均光透過率(%)から算出することができる。
【0020】
本発明の容器は、さらに他の紫外線遮断剤を添加またはコーティングされた容器であっても良い。例えば、樹脂に紫外線遮断剤を添加した後に成形した容器、または樹脂をシート状に加工してから紫外線遮断剤をコーティングしその後成型した容器、さらには、樹脂を最終容器形状に成型した後に紫外線遮断剤をコーティングした容器などが挙げられる。また、紫外線遮断剤を添加またはコーティングされたシート状樹脂を、成型後の容器にシュリンクやラベル包装等をしてもよい。
【0021】
紫外線遮断剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、トリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、置換アクリロニトリル系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、ニッケル錯体系化合物;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、シノキサート、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ケイ皮酸ベンジル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル等の安息香酸エステル系紫外線吸収剤;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、グアイアズレン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン、パラヒドロキシアニソール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸ヘキシルなどが挙げられる。また、リボフラビン、アントラキノン系色素(1−アミノ−4−メチルアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、アントラキノン系イエローなど)、フタロシアニン系色素(フタロシアニンブルー(C.I. Pigment Blue 15;C.I. 74160;青色404号)、フタロシアニングリーン(C.I. Pigment Green 7)など)などが挙げられる。
【0022】
好ましくは酸化亜鉛、酸化チタン、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸ヘキシル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルが挙げられ、特に好ましくは酸化亜鉛、酸化チタンである。酸化亜鉛、酸化チタンはさらにシリカ、シリコン、ケイ酸亜鉛などで被覆されていてもよい。
【0023】
本発明の水性組成物に含有されるプラノプロフェン、即ちα−メチル−5H−[1]ベンゾピラノ[2,3-b]ピリジン−7−酢酸は公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
【0024】
プラノプロフェンの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。このような塩としては、例えば、無機塩基との塩[例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等]や、有機塩基との塩[例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機塩基との塩]などが挙げられる。また、プラノプロフェン又はその塩は、水和物の形態でも使用できる。これらのプラノプロフェン及びその塩は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。好ましくはプラノプロフェンである。
【0025】
本発明の水性組成物において、含有するプラノプロフェン又はその塩の割合は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、例えば、0.0001〜2w/v%、好ましくは0.0005〜0.2w/v%、特に好ましくは0.001〜0.1w/v%程度である。具体的には、点眼剤の場合は、0.01〜0.1w/v%、好ましくは0.01〜0.05w/v%程度、洗眼剤の場合は、0.001〜0.01w/v%、好ましくは0.001〜0.005w/v%である。
【0026】
本発明の水性組成物には、さらに非イオン性界面活性剤を配合することができる。かかる非イオン性界面活性剤は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。例えば、ポリオキシエチレン(POE)−ポリオキシプロピレン(POP)ブロックコポリマー(例えば、ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188 など);エチレンジアミンのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー付加物(例えば、ポロキサミン);モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、ポリソルベート60等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE(60)硬化ヒマシ油等のPOE硬化ヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類等が挙げられる。これらの中で、好ましくはポロクサマー407、ポリソルベート80、POE(60)硬化ヒマシ油、特に好ましくはポリソルベート80である。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0027】
本発明の水性組成物において、含有する非イオン性界面活性剤の割合は、例えば0.001〜2w/v%、好ましくは0.01〜2w/v%、さらに好ましくは0.05〜1w/v%、特に好ましくは0.15〜0.5w/v%が例示される。
【0028】
本発明の水性組成物には、本発明の水性組成物の安定性を増強又は補足する目的で、さらに安定剤を含有することができる。本発明に適する安定剤として、ジブチルヒドロキシトルエン、カフェイン、トコフェロール等の抗酸化剤や、エチレンジアミン四酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、フィチン酸、ポリリン酸、メタリン酸、コハク酸等のキレート剤が挙げられる。これらの安定剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。また、これら成分は塩であってもよい。例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの2水和物(以下、エデト酸ナトリウムともいう)が例示できる。これらの中で、好ましくはエチレンジアミン四酢酸、クエン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、カフェイン、トコフェロール又はそれらの塩、特に好ましくはエチレンジアミン四酢酸又はその塩、ジブチルヒドロキシトルエンである。
【0029】
本発明の水性組成物に安定剤を含有する場合、その割合は好ましくは0.0001〜1.0w/v%、より好ましくは0.001〜0.5w/v%、更に好ましくは0.001〜0.1w/v%である。より具体的に、キレート剤の場合、0.0005〜0.5w/v%、好ましくは0.001〜0.2w/v%、更に好ましくは0.004〜0.1w/v%、特に好ましくは0.01〜0.05w/v%が例示される。より具体的に、抗酸化剤の場合、0.0001〜1.0w/v%、好ましくは0.001〜0.5w/v%、更に好ましくは0.004〜0.1w/v%が例示される。
【0030】
本発明の水性組成物には、さらに防腐剤、緩衝剤、pH調整剤等を配合することができる。
【0031】
防腐剤としては、ソルビン酸又はその塩、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニドなど)、グローキル(ローディア社製 商品名)等が挙げられる。これらの中で、好ましくはソルビン酸又はその塩、塩化ベンザルコニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、特に好ましくはソルビン酸又はその塩である。
これらの防腐剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本発明の水性組成物において、配合する防腐剤の割合は、例えば、0.001〜2w/v%、好ましくは0.005〜0.5w/v%、更に好ましくは0.005〜0.3w/v%、特に好ましくは0.01〜0.2w/v%が例示される。
【0033】
緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩などが挙げられる。これらの中で、好ましくはホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤であり、特に好ましくはホウ酸緩衝剤である。
ホウ酸緩衝剤の具体例として、ホウ酸及びその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)が例示され、特に、ホウ酸、ホウ砂が好ましい。
リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤の具体例として、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂 、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどが例示される。
【0034】
本発明の水性組成物において、配合する緩衝剤の割合は、使用する緩衝剤の種類や期待される効果等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、0.01〜10w/v%、好ましくは0.1〜5w/v%、更に好ましくは0.3〜3w/v%、特に好ましくは0.5〜2.5w/v%が例示される。
【0035】
pH調整剤としては、塩酸、ホウ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられる。これらの中で、特に好ましくは塩酸、水酸化ナトリウムである。
【0036】
本発明の水性組成物において、適切なpHは水性組成物の適用部位、剤形等により異なるが、通常4.0〜9.0、好ましくは4.5〜8.5、更に好ましくは5.0〜8.2、特に好ましくは6.0〜8.0程度である。これらの範囲内から著しく逸脱すると、プラノプロフェンまたはその塩の化学的安定性が低下する可能性があり、また生体に許容されないため、好ましくない。
pH調整は、前記緩衝剤、pH調整剤等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
【0037】
本発明の水性組成物は、必要に応じて、浸透圧比を生体に許容される範囲内に調整することができる。適切な浸透圧比は、水性組成物の適用部位、剤形等により異なるが、通常0.3〜4.2、好ましくは0.3〜2.1、さらに好ましくは0.5〜1.8、特に好ましくは0.8〜1.5程度である。浸透圧の調整は無機塩及び多価アルコール、糖アルコール、糖類などを用いて当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
【0038】
浸透圧比は、第十四改正日本薬局方に基づき0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を用いて測定する。また、試験試料の測定と相前後して浸透圧比測定用標準液の浸透圧を測定し、このときに得られた実測値を用いて浸透圧比を算出する。浸透圧比測定用標準液は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
【0039】
本発明の水性組成物は、特定の形態に限定されず、液剤、半固形剤(軟膏剤)等を例示でき、特に好ましくは液剤である。これらの製剤は常法により調製して得られ、その際、上述の成分に加えてその製剤に応じた慣用の添加剤を使用することができる。
【0040】
液剤としては、均一溶液であっても懸濁液であっても、混合又は溶解して使用する組成物であっても良い。具体的には、点眼剤(液)[但し、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤(液)を含む]、洗眼剤(液)[但し、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤(液)を含む]、点鼻剤(液)、洗鼻剤(液)、コンタクトレンズ用剤[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用剤(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等]、シロップ剤、ドリンク剤等を挙げることができる。これらの中で、好ましくは、点眼剤(液)、洗眼剤(液)、シロップ剤、ドリンク剤であり、更に好ましくは点眼剤(液)、洗眼剤(液)である。
前記コンタクトレンズ用剤は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに適用できるが、特に酸素透過性のハードコンタクトレンズ又はソフトコンタクトレンズに適用することが好ましい。
【0041】
本発明の水性組成物は、上記成分の他に、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて含有することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、充血除去成分、眼調節薬成分、抗炎症薬成分または収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分、殺菌薬成分、糖類、ガム質、多糖類などの高分子化合物、セルロース又はその誘導体又はそれらの塩、局所麻酔薬成分、ステロイド成分、緑内障治療成分、白内障治療成分、解熱鎮痛薬成分、鎮静催眠薬成分、鎮咳薬成分、気管支拡張薬成分または交感神経興奮薬成分、去痰薬成分、生薬成分などが例示できる。本発明において好適な成分としては、例えば、次のような成分が挙げられる。
【0042】
充血除去成分:例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的にはエピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリン、硝酸ナファゾリンなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0043】
眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピンなど。
【0044】
抗炎症薬成分または収斂薬成分:例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、インドメタシン、塩化リゾチーム、硝酸銀、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ピロキシカムなど。
【0045】
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラスト、タザノラスト、トラニラスト、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸レボカバスチン、フマル酸ケトチフェン、クロモグリク酸ナトリウム、ペミロラストカリウム、マレイン酸クロルフェニラミン、イプロヘプチン、イソチペンジル、ジフェテロール、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、トリペレナミン、トンジルアミン、プロメタジン、メトジラジン、カルビノキサミン、アリメマジン、プロメタジン、メブヒドロリン、フェネタジン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、セチリジン、オロパタジン、フマル酸エメダスチン、フマル酸クレマスチン、塩酸アゼラスチンなど。
【0046】
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、シアノコバラミン、メコバラミン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、アスコルビン酸、酢酸トコフェロールなど。
【0047】
アミノ酸類:例えば、グルタミン酸、クレアチニン、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物、グルタミン酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸、イプシロンアミノカプロン酸など。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0048】
抗菌薬成分または殺菌薬成分:例えば、硫酸アミノデオキシカナマイシン、硫酸カナマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸ストレプトマイシン、トブラマイシン、硫酸ミクロノマイシン、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロラムフェニコール、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾールジエタノールアミン、スルフイソキサゾールモノエタノールアミン、スルフイソメゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウム、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、スルベニシンナトリウム、塩酸セフメノキシム、ベンジルペニシリンカリウム、硫酸ベルベリン、塩化ベルベリン、コリスチンメタスルホン酸ナトリウム、エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、キタサマイシン、スピラマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸ポリミキシン、ジベカシン、アミカシン、硫酸アミカシン、アシクロビル、イオドデオキシサイチジン、イドクスウリジン、シクロサイチジン、シトシンアラビノシド、トリフルオロチミジン、ブロモデオキシウリジン、ポリビニルアルコールヨウ素、ヨウ素、アムホテリシンB、イソコナゾール、エコナゾール、クロトリマゾール、ナイスタチン、ピマリシン、フルオロシトシン、ミコナゾールなど。
【0049】
糖類:例えばグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、アロース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、スクロース、セロビオース、グルコビオース、ビシアノース、ルチノース、ラクトース、プルラン、ラクツロース、ラフィノース、マルチトール、スタキオースなど。
ガム質、多糖類などの高分子化合物:例えば、アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、キャロブガム、グアーガム、グアヤク脂、クインスシード、ダルマンガム、トラガント、ベンゾインゴム、ローカストビーンガム、カゼイン、寒天、アルギン酸、デキストリン、デキストラン、ガラギーナン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、ポリガラクツロン酸、キチンおよびその誘導体、キトサンおよびその誘導体、エラスチン、ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、セラミド、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン、リボ核酸、デオキシリボ核酸など、およびその薬学上許容される塩類など。
セルロース又はその誘導体又はそれらの塩:例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロースなど。
【0050】
局所麻酔薬成分:例えば、塩酸オキシブプロカイン、塩酸コカイン、塩酸コルネカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、塩酸ピペロカイン、塩酸プロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸ヘキソチオカイン、塩酸リドカインなど。
【0051】
ステロイド成分:例えば、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロキシメステロン(hydroxymesterone)、カプロン酸ヒドロコルチゾン、カプロン酸プレドニゾロン、酢酸コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、デキサメタゾンメタスルホベンゾエートナトリウム、デキサメタゾン硫酸ナトリウム、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム、メチルプレドニゾロンなど。
【0052】
緑内障治療成分:例えば、イソプロピルウノプロストン、エピネフリン、塩酸アプラクロニジン、塩酸カルテオロール、塩酸ジピベフリン、塩酸ドルゾラミド、塩酸ピロカルピン、塩酸ブナゾシン、塩酸ブプラノロール、塩酸ベタキソロール、塩酸ベフノロール、カルバコール、塩酸レボブノロール、ジピバル酸エピネフリン、臭化ジスチグミン、ニプラジロール、マレイン酸チモロール、ラタノプロストなど。
【0053】
白内障治療成分:例えば、グルタチオン、ピレノキシン、5,12−ジヒドロアザペンタセンジスルホン酸ナトリウム(Sodium5,12-dihydro azapentacene disulfonate)など。
【0054】
本発明の水性組成物に対して、これらの成分の配合量は、活性成分の種類などに応じて適宜選択され、例えば、組成物全体に対して0.0001〜30w/v%、好ましくは、0.001〜10w/v%程度の範囲から選択できる。
【0055】
また、本発明の水性組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、医薬品、医薬部外品などに使用される様々な成分や添加物を適宜選択し、併用して製剤化することが可能である。例えば、液剤などの調製に一般的に使用される担体(水、水性溶媒、水性または油性基剤など)、増粘剤、糖類、糖アルコール類、界面活性剤、等張化剤、香料または清涼化剤、溶解剤、基剤などの各種添加剤を挙げることができる。本発明において好適な成分としては、例えば、次のような成分が挙げられる。
【0056】
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなど。
【0057】
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリンなど。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0058】
界面活性剤:例えば、アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩(具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの陽イオン界面活性剤など。
【0059】
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、グリセリン、プロピレングリコールなど。
【0060】
香料又は清涼化剤:例えば、カンフル、ゲラニオール、ボルネオール、メントール、リュウノウ、ウイキョウ油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油など。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0061】
溶解剤、基剤:オクチルドデカノール、オリーブ油、ゴマ油、酸化チタン、臭化カリウム、ダイズ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パラフィン、ヒマシ油、プラスチベース、ラッカセイ油、ラノリン、ワセリンなど。
【0062】
本発明の水性組成物は、公知の方法により製造できる。例えば、点眼剤または洗眼剤では、蒸留水又は精製水及び添加剤を用いてプラノプロフェン又はその塩を溶解させ、所定の浸透圧及びpHに調整し、無菌環境下、ろ過滅菌処理して製造することができる。本発明の医薬製剤は、水性組成物を、必要に応じて洗浄又は/および滅菌した本発明の容器に充填する等して製造できる。
【0063】
本発明は、プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物を、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された容器に収容することによって、プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物を安定化する方法をも包含する。
【0064】
本発明の方法において、水性組成物や容器については、前記した医薬製剤で用いたものと同様である。本発明の光安定化方法において、発明の効果を奏する限り、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて含有してもよい。このような成分の種類は特に制限されないが、具体例については、前述の水性組成物と同様である。
【実施例】
【0065】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0066】
試験例1 光安定性試験
プラノプロフェン0.05g、ホウ酸1.8g、ホウ砂0.35g及び塩化ベンザルコニウム液50(日本薬局方)0.02g、エデト酸ナトリウム(日本薬局方)0.005gを精製水に溶解し、1M水酸化ナトリウム溶液でpHを7.5に調節して全量を100mLとして試験液1を調製した。また、プラノプロフェン0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.005g、ホウ酸1.8g、ホウ砂0.35g及び塩化ベンザルコニウム液50(日本薬局方)0.02g、エデト酸ナトリウム(日本薬局方)0.005gを精製水に溶解し、1M水酸化ナトリウム溶液でpHを7.5に調節して全量を100mLとして試験液2を調製した。試験液1又は2をプラスチック製の試験用点眼容器(容量16mL)に15mLずつ充填し、これらを試験サンプルとした(n=3)。
これらの試験液を充填した試験用容器を正置し、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、25℃の下、0.5万lxの光を240時間連続照射し、試験溶液を120万lx・hrの光に曝光した。
【0067】
光照射前と後の試験サンプル中のプラノプロフェン濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。測定した各試験サンプルのプラノプロフェン濃度から、下記式に従って、プラノプロフェンの残存率(%)を算出した。
残存率(%)=光照射後のプラノプロフェン濃度×100/光照射前のプラノプロフェン濃度
また、光照射後の各試験サンプルの性状(白濁の程度)を下記評価基準に従って、目視にて評価した。
<評価基準> +++:重度に白濁、++:やや白濁、+:僅かに白濁、−:白濁がなく、澄明
【0068】
また、試験に使用した容器の平均吸光度を算出するために、各プラスチック容器の側面の湾曲や角のないの部分(厚み1.2mm)を選んで2.0cm×2.0cmの断片を切り取り、これを検体として眼鏡レンズ分光透過率計TM−1(株式会社トプコン製)により各波長での光透過率(%)を測定し、340〜365nmにおける平均光透過率(%)及び340〜380nm及び450〜780nmにおける平均光透過率(%)を求めた。求めた平均光透過率から、次式により平均吸光度を算出した。
平均吸光度=−log(平均光透過率/100)
結果を表1に示す。なお、表1中の容器について記載された%は、重量%を示す。
【0069】
【表1】

【0070】
PET100%で構成された容器では、プラノプロフェンが分解し、安定化剤であるジブチルヒドロキシトルエンを含有した試験液2であってもなお、およそ1/4程度に分解した。また、白濁し澄明性が損なわれていた。
これに対して、ポリエチレンナフタレートを含有したPET樹脂から構成された容器、PETにポリイミドをグラフト重合して含有したPET樹脂とともにPET樹脂を組み合わせて構成された容器、トリアゾール系化合物を含有したPET樹脂から構成された容器においては、プラノプロフェンの分解を抑制することができ、白濁を抑えて性状の澄明性を維持していた。
【0071】
また、本発明の特定のPET樹脂から構成された容器について、340nm〜365nmの平均吸光度が1.8以上であることが好ましく、さらに、容器の340nm〜365nmの平均吸光度が1.8以上、かつ340nm〜380nmの平均吸光度が2.0以上容器がより好ましい。
【0072】
以下に製剤実施例を挙げる。各実施例は、浸透圧比が0.5〜2.0となるよう調製した。実施例1〜実施例5については、試験例1で用いたポリエチレンテレフタレート95重量%+ポリエチレンテレフタレート−ポリイミド重合樹脂5重量%の容器に充填し、実施例6〜10については、試験例1で用いたポリエチレンテレフタレート90重量%+ポリエチレンナフタレート10重量%の容器に充填し、実施例11、13については、試験例1で用いたポリエチレンテレフタレート99.9重量%+トリアゾール系化合物(商品名「チヌビン(登録商標)326」)0.1重量%の容器に充填し、実施例12については、試験例1で用いたポリエチレンテレフタレート95重量%+ポリエチレンテレフタレート−ポリイミド重合樹脂5重量%の容器に充填したところ、すべての実施例の医薬製剤において性状等安定性が保持されていた。
【0073】
【表2】

【0074】
【表3】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された容器に収容されていることを特徴とする医薬製剤。
【請求項2】
プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、ポリエチレンテレフタレート樹脂とを含んで構成された容器に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
プラノプロフェン又はその塩、及び安定剤を含有する水性組成物である請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
安定剤を0.0001〜1.0w/v%で含有する請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項5】
プラノプロフェン又はその塩を含有する水性組成物を、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された容器に収容することを特徴とする、プラノプロフェン又はその塩を安定化する方法。

【公開番号】特開2006−249054(P2006−249054A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96412(P2005−96412)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】