説明

プリズム装置の製造方法及びプリズム装置並びにプロジェクタ装置

【課題】プリズム装置の製造方法及びプリズム装置並びにプロジェクタ装置において、簡単な構成で光学収差を改善する。
【解決手段】プリズム15を治具23にセットし、プリズム16の縁16dに近い光入射面16aの2箇所の隅部に第1接着剤20を各々塗布し、縁16eに近い光入射面16aの2箇所の隅部に第2接着剤21を各々塗布する。光入射面16aをプリズム15の全反射面15b側に向け、プリズム16を、縁16d側からプリズム15と棒状支持部材28との間に挿入し、面16cをγ方向に一定の圧力で押圧する。第1,第2接着剤20,21の各粘度の差により、全反射面15bと光入射面16aとの間に形成される空気層17が薄い楔形状になる。出射・再入射面15cと光出射面16bとが互いに平行となるようにしてUVランプ30,31から紫外線を第1,第2接着剤20,21に照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明はプリズム装置の製造方法及びプリズム装置並びにプロジェクタ装置に関し、更に詳しくは2個のプリズムを楔形状の空間を空けて接合したプリズム装置の製造方法及びプリズム装置並びにプロジェクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学系において入射光をその入射角に応じて選択的に透過又は反射するための光学装置として、例えばプリズムが用いられているが、その内の一つとして内部全反射(TIR:Total Internal Reflection) プリズムが知られている。TIRプリズムは、2個の三角プリズム(以下、単にプリズムという)からなり、この互いに対面する面同士の間に薄い空気層(0以上、好ましくは2〜20μm以下)が形成されている。この空気層とプリズムガラスの屈折率の差により、プリズムの境界面に臨界角より大きい角度で入射された光が入射前の偏向状態に係わらず100%反射(全反射)される作用を有するので、この特性を利用して入射光と反射光とを分離することができる。
【0003】
TIRプリズムは、例えば、空間光変調素子であるDMD(Digital Micromirror Device,登録商標)を用いたプロジエクタ装置等に用いられる。TIRプリズムは、プロジエクタ装置においてDMDに照射光を導くと共にDMDによって反射される画像光をプリズムに対する入射角に応じて分離し、有効光を選択するのに用いられる。DMDは、半導体基板に二次元的に配列された複数のメモリセルと、各メモリセルに傾斜自在に取り付けられたマイクロミラーとからなるデバイスであり、各メモリセルにデータを書き込むことで生じる静電気力によって、マイクロミラーの反射面の角度を変化させるように構成されている。
【0004】
一般に光軸に対して垂直でない光学的不連続面は、そこを通過する結像光束に対して非点収差を生ずる作用をすることが知られている。したがって、TIRプリズムにおける光学的不連続面である空気層によって非点収差が生じ、例えばプロジエクタ装置であれば、投映レンズの結像性能を劣化させる。
【0005】
空気層によって非点収差が生じる問題を解決するには、空気層を平行とせず、楔形状の空気層とすることが有効であることが知られている(特許文献1)。また、特許文献2記載の偏光ビームスプリッタでは、2個のプリズムの対面する面同士の隙間全体に接着剤を充填し、対面する面同士で形成される空気層を楔形状としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−180010
【特許文献2】特開2004−109490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1には、2個のプリズム同士の位置関係をどのように規定し保持するのかということについての記載がなく、具体的にどのようにして楔形状の空気層を形成するのか不明である。また、特許文献2記載の偏光ビームスプリッタでは、2個のプリズムの対面する面同士の隙間全体に接着剤を充填しているため、空気層とプリズムガラスの屈折率の差ではなく、接着剤とプリズムガラスの屈折率の差により光が全反射するように、対応した屈折率を有する接着剤を用いる必要がある。しかも、単に光を全反射させるだけなら、接着剤の屈折率だけの問題であるが、プロジエクタ装置に用いる場合、DMDによって反射される画像光は、2個のプリズム及び接着剤層を通過するため、接着剤層によって光量が減少したり、色が付くようなことはあってはならない。このため、無色透明で光透過率が非常に高い特別な接着剤を選定もしくは製造する必要があり、コスト高の原因になっている。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、簡単な構成でローコストでありながら光学収差を改善できるプリズム装置の製造方法及びプリズム装置並びにプロジェクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリズム装置の製造方法は、2個の三角プリズムの互いに対向する矩形状をした各面同士を空気層を空けて接着するプリズム装置の製造方法において、前記各面のうち少なくとも一方の面の一辺の近傍に第1接着剤を塗布するとともに、前記一方の面の前記一辺と反対側の他辺の近傍に第1接着剤よりも高い粘度の第2接着剤を塗布する第1ステップと、前記各面が互いに狭まる方向に圧力を各面に対して加えることにより、前記空気層を、前記第1接着剤側の厚みが薄く第2接着剤側の厚みが厚い楔形状に形成する第2ステップと、からなることを特徴とする。
【0010】
前記第1,第2接着剤は、紫外線を照射することにより硬化するUV硬化型接着剤であることが好ましい。
【0011】
少なくとも第1,第2接着剤への紫外線照射開始時と紫外線照射終了時とに、前記各面同士の間隔の大きさを測定し、前記空気層の形成状態を確認することが好ましい。
【0012】
前記プリズム装置は、照射された照明光を変調して反射することにより画像光を投射する空間光変調素子と画像光をスクリーンに投映する投映光学系との間に設けられ、前記照明光を前記空間光変調素子に照射するとともに、前記空間光変調素子からの画像光を投映光学系へ向けて出射するプロジェクタ用のTIRプリズムであって、前記2個の三角プリズムのうち一方の三角プリズムは、前記照明光が入射される照明光入射面と、この照明光入射面から内部に入射した照明光を全反射する全反射面と、この全反射面で反射された照明光を前記空間光変調素子に向けて出射するとともに空間光変調素子からの画像光を入射する出射・再入射面とを備え、この出射・再入射面から入射された画像光を前記全反射面を透過して出射する第1三角プリズムであり、他方の三角プリズムは、前記全反射面を透過して第1三角プリズムから出射された画像光を入射する画像光入射面と、前記画像光を前記投映光学系へ向けて出射する画像光出射面とを有する第2三角プリズムであり、前記互いに対向する矩形状をした各面は、前記第1三角プリズムの全反射面と前記第2三角プリズムの画像光入射面であることが好ましい。
【0013】
前記第1接着剤は、前記第1三角プリズムの照明光入射面に近い側に設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明のプリズム装置は、照射された照明光を変調して反射することにより画像光を投射する空間光変調素子と画像光をスクリーンに投映する投映光学系との間に設けられ、照明光を前記空間光変調素子に照射するとともに、空間光変調素子からの画像光を前記投映光学系へ向けて出射するプロジェクタ用のプリズム装置において、照明光が入射される照明光入射面と、この照明光入射面から内部に入射した照明光を全反射する全反射面と、この全反射面で反射された照明光を前記空間光変調素子に向けて出射するとともに空間光変調素子からの画像光が入射する出射・再入射面とを備え、この出射・再入射面から入射された画像光を前記全反射面を透過して出射する第1三角プリズムと、前記全反射面を透過して前記第1三角プリズムから出射された画像光を入射する画像光入射面と、前記画像光を投映光学系へ向けて出射する画像光出射面とを有する第2三角プリズムと、前記第1三角プリズムの全反射面、前記第2三角プリズムの画像光入射面のうち少なくとも一方の面の、前記第1三角プリズムの照明光入射面に近い側の一辺の近傍に塗布された第1接着剤と、前記一方の面の前記一辺と反対側の他辺の近傍に塗布され、前記第1接着剤よりも高い粘度の第2接着剤と、前記第1三角プリズムの全反射面と前記第2三角プリズムの画像光入射面とを前記第1接着剤、前記第2接着剤によって接着することにより、前記全反射面と前記画像光入射面との間に、前記第1接着剤が塗布された前記第1三角プリズムの照明光入射面に近い側の厚みが薄く、前記第2接着剤側の厚みが厚い楔形状の空気層を形成したことを特徴とする。
【0015】
本発明のプロジェクタ装置は、前記プリズム装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2個のプリズムの互いに対向する矩形状をした各面のうち少なくとも一方の面の一辺の近傍に第1接着剤を塗布するとともに、前記一方の面の一辺と反対側の他辺の近傍に第1接着剤よりも高い粘度の第2接着剤を塗布し、各面が互いに狭まる方向に圧力を各面に対して加えることにより、空気層を、第1接着剤側の厚みが薄く第2接着剤側の厚みが厚い楔形状に形成するので、簡単な構成でローコストでありながら光学収差を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】反射型プロジェクタの概略的な構成を示す説明図である。
【図2】プリズム装置の構成を示す斜視図である。
【図3】プリズム装置を製造する様子を示す説明図である。
【図4】プリズム装置の製造手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の製造方法により製造された一実施形態のプリズム装置10は、図1に示すように、反射型プロジェクタ11(プロジェクタ装置)のDMD12(空間光変調素子)と投映光学系13との間に配置して用いられる。DMD12は、二次元的に配列された複数のマイクロミラーからなり、各マイクロミラーは、それぞれ入射した照明光を1画素分の画素光として投映光学系13に向けて反射するオン状態と、照明光を光吸収体(図示省略)に向けて反射するオフ状態とに傾斜自在になっている。投映光学系13は、ズームレンズからなりプリズム装置10から出射された画像光をスクリーン14上に投映する。
【0019】
プリズム装置10は、それぞれ3つの光学面によって形成された三角プリズムである2個のプリズム15,16からなる内部全反射(TIR:Total Internal Reflection) プリズムである。プリズム15,16は、光学ガラスから形成され、一対の側面が三角形の柱状部材である。側面はすり面をしており、側面を除く他の3面は、それぞれ透明な面をしている。なお、3面のうち光が通過する必要がない面は、すり面であってもよい。
【0020】
プリズム15(第1三角プリズム)は、図示しない光源から照射される光軸αの照明光が入射される光入射面15aと、この光入射面15aから内部に入射した照明光を全反射する全反射面15bと、この全反射面15bで反射された照明光をDMD12に向けて出射するとともにオン状態のDMD12から出射される光軸βの画像光を入射する出射・再入射面15cとを備えている。出射・再入射面15cから入射された画像光は、全反射面15bを透過してプリズム15から外部に出射される。プリズム15の光入射面15a,全反射面15b,出射・再入射面15cは、それぞれ矩形状をしている。なお、オフ状態のDMD12から出射された画像光は、光吸収体(図示省略)に向けられる。
【0021】
プリズム16(第2三角プリズム)は、プリズム15の全反射面15bと薄い楔形状の空気層17を空けて対面され、出射・再入射面15cからプリズム15の内部に入射した画像光が全反射面15b及び空気層17を通過して入射される光入射面16aと、この光入射面16aから内部に入射した画像光を投映光学系13へ向けて出射する光出射面16bとを備えている。プリズム16の光入射面16a,光出射面16bは、それぞれ矩形状をしている。出射・再入射面15cと光出射面16bとは互いに平行になる。また、空気層17の長手方向は光軸βに対して傾いて配置されている。なお、光入射面16a及び光出射面16bを除く面16cは、光が通過しないため、すり面になっている。
【0022】
薄い楔形状の空気層17を形成するプリズム15の全反射面15bとプリズム16の光入射面16aとを比べると、光入射面16aの方が全反射面15bよりも面積が小さい。このため、図2に示すように、光入射面16aの四隅に接着剤を塗布する。具体的には、光入射面16aと光出射面16bとがなす縁16d(一辺)に近い光入射面16aの2箇所の隅部に、第1接着剤20を凸状にやや盛り上がったほぼ半球形状にそれぞれ塗布する。そして、縁16dに対向する縁16e(他辺)に近い光入射面16aの2箇所の隅部に、第1接着剤20よりも高い粘度の第2接着剤21を第1接着剤20と同様のほぼ半球形状にそれぞれ塗布する。第1,第2接着剤20,21は、画像光が通過しない位置に塗布される。
【0023】
第1接着剤20,第2接着剤21は、UV硬化型接着剤であり、高圧水銀ランプ等のUVランプから紫外線を照射することにより、数十秒で初期硬化をはじめ数分後には完全に硬化する。第1接着剤20の粘度は、例えば1000mPa・s(ミリパスカル・秒)であり、第2接着剤21の粘度は、例えば4000mPa・sである。
【0024】
プリズム装置10を製造するには、図3に示すような治具23を用いる。治具23は、板状のベース部材24と、この表面24aに対して垂直方向に立設された4本の円柱状の棒状支持部材25〜28とからなり、これらは一体に樹脂成形されている。棒状支持部材25〜28の表面24aからの突出長さは、プリズム15,16の幅とほぼ同じ長さである。
【0025】
図4に示すフローチャートにおいて、光入射面15aが棒状支持部材25に当接すると同時に出射・再入射面15cが棒状支持部材26,27に当接するように、出射・再入射面15cを下側にし、プリズム15の側面を平板24の表面24aに当接させ、プリズム15を治具23にセットする(st1)。なお、括弧内のst(ステップの意)1等は、図4に示すst1等に対応する。
【0026】
次に、プリズム16の縁16dに近い光入射面16aの2箇所の隅部に、第1接着剤20をほぼ半球形状にそれぞれ塗布するとともに、縁16eに近い光入射面16aの2箇所の隅部に、第2接着剤21をほぼ半球形状にそれぞれ塗布する(st2)。
【0027】
続いて、プリズム16の光入射面16aをプリズム15の全反射面15b側に向け、光出射面16bを棒状支持部材28の周面に当接させながら、プリズム16を、縁16d側から、プリズム15の全反射面15bと棒状支持部材28との間に挿入し(st3)、面16cを光出射面16bに平行なγ方向に一定の圧力で押圧する(st4)。
【0028】
面16cへの押圧力により、第1接着剤20,第2接着剤21の各々には、全反射面15bと光入射面16aとから、ほぼ均一な力が加えられる。この結果、第1接着剤20,第2接着剤21のそれぞれの粘度の差により、全反射面15bと光入射面16aとの間には、第1接着剤20側の厚みが薄く第2接着剤21側の厚みが厚い楔形状の空気層17が形成される。
【0029】
また、面16cへの押圧力を調整し、出射・再入射面15cと光出射面16bとが互いに平行となるようにして、プリズム16の光出射面16b側からUVランプ30,31を発光させる。UVランプ30,31から射出された紫外線は、プリズム16の内部を通過して第1接着剤20,第2接着剤21に照射される(st5)。
【0030】
第1接着剤20,第2接着剤21への紫外線照射開始時からエアギャップ測定装置33によって、空気層17の楔形状の形成過程が観測される。エアギャップ測定装置33は、周知のモノクロメータ(分光器)34、プリズム15の全反射面15b,プリズム16の光入射面16aにより反射された光を検出するTVカメラ35等からなる。モノクロメータ34から波長を変化させつつ光ビームをプリズム15の全反射面15b,プリズム16の光入射面16aに照射して干渉縞を生じさせ、TVカメラ35が全反射面15b,光入射面16aの各々で反射された光ビームを撮像する。エアギャップ測定装置33は、TVカメラ35からの出力信号等に基づいて、プリズム15,16間のエアギャップ量(空気層17の各部の厚み)を高精度に測定する。
【0031】
空気層17の各部の厚みが、第1接着剤20,第2接着剤21の初期硬化から数分後の完全硬化まで、エアギャップ測定装置33によって継続して測定される(st6)。この測定結果に基づいて、第1接着剤20,第2接着剤21の完全硬化時に、空気層17が所定の楔形状となるように、面16cへの押圧力が調整される(st7)。
【0032】
第1接着剤20,第2接着剤21が完全に硬化した後、プリズム装置10を治具23から取り外す(st8)。そして、プリズム装置10は、反射型プロジェクタ11のDMD12と投映光学系13との間に組み込まれて使用される。
【0033】
以上説明した実施形態では、第1接着剤,第2接着剤としては、紫外線の照射によって硬化するUV硬化型接着剤を用いたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、エポキシ樹脂等を使用することもできる。また、接着剤を一方のプリズムに塗布したが、2個のプリズムの両方に塗布してもよい。
【0034】
上記実施形態では、接着剤を矩形状をした面の四隅に塗布したが、本発明はこれに限定されることなく、対向する一対の辺近傍であれば、例えば各辺近傍に1箇所ずつ合計2箇所でもよいし、また、各辺に沿って連続する線状に塗布しても、また、連続しない領域に塗布してもよい。また、接着剤をほぼ半球形状に塗布したが、本発明はこのような塗布形状に限定されず、例えば、矩形の凸状でもよい。
【0035】
上記実施形態では、プロジェクタ用のプリズム装置であったが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、TVカメラ等に使用される色分解用のプリズム装置であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 プリズム装置
15,16 プリズム
15b 全反射面
16a 光入射面
17 空気層
20 第1接着剤
21 第2接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の三角プリズムの互いに対向する矩形状をした各面同士を空気層を空けて接着するプリズム装置の製造方法において、
前記各面のうち少なくとも一方の面の一辺の近傍に第1接着剤を塗布するとともに、前記一方の面の前記一辺と反対側の他辺の近傍に第1接着剤よりも高い粘度の第2接着剤を塗布する第1ステップと、
前記各面が互いに狭まる方向に圧力を各面に対して加えることにより、前記空気層を、前記第1接着剤側の厚みが薄く第2接着剤側の厚みが厚い楔形状に形成する第2ステップと、
からなることを特徴とするプリズム装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1,第2接着剤は、紫外線を照射することにより硬化するUV硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1記載のプリズム装置の製造方法。
【請求項3】
少なくとも第1,第2接着剤への紫外線照射開始時と紫外線照射終了時とに、前記各面同士の間隔の大きさを測定し、前記空気層の形成状態を確認することを特徴とする請求項2記載のプリズム装置の製造方法。
【請求項4】
前記プリズム装置は、照射された照明光を変調して反射することにより画像光を投射する空間光変調素子と画像光をスクリーンに投映する投映光学系との間に設けられ、前記照明光を前記空間光変調素子に照射するとともに、前記空間光変調素子からの画像光を投映光学系へ向けて出射するプロジェクタ用のTIRプリズムであって、
前記2個の三角プリズムのうち一方の三角プリズムは、前記照明光が入射される照明光入射面と、この照明光入射面から内部に入射した照明光を全反射する全反射面と、この全反射面で反射された照明光を前記空間光変調素子に向けて出射するとともに空間光変調素子からの画像光を入射する出射・再入射面とを備え、この出射・再入射面から入射された画像光を前記全反射面を透過して出射する第1三角プリズムであり、
他方の三角プリズムは、前記全反射面を透過して第1三角プリズムから出射された画像光を入射する画像光入射面と、前記画像光を前記投映光学系へ向けて出射する画像光出射面とを有する第2三角プリズムであり、
前記互いに対向する矩形状をした各面は、前記第1三角プリズムの全反射面と前記第2三角プリズムの画像光入射面であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のプリズム装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1接着剤は、前記第1三角プリズムの照明光入射面に近い側に設けられていることを特徴とする請求項4記載のプリズム装置の製造方法。
【請求項6】
照射された照明光を変調して反射することにより画像光を投射する空間光変調素子と画像光をスクリーンに投映する投映光学系との間に設けられ、照明光を前記空間光変調素子に照射するとともに、空間光変調素子からの画像光を前記投映光学系へ向けて出射するプロジェクタ用のプリズム装置において、
照明光が入射される照明光入射面と、この照明光入射面から内部に入射した照明光を全反射する全反射面と、この全反射面で反射された照明光を前記空間光変調素子に向けて出射するとともに空間光変調素子からの画像光入射する出射・再入射面とを備え、この出射・再入射面から入射された画像光を前記全反射面を透過して出射する第1三角プリズムと、
前記全反射面を透過して前記第1三角プリズムから出射された画像光を入射する画像光入射面と、前記画像光を投映光学系へ向けて出射する画像光出射面とを有する第2三角プリズムと、
前記第1三角プリズムの全反射面、前記第2三角プリズムの画像光入射面のうち少なくとも一方の面の、前記第1三角プリズムの照明光入射面に近い側の一辺の近傍に塗布された第1接着剤と、
前記一方の面の前記一辺と反対側の他辺の近傍に塗布され、前記第1接着剤よりも高い粘度の第2接着剤と、
前記第1三角プリズムの全反射面と前記第2三角プリズムの画像光入射面とを前記第1接着剤、前記第2接着剤によって接着することにより、前記全反射面と前記画像光入射面との間に、前記第1接着剤が塗布された前記第1三角プリズムの照明光入射面に近い側の厚みが薄く、前記第2接着剤側の厚みが厚い楔形状の空気層を形成したことを特徴とするプリズム装置。
【請求項7】
前記請求項6記載のプリズム装置を備えたことを特徴とするプロジェクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−215656(P2012−215656A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79647(P2011−79647)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】