説明

プリベーク装置及びカラーフィルタ基板の製造方法

【課題】バキューム・テーブルを備えたプリベーク装置で発生する、熱処理時の吸着状態や接触状態に起因するカラーフィルタ基板の面内で外観上のムラを発生させないプリベーク装置提供する。
【解決手段】加熱処理部70Aと冷却処理部70Bで構成され、加熱処理部内に、加熱処理ローラー80Aが、その長手方向をガラス基板60の搬送方向と直角にして、複数個が平行にフレーム82A間に、その上面を同一面として水平に設けられ、冷却処理部内に、冷却処理ローラー80Bが、その長手方向を前記搬送方向と直角にして、複数個が平行にフレーム82B間に、その上面を前記同一にして水平に設けられ、加熱処理ローラー上のガラス基板を水平に搬送しながら加熱処理を行い、冷却処理ローラー上のガラス基板を水平に搬送しながら冷却処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ基板のプリベーク装置に関するものであり、特に、バキューム・テーブルを備えた加熱処理部、移載用のロボット、冷却処理部で構成されるプリベーク装置を用いた場合に発生する、熱処理時の吸着状態や接触状態に起因するカラーフィルタ基板の面内でムラを発生させないプリベーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの表示装置において、カラー表示、分光特性制御、反射率の低減、コントラストの調整などの目的にカラーフィルタを用いることは有用な手段となっている。この表示装置に用いられるカラーフィルタ基板は、多くの場合、画素として形成され用いられる。表示装置に用いられるカラーフィルタ基板の画素を形成する方法として、これまで実用されてきた方法には、印刷法、フォトリソグラフィ法などが挙げられる。
【0003】
図1は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板の画素の一例を拡大して示す平面図である。また、図2は、図1に示すカラーフィルタ基板の画素のX−X線における断面図である。図1、及び図2に示すように、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板は、ガラス基板(1)上にブラックマトリックス(2)、着色画素(3)、及び透明導電膜(4)が順次に形成されたものである。
【0004】
液晶表示装置に用いられる上記カラーフィルタ基板の製造方法としては、先ず、ガラス基板(1)上にブラックマトリックス(2)を形成し、次に、ブラックマトリックス(1)が形成されたガラス基板上のブラックマトリックスの開口部に位置合わせして着色画素(3)を形成し、更に透明導電膜(4)を形成するといった方法が広く用いられている。
【0005】
ブラックマトリックス(2)は遮光性を有し、その開口部にてガラス基板上での着色画素の位置を定め、着色画素の大きさを均一なものとしている。また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。このブラックマトリックス(2)の形成は、例えば、ガラス基板(1)上に、黒色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのフォトマスクを介したパターン露光、現像によって不要な部分の黒色フォトレジストを除去し、残存した樹脂にてブラックマトリックスを形成するといったフォトリソグラフィ法がとられている。
【0006】
また、着色画素(3)は、例えば、赤色、緑色、青色の色再現フィルタの機能を有するものであり、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板(1)上に、顔料などの色素を分散させた着色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのフォトマスクを介したパターン露光、現像によって着色画素を形成するといったフォトリソグラフィ法がとられている。
【0007】
また、透明導電膜(4)の形成は、着色画素が形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0008】
上記方法により製造されたカラーフィルタは、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板として基本的な機能を備えたものである。多様な液晶表示装置の実用に伴い、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板には、上記基本的な機能に付随して、例えば、1)保護層(オーバーコート層)、2)スペーサー機能を有するフォトスペーサー(突起
部)、3)液晶の配向を制御する配向制御突起、4)透過表示の領域と反射表示の領域を通過する光の位相を揃えるための光路差調整層、5)反射表示の領域への光散乱層、などの種々な機能がカラーフィルタ基板の用途、仕様にもとづき付加されるようになった。
【0009】
上記種々な機能を有する層は、ブラックマトリックス(2)、着色画素(3)と同様に、いずれも、感光性樹脂、或いは非感光性樹脂を用いて形成された樹脂層である。図3は、ガラス基板(1)上にブラックマトリックス(2)、着色画素(3)、透明導電膜(4)が順次に形成された、該透明導電膜(4)上に配向制御突起(5)及びフォトスペーサー(6)が形成されたカラーフィルタ基板の一例の断面図である。
【0010】
上記ブラックマトリックス、着色画素、及び付随する各層をフォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際には、例えば、先ずガラス基板に対して必要に応じた洗浄処理を施し、続いて塗布装置によるフォトレジストの塗布、減圧乾燥装置による予備乾燥処理、プリベーク装置によるプリベーク処理、露光装置によるパターン露光、現像ユニットによる現像処理、加熱ユニットによるポストベーク処理が順次に施され、ガラス基板に所定のパターンを形成する。
以降、本願においては、例えば、前記図3に示すように、ガラス基板上にブラックマトリックス(2)、着色画素(3)、及び付随する各層などを順次に形成しカラーフィルタ基板を製造する工程上のガラス基板をもカラーフィルタ基板と称することとする。
【0011】
上記フォトレジストの塗布直後は、フォトレジストの塗膜は乾燥していないために流動性があり、次工程へカラーフィルタ基板を搬送した場合には、搬送中に塗膜の膜厚が変化し易く膜厚にムラを発生させることがある。
予備乾燥処理は、この搬送に伴う塗膜の膜厚の変化を防止するために、塗膜中の溶剤を減圧下で半ば蒸発させる予備的な乾燥処理である。
次工程のプリベーク処理は、塗膜中の溶剤を加熱によって蒸発させる本格的な乾燥処理である。塗膜中に溶剤が残留していると、フォトレジストの感度は著しく低く、加えてカラーフィルタ基板への密着力が弱まるので、塗膜中に溶剤が残留することは好ましいことではない。
【0012】
図4は、プリベーク装置の一例の概略を示す側面図である。図4に示すように、プリベーク装置(10)は、加熱処理部(20)と冷却処理部(30)と移載用のロボット(RB)で構成されている。
プリベーク処理は、ロボット(RB)を用いて、予備乾燥処理を行ったカラーフィルタ基板(60)を加熱処理部(20)に搬入して加熱処理を施し、次にカラーフィルタ基板(60)を加熱処理部(20)から搬出して冷却処理部(30)に搬入し、冷却処理を施して常温に戻し、次にカラーフィルタ基板(60)を冷却処理部(30)から搬出して次工程に搬送するといった順序で行う。
【0013】
図4に示すプリベーク装置(10)では、加熱処理部(20)の3基が上下に配置されている。加熱処理部(20)の処理能力と冷却処理部(30)の処理能力を揃えるために加熱処理部(20)を3基設けた例である。前工程から供給されるカラーフィルタ基板(60)を順次に加熱処理部1(20−1)、加熱処理部2(20−2)、加熱処理部3(20−3)へ搬入して加熱処理を施し、また、加熱処理部1(20−1)から冷却処理部(30)へ、加熱処理部2(20−2)から冷却処理部(30)へと順次に冷却処理部(30)へ搬入し、冷却処理を施す。
加熱処理部(20)及び冷却処理部(30)の、ロボット(RB)に対向する側面には開閉扉が設けられている。
【0014】
図4(a)は、ロボット(RB)が最上段の加熱処理部1(20−1)から加熱処理を
施したカラーフィルタ基板(60)をフォーク(F)上に保持して、水平に搬出した段階を表したものである。図4(b)〜(c)は、ロボット(RB)がカラーフィルタ基板(60)をフォーク(F)上に保持して、垂直に降下し、続いて、冷却処理部(30)へ水平に搬入する動作を表したものである。
【0015】
加熱処理部(20)内には、加熱プレート(41)を上部に備えたバキューム・テーブル(40)が設けられており、また、冷却処理部(30)内には、冷却プレートを上部に備えたバキューム・テーブルが設けられている。
【0016】
図5は、バキューム・テーブル(40)の一例の平面図である。図5は、カラーフィルタ基板(60)が載置されていない状態である。図5中には、リフトピン(43)の位置を表している。リフトピン(43)は、バキューム・テーブル(40)上にカラーフィルタ基板(60)を載置したり、バキューム・テーブル(40)上からカラーフィルタ基板(60)を搬出する際に、カラーフィルタ基板(60)を昇降させるために用いる。また、カラーフィルタ基板(60)を真空吸着するためのエアーの吸引口(47)の位置を表している。
【0017】
また、図6(a)は図5のX1−X1線での断面図である。図6(b)は図5のX2−X2線での断面図である。図6は、ロボット(RB)のフォーク(F)上に保持されて搬送されてきたカラーフィルタ基板(60)が、加熱プレート(41)の表面から突出したリフトピン(43)上に受け渡された段階を示したものである。図5、図6に示すように、バキューム・テーブル(40)は、加熱プレート(41)、筐体(42)、リフトピン(43)で構成され、加熱プレート(41)にはエアーの吸引口(47)、及びリフトピン孔(48)が設けられている。また、筐体(42)には排気口(46)が設けられている。
【0018】
カラーフィルタ基板(60)は、移載用のロボット(RB)によって、下面を2本のフォーク(F)で保持された状態で加熱プレート(41)上に載置されるが、そのままでは加熱プレート(41)上に載置後、フォーク(F)を退避することができないので、一旦、加熱プレート(41)の上面から突出した状態でフォーク(F)と干渉しない位置(K)に設けられた複数のリフトピン(43)上に受け渡され、その後にフォーク(F)が退避する。
【0019】
また、加熱プレート(41)上からカラーフィルタ基板(60)を搬出する際には、リフトピン(43)を上昇、突出させ、カラーフィルタ基板(60)の下にフォーク(F)を挿入するという動作をする。
【0020】
図7は、カラーフィルタ基板(60)がロボット(RB)のフォーク(F)で保持された状態から加熱プレート(41)上に載置される動作を説明する断面図である。
カラーフィルタ基板(60)を保持したフォーク(F)は、図7中、右方より加熱プレート(41)上方の定位置に水平に進入し(図7(a))、次に垂直に降下してカラーフィルタ基板(60)をリフトピン(43)上に受け渡す(図7(b))。次にフォーク(F)が、図7中、右方へ水平に退避すると(図7(c))、リフトピン(43)は降下してカラーフィルタ基板(60)を加熱プレート(41)上に載置する(図7(d))といった動作となる。
【0021】
また、図6に示すバキューム・テーブル(40)の筐体(42)は、中空部(45)を有し、上部に加熱プレート(41)を備え、側部には排気口(46)が設けられている。カラーフィルタ基板(60)を真空吸着する際には、排気口(46)からの排気により行う。
カラーフィルタ基板(60)の真空吸着は、排気口(46)からの排気により筐体(42)内の中空部(45)の空気が、続いて加熱プレート(41)の吸気口(47)から一斉に空気が吸引されて行われる。つまり、吸気口(47)から、加熱プレート(41)とカラーフィルタ基板(60)との間の空を吸引することで、カラーフィルタ基板(60)が加熱プレート(41)に吸着、密着されるようになる。
【0022】
また、加熱プレート(41)は、温度50〜150℃に制御され、加熱プレートは、常温に、制御されている。
【0023】
しかし、上記のような、加熱プレート(41)を上部に備えたバキューム・テーブル(40)、フォークを備えたロボット、冷却プレートを上部に備えたバキューム・テーブルで構成されるプリベーク装置では、カラーフィルタ基板の面内で熱処理に温度差が発生して、塗膜の乾燥、密着、膜厚、線幅に差が生じ、外観上のムラとなるといった問題がある。
【0024】
図8は、バキューム・テーブル(40)の加熱プレート(41)にカラーフィルタ基板(60)を真空吸着させ、加熱している状態を表す平面図である。また、図9は、図8のA−A線での断面図である。つまり、吸気口(47)やリフトピン(43)が設けられていない分部の断面図である。
図8及び図9に示すように、カラーフィルタ基板(60)は加熱により膨張し、カラーフィルタ基板(60)の周辺の端部に反り上がり(D1)が発生し、加熱プレート(41)とカラーフィルタ基板(60)の密着が十分でない部分ができることがある。このような場合には、密着部と非密着部で温度差が生じ外観上のムラが現れる。
【0025】
また、図10は、図8のB1−B1線での断面図である。
図8及び図10に示すように、カラーフィルタ基板(60)を真空吸着した際のエア溜まり(D2)によって、加熱プレート(41)とカラーフィルタ基板(60)の密着が十分でない部分ができることがある。このような場合には、密着部と非密着部で温度差が生じ外観上のムラが現れる。
【0026】
また、図11は、図8のB2−B2線での断面図である。
図8及び図11に示すように、カラーフィルタ基板(60)が加熱プレート(41)に接触している部分(a)と、吸引口(47)の部分のように、カラーフィルタ基板(60)が加熱プレート(41)に接触していないる部分(b)とがある。このような場合には、接触している部分(a)と接触していないる部分(b)とで温度差が生じ外観上のムラが現れる。
【0027】
また、図12は、図8のC1−C1線での断面図である。
図8及び図12に示すように、カラーフィルタ基板(60)が加熱プレート(41)に接触している部分(a)と、リフトピン孔(48)の部分のように、カラーフィルタ基板(60)が加熱プレート(41)に接触していないる部分(c)とがある。このような場合には、接触している部分(a)と接触していないる部分(c)とで温度差が生じ外観上のムラが現れる。
【0028】
また、図13は、図8のC2−C2線での断面図である。
図13は、カラーフィルタ基板(60)が加熱処理後に、リフトピン(43)によって上昇された状態を表す断面図である。
図8及び図13に示すように、リフトピン(43)がカラーフィルタ基板(60)に接触している部分(d)と、リフトピン(43)がカラーフィルタ基板(60)に接触していない部分(e)とがある。このような場合には、接触している部分(d)と接触していな
いる部分(e)とで温度差が生じ外観上のムラが現れる。
【0029】
また、図14は、ロボットのフォーク(F)が加熱処理後のカラーフィルタ基板(60)を保持し、加熱処理部(20)から冷却処理部(30)へと移載する状態を表す断面図である。
図14に示すように、支持ピン(53)又は吸着パット(54)がカラーフィルタ基板(60)に接触している部分(f)と、支持ピン(53)又は吸着パット(54)がカラーフィルタ基板(60)に接触していない部分(g)とがある。このような場合には、接触している部分(f)と接触していないる部分(g)とで温度差が生じ外観上のムラが現れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2005−101215号公報
【特許文献2】特開2010−034264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、
カラーフィルタ基板のブラックマトリックス、着色画素、及び付随する各層をフォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際に、プリベーク装置として、上記のような、バキューム・テーブルを備えた加熱処理部、移載用のロボット、冷却処理部で構成されるプリベーク装置を用いた場合に発生する、熱処理時の吸着状態や接触状態に起因するカラーフィルタ基板の面内で外観上のムラを発生させず、面内を均一に処理することのできるプリベーク装置を提供することを課題とするものである。
また、本発明は、上記プリベーク装置を用いたカラーフィルタ基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素をフォトリソグラフィ法により順次に形成してカラーフィルタ基板を製造する際に用いるプリベーク装置において、1)前記プリベーク装置は、加熱処理部と冷却処理部で構成され、加熱処理部と冷却処理部は、この順にガラス基板の搬送方向に接続して設けられており、
2)加熱処理部内には、加熱処理ローラーが、その長手方向をガラス基板の搬送方向(X軸方向)と直角にして、複数個が平行にフレーム間に、その上面を同一面として水平に設けられており、
3)冷却処理部内には、冷却処理ローラーが、その長手方向をガラス基板の前記搬送方向(X軸方向)と直角にして、複数個が平行にフレーム間に、その上面を前記同一面と同一にして水平に設けられており、
4)加熱処理ローラーは、加熱処理ローラー上のガラス基板を水平に搬送しながら加熱処理を行い、冷却処理ローラーは、冷却処理ローラー上のガラス基板を水平に搬送しながら冷却処理を行うことを特徴とするプリベーク装置である。
【0033】
本発明は、上記発明によるプリベーク装置において、前記加熱処理ローラーは50℃〜150℃間の設定温度に制御され、冷却処理ローラーは常温に制御されていることを特徴とするプリベーク装置である。
【0034】
本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素をフォトリソグ
ラフィ法により順次に形成するカラーフィルタ基板の製造方法において、プリベーク装置として、請求項1又は請求項2記載のプリベーク装置を用いたことを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0035】
本発明のプリベーク装置は加熱処理部と冷却処理部で構成され、加熱処理部内には、加熱処理ローラーが、その長手方向をガラス基板の搬送方向と直角にして、複数個が平行にフレーム間に、その上面を同一面として水平に設けられており、冷却処理部内には、冷却処理ローラーが、その長手方向をガラス基板の前記搬送方向と直角にして、複数個が平行にフレーム間に、その上面を前記同一面と同一にして水平に設けられており、加熱処理ローラーは、加熱処理ローラー上のガラス基板を水平に搬送しながら加熱処理を行い、冷却処理ローラーは、冷却処理ローラー上のガラス基板を水平に搬送しながら冷却処理を行うので、バキューム・テーブルを備えた加熱処理部、移載用のロボット、冷却処理部で構成されるプリベーク装置を用いた場合に発生する、熱処理時の吸着状態や接触状態に起因するカラーフィルタ基板の面内で外観上のムラを発生させず、面内を均一に処理することのできるプリベーク装置となる。
【0036】
また、本発明は、上記プリベーク装置を用いたカラーフィルタ基板の製造方法であるので、熱処理時の吸着状態や接触状態に起因するカラーフィルタ基板の面内で外観上のムラを発生させず、面内が均一なカラーフィルタ基板の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】液晶表示装置用カラーフィルタの画素の一例を拡大して示す平面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタの画素のX−X線における断面図である。
【図3】透明導電膜上に配向制御突起及びフォトスペーサーが形成されたカラーフィルタの一例の断面図である。
【図4】プリベーク装置の一例の概略を示す側面図である。
【図5】バキューム・テーブルの一例の平面図である。
【図6】(a)は図5のX1−X1線での断面図である。(b)は図5のX2−X2線での断面図である。
【図7】カラーフィルタ基板がロボットのフォークで保持された状態から加熱プレート上に載置される動作を説明する断面図である。
【図8】加熱プレートにカラーフィルタ基板を真空吸着させ、加熱している状態を表す平面図である。
【図9】図8のA−A線での断面図である。
【図10】図8のB1−B1線での断面図である。
【図11】図8のB2−B2線での断面図である。
【図12】図8のC1−C1線での断面図である。
【図13】図8のC2−C2線での断面図である。
【図14】ロボットのフォークが加熱処理後のカラーフィルタ基板を保持し、加熱処理部から冷却処理部へと移載する状態を表す断面図である。
【図15】本発明によるプリベーク装置の一例における構成の概略を示す側断面図である。
【図16】(a)、(b)は、加熱処理部及び冷却処理部の内部の平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図15は、本発明によるプリベーク装置の一例における構成の概略を示す側断面図である。図15に示すように、プリベーク装置(70)は、加熱処理部(70A)と冷却処理部(70B)で構成され、加熱処理部(70A)と冷却処理部(70B)は、この順にガラス基板の搬送方向(X軸方向)に接続して設けられている。
【0039】
ガラス基板は、図15中、白太矢印で示すように左方から搬送ローラー(80C)によって前工程からプリベーク装置(70)に搬送される。加熱処理部(70A)にて加熱処理が施され、続く冷却処理部(70B)にて冷却処理が施されてガラス基板へのプリベーク処理が終了する。ガラス基板は常温に保たれた状態で右方の次工程へと搬送ローラー(80C)によって搬送される。
【0040】
図16(a)、(b)は、加熱処理部(70A)及び冷却処理部(70B)の内部の平面図及び断面図である。図16(a)、(b)に示すように、加熱処理部(70A)の内部には、フレーム(82A)、フレームに取り付けられた加熱処理ローラー(80A)、伝動部(84A)が設けられている。加熱処理ローラー(80A)は、その長手方向をガラス基板(カラーフィルタ基板)(60)の搬送方向(X軸方向)と直角にして、複数個が平行にフレーム(82A)間に、その上面を同一面(M)として水平に設けられている。
【0041】
加熱処理ローラー(80A)は、伝動部(84A)を経て伝えられる駆動部(図示せず)の動力により回転し、加熱処理ローラー(80A)上のガラス基板(カラーフィルタ基板)(60)を搬送方向(X軸方向)搬送するようになっている。
図16中、符号(P)は、ガラス基板(カラーフィルタ基板)(60)を搬送するパスラインを表したものである。
【0042】
加熱処理ローラー(80A)には、加熱ヒーターが内蔵されたものが用いられる。或いは、加熱装置を外部に備え熱媒体により加熱処理ローラー(80A)を加熱するものでもよい。
加熱処理ローラー(80A)は50℃〜150℃間の設定した温度に制御されるようになっている。
【0043】
また、冷却処理部(70B)の内部には、フレーム(82B)、フレームに取り付けられた冷却処理ローラー(80B)、伝動部(84B)が設けられている。冷却処理ローラー(80B)は、その長手方向をガラス基板(カラーフィルタ基板)(60)の搬送方向(X軸方向)と直角にして、複数個が平行にフレーム(82B)間に、その上面を前記加熱処理ローラー(80A)の上面と同一面(M)として水平に設けられている。
【0044】
冷却処理ローラー(80B)は、伝動部(84B)を経て伝えられる駆動部(図示せず
)の動力により回転し、冷却処理ローラー(80B)上のガラス基板(カラーフィルタ基板)(60)を搬送方向(X軸方向)搬送するようになっている。
冷却処理ローラー(80B)がガラス基板(カラーフィルタ基板)(60)を搬送するパスラインは前記パスライインと同一である。
【0045】
冷却処理ローラー(80B)の冷却には、例えば、冷却装置を外部に備え冷媒で冷却処理ローラー(80B)を冷却するものが挙げられる。冷却処理ローラー(80B)は、常温に制御されるようになっている。
【0046】
加熱処理部(70A)と冷却処理部(70B)は、同期して作動するようになっている。加熱処理ローラー(80A)は、加熱処理ローラー上のガラス基板(カラーフィルタ基板)(60)を水平に搬送しながら加熱処理を行い、続いて、冷却処理ローラー(80B)は、冷却処理ローラー上のガラス基板(カラーフィルタ基板)(60)を水平に搬送しながら冷却処理を行う。従って、搬入される複数のガラス基板に対して連続してプリベーク処理が施される。
【0047】
上記のように、本発明のプリベーク装置は、カラーフィルタ基板を加熱プレートに吸着固定した加熱ではないので、従来のプリベーク装置と比較して、a)カラーフィルタ基板の端部の反り上がりによる密着部と非密着部で温度差は生じない。また、b)真空吸着した際のエア溜まりによる密着部と非密着部で温度差、c)バキューム・テーブルを用いた際の吸引口による温度差、リフトピン孔による温度差、リフトピンの接触による温度差、d)ロボットを用いた際のフォークの支持ピン又は吸着パットによる温度差、は生じない。従って、外観上のムラは解消されたものとなる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・ガラス基板
2・・・ブラックマトリックス
3・・・着色画素
4・・・透明導電膜
5・・・配向制御突起
6・・・フォトスペーサー
10・・・プリベーク装置
20・・・加熱処理部
20−1〜20−3・・・加熱処理部1〜加熱処理部3
30・・・冷却処理部
40・・・バキューム・テーブル
41・・・加熱プレート
42・・・筐体
43・・・リフトピン
45・・・中空部
46・・・排気口
47・・・エアーの吸引口
48・・・リフトピン孔
53・・・支持ピン
54・・・吸着パット
60・・・カラーフィルタ基板
70・・・本発明のプリベーク装置
70A・・・本発明の加熱処理部
70B・・・本発明の冷却処理部
80A・・・加熱処理ローラー
80B・・・冷却処理ローラー
80C・・・搬送ローラー
82A、82B・・・フレーム
84A、84B・・・伝動部
D1・・・端部に反り上がり
D2・・・エア溜まり
F・・・フォーク
M・・・ローラーの上面と同一面
P・・・パスライン
RB・・・ロボット
a、d、f・・・接触している部分
b、c、e、g・・・接触していないる部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素をフォトリソグラフィ法により順次に形成してカラーフィルタ基板を製造する際に用いるプリベーク装置において、1)前記プリベーク装置は、加熱処理部と冷却処理部で構成され、加熱処理部と冷却処理部は、この順にガラス基板の搬送方向に接続して設けられており、
2)加熱処理部内には、加熱処理ローラーが、その長手方向をガラス基板の搬送方向(X軸方向)と直角にして、複数個が平行にフレーム間に、その上面を同一面として水平に設けられており、
3)冷却処理部内には、冷却処理ローラーが、その長手方向をガラス基板の前記搬送方向(X軸方向)と直角にして、複数個が平行にフレーム間に、その上面を前記同一面と同一にして水平に設けられており、
4)加熱処理ローラーは、加熱処理ローラー上のガラス基板を水平に搬送しながら加熱処理を行い、冷却処理ローラーは、冷却処理ローラー上のガラス基板を水平に搬送しながら冷却処理を行うことを特徴とするプリベーク装置。
【請求項2】
前記加熱処理ローラーは50℃〜150℃間の設定温度に制御され、冷却処理ローラーは常温に制御されていることを特徴とする請求項1記載のプリベーク装置。
【請求項3】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素をフォトリソグラフィ法により順次に形成するカラーフィルタ基板の製造方法において、プリベーク装置として、請求項1又は請求項2記載のプリベーク装置を用いたことを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−242715(P2011−242715A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117061(P2010−117061)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】