説明

プリンタ、及び、インクリボンのリボン径検出方法

【課題】低コストかつ簡略な構成で正確なリボン径を取得して該リボン径に基づいて正確に印刷を行うことが可能なプリンタ、及びインクリボンのリボン径検出方法を提供する。
【解決手段】プリンタ1は、印刷媒体Pを搬送する搬送機構10と、供給側ローラ211a及び供給側モータを有するインクリボン供給部211と、巻取り側ローラ212a及び巻取り側モータを有するインクリボン巻取り部212と、供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aの回転角度を検出する回転角度検出手段と、搬送機構10による印刷媒体Pの搬送量、及び、対応して回転角度検出手段で検出される回転角度から、対応する供給側ローラ211aまたは巻取り側ローラ212aに巻かれたインクリボンRのリボン径を演算するリボン径演算手段と、リボン径演算手段によって演算されたリボン径に基づいて、供給側モータ及び巻取り側モータを制御するモータ駆動制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体にインクリボンを転写して印刷を行うプリンタ、及び、インクリボンのリボン径検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクが塗布されたインクリボンを使用して用紙などの印刷媒体に印刷を行う昇華型のプリンタが知られている。より詳しくは、このようなプリンタでは、搬送される印刷媒体と等しい速度でインクリボンを送り出して重ね合わせた状態で、サーマルヘッドによって加熱することにより、塗布されたインクを昇華させて所望の印刷を行うことが可能となっている。また、インクリボンには、シワが生じたり、印刷媒体との間でスリップが生じてしまうことが無いよう、巻取り側及び供給側でモータによりトルクを与えることで、適性な張力が与えられている。ここで、インクリボンの張力及び搬送量は、供給側及び巻取り側でロール状に巻かれたインクリボンに作用するトルク、回転数、及び、リボン径によって決定されることとなる。このため、インクリボンを適正な張力を与えつつ印刷媒体と等しい速度で送り出すにはリボン径を正確に把握する必要があり、リボン径を検出可能な構成を有するプリンタが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
具体的には、特許文献1のプリンタでは、インクリボンに一定間隔でマークを形成するとともに、インクリボンの搬送経路に該マークを検出するマークセンサを備えている。そして、供給側または巻取り側でエンコーダによってインクリボンの回転数を検出するとともに、マークセンサによりインクリボンの搬送量を検出して、当該回転数及び搬送量からリボン径を演算し、演算されたリボン径により、インクリボンが適正な張力及び搬送速度となるように供給側及び巻取り側のモータの制御を行っていた。
【0004】
また、特許文献2のプリンタでは、インクリボンの搬送経路中に上下方向に移動可能に設けられたフリーアームシャフトと、該フリーアームシャフトの上下方向の位置を検出するセンサとを備えている。そして、供給側または巻取り側でエンコーダによってインクリボンの回転数を検出するとともに、センサによりフリーアームシャフトの上下方向の移動量を検出することで、当該回転数及び移動量からリボン径を演算し、演算されたリボン径により、インクリボンが適正な張力及び搬送速度となるように供給側及び巻取り側のモータの制御を行っていた。
【特許文献1】特開2007−62032号公報
【特許文献2】特開2006−240255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2のプリンタでは、リボン径を検出するために、上記のとおりインクリボンのマークを検出するためのマークセンサを備え、あるいは、上下方向に移動可能なフリーアームシャフト、及び、該フリーアームシャフトを検出するセンサを別途設ける必要があり、製造コストが増大し、装置が複雑化してしまう問題があった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、低コストかつ簡略な構成で、正確なリボン径を取得して、該リボン径に基づいて正確に印刷を行うことが可能なプリンタ、及び、インクリボンのリボン径検出方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のプリンタは、所定の用紙搬送経路に沿って搬送される印刷媒体にインクリボンのインクを転写させて印刷を行うプリンタであって、前記印刷媒体を搬送する搬送機構と、前記インクリボンがロール状に巻かれた供給側ローラ、及び、該供給側ローラを回転させる供給側モータを有するインクリボン供給部と、前記供給側ローラから巻き出されて前記用紙搬送経路と対応して設定された所定のリボン搬送経路に沿って搬送される前記インクリボンをロール状に巻き取る巻取り側ローラ、及び、該巻取り側ローラを回転させる巻取り側モータとを有するインクリボン巻取り部と、 前記供給側ローラまたは前記巻取り側ローラの少なくとも一方の回転角度を検出する回転角度検出手段と、前記搬送機構による前記印刷媒体の搬送量、及び、対応して前記回転角度検出手段で検出される回転角度から、対応する前記供給側ローラまたは前記巻取り側ローラに巻かれた前記インクリボンのリボン径を演算するリボン径演算手段と、該リボン径演算手段によって演算されたリボン径に基づいて、前記供給側モータ及び前記巻取り側モータを制御するモータ駆動制御部とを備えることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、搬送機構によって印刷媒体を所定の速度及び搬送量で搬送させる。さらに、回転角度検出手段による検出結果に基づいて供給側モータ及び巻取り側モータを動作させることにより、インクリボン供給部からインクリボン巻取り部へインクリボンを印刷媒体の搬送速度と略等しい速度をもって搬送させ、これによりインクリボンのインクを印刷媒体の所望の範囲に転写させて印刷を行うことができる。ここで、インクリボンの搬送量と、印刷媒体の搬送量とは略等しくなっている。このため、リボン径検出手段では、搬送機構によって搬送された印刷媒体の搬送量と、対応して回転角度検出手段で検出されている回転角度とによって、演算により、供給側ローラまたは巻取り側ローラに巻かれたインクリボンの正確なリボン径を取得することができる。そして、モータ駆動制御部では、リボン径演算手段で演算されたリボン径を反映させて供給側モータ及び巻取り側モータを制御することで、印刷媒体に正確にインクリボンのインクを転写させて印刷を行うことができる。ここで、上記リボン径の取得においては、印刷媒体及びインクリボンを送り出すために必要な搬送機構、供給側モータ、巻取り側モータ、及び、回転角度検出手段のみを利用するだけのものであり、別途他の構成を必要としていない。このため、低コストかつ簡略な構成としつつ、上記のとおり正確なリボン径を取得し、印刷を行うことができる。
【0009】
また、前記インクリボンとして少なくとも一種類のインクと、ラミネート材とが交互に塗布されたものを使用し、前記リボン径演算手段は、前記インクリボンの前記ラミネート材を転写させる際の前記印刷媒体の搬送量及び前記回転角度検出手段で検出された回転角度から、前記インクリボンのリボン径を演算することがより好ましい。
【0010】
この構成によれば、リボン径演算手段は、インクリボンのラミネート材を転写させる際の印刷媒体の搬送量及び回転角度検出手段で検出された回転角度から、インクリボンのリボン径を演算している。ここで、ラミネート材は、インクと異なり、印刷媒体の印刷範囲一様に転写されることとなり、ラミネート材の転写の際には、インクリボン、印刷媒体ともに印刷開始から終了まで一様な抵抗で搬送されることとなる。このため、インクリボンの搬送量と用紙の搬送量との関係をより正確なものとすることができるので、印刷媒体の搬送量、及び、回転角度検出手段により検出された回転角度によって、より正確なリボン径を取得することができる。
【0011】
また、本発明は、所定の用紙搬送経路に沿って搬送される印刷媒体にインクを転写するためにローラにロール状に巻かれた状態から巻き出され、または、ロール状に巻き取られるインクリボンのリボン径検出方法であって、前記印刷媒体の搬送量を取得する第一のステップと、前記印刷媒体の搬送と対応して回転する前記ローラの回転角度を取得する第二のステップと、取得された前記印刷媒体の搬送量及び前記ローラの回転角度から、前記ローラに巻かれた前記インクリボンのリボン径を演算する第三のステップとを備えることを特徴としている。
【0012】
また、前記インクリボンとして少なくとも一種類のインクと、ラミネート材とが交互に塗布されたものを使用し、前記第一のステップ、前記第二のステップ、及び、前記第三のステップは、前記ラミネート材を前記印刷媒体に転写する際に行われることがより好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプリンタによれば、上記のリボン径演算手段を備えることで、低コストかつ簡略な構成で、正確なリボン径を取得して、該リボン径に基づいて正確に印刷を行うことができる。
また、本発明のインクリボンのリボン径検出方法によれば、上記第一のステップから第三のステップにより、低コストかつ簡略な構成として、正確なリボン径を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から図3は、この発明に係る実施形態を示している。図1及び図2に示すように、この実施形態のプリンタ1は、例えば熱転写式の昇華型のプリンタであって、印刷媒体である用紙Pを用紙搬送経路Xに沿って搬送させる搬送機構10と、搬送機構10によって搬送される用紙Pに印刷を行う印刷手段20と、各構成を制御する制御装置30とを備えている。搬送機構10は、用紙Pがロール状に巻かれた用紙リール11と、用紙リール11から巻き出されて用紙搬送経路Xに沿って配設された用紙リール11を挟み込む用紙供給側X1及び用紙排出側X2のそれぞれに設けられた二組のフィードローラ12a、12b及びピンチローラ13a、13bと、各フィードローラ12a、12bを回転させる用紙搬送モータ14a、14bとを有する。また、用紙搬送経路Xにおいて、フィードローラ12a、12bよりも用紙排出側X2には、印刷手段20によって印刷された用紙Pを切断するペーパカッタ15が設けられており、これにより所望の長さとして用紙Pを排出することが可能となっている。
【0015】
印刷手段20は、搬送される用紙Pに重ね合わせるようにして用紙搬送経路Xと対応して設定されるリボン搬送経路Yに沿ってインクリボンRを搬送させるリボン搬送手段21と、搬送されるインクリボンRを加熱させるサーマルヘッド22と、サーマルヘッド22との間でインクリボンR及び用紙Pを挟み込むプラテンローラ23とを有している。リボン搬送手段21は、用紙排出側X2(リボン供給側Y1)に設けられ、ロール状のインクリボンRを供給するインクリボン供給部211と、用紙供給側X1(リボン排出側Y2)に設けられ、インクリボン供給部211から供給されてリボン搬送経路Yに沿って搬送されたインクリボンRを巻き取るインクリボン巻取り部212とを有する。インクリボン供給部211は、未使用のインクリボンRがロール状に巻かれた供給側ローラ211aと、供給側ローラ211aを回転させる供給側モータ211bとを有する。供給側モータ211bは、後述するモータ駆動制御部35と接続されていて、該モータ駆動制御部35による制御のもと供給側ローラ211aに所定のトルクを与え、また、所定の回転数で回転させることが可能となっている。また、供給側モータ211bには回転角度を検出する供給側エンコーダ211cが設けられている。そして、供給側エンコーダ211cを回転角度検出手段2として供給側モータ211bにより回転する供給側ローラ211aの回転数を検出することが可能となっている。
【0016】
また、インクリボン巻取り部212は、使用済みのインクリボンRがロール状に巻かれる巻取り側ローラ212aと、巻取り側ローラ212aを回転させる巻取り側モータ212bとを有する。巻取り側モータ212bは、後述するモータ駆動制御部3と接続されていて、該モータ駆動制御部35による制御のもと巻取り側ローラ212aに所定のトルクを与え、また、所定の回転数で回転させることが可能となっている。また、巻取り側モータ212bには回転角度を検出する巻取り側エンコーダ212cが設けられている。このため、該巻取り側エンコーダ212cを回転角度検出手段2として巻取り側モータ212bにより回転する巻取り側ローラ212aの回転数を検出することが可能となっている。
【0017】
ここで、図3に示すように、インクリボンRは、例えばベースフィルムの一面である表面にイエローインクY、マゼンタインクM及びシアンインクCの複数のインク、並びに、ラミネート材Lが延長方向に沿って、交互に、繰り返し塗布されている。イエローインクY、マゼンタインクM及びシアンインクCは、例えば染料系の昇華インクによって形成されている。また、インクリボンRのベースフィルムの他面である裏面には、加熱されることで摩擦係数が小さくなるバックコート剤が塗布されている。
【0018】
また、図1及び図2に示すように、サーマルヘッド22は、印刷時の各ドットに対応する複数の発熱抵抗体22aがマトリックス状に配列されている。そして、後述するサーマルヘッド加熱制御部335による制御のもと、各発熱抵抗体22aを適宜のパターンをなすように発熱させることでサーマルヘッド22とプラテンローラ23との間のインクリボンRが所定の印刷位置において加熱されるようになっている。そして、インクリボンRは、サーマルヘッド22の発熱抵抗体22aとプラテンローラ23とによって、用紙Pと共に挟持された状態でサーマルヘッド22の発熱抵抗体22aが発熱することにより、塗布された各インクY,M,Cまたはラミネート材Lが昇華または溶融してプリント用紙Pの印刷面に付着されることとなる。ここで、サーマルヘッド22の用紙供給側X1(リボン排出側Y2)には、剥離プレート24が設けられている。この剥離プレート24は、例えばステンレスの薄板等が湾曲させられることによって形成されており、湾曲した曲面がインクリボンRの裏面と接触する接触面とされている。そして、剥離プレート24により転写後のインクリボンRを、用紙Pと剥離させ、インクリボン巻取り部212に巻き取ることが可能となっている。
【0019】
また、図2に示すように、プリンタ1において、制御装置30は、主制御部31と、外部の制御装置(例えば、ホストコンピュータ等)Eから印刷対象となる画像をYMC(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C))等の画像データにより受信して一時的に記憶するイメージバッファ32と、外部の制御装置Eから送信された画像データに応じた各画像の印刷を制御するプリント制御部33と、サーマルヘッド22の発熱抵抗体22aに対し、階調(つまり濃度)に応じた通電パルスパターンによりパルス通電を行う通電パルス発生部34と、用紙搬送モータ14a、14b、供給側モータ211b、及び、巻取り側モータ212bをそれぞれ駆動制御するモータ駆動制御部35とを備える。
【0020】
プリント制御部33は、プリント用画像データ生成部331と、インクリボン巻取/巻戻処理部332と、ロール紙駆動処理部333と、リボン径演算手段であるリボン径演算部334と、サーマルヘッド加熱制御部335とを有する。
【0021】
プリント用画像データ生成部331は、例えばイメージバッファ32に記憶された画像データをインクリボンRの各インクY,M,Cに対応したプリント用画像データに変換する。インクリボン巻取/巻戻処理部332は、プリント用画像データ生成部331で生成されたプリント用画像データに基づいて、モータ駆動制御部35へ駆動信号を出力して、供給側モータ211b及び巻取り側モータ212bを駆動してインクリボンRを所定の張力、搬送速度で搬送させる。ロール紙駆動処理部333は、プリント用画像データ生成部331で生成されたプリント用画像データに基づいて、モータ駆動制御部35への入力により、用紙搬送モータ14a、14bを駆動させて用紙リール11から用紙Pを所定の搬送速度及び搬送量で送り出されるように制御するとともに、ペーパカッタ15の駆動の制御を行う。
【0022】
リボン径演算部334は、ロール紙駆動処理部333からの入力により、用紙Pの搬送量を取得するとともに、リボン搬送手段21において供給側エンコーダ211c及び巻取り側エンコーダ212cからの出力に基づいて供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aの回転数を取得する。そして、リボン径演算部334は、用紙Pの搬送量、並びに、供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aの回転数から、供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aにそれぞれ巻かれたインクリボンRのリボン径を演算し求める。なお、リボン径取得の詳細については後述する。そして、リボン径演算部334で求められたリボン径は、インクリボン巻取/巻戻処理部332に入力され、該インクリボン巻取/巻戻処理部332は、新たに入力されたリボン径を反映させてモータ駆動制御部35に供給側モータ211b及び巻取り側モータ212bを駆動させる指令を行う。
【0023】
サーマルヘッド加熱制御部335は、プリント用画像データ生成部331により生成されたプリント用画像データに基づき、各画像データの濃度の階調に応じてサーマルヘッド22から出力する熱量を制御するための制御指令を生成し、サーマルヘッド22に出力する。これによりサーマルヘッド22は、所望の画像と対応するようにドット毎に発熱抵抗体22aを発熱させてインクリボンRを加熱することが可能となっている。
【0024】
次に、この実施形態プリンタ1の作用、並びに、リボン径検出の詳細について説明する。
先ず、プリンタ1において、制御装置30のプリント制御部33は、外部の制御装置Eからイメージバッファ32を介して画像データを取得すると、プリント用画像データ生成部331でプリント用画像データを生成する。そして、プリント制御部33は、生成されたプリント用画像データに基づいてインクリボン巻取/巻戻処理部332及びロール紙駆動処理部333で各処理を行う。すなわち、ロール紙駆動処理部333では、モータ駆動制御部35に指令を入力し、これにより用紙搬送モータ14bを駆動させて、フィードローラ12b及びピンチローラ13bにより、用紙リール11に巻かれた用紙Pを用紙排出側X2へプリント用画像データと対応する一印刷単位分だけ送り出させる。
【0025】
次に、ロール紙駆動処理部333は、再びモータ駆動制御部35に指令を入力し、これにより用紙搬送モータ14aを駆動させて、フィードローラ12a及びピンチローラ13aにより、送り出させた用紙Pを用紙供給側X1に向かって所定の搬送速度及び搬送量で搬送させる。一方、インクリボン巻取/巻戻処理部332でも、モータ駆動制御部35に指令を入力し、予め入力されている供給側及び巻取り側のインクリボンRのリボン径を参照して、供給側モータ211b及び巻取り側モータ212bを駆動させて所定の張力、搬送量でインクリボン供給部211からインクリボンRを送り出させる。なお、供給側エンコーダ211c及び巻取り側エンコーダ212cからは適時検出結果が出力されており、モータ駆動制御部35は、該検出結果をフィードバックさせて供給側モータ211b及び巻取り側モータ212bの制御を行っている。そして、これにより用紙Pと、インクリボンRとは、用紙搬送経路X及びリボン搬送経路Yに沿って用紙排出側X2(リボン供給側Y1)から用紙供給側X1(リボン排出側Y2)へ等しい搬送速度で重なり合った状態で搬送されることとなる。そして、サーマルヘッド加熱制御部335が、生成されたプリント用画像データに基づいて、用紙P及びインクリボンRが搬送されるのに応じて、サーマルヘッド22の発熱抵抗体22aを選択的に発熱させることによって、用紙Pには、まず、インクリボンRのインクの一つであるイエローインクYが所定の模様で転写されることとなる。
【0026】
そして、用紙供給側X1に搬送された用紙Pを再び用紙排出側X2に戻し、以上の動作を繰り返すことで、用紙Pにおいて同一の印刷範囲にイエローインクY、マゼンタインクM及びシアンインクCのそれぞれが転写されることとなり、所望のカラー画像を印刷することができる。さらに、同様の動作にてラミネート材Lを転写させる。ここで、リボン径演算部334では、ラミネート材Lを転写させるために搬送する用紙Pの搬送量をロール紙駆動処理部333による処理結果から取得する。また、リボン径演算部334は、供給側エンコーダ211c及び巻取り側エンコーダ212cからの出力により、ラミネート材Lを転写させる際の印刷開始から印刷完了までの供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aの回転角度を取得する。ここで、用紙Pは、搬送機構10により、ロール紙駆動処理部333から指令される搬送速度及び搬送量で正確に搬送されている。また、印刷時において用紙PとインクリボンRとは等しい搬送速度及び搬送量で搬送されている。このため、リボン径演算部334では、用紙Pの搬送量をインクリボンRの搬送量Aとして、供給側ローラ21a及び巻取り側ローラ212aのそれぞれの回転角度θ(rad)との関係から、リボン径Bを<B=A/θ>の関係により演算によって求めることができる。そして、リボン径演算部334は、リボン径の演算結果をインクリボン巻取/巻戻処理部332に入力する。このため、インクリボン巻取/巻戻処理部332では、次の印刷において、新たに入力された供給側及び巻取り側のそれぞれのリボン径を参照して、供給側モータ211b及び巻取り側モータ212bを駆動させてインクリボンRを搬送させて印刷を行うことができる。
【0027】
以上のように本実施形態のプリンタ1では、リボン径演算部334で上記のとおりリボン径を演算することにより、常に正確なリボン径をもって供給側モータ211b及び巻取り側モータ212bを制御することができ、適切な張力を与えつつ、用紙Pの搬送速度及び搬送量と正確に同期させてインクリボンRを搬送させ、印刷を行うことができる。ここで、上記リボン径の取得においては、印刷動作を行うために最低限必要な搬送機構10、供給側モータ211b、巻取り側モータ212b、回転角度検出手段2である供給側エンコーダ211c及び巻取り側エンコーダ212cのみを利用するだけのものであり、別途他の構成を必要としていない。このため、低コストかつ簡略な構成としつつ、上記のとおりリボン径演算部334により正確なリボン径を取得し、色ズレ等の無い良好な印刷を行うことができる。また、本実施形態では、リボン径演算部334によるリボン径の取得を、インクリボンRの内、ラミネート材Lを転写するときに行っている。そして、ラミネート材Lは、インクと異なり、用紙Pの印刷範囲一様に転写されることとなり、ラミネート材Lの転写の際には、インクリボンR、用紙Pともに印刷開始から終了まで一様な抵抗で搬送されることとなる。このため、インクリボンRの搬送量と用紙Pの搬送量との関係をより正確なものとすることができるので、用紙Pの搬送量、及び、回転角度検出手段2により検出された回転角度によって、より正確なリボン径を検出することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0029】
なお、上記実施形態では、リボン径演算部334によるリボン径の検出は、一印刷範囲毎に、ラミネート材Lを転写させる際に行うものとしたが、これに限るものではない。例えば、一印刷範囲おきに行ったり、若しくは、一印刷範囲において、各インクを印刷する際にもリボン径の検出を行うものとしても良い。または、一印刷範囲を単位として行うことなく、用紙を任意の搬送量として、該搬送量と対応する供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aの回転角度を検出するものとしても良い。例えば、一印刷範囲を印刷している途中において、所定の搬送量を搬送した時の供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aの回転角度を検出し、これらに基づいてリボン径を演算しても良い。若しくは、印刷と別工程にて、所定の搬送量だけ用紙及びインクリボンを送りつつ、その際の用紙の搬送量と、検出された供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aの回転角度に基づいてリボン径を演算しても良い。
【0030】
また、上記実施形態では、供給側、巻取り側両方において、供給側ローラ211a及び巻取り側ローラ212aの回転角度を検出し、これによりリボン径を演算するものとしたが、これに限るものではなく、いずれか一方としても良い。仮に一方のみとしても、インクリボンRの総延長に基づいて他方のリボン径を演算により求めることも可能である。
また、上記実施形態では、リボン径演算部334は、ロール紙駆動処理部333から用紙の搬送量を取得するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ロール紙駆動処理部333からモータ駆動処理部35に入力された信号を該モータ駆動処理部35を介して取得して、これに基づいて用紙の搬送量を取得するものとしても良い。また、プリント用画像データ生成部331から生成されたプリント用画像データを取得し、該プリント用画像データから、自ら必要とされる用紙の搬送量を求めても良い。少なくとも、用紙の搬送量と関係する情報を取得することで、他の構成を必要とすることなく、該情報から用紙の搬送量を取得し、これに基づいてリボン径を演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施形態のプリンタの側面図である。
【図2】この発明の実施形態のプリンタのブロック図である。
【図3】この発明の実施形態のプリンタで使用されるインクリボンの詳細図である。
【符号の説明】
【0032】
1 プリンタ
2 回転角度検出手段
10 搬送機構
211 インクリボン供給部
211a 供給側ローラ
211b 供給側モータ
212 インクリボン巻取り部
212a 巻取り側ローラ
212b 巻取り側モータ
334 リボン径演算部(リボン径演算手段)
35 モータ駆動制御部
Y、C、M インク
L ラミネート材
P 用紙(印刷媒体)
R インクリボン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の用紙搬送経路に沿って搬送される印刷媒体にインクリボンのインクを転写させて印刷を行うプリンタであって、
前記印刷媒体を搬送する搬送機構と、
前記インクリボンがロール状に巻かれた供給側ローラ、及び、該供給側ローラを回転させる供給側モータを有するインクリボン供給部と、
前記供給側ローラから巻き出されて前記用紙搬送経路と対応して設定された所定のリボン搬送経路に沿って搬送される前記インクリボンをロール状に巻き取る巻取り側ローラ、及び、該巻取り側ローラを回転させる巻取り側モータとを有するインクリボン巻取り部と、
前記供給側ローラまたは前記巻取り側ローラの少なくとも一方の回転角度を検出する回転角度検出手段と、
前記搬送機構による前記印刷媒体の搬送量、及び、対応して前記回転角度検出手段で検出される回転角度から、対応する前記供給側ローラまたは前記巻取り側ローラに巻かれた前記インクリボンのリボン径を演算するリボン径演算手段と、
該リボン径演算手段によって演算されたリボン径に基づいて、前記供給側モータ及び前記巻取り側モータを制御するモータ駆動制御部とを備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記インクリボンとして少なくとも一種類のインクと、ラミネート材とが交互に塗布されたものを使用し、
前記リボン径演算手段は、前記インクリボンの前記ラミネート材を転写させる際の前記印刷媒体の搬送量及び前記回転角度検出手段で検出された回転角度から、前記インクリボンのリボン径を演算することを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
所定の用紙搬送経路に沿って搬送される印刷媒体にインクを転写するためにローラにロール状に巻かれた状態から巻き出され、または、ロール状に巻き取られるインクリボンのリボン径検出方法であって、
前記印刷媒体の搬送量を取得する第一のステップと、
前記印刷媒体の搬送と対応して回転する前記ローラの回転角度を取得する第二のステップと、
取得された前記印刷媒体の搬送量及び前記ローラの回転角度から、前記ローラに巻かれた前記インクリボンのリボン径を演算する第三のステップとを備えることを特徴とするインクリボンのリボン径検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載のインクリボンのリボン径検出方法において、
前記インクリボンとして少なくとも一種類のインクと、ラミネート材とが交互に塗布されたものを使用し、
前記第一のステップ、前記第二のステップ、及び、前記第三のステップは、前記ラミネート材を前記印刷媒体に転写する際に行われることを特徴とするインクリボンのリボン径検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−42525(P2010−42525A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206188(P2008−206188)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】