説明

プリンタドライバ

【課題】 何種類もの用紙サイズおよび印刷の向きが混在する文書データをN−up印刷するときに、用紙サイズ単位あるいは印刷の向き単位で異なるN−up設定が簡単に行えるプリンタドライバを提供する。
【解決手段】 複数ページの内容を1ページにまとめて印刷するN−up機能を有し、前記N−up機能の設定を文書データの用紙サイズ毎に設定する設定手段と、前記設定手段で設定された用紙サイズ毎のN−up設定に基づき文書データの各ページの割付を行う手段とを有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの応用ソフトからプリンタへ印刷を行う場合に、応用ソフト上の文書データをプリンタが処理できる印刷データに変換する役割を担い、複数ページの内容を1ページにまとめて印刷するN−up機能を有するプリンタドライバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
応用ソフトで作成された文書データをプリンタで印刷する場合、基本ソフトにインストールされたプリンタドライバが使用される。プリンタドライバは、用紙サイズや印刷部数、例えば、ステープルなど機種固有の印刷機能を指定する画面を有し、これらの印刷条件にしたがって応用ソフト上の文書データをプリンタが処理できる印刷データに変換している。
【0003】
応用ソフトの中には、例えば、Microsoft社(登録商標)のWordや、アドビシステムズ社のAdobe Reader(登録商標)のように、用紙サイズの混在した文書データを同一文書データとして扱うことができるものがある。また、プリンタドライバには、複数ページを1ページにまとめて印刷するN−up機能を有するものがあり、印刷する用紙の枚数を節約することができる。
【0004】
用紙サイズの混在した文書データをN−up機能で複数ページを1ページにまとめて印刷すると、各ページ毎に拡大縮小率が異なり、見易いページと見難いページができてしまうという問題があった。
【0005】
特許文献1に記載の印刷制御装置では、ページ単位で異なるN−up設定が行えるようにして、印刷対象文書の各ページ毎に適切な割り付けを実現している。例えば、「1、5−7、8」ページは1up、「2−4」ページは2upという設定が可能である。
【0006】
一方、特許文献2に記載のプリンタドライバでは、基本印刷条件と例外印刷条件を切り替えることができる。例えば、「A4サイズ、2up」を基本印刷条件とし、切換印刷条件「用紙サイズ:A3、B4、B5」で、例外印刷条件「1up」という設定が可能である。
【0007】
【特許文献1】特開2005−322040号公報
【特許文献2】特開2005−250606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1は、文書データのページ単位でN−up設定を行うため、文書データが編集されてページ順序が変更された場合など、プリンタドライバの設定画面でN−upのページ範囲指定をし直さなければならなかった。
【0009】
また、特許文献2は、基本印刷条件と例外印刷条件とを簡易な操作で詳細に指定でき、ひとつの印刷ジョブにおいてページ単位で異なる印刷条件での印刷を実現しているが、3種類以上の用紙サイズが混在した文書を異なるN−up設定で印刷することができなかった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、何種類もの用紙サイズおよび印刷の向きが混在する文書データをN−up印刷するときに、用紙サイズ単位あるいは印刷の向き単位で異なるN−up設定が簡単に行えるプリンタドライバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、コンピュータの応用ソフトからプリンタに印刷する場合に、文書データをプリンタで扱うことのできる印刷データに変換するプリンタドライバであって、複数ページの内容を1ページにまとめて印刷するN−up機能を有し、前記N−up機能の設定を文書データの用紙サイズ毎に設定する設定手段と、前記設定手段で設定された用紙サイズ毎のN−up設定に基づき文書データの各ページの割付を行う手段とを有することを特徴とする
また、前記設定手段は、文書データの用紙の向き毎に設定する手段と、前記割付を行う手段は、前記設定手段で設定された用紙の向き毎のN−up設定に基づき文書データの各ページの割付を行う手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成により、用紙サイズ毎に複数の設定をすることができ、例えば、A4、A3、A5サイズの用紙が混在する文書データを、A4用紙にN−up印刷する場合、A4のページは2up、A5のページは4up、A3のページは1upで印刷するといった設定が簡単にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図2に、本発明の一実施例を説明するための全体構成を示す。コンピュータ1上には基本ソフト6、応用ソフト5、プリンタドライバ7が組み込まれており、コンピュータ1とプリンタ2は通信手段3で結ばれている。
【0014】
文書データ4をプリンタ2で印刷する場合、応用ソフト5は文書データ4を読み込んで基本ソフト6を経由してプリンタドライバ7に印刷を指示する。プリンタドライバ7は、基本ソフト6から伝達される文書データ4の各描画内容を、プリンタ2で処理できる印刷データ8に変換する。印刷データ8は、基本ソフト6を経由して通信手段3によりプリンタ2に送信され印刷が行われる。
【0015】
応用ソフト5は、A4サイズ・A5サイズ・A3サイズなど、異なるサイズの用紙や文書の向き(縦・横)が混在する文書データ4を扱うことができる。
【0016】
プリンタドライバ7の主要部は、ユーザインタフェース10、印刷データ生成部12から構成される。
【0017】
ユーザインタフェース10は印刷設定画面11を表示し、ユーザは用紙サイズや印刷部数、両面印刷などの印刷条件や、ステープルなどのプリンタ2固有の印刷機能に関する印刷条件を指定することができる。印刷設定画面11で指定された印刷条件は、印刷設定情報13としてコンピュータ1の記憶装置に保持される。
【0018】
印刷データ生成部12は、基本ソフト6と連携しながら、応用ソフト5から基本ソフト6経由で伝達される文書データ4の描画内容を、プリンタ2で処理することができる印刷データ8に変換する。このとき、印刷データ生成部12は、印刷設定情報13を参照し、ユーザが指定した用紙サイズや印刷部数などの印刷条件にしたがってプリンタ2を制御するための制御コードを印刷データ8に挿入する。
【0019】
図1−a、図1−bに、本発明のプリンタドライバの一実施例を説明する印刷設定画面11a、11bを示す。文書全体の設定をする20と文書サイズ毎に設定する40は、互いに排他関係にあり、文書全体の設定をする20を選択すると文書サイズ毎に設定する40は非選択状態となり、文書サイズ毎に設定する40を選択すると文書全体の設定をする20は非選択状態となる。
【0020】
印刷設定画面11aに示すように文書全体の設定をする20を選択した場合、文書サイズ21、文書の向き22、出力サイズ23、N−up24の各メニューが選択可能な状態となり、文書データ4全体を文書サイズ21、文書の向き22、出力サイズ23、N−up24の設定にしたがって印刷することができる。このとき、文書サイズ41、文書の向き42、出力サイズ43、N−up44の各メニューは選択不可能な状態になる。文書サイズ21は、基本ソフト6でサポートされているすべての用紙サイズの中から指定することができる。文書の向き22は、縦または横を指定することができる。プリンタ2で、A4・A5・A3・B4の用紙がサポートされている場合、出力サイズ23は、A4・A5・A3・B4の何れかを指定することができる。N−up24は、1up・2up・4up・6up・8up・12up・16upの中から指定することができる。
【0021】
印刷設定画面11bに示すように、文書サイズ毎に設定する40を選択した場合、文書サイズ41、文書の向き42、出力サイズ43、N−up44の各メニューが選択可能な状態となり、文書データ4の各ページ毎の用紙設定を印刷条件(文書サイズ41・文書の向き42)として出力サイズ43とN−upの指定をすることができる。このとき、文書サイズ21、文書の向き22、出力サイズ23、N−up24の各メニューは選択不可能な状態になる。文書サイズ41は、基本ソフト6でサポートされているすべての用紙サイズの中から指定することができる。文書の向き42は、縦/横・縦・横の中から指定することができる。「縦/横」80は、文書の向きが縦のときでも横のときでも印刷条件を同じ設定にするときに選択する。プリンタ2で、A4・A5・A3・B4の各用紙がサポートされている場合、出力サイズ43は、A4・A5・A3・B4の中から指定することができる。N−up44は、1up・2up・4up・6up・8up・12up・16upの中から指定することができる。
【0022】
印刷設定画面11bでは、文書データ4のA4縦とA4横のページはA4用紙に2−upで印刷し、A5縦のページはA4用紙に4−upで印刷し、「A4縦・A4横・A5縦」以外のページはA4用紙に1−upで印刷するための設定例を示している。
【0023】
第1番目の設定行51の文書サイズ41には、基本ソフト6でサポートされているすべての用紙サイズが表示される。第2番目以降の設定行52の文書サイズ41には、基本ソフト6でサポートされているすべての用紙サイズと「設定の取り消し」(不図示)が表示される。「設定の取り消し」を選択すると、その行の設定内容は直ちに破棄され、次の行以降の設定内容が1行ずつ上詰めされる。
【0024】
また、第2番目以降の最下行53の文書サイズ41には、常に「その他」70を表示する。最下行53の文書サイズ41で「その他」70以外の用紙サイズを選択したときは、次の行を選択可能な状態にして文書サイズ41を「その他」70にする。
【0025】
また、スクロールバー62を操作することによって第6番目以降の設定も可能である。OKボタン60を押すと、印刷設定画面11の内容が印刷設定情報13に書き出される。一方、Cancelボタン61を押すと、印刷設定画面11の内容は破棄されて印刷設定情報13の内容は変更されない。
【0026】
図3に、印刷データ生成部12の処理の流れを示す。印刷データ生成部12は、印刷指示を受けると印刷設定情報13を読み込む。文書全体の設定をする20が選択されていた場合には、文書サイズ21、文書の向き22、出力サイズ23、N−up24それぞれの印刷条件にしたがって印刷データ8を生成する。例えば、図2の文書データ4を、図1の11aの設定で印刷すると、図2の印刷結果18aのようになる。
【0027】
一方、文書サイズ毎に設定する40が選択されていた場合には、文書データ4の各ページ毎の用紙設定(サイズ・向き)に一致する印刷条件(文書サイズ41・文書の向き42)を検索する。検索結果に基づき印刷設定(出力サイズ43・N−up44)にしたがって印刷データ8を生成する。例えば、図2の文書データ4を、図1の11bの設定で印刷すると、図2の印刷結果18bのようになる。
【0028】
本発明のプリンタドライバは、用紙サイズが混在する文書データを異なるN−up設定で印刷するときや、用紙サイズの異なる複数の文書データを異なるN−up設定で印刷するときに有効である。
【0029】
上記した本発明の構成により、用紙サイズ毎に複数の設定をすることができ、例えば、A4、A3、A5サイズの用紙が混在する文書データを、A4用紙にN−up印刷する場合、A4のページは2up、A5のページは4up、A3のページは1upで印刷するといった設定が簡単にできる。
【0030】
また、すべてのページを同じN−up指定で印刷する場合にも対応できる。
【0031】
さらに、応用ソフト上の文書データが編集されてページ順序が変わった場合でも、N−up機能に関する設定をし直すことなく、文書データの編集前と同じ形態の印刷をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1−a】本発明によるプリンタドライバの印刷設定画面の説明図(文書全体の設定選択時の表示)。
【図1−b】本発明によるプリンタドライバの印刷設定画面の説明図(文書サイズ毎の選択時の表示)。
【図2】本発明によるプリンタドライバを含む印刷環境の説明図。
【図3】印刷データ生成部の処理フローの説明図。
【符号の説明】
【0033】
1:コンピュータ、2:プリンタ、3:通信手段、4:文書データ、5:応用ソフト、6:基本ソフト、7:プリンタドライバ、8:印刷データ、10:ユーザインタフェース、11:印刷設定画面、12:印刷データ生成部、18:印刷結果、20:文書全体の設定をするボタン、21:文書サイズ、22:文書の向き、23:出力サイズ、24:N−up、40:文書サイズ毎に設定するボタン、41:文書サイズ、42:文書の向き、43:出力サイズ、44:N−up、51:第1番目の設定行、52:第2番目以降の設定行、53:第2番目以降の最下行、60:OKボタン、61:Cancelボタン、62:スクロールバー、70:その他、80:縦/横である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータの応用ソフトからプリンタに印刷する場合に、文書データをプリンタで扱うことのできる印刷データに変換するプリンタドライバであって、
複数ページの内容を1ページにまとめて印刷するN−up機能を有し、前記N−up機能の設定を文書データの用紙サイズ毎に設定する設定手段と、前記設定手段で設定された用紙サイズ毎のN−up設定に基づき文書データの各ページの割付を行う手段とを有することを特徴とするプリンタドライバ。
【請求項2】
前記設定手段は、文書データの用紙の向き毎に設定する手段と、前記割付を行う手段は、前記設定手段で設定された用紙の向き毎のN−up設定に基づき文書データの各ページの割付を行う手段とを有することを特徴とするプリンタドライバ。

【図1−a】
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【図1−b】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−257563(P2008−257563A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100414(P2007−100414)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】