説明

プリンタヘッド及び画像形成装置

【課題】大型化を招くことなく、外部からの振動による影響を小さくすることができるプリンタヘッドを提供する。
【解決手段】 基板301、光源、ロッドレンズアレイ304、ハウジング306、及び架設部材310などを有している。光源は、Y軸方向に沿って配列された複数のLED素子を有し、基板301上に実装されている。ロッドレンズアレイ304は、光源から射出された複数の光束を、それぞれ感光体ドラム表面の近傍で集光させる。ハウジング306は、Y軸方向を長手方向とする天板と、X軸方向に関して対向する2つの側板とを有し、基板301及びロッドレンズアレイ304を保持している。架設部材310は、ハウジング306の2つの側板の−Z側の端部を部分的に架設し、プリンタヘッドの剛性を高めている。また、架設部材310のY軸方向における位置を変更することによって、ハウジング306の固有振動数が調整されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタヘッド及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、感光体表面に近接して配置されるプリンタヘッド、及び該プリンタヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の発展に伴い、スモールオフィス(小規模事務所)及びホームオフィスでのプリンタの需要が増加している。
【0003】
そして、光源としてLEDアレイ素子(LEDアレイチップ)を有するプリンタヘッドを備えるプリンタは、半導体レーザを光源とする光走査装置を備えるプリンタよりも、小型化及び低価格化が比較的容易であることから、スモールオフィス向け、及びホームオフィス向けのプリンタに適している。
【0004】
ところで、上記プリンタヘッドを備えるプリンタでは、該プリンタヘッドを感光体表面に近接して配置する必要がある。この場合、プリンタの装置内で発生した振動の振動数が、プリンタヘッドの固有振動数に近いときには、プリンタヘッドが共振し、その振幅が急増して、感光体上における光スポットの位置が変動するおそれがあった。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1には、発光素子アレイを実装した基板を搭載する基板台と、レンズを列状に配置したレンズアレイを支持するレンズ支持部材とを備え、基板台は、ヘッド長手方向にわたり所定の間隔で、レンズ支持部材側の側面に突出したピンを備え、レンズ支持部材は、ピンを貫通するための穴を備え、基板台とレンズ支持部材とは、穴に挿入されたピンの周辺に注入された接着剤によって固定されている光書き込みヘッドが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている光書き込みヘッドでは、大型化を招くという不都合があった。また、該光書き込みヘッドでは、環境温度が変化すると、発光素子とレンズとの位置関係が変化するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の観点からすると、第1の方向に沿って配列された複数の発光部を有する光源と、前記光源から前記第1の方向に直交する第2の方向に射出された複数の光束をそれぞれ集光する光学系と、前記光学系を保持する天板と、前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれにも直交する第3の方向に関して前記光源を挟んで対向し、前記第2の方向の一側端部近傍が前記天板に固定されている2つの側板とを有するハウジングと、前記2つの側板における前記第2の方向の他側端部の一部を架設する少なくとも1つの架設部材と、を備えるプリンタヘッドである。
【0008】
本発明は、第2の観点からすると、像担持体と、前記像担持体に光束を照射する本発明のプリンタヘッドと、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプリンタヘッドによれば、大型化を招くことなく、外部からの振動の影響を小さくすることができる。
【0010】
本発明の画像形成装置によれば、画像品質の低下を招くことなく、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【図2】プリンタヘッドと感光体ドラムの位置関係を説明するための斜視図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】プリンタヘッドを説明するための図(その1)である。
【図5】プリンタヘッドを説明するための図(その2)である。
【図6】プリンタヘッドからハウジングと架設部材を取り除いた状態を説明するための図である。
【図7】光源及び光源駆動装置を説明するための図である。
【図8】ロッドレンズアレイを説明するための図である。
【図9】プリンタヘッドのハウジングを説明するための図(その1)である。
【図10】プリンタヘッドのハウジングを説明するための図(その2)である。
【図11】架設部材を説明するための図(その1)である。
【図12】架設部材を説明するための図(その2)である。
【図13】架設部材の取り付けを説明するための図である。
【図14】Y軸方向に関する架設部材の中心位置とプリンタヘッドの一次共振周波数との関係を説明するための図である。
【図15】架設部材の効果を説明するための図である。
【図16】架設部材の位置の調整を説明するための図である。
【図17】架設部材の変形例1を説明するための図(その1)である。
【図18】架設部材の変形例1を説明するための図(その2)である。
【図19】変形例1の架設部材がない場合のプリンタヘッドの振動解析結果を説明するための図である。
【図20】変形例1の架設部材がある場合のプリンタヘッドの振動解析結果を説明するための図である。
【図21】架設部材の変形例2を説明するための図(その1)である。
【図22】架設部材の変形例2を説明するための図(その2)である。
【図23】複数の架設部材を有する場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0013】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、4つの感光体ドラム(1K、1C、1M、1Y)、4つの帯電器(2K、2C、2M、2Y)、4つのプリンタヘッド(3K、3C、3M、3Y)、4つの現像器(4K、4C、4M、4Y)、4つの転写ローラ(5K、5C、5M、5Y)、4つのクリーニングユニット(6K、6C、6M、6Y)、中間転写ベルト201、搬送ベルト202、2次転写ローラ203、定着器204、給紙トレイ205、給紙コロ206、通信制御装置208、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置209などを備えている。
【0014】
通信制御装置208は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0015】
プリンタ制御装置209は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。
【0016】
感光体ドラム1K、帯電器2K、プリンタヘッド3K、現像器4K、転写ローラ5K、及びクリーニングユニット6Kは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0017】
感光体ドラム1C、帯電器2C、プリンタヘッド3C、現像器4C、転写ローラ5C、及びクリーニングユニット6Cは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0018】
感光体ドラム1M、帯電器2M、プリンタヘッド3M、現像器4M、転写ローラ5M、及びクリーニングユニット6Mは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0019】
感光体ドラム1Y、帯電器2Y、プリンタヘッド3Y、現像器4Y、転写ローラ5Y、及びクリーニングユニット6Yは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0020】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
【0021】
各帯電器は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0022】
各プリンタヘッドは、プリンタ制御装置209の指示により、対応する色の画像情報に基づいて、対応する帯電された感光体ドラムの表面に光束を照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像器の方向に移動する。なお、各プリンタヘッドの詳細については後述する。
【0023】
各現像器は、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って対応する転写ローラの方向に移動する。
【0024】
各転写ローラは、トナー画像を中間転写ベルト201に転写する。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、中間転写ベルト201上で重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0025】
給紙トレイ205には記録紙が格納されている。この給紙トレイ205の近傍には給紙コロ206が配置されており、該給紙コロ206は、記録紙を給紙トレイ205から1枚ずつ取り出し、所定のタイミングで搬送ベルト202上に向けて送り出す。
【0026】
搬送ベルト202上の記録紙は、中間転写ベルト201に向かって移動し、2次転写ローラ203によって、中間転写ベルト201上のカラー画像が転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着器204に送られる。
【0027】
定着器204では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ(図示省略)を介して排紙トレイ(図示省略)に送られ、該排紙トレイ上に順次積み重ねられる。
【0028】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電器に対向する位置に戻る。
【0029】
次に、各プリンタヘッドの詳細について説明する。
【0030】
4つのプリンタヘッドは、同様な構成を有している。そこで、ここでは、代表として、Kステーションのプリンタヘッド3Kについて詳細に説明する。
【0031】
プリンタヘッド3Kは、感光体ドラム1Kとの間隔が一定に保たれるように、両端が面板(図2参照)で支持されている。各面板は、図3に示されるように、プリンタヘッド3Kの端部が突き当てられる突き当て部を有している。そして、プリンタヘッド3Kは、板ばねとコイルばねとによって各面板の突き当て部に固定されている。また、面板によって、感光体ドラム1Kの回転中心と、現像器4Kにおける現像ローラの回転中心と、プリンタヘッド3Kとの相対的な位置関係が決定されている。
【0032】
プリンタヘッド3Kは、一例として図4及び図5に示されるように、基板301、光源302、光源駆動装置303、ロッドレンズアレイ304、コネクタ305、ハウジング306、及び架設部材310などを有している。図5は、図4の断面図である。
【0033】
ここでは、XYZ3次元直交座標系において、感光体ドラム1Kの軸方向(長手方向)をY軸方向、プリンタヘッド3Kからの光束の射出方向をZ軸方向として説明する。
【0034】
図6には、プリンタヘッド3Kからハウジング306と架設部材310を取り外した状態が示されている。
【0035】
基板301は、Y軸方向を長手方向とする長方形状の板状部材である。
【0036】
光源302は、一例として図7に示されるように、複数のLEDアレイを有している。該複数のLEDアレイは、Y軸方向に沿って配列され、基板301の+Z側の面に実装されている。そして、各LEDアレイは、Y軸方向に沿って配列された複数のLED素子を有している。各LED素子は、+Z方向に光束を射出する。
【0037】
例えば、A4幅(210mm)に対応可能で、書き込み密度が600dpiの場合、約42.3μm間隔で4960個のLED素子が必要である。このとき、100個のLED素子を有するLEDアレイを用いると、50個のLEDアレイが基板301上に実装されることになる。
【0038】
また、例えば、A3幅(297mm)に対応可能で、書き込み密度が1200dpiの場合、約21.2μm間隔で14009個のLED素子が必要である。このとき、100個のLED素子を有するLEDアレイを用いると、141個のLEDアレイが基板301上に実装されることになる。
【0039】
光源駆動装置303は、一例として図7に示されるように、複数のLEDアレイに対応して複数の駆動用ICチップを有している。該複数の駆動用ICチップは、Y軸方向に沿って配列され、基板301の+Z側の面に実装されている。各駆動用ICチップには、複数の駆動用トランジスタが集積されており、LED素子ひとつに駆動用トランジスタひとつが対応している。
【0040】
コネクタ305は、基板301の−Z側の面に取り付けられている。該コネクタ305には、プリンタ制御装置209からの伝送ケーブルが接続される。
【0041】
ロッドレンズアレイ304は、光源302の+Z側に配置されている。そして、ロッドレンズアレイ304は、光源302から射出された複数の光束を、それぞれ感光体ドラム表面の近傍で集光させる。ここでは、ロッドレンズアレイ304は、いわゆる等倍結像光学系である。
【0042】
ロッドレンズアレイ304は、一例として図8に示されるように、複数のロッドレンズ304_1が束ねられたものである。該複数のロッドレンズ304_1は、Y軸方向に沿っていわゆる千鳥配列されている。
【0043】
各ロッドレンズは、Z軸方向を高さ方向とする円柱状で、半径方向に2次曲線状の屈折率分布を有する、いわゆる屈折率分布型ロッドレンズである。複数のロッドレンズ304_1の隙間には不透明樹脂304_2が充填、硬化されており、ロッドレンズ間に漏れるフレア光を抑えている。
【0044】
そして、複数のロッドレンズ304_1は、X軸方向に関する両側から、ロッドレンズと同等の線膨張係数をもつガラス粉が分散されている樹脂製の部材304_3で保持されている。
【0045】
なお、ロッドレンズアレイ304に代えて、マイクロレンズアレイを用いても良い。
【0046】
ハウジング306は、一例として図9及び図10に示されるように、天板と2つの側板とを有している。天板は、Y軸方向を長手方向とする長方形状であり、中央部に、Y軸方向を長手方向とする開口を有している。該開口には、ロッドレンズアレイ304が挿入される。すなわち、天板は、ロッドレンズアレイ304を保持する。
【0047】
2つの側板は、X軸方向に関して対向している。2つの側板の+Z側の端面は、天板に固定されている。また、2つの側板の対向する面には、Y軸方向に延びる溝が形成されている。各溝には基板301が挿入される。ここでは、各溝は、光源302がロッドレンズアレイ304に対して所望の位置及び姿勢となるように形成されている。
【0048】
なお、X軸方向に関するハウジング306の外形寸法をW、Y軸方向に関するハウジング306の外形寸法をL、2つの側板の間隔をDとする。
【0049】
天板及び2つの側板は、導電性を有し、熱膨張係数の小さい材料でできている。この場合は、駆動用ICチップの発熱によって、光源302とロッドレンズアレイ304との位置関係が変化するのを抑制することができる。
【0050】
ところで、プリンタヘッド3Kの周辺には、帯電器2K、現像器4K、転写ローラ5K、クリーニングユニット6K等の多くの部材が配置されている。そこで、プリンタヘッド3Kは、他の部材との干渉を避けるために、X軸方向に関する寸法を薄くする必要がある。このため、天板のX軸方向における寸法Wをできるだけ小さくしている。
【0051】
架設部材310は、一例として図11及び図12に示されるように、架設部と2つのガイド部とを有している。
【0052】
架設部は、XY面に平行な部分であり、2つのガイド部は、架設部のX軸方向における端面から+Z方向に延設された部分である。2つのガイド部のX軸方向に関する間隔は、上記天板のX軸方向における寸法Wと略同じである。また、Y軸方向に関する架設部材310の外形寸法は0.1Lである。
【0053】
架設部材310は、一例として図13に示されるように、ハウジング306における2つの側板の−Z側の端面の一部が架設部に突き当たるように取り付けられる。すなわち、ここでは、架設部材310は、2つの側板の一部を外側から挟む形状を有している。
【0054】
ところで、従来、プリンタヘッドをプリンタ筐体に固定する方法として、プリンタ筐体に設けられている位置決め部材に、プリンタヘッドの長手方向における両端部を、板ばね等を用いて保持する方法、ブラケットを介してボルトで固定する方法、ハンダ付けによって固定する方法などが採用されている。
【0055】
このとき、プリンタヘッドが両端部のみで固定されている場合には、プリンタの装置内部で発生する振動により、感光体ドラム表面での光スポットの位置の変動や光量ムラを生じるおそれがあった。これらは、出力画像の品質を低下させる。
【0056】
本実施形態では、ハウジング306の2つの側板の−Z側の端部を部分的に架設部材310で架設することによって、プリンタヘッドの剛性を高めている。
【0057】
図14には、Y軸方向に関する架設部材310の中心位置とプリンタヘッドの一次共振周波数との関係が示されている。図14におけるf0は、架設部材310が取り付けられていないときのプリンタヘッドの一次共振周波数である。また、Lは、プリンタヘッドのY軸方向の寸法である。
【0058】
図14によると、架設部材310を取り付けるとプリンタヘッドの一次共振周波数はf0よりも大きくなり、架設部材310の中心位置がL/2のときに、プリンタヘッドの一次共振周波数は最大となる。なお、この一次共振周波数の最大値をf1とする。
【0059】
この場合、一例として図15に示されるように、プリンタの装置内で発生する振動の周波数がf0[Hz]のとき、架設部材310が取り付けられる前は、プリンタヘッドは、変位aの大きな振動を生じていたが、架設部材310が取り付けられることにより、プリンタヘッドの一次共振周波数がf1[Hz]にシフトし、変位をa’まで小さくすることができる。
【0060】
そこで、図16に示されるように、架設部材310をY軸方向に沿ってスライドさせ、架設部材310のY軸方向における位置を変更することによって、ハウジング306の固有振動数を調整することができる。これにより、プリンタヘッドの個体差による固有振動数のばらつきを調整することができる。
【0061】
ところで、プリンタヘッドが搭載されるプリンタの機種や、プリンタの設置環境によって、出力画像の劣化の原因となる振動の周波数が異なる場合がある。このような場合であっても、架設部材310をY軸方向に沿ってスライドさせて、プリンタヘッドの固有振動数を調整することにより、出力画像の劣化を抑制することができる。
【0062】
Y軸方向に関して位置調整された架設部材310の固定方法としては、側板からの押圧による保持、UV接着剤による接着、ねじ止め、板ばねによる保持など、適宜選択することができる。
【0063】
また、ここでは、架設部材310の材質は、ハウジング306の材質と同じである。この場合は、環境温度が変化しても、ハウジング306の変形を抑制することができる。なお、環境温度の変化を考慮する必要がない場合は、架設部材310の材質と、ハウジング306の材質とが異なっていても良い。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る各プリンタヘッドによると、基板301、光源302、光源駆動装置303、ロッドレンズアレイ304、ハウジング306、及び架設部材310などを有している。
【0065】
光源302は、Y軸方向に沿って配列された複数のLED素子を有し、基板301上に実装されている。ロッドレンズアレイ304は、光源302から射出された複数の光束を、それぞれ感光体ドラム表面の近傍で集光させる。
【0066】
ハウジング306は、Y軸方向を長手方向とする天板と、X軸方向に関して対向する2つの側板とを有し、基板301及びロッドレンズアレイ304を保持している。
【0067】
架設部材310は、ハウジング306の2つの側板の−Z側の端部を部分的に架設し、プリンタヘッドの剛性を高めている。
【0068】
また、架設部材310のY軸方向における位置を変更することによって、プリンタヘッドの固有振動数を調整することができる。
【0069】
そこで、各プリンタヘッドは、大型化を招くことなく、外部からの振動による影響を小さくすることができる。
【0070】
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、4つのプリンタヘッド(3K、3C、3M、3Y)を備えているため、その結果として、画像品質の低下を招くことなく、小型化を図ることができる。
【0071】
ここで、上記架設部材310の変形例について説明する。
【0072】
《変形例1》
一例として図17に示されるように、変形例1の架設部材311は、2つの側板の間に挿入される。この場合も、図18に示されるように、架設部材311をY軸方向に移動させることによって、プリンタヘッドの固有振動数を調整することができる。そして、この場合は、架設部材がハウジング306の外側に出ないため、プリンタの小型化に有利である。
【0073】
架設部材がない場合と、架設部材311がある場合とについて、シミュレーションによる振動解析を行った。架設部材がない場合の解析結果が図19に示され、架設部材311がある場合の解析結果が図20に示されている。なお、シミュレーションでは、架設部材311のY軸方向における長さは、ハウジング306の側板のY軸方向における長さLの1/10とした。また、Y軸方向に関して、架設部材311の中心と各側板の中心とが一致するようにした。
【0074】
架設部材がない場合のプリンタヘッドの固有振動数は95[Hz]であり、架設部材311がある場合のプリンタヘッドの固有振動数は114[Hz]であった。すなわち、架設部材311を取り付けることにより、プリンタヘッドの剛性が向上し、プリンタヘッドの固有振動数は約1.2倍となった。
【0075】
《変形例2》
一例として図21に示されるように、変形例2の架設部材313は、一部が2つの側板の間に挿入される形状を有している。この場合も、図22に示されるように、架設部材313をY軸方向に移動させることによって、プリンタヘッドの一次共振振動数を調整することができる。特に、この場合は、ハウジング306に対する架設部材313の着脱が容易となる。なお、架設部材313におけるハウジング306の−Z側に位置する部分のX軸方向に関する寸法をW以下とすることにより、外部の部材と干渉しにくくすることができる。また、変形例2の架設部材313は、Y軸方向に沿ってスライドさせるとき、変形例1の架設部材311に比べて、スライドさせやすい。さらに、プリンタヘッドのリサイクルに際して、架設部材が取り外ししやすく、再利用が容易である。
【0076】
なお、上記実施形態では、Y軸方向に関して架設部材313の中心位置がL/2の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0077】
また、上記実施形態では、Y軸方向に関する架設部材310の外形寸法が0.1Lの場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0078】
また、上記実施形態では、1つの架設部材313が取り付けられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図23に示されるように、3つの架設部材313が取り付けられても良い。この場合は、二次の共振周波数にも対応することができる。すなわち、n次(nは2以上の整数)の共振周波数に対応する必要があるときは、それに応じて複数の架設部材313を取り付けても良い。
【0079】
なお、上記実施形態では、画像形成装置として、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、更に補助色を用いる多色カラープリンタであっても良いし、単色の画像を形成するプリンタであっても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、画像形成装置として、プリンタの場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0081】
201…中間転写ベルト、202…搬送ベルト、203…2次転写ローラ、204…定着器、209…プリンタ制御装置、301…基板、302…光源、303…光源駆動装置、304…ロッドレンズアレイ(光学系)、306…ハウジング、310…架設部材、311…架設部材、313…架設部材、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、1K,1C,1M,1Y…感光体ドラム(像担持体)、2K,2C,2M,2Y…帯電器、3K,3C,3M,3Y…プリンタヘッド、4K,4C,4M,4Y…現像器、5K,5C,5M,5Y…転写ローラ、6K,6C,6M,6Y…クリーニングユニット。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2004−17382号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配列された複数の発光部を有する光源と、
前記光源から前記第1の方向に直交する第2の方向に射出された複数の光束をそれぞれ集光する光学系と、
前記光学系を保持する天板と、前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれにも直交する第3の方向に関して前記光源を挟んで対向し、前記第2の方向の一側端部近傍が前記天板に固定されている2つの側板とを有するハウジングと、
前記2つの側板における前記第2の方向の他側端部の一部を架設する少なくとも1つの架設部材と、を備えるプリンタヘッド。
【請求項2】
前記少なくとも1つの架設部材は、固有振動数が所望の値となるように、前記第1の方向に関する位置が調整されていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッド。
【請求項3】
前記少なくとも1つの架設部材の材質は、前記ハウジングの材質と同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタヘッド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの架設部材は、前記2つの側板の間に挿入されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリンタヘッド。
【請求項5】
前記少なくとも1つの架設部材は、一部が前記2つの側板の間に挿入されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリンタヘッド。
【請求項6】
前記少なくとも1つの架設部材は、複数の架設部材であり、
該複数の架設部材は、前記ハウジングのn次振動(nは2以上の整数)を抑制するように、前記第1の方向に関する位置が調整されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリンタヘッド。
【請求項7】
像担持体と、
前記像担持体に光束を照射する請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリンタヘッドと、を備える画像形成装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図2】
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【図3】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−254539(P2012−254539A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127802(P2011−127802)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】