説明

プリンタ装置

【課題】 印画中安定的なインターロックを行い、インクリボンカセットの取り出しを規制するストッパ部材の誤動作が行われたとしても印画品質への影響を低減することを可能にしたプリンタ装置を提供すること。
【解決手段】 プリンタ本体にインクリボンカセットを収容可能なプリンタにおいて、サーマルヘッドは印画時に待機する待機位置と、印画コマンドが与えられた後、インクリボンを搬送する、或いは用紙を搬送する為の少なくとも一つ以上のポジションを有する中間位置と、サーマルヘッドとプラテンローラが圧接して印画を行う印画位置と、を有し、サーマルヘッドが待機位置から中間位置方向へ移動する間にインターロック部材はストッパ部材の動作を規制する位置へ移動し、且つサーマルヘッドが中間位置或いは印画位置、或いはその間を移動する間は、該インターロック部材はロック状態を維持したまま駆動部との連動動作を隔絶されていることを特徴とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置に関し、特にインクリボンカセットを着脱自在に備えるプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりインクリボンカセットを着脱自在に備えるプリンタ装置が知られている。このようなプリンタは、インクリボンカセットをプリンタ本体へ装着した際、インクリボンをプリンタ本体内で保持し、固定する構造や、保持状態を解除し、取り出し可能にする構造を有している。そして、このようなインクリボンカセットは、ユーザーがインクリボン単体をプリンタ本体へ組み付けるものよりも利便性が向上している一方で、印刷中にも関わらず、容易にインクリボンカセットを取り出す事が出来てしまうという課題を抱えていた。
【0003】
そのような課題を解決する為に、従来技術として、インクリボンカセットがプリンタ本体に対して内部的にロックを掛けられる事で、印画動作中にインクリボンが取り出される事を防止するインターロック構造が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1ではインクリボンカセットをカセット装着部に装着して、プラテンローラがサーマルヘッドに圧接状態にある時、凸部から成る抜け止め手段によって、カセット装着部からのインクリボンカセットの取り出しを防ぐ構成が開示されている。
【0005】
また、特許文献2ではインクリボンリボンカセットが着脱可能に装着されるシャーシを含む装置本体と、シャーシの外側に設けられ、インクリボンカセットと係合する抜止部と、シャーシの内側に設けられる少なくとも印刷時に抜止部をロックするロック部とを備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−38976号公報
【特許文献2】特開2007−331227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、印画中の特にプラテンローラがサーマルヘッドを押圧している時のみ有効な構造であり、カラー印画など、単位印画物を生成する為に複数回印画を行う場合の印画物リターン動作などを行っている間はインクリボンカセットの取り出しを防ぐ事が出来ず、このリターン動作中に誤って抜け止めが解除されてしまった場合には、インクリボンカセットが装置外側へ排出されてしまう課題がある。
【0008】
また、上述の特許文献2に開示された従来技術では、サーマルヘッドを昇降移動させる為に支持棒(回転軸)を設け、その一端にヘッド部押圧部材を嵌合し、支持棒の回転と共にヘッド部押圧部材が回転し、サーマルヘッドを昇降させる構成をとっている。更にこの支持棒にロック部材を嵌合させ、ロック部材の回転位相により、インクリボンカセットの抜け止め部材の動作範囲内で干渉させるか否かを切り分けている。これにより印画中は抜け止め部材の動作が制限され、インクリボンカセットの取り出しを制限しているが、印画中に誤って抜け止め部材に外力が加わってしまった場合には、その外力がサーマルヘッドの昇降を制御している支持棒へ伝達されてしまい、サーマルヘッドの当接圧力の変動や当接位置がずれてしまうなどの課題が提議される。
【0009】
本発明は上記課題を解決する為のものであり、その目的は、印画中安定的なインターロックを行い、インクリボンカセットの取り出しを規制するストッパ部材の誤動作が行われたとしても印画品質への影響を低減することを可能にしたプリンタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本出願に係る第一の本発明は、プリンタ本体にインクリボンカセットを収容可能なプリンタにおいて、該プリンタはサーマルヘッドと、プラテンローラと、該サーマルヘッドの昇降動作を供給する駆動源と、該駆動源からの駆動力を受けて動作する駆動部と、該駆動部の動作に連動してインクリボンカセットのインターロックを行うロック部を有するインターロック部材と、該インクリボンカセットの装着状態を維持するストッパ部材と、を有し、
該サーマルヘッドは印画時に待機する待機位置と、印画コマンドが与えられた後、インクリボンを搬送する、或いは用紙を搬送する為の少なくとも一つ以上のポジションを有する中間位置と、該サーマルヘッドと該プラテンローラが圧接して印画を行う印画位置と、を有し、
該サーマルヘッドが待機位置から中間位置方向へ移動する間に該インターロック部材は該ストッパ部材の動作を規制する位置へ移動し、且つ該サーマルヘッドが該中間位置或いは該印画位置、或いはその間を移動する間は、該インターロック部材はロック状態を維持したまま該駆動部との連動動作を隔絶されていることを特徴とする。
【0011】
本出願に係る第二の発明は、インクリボンカセットを着脱可能なカセット装着部を有するフレームと、該駆動部の一部として構成され該フレームに一端を回転可能に保持されたアームと、該フレームに保持され該駆動源からの駆動力により回転可能に形成される駆動シャフトと、該駆動シャフトに嵌合し該アームを回動させる押圧部材と、を有し、
該押圧部材の動作により該サーマルヘッドを昇降させる事を特徴とする。
【0012】
本出願に係る第三の発明は、該インターロック部材を一方向へ付勢する付勢部材と、該インターロック部材の該ロック部に形成されるテーパ部とを有し、
該インターロック部材の移動範囲内に少なくとも該ストッパ部材の一部が滞留している場合に、該ストッパ部材を該インターロック部材の移動範囲外へ押し出すよう該インターロック部材の該テーパ部が該ストッパ部材に当接する事を特徴とする。
【0013】
本出願に係る第四の発明は、該ストッパ部材は少なくともインクリボンカセットの装着を維持する第一のストッパ部材と、該第一のストッパ部材よりも外側に突出した突起部を有する第二のストッパ部材と、該第二のストッパ部材を一方向へ付勢するストッパ付勢部材と、により構成され、
該インターロック部材の動作に連動して該第二のストッパ部材は突起部の突出量が減量する方向へ移動可能である事を特徴とする。
【0014】
本出願に係る第五の発明は、該第二のストッパ部材は該インターロック部材との連動動作により該突起部が該第一のストッパ部材よりも内側に退避可能である事を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によればプリンタ本体は、サーマルヘッドと、プラテンローラと、該サーマルヘッドの昇降動作を供給する駆動源と、該駆動源からの駆動力を受けて動作する駆動部と、該駆動部の動作に連動してインクリボンカセットのインターロックを行うロック部を有するインターロック部材と、該インクリボンカセットの装着状態を維持するストッパ部材と、を有し、該サーマルヘッドは印画時に待機する待機位置と、印画コマンドが与えられた後、インクリボンを搬送する、或いは用紙を搬送する為の少なくとも一つ以上のポジションを有する中間位置と、該サーマルヘッドと該プラテンローラが圧接して印画を行う印画位置と、を有し、該サーマルヘッドが待機位置から中間位置方向へ移動する間に該インターロック部材は該ストッパ部材の動作を規制する位置へ移動し、且つ該サーマルヘッドが該中間位置或いは該印画位置、或いはその間を移動する間は、該インターロック部材はロック状態を維持したまま該駆動部との連動動作を隔絶されているので、印画中安定的なインターロックを行う事が出来る。また、インクリボンカセットの取り出しを規制するストッパ部材の誤動作が行われたとしても誤動作による外力がサーマルヘッドへ伝達される事を低減する事で印画品質を向上することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】インターロック構造を有するプリンタ装置の概略を表す斜視図
【図2】インクリボンカセットを装着した時のプリンタ装置側面から見た図
【図3】ストッパを保持する構造を表す斜視図
【図4】サーマルヘッド押圧部材、シャフトの構造を表した斜視図
【図5】押圧部材、軸受け、及びシャフトが組み付けられた状態を表す斜視図
【図6(a)】サーマルヘッドが配置された状態を表す側面からの断面図
【図6(b)】サーマルヘッドが配置された状態を表す側面からの断面図
【図6(c)】サーマルヘッドが配置された状態を表す側面からの断面図
【図7】プリンタ装置の印刷プロセスとサーマルヘッドの昇降ポジションとの相関を表す図
【図8(a)】インターロック部材の動作を表す側面からの断面図
【図8(b)】インターロック部材の動作を表す側面からの断面図
【図8(c)】インターロック部材の動作を表す側面からの断面図
【図9(a)】インターロック部材の動作を表す側面からの断面図
【図9(b)】インターロック部材の動作を表す側面からの断面図
【図9(c)】インターロック部材の動作を表す側面からの断面図
【図9(d)】インターロック部材の動作を表す側面からの断面図
【図10(a)】ストッパの構造を表す斜視図
【図10(b)】ストッパの構造を表す斜視図
【図11(a)】インターロックがOFFの時のストッパ構造を表す図
【図11(b)】インターロックがOFFの時のストッパ構造を表す図
【図12(a)】インターロックがONの時のストッパ構造を表す図
【図12(b)】インターロックがONの時のストッパ構造を表す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
[実施例1]
以下、図1及至図9を参照して、本発明の第1の実施例を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態にかかわるインターロック構造を有するプリンタ装置の一部概略を表す斜視図である。
【0020】
本実施例ではインクリボンカセット内に配置されるインクリボンのインクを用紙に熱転写して画像の記録を行う熱転写記録型のプリント構造を例に挙げている。
【0021】
図1に示すとおり、プリンタ装置1には、サーマルヘッド3やプラテンローラ4などを保持するフレーム2が設置されている。また、フレーム2には、インクリボンカセットを着脱可能にする開口部2aが形成されている。
【0022】
図2は、インクリボンカセットを装着した時のプリンタ装置側面から見た図である。
【0023】
図2によると、インクリボンカセット6はフレーム2に形成された開口部2aに沿ってプリンタ装置1内部へ装着された後、ストッパ5によって、プリンタ装置1から外部へ飛び出す動作を規制されている。これは、印刷中にインクリボンカセットが誤って外部へ排出されてしまい、インクリボンのジャムなどを防止する為の構造である。ストッパ5は、図2中の矢印で示すところのA/B方向にスライド移動可能な構成になっており、インクリボンカセット6が内部に装着されていない状態では、ストッパ5はB方向側に寄せられた状態で静止している。次にインクリボンカセット6がプリンタ装置1内部へ挿入されると、インクリボンカセット6に形成されている係合部61と対向する位置で、係合部61とストッパ5の下端とが接触する。このままインクリボンカセット6を更にプリンタ装置1内部へ押し込むと、ストッパ5はA方向へスライド移動し、係合部61を乗り上げる形になり、更に奥部へのインクリボンカセットの挿入が可能になる。インクリボンカセット6に形成される係合部61がストッパ5よりも奥部に移動するまでインクリボンカセット6を挿入すると、やがて係合部61に乗り上げていたストッパ5はB方向へスライド移動し、インクリボンカセット6をプリンタ装置1内部から飛び出さないよう保持する。
【0024】
次に図3によって、ストッパ5のフレーム2への保持構造を説明する。
【0025】
図3は、ストッパ5を保持する構造を表す斜視図である。特に図3(a)では、ストッパ5を外側から見た斜視図、図3(b)では、ストッパ5を内側から見た斜視図を表している。
【0026】
図3(a)によると、ストッパ5は、フレーム2の側面2bに形成される切り欠き部2bから挿通可能に形成され、図中B方向へスライド移動させる事により、切り欠き部2b内で落ちる事無く、仮保持される構造になっている。また、図3(b)によると、ストッパ5には、バネ掛け部5aが、更にフレーム2を曲げ加工してなり、バネ掛け部5aに対向する位置にフレーム側バネ掛け部2cがそれぞれ形成されており、ここにバネ8の両端を組み付ける事により、ストッパ5をB方向へ常時付勢する機能を担っている。また、フレーム側面2bには図1、図2に示す通り、開口部2aに合わせた開口部7aを有するカバー7が取り付いており、このカバー7をフレーム2に組む事により、ストッパ5のA方向へのスライド移動を一部規制している。これにより、ストッパ5をA方向へスライド移動した際、フレーム2から抜け出してしまう事を防止している。
【0027】
以上のようにストッパ5を構成し、且つストッパ5を組む事によって、ストッパ5はフレーム2に保持される事になる。
【0028】
次に、印刷中、ストッパ5の誤動作によるインクリボンカセット6の排出を防止するインターロックの保持構造について、図3を用いて説明する。
【0029】
インターロックを行うインターロック部材9は、図3(a)に示すとおりフレーム側面2bに形成される溝部2d、2eに突出部9a及び9bを挿通する事で、フレーム側面2bに仮保持される。この仮保持の状態ではインターロック部材9は図3(a)中のC方向及びD方向へ自由にスライド移動が可能な状態にある。その後、カバー7を組む事で、図1及び図2のようにプリンタ装置1側面から突出部9a及び9bは、ユーザーの手に触れない格好になる。次に図3(b)では、インターロック部材9の一端にバネ掛け部9cが、更にカバー7にはバネ掛け部9cと対向する位置にカバー側バネ掛け部7bがそれぞれ形成されており、ここにバネ10の両端を組み付ける事により、インターロック部材9を図3(b)中のC方向へ常時付勢する機能を担っている。
【0030】
以上のようにインターロック部材9を構成し、且つインターロック部材9を組む事によって、インターロック部材はフレーム2に保持される事になる。
【0031】
次にサーマルヘッド3を昇降させる機構について、図4を用いて説明する。
【0032】
図4は、サーマルヘッドを昇降させるサーマルヘッド押圧部材、押圧部材が組み付くシャフトの構造を表した斜視図である。
【0033】
図4によると、シャフト11の一方及び他方の端部には、支持部11a及び11bが形成されており、サーマルヘッドを押圧する押圧部材12及び13が取り付け可能な構成になっている。さらに支持部11a及び11bよりも端部側にはシャフト11を受ける軸軸受け部11c及び11dが形成され、軸受け部11d側では、軸受け14を取り付け可能な構造になっている。シャフト11に形成されている支持部11a及び11bは、D字形状に加工された形状になっており、支持部11a及び11bに取り付けられる押圧部材12及び13の挿入孔12a及び13bにもこれに相応するD字形状の穴加工が施されている。更に押圧部材12にはサーマルヘッドを押圧するヘッド押圧部12b、インターロック部材9と当接し、インターロックのON/OFFの制御を行うインターロック当接部12cが設けられている。また、押圧部材13にはサーマルヘッド3を押圧するヘッド押圧部13c、図中指示しない駆動源から供給される駆動力を受けてシャフト11を回転させるギア部13aが設けられている。また、軸受け14には軸受け部11dが挿通される挿入孔14a、シャフト11をフレーム内で固定する為の支持部14b、引掛け部14cがそれぞれ設定されている。
【0034】
以上により、サーマルヘッド3を昇降させるシャフト11の構造が表現される。次に、シャフト11がフレーム2内に組み付けられる状態を図5を用いて説明する。
【0035】
図5は押圧部材12、13、軸受け14、及びシャフト11がフレーム2内に組み付けられた状態を表す斜視図である。
【0036】
図5によると、フレーム2には軸受け14を保持する為の切り欠き部2f及び孔2gが形成されている。シャフト11には予め押圧部材12、13、及び軸受け14が組み付けられた状態で、シャフト側軸受け部11cを孔2gへ挿通し、他端側軸受け部11dを切り欠き部2fへ載置させる。軸受け部11dには前述した通り、軸受け14が組み付けられており、切り欠き部2fに支持部14bが当接するよう設定されている。支持部14bが切り欠き部2fに当接した後、引掛け部14cをフレームに形成された孔2hへ嵌合させる事により、軸受け14はフレーム2に対して固定され、シャフト11、押圧部材12、13についてもフレームに対して支持される。
【0037】
次に図示しない駆動源からの動力が押圧部材13のギア部13aに伝達される構造を図5を用いて説明する。
【0038】
図5によると、押圧部材13のギア部13aに噛合うギア部15bを有する従動ギア15がフレーム2に回転自在に支持されている。この従動ギア15は主に図示しない駆動源からの動力が伝達されるギア部15aと、駆動力を押圧部材13、シャフト11へ伝達する15bと、フレームに回転可能に固定される図示しない支持部で構成される。このギア部15a及び15bは一体的に形成されている為、駆動源からの動力がギア部15aへ与えられ、ギア部15aが回転した場合には、相応してギア15bも回転する事になる。これによりギア15bに噛合うギア部13aへ動力が伝達され、シャフト11が回転する。
【0039】
以上により、駆動源からの動力が従動ギア15へ伝達されると、シャフト11が回転し、サーマルヘッド3を昇降させる押圧部材12、13が回転する構造が表現される。次に押圧部材12、13の動作と、サーマルヘッド3の動作について図6を用いて説明する。
【0040】
図6(a)はサーマルヘッド3が配置された状態を表す側面からの断面図である。
【0041】
図6(a)によると、サーマルヘッド3はアーム16の自由端側に対して、図中には明示しない放熱板などと連結して固着されている。このアーム16は、固定端側をフレーム2に対して回転可能に軸支する為に、固定端側に孔16aが設けられており、ピン17が挿通可能なように構成されている。故にピン17がアーム16の固定端とフレーム2とを回転自在に支持する格好になっている。この状態でアーム16は図6(a)中のG方向及びH方向に回転が可能な構造になっている。また、アーム16は図示しない付勢手段により、H方向に常に付勢された状態になるよう設定されている。そして、このアーム16は、フレーム2に形成され、インクリボンカセット6がプリンタ装置1内部に装着される為の開口部2aの一部に倣った形状が形成されている。従って、アーム16に対して外的な負荷が加えられていない状態では図6(a)中のH方向に向けアーム16は付勢を受けて、インクリボンカセット6の装着を邪魔しない位置まで退避するよう設定されている。尚、アーム16の可動範囲はG方向に対してはサーマルヘッド3とプラテンローラ4が当接する位置まで、H方向に対しては、少なくともインクリボンカセット6の装着を邪魔しない位置までと設定している。
【0042】
次にアーム16の自由端側には、駆動ピン16bが設けられている。この駆動ピン16bは、付勢手段により、押圧部材12及び13に形成されるサーマルヘッド押圧部12b及び13cに当接するよう配置されている。図示しない駆動源から駆動力が与えられ、シャフト11、押圧部材12及び13が図中E方向及びF方向に回転すると、押圧部12b及び13cに当接した駆動ピン16bへ駆動力が伝達され、アーム16は押圧部12b、13cと当接した状態を維持したまま、図中G方向及びH方向へ回転する事になる。
【0043】
次に印刷プロセスとサーマルヘッド3の昇降ポジションの相関について、図6(a)、(b)、(c)、及び図7を用いて説明する。
【0044】
図6(a)は印刷待機時のプリンタ装置1の一部を表す側面からの断面図である。図6(b)は印刷待機位置と印刷位置との間に設定され、少なくとも1ポジション以上設定される中間位置にサーマルヘッド3が位置している時のプリンタ装置1の一部を表す側面からの断面図である。図6(c)は印刷を行っている時のプリンタ装置1の一部を表す側面からの断面図である。図7はプリンタ装置1の印刷プロセスとサーマルヘッド3の昇降ポジションとの相関を表す図である。
【0045】
本実施例に示すプリンタ装置の印刷待機位置は図6(a)にその一部が表現されている。この状態では、アーム16が図示しない付勢手段によってH方向に片寄せられ停止しており、プリンタ装置1に対して図示しないインクリボンカセット6が着脱可能な状態になっている。
【0046】
次に図6(b)に示す通り、ユーザーからの入力により印刷のコマンドが与えられた場合には、プリンタ装置1はサーマルヘッド3を中間位置まで移動させるよう、図示しない制御部から所定の制御信号が駆動源へ付与され、図示しない駆動部を経由してシャフト11をE方向へ回転する回転力が伝達される。上述したようにシャフト11がE方向へ回転すると、アーム16はG方向へ回転を行い、サーマルヘッド3をプラテンローラ4側へ近接させる。この一連の動作を図7では、待機位置(S0)から印刷のコマンドが付与(S1)され、制御部から所定の制御信号を受け、回転したサーマルヘッド3は図6(b)の位置で停止する(S2)、という状態変化で表現されている。更にその後、プリンタ装置1では、インクリボンカセット6内に配置されているインクリボンの搬送や、印刷用紙の給紙、頭出しなど、印刷用紙に印刷を開始するまでの一連の動作を行い(P3)、次の制御部からの制御信号を待つ事になる(S3)。
【0047】
印刷用紙に印刷を開始するまでの一連の動作を行った結果、プリンタ装置1内に設定されている種々の検知手段が制御部へエラーが無い事を送信した後、サーマルヘッドは、図6(c)に示す印画位置へと回転を開始する。つまり、プリンタ装置1はサーマルヘッド3を印画位置まで移動させるよう、図示しない制御部から所定の制御信号が駆動源へ付与され、図示しない駆動部を経由してシャフト11をE方向へ回転する回転力が伝達される。上述したようにシャフト11がE方向へ回転すると、アーム16はG方向へ回転を行い、図示しない印刷用紙とインクリボンをサーマルヘッド3とプラテンローラ4との間に挟み込んだ状態でサーマルヘッド3をプラテンローラ4側へ圧接する位置へ回転させる。これまでの動作を図7では、制御部からの制御信号を待つ状態(S3)から、印画位置へサーマルヘッド3を回転させ、プラテンローラ4と圧接する位置まで回転させる(S4)、という状態変化で表現されている。
【0048】
その後、プリンタ装置1は図示しない駆動源と搬送ローラ等を制御する事により、イエロー印画を行う事になる。制御部から与えられた印画信号により、イエロー印画を完了した後、プリンタ装置1は次のマゼンタ印画を行う為に印刷用紙のリターン動作、インクリボンの搬送を行う事になる。イエロー印画を完了した直後は、サーマルヘッド3はプラテンローラ4に圧接したままの状態で保持されているので、印刷用紙やインクリボンを搬送させる為、一時的にサーマルヘッド3をプラテンローラ4から退避させる必要がある。今回の実施例に記載のプリンタ装置ではサーマルヘッド3が一時的に退避する位置を少なくとも1つ以上のポジションを有する中間位置に設定しており、制御部から特定の制御信号が駆動源に付与され、サーマルヘッド3はプラテンローラ4から退避し、図6(c)に表されるサーマルヘッドの位置から図6(b)に表されるサーマルヘッドの位置まで退避するように制御される。
【0049】
サーマルヘッドが図6(b)に表される位置まで回転された後、プリンタ装置1は上述したように、次のマゼンタ印画を行う為に印刷用紙のリターン動作、インクリボンの搬送を行う。
【0050】
印刷用紙のリターン動作、インクリボンの搬送が完了すると、プリンタ装置1は再び図示しない印刷用紙とインクリボンをサーマルヘッド3とプラテンローラ4との間に挟み込んだ状態でサーマルヘッド3をプラテンローラ4側へ圧接する位置へ回転させ、制御部から与えられた印画信号に従ってマゼンタ印画を実行する。
【0051】
マゼンタ印画を完了させた後、プリンタ装置1は上述した動作プロセスに従ってシアン印画及びオーバーコート印刷についても実行する。この一連の動作を図7では、まず、プリンタ装置1が印画位置へサーマルヘッド3を回転させ、プラテンローラ4と圧接する位置まで回転させ(S4)、イエロー印画を実行、完了する(S5)。その後、印刷用紙のリターン動作、インクリボンの搬送を行う為、サーマルヘッド3を一時的にプラテンローラ4と圧接した状態から退避させる(S6)。印刷用紙のリターン動作、インクリボンの搬送を行った後(S7)、次のマゼンタ印画を行う為、プリンタ装置1は再びサーマルヘッド3をプラテンローラ4へ圧接する位置までサーマルヘッド3を回転させる(S8)。これらの動作プロセスを繰り返す事で、マゼンタ印画(S8、S9)、サーマルヘッド3の一時退避(S10)、印刷用紙のリターン動作、インクリボンの搬送(S11)、シアン印画(S12、S13)、印刷用紙のリターン動作、インクリボンの搬送(S14)、印刷用紙のリターン動作、インクリボンの搬送(S15)、及びオーバーコート印刷(S16、S17)という状態変化で表現される。
【0052】
そして、印刷用紙への印画が完了した後、印刷用紙を排紙する為、プリンタ装置1は、制御部から特定の制御信号が駆動源に付与され、サーマルヘッド3はプラテンローラ4から退避し、図6(c)に表されるサーマルヘッドの位置から図6(b)に表されるサーマルヘッドの位置まで退避するように制御される。その後、印刷用紙の排紙を実行し、プリンタ装置1は次の印刷のコマンドを受け入れる為、サーマルヘッド3を待機位置まで回転させる。これまでの動作を図7では、印刷用紙を排紙する為、再度中間位置までサーマルヘッドを移動(S18)、排紙完了後(S19)、次の印刷のコマンドを受け入れる為、サーマルヘッド3を待機位置まで回転(S20)させる、という状態変化で表現される。
【0053】
以上のような印刷プロセスを経る事によって、プリンタ装置1は、ユーザーによって与えられた印刷コマンドに対して所望の印刷物を生成する事になる。
【0054】
次に印刷プロセスとインターロックとの相関について、図7及び図8を用いて説明する。
【0055】
図8(a)、図8(b)、及び図8(c)は、インターロック部材9の動作を模式的に表す側面からの断面図である。図8(a)は、サーマルヘッド3が待機位置に設定されている状態、図8(b)は、サーマルヘッド3が中間位置に設定されている状態、図8(c)は、サーマルヘッド3が印画位置に設定されている状態をそれぞれ模式的に表している。
【0056】
図8(a)によると、上述した通り、インターロック部材9は、バネ掛け部9cに一端が組み付けられている図示しないバネ10の作用により、図中J方向に常に付勢されている状態にある。そして、サーマルヘッド3が待機位置に設定されている時には、インターロック部材の側面9dと押圧部材12の当接部12cとが図8(a)の状態で当接し、インターロック部材9のJ方向への移動を制限している。このような状態では、インターロック部材9に形成される切り欠き部9fとストッパ5とが図中M方向及びN方向に対して対向する位置にあるので、ストッパ5をM方向へスライド移動する事が可能である。ストッパ5をM方向へスライド移動する事により、図示しないインクリボンカセットの着脱をユーザーが行う事が出来る。この状態は、インターロックが掛けられていない様子を表現している。図7では、S0やS1、S20などの状態を表している。
【0057】
次に図8(b)では、図示しない駆動源から駆動力が供給され、ピン17を回動中心としてサーマルヘッド3がプラテンローラ4側に回転を開始し、待機位置から中間位置へ移動した状態を表している。プリンタ装置1の図示しない制御部が駆動源に駆動力を供給する事により、シャフト11を回転させて、図8(a)に示す待機位置から図8(b)に示す中間位置へサーマルヘッドは回転を始める事になる。この時、押圧部材12の当接部12cによりJ方向への移動を制限されていたインターロック部材9は押圧部材12の回転により、次第にその制限位置がシフトし始める。
【0058】
つまり、インターロック部材9はサーマルヘッドが待機位置から中間位置へ回転すると共に、J方向への移動を開始する。インターロック部材9がJ方向へ移動を開始すると、次第にインターロック部材に形成される切り欠き部9f、突出した形状に形成され、ストッパ5のM方向及びN方向へのスライド移動を規制するロック部9eについてもJ方向へ移動し、ある移動量を経ると、ロック部9eはストッパ5の上部に対向する位置まで移動する。この状態になると、ストッパ5はM方向へのスライド移動が規制され、インクリボンカセット6の取り出しが出来ない状態になる。この状態がインターロックがONである状態であると表現出来る。そしてその後、更にインターロック部材9がJ方向へ移動を継続すると、インターロック部材9の側面9dは図示しないカバー7に形成される凸部と当接する。凸部とインターロック部材9の側面9dとが当接すると、インターロック部材はJ方向へそれ以上スライド移動する事が制限される。
【0059】
つまり、側面9dと凸部とが当接するまでの範囲がインターロック部材9がJ方向へ移動可能な範囲であると表現出来る。本実施例での中間位置はサーマルヘッド3を更に印画位置方向へ押し下げた位置に設定されているので、プリンタ装置1の制御部は更にシャフト11、押圧部材12を回転させる動力を駆動源へ供給する。すると、インターロック部材9はそれ以上のスライド移動が制限されているので、それまで押圧部材12との当接した状態が解消されて、押圧部材のみ回転動作を行う事になる。その後、サーマルヘッド3は中間位置へ到達し、駆動源からの駆動力の供給が一時的に中断する。図8(b)はこの状態を表している。その後、プリンタ装置1は、上述した通り、インクリボンカセット6内に配置されているインクリボンの搬送や、印刷用紙の給紙、頭出しなど、印刷用紙に印刷を開始するまでの一連の動作を行う事になる。
【0060】
図7によれば、サーマルヘッド3が待機位置から中間位置へ移動を開始、インターロック部材9がスライド移動を開始し、インターロックがONになった状態を(P1)、その後更にサーマルヘッドが回転し、押圧部材12とインターロック部材9との接触が解消された状態を(P2)、更にサーマルヘッド3が中間位置へ到達し(S2)、インクリボンカセット6内に配置されているインクリボンの搬送や、印刷用紙の給紙、頭出しなど、印刷用紙に印刷を開始するまでの一連の動作を開始し始めた状態を(P3)というポイントで表現している。
【0061】
次に図8(c)では、図示しない駆動源から駆動力が供給され、ピン17を回動中心としてサーマルヘッド3がプラテンローラ4側に回転し、中間位置から印画位置へ移動した状態を表している。本実施例では、この状態でプリンタ装置1はサーマルヘッド3とプラテンローラ4との間にインクリボンと印刷用紙を挟み、印刷を行っている。上述した通り、サーマルヘッドが中間位置から印画位置へ回転している間は、既に押圧部材12とインターロック部材9との接触は解消された状態にあり、且つインターロック部材9に形成されているロック部9eとストッパ5とはM方向及びN方向に対して対向する位置にある。これらは、インターロックがONの状態を維持し、且つ、インターロックを行う機構部材とサーマルヘッドの昇降を行う機構部品とは隔絶された状態にあるという事を表現している。図7によると、サーマルヘッド3が図8(c)の位置にあって、イエロー印画を行っている状態を(S4)及び(S5)、マゼンタ印画を行っている状態を(S8)及び(S9)、シアン印画を行っている状態を(S12)及び(S13)、オーバーコートを行っている場合を(S16)及び(S17)というポイント間の直線で表現している。
【0062】
更にある特定の印画の後、更に別の印画を行う必要がある場合には、上述した様に、印刷用紙のリターン動作やインクリボンの搬送を行う為、一時的にサーマルヘッド3をプラテンローラ4から中間位置へ退避させる必要がある。つまり、図8(c)の状態から図8(b)の状態へサーマルヘッド3を回転させる事になる。
【0063】
また、所望の印刷が終了し、排紙を行う時は上述した様に、再びプリンタ装置は図8(b)の位置へサーマルヘッド3を一時的に停止させ、印刷用紙の排紙を行う。
【0064】
以上を踏まえると、ユーザーからの入力により印刷のコマンドが与えられた場合、プリンタ装置1が印刷を行っている時や、次の印刷の為に一時的にサーマルヘッド3をプラテンローラ4から退避させている時、更に印刷が終了した印刷用紙を排紙している時など一連の印刷プロセスを実行している間はサーマルヘッド3は中間位置、或いは印画位置、或いは中間位置と印画位置との間を昇降動作している状態にある。そして、サーマルヘッド3がこれらの状態にある時には、インターロック部材9は常にインターロックをONの状態を維持し、且つ、押圧部材12などのサーマルヘッドを昇降させる機構部材との接触を隔絶した状態にある。これらの作用により、仮にインクリボンカセットの取り出しを規制するストッパ部材5への誤動作が与えられたとしてもストッパ部材5はサーマルヘッドを昇降させる機構部材との接触を隔絶した状態にあるので、誤動作による外力がサーマルヘッド或いはプラテンローラへ伝達される事を低減し、印画中安定的なインターロックを行う事が出来、印画品質を向上することができる。
【0065】
[実施例2]
次に本発明に関わる第二の実施の形態を図9を参照して説明する。
【0066】
図9は本発明に関わる第二の実施の形態を表し、特にインターロックを行う機構部材について詳細に表現した図である。図9(a)は、待機位置の状態を表現した図である。図9(b)は、待機位置の状態にあって、ストッパ部材5が何らかの原因により、スライド可動範囲の中間の領域で停止している様子を表現した図である。図9(c)は、スライド可動範囲の中間の領域で停止しているストッパ部材5とインターロック部材90とが当接した状態を表現した図である。そして図9(d)は、スライド可動範囲の中間の領域で停止していたストッパ部材5をインターロック部材90が下方へ押し出した後、インターロックがONの位置まで移動した状態を表現する図である。
【0067】
本実施例では、プリンタ装置1に対して、インクリボンカセットが内部的にロックを掛けられる事で、印画動作中にインクリボンが引き出される事を防止するインターロック構造として、インターロック部材90を設定している。図9(a)によると、このインターロック部材90には、図示しない付勢手段、例えばコイルバネなどにより、図中J方向へ常に付勢されている状態にある。これはインターロック部材90に形成されているバネ掛け部90cに付勢手段の一端が組み付き、更にもう一端をプリンタ装置1内で固定する事により実現する。また、本実施例では第一の実施の形態で説明したサーマルヘッド3の昇降構造が設定されており、インターロック部材90以外の構成部品は第一の実施の形態と同等の動作を行うように設定されている。インターロック部材90は、第一の実施の形態で説明したように図示しない二箇所の突出部を有し、図3(a)と同様にフレーム2に形成される溝部2d及び2eに取り付けられる事で、図9(a)中J方向及びK方向に対してスライド移動可能にフレーム2に固定されている。そして、インターロック部材90が待機位置にある場合には、切り欠き部90fがM方向及びN方向に対してストッパ5と対向した位置に形成され、この切り欠き部90fよりもK方向の位置にロック部90eが配置されている。更にインターロック部材90にはロック部90eのJ方向の側面に対して、テーパ部90gが形成されている。このテーパ部90gはストッパ5のスライド移動が可能な状態にある場合において、そのスライド移動を阻害しない範囲でテーパ面を形成している。
【0068】
次に図9(b)では、待機位置の状態にあって、ストッパ部材5が何らかの原因により、スライド可動範囲の中間の領域で停止している様子を表現している。上述した通り、ストッパ5は図示しない付勢手段により、常時N方向への付勢を受けており、図中の鎖線で示す位置で停止するように設定されているが、何らかの原因、例えばストッパ5とフレーム2との間に異物が混入した場合など、意図せずストッパ部材5がスライド可動範囲の中間の領域で停止してしまうケースを表現している。このような状態では、ストッパ5は想定されていた静位置よりもM方向側にスライドした位置で停止しており、インターロック部材90のスライド可動範囲にストッパ5の一部が進入してしまう事になる。
【0069】
つまり図9(c)のように、ユーザーからの入力により印刷のコマンドが与えられ、サーマルヘッド3へシャフト11の回転力が伝達し、図示しないプラテンローラ4側への回転を開始すると、次第にインターロック部材90はJ方向への移動を開始し、インターロック部材90のスライド可動範囲内に一部が突出したストッパ5と衝突してしまう事になる。このままの状態ではインターロック部材90はストッパ5のスライド移動を規制する事が出来ず、インターロックをONにする事が出来ないが、しかし、インターロック部材90のロック部90e側面に形成されているテーパ部90gのテーパ面とストッパ5とが当接している為、インターロック部材90をJ方向へ付勢する付勢力の分力がストッパ5をN方向へ押し下げる作用を引き起こす事が出来る。このN方向への分力によって、図9(d)に示す通り、スライド可動範囲の中間の領域で停止している状態から想定されていた静位置までストッパ5をN方向へ押し下げる事を可能にする事が出来る。ストッパ5を押し下げた後、インターロック部材はインターロックがONの状態で停止するように設定されているので、その後の印刷プロセス中には、再び良好なインターロック状態を実現する事が出来る。
【0070】
[実施例3]
次に本発明に関わる第三の実施の形態を図10及至図12を参照して説明する。
【0071】
図10は本発明に関わる第三の実施の形態を表し、特にインクリボンカセット6をプリンタ装置1内へ装着した後、インクリボンカセット6が不用意にプリンタ装置1から抜け出てしまう事を防止するストッパ構造について、詳細に表した斜視図である。
【0072】
図10(a)は本実施例でのストッパ構造を外側から表した斜視図である。図10(b)は本実施例でのストッパ構造を内側から表した斜視図である。
【0073】
図10(a)によると、本実施例のストッパ構造では第一のストッパ51と、第二のストッパ52とが、プリンタ装置1外側に向いた状態で設定されている。第一のストッパ51には、プリンタ装置1外側に面する平面部51aが形成されている。また、第二のストッパ52には、平面部51aよりもプリンタ装置1の外側に突出した突出部52aが形成されている。
【0074】
また、図10(b)によると、第一のストッパ51には、その側面に軸51eが形成されており、その軸に挿通され、一端を第一のストッパ51に他端を第二のストッパ52に取り付くトーションバネの形状に加工されたバネ53が取り付けられている。第一のストッパ51にはバネ掛け部51b、第二のストッパ52にはバネ掛け部52bが形成されており、これらにバネ53が取り付く事でバネ53が保持されている。また、第一のストッパ51は上述したストッパ5の如くフレーム2に対して、図中S方向及びT方向にスライド移動可能に保持されている。次に第一のストッパ51には切り欠き部51cが形成され、第二のストッパ52にはこの切り欠き部51cに係合する係合部52cが形成されている。これらの構造により、第一のストッパ51がP方向及びR方向へスライド移動すると、第二のストッパ52も連動してスライド移動が可能に設定されている。加えて、バネ53の作用により、第二のストッパ52は第一のストッパ51に対して図中P方向に常時付勢されながら保持される事になる。
【0075】
更に第一の実施例と同様にフレーム2にはバネ掛け部2cが形成され、第一のストッパ51には、このバネ掛け部2cに対向する位置にバネ掛け部51dが形成され、これらに両端が取り付くバネ8が配設されて、第一のストッパ51を常時図中S方向へ付勢する形で保持している。
【0076】
また、本実施例でのインターロック構造ではインターロック部材900が与えられる。インターロック部材900は、上述した第一の実施例と同様にバネ掛け部900cを有し、バネ10が取り付く事で図中V方向へ常時付勢されている。また、図示しない突出部を有し、図示しないフレームの溝部に取り付く事で図中V方向及びW方向にスライド移動可能にフレーム2に保持されている。更に、インターロック部材900には駆動ピン900a、ロック部900bが形成されている。
【0077】
次に図11を参照して、本実施例でのストッパ構造の動作及びインターロック部材900との相関について、説明する。
【0078】
図11(a)は、インターロックがOFFの状態においてプリンタ装置上面から表された本実施例でのストッパ構造を表す断面図である。同じく図11(b)はプリンタ装置側面の一面から表された本実施例でのストッパ構造を表す断面図である。
【0079】
図11(a)及び図11(b)によると、第二のストッパ52には第一のストッパ51と係合して、スライド移動が可能なS方向及びT方向に孔52dが形成されている。この孔52dは、インターロックがOFFの状態では、インターロック部材900に形成されているロック部900bとS方向及びT方向に対して対向した位置に設定されている。ここで第一のストッパ51と第二のストッパ52とが係合した状態でT方向へのスライド移動がなされた場合には、孔52dの内側に常にインターロック部材900のロック部900bが配設される事になるので、ロック部900bが第一のストッパ51及び第二のストッパのスライド移動を阻害する事は無い。また、講52dの周囲を覆う一端では、V方向及びW方向に対して、ある一点の角度を有した斜面、テーパ部52eが形成されている。このテーパ部52eにインターロック部材900の駆動ピン900aが近接した状態で配置されている。
【0080】
次に、インターロックがOFFの状態では、第二のストッパ52に形成される突出部52aは、第一のストッパ51に設定される平面部51aよりもP方向に突出した状態で保持されている。つまり、突出部52aの方がプリンタ装置1外側に突出している事になる。インターロックがOFFの状態では、図示しないインクリボンカセット6の取り出しが可能であり、ユーザーがインクリボンカセット6の取り出しを行う際は、ストッパをスライド移動させる事で、取り出しを行う。その際、第二のストッパ52に形成されている突出部52aは周囲の構造部材よりもプリンタ装置1外側に突出しているので、インクリボンカセット6の取り出しの際、指が掛かり易いという利点がある。しかしながら、周囲の構造部材よりも突出部52aがプリンタ装置1外側に突出している為に、仮にプリンタ装置1に外的な構造物が近接した場合には、周囲の構造物よりも突出部52aに外的な構造物が衝突してしまう事も想定される。
【0081】
図12(a)はインターロックがONの状態においてプリンタ装置上面から表された本実施例でのストッパ構造を表す断面図である。同じく図12(b)はプリンタ装置側面の一面から表された本実施例でのストッパ構造を表す断面図である。
【0082】
図12(a)及び図12(b)によると、ユーザーからの入力により印刷のコマンドが与えられ、図示しないサーマルヘッド3がプラテンローラ4側への回転を開始すると、次第にインターロック部材900はV方向へのスライド移動を開始する。この時、インターロック部材900に形成されている駆動ピン900aが第二のストッパ52に形成されているテーパ部52eに当接し、図10(b)に示すところのばね10の付勢力が駆動ピン900aからテーパ部52eへ付与される事になる。すると、テーパ部52eはV方向に対してある一定の角度傾斜している為、駆動ピン900aからの付勢力の一部はR方向へ分散され、この分力が第二のストッパ52をR方向へスライドさせる事を可能にする。図12(a)及び図12(b)では、このR方向への分力の作用により、第二のストッパ52がR方向へ移動した状態を表している。インターロック部材900がある一定量V方向へスライド移動を行うと、駆動ピン900aはテーパ部52eを押し下げて、V方向及びW方向に平行に形成された平面部52fに当接した状態になる。この時既にロック部900bは、S方向及びT方向に対して第二のストッパ52と対向する位置で停止しているので、インターロックがONの状態であると表現する事が出来る。更に、このインターロックがONの状態にあっては、第二のストッパ52に形成されている突出部52aは第一のストッパ51の平面部51aよりもR方向に引き下げられた状態で停止している事になる。上述したように、周囲の構造部材よりも突出部52aがプリンタ装置1外側に突出している場合は、仮にプリンタ装置1に外的な構造物が近接した場合には、周囲の構造物よりも突出部52aに外的な構造物が衝突してしまう事が想定されるが、このインターロックがONの状態では、突出部52aは周囲の構造物よりも内側に引き込んだ状態で停止しているので、外的な構造物が突出部52aに衝突し、ストッパ構造及びインターロック構造への衝撃によるダメージを低減する事が出来る。また、インターロックがOFFの時は、突出部52aが周囲の構造物よりも突出していた為、ユーザーが操作する際、指の掛かりが良く、視認性も高いが、インターロックがONの時、言い換えると、プリンタ装置1が印刷プロセスを実行している最中には、突出部52aは内側に退避している為、ユーザーが手に触れてストッパ部を操作し難くなり、且つ突出部の視認性も低下する事から、印刷プロセス中にストッパ部を操作させない事をユーザーに暗示させる事が出来る。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1・・・プリンタ本体
2・・・フレーム
3・・・サーマルヘッド
4・・・プラテンローラ
5・・・ストッパ
6・・・インクリボンカセット
7・・・カバー
9・・・インターロック部材
9e・・・ロック部
12・・・押圧部材
12c・・・当接部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ本体にインクリボンカセットを収容可能なプリンタにおいて、該プリンタはサーマルヘッドと、プラテンローラと、該サーマルヘッドの昇降動作を供給する駆動源と、該駆動源からの駆動力を受けて動作する駆動部と、該駆動部の動作に連動してインクリボンカセットのインターロックを行うロック部を有するインターロック部材と、該インクリボンカセットの装着状態を維持するストッパ部材と、を有し、
該サーマルヘッドは印画時に待機する待機位置と、印画コマンドが与えられた後、インクリボンを搬送する、或いは用紙を搬送する為の少なくとも一つ以上のポジションを有する中間位置と、該サーマルヘッドと該プラテンローラが圧接して印画を行う印画位置と、を有し、
該サーマルヘッドが待機位置から中間位置方向へ移動する間に該インターロック部材は該ストッパ部材の動作を規制する位置へ移動し、且つ該サーマルヘッドが該中間位置或いは該印画位置、或いはその間を移動する間は、該インターロック部材はロック状態を維持したまま該駆動部との連動動作を隔絶されていることを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
インクリボンカセットを着脱可能なカセット装着部を有するフレームと、該駆動部の一部として構成され該フレームに一端を回転可能に保持されたアームと、該フレームに保持され該駆動源からの駆動力により回転可能に形成される駆動シャフトと、該駆動シャフトに嵌合し該アームを回動させる押圧部材と、を有し、
該押圧部材の動作により該サーマルヘッドを昇降させる事を特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
該インターロック部材を一方向へ付勢する付勢部材と、該インターロック部材の該ロック部に形成されるテーパ部とを有し、
該インターロック部材の移動範囲内に少なくとも該ストッパ部材の一部が滞留している場合に、該ストッパ部材を該インターロック部材の移動範囲外へ押し出すよう該インターロック部材の該テーパ部が該ストッパ部材に当接する事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリンタ装置。
【請求項4】
該ストッパ部材は少なくともインクリボンカセットの装着を維持する第一のストッパ部材と、該第一のストッパ部材よりも外側に突出した突起部を有する第二のストッパ部材と、該第二のストッパ部材を一方向へ付勢するストッパ付勢部材と、により構成され、
該インターロック部材の動作に連動して該第二のストッパ部材は突起部の突出量が減量する方向へ移動可能である事を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプリンタ装置。
【請求項5】
該第二のストッパ部材は該インターロック部材との連動動作により該突起部が該第一のストッパ部材よりも内側に退避可能である事を特徴とする請求項4に記載のプリンタ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図8(c)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図9(d)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【公開番号】特開2012−144004(P2012−144004A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5663(P2011−5663)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】