プリンタ
【課題】本体ユニットと着脱ユニットとの確実な組み合わせと、着脱ユニットのスムーズな着脱操作と、を行うことができるうえ、小型化を図り易く、着脱操作時に指先への干渉を抑制でき安全性を高めること。
【解決手段】対向壁62を有する本体ユニット10と、本体ユニットに対して着脱自在に組み合わされる着脱ユニット11と、を備え、着脱ユニットには、プラテンローラ5のプラテン軸に対して非同軸で且つ平行な軸線に沿って突出した係合ピン50と、係合ピンに対して相対移動可能とされたロックピン51と、が設けられ、対向壁には、係合ピン及びロックピンが離脱可能に嵌め込まれる第1の凹部65及び第2の凹部66と、が形成され、係合ピンは、ロックピンが第2の凹部内に嵌め込まれているときに第1の凹部内から離脱不能とされていると共にロックピンが第2の凹部内から離脱した後に第1の凹部内から離脱可能とされているプリンタを提供する。
【解決手段】対向壁62を有する本体ユニット10と、本体ユニットに対して着脱自在に組み合わされる着脱ユニット11と、を備え、着脱ユニットには、プラテンローラ5のプラテン軸に対して非同軸で且つ平行な軸線に沿って突出した係合ピン50と、係合ピンに対して相対移動可能とされたロックピン51と、が設けられ、対向壁には、係合ピン及びロックピンが離脱可能に嵌め込まれる第1の凹部65及び第2の凹部66と、が形成され、係合ピンは、ロックピンが第2の凹部内に嵌め込まれているときに第1の凹部内から離脱不能とされていると共にロックピンが第2の凹部内から離脱した後に第1の凹部内から離脱可能とされているプリンタを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンローラと記録ヘッドとが分離可能に組み合わされたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているプリンタとして、筐体内部に記録ヘッドとこれに接するプラテンローラとを有し、プラテンローラによって送り出される記録紙に対して記録ヘッドが記録を行うものが知られている。この種のプリンタにおいて、記録紙のセット時やジャム処理時、或いは、記録ヘッドやプラテンローラ等のメンテナンス時や交換時等の際、筐体内部で記録ヘッドとプラテンローラとが接したままの状態となっている場合には作業性が悪いものであった。
【0003】
この点、記録ヘッドとプラテンローラとを互いに離反させ、それぞれを筐体外部に露出させることができる構成が望ましい。そこで、互いに分離可能に組み合わされる本体ユニットと、着脱ユニットと、を備え、一方のユニットに記録ヘッドを設け、他方のユニットにプラテンローラを設けた分離型のプリンタが知られている。
この分離型のプリンタによれば、本体ユニットに着脱ユニットを組み合わせることで、記録ヘッドとプラテンローラとを適度に圧接させた状態で組み合わせることができると共に、本体ユニットから着脱ユニットを分離させることで、記録ヘッドとプラテンローラとを互いに離反させてそれぞれを外部に露出させることが可能とされている。従って、このような分離型のプリンタは、使い易く、上述した各種の作業を行う際の作業性に優れている。
【0004】
ところで、分離型のプリンタの場合には、本体ユニットと着脱ユニットとをがたつき少なく確実に組み合わせたり、スムーズな着脱操作を行ったりすることが重要とされている。そこで、このような要望を満たすものとして、アーム式のロック方法を採用したプリンタが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
このプリンタは、サーマルヘッドが設けられた本体フレームと、プラテンローラが設けられたカバーフレームと、を備えており、カバーフレームの開閉動作によって本体フレームにカバーフレームが分離可能に組み合わされるように構成されている。
そして、カバーフレームには、先端が係合部とされた鉤状のロックレバーが回動自在に取り付けられている。一方、本体フレームには、ロックレバーの係合部が係合されるロックピンが設けられている。
【0006】
このように構成されているプリンタによれば、ロックレバーを回動させて係合部をロックピンに係合させることで、本体フレームとカバーフレームとを確実に組み合わせることができ、サーマルヘッドとプラテンローラとを圧接させた状態にすることができる。また、ロックレバーを逆方向に回動させて係合部とロックピンとの係合を解くことで、本体ユニットとカバーフレームとを分離することが可能とされている。
このように、ロックレバーを利用することで、本体フレームとカバーフレームとを確実に組み合わせることができると共に、カバーフレームのスムーズな着脱操作を行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−118060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のアーム式のロック方法を採用したプリンタにおいては、係合部をロックピンに係合させるために、ロックレバーを本体フレーム側に突出させた状態でカバーフレームに設ける必要があった。そのため、ロックレバーは、本体フレームとカバーフレームとの組み合わせ方向に向けて、カバーフレームよりも外方に出っ張った状態となってしまい、プリンタ全体の小型化の妨げとなるものであった。
しかも、このロックレバーは、カバーフレームの側面に取り付けられており、カバーフレームと本体フレームとを組み合わせた際に、本体フレームの壁内或いは壁外のいずれかに配置されてしまう。そのため、少なくともロックレバーの厚み分だけプリンタの幅方向(プラテンローラの幅方向)のサイズが大きくなってしまい、この点においてもさらなる小型化の妨げになるものであった。
更に、ロックレバーがカバーフレームよりも外方に突出しているので、指先が触れ易い突起物となってしまい安全性の点で改善の余地があった。
【0009】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、本体ユニットと着脱ユニットとの確実な組み合わせと、着脱ユニットのスムーズな着脱操作と、を行うことができるうえ、小型化を図り易く、着脱操作時に指先への干渉を抑制でき安全性に優れたプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプリンタは、記録ヘッドとプラテンローラとが分離可能に組み合わされるプリンタであって、互いに対向する対向壁を有し、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとのうち一方を支持する本体ユニットと、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとのうち他方を支持すると共に、前記本体ユニットに対して着脱自在に組み合わされる着脱ユニットと、を備え、前記着脱ユニットには、前記プラテンローラのプラテン軸に対して非同軸で且つ平行な軸線に沿って突出した係合ピンと、該係合ピンに対して平行な方向に突出すると共に係合ピンに対してプラテン軸に直交する仮想面内方向に沿って相対移動可能とされたロックピンと、が設けられ、前記対向壁には、前記係合ピンが離脱可能に嵌め込まれ、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとを互いに接触状態で対向配置させる第1の凹部と、係合ピンが第1の凹部内に嵌め込まれた後に、前記ロックピンが離脱可能に嵌め込まれる第2の凹部と、が形成され、前記係合ピンが、前記ロックピンが前記第2の凹部内に嵌め込まれているときに前記第1の凹部内から離脱不能とされていると共に、ロックピンが第2の凹部内から離脱した後に第1の凹部内から離脱可能とされていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプリンタにおいて、本体ユニットに着脱ユニットを装着して組み合わせる場合には、まず、係合ピンを対向壁に形成された第1の凹部内に挿入して嵌め込ませる。次いで、ロックピンを係合ピンに対して相対的に移動させて、対向壁に形成された第2の凹部内に挿入して嵌め込ませる。これにより、着脱ユニットの装着が完了すると共に、第1の凹部内に係合ピンを離脱不能にセットすることができる。
この時点で、両ユニットにそれぞれ支持された記録ヘッドとプラテンローラとを互いに接触状態で対向配置させることができる。つまり、印刷可能状態にセットすることができる。
【0012】
特に、両ユニットが組み合わされて印刷が行われている際、記録ヘッドや記録紙等からプラテンローラに外力が加わったとしても、プラテン軸に非同軸な係合ピンやロックピンに外力が伝わり難い。よって、係合ピン及びロックピンが外力の影響を受けて影響で第1の凹部内及び第2の凹部内から離脱してしまうことを抑制することができる。従って、本体ユニットに対して着脱ユニットを高い信頼性で確実に組み合わせることができる。そのため、記録ヘッドとプラテンローラとを安定して組み合わせることができ、安定した印刷を行える。
一方、本体ユニットから着脱ユニットを分離させる場合には、ロックピンを先ほどとは逆方向に移動させて第2の凹部内から離脱させる。次いで、係合ピンを第1の凹部内から離脱させながら、着脱ユニットを本体ユニットから離反させる。これにより、両ユニットの組み合わせを解いて分離させることができ、記録ヘッドとプラテンローラとを分離させることができる。
【0013】
このように、第1の凹部内への係合ピンの嵌め込み/離脱と、ロックピンの移動による第2の凹部内への嵌め込み/離脱と、を行うだけの簡単な操作で着脱ユニットの着脱操作をスムーズに行える。従って、本体ユニットと着脱ユニットとを速やかに組み合わせたり、両ユニットを速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
また、外方に大きく突出する従来のロックレバーを利用したものとは異なり、着脱ユニットにはプラテン軸に平行な方向に向けて僅かに突出した係合ピン及びロックピンが形成されているだけである。従って、着脱ユニットの着脱操作時に指先がこれらに干渉し難く、従来よりも安全性に優れている。
しかも、これら係合ピン及びロックピンは、本体ユニットの対向壁に形成された第1の凹部内及び第2の凹部内に嵌り込むので、従来のロックレバーを利用するものとは異なり、着脱ユニットの横幅(プラテン軸に沿った横幅)のサイズを対向壁の間隔内で確実に収めることができる。従って、プリンタ全体の小型化を図り易い。
【0014】
(2)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記着脱ユニットには、前記ロックピンを付勢して前記第2の凹部内に嵌め込ませる方向に移動させる付勢部材と、前記ロックピンを前記付勢方向とは逆方向に移動させて該ロックピンを前記第2の凹部内から離脱させる解除部材と、が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプリンタにおいては、ロックピンが付勢部材によって付勢されているので、係合ピンを第1の凹部内に嵌め込んだ後、ロックピンを第2の凹部内に誘導して嵌め込むことができる。従って、着脱ユニットの装着作業をスムーズに効率良く行うことができる。また、着脱ユニットの装着後、ロックピンは付勢部材による付勢によって第2の凹部内から離脱する方向に移動し難い状態となっている。従って、意図しないときにロックピンが第2の凹部内から離脱してしまうことを防止でき、本体ユニットと着脱ユニットとの組み合わせをより確実なものにすることができる。
一方、着脱ユニットを分離させる場合には、解除部材を利用してロックピンを付勢部材に抗する力で第2の凹部内から離脱させる。これにより、着脱ユニットを本体ユニットから分離されることが可能になる。
【0016】
(3)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記着脱ユニットには、前記係合ピンの軸線回りに回転自在なラッチ部材が設けられ、前記ロックピンが、前記ラッチ部材に一体的に形成され、該ラッチ部材の回転に伴って回転移動することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るプリンタにおいては、係合ピンを第1の凹部内に嵌め込んだ後、ラッチ部材を係合ピンの軸線回りに回転させることで、ロックピンを係合ピンに対して相対的に回転移動させることができ、第2の凹部内に嵌め込むことができる。また、ラック部材を逆方向に回転させることで、ロックピンを第2の凹部内から離脱させることができる。
特に、ラッチ部材を回転させるだけの簡便な構成で、ロックピンを係合ピンに対して相対移動させることができるので構成の簡略化及び部品点数の削減化を図ることができる。
【0018】
(4)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記着脱ユニットには、前記係合ピンに対して平行な方向に突出する補助ピンが形成され、前記対向壁には、前記第1の凹部の開口方向と同じ方向に開口し、前記補助ピンが離脱可能に嵌め込まれる第3の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るプリンタにおいては、第1の凹部と第3の凹部とが同じ方向に開口しているので、係合ピンを第1の凹部内に嵌め込む際に、同じタイミングで補助ピンを第3の凹部内に嵌め込むことができる。そして、その後にロックピンが第2の凹部内に嵌め込まれて、着脱ユニットが装着される。
特に、係合ピン及びロックピンに加え、補助ピンが第3の凹部内に嵌っているので、着脱ユニットを本体ユニットに対してより強固に組み合わせることができる。そのため、着脱ユニットに何らかの外力が加わったとしても、がたつき等が生じ難い。従って、より安定して印刷を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るプリンタによれば、本体ユニットと着脱ユニットとの確実な組み合わせと、着脱ユニットのスムーズな着脱操作と、を行うことができる。また、小型化を図り易いうえ、着脱操作時に指先が係合ピンやロックピンに干渉し難いので安全性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施形態を説明するための図であり、開閉扉が閉じている状態のサーマルプリンタの断面図である。
【図2】図1に示す状態から開閉扉が開いた状態のサーマルプリンタの断面図である。
【図3】本体ユニットに着脱ユニットが装着された状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す状態から着脱ユニットが分離した状態を示す図であって、本体ユニットの側方カバーを外した状態の斜視図である。
【図5】図3に示す状態から着脱ユニットが分離した状態を示す図であって、本体ユニットの前方カバーを外した状態の斜視図である。
【図6】着脱ユニットの外観斜視図である。
【図7】図6に示す着脱ユニットの側面図である。
【図8】図6に示す状態から、固定刃ホルダカバー、ラッチカバー及び解除カバーを取り外した状態の斜視図である。
【図9】本体ユニットと着脱ユニットとが組み合わさっている場合における内部構造図であって、可動刃が固定刃に乗り上げている状態の図である。
【図10】固定刃と可動刃との位置関係を示した図である。
【図11】図8に示すホルダ支持フレームを裏返した状態を示す斜視図である。
【図12】図8に示す状態から各構成品を分解した状態を示す図である。
【図13】図11に示す状態から各構成品を分解した状態を示す図である。
【図14】本体ユニットの斜視図である。
【図15】本体ユニットと着脱ユニットとが組み合わされた状態を側方から見た図である。
【図16】図15に示す状態から解除カバーを後方側に回転させて、爪部によりロックピンを上方に押し上げた状態を示す図である。
【図17】図16に示す状態からさらにロックピンを上方に押し上げた状態を示す図である。
【図18】図10に示す状態から可動刃をスライドさせた状態を示す図である。
【図19】本体フレーム内の内部構造の一部を示す図である。
【図20】図4に示す本体ユニットの側面図であって、第1歯車を取り外した状態を示す図である。
【図21】図3に示す本体ユニットの側面図であって、第1歯車を取り外した状態を示す図である。
【図22】可動刃と固定刃ホルダに保持された固定刃との動きを、可動刃のスライドの進行具合に伴ってどのように変化するかを説明するための簡略図である。
【図23】本発明に係る変形例を示す図であって、歯車輪列機構の別の構成を示す図である。
【図24】本発明に係る変形例を示す図であって、歯車輪列機構のさらに別の構成を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を、図1から図24を参照して説明する。なお、本実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタを例に挙げて説明する。
本実施形態のサーマルプリンタは、図1及び図2に示すように、ロール紙Rから引き出された記録紙Pに印刷を行った後、該記録紙Pを適宜切断してチケットやレシート等として利用することができる、いわゆるクラムシェル型のプリンタである。
このサーマルプリンタは、ケーシング2と、このケーシング2に対して開閉可能に設けられた開閉扉3と、カッター機構4と、プラテンローラ5と、サーマルヘッド(記録ヘッド)6と、で主に構成されている。
【0023】
なお、図1は、開閉扉3が閉じている状態のサーマルプリンタ1の断面図である。図2は、開閉扉3が開いている状態のサーマルプリンタ1の断面図である。
また、本実施形態では、図1に示す状態において、紙面に対して左側を前方、右側を後方、上側を上方、下側を下方とする。そして、記録紙Pは前後方向L1に紙送りされるものとする。また、前後方向L1及び上下方向L2に対して直交する方向を左右方向L3とする。
【0024】
ケーシング2は、プラスチック或いは金属材料で成形されたものであり、上部に投入口2aが開口した箱型に形成されている。ケーシング2の内部には、投入口2aから投入されたロール紙Rを載置するための載置台2bが設けられている。この載置台2bは、円弧状に湾曲するように形成されており、円筒状のロール紙Rを安定に載置することができるようになっている。
【0025】
ケーシング2の上部には、ヒンジ部7を介して開閉可能に連結された開閉扉3が取り付けられている。この開閉扉3は、図1に示す閉状態から図2に示す開状態に亘って一定角度の範囲内で開閉するようになっている。そして、図2に示すように、開閉扉3を開けたときに投入口2aが現れ、ロール紙Rをケーシング2の内部に投入したり、内部から取り出したりすることができるようになっている。
また、図1に示すように、開閉扉3を閉めたときに、開閉扉3の先端とケーシング2との間に若干の隙間が空くように設計されている。そして、この隙間を利用して、ケーシング2の内部から紙送りされた記録紙Pが引き出されるようになっている。つまり、この隙間は、記録紙Pの排出口2cとして機能する。
【0026】
なお、開閉扉3は、閉じたときに図示しないロック機構によって自動的にケーシング2に対してロックがかかるようになっている。このロック機構はケーシング2の外側からワンタッチで解除できるようになっており、開閉扉3を速やかに開けることができるようになっている。
【0027】
上記カッター機構4は、プラテンローラ5を支持すると共にスライド可能な可動刃8が組み込まれた本体ユニット10と、サーマルヘッド6を支持すると共に可動刃8のスライド時に該可動刃8との間で記録紙Pを挟み込みながら切断する固定刃9が組み込まれ、本体ユニット10に対して分離可能に組み合わされる着脱ユニット11と、を備えている。
【0028】
両ユニット10、11のうち本体ユニット10は、ケーシング2側に設けられている。具体的には、ロール紙Rが載置される載置台2bの前方に形成された収納室2d内に固定されている。なお、図1及び図2では、可動刃8及びプラテンローラ5を代表として図示している。
一方、着脱ユニット11は、開閉扉3の先端側の内面に設けられている。そのため、着脱ユニット11は開閉扉3の開閉動作に伴って移動して、本体ユニット10に組み合わされたり、本体ユニット10から分離したりするようになっている。
なお、図1及び図2では、固定刃9及びサーマルヘッド6を代表として図示している。
【0029】
なお、本体ユニット10と着脱ユニット11とは、開閉扉3が閉まったときに図3に示すように組み合わされるようになっている。これにより、図1に示すように記録紙Pを挟んで可動刃8と固定刃9とが向かい合うように配設されると共にプラテンローラ5にサーマルヘッド6が適度な接触圧で接するように組み合わされるようになっている。また、開閉扉3が開いたときに、図4及び図5に示すように、本体ユニット10から着脱ユニット11が分離されるようになっている。これにより、可動刃8と固定刃9とが離間すると共にプラテンローラ5からサーマルヘッド6が分離するようになっている。
【0030】
なお、図3は、本体ユニット10に着脱ユニット11が装着された状態を示す斜視図である。図4は、図3に示す状態から着脱ユニット11が分離した状態を示す図であって、本体ユニットの側方カバー61bを外した状態の斜視図である。図5は、図3に示す状態から着脱ユニット11が分離した状態を示す図であって、本体ユニットの前方カバー61aを外した状態の斜視図である。
【0031】
以下、両ユニット10、11の構成を着脱ユニット11、本体ユニット10の順で詳細に説明する。
【0032】
(着脱ユニット)
はじめに、着脱ユニット11は、上述したように開閉扉3の開閉動作に伴ってヒンジ部7を中心として回転移動するが、本体ユニット10に組み合わされる直前や本体ユニット10から分離された直後には、可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に沿って本体ユニット10に対して接近離間するようになっている。
本実施形態の着脱ユニット11は、図6から図9に示すように、サーマルヘッド6と、サーマルヘッド6を支持するヘッド支持フレーム15と、サーマルヘッド6に対して記録紙Pの搬送方向下流側に配置された固定刃9と、この固定刃9を保持する固定刃ホルダ16と、この固定刃ホルダ16を移動可能に支持するホルダ支持フレーム(ホルダ支持部材)17と、ホルダ支持フレーム17の後方側を覆う固定刃ホルダカバー18と、ホルダ支持フレーム17の前方側を覆うラッチカバー(ラッチ部材)19と、このラッチカバー19をさらに覆う解除カバー(解除部材)20と、を備えている。
【0033】
図6は、着脱ユニット11の外観斜視図である。図7は、図6に示す着脱ユニット11の側面図である。図8は、図6に示す状態から、固定刃ホルダカバー18、ラッチカバー19及び解除カバー20を取り外した状態の斜視図である。図9は、本体ユニット10と着脱ユニット11とが組み合わさっている場合における内部構造図であって、可動刃8が固定刃9に乗り上げている状態の図である。
【0034】
上記固定刃9は、図10に示すように、記録紙Pの幅方向である左右方向L3に延びた板状の刃であり、平行する両辺のうち一辺側が刃先9aとされ、他辺側が根元部とされている。なお、固定刃9の刃幅方向とは、記録紙Pの幅方向(左右方向L3)に沿って延びる長手方向をいうものとする。なお、図10は、固定刃9と可動刃8との位置関係を示した図である。
この固定刃9は、図1、図2及び図9に示すように、開閉扉3が閉じて本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されたときに、刃先9aが下方を向いて記録紙Pの紙面に対向するように固定刃ホルダ16に保持されている。
【0035】
固定刃ホルダ16は、図9に示すように、開閉扉3が閉じて本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されたときに、固定刃9の刃先9aが可動刃8の刃先8aに対して所定の切断角θとなるように、可動刃8に対して固定刃9を傾斜状態(根元部から刃先9aにかけて前方に向けて傾斜)で保持するホルダである。
具体的に固定刃ホルダ16は、図9、図11から図13に示すように、固定刃9の刃幅方向に沿って延在し、固定刃9が載置固定される載置面16aが形成されたホルダ本体16bと、このホルダ本体16bの左右両端側から後方に向けて突出した脚部16cと、で一体的に形成されている。
【0036】
図11は、図8に示すホルダ支持フレーム17を裏返した状態を示す斜視図である。図12は、図8に示す状態から各構成品を分解した状態を示す図である。図13は、図11に示す状態から各構成品を分解した状態を示す図である。
【0037】
ホルダ本体16bの載置面16aは、上方から下方に向かって漸次前方側に傾斜した傾斜面とされており、載置固定された固定刃9を上述したように傾斜状態で保持できるようになっている。ホルダ本体16bの上面は、後述するホルダ支持フレーム17を構成する支持枠30に摺動可能に接する摺動面とされている。この際、ホルダ本体16bの上面には、支持枠30とホルダ本体16bとを連結するためのボス25が形成されていると共に、ホルダ本体16bの移動量を規制する2つのストッパ爪26が形成されている。
【0038】
ボス25は、ホルダ本体16bの上面において、固定刃9の刃幅方向の中間部に相当する位置に形成されている。そして、このボス25を間に挟むように、2つのストッパ爪26が間隔を開けて形成されている。なお、ストッパ爪26は、前方側に爪が向くように形成されている。
【0039】
ホルダ支持フレーム17は、可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に直交し、且つ、可動刃8の刃先8aから固定刃9の刃先9aが接近離間する直交方向(前後方向L1)に沿って固定刃ホルダ16を移動自在に支持するものであって、支持枠30と、連結部材31と、で構成されている。
支持枠30は、ホルダ本体16bの上面側に重ね合わされる枠状のプレートであって、天壁部30aと、この天壁部30aの左右両側から下方に向けて屈曲された側面パネル30bと、天壁部30aの前方から下方に向けて屈曲された前面パネル30cと、で構成されている。
【0040】
天壁部30aは、固定刃ホルダ16よりも左右方向L3及び前後方向L1に長く形成された平面視長方形状のプレートであり、左右方向L3に沿って延びる切欠部によって前方天壁部30Aと、後方天壁部30Bとに区分けされている。そして、固定刃ホルダ16は、側面パネル30bと前面パネル30cとに囲まれた状態で前方天壁部30Aに重ね合わされるようになっている。
ところで、前方天壁部30Aには、直交方向(前後方向L1)に沿って縦長に形成された案内開口35がボス25に対向する位置に形成されている。また、この案内開口35を挟んで左右方向L3に並ぶようにストッパ用開口部36が形成されている。そして、上記案内開口35内にボス25が挿通され、ストッパ用開口部36内にストッパ爪26が挿通されるように、固定刃ホルダ16が重ね合わされている。
【0041】
そして、案内開口35内に挿通されたボス25にワッシャ37を介して固定ネジ38が螺合されている。これにより、支持枠30と固定刃ホルダ16とが連結されている。なお、案内開口35内には、該案内開口35の内周縁を保護するための樹脂製のカラー39が嵌め込まれている。但し、このカラー39は、必須なものではなく、無くても構わない。
【0042】
上述したように、固定刃ホルダ16は、案内開口35内を挿通された固定ネジ38によって支持枠30に連結されているが、この固定ネジ38は案内開口35に沿って直交方向(前後方向L1)に沿って移動可能に案内される。そのため、固定刃ホルダ16は、案内開口35に沿った直交方向(前後方向L1)に移動可能とされている。
なお、上述した固定ネジ38、ワッシャ37及びカラー39は、案内開口35に挿通され、支持枠30と固定刃ホルダ16を連結する連結部材31として機能する。
【0043】
また、前方天壁部30Aには、前面パネル30cに向かい合うように、切欠部に沿って壁部30dが立設されている。そして、この壁部30dと固定刃ホルダ16の脚部16cとの間にコイルバネ(付勢部材)40が配設されている。このコイルバネ40は、固定刃ホルダ16を前面パネル30c側に向けて付勢している。つまり、コイルバネ40は、可動刃8がスライドしてきた際に、可動刃8の刃先8aに固定刃9の刃先9aを圧接させるように、固定刃ホルダ16を前方側に常時付勢する役割を担っている。
この際、図8に示すように、ストッパ爪26がストッパ用開口部36に接触して、固定刃ホルダ16の過度の前方移動を規制するようになっている。そのため、固定刃9が、支持枠30の前面パネル30cに接触しないようになっている。
【0044】
また、前方天壁部30Aには、図9及び図11に示すように、壁部30dに沿いながら間隔を空けて3つの凸部30eが形成されている。この凸部30eは、例えばリング状に形成されており、後述するコイルバネ41を位置決めさせるための凸部である。
【0045】
また、固定刃ホルダ16は、上述したように直交方向(前後方向L1)に沿って移動可能とされているが、固定ネジ38の1箇所で支持枠30に連結されているので、図12に示す矢印方向のように、単に移動するだけでなく固定ネジ38の中心軸回りに揺動可能とされている。そのため、固定刃ホルダ16に保持されている固定刃9は、固定ネジ38を支点として刃幅方向に高い自由度を持って揺動するようになっている。
【0046】
図9に示すように、このように構成されたホルダ支持フレーム17の下方には、サーマルヘッド6を支持するヘッド支持フレーム15が配設されている。このヘッド支持フレーム15は、回転支点Nを中心として回動可能にホルダ支持フレーム17に取り付けられている。
【0047】
サーマルヘッド6は、記録紙Pの幅方向(左右方向L3)に延在するように形成され、その表面(下面)には左右方向L3に沿って多数の図示しない発熱素子が配列されている。また、ヘッド支持フレーム15の裏面(上面)と支持枠30の前方天壁部30Aとの間には、サーマルヘッド6をプラテンローラ5側に付勢するコイルバネ41が配設されている。これにより、サーマルヘッド6は、本体ユニット10に着脱ユニット11が組み合わされたときに、記録紙Pを挟んでプラテンローラ5に所定の接触圧で接するようになっている。そのため、記録紙Pに対して良好な印刷が可能とされている。
【0048】
なお、コイルバネ41は、一端側が前方天壁部30Aに形成された凸部30eに外嵌され、他端側がヘッド支持フレーム15に形成された凸部15aに外嵌されている。従って、コイルバネ41は、確実に位置決めされた状態で、ヘッド支持フレーム15と前方天壁部30Aとの間に配設されている。
【0049】
また、上述したようにホルダ支持フレーム17には、図6及び図7に示すように固定刃ホルダカバー18が後方側を覆うように取り付けられていると共に、ラッチカバー19が前方側を覆うように取り付けられている。
【0050】
固定刃ホルダカバー18は、左右両側が下方に向けて屈曲されたC形状のカバーであり、支持枠30の後方天壁部30Bを上方から覆うと共に、側壁部18aが支持枠30の側面パネル30bの外方から被さるように取り付けられている。そして、固定刃ホルダカバー18の側壁部18a及び支持枠30の側面パネル30bを通して、該支持枠30を左右方向L3に貫くようにシャフト45が挿通されている。
このシャフト45の両端部は、それぞれ固定刃ホルダカバー18の側壁部18aよりさらに左右方向L3の外方に突出した状態となっている。
【0051】
ラッチカバー19は、固定刃ホルダカバー18と同様に、左右両側が下方に向けて屈曲されたC形状のカバーであり、支持枠30の前方天壁部30Aを上方から覆うと共に、側壁部19aが支持枠30の側面パネル30bの外方から被さるように配設されている。そして、このラッチカバー19は、シャフト46を介して支持枠30に連結されていると共に、このシャフト46を中心として前後方向L1に回転可能とされている。
シャフト46は、支持枠30の側面パネル30b及びラッチカバー19の側壁部19aを通して該支持枠30を左右方向L3に貫くように挿通されており、その両端部がラッチカバー19の側壁部19aよりさらに左右方向L3の外方に突出した状態となっている。そして、このシャフト46の両端部に円筒状のブッシュ47が被嵌されている。
【0052】
そして、シャフト46の両端部及びブッシュ47は、本体ユニット10側に設けられたプラテンローラ5のプラテン軸Cに対して非同軸で且つ平行な軸線に沿って突出する係合ピン50として機能する。つまり、ラッチカバー19は、この係合ピン50の軸線を中心として、前後方向L1に回転自在とされている。
【0053】
また、ラッチカバー19の側壁部19aには、左右方向L3に突出したロックピン51が一体的に形成されている。このロックピン51は、係合ピン50の軸線から所定距離離間した位置において、係合ピン50に対して平行になるように形成されたピンであって、ラッチカバー19の回転に伴って係合ピン50の軸線回りに円弧状の軌跡を描くように回転移動するようになっている。つまり、ロックピン51は、ラッチカバー19の回転に伴って、係合ピン50に対してプラテン軸Cに直交する仮想面(図6に示す仮想面Sであって、左右方向L3に直交する面)内方向に沿って相対移動可能とされている。
【0054】
また、ラッチカバー19と固定刃ホルダカバー18との間には、コイルバネ(付勢部材)52が取り付けられており、ラッチカバー19を固定刃ホルダカバー18側に引っ張っている。つまり、このコイルバネ52は、ロックピン51が後方側に向けて回転移動するようにラッチカバー19を付勢している。
【0055】
上記のように構成されたラッチカバー19は、さらに解除カバー20によって覆われている。
この解除カバー20は、左右両側が下方に向けて屈曲されたC型状のカバーであり、ラッチカバー19及び支持枠30の前面パネル30cを上方から覆うと共に、側壁部20aが固定刃ホルダカバー18の側壁部18aの外方から被さるように配設されている。この際、解除カバー20は、上述したシャフト45を介して固定刃ホルダカバー18に連結されていると共に、シャフト45を中心として回転可能とされている。
【0056】
なお、解除カバー20の側壁部20aよりも左右方向L3の外方に突出したシャフト45の両端部には、円筒状のブッシュ47が被嵌されている。そして、このシャフト45の両端部及びブッシュ47は、係合ピン50に対して平行な方向に突出する補助ピン53として機能するようになっている。よって、解除カバー20は、補助ピン53の軸線を中心として回転可能とされている。
【0057】
ところで、解除カバー20の側壁部20aには、前縁側の一部が後方に向かって滑らかに湾曲するように湾曲凹部20bが形成されており、この湾曲凹部20bによって爪部20cが前方に向かって突出するように形成されている。そして、この湾曲凹部20b内にロックピン51が嵌り込むように、ラッチカバー19と解除カバー20とが組み合わされている。
特にラッチカバー19は、コイルバネ52によって固定刃ホルダカバー18側に常時引っ張られているので、湾曲凹部20b内にロックピン51が確実に嵌り込んでいると共に、該ロックピン51が爪部20cを下方側に押圧している。従って、解除カバー20は、ロックピン51からの力を受けて、常時支持枠30の前面パネル30cを覆う前方側に回転するように付勢されている。
【0058】
このように構成された着脱ユニット11は、解除カバー20を介して開閉扉3の内面に取り付けられている。そのため、本体ユニット10に着脱ユニット11が組み合わされているときに、開閉扉3を開けると、解除カバー20がそれに伴って補助ピン53の軸線を中心に支持枠30の前面パネル30cから離間する後方側に回転するようになっている。
すると、解除カバー20の側壁部20aに形成された爪部20cがロックピン51を上方に押し上げて、該ロックピン51をコイルバネ52による付勢方向とは逆方向である前方側に回転移動させるようになっている。
【0059】
(本体ユニット)
次に、本体ユニット10について説明する。
本体ユニット10は、図3から図5及び図14に示すように、可動刃8と、プラテンローラ5と、これらを支持する本体フレーム60と、で主に構成されている。なお、図14は、本体ユニット10の斜視図である。
本体フレーム60は、金属や樹脂等によって箱型状に形成されたフレームであって、上面60aが記録紙Pの通過面となっている。記録紙Pは、この通過面である上面60a側に印字面とは反対側の面を向けた状態で、紙送りされるようになっている。
また、本体フレーム60の前壁部60b及び側壁部60cには、それぞれ前方カバー61a及び側方カバー61bが着脱自在に取り付けられている。なお、側壁部60cは、本体フレーム60の内側に凹んだ位置に形成されており、この側壁部60cと側方カバー61bとの間に、各構成品を収納することができる収納空間Eが確保されている。
【0060】
側壁部60cの上部には、上面60aよりも上方に突出すると共に、該上面60aを間に挟んで左右方向L3に向かい合って対向する一対の対向壁62が連設されている。
この一対の対向壁62には、本体ユニット10に対して着脱ユニット11を分離可能に組み合わせるための複数の凹部が形成されている。即ち、前方側から後方側に向かって順に、第1の凹部65、第2の凹部66及び第3の凹部67がそれぞれ形成されている。
なお、本体ユニット10に着脱ユニット11を組み合わせた際、対向壁62の内側に解除カバー20の側壁部20aが位置するように本体ユニット10がサイズ設計されている。
【0061】
第1の凹部65は、係合ピン50が離脱可能に嵌め込まれ、サーマルヘッド6とプラテンローラ5とを互いに接触状態で対向配置させるための凹部であって、対向壁62の上端縁から前方に向けて斜めに開口するように形成されている。
第2の凹部66は、係合ピン50が第1の凹部65内に嵌め込まれた後に、ロックピン51が離脱可能に嵌め込まれる凹部であって、第1の凹部65の開口途中から後方に向けて斜めに開口するように形成されている。
【0062】
特に、ラッチカバー19はコイルバネ52によって後方側に回転しようとする力を受けているので、ロックピン51は自然に第2の凹部66内に嵌り込むようになっている。なお、ロックピン51は、第2の凹部66内に嵌り込んでいる際、ラッチカバー19の側壁部19aに形成された湾曲凹部20b内に同時に嵌り込んでおり、ラッチカバー19の爪部20cを下方に押圧している。従って、着脱ユニット11を装着した後、解除カバー20は支持枠30の前面パネル30cを覆う前方側に回転するように付勢されている。
【0063】
また、図3及び図15に示すように、係合ピン50とロックピン51とがそれぞれ第1の凹部65及び第2の凹部66内に嵌り込んでいる際、第1の凹部65の開口方向に沿ってロックピン51が移動することを、第2の凹部66の内周縁の一部が妨げている。これにより、ロックピン51を第2の凹部66内から離脱させない限り、係合ピン50を第1の凹部65内から離脱させることができないように設計されている。
なお、図15は、本体ユニット10と着脱ユニット11が組み合わされた状態を側方から見た図である。
【0064】
一方、解除カバー20を補助ピン53の軸線を中心として後方側に回転させた場合には、図16及び図17に示すように、爪部20cによりロックピン51を上方に押し上げて、該ロックピン51をコイルバネ52による付勢方向とは逆方向に回転させることが可能となる。これにより第2の凹部66内からロックピン51を離脱させることができるようになっている。従って、このロックピン51の離脱時に、係合ピン50を第1の凹部65内から離脱させることが可能とされている。
なお、図16は、図15に示す状態から解除カバー20を後方側に回転させて、爪部20cによりロックピン51を上方に押し上げた状態を示す図である。図17は、図16に示す状態からさらにロックピン51を上方に押し上げた状態を示す図である。
【0065】
つまり、本実施形態の係合ピン50は、ロックピン51が第2の凹部66内に嵌め込まれているときに第1の凹部65内から離脱不能とされていると共に、ロックピン51が第2の凹部66内から離脱した後に第1の凹部65内から離脱可能とされている。従って、最初にロックピン51を第2の凹部66内から離脱させた後、係合ピン50を第1の凹部65内から離脱させるといった順番によってのみ、着脱ユニット11を本体ユニット10から分離できるように構成されている。
【0066】
また、第3の凹部67は、係合ピン50を第1の凹部65内に嵌め込むタイミングで、補助ピン53を離脱可能に嵌め込ませるための凹部であって、第1の凹部65の開口方向と同じ方向に開口するように形成されている。
従って、着脱ユニット11が本体ユニット10に装着されている際に、係合ピン50の軸線を中心にロックピン51が回転させて第2の凹部66内から離脱させようとする外力が着脱ユニット11の全体に作用したとしても、補助ピン53が第3の凹部67の内周縁の一部に接触するので、着脱ユニット11の動きを規制する。
従って、意図しないときに、ロックピン51が第2の凹部66内から離脱しないようになっており、着脱ユニット11の装着時における信頼性を高めることができると共に、着脱ユニット11のがたつき等を抑え易い。
【0067】
プラテンローラ5は、図9に示すように、記録紙Pの幅方向に沿って延在するシャフト等の軸体5aに、ゴム等の弾性材料からなるローラ5bが外装されたものであり、図3及び図4に示すように、軸体5aの両端が軸受け部材70を介して本体フレーム60の側壁部60cに軸支されている。なお、軸体5aの一方側の端部には、図示しないプラテン用歯車輪列機構に噛合する従動歯車が固定されている。そして、本体フレーム60内に設けられた図示しないプラテン用モータの駆動によって、プラテン用歯車輪列機構を介して従動歯車に回転力が伝達し、プラテンローラ5が回転するようになっている。
【0068】
このプラテンローラ5は、図3、図4及び図9に示すように、本体フレーム60の上面60aから一部が露出するように配設されており、本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されたときに、サーマルヘッド6との間で記録紙Pを挟み込んだ状態で該記録紙Pを下流側である前方に紙送りして、固定刃9と可動刃8との間に送り出す役割を担っている。
【0069】
可動刃8は、固定刃9と協働して記録紙Pを切断するカッターとして機能するものであり、本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されたときに、図1及び図2に示すように、固定刃9に対して向き合う位置に配設されている。この可動刃8は、図10に示すように、根元から刃先8aまでの長さが両端から中央に向かって漸次短くなるように形成された平面視略V字型の板状の刃である。そして、固定刃9に向けてスライドさせられたときに、図9及び図18に示すように、固定刃9に乗り上がった状態となり、該固定刃9との間で記録紙Pを挟み込みながら切断するようになっている。
なお、図18は、図10に示す状態から可動刃9をスライドさせた状態を示す図である。
【0070】
この際、可動刃8は平面視略V字型に形成されているので、左右の2点(図18に示す点M)で固定刃9に接触するようになっている。しかも、本実施形態の可動刃8は、中央部よりも両端側が反るように幅方向に滑らかに湾曲しており、左右の2点で確実に接触するようになっている。従って、可動刃8のスライドに伴って、記録紙Pを左右の両側から中央に向かって切断可能とされている。
【0071】
このように形成された可動刃8は、図5及び図9に示すように、本体フレーム60の前壁部60bの内側に、刃先8aを上方に向けた状態で配設されており、可動刃ホルダ80に固定されている。この可動刃ホルダ80は、樹脂等からなる板状の部材であり、図示しないガイド手段によって上下方向L2に移動自在にガイドされている。これにより、可動刃8は、記録紙Pの紙面に対して略直交する上下方向L2にスライド可能とされている。
【0072】
可動刃ホルダ80の下端部には、図19に示すようにラック(往復移動機構)81が一体的に形成されている。なお、図19は、本体フレーム60内の内部構造の一部を示す図である。
このラック81は、図3及び図4に示すように、可動刃用モータ(図20参照)95に連結された駆動歯車82の回転に伴って、可動刃ホルダ80を上下方向L2に直線的に往復移動させる役割を担っている。また、図19に示すように、このラック81が取り付けられた可動刃ホルダ80と本体フレーム60の底壁部と間には、コイルバネ(付勢部材)83が取り付けられており、可動刃8を固定刃9から引き離す下方向に引っ張っている。これにより、可動刃ホルダ80には、常時下向きの力が加わっている。
【0073】
ラック81と駆動歯車82との間には、図3、図4及び図19に示すように、第1歯車91、第2歯車92及び第3歯車93からなる可動刃用歯車輪列機構(歯車輪列機構)90が設けられている。
この可動刃用歯車輪列機構90は、図3に示すように本体ユニット10に着脱ユニット11が組み合わされたときに、駆動歯車82とラック81とを連結させて駆動歯車82の回転力をラック81に伝達すると共に、図4に示すように着脱ユニット11が分離されたときに駆動歯車82とラック81との連結を切り離す役割を担っている。
以下、構成を詳細に説明する。
【0074】
可動刃用モータ(図20参照)95は、本体フレーム60内に配設されており、その駆動軸が側壁部60cに突出している。そして、この駆動軸に駆動歯車82が固定されている。第3歯車93は、ラック81に噛合した状態で側壁部60c上に軸支されている。また、第2歯車92は、この第3歯車93に噛合した状態で同様に側壁部60c上に軸支されている。
【0075】
ところで、駆動歯車82と側壁部60cとの間には、図20及び図21に示すように、駆動軸を中心として前後に揺動する揺動プレート96が配置されている。
なお、図20は、図4に示す本体ユニット11の側面図であって、第1歯車91を取り外した状態を示す図である。図21は、図3に示す本体ユニット11の側面図であって、第1歯車91を取り外した状態を示す図である。
この揺動プレート96は、平面視略半円形状に形成されていると共に、上部側の一部が外方に突出した鉤状の係止片96aとなっている。また、揺動プレート96には、係止片96aの根元付近に第1歯車91を軸支する軸芯96bが駆動歯車82に隣接するように立設されていると共に、下部側に後述するコイルバネ(付勢部材)98の一端側を固定する固定ピン96cが立設されている。
【0076】
そして、第1歯車91は、駆動歯車82に噛合した状態で揺動プレート96の軸芯96bに取り付けられている。そのため、第1歯車91は、揺動プレート96の揺動に伴って駆動軸を中心として回転し、図3及び図21に示すように第2歯車92に接近して噛合したり、図4及び図20に示すように第2歯車92から離間して噛合が解かれたりするようになっている。
ここで、第2歯車92に近接した側壁部60c上には固定ピン97が立設されており、この固定ピン97と揺動プレート96の上記固定ピン96cとの間にコイルバネ98が取り付けられている。このコイルバネ98は、図20に示すように第1歯車91が第2歯車92から離間する後方側に揺動プレート96を回転させるように付勢している。従って、揺動プレート96に外力を与えない限り、第1歯車91と第2歯車92とは連結が切り離されるようになっている。
なお、揺動プレート96には、駆動歯車82を保護する平面視三日月状の保護カバー99が形成されている。
【0077】
また、揺動プレート96の係止片96aには、押下ボタン100が接触している。この押下ボタン100は、本体フレーム60の上面60aに上下動可能に取り付けられており、図14に示すように、上部が上面60aに露出している。また、図20に示すように、押下ボタン100の下部は、滑らかな円弧状に形成されており、係止片96aに乗っかった状態となっている。よって、この押下ボタン100は、係止片96aによって上方に押し上げられ、上部が上面60aから飛び出るようになっている。
【0078】
このように構成されているので、本体ユニット10から着脱ユニット11が分離している場合には、図4及び図20に示すように、コイルバネ98の力により揺動プレート96が後方側に回転して、第1歯車91と第2歯車92との連結が切り離されている。よって、ラック81、第3歯車93及び第2歯車92は、駆動歯車82との係わりがないフリーな状態となっている。従って、図19に示すように、コイルバネ83によって下方に引っ張られている可動刃ホルダ80を上方に移動させることができず、可動刃8を固定刃9から離間させた待機位置に待機させておくことができる。
【0079】
一方、本体ユニット10に着脱ユニット11を装着した場合には、図3及び図21に示すように、押下ボタン100が着脱ユニット11に設けられた押下突起101(図20参照)に押されて下方移動するようになっている。これにより、係止片96aに下向きの力を加えることができ、コイルバネ98に抗する力で揺動プレート96を前方側に回転させることができ、第1歯車91を第2歯車92に噛合させることができるようになっている。その結果、駆動歯車82とラック81とを連結させて、駆動歯車82の回転力をラック81に伝達することが可能となる。
【0080】
次に、上述したように構成されたサーマルプリンタ1の作動について説明する。
まず、図2に示すように、開閉扉3を開けた状態でロール紙Rを投入口2aからケーシング2内に投入する。この際、予め記録紙Pをケーシング2の外側に、ある程度の長さだけ引き出しておく。そして、引き出した記録紙Pをケーシング2の外側に引き出した状態のまま、開閉扉3を閉めロック機構により開閉扉3をロックする。すると、これと同時に着脱ユニット11が本体ユニット10に装着されて、両ユニット10、11が組み合わさった状態となる。
これにより、記録紙Pは、図1に示すように、プラテンローラ5とサーマルヘッド6との間に挟まれた状態になると共に、排出口2cからケーシング2の外側に引き出された状態となる。
【0081】
ところで、開閉扉3が開いている状態では、図4及び図21に示すように、揺動プレート96がコイルバネ98によって引っ張られているので、第1歯車91と第2歯車92との連結が切り離されている。そのため、ラック81、第3歯車93及び第2歯車92は、駆動歯車82との係わりがないフリーな状態となっている。従って、可動刃ホルダ80は、図19に示すようにコイルバネ83によって下方に引っ張られている。これにより、可動刃8は、固定刃9から離間した待機位置に待機させられている。また、押下ボタン100は、図14に示すように、本体フレーム60の上面60aから飛び出した状態となっている。
【0082】
特に、ラック81と駆動歯車82との連結が切り離されているので、開閉扉3を閉める前の段階で誤って可動刃用モータ95を駆動させてしまったとしても、ラック81が直線移動して可動刃8がスライドすることがない。このように、可動刃8のスライドを規制したインターロック構造になっているので、可動刃8を待機位置に待機させ続けることができ、高い安全性を確保することができる。
【0083】
続いて、開閉扉3を閉めはじめると、着脱ユニット11がヒンジ部7を中心に円弧状の軌跡を描きながら徐々に本体ユニット10に近づくと共に、最終的には可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に沿いながら本体ユニット10に接近する。すると、まず着脱ユニット11の係合ピン50及び補助ピン53が、第1の凹部65内及び第3の凹部67内に侵入しはじめると共に、ロックピン51が第1の凹部65の入口である傾斜部に接触しながら滑り落ちていく。
この際、開閉扉3を押し下げる力の反力が、傾斜部を介してロックピン51を上方に押し上げるように作用する。そして、この反力がロックピン51を介してラッチカバー19に伝達されるため、該ラッチカバー19は係合ピン50の軸線を中心として前方側に回転する。つまり、ラッチカバー19は、係合ピン50の軸線を中心に前方側に回転しながら、開閉扉3の閉動作に伴って下方に移動する。
【0084】
よって、係合ピン50及び補助ピン53は、同じタイミングで第1の凹部65内及び第3の凹部67内の最奥部に向かって徐々に侵入し、図3及び図15に示すように、開閉扉3を完全に閉じた時点で第1の凹部65内及び第3の凹部67内に完全に嵌め込まれる。また、この時点で、ロックピン51は第2の凹部66の入口に達する。この際、ラッチカバー19はコイルバネ52によって固定刃ホルダカバー18側に引っ張られているので、後方側に回転しようとしている。そのため、第2の凹部66の入口に達したロックピン51を、第2の凹部66内に直ちに引き込んで嵌め込ませることができる。
【0085】
その結果、開閉扉3を閉めると同時に、着脱ユニット11を本体ユニット10に装着させて両ユニット10、11を組み合わせることができる。また、第1の凹部65内に係合ピン50を離脱不能にセットすることができる。
また、図1及び図19に示すように、この時点でサーマルヘッド6とプラテンローラ5とを記録紙Pを挟んで対向配置させることができる。この際、ヘッド支持フレーム15がコイルバネ41によってプラテンローラ5側に付勢されているので、サーマルヘッド6を所定の圧接力でプラテンローラ5に接触させることができる。更に、固定刃9の刃先9aと可動刃8の刃先8aとを、記録紙Pを挟んで向かい合わせることができる。
【0086】
ところで、本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されると、図3及び図21に示すように、本体フレーム60の上面60aから飛び出していた押下ボタン100が着脱ユニット11の押下突起101に押されて、下方移動する。すると、この押下ボタン100は、係止片96aを下方に押し下げるので、揺動プレート96をコイルバネ98に抗する力で前方側に回転させる。これにより、第1歯車91が揺動プレート96に伴って第2歯車92に接近するように回転し、最終的に第2歯車92に噛合する。この噛合は、着脱ユニット11が本体ユニット10から分離されない限り、維持される。
【0087】
これにより、第1歯車91、第2歯車92及び第3歯車93が全て噛合するので、可動刃用歯車輪列機構90が駆動歯車82とラック81とを連結させる。これにより、駆動歯車82の回転力をラック81に伝達することが可能な状態となる。
【0088】
続いて、記録紙Pに印刷を行う場合を説明する。
この場合には、まずプラテン用モータを駆動させて、プラテンローラ5を回転させる。これにより、プラテンローラ5とサーマルヘッド6との間に挟まれた記録紙Pが前方に紙送りされると同時に、載置台2b上に載置されたロール紙Rが回転する。
また、これと同時にサーマルヘッド6を作動させる。これにより、多数の発熱素子が適宜熱を発する。これにより、紙送りされた記録紙Pに対して、各種の文字や図形等を明瞭に印刷することができる。その後、プラテンローラ5によってさらに紙送りされた記録紙Pは、固定刃9と可動刃8との間を通過する。
【0089】
ところで、本体ユニット10と着脱ユニット11とが組み合わされて印刷が行われている際、記録紙Pやサーマルヘッド6等からプラテンローラ5に外力が加わったとしても、プラテン軸Cに非同軸な係合ピン50やロックピン51に外力が伝わり難い。よって、係合ピン50及びロックピン51が外力の影響によって、第1の凹部65及び第2の凹部66から離脱してしまうことを抑制することができる。従って、本体ユニット10に対して着脱ユニット11を高い信頼性で確実に組み合わせることができる。そのため、サーマルヘッド6とプラテンローラ5とを安定して組み合わせることができ、安定した印刷を行える。
【0090】
また、着脱ユニット11の装着時において、ロックピン51はコイルバネ52による付勢によって第2の凹部66内から離脱する方向に移動し難い状態となっている。従って、意図しないときに、ロックピン51が第2の凹部66内から離脱してしまうことを防止でき、本体ユニット10と着脱ユニット11との組み合わせをより確実なものにすることができる。
更に、係合ピン50及びロックピン51に加え、補助ピン53が第3の凹部67内に嵌っているので、着脱ユニット11を本体ユニット10に対して前後方向L1の2箇所で固定でき、より強固に組み合わせることができる。そのため、着脱ユニット11に何らかの外力が加わったとしても、がたつき等が生じ難い。この点においても、安定した印刷を行える。
【0091】
次に、印刷が終了して記録紙Pを切断する場合について説明する。
この場合には、可動刃用モータ95を駆動させて駆動歯車82を回転させる。すると、図3に示すようにこの回転力は、第1歯車91及び第2歯車92を介して第3歯車93に伝わり、該第3歯車93を回転させる。これにより、第3歯車93に噛合されているラック81を直線移動させることができる。従って、ラック81と一体的となった可動刃ホルダ80を介して、図10及び図19に示す状態から図9及び図18に示す状態に移行するように、可動刃8を固定刃9に向かう上方にスライドさせることができる。
【0092】
すると、スライドした可動刃8は、図18に示すように、固定刃9に乗り上がるように重なり、記録紙Pを固定刃9との間で挟み込みながら切断する。
この際、可動刃8は、平面視略V字型に形成されているので、左右の2点で固定刃9に接する。よって、可動刃8のスライドに伴って、記録紙Pを左右の両側から中央に向かって切断することができ。記録紙Pを偏りなく良好に切断することができる。その結果、切断した記録紙Pをレシートやチケット等として使用することができる。
【0093】
ところで、可動刃8が固定刃9に乗り上げると該固定刃9は可動刃8によって後方側に押し戻されようとする。ところが、図9に示すように、この固定刃9を支持している固定刃ホルダ16は、コイルバネ40によって前方に付勢されている。よって、可動刃8の刃先8aに固定刃9の刃先9aを適度な接触圧で圧接させることができる。従って、固定刃9の刃先9aと可動刃8の刃先8aとの間に隙間が生じ難く、記録紙Pを良好な切れ味で切断することができる。
【0094】
しかも、本実施形態の固定刃9は、刃先9a側が揺動するように保持されていた従来のものとは異なり、ホルダ支持フレーム17によって直交方向(前後方向L1)に移動可能に支持されている固定刃ホルダ16に保持されている。そのため、図9及び図22に示すように、スライドに伴って可動刃8が固定刃9に徐々に乗り上げ始めると、これに応じて固定刃ホルダ16が直交方向(前後方向L1)に移動、即ち後方に移動する。従って、可動刃8のスライド具合に関係なく、可動刃8に対して固定刃9の傾斜状態を一定に維持、即ち、可動刃8の刃先8aに対する固定刃9の刃先9aの角度を、最適な切断角θに維持し続けることができる。
その結果、切れ始めから切れ終わりまで、常に最適な切断角θを保ったまま切断を行うことができ、記録紙Pに切れ残り等の切断不良が生じる可能性が低く、良好な切断を安定して行うことができる。
なお、図22は、可動刃8と固定刃ホルダ16に保持された固定刃9との動きを、可動刃8のスライドの進行具合に伴ってどのように変化するかを説明するための簡略図である。
【0095】
更に、本実施形態の固定刃ホルダ16は、単に直交方向(前後方向L1)に沿って移動可能とされているだけでなく、図12に示すように、固定ネジ38回りに揺動可能とされている。そのため、この固定刃ホルダ16に保持されている固定刃9は、刃幅方向に高い自由度を持って揺動可能とされている。そのため、切れ始めから切れ終わりまで、可動刃8の挙動に応じて固定刃9を刃幅方向に自由に揺動させて、可動刃8の動きに固定刃9を追従させることができる。そのため、左右2点の接触ポイントの圧接力をバランス良く均等にし易い。
従って、より確実に記録紙Pを左右両側から切断することができ、切断不良をより生じ難くさせることができる。
【0096】
特に、本実施形態のように、可動刃8と固定刃9とが分離するタイプのカッター機構4の場合には、本体ユニット10に着脱ユニット11を組み合わせたときに、固定刃9と可動刃8とを位置精度良く毎回所定位置にセットさせることは困難であると考えられる。従って、可動刃8と固定刃9との接圧のバランスが崩れ易く、場合によっては一方の刃の切れ味が落ちる等の不具合が発生する恐れがある。
しかしながら、本実施形態の場合には、固定刃9と可動刃8とのセット位置にずれが生じてしまったとしても、上述したように固定刃9が固定ネジ38を中心に刃幅方向に自在に揺動するので、左右2点の接触ポイントの圧接力をバランス良く均等にすることができる。従って、上記不具合が発生する可能性を低くすることができる。
【0097】
次に、印刷中に紙ジャム等が発生して、可動刃8がスライド途中で停止してしまった場合について説明する。
この場合には、可動刃8が固定刃9に乗り上がった状態(被さった状態)となっているが、本実施形態では、着脱ユニット11を本体ユニット10に対して可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に沿って接近離間させることが可能とされている。よって、可動刃8がスライド途中で停止したとしても、本体ユニット10から着脱ユニット11を分離させることができ、可動刃8上を滑らすように固定刃9を引き抜くことができる。
【0098】
この点、詳細に説明する。
まず、ロック機構を解除した後、ヒンジ部7を中心として開閉扉3を後方に回転させるように開動作させる。すると、図16及び図17に示すように、開閉扉3の内面に取り付けられている解除カバー20が開閉扉3の開動作に伴って、補助ピン53の軸線を中心として後方側に回転しはじめる。そのため、解除カバー20は、爪部20cを介してロックピン51を上方に押し上げる。
すると、この力はロックピン51を介してラッチカバー19に伝わるので、該ラッチカバー19は係合ピン50の軸線を中心としてコイルバネ52に抗する力で前方側に回転する。従って、ロックピン51は、ラッチカバー19の回転に伴って第2の凹部66内から離脱する。これにより、係合ピン50及び補助ピン53は、共に第1の凹部65及び第3の凹部67の開口方向に沿って移動可能な状態となる。
【0099】
そして、開閉扉3のさらなる開動作に伴って、係合ピン50及び補助ピン53が同じタイミングで第1の凹部65及び第3の凹部67に沿って移動した後、第1の凹部65内及び第3の凹部67内から完全に離脱する。これにより、着脱ユニット11と本体ユニット10との組み合わせを解いて両ユニット10、11を分離させることができる。そして、開閉扉3をさらに開動作させることで、着脱ユニット11を本体ユニット10から大きく離反させることができる。
【0100】
特に、着脱ユニット11を分離させる際、該着脱ユニット11は開閉扉3と共にヒンジ部7を中心として円弧状の軌跡を描くように移動するので、分離はじめの初期段階は、可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に沿って移動する。従って、図9に示すように可動刃8がスライド途中で停止して固定刃9に乗り上がった状態であっても、上述したように可動刃8上を滑らせるように固定刃9を引き抜くことができる。
このように、可動刃8がスライド途中で停止した場合であっても、従来のものとは異なり、可動刃8と固定刃9とを容易に分離させることができる。そして、開閉扉3を大きく開けた後に、紙ジャム等の各種不具合の復旧作業を直ちに行うことができる。
【0101】
特に、本体ユニット10から着脱ユニット11を分離させると、可動刃用歯車輪列機構90がこの分離に伴って駆動歯車82とラック81との連結を機械的に切り離す。つまり、着脱ユニット11が分離することで、押下ボタン100の押し下げが解放されるので、図20に示すように、揺動プレート96がコイルバネ98に引っ張られて後方側に回転する。そのため、図4に示すように第1歯車91が第2歯車92から離間して、両者の噛合が解かれる。その結果、駆動歯車82とラック81との連結が切り離される。
【0102】
これにより、ラック81は可動刃用モータ95との係わりがないフリーな状態となる。すると、このラック81に一体的に形成された可動刃ホルダ80が、図19に示すようにコイルバネ83に引っ張られて下方に移動する。従って、可動刃8をスライド前の待機位置(初期位置)に自動復帰させることができ、着脱ユニット11の分離時に可動刃8の刃先8aが飛び出たままの状態にしてしまうことを防止することができる。
【0103】
従って、可動刃8に格別の注意を払うことなく各種不具合の復旧作業を行うことができ、安全性に優れている。しかも、先に述べたように、ラック81と駆動歯車82との連結が切り離されているので、誤って可動刃用モータ95を駆動させてしまったとしても可動刃8が動かないインターロック構造となっている。よって、この点においても、高い安全性を確保することができる。
【0104】
上述したように、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、以下の作用効果を奏することができる。
まず、第1の凹部65内への係合ピン50の嵌め込み/離脱と、係合ピン50に対するロックピン51の相対的な移動による第2の凹部66内の嵌め込み/離脱と、を行うだけの簡単な操作で着脱ユニット11の着脱操作をスムーズに行える。従って、本体ユニット10と着脱ユニット11とを速やかに組み合わせたり、両ユニット10、11を速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
また、外方に大きく突出していた従来のロックレバーを利用したものとは異なり、着脱ユニット11にはプラテン軸Cに平行な方向に向けて僅かに突出した係合ピン50、ロックピン51及び補助ピン53が形成されているである。従って、着脱ユニット11の着脱操作に指先がこれらに干渉し難く、従来よりも安全性に優れている。
【0105】
しかも、これら係合ピン50、ロックピン51及び補助ピン53は、本体ユニット10の対向壁62に形成された第1の凹部65、第2の凹部66及び第3の凹部67内にそれぞれ嵌り込むので、従来のロックレバーを利用するものとは異なり、着脱ユニット11の横幅(プラテン軸Cに沿った横幅)のサイズを対向壁62の間隔内で収めることができる。従って、サーマルプリンタ1全体の小型化を図り易い。
【0106】
更に、可動刃8がスライド途中で停止した場合であっても、可動刃8を元の位置に自動復帰させながら本体ユニット10と着脱ユニット11とを分離させることができるうえ、自動復帰させた可動刃8のスライドを規制することができるので、安全性に優れている。
更に、可動刃8の刃先8aに対する固定刃9の刃先9aの角度を常に最適な切断角θに維持することができるうえ、固定刃9を刃幅方向に自由に揺動させて可動刃8の動きに追従させることができるカッター機構4を備えているので、切断不良が生じる可能性が低く、記録紙Pを良好に切断することができる。その結果、切断性能の信頼性が向上したサーマルプリンタ1とすることができる。また、切断後の記録紙Pの品質も高めることができる。
【0107】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0108】
例えば、上記実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタ1を例に挙げて説明したが、サーマルプリンタに限定されるものではない。例えば、記録ヘッドをインクジェットヘッドとし、インク滴を利用して記録紙Pに印刷するインクジェットプリンタであっても構わない。
また、上記実施形態では、ロール紙Rを投入して単に載置台2b上に置くドロップイン方式のサーマルプリンタ1としたが、この方式ではなく、ケーシング2の内部にロール紙Rを軸支(回転可能に支持)する軸支機構を設けた軸支式のサーマルプリンタとしても構わない。
なお、ケーシング2や開閉扉3は必須な構成ではなく設けなくても構わない。即ち、本体ユニット10と着脱ユニット11とだけで構成されていても、プリンタとして十分に機能する。
【0109】
また、上記実施形態では、本体ユニット10側にプラテンローラ5及び可動刃8を設け、着脱ユニット11側にサーマルヘッド6及び固定刃9を設けた構成としたが、本体ユニット10側にサーマルヘッド6を設け、着脱ユニット11側にプラテンローラ5を設けても構わない。
但し、構造を簡略化し易いサーマルヘッド6や固定刃9を着脱ユニット11側に設けることで、該着脱ユニット11を小型化及び軽量化し易く、着脱操作性に適している。
【0110】
また、上記実施形態では、ラッチカバー19にロックピン51を設け、ラッチカバー19を回転させることでロックピン51を回転移動させ、係合ピン50に対して相対的に移動させる構成としたが、この場合に限定されるものではない。例えば、ロックピン51を直線的にスライドさせることで、係合ピン50に対して相対移動させても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。
但し、上記実施形態のようにラッチカバー19を回転させるだけの簡便な構成で、ロックピン51を係合ピン50に対して相対移動させることができるので構成の簡略化及び部品点数の削減化を図ることができる。
【0111】
また、上記実施形態では、着脱ユニット11を本体ユニット10に装着した際、該着脱ユニット11が押下ボタン100を押し下げることで揺動プレート96を回転させ、第1歯車91を第2歯車92に噛合させた構成としたが、押下ボタン100は必須なものではなく、着脱ユニット11側に揺動プレート96を回転させるための突起部材を直接設けても構わない。
【0112】
また、上記実施形態では、ラック81を移用して駆動歯車82の回転運動を直線運動に変換し、可動刃ホルダ80を直線的に往復移動させる構成としたが、駆動歯車82の回転に伴って可動刃ホルダ80を直線的に往復移動させることができれば、ラック81に限られず往復移動機構を自由に設計して構わない。
例えば、このような往復移動機構の一例としては、駆動歯車82の回転に伴って回転する回転カムと、この回転カムの回転によって可動刃ホルダ80を直線的に往復移動させる一般的に周知とされた機構と、を採用して構成しても構わない。
【0113】
また、上記実施形態では、第1歯車91が軸支された揺動プレート96を回転させることで、ラック81と駆動歯車82とを連結又は該連結を解除する構成としたが、このような構成に限定されるものではない。
着脱ユニット11が組み合わされたときに駆動歯車82とラック81が連結され、着脱ユニット11が分離されたときに駆動歯車82とラック81との連結が切り離されるように可動刃用歯車輪列機構90が構成されていれば、どのように設計しても構わない。
【0114】
例えば、図23に示すように、可動刃用歯車輪列機構(歯車輪列機構)110が、駆動歯車82側に連結される入力歯車111と、ラック81側に連結される出力歯車112と、を備え、着脱ユニット11の装着によって入力歯車111をスライドさせて出力歯車112に連結させるように構成しても構わない。
【0115】
この場合について、詳細に説明する。
入力歯車111及び出力歯車112は、それぞれ内歯車111a、112aを相手側に向けた状態で共通の軸芯113に軸支されている。この際、入力歯車111は、軸芯113に沿ってスライド移動可能とされている。また、軸芯113には、両歯車111、112の間に介在されるようにコイルバネ114が外嵌されており、両歯車111、112を離間させるように付勢している。そして、入力歯車111は、着脱ユニット11の装着によって移動するリンクボタン115により出力歯車112側にスライドし、自身の内歯車111aを出力歯車112の内歯車112aに噛合させるようになっている。
【0116】
このように構成したとしても、着脱ユニット11が組み合わされたときに駆動歯車82とラック81を連結することができると共に、着脱ユニット11が分離されたときに駆動歯車82とラック81との連結を切り離すことが可能である。従って、同様の作用効果を奏することができる。
【0117】
また、別の構成としては、図24に示すように、可動刃用歯車輪列機構(歯車輪列機構)120が、駆動歯車82側に連結される入力歯車121と、ラック81側に連結される出力歯車122と、入力歯車121と出力歯車122との間に配設された中間歯車123と、を備え、着脱ユニット11の装着によって中間歯車123をスライドさせて入力歯車121と出力歯車122とを連結させるように構成しても構わない。
【0118】
この場合について、詳細に説明する。
入力歯車121、出力歯車122及び中間歯車123は共に傘歯車とされており、入力歯車121及び出力歯車122をそれぞれ軸支する軸芯124の間に位置するように中間歯車123用の軸芯125が設けられている。この際、中間歯車123は、軸芯125に沿ってスライド移動可能とされている。また、中間歯車123は、入力歯車121及び出力歯車122から離間するようにコイルバネ126によって付勢されている。そして、中間歯車123は、着脱ユニット11の装着によって移動するリンクボタン127によりコイルバネ126に抗するようにスライドし、入力歯車121及び出力歯車122の両方に噛合されるようになっている。
【0119】
このように構成したとしても、着脱ユニット11が組み合わされたときに駆動歯車82とラック81を連結することができると共に、着脱ユニット11が分離されたときに駆動歯車82とラック81との連結を切り離すことが可能である。従って、同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0120】
C…プラテン軸
P…記録紙
S…仮想面
1…サーマルプリンタ(プリンタ)
5…プラテンローラ
6…サーマルヘッド(記録ヘッド)
10…本体ユニット
11…着脱ユニット
19…ラッチカバー(ラッチ部材)
20…解除カバー(解除部材)
50…係合ピン
51…ロックピン
52…コイルバネ(付勢部材)
53…補助ピン
62…対向壁
65…第1の凹部
66…第2の凹部
67…第3の凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンローラと記録ヘッドとが分離可能に組み合わされたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているプリンタとして、筐体内部に記録ヘッドとこれに接するプラテンローラとを有し、プラテンローラによって送り出される記録紙に対して記録ヘッドが記録を行うものが知られている。この種のプリンタにおいて、記録紙のセット時やジャム処理時、或いは、記録ヘッドやプラテンローラ等のメンテナンス時や交換時等の際、筐体内部で記録ヘッドとプラテンローラとが接したままの状態となっている場合には作業性が悪いものであった。
【0003】
この点、記録ヘッドとプラテンローラとを互いに離反させ、それぞれを筐体外部に露出させることができる構成が望ましい。そこで、互いに分離可能に組み合わされる本体ユニットと、着脱ユニットと、を備え、一方のユニットに記録ヘッドを設け、他方のユニットにプラテンローラを設けた分離型のプリンタが知られている。
この分離型のプリンタによれば、本体ユニットに着脱ユニットを組み合わせることで、記録ヘッドとプラテンローラとを適度に圧接させた状態で組み合わせることができると共に、本体ユニットから着脱ユニットを分離させることで、記録ヘッドとプラテンローラとを互いに離反させてそれぞれを外部に露出させることが可能とされている。従って、このような分離型のプリンタは、使い易く、上述した各種の作業を行う際の作業性に優れている。
【0004】
ところで、分離型のプリンタの場合には、本体ユニットと着脱ユニットとをがたつき少なく確実に組み合わせたり、スムーズな着脱操作を行ったりすることが重要とされている。そこで、このような要望を満たすものとして、アーム式のロック方法を採用したプリンタが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
このプリンタは、サーマルヘッドが設けられた本体フレームと、プラテンローラが設けられたカバーフレームと、を備えており、カバーフレームの開閉動作によって本体フレームにカバーフレームが分離可能に組み合わされるように構成されている。
そして、カバーフレームには、先端が係合部とされた鉤状のロックレバーが回動自在に取り付けられている。一方、本体フレームには、ロックレバーの係合部が係合されるロックピンが設けられている。
【0006】
このように構成されているプリンタによれば、ロックレバーを回動させて係合部をロックピンに係合させることで、本体フレームとカバーフレームとを確実に組み合わせることができ、サーマルヘッドとプラテンローラとを圧接させた状態にすることができる。また、ロックレバーを逆方向に回動させて係合部とロックピンとの係合を解くことで、本体ユニットとカバーフレームとを分離することが可能とされている。
このように、ロックレバーを利用することで、本体フレームとカバーフレームとを確実に組み合わせることができると共に、カバーフレームのスムーズな着脱操作を行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−118060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のアーム式のロック方法を採用したプリンタにおいては、係合部をロックピンに係合させるために、ロックレバーを本体フレーム側に突出させた状態でカバーフレームに設ける必要があった。そのため、ロックレバーは、本体フレームとカバーフレームとの組み合わせ方向に向けて、カバーフレームよりも外方に出っ張った状態となってしまい、プリンタ全体の小型化の妨げとなるものであった。
しかも、このロックレバーは、カバーフレームの側面に取り付けられており、カバーフレームと本体フレームとを組み合わせた際に、本体フレームの壁内或いは壁外のいずれかに配置されてしまう。そのため、少なくともロックレバーの厚み分だけプリンタの幅方向(プラテンローラの幅方向)のサイズが大きくなってしまい、この点においてもさらなる小型化の妨げになるものであった。
更に、ロックレバーがカバーフレームよりも外方に突出しているので、指先が触れ易い突起物となってしまい安全性の点で改善の余地があった。
【0009】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、本体ユニットと着脱ユニットとの確実な組み合わせと、着脱ユニットのスムーズな着脱操作と、を行うことができるうえ、小型化を図り易く、着脱操作時に指先への干渉を抑制でき安全性に優れたプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプリンタは、記録ヘッドとプラテンローラとが分離可能に組み合わされるプリンタであって、互いに対向する対向壁を有し、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとのうち一方を支持する本体ユニットと、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとのうち他方を支持すると共に、前記本体ユニットに対して着脱自在に組み合わされる着脱ユニットと、を備え、前記着脱ユニットには、前記プラテンローラのプラテン軸に対して非同軸で且つ平行な軸線に沿って突出した係合ピンと、該係合ピンに対して平行な方向に突出すると共に係合ピンに対してプラテン軸に直交する仮想面内方向に沿って相対移動可能とされたロックピンと、が設けられ、前記対向壁には、前記係合ピンが離脱可能に嵌め込まれ、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとを互いに接触状態で対向配置させる第1の凹部と、係合ピンが第1の凹部内に嵌め込まれた後に、前記ロックピンが離脱可能に嵌め込まれる第2の凹部と、が形成され、前記係合ピンが、前記ロックピンが前記第2の凹部内に嵌め込まれているときに前記第1の凹部内から離脱不能とされていると共に、ロックピンが第2の凹部内から離脱した後に第1の凹部内から離脱可能とされていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプリンタにおいて、本体ユニットに着脱ユニットを装着して組み合わせる場合には、まず、係合ピンを対向壁に形成された第1の凹部内に挿入して嵌め込ませる。次いで、ロックピンを係合ピンに対して相対的に移動させて、対向壁に形成された第2の凹部内に挿入して嵌め込ませる。これにより、着脱ユニットの装着が完了すると共に、第1の凹部内に係合ピンを離脱不能にセットすることができる。
この時点で、両ユニットにそれぞれ支持された記録ヘッドとプラテンローラとを互いに接触状態で対向配置させることができる。つまり、印刷可能状態にセットすることができる。
【0012】
特に、両ユニットが組み合わされて印刷が行われている際、記録ヘッドや記録紙等からプラテンローラに外力が加わったとしても、プラテン軸に非同軸な係合ピンやロックピンに外力が伝わり難い。よって、係合ピン及びロックピンが外力の影響を受けて影響で第1の凹部内及び第2の凹部内から離脱してしまうことを抑制することができる。従って、本体ユニットに対して着脱ユニットを高い信頼性で確実に組み合わせることができる。そのため、記録ヘッドとプラテンローラとを安定して組み合わせることができ、安定した印刷を行える。
一方、本体ユニットから着脱ユニットを分離させる場合には、ロックピンを先ほどとは逆方向に移動させて第2の凹部内から離脱させる。次いで、係合ピンを第1の凹部内から離脱させながら、着脱ユニットを本体ユニットから離反させる。これにより、両ユニットの組み合わせを解いて分離させることができ、記録ヘッドとプラテンローラとを分離させることができる。
【0013】
このように、第1の凹部内への係合ピンの嵌め込み/離脱と、ロックピンの移動による第2の凹部内への嵌め込み/離脱と、を行うだけの簡単な操作で着脱ユニットの着脱操作をスムーズに行える。従って、本体ユニットと着脱ユニットとを速やかに組み合わせたり、両ユニットを速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
また、外方に大きく突出する従来のロックレバーを利用したものとは異なり、着脱ユニットにはプラテン軸に平行な方向に向けて僅かに突出した係合ピン及びロックピンが形成されているだけである。従って、着脱ユニットの着脱操作時に指先がこれらに干渉し難く、従来よりも安全性に優れている。
しかも、これら係合ピン及びロックピンは、本体ユニットの対向壁に形成された第1の凹部内及び第2の凹部内に嵌り込むので、従来のロックレバーを利用するものとは異なり、着脱ユニットの横幅(プラテン軸に沿った横幅)のサイズを対向壁の間隔内で確実に収めることができる。従って、プリンタ全体の小型化を図り易い。
【0014】
(2)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記着脱ユニットには、前記ロックピンを付勢して前記第2の凹部内に嵌め込ませる方向に移動させる付勢部材と、前記ロックピンを前記付勢方向とは逆方向に移動させて該ロックピンを前記第2の凹部内から離脱させる解除部材と、が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプリンタにおいては、ロックピンが付勢部材によって付勢されているので、係合ピンを第1の凹部内に嵌め込んだ後、ロックピンを第2の凹部内に誘導して嵌め込むことができる。従って、着脱ユニットの装着作業をスムーズに効率良く行うことができる。また、着脱ユニットの装着後、ロックピンは付勢部材による付勢によって第2の凹部内から離脱する方向に移動し難い状態となっている。従って、意図しないときにロックピンが第2の凹部内から離脱してしまうことを防止でき、本体ユニットと着脱ユニットとの組み合わせをより確実なものにすることができる。
一方、着脱ユニットを分離させる場合には、解除部材を利用してロックピンを付勢部材に抗する力で第2の凹部内から離脱させる。これにより、着脱ユニットを本体ユニットから分離されることが可能になる。
【0016】
(3)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記着脱ユニットには、前記係合ピンの軸線回りに回転自在なラッチ部材が設けられ、前記ロックピンが、前記ラッチ部材に一体的に形成され、該ラッチ部材の回転に伴って回転移動することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るプリンタにおいては、係合ピンを第1の凹部内に嵌め込んだ後、ラッチ部材を係合ピンの軸線回りに回転させることで、ロックピンを係合ピンに対して相対的に回転移動させることができ、第2の凹部内に嵌め込むことができる。また、ラック部材を逆方向に回転させることで、ロックピンを第2の凹部内から離脱させることができる。
特に、ラッチ部材を回転させるだけの簡便な構成で、ロックピンを係合ピンに対して相対移動させることができるので構成の簡略化及び部品点数の削減化を図ることができる。
【0018】
(4)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記着脱ユニットには、前記係合ピンに対して平行な方向に突出する補助ピンが形成され、前記対向壁には、前記第1の凹部の開口方向と同じ方向に開口し、前記補助ピンが離脱可能に嵌め込まれる第3の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るプリンタにおいては、第1の凹部と第3の凹部とが同じ方向に開口しているので、係合ピンを第1の凹部内に嵌め込む際に、同じタイミングで補助ピンを第3の凹部内に嵌め込むことができる。そして、その後にロックピンが第2の凹部内に嵌め込まれて、着脱ユニットが装着される。
特に、係合ピン及びロックピンに加え、補助ピンが第3の凹部内に嵌っているので、着脱ユニットを本体ユニットに対してより強固に組み合わせることができる。そのため、着脱ユニットに何らかの外力が加わったとしても、がたつき等が生じ難い。従って、より安定して印刷を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るプリンタによれば、本体ユニットと着脱ユニットとの確実な組み合わせと、着脱ユニットのスムーズな着脱操作と、を行うことができる。また、小型化を図り易いうえ、着脱操作時に指先が係合ピンやロックピンに干渉し難いので安全性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施形態を説明するための図であり、開閉扉が閉じている状態のサーマルプリンタの断面図である。
【図2】図1に示す状態から開閉扉が開いた状態のサーマルプリンタの断面図である。
【図3】本体ユニットに着脱ユニットが装着された状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す状態から着脱ユニットが分離した状態を示す図であって、本体ユニットの側方カバーを外した状態の斜視図である。
【図5】図3に示す状態から着脱ユニットが分離した状態を示す図であって、本体ユニットの前方カバーを外した状態の斜視図である。
【図6】着脱ユニットの外観斜視図である。
【図7】図6に示す着脱ユニットの側面図である。
【図8】図6に示す状態から、固定刃ホルダカバー、ラッチカバー及び解除カバーを取り外した状態の斜視図である。
【図9】本体ユニットと着脱ユニットとが組み合わさっている場合における内部構造図であって、可動刃が固定刃に乗り上げている状態の図である。
【図10】固定刃と可動刃との位置関係を示した図である。
【図11】図8に示すホルダ支持フレームを裏返した状態を示す斜視図である。
【図12】図8に示す状態から各構成品を分解した状態を示す図である。
【図13】図11に示す状態から各構成品を分解した状態を示す図である。
【図14】本体ユニットの斜視図である。
【図15】本体ユニットと着脱ユニットとが組み合わされた状態を側方から見た図である。
【図16】図15に示す状態から解除カバーを後方側に回転させて、爪部によりロックピンを上方に押し上げた状態を示す図である。
【図17】図16に示す状態からさらにロックピンを上方に押し上げた状態を示す図である。
【図18】図10に示す状態から可動刃をスライドさせた状態を示す図である。
【図19】本体フレーム内の内部構造の一部を示す図である。
【図20】図4に示す本体ユニットの側面図であって、第1歯車を取り外した状態を示す図である。
【図21】図3に示す本体ユニットの側面図であって、第1歯車を取り外した状態を示す図である。
【図22】可動刃と固定刃ホルダに保持された固定刃との動きを、可動刃のスライドの進行具合に伴ってどのように変化するかを説明するための簡略図である。
【図23】本発明に係る変形例を示す図であって、歯車輪列機構の別の構成を示す図である。
【図24】本発明に係る変形例を示す図であって、歯車輪列機構のさらに別の構成を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を、図1から図24を参照して説明する。なお、本実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタを例に挙げて説明する。
本実施形態のサーマルプリンタは、図1及び図2に示すように、ロール紙Rから引き出された記録紙Pに印刷を行った後、該記録紙Pを適宜切断してチケットやレシート等として利用することができる、いわゆるクラムシェル型のプリンタである。
このサーマルプリンタは、ケーシング2と、このケーシング2に対して開閉可能に設けられた開閉扉3と、カッター機構4と、プラテンローラ5と、サーマルヘッド(記録ヘッド)6と、で主に構成されている。
【0023】
なお、図1は、開閉扉3が閉じている状態のサーマルプリンタ1の断面図である。図2は、開閉扉3が開いている状態のサーマルプリンタ1の断面図である。
また、本実施形態では、図1に示す状態において、紙面に対して左側を前方、右側を後方、上側を上方、下側を下方とする。そして、記録紙Pは前後方向L1に紙送りされるものとする。また、前後方向L1及び上下方向L2に対して直交する方向を左右方向L3とする。
【0024】
ケーシング2は、プラスチック或いは金属材料で成形されたものであり、上部に投入口2aが開口した箱型に形成されている。ケーシング2の内部には、投入口2aから投入されたロール紙Rを載置するための載置台2bが設けられている。この載置台2bは、円弧状に湾曲するように形成されており、円筒状のロール紙Rを安定に載置することができるようになっている。
【0025】
ケーシング2の上部には、ヒンジ部7を介して開閉可能に連結された開閉扉3が取り付けられている。この開閉扉3は、図1に示す閉状態から図2に示す開状態に亘って一定角度の範囲内で開閉するようになっている。そして、図2に示すように、開閉扉3を開けたときに投入口2aが現れ、ロール紙Rをケーシング2の内部に投入したり、内部から取り出したりすることができるようになっている。
また、図1に示すように、開閉扉3を閉めたときに、開閉扉3の先端とケーシング2との間に若干の隙間が空くように設計されている。そして、この隙間を利用して、ケーシング2の内部から紙送りされた記録紙Pが引き出されるようになっている。つまり、この隙間は、記録紙Pの排出口2cとして機能する。
【0026】
なお、開閉扉3は、閉じたときに図示しないロック機構によって自動的にケーシング2に対してロックがかかるようになっている。このロック機構はケーシング2の外側からワンタッチで解除できるようになっており、開閉扉3を速やかに開けることができるようになっている。
【0027】
上記カッター機構4は、プラテンローラ5を支持すると共にスライド可能な可動刃8が組み込まれた本体ユニット10と、サーマルヘッド6を支持すると共に可動刃8のスライド時に該可動刃8との間で記録紙Pを挟み込みながら切断する固定刃9が組み込まれ、本体ユニット10に対して分離可能に組み合わされる着脱ユニット11と、を備えている。
【0028】
両ユニット10、11のうち本体ユニット10は、ケーシング2側に設けられている。具体的には、ロール紙Rが載置される載置台2bの前方に形成された収納室2d内に固定されている。なお、図1及び図2では、可動刃8及びプラテンローラ5を代表として図示している。
一方、着脱ユニット11は、開閉扉3の先端側の内面に設けられている。そのため、着脱ユニット11は開閉扉3の開閉動作に伴って移動して、本体ユニット10に組み合わされたり、本体ユニット10から分離したりするようになっている。
なお、図1及び図2では、固定刃9及びサーマルヘッド6を代表として図示している。
【0029】
なお、本体ユニット10と着脱ユニット11とは、開閉扉3が閉まったときに図3に示すように組み合わされるようになっている。これにより、図1に示すように記録紙Pを挟んで可動刃8と固定刃9とが向かい合うように配設されると共にプラテンローラ5にサーマルヘッド6が適度な接触圧で接するように組み合わされるようになっている。また、開閉扉3が開いたときに、図4及び図5に示すように、本体ユニット10から着脱ユニット11が分離されるようになっている。これにより、可動刃8と固定刃9とが離間すると共にプラテンローラ5からサーマルヘッド6が分離するようになっている。
【0030】
なお、図3は、本体ユニット10に着脱ユニット11が装着された状態を示す斜視図である。図4は、図3に示す状態から着脱ユニット11が分離した状態を示す図であって、本体ユニットの側方カバー61bを外した状態の斜視図である。図5は、図3に示す状態から着脱ユニット11が分離した状態を示す図であって、本体ユニットの前方カバー61aを外した状態の斜視図である。
【0031】
以下、両ユニット10、11の構成を着脱ユニット11、本体ユニット10の順で詳細に説明する。
【0032】
(着脱ユニット)
はじめに、着脱ユニット11は、上述したように開閉扉3の開閉動作に伴ってヒンジ部7を中心として回転移動するが、本体ユニット10に組み合わされる直前や本体ユニット10から分離された直後には、可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に沿って本体ユニット10に対して接近離間するようになっている。
本実施形態の着脱ユニット11は、図6から図9に示すように、サーマルヘッド6と、サーマルヘッド6を支持するヘッド支持フレーム15と、サーマルヘッド6に対して記録紙Pの搬送方向下流側に配置された固定刃9と、この固定刃9を保持する固定刃ホルダ16と、この固定刃ホルダ16を移動可能に支持するホルダ支持フレーム(ホルダ支持部材)17と、ホルダ支持フレーム17の後方側を覆う固定刃ホルダカバー18と、ホルダ支持フレーム17の前方側を覆うラッチカバー(ラッチ部材)19と、このラッチカバー19をさらに覆う解除カバー(解除部材)20と、を備えている。
【0033】
図6は、着脱ユニット11の外観斜視図である。図7は、図6に示す着脱ユニット11の側面図である。図8は、図6に示す状態から、固定刃ホルダカバー18、ラッチカバー19及び解除カバー20を取り外した状態の斜視図である。図9は、本体ユニット10と着脱ユニット11とが組み合わさっている場合における内部構造図であって、可動刃8が固定刃9に乗り上げている状態の図である。
【0034】
上記固定刃9は、図10に示すように、記録紙Pの幅方向である左右方向L3に延びた板状の刃であり、平行する両辺のうち一辺側が刃先9aとされ、他辺側が根元部とされている。なお、固定刃9の刃幅方向とは、記録紙Pの幅方向(左右方向L3)に沿って延びる長手方向をいうものとする。なお、図10は、固定刃9と可動刃8との位置関係を示した図である。
この固定刃9は、図1、図2及び図9に示すように、開閉扉3が閉じて本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されたときに、刃先9aが下方を向いて記録紙Pの紙面に対向するように固定刃ホルダ16に保持されている。
【0035】
固定刃ホルダ16は、図9に示すように、開閉扉3が閉じて本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されたときに、固定刃9の刃先9aが可動刃8の刃先8aに対して所定の切断角θとなるように、可動刃8に対して固定刃9を傾斜状態(根元部から刃先9aにかけて前方に向けて傾斜)で保持するホルダである。
具体的に固定刃ホルダ16は、図9、図11から図13に示すように、固定刃9の刃幅方向に沿って延在し、固定刃9が載置固定される載置面16aが形成されたホルダ本体16bと、このホルダ本体16bの左右両端側から後方に向けて突出した脚部16cと、で一体的に形成されている。
【0036】
図11は、図8に示すホルダ支持フレーム17を裏返した状態を示す斜視図である。図12は、図8に示す状態から各構成品を分解した状態を示す図である。図13は、図11に示す状態から各構成品を分解した状態を示す図である。
【0037】
ホルダ本体16bの載置面16aは、上方から下方に向かって漸次前方側に傾斜した傾斜面とされており、載置固定された固定刃9を上述したように傾斜状態で保持できるようになっている。ホルダ本体16bの上面は、後述するホルダ支持フレーム17を構成する支持枠30に摺動可能に接する摺動面とされている。この際、ホルダ本体16bの上面には、支持枠30とホルダ本体16bとを連結するためのボス25が形成されていると共に、ホルダ本体16bの移動量を規制する2つのストッパ爪26が形成されている。
【0038】
ボス25は、ホルダ本体16bの上面において、固定刃9の刃幅方向の中間部に相当する位置に形成されている。そして、このボス25を間に挟むように、2つのストッパ爪26が間隔を開けて形成されている。なお、ストッパ爪26は、前方側に爪が向くように形成されている。
【0039】
ホルダ支持フレーム17は、可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に直交し、且つ、可動刃8の刃先8aから固定刃9の刃先9aが接近離間する直交方向(前後方向L1)に沿って固定刃ホルダ16を移動自在に支持するものであって、支持枠30と、連結部材31と、で構成されている。
支持枠30は、ホルダ本体16bの上面側に重ね合わされる枠状のプレートであって、天壁部30aと、この天壁部30aの左右両側から下方に向けて屈曲された側面パネル30bと、天壁部30aの前方から下方に向けて屈曲された前面パネル30cと、で構成されている。
【0040】
天壁部30aは、固定刃ホルダ16よりも左右方向L3及び前後方向L1に長く形成された平面視長方形状のプレートであり、左右方向L3に沿って延びる切欠部によって前方天壁部30Aと、後方天壁部30Bとに区分けされている。そして、固定刃ホルダ16は、側面パネル30bと前面パネル30cとに囲まれた状態で前方天壁部30Aに重ね合わされるようになっている。
ところで、前方天壁部30Aには、直交方向(前後方向L1)に沿って縦長に形成された案内開口35がボス25に対向する位置に形成されている。また、この案内開口35を挟んで左右方向L3に並ぶようにストッパ用開口部36が形成されている。そして、上記案内開口35内にボス25が挿通され、ストッパ用開口部36内にストッパ爪26が挿通されるように、固定刃ホルダ16が重ね合わされている。
【0041】
そして、案内開口35内に挿通されたボス25にワッシャ37を介して固定ネジ38が螺合されている。これにより、支持枠30と固定刃ホルダ16とが連結されている。なお、案内開口35内には、該案内開口35の内周縁を保護するための樹脂製のカラー39が嵌め込まれている。但し、このカラー39は、必須なものではなく、無くても構わない。
【0042】
上述したように、固定刃ホルダ16は、案内開口35内を挿通された固定ネジ38によって支持枠30に連結されているが、この固定ネジ38は案内開口35に沿って直交方向(前後方向L1)に沿って移動可能に案内される。そのため、固定刃ホルダ16は、案内開口35に沿った直交方向(前後方向L1)に移動可能とされている。
なお、上述した固定ネジ38、ワッシャ37及びカラー39は、案内開口35に挿通され、支持枠30と固定刃ホルダ16を連結する連結部材31として機能する。
【0043】
また、前方天壁部30Aには、前面パネル30cに向かい合うように、切欠部に沿って壁部30dが立設されている。そして、この壁部30dと固定刃ホルダ16の脚部16cとの間にコイルバネ(付勢部材)40が配設されている。このコイルバネ40は、固定刃ホルダ16を前面パネル30c側に向けて付勢している。つまり、コイルバネ40は、可動刃8がスライドしてきた際に、可動刃8の刃先8aに固定刃9の刃先9aを圧接させるように、固定刃ホルダ16を前方側に常時付勢する役割を担っている。
この際、図8に示すように、ストッパ爪26がストッパ用開口部36に接触して、固定刃ホルダ16の過度の前方移動を規制するようになっている。そのため、固定刃9が、支持枠30の前面パネル30cに接触しないようになっている。
【0044】
また、前方天壁部30Aには、図9及び図11に示すように、壁部30dに沿いながら間隔を空けて3つの凸部30eが形成されている。この凸部30eは、例えばリング状に形成されており、後述するコイルバネ41を位置決めさせるための凸部である。
【0045】
また、固定刃ホルダ16は、上述したように直交方向(前後方向L1)に沿って移動可能とされているが、固定ネジ38の1箇所で支持枠30に連結されているので、図12に示す矢印方向のように、単に移動するだけでなく固定ネジ38の中心軸回りに揺動可能とされている。そのため、固定刃ホルダ16に保持されている固定刃9は、固定ネジ38を支点として刃幅方向に高い自由度を持って揺動するようになっている。
【0046】
図9に示すように、このように構成されたホルダ支持フレーム17の下方には、サーマルヘッド6を支持するヘッド支持フレーム15が配設されている。このヘッド支持フレーム15は、回転支点Nを中心として回動可能にホルダ支持フレーム17に取り付けられている。
【0047】
サーマルヘッド6は、記録紙Pの幅方向(左右方向L3)に延在するように形成され、その表面(下面)には左右方向L3に沿って多数の図示しない発熱素子が配列されている。また、ヘッド支持フレーム15の裏面(上面)と支持枠30の前方天壁部30Aとの間には、サーマルヘッド6をプラテンローラ5側に付勢するコイルバネ41が配設されている。これにより、サーマルヘッド6は、本体ユニット10に着脱ユニット11が組み合わされたときに、記録紙Pを挟んでプラテンローラ5に所定の接触圧で接するようになっている。そのため、記録紙Pに対して良好な印刷が可能とされている。
【0048】
なお、コイルバネ41は、一端側が前方天壁部30Aに形成された凸部30eに外嵌され、他端側がヘッド支持フレーム15に形成された凸部15aに外嵌されている。従って、コイルバネ41は、確実に位置決めされた状態で、ヘッド支持フレーム15と前方天壁部30Aとの間に配設されている。
【0049】
また、上述したようにホルダ支持フレーム17には、図6及び図7に示すように固定刃ホルダカバー18が後方側を覆うように取り付けられていると共に、ラッチカバー19が前方側を覆うように取り付けられている。
【0050】
固定刃ホルダカバー18は、左右両側が下方に向けて屈曲されたC形状のカバーであり、支持枠30の後方天壁部30Bを上方から覆うと共に、側壁部18aが支持枠30の側面パネル30bの外方から被さるように取り付けられている。そして、固定刃ホルダカバー18の側壁部18a及び支持枠30の側面パネル30bを通して、該支持枠30を左右方向L3に貫くようにシャフト45が挿通されている。
このシャフト45の両端部は、それぞれ固定刃ホルダカバー18の側壁部18aよりさらに左右方向L3の外方に突出した状態となっている。
【0051】
ラッチカバー19は、固定刃ホルダカバー18と同様に、左右両側が下方に向けて屈曲されたC形状のカバーであり、支持枠30の前方天壁部30Aを上方から覆うと共に、側壁部19aが支持枠30の側面パネル30bの外方から被さるように配設されている。そして、このラッチカバー19は、シャフト46を介して支持枠30に連結されていると共に、このシャフト46を中心として前後方向L1に回転可能とされている。
シャフト46は、支持枠30の側面パネル30b及びラッチカバー19の側壁部19aを通して該支持枠30を左右方向L3に貫くように挿通されており、その両端部がラッチカバー19の側壁部19aよりさらに左右方向L3の外方に突出した状態となっている。そして、このシャフト46の両端部に円筒状のブッシュ47が被嵌されている。
【0052】
そして、シャフト46の両端部及びブッシュ47は、本体ユニット10側に設けられたプラテンローラ5のプラテン軸Cに対して非同軸で且つ平行な軸線に沿って突出する係合ピン50として機能する。つまり、ラッチカバー19は、この係合ピン50の軸線を中心として、前後方向L1に回転自在とされている。
【0053】
また、ラッチカバー19の側壁部19aには、左右方向L3に突出したロックピン51が一体的に形成されている。このロックピン51は、係合ピン50の軸線から所定距離離間した位置において、係合ピン50に対して平行になるように形成されたピンであって、ラッチカバー19の回転に伴って係合ピン50の軸線回りに円弧状の軌跡を描くように回転移動するようになっている。つまり、ロックピン51は、ラッチカバー19の回転に伴って、係合ピン50に対してプラテン軸Cに直交する仮想面(図6に示す仮想面Sであって、左右方向L3に直交する面)内方向に沿って相対移動可能とされている。
【0054】
また、ラッチカバー19と固定刃ホルダカバー18との間には、コイルバネ(付勢部材)52が取り付けられており、ラッチカバー19を固定刃ホルダカバー18側に引っ張っている。つまり、このコイルバネ52は、ロックピン51が後方側に向けて回転移動するようにラッチカバー19を付勢している。
【0055】
上記のように構成されたラッチカバー19は、さらに解除カバー20によって覆われている。
この解除カバー20は、左右両側が下方に向けて屈曲されたC型状のカバーであり、ラッチカバー19及び支持枠30の前面パネル30cを上方から覆うと共に、側壁部20aが固定刃ホルダカバー18の側壁部18aの外方から被さるように配設されている。この際、解除カバー20は、上述したシャフト45を介して固定刃ホルダカバー18に連結されていると共に、シャフト45を中心として回転可能とされている。
【0056】
なお、解除カバー20の側壁部20aよりも左右方向L3の外方に突出したシャフト45の両端部には、円筒状のブッシュ47が被嵌されている。そして、このシャフト45の両端部及びブッシュ47は、係合ピン50に対して平行な方向に突出する補助ピン53として機能するようになっている。よって、解除カバー20は、補助ピン53の軸線を中心として回転可能とされている。
【0057】
ところで、解除カバー20の側壁部20aには、前縁側の一部が後方に向かって滑らかに湾曲するように湾曲凹部20bが形成されており、この湾曲凹部20bによって爪部20cが前方に向かって突出するように形成されている。そして、この湾曲凹部20b内にロックピン51が嵌り込むように、ラッチカバー19と解除カバー20とが組み合わされている。
特にラッチカバー19は、コイルバネ52によって固定刃ホルダカバー18側に常時引っ張られているので、湾曲凹部20b内にロックピン51が確実に嵌り込んでいると共に、該ロックピン51が爪部20cを下方側に押圧している。従って、解除カバー20は、ロックピン51からの力を受けて、常時支持枠30の前面パネル30cを覆う前方側に回転するように付勢されている。
【0058】
このように構成された着脱ユニット11は、解除カバー20を介して開閉扉3の内面に取り付けられている。そのため、本体ユニット10に着脱ユニット11が組み合わされているときに、開閉扉3を開けると、解除カバー20がそれに伴って補助ピン53の軸線を中心に支持枠30の前面パネル30cから離間する後方側に回転するようになっている。
すると、解除カバー20の側壁部20aに形成された爪部20cがロックピン51を上方に押し上げて、該ロックピン51をコイルバネ52による付勢方向とは逆方向である前方側に回転移動させるようになっている。
【0059】
(本体ユニット)
次に、本体ユニット10について説明する。
本体ユニット10は、図3から図5及び図14に示すように、可動刃8と、プラテンローラ5と、これらを支持する本体フレーム60と、で主に構成されている。なお、図14は、本体ユニット10の斜視図である。
本体フレーム60は、金属や樹脂等によって箱型状に形成されたフレームであって、上面60aが記録紙Pの通過面となっている。記録紙Pは、この通過面である上面60a側に印字面とは反対側の面を向けた状態で、紙送りされるようになっている。
また、本体フレーム60の前壁部60b及び側壁部60cには、それぞれ前方カバー61a及び側方カバー61bが着脱自在に取り付けられている。なお、側壁部60cは、本体フレーム60の内側に凹んだ位置に形成されており、この側壁部60cと側方カバー61bとの間に、各構成品を収納することができる収納空間Eが確保されている。
【0060】
側壁部60cの上部には、上面60aよりも上方に突出すると共に、該上面60aを間に挟んで左右方向L3に向かい合って対向する一対の対向壁62が連設されている。
この一対の対向壁62には、本体ユニット10に対して着脱ユニット11を分離可能に組み合わせるための複数の凹部が形成されている。即ち、前方側から後方側に向かって順に、第1の凹部65、第2の凹部66及び第3の凹部67がそれぞれ形成されている。
なお、本体ユニット10に着脱ユニット11を組み合わせた際、対向壁62の内側に解除カバー20の側壁部20aが位置するように本体ユニット10がサイズ設計されている。
【0061】
第1の凹部65は、係合ピン50が離脱可能に嵌め込まれ、サーマルヘッド6とプラテンローラ5とを互いに接触状態で対向配置させるための凹部であって、対向壁62の上端縁から前方に向けて斜めに開口するように形成されている。
第2の凹部66は、係合ピン50が第1の凹部65内に嵌め込まれた後に、ロックピン51が離脱可能に嵌め込まれる凹部であって、第1の凹部65の開口途中から後方に向けて斜めに開口するように形成されている。
【0062】
特に、ラッチカバー19はコイルバネ52によって後方側に回転しようとする力を受けているので、ロックピン51は自然に第2の凹部66内に嵌り込むようになっている。なお、ロックピン51は、第2の凹部66内に嵌り込んでいる際、ラッチカバー19の側壁部19aに形成された湾曲凹部20b内に同時に嵌り込んでおり、ラッチカバー19の爪部20cを下方に押圧している。従って、着脱ユニット11を装着した後、解除カバー20は支持枠30の前面パネル30cを覆う前方側に回転するように付勢されている。
【0063】
また、図3及び図15に示すように、係合ピン50とロックピン51とがそれぞれ第1の凹部65及び第2の凹部66内に嵌り込んでいる際、第1の凹部65の開口方向に沿ってロックピン51が移動することを、第2の凹部66の内周縁の一部が妨げている。これにより、ロックピン51を第2の凹部66内から離脱させない限り、係合ピン50を第1の凹部65内から離脱させることができないように設計されている。
なお、図15は、本体ユニット10と着脱ユニット11が組み合わされた状態を側方から見た図である。
【0064】
一方、解除カバー20を補助ピン53の軸線を中心として後方側に回転させた場合には、図16及び図17に示すように、爪部20cによりロックピン51を上方に押し上げて、該ロックピン51をコイルバネ52による付勢方向とは逆方向に回転させることが可能となる。これにより第2の凹部66内からロックピン51を離脱させることができるようになっている。従って、このロックピン51の離脱時に、係合ピン50を第1の凹部65内から離脱させることが可能とされている。
なお、図16は、図15に示す状態から解除カバー20を後方側に回転させて、爪部20cによりロックピン51を上方に押し上げた状態を示す図である。図17は、図16に示す状態からさらにロックピン51を上方に押し上げた状態を示す図である。
【0065】
つまり、本実施形態の係合ピン50は、ロックピン51が第2の凹部66内に嵌め込まれているときに第1の凹部65内から離脱不能とされていると共に、ロックピン51が第2の凹部66内から離脱した後に第1の凹部65内から離脱可能とされている。従って、最初にロックピン51を第2の凹部66内から離脱させた後、係合ピン50を第1の凹部65内から離脱させるといった順番によってのみ、着脱ユニット11を本体ユニット10から分離できるように構成されている。
【0066】
また、第3の凹部67は、係合ピン50を第1の凹部65内に嵌め込むタイミングで、補助ピン53を離脱可能に嵌め込ませるための凹部であって、第1の凹部65の開口方向と同じ方向に開口するように形成されている。
従って、着脱ユニット11が本体ユニット10に装着されている際に、係合ピン50の軸線を中心にロックピン51が回転させて第2の凹部66内から離脱させようとする外力が着脱ユニット11の全体に作用したとしても、補助ピン53が第3の凹部67の内周縁の一部に接触するので、着脱ユニット11の動きを規制する。
従って、意図しないときに、ロックピン51が第2の凹部66内から離脱しないようになっており、着脱ユニット11の装着時における信頼性を高めることができると共に、着脱ユニット11のがたつき等を抑え易い。
【0067】
プラテンローラ5は、図9に示すように、記録紙Pの幅方向に沿って延在するシャフト等の軸体5aに、ゴム等の弾性材料からなるローラ5bが外装されたものであり、図3及び図4に示すように、軸体5aの両端が軸受け部材70を介して本体フレーム60の側壁部60cに軸支されている。なお、軸体5aの一方側の端部には、図示しないプラテン用歯車輪列機構に噛合する従動歯車が固定されている。そして、本体フレーム60内に設けられた図示しないプラテン用モータの駆動によって、プラテン用歯車輪列機構を介して従動歯車に回転力が伝達し、プラテンローラ5が回転するようになっている。
【0068】
このプラテンローラ5は、図3、図4及び図9に示すように、本体フレーム60の上面60aから一部が露出するように配設されており、本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されたときに、サーマルヘッド6との間で記録紙Pを挟み込んだ状態で該記録紙Pを下流側である前方に紙送りして、固定刃9と可動刃8との間に送り出す役割を担っている。
【0069】
可動刃8は、固定刃9と協働して記録紙Pを切断するカッターとして機能するものであり、本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されたときに、図1及び図2に示すように、固定刃9に対して向き合う位置に配設されている。この可動刃8は、図10に示すように、根元から刃先8aまでの長さが両端から中央に向かって漸次短くなるように形成された平面視略V字型の板状の刃である。そして、固定刃9に向けてスライドさせられたときに、図9及び図18に示すように、固定刃9に乗り上がった状態となり、該固定刃9との間で記録紙Pを挟み込みながら切断するようになっている。
なお、図18は、図10に示す状態から可動刃9をスライドさせた状態を示す図である。
【0070】
この際、可動刃8は平面視略V字型に形成されているので、左右の2点(図18に示す点M)で固定刃9に接触するようになっている。しかも、本実施形態の可動刃8は、中央部よりも両端側が反るように幅方向に滑らかに湾曲しており、左右の2点で確実に接触するようになっている。従って、可動刃8のスライドに伴って、記録紙Pを左右の両側から中央に向かって切断可能とされている。
【0071】
このように形成された可動刃8は、図5及び図9に示すように、本体フレーム60の前壁部60bの内側に、刃先8aを上方に向けた状態で配設されており、可動刃ホルダ80に固定されている。この可動刃ホルダ80は、樹脂等からなる板状の部材であり、図示しないガイド手段によって上下方向L2に移動自在にガイドされている。これにより、可動刃8は、記録紙Pの紙面に対して略直交する上下方向L2にスライド可能とされている。
【0072】
可動刃ホルダ80の下端部には、図19に示すようにラック(往復移動機構)81が一体的に形成されている。なお、図19は、本体フレーム60内の内部構造の一部を示す図である。
このラック81は、図3及び図4に示すように、可動刃用モータ(図20参照)95に連結された駆動歯車82の回転に伴って、可動刃ホルダ80を上下方向L2に直線的に往復移動させる役割を担っている。また、図19に示すように、このラック81が取り付けられた可動刃ホルダ80と本体フレーム60の底壁部と間には、コイルバネ(付勢部材)83が取り付けられており、可動刃8を固定刃9から引き離す下方向に引っ張っている。これにより、可動刃ホルダ80には、常時下向きの力が加わっている。
【0073】
ラック81と駆動歯車82との間には、図3、図4及び図19に示すように、第1歯車91、第2歯車92及び第3歯車93からなる可動刃用歯車輪列機構(歯車輪列機構)90が設けられている。
この可動刃用歯車輪列機構90は、図3に示すように本体ユニット10に着脱ユニット11が組み合わされたときに、駆動歯車82とラック81とを連結させて駆動歯車82の回転力をラック81に伝達すると共に、図4に示すように着脱ユニット11が分離されたときに駆動歯車82とラック81との連結を切り離す役割を担っている。
以下、構成を詳細に説明する。
【0074】
可動刃用モータ(図20参照)95は、本体フレーム60内に配設されており、その駆動軸が側壁部60cに突出している。そして、この駆動軸に駆動歯車82が固定されている。第3歯車93は、ラック81に噛合した状態で側壁部60c上に軸支されている。また、第2歯車92は、この第3歯車93に噛合した状態で同様に側壁部60c上に軸支されている。
【0075】
ところで、駆動歯車82と側壁部60cとの間には、図20及び図21に示すように、駆動軸を中心として前後に揺動する揺動プレート96が配置されている。
なお、図20は、図4に示す本体ユニット11の側面図であって、第1歯車91を取り外した状態を示す図である。図21は、図3に示す本体ユニット11の側面図であって、第1歯車91を取り外した状態を示す図である。
この揺動プレート96は、平面視略半円形状に形成されていると共に、上部側の一部が外方に突出した鉤状の係止片96aとなっている。また、揺動プレート96には、係止片96aの根元付近に第1歯車91を軸支する軸芯96bが駆動歯車82に隣接するように立設されていると共に、下部側に後述するコイルバネ(付勢部材)98の一端側を固定する固定ピン96cが立設されている。
【0076】
そして、第1歯車91は、駆動歯車82に噛合した状態で揺動プレート96の軸芯96bに取り付けられている。そのため、第1歯車91は、揺動プレート96の揺動に伴って駆動軸を中心として回転し、図3及び図21に示すように第2歯車92に接近して噛合したり、図4及び図20に示すように第2歯車92から離間して噛合が解かれたりするようになっている。
ここで、第2歯車92に近接した側壁部60c上には固定ピン97が立設されており、この固定ピン97と揺動プレート96の上記固定ピン96cとの間にコイルバネ98が取り付けられている。このコイルバネ98は、図20に示すように第1歯車91が第2歯車92から離間する後方側に揺動プレート96を回転させるように付勢している。従って、揺動プレート96に外力を与えない限り、第1歯車91と第2歯車92とは連結が切り離されるようになっている。
なお、揺動プレート96には、駆動歯車82を保護する平面視三日月状の保護カバー99が形成されている。
【0077】
また、揺動プレート96の係止片96aには、押下ボタン100が接触している。この押下ボタン100は、本体フレーム60の上面60aに上下動可能に取り付けられており、図14に示すように、上部が上面60aに露出している。また、図20に示すように、押下ボタン100の下部は、滑らかな円弧状に形成されており、係止片96aに乗っかった状態となっている。よって、この押下ボタン100は、係止片96aによって上方に押し上げられ、上部が上面60aから飛び出るようになっている。
【0078】
このように構成されているので、本体ユニット10から着脱ユニット11が分離している場合には、図4及び図20に示すように、コイルバネ98の力により揺動プレート96が後方側に回転して、第1歯車91と第2歯車92との連結が切り離されている。よって、ラック81、第3歯車93及び第2歯車92は、駆動歯車82との係わりがないフリーな状態となっている。従って、図19に示すように、コイルバネ83によって下方に引っ張られている可動刃ホルダ80を上方に移動させることができず、可動刃8を固定刃9から離間させた待機位置に待機させておくことができる。
【0079】
一方、本体ユニット10に着脱ユニット11を装着した場合には、図3及び図21に示すように、押下ボタン100が着脱ユニット11に設けられた押下突起101(図20参照)に押されて下方移動するようになっている。これにより、係止片96aに下向きの力を加えることができ、コイルバネ98に抗する力で揺動プレート96を前方側に回転させることができ、第1歯車91を第2歯車92に噛合させることができるようになっている。その結果、駆動歯車82とラック81とを連結させて、駆動歯車82の回転力をラック81に伝達することが可能となる。
【0080】
次に、上述したように構成されたサーマルプリンタ1の作動について説明する。
まず、図2に示すように、開閉扉3を開けた状態でロール紙Rを投入口2aからケーシング2内に投入する。この際、予め記録紙Pをケーシング2の外側に、ある程度の長さだけ引き出しておく。そして、引き出した記録紙Pをケーシング2の外側に引き出した状態のまま、開閉扉3を閉めロック機構により開閉扉3をロックする。すると、これと同時に着脱ユニット11が本体ユニット10に装着されて、両ユニット10、11が組み合わさった状態となる。
これにより、記録紙Pは、図1に示すように、プラテンローラ5とサーマルヘッド6との間に挟まれた状態になると共に、排出口2cからケーシング2の外側に引き出された状態となる。
【0081】
ところで、開閉扉3が開いている状態では、図4及び図21に示すように、揺動プレート96がコイルバネ98によって引っ張られているので、第1歯車91と第2歯車92との連結が切り離されている。そのため、ラック81、第3歯車93及び第2歯車92は、駆動歯車82との係わりがないフリーな状態となっている。従って、可動刃ホルダ80は、図19に示すようにコイルバネ83によって下方に引っ張られている。これにより、可動刃8は、固定刃9から離間した待機位置に待機させられている。また、押下ボタン100は、図14に示すように、本体フレーム60の上面60aから飛び出した状態となっている。
【0082】
特に、ラック81と駆動歯車82との連結が切り離されているので、開閉扉3を閉める前の段階で誤って可動刃用モータ95を駆動させてしまったとしても、ラック81が直線移動して可動刃8がスライドすることがない。このように、可動刃8のスライドを規制したインターロック構造になっているので、可動刃8を待機位置に待機させ続けることができ、高い安全性を確保することができる。
【0083】
続いて、開閉扉3を閉めはじめると、着脱ユニット11がヒンジ部7を中心に円弧状の軌跡を描きながら徐々に本体ユニット10に近づくと共に、最終的には可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に沿いながら本体ユニット10に接近する。すると、まず着脱ユニット11の係合ピン50及び補助ピン53が、第1の凹部65内及び第3の凹部67内に侵入しはじめると共に、ロックピン51が第1の凹部65の入口である傾斜部に接触しながら滑り落ちていく。
この際、開閉扉3を押し下げる力の反力が、傾斜部を介してロックピン51を上方に押し上げるように作用する。そして、この反力がロックピン51を介してラッチカバー19に伝達されるため、該ラッチカバー19は係合ピン50の軸線を中心として前方側に回転する。つまり、ラッチカバー19は、係合ピン50の軸線を中心に前方側に回転しながら、開閉扉3の閉動作に伴って下方に移動する。
【0084】
よって、係合ピン50及び補助ピン53は、同じタイミングで第1の凹部65内及び第3の凹部67内の最奥部に向かって徐々に侵入し、図3及び図15に示すように、開閉扉3を完全に閉じた時点で第1の凹部65内及び第3の凹部67内に完全に嵌め込まれる。また、この時点で、ロックピン51は第2の凹部66の入口に達する。この際、ラッチカバー19はコイルバネ52によって固定刃ホルダカバー18側に引っ張られているので、後方側に回転しようとしている。そのため、第2の凹部66の入口に達したロックピン51を、第2の凹部66内に直ちに引き込んで嵌め込ませることができる。
【0085】
その結果、開閉扉3を閉めると同時に、着脱ユニット11を本体ユニット10に装着させて両ユニット10、11を組み合わせることができる。また、第1の凹部65内に係合ピン50を離脱不能にセットすることができる。
また、図1及び図19に示すように、この時点でサーマルヘッド6とプラテンローラ5とを記録紙Pを挟んで対向配置させることができる。この際、ヘッド支持フレーム15がコイルバネ41によってプラテンローラ5側に付勢されているので、サーマルヘッド6を所定の圧接力でプラテンローラ5に接触させることができる。更に、固定刃9の刃先9aと可動刃8の刃先8aとを、記録紙Pを挟んで向かい合わせることができる。
【0086】
ところで、本体ユニット10に着脱ユニット11が装着されると、図3及び図21に示すように、本体フレーム60の上面60aから飛び出していた押下ボタン100が着脱ユニット11の押下突起101に押されて、下方移動する。すると、この押下ボタン100は、係止片96aを下方に押し下げるので、揺動プレート96をコイルバネ98に抗する力で前方側に回転させる。これにより、第1歯車91が揺動プレート96に伴って第2歯車92に接近するように回転し、最終的に第2歯車92に噛合する。この噛合は、着脱ユニット11が本体ユニット10から分離されない限り、維持される。
【0087】
これにより、第1歯車91、第2歯車92及び第3歯車93が全て噛合するので、可動刃用歯車輪列機構90が駆動歯車82とラック81とを連結させる。これにより、駆動歯車82の回転力をラック81に伝達することが可能な状態となる。
【0088】
続いて、記録紙Pに印刷を行う場合を説明する。
この場合には、まずプラテン用モータを駆動させて、プラテンローラ5を回転させる。これにより、プラテンローラ5とサーマルヘッド6との間に挟まれた記録紙Pが前方に紙送りされると同時に、載置台2b上に載置されたロール紙Rが回転する。
また、これと同時にサーマルヘッド6を作動させる。これにより、多数の発熱素子が適宜熱を発する。これにより、紙送りされた記録紙Pに対して、各種の文字や図形等を明瞭に印刷することができる。その後、プラテンローラ5によってさらに紙送りされた記録紙Pは、固定刃9と可動刃8との間を通過する。
【0089】
ところで、本体ユニット10と着脱ユニット11とが組み合わされて印刷が行われている際、記録紙Pやサーマルヘッド6等からプラテンローラ5に外力が加わったとしても、プラテン軸Cに非同軸な係合ピン50やロックピン51に外力が伝わり難い。よって、係合ピン50及びロックピン51が外力の影響によって、第1の凹部65及び第2の凹部66から離脱してしまうことを抑制することができる。従って、本体ユニット10に対して着脱ユニット11を高い信頼性で確実に組み合わせることができる。そのため、サーマルヘッド6とプラテンローラ5とを安定して組み合わせることができ、安定した印刷を行える。
【0090】
また、着脱ユニット11の装着時において、ロックピン51はコイルバネ52による付勢によって第2の凹部66内から離脱する方向に移動し難い状態となっている。従って、意図しないときに、ロックピン51が第2の凹部66内から離脱してしまうことを防止でき、本体ユニット10と着脱ユニット11との組み合わせをより確実なものにすることができる。
更に、係合ピン50及びロックピン51に加え、補助ピン53が第3の凹部67内に嵌っているので、着脱ユニット11を本体ユニット10に対して前後方向L1の2箇所で固定でき、より強固に組み合わせることができる。そのため、着脱ユニット11に何らかの外力が加わったとしても、がたつき等が生じ難い。この点においても、安定した印刷を行える。
【0091】
次に、印刷が終了して記録紙Pを切断する場合について説明する。
この場合には、可動刃用モータ95を駆動させて駆動歯車82を回転させる。すると、図3に示すようにこの回転力は、第1歯車91及び第2歯車92を介して第3歯車93に伝わり、該第3歯車93を回転させる。これにより、第3歯車93に噛合されているラック81を直線移動させることができる。従って、ラック81と一体的となった可動刃ホルダ80を介して、図10及び図19に示す状態から図9及び図18に示す状態に移行するように、可動刃8を固定刃9に向かう上方にスライドさせることができる。
【0092】
すると、スライドした可動刃8は、図18に示すように、固定刃9に乗り上がるように重なり、記録紙Pを固定刃9との間で挟み込みながら切断する。
この際、可動刃8は、平面視略V字型に形成されているので、左右の2点で固定刃9に接する。よって、可動刃8のスライドに伴って、記録紙Pを左右の両側から中央に向かって切断することができ。記録紙Pを偏りなく良好に切断することができる。その結果、切断した記録紙Pをレシートやチケット等として使用することができる。
【0093】
ところで、可動刃8が固定刃9に乗り上げると該固定刃9は可動刃8によって後方側に押し戻されようとする。ところが、図9に示すように、この固定刃9を支持している固定刃ホルダ16は、コイルバネ40によって前方に付勢されている。よって、可動刃8の刃先8aに固定刃9の刃先9aを適度な接触圧で圧接させることができる。従って、固定刃9の刃先9aと可動刃8の刃先8aとの間に隙間が生じ難く、記録紙Pを良好な切れ味で切断することができる。
【0094】
しかも、本実施形態の固定刃9は、刃先9a側が揺動するように保持されていた従来のものとは異なり、ホルダ支持フレーム17によって直交方向(前後方向L1)に移動可能に支持されている固定刃ホルダ16に保持されている。そのため、図9及び図22に示すように、スライドに伴って可動刃8が固定刃9に徐々に乗り上げ始めると、これに応じて固定刃ホルダ16が直交方向(前後方向L1)に移動、即ち後方に移動する。従って、可動刃8のスライド具合に関係なく、可動刃8に対して固定刃9の傾斜状態を一定に維持、即ち、可動刃8の刃先8aに対する固定刃9の刃先9aの角度を、最適な切断角θに維持し続けることができる。
その結果、切れ始めから切れ終わりまで、常に最適な切断角θを保ったまま切断を行うことができ、記録紙Pに切れ残り等の切断不良が生じる可能性が低く、良好な切断を安定して行うことができる。
なお、図22は、可動刃8と固定刃ホルダ16に保持された固定刃9との動きを、可動刃8のスライドの進行具合に伴ってどのように変化するかを説明するための簡略図である。
【0095】
更に、本実施形態の固定刃ホルダ16は、単に直交方向(前後方向L1)に沿って移動可能とされているだけでなく、図12に示すように、固定ネジ38回りに揺動可能とされている。そのため、この固定刃ホルダ16に保持されている固定刃9は、刃幅方向に高い自由度を持って揺動可能とされている。そのため、切れ始めから切れ終わりまで、可動刃8の挙動に応じて固定刃9を刃幅方向に自由に揺動させて、可動刃8の動きに固定刃9を追従させることができる。そのため、左右2点の接触ポイントの圧接力をバランス良く均等にし易い。
従って、より確実に記録紙Pを左右両側から切断することができ、切断不良をより生じ難くさせることができる。
【0096】
特に、本実施形態のように、可動刃8と固定刃9とが分離するタイプのカッター機構4の場合には、本体ユニット10に着脱ユニット11を組み合わせたときに、固定刃9と可動刃8とを位置精度良く毎回所定位置にセットさせることは困難であると考えられる。従って、可動刃8と固定刃9との接圧のバランスが崩れ易く、場合によっては一方の刃の切れ味が落ちる等の不具合が発生する恐れがある。
しかしながら、本実施形態の場合には、固定刃9と可動刃8とのセット位置にずれが生じてしまったとしても、上述したように固定刃9が固定ネジ38を中心に刃幅方向に自在に揺動するので、左右2点の接触ポイントの圧接力をバランス良く均等にすることができる。従って、上記不具合が発生する可能性を低くすることができる。
【0097】
次に、印刷中に紙ジャム等が発生して、可動刃8がスライド途中で停止してしまった場合について説明する。
この場合には、可動刃8が固定刃9に乗り上がった状態(被さった状態)となっているが、本実施形態では、着脱ユニット11を本体ユニット10に対して可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に沿って接近離間させることが可能とされている。よって、可動刃8がスライド途中で停止したとしても、本体ユニット10から着脱ユニット11を分離させることができ、可動刃8上を滑らすように固定刃9を引き抜くことができる。
【0098】
この点、詳細に説明する。
まず、ロック機構を解除した後、ヒンジ部7を中心として開閉扉3を後方に回転させるように開動作させる。すると、図16及び図17に示すように、開閉扉3の内面に取り付けられている解除カバー20が開閉扉3の開動作に伴って、補助ピン53の軸線を中心として後方側に回転しはじめる。そのため、解除カバー20は、爪部20cを介してロックピン51を上方に押し上げる。
すると、この力はロックピン51を介してラッチカバー19に伝わるので、該ラッチカバー19は係合ピン50の軸線を中心としてコイルバネ52に抗する力で前方側に回転する。従って、ロックピン51は、ラッチカバー19の回転に伴って第2の凹部66内から離脱する。これにより、係合ピン50及び補助ピン53は、共に第1の凹部65及び第3の凹部67の開口方向に沿って移動可能な状態となる。
【0099】
そして、開閉扉3のさらなる開動作に伴って、係合ピン50及び補助ピン53が同じタイミングで第1の凹部65及び第3の凹部67に沿って移動した後、第1の凹部65内及び第3の凹部67内から完全に離脱する。これにより、着脱ユニット11と本体ユニット10との組み合わせを解いて両ユニット10、11を分離させることができる。そして、開閉扉3をさらに開動作させることで、着脱ユニット11を本体ユニット10から大きく離反させることができる。
【0100】
特に、着脱ユニット11を分離させる際、該着脱ユニット11は開閉扉3と共にヒンジ部7を中心として円弧状の軌跡を描くように移動するので、分離はじめの初期段階は、可動刃8のスライド方向(上下方向L2)に沿って移動する。従って、図9に示すように可動刃8がスライド途中で停止して固定刃9に乗り上がった状態であっても、上述したように可動刃8上を滑らせるように固定刃9を引き抜くことができる。
このように、可動刃8がスライド途中で停止した場合であっても、従来のものとは異なり、可動刃8と固定刃9とを容易に分離させることができる。そして、開閉扉3を大きく開けた後に、紙ジャム等の各種不具合の復旧作業を直ちに行うことができる。
【0101】
特に、本体ユニット10から着脱ユニット11を分離させると、可動刃用歯車輪列機構90がこの分離に伴って駆動歯車82とラック81との連結を機械的に切り離す。つまり、着脱ユニット11が分離することで、押下ボタン100の押し下げが解放されるので、図20に示すように、揺動プレート96がコイルバネ98に引っ張られて後方側に回転する。そのため、図4に示すように第1歯車91が第2歯車92から離間して、両者の噛合が解かれる。その結果、駆動歯車82とラック81との連結が切り離される。
【0102】
これにより、ラック81は可動刃用モータ95との係わりがないフリーな状態となる。すると、このラック81に一体的に形成された可動刃ホルダ80が、図19に示すようにコイルバネ83に引っ張られて下方に移動する。従って、可動刃8をスライド前の待機位置(初期位置)に自動復帰させることができ、着脱ユニット11の分離時に可動刃8の刃先8aが飛び出たままの状態にしてしまうことを防止することができる。
【0103】
従って、可動刃8に格別の注意を払うことなく各種不具合の復旧作業を行うことができ、安全性に優れている。しかも、先に述べたように、ラック81と駆動歯車82との連結が切り離されているので、誤って可動刃用モータ95を駆動させてしまったとしても可動刃8が動かないインターロック構造となっている。よって、この点においても、高い安全性を確保することができる。
【0104】
上述したように、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、以下の作用効果を奏することができる。
まず、第1の凹部65内への係合ピン50の嵌め込み/離脱と、係合ピン50に対するロックピン51の相対的な移動による第2の凹部66内の嵌め込み/離脱と、を行うだけの簡単な操作で着脱ユニット11の着脱操作をスムーズに行える。従って、本体ユニット10と着脱ユニット11とを速やかに組み合わせたり、両ユニット10、11を速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
また、外方に大きく突出していた従来のロックレバーを利用したものとは異なり、着脱ユニット11にはプラテン軸Cに平行な方向に向けて僅かに突出した係合ピン50、ロックピン51及び補助ピン53が形成されているである。従って、着脱ユニット11の着脱操作に指先がこれらに干渉し難く、従来よりも安全性に優れている。
【0105】
しかも、これら係合ピン50、ロックピン51及び補助ピン53は、本体ユニット10の対向壁62に形成された第1の凹部65、第2の凹部66及び第3の凹部67内にそれぞれ嵌り込むので、従来のロックレバーを利用するものとは異なり、着脱ユニット11の横幅(プラテン軸Cに沿った横幅)のサイズを対向壁62の間隔内で収めることができる。従って、サーマルプリンタ1全体の小型化を図り易い。
【0106】
更に、可動刃8がスライド途中で停止した場合であっても、可動刃8を元の位置に自動復帰させながら本体ユニット10と着脱ユニット11とを分離させることができるうえ、自動復帰させた可動刃8のスライドを規制することができるので、安全性に優れている。
更に、可動刃8の刃先8aに対する固定刃9の刃先9aの角度を常に最適な切断角θに維持することができるうえ、固定刃9を刃幅方向に自由に揺動させて可動刃8の動きに追従させることができるカッター機構4を備えているので、切断不良が生じる可能性が低く、記録紙Pを良好に切断することができる。その結果、切断性能の信頼性が向上したサーマルプリンタ1とすることができる。また、切断後の記録紙Pの品質も高めることができる。
【0107】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0108】
例えば、上記実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタ1を例に挙げて説明したが、サーマルプリンタに限定されるものではない。例えば、記録ヘッドをインクジェットヘッドとし、インク滴を利用して記録紙Pに印刷するインクジェットプリンタであっても構わない。
また、上記実施形態では、ロール紙Rを投入して単に載置台2b上に置くドロップイン方式のサーマルプリンタ1としたが、この方式ではなく、ケーシング2の内部にロール紙Rを軸支(回転可能に支持)する軸支機構を設けた軸支式のサーマルプリンタとしても構わない。
なお、ケーシング2や開閉扉3は必須な構成ではなく設けなくても構わない。即ち、本体ユニット10と着脱ユニット11とだけで構成されていても、プリンタとして十分に機能する。
【0109】
また、上記実施形態では、本体ユニット10側にプラテンローラ5及び可動刃8を設け、着脱ユニット11側にサーマルヘッド6及び固定刃9を設けた構成としたが、本体ユニット10側にサーマルヘッド6を設け、着脱ユニット11側にプラテンローラ5を設けても構わない。
但し、構造を簡略化し易いサーマルヘッド6や固定刃9を着脱ユニット11側に設けることで、該着脱ユニット11を小型化及び軽量化し易く、着脱操作性に適している。
【0110】
また、上記実施形態では、ラッチカバー19にロックピン51を設け、ラッチカバー19を回転させることでロックピン51を回転移動させ、係合ピン50に対して相対的に移動させる構成としたが、この場合に限定されるものではない。例えば、ロックピン51を直線的にスライドさせることで、係合ピン50に対して相対移動させても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。
但し、上記実施形態のようにラッチカバー19を回転させるだけの簡便な構成で、ロックピン51を係合ピン50に対して相対移動させることができるので構成の簡略化及び部品点数の削減化を図ることができる。
【0111】
また、上記実施形態では、着脱ユニット11を本体ユニット10に装着した際、該着脱ユニット11が押下ボタン100を押し下げることで揺動プレート96を回転させ、第1歯車91を第2歯車92に噛合させた構成としたが、押下ボタン100は必須なものではなく、着脱ユニット11側に揺動プレート96を回転させるための突起部材を直接設けても構わない。
【0112】
また、上記実施形態では、ラック81を移用して駆動歯車82の回転運動を直線運動に変換し、可動刃ホルダ80を直線的に往復移動させる構成としたが、駆動歯車82の回転に伴って可動刃ホルダ80を直線的に往復移動させることができれば、ラック81に限られず往復移動機構を自由に設計して構わない。
例えば、このような往復移動機構の一例としては、駆動歯車82の回転に伴って回転する回転カムと、この回転カムの回転によって可動刃ホルダ80を直線的に往復移動させる一般的に周知とされた機構と、を採用して構成しても構わない。
【0113】
また、上記実施形態では、第1歯車91が軸支された揺動プレート96を回転させることで、ラック81と駆動歯車82とを連結又は該連結を解除する構成としたが、このような構成に限定されるものではない。
着脱ユニット11が組み合わされたときに駆動歯車82とラック81が連結され、着脱ユニット11が分離されたときに駆動歯車82とラック81との連結が切り離されるように可動刃用歯車輪列機構90が構成されていれば、どのように設計しても構わない。
【0114】
例えば、図23に示すように、可動刃用歯車輪列機構(歯車輪列機構)110が、駆動歯車82側に連結される入力歯車111と、ラック81側に連結される出力歯車112と、を備え、着脱ユニット11の装着によって入力歯車111をスライドさせて出力歯車112に連結させるように構成しても構わない。
【0115】
この場合について、詳細に説明する。
入力歯車111及び出力歯車112は、それぞれ内歯車111a、112aを相手側に向けた状態で共通の軸芯113に軸支されている。この際、入力歯車111は、軸芯113に沿ってスライド移動可能とされている。また、軸芯113には、両歯車111、112の間に介在されるようにコイルバネ114が外嵌されており、両歯車111、112を離間させるように付勢している。そして、入力歯車111は、着脱ユニット11の装着によって移動するリンクボタン115により出力歯車112側にスライドし、自身の内歯車111aを出力歯車112の内歯車112aに噛合させるようになっている。
【0116】
このように構成したとしても、着脱ユニット11が組み合わされたときに駆動歯車82とラック81を連結することができると共に、着脱ユニット11が分離されたときに駆動歯車82とラック81との連結を切り離すことが可能である。従って、同様の作用効果を奏することができる。
【0117】
また、別の構成としては、図24に示すように、可動刃用歯車輪列機構(歯車輪列機構)120が、駆動歯車82側に連結される入力歯車121と、ラック81側に連結される出力歯車122と、入力歯車121と出力歯車122との間に配設された中間歯車123と、を備え、着脱ユニット11の装着によって中間歯車123をスライドさせて入力歯車121と出力歯車122とを連結させるように構成しても構わない。
【0118】
この場合について、詳細に説明する。
入力歯車121、出力歯車122及び中間歯車123は共に傘歯車とされており、入力歯車121及び出力歯車122をそれぞれ軸支する軸芯124の間に位置するように中間歯車123用の軸芯125が設けられている。この際、中間歯車123は、軸芯125に沿ってスライド移動可能とされている。また、中間歯車123は、入力歯車121及び出力歯車122から離間するようにコイルバネ126によって付勢されている。そして、中間歯車123は、着脱ユニット11の装着によって移動するリンクボタン127によりコイルバネ126に抗するようにスライドし、入力歯車121及び出力歯車122の両方に噛合されるようになっている。
【0119】
このように構成したとしても、着脱ユニット11が組み合わされたときに駆動歯車82とラック81を連結することができると共に、着脱ユニット11が分離されたときに駆動歯車82とラック81との連結を切り離すことが可能である。従って、同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0120】
C…プラテン軸
P…記録紙
S…仮想面
1…サーマルプリンタ(プリンタ)
5…プラテンローラ
6…サーマルヘッド(記録ヘッド)
10…本体ユニット
11…着脱ユニット
19…ラッチカバー(ラッチ部材)
20…解除カバー(解除部材)
50…係合ピン
51…ロックピン
52…コイルバネ(付勢部材)
53…補助ピン
62…対向壁
65…第1の凹部
66…第2の凹部
67…第3の凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドとプラテンローラとが分離可能に組み合わされるプリンタであって、
互いに対向する対向壁を有し、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとのうち一方を支持する本体ユニットと、
前記記録ヘッドと前記プラテンローラとのうち他方を支持すると共に、前記本体ユニットに対して着脱自在に組み合わされる着脱ユニットと、を備え、
前記着脱ユニットには、前記プラテンローラのプラテン軸に対して非同軸で且つ平行な軸線に沿って突出した係合ピンと、該係合ピンに対して平行な方向に突出すると共に係合ピンに対してプラテン軸に直交する仮想面内方向に沿って相対移動可能とされたロックピンと、が設けられ、
前記対向壁には、前記係合ピンが離脱可能に嵌め込まれ、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとを互いに接触状態で対向配置させる第1の凹部と、係合ピンが第1の凹部内に嵌め込まれた後に、前記ロックピンが離脱可能に嵌め込まれる第2の凹部と、が形成され、
前記係合ピンは、前記ロックピンが前記第2の凹部内に嵌め込まれているときに前記第1の凹部内から離脱不能とされていると共に、ロックピンが第2の凹部内から離脱した後に第1の凹部内から離脱可能とされていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記着脱ユニットには、
前記ロックピンを付勢して前記第2の凹部内に嵌め込ませる方向に移動させる付勢部材と、
前記ロックピンを前記付勢方向とは逆方向に移動させて該ロックピンを前記第2の凹部内から離脱させる解除部材と、が設けられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタにおいて、
前記着脱ユニットには、前記係合ピンの軸線回りに回転自在なラッチ部材が設けられ、
前記ロックピンは、前記ラッチ部材に一体的に形成され、該ラッチ部材の回転に伴って回転移動することを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記着脱ユニットには、前記係合ピンに対して平行な方向に突出する補助ピンが形成され、
前記対向壁には、前記第1の凹部の開口方向と同じ方向に開口し、前記補助ピンが離脱可能に嵌め込まれる第3の凹部が形成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項1】
記録ヘッドとプラテンローラとが分離可能に組み合わされるプリンタであって、
互いに対向する対向壁を有し、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとのうち一方を支持する本体ユニットと、
前記記録ヘッドと前記プラテンローラとのうち他方を支持すると共に、前記本体ユニットに対して着脱自在に組み合わされる着脱ユニットと、を備え、
前記着脱ユニットには、前記プラテンローラのプラテン軸に対して非同軸で且つ平行な軸線に沿って突出した係合ピンと、該係合ピンに対して平行な方向に突出すると共に係合ピンに対してプラテン軸に直交する仮想面内方向に沿って相対移動可能とされたロックピンと、が設けられ、
前記対向壁には、前記係合ピンが離脱可能に嵌め込まれ、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとを互いに接触状態で対向配置させる第1の凹部と、係合ピンが第1の凹部内に嵌め込まれた後に、前記ロックピンが離脱可能に嵌め込まれる第2の凹部と、が形成され、
前記係合ピンは、前記ロックピンが前記第2の凹部内に嵌め込まれているときに前記第1の凹部内から離脱不能とされていると共に、ロックピンが第2の凹部内から離脱した後に第1の凹部内から離脱可能とされていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記着脱ユニットには、
前記ロックピンを付勢して前記第2の凹部内に嵌め込ませる方向に移動させる付勢部材と、
前記ロックピンを前記付勢方向とは逆方向に移動させて該ロックピンを前記第2の凹部内から離脱させる解除部材と、が設けられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタにおいて、
前記着脱ユニットには、前記係合ピンの軸線回りに回転自在なラッチ部材が設けられ、
前記ロックピンは、前記ラッチ部材に一体的に形成され、該ラッチ部材の回転に伴って回転移動することを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記着脱ユニットには、前記係合ピンに対して平行な方向に突出する補助ピンが形成され、
前記対向壁には、前記第1の凹部の開口方向と同じ方向に開口し、前記補助ピンが離脱可能に嵌め込まれる第3の凹部が形成されていることを特徴とするプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−140198(P2011−140198A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3350(P2010−3350)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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